(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265887
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】弾性旋回軸を備えた運動学的座席
(51)【国際特許分類】
B60N 2/72 20060101AFI20180115BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20180115BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
B60N2/72
B60N2/64
A47C7/40
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-510899(P2014-510899)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公表番号】特表2014-513647(P2014-513647A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】IB2012001091
(87)【国際公開番号】WO2012160443
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年2月12日
(31)【優先権主張番号】61/488,326
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513096624
【氏名又は名称】ゾディアック シーツ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】カイユトー, ジェレミー
【審査官】
小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0119325(US,A1)
【文献】
特開平09−121972(JP,A)
【文献】
特表2008−532625(JP,A)
【文献】
米国特許第04549764(US,A)
【文献】
米国特許第04618185(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0251729(US,A1)
【文献】
実公昭13−010064(JP,Y1)
【文献】
特開2005−335703(JP,A)
【文献】
特表2000−506095(JP,A)
【文献】
実開昭61−129557(JP,U)
【文献】
特開昭55−143114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 7/40−7/48
B64D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動学的座席であって、
(a)座席フレームと、
(b)シートパンと、
(c)座席背もたれと、
(d)前記シートパンと並んで位置付けられるとともに、少なくとも二つの屈曲性ウィーブで形成される弾性旋回軸をもたらす側梁支持部とを備え、
前記少なくとも二つの屈曲性ウィーブが、内側脚部及び外側脚部を含み、
前記内側脚部及び前記外側脚部が互いに交差して使用時に「X字」形状を創出し、
前記内側脚部及び前記外側脚部は、それぞれが、第1端と第2端とを有し、該第1端が前記側梁支持部から延在しているとともに該第2端が前記座席背もたれに固定されている運動学的座席。
【請求項2】
前記弾性旋回軸が前記シートパンの上方に位置する請求項1に記載の運動学的座席。
【請求項3】
前記内側脚部及び前記外側脚部の各々の前記第1端は前記座席フレームに固定された側梁支持部から延在している請求項1又は2に記載の運動学的座席。
【請求項4】
前記座席背もたれは上部と下部とを備え、前記座席背もたれは前記弾性旋回軸を中心に回動する請求項1〜3のいずれか一項に記載の運動学的座席。
【請求項5】
前記内側脚部及び前記外側脚部が各々、前記内側脚部又は前記外側脚部を上端と下端とに分割する曲げ部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の運動学的座席。
【請求項6】
前記内側脚部及び前記外側脚部が各々、前記座席背もたれの動きを許容する湾曲部を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の運動学的座席。
【請求項7】
前記側梁支持部は前記内側脚部及び前記外側脚部を形成する分岐点を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の運動学的座席。
【請求項8】
乗客輸送機関に据え付けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の運動学的座席。
【請求項9】
旅客機の機内に据え付けられるために設計された一連の座席の一つとして製造される請求項1〜8のいずれか一項に記載の運動学的座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照情報:本願は、2011年5月20日に出願され「弾性旋回軸を備えた座席の運動学」と題された米国仮特許出願第61/488,326号の優先権を主張し、その開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本発明の実施形態は一般的に運動学的な座席背もたれ(キネマティックシートバック)のための改良された旋回的接合に関する。
【背景技術】
【0003】
座席の多くは座っている人が完全に直立して着席した位置から部分的に又は完全に後ろへ倒された(リクラインした)位置へと動くことが出来るように設計されている。これらの座席は、後方には僅かにしか動かすことが出来なくてもよいし、又は大きくリクラインすることが可能な座席であってもよい。例えば、旅客機、及び列車又はバスなどその他の乗客輸送機関は多くの場合、リクラインする座席か、又は幾分か「撓む」ように動く背もたれを備えた座席を有している。輸送機関の動きは激しいか又は揺れが多いことがあるため、このような座席を有すること自体が乗客に快適さをもたらす。また、快適な座席は少なくとも幾ばくかの復元力を備える背もたれ部を有することが好ましい。輸送機関のためのプレミアムシート(最上級クラスの座席)はまた、調整可能なシートパンを有することにより、シートパンの前後方向への動きを可能にするとともに背もたれのリクライン動作も許容されるようにしてもよい。「撓み」又は弾性復元力をなんら有さない状態で長時間にわたって完全に直立した状態で座り続けることは心地が良くないであろうから、劇場、講堂、競技場、家庭及び/又はオフィス用の座席もまた、ヒンジ付きの又は「スプリングバックアクション」式の背もたれ部分を持つことによる利点を享受出来るであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運動学的背もたれのための旋回的接合点が提供される場合には、これらの旋回的接合点は典型的に、ピンとラグ(つまみ)で構成される標準的な旋回軸(回動軸)によって提供される。これらの標準的な旋回軸は、特定の運動学的座席において好ましく使用出来ない原因となるいくつかの問題を有している。例えば、ピンとラグを組み合わせると、特定の用途にとっては所望の重量を上回ることがある。構成部品のコストが所望されるよりも高くなることもあり、使用時に騒音を発したり、摩擦のため摩耗し、さらには緩むこともある。それゆえに、運動学的座席のための、改良された弾性旋回軸を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本文に記載された本発明の実施形態はそれゆえに、運動学的背もたれのための、改良された旋回的接合をもたらす。特定の実施形態は、背もたれ(シートバック)の上部と下部とを接続する屈曲性ウィーブとして形成された弾性旋回軸をもたらす。屈曲性ウィーブは、形状が湾曲しているか又は曲げられた面を有する、内側脚部及び外側脚部であってよい。例えば、運動学的座席であって、座席フレームと、シートパンと、座席背もたれと、前記シートパンに並んで位置付けられた側梁(サイドビーム)支持部とを備え、前記側梁支持部は少なくとも二つの屈曲性ウィーブで形成された弾性旋回軸を提供する。
前記側梁支持部は、前記内側脚部及び前記外側脚部を形成する分岐点を備えてよい。
【0006】
前記内側脚部及び前記外側脚部は、それぞれが、第1端と第2端とを有
し、該第1端が側梁支持部から延在しているとともに該第2端が前記座席背もたれに固定されていてよい。屈曲性ウィーブは単一の分岐点から延在する二つの脚部によって形成されてよく、
前記内側脚部及び前記外側脚部は各々
、前記内側脚部又は前記外側脚部を上端と下端とに分割する曲げ部を有してよい。
前記内側脚部及び前記外側脚部は、各々が、座席背もたれの動きを許容する湾曲部を有してよい。使用時において、
前記内側脚部及び前記外側脚部は一般的に互いに交差して「X」字状の形状を創出する。座席の背もたれは上部と下部とを有してよく、前記座席の背もたれは弾性旋回点を中心に回動する。
前記シートパンが前方に動くにつれて、前記座席背もたれが前記弾性旋回軸を中心に旋回することが可能となってよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】座席フレーム上の一連の座席の前面斜視図を示し、この座席は背もたれに弾性旋回軸を有している。
【
図2】弾性旋回軸の一実施形態の側面斜視図を示す。
【
図4】
図1に示した一連の座席の、シートパンが定位置に配置された状態を示す図である。
【
図6】座席フレームと、弾性旋回軸を支持する側梁支持部とを示す図である。
【
図7】座席の、弾性旋回軸の下部のみを示すとともに、代替的な上部を可能な限り示す図である。
【
図8】二つの部品からなる側梁支持部を有する代替的な座席を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本文に記載された座席のための特定の用途は、航空機用の座席及びその他の乗客輸送機関において見出されるが、座席及び構成部品は、住居用または商業用途の物を含むいかなるリクライン式及び/又は旋回式座席において用いられてよい。これらの座席旋回軸が航空機用の座席として有益な理由の一つは、重量、コスト及び耐久性が航空機においては特有の考慮事項であり、それゆえに、座席を旋回させるための改良された対応策が航空機に関連して特に受け入れられるとともに所望されているためである。この明細書の以降の部分は上述の座席を旅客機及びその他の乗客輸送機関において使用することを中心に記載されるが、記載された座席及び構成部品は、コンサートホール、競技場、講堂、映画館、学校、家庭及びオフィスなどいかなる場所の椅子において使用し得ることが理解されるべきである。本発明の概念は独立型/個別の椅子に使用可能であるとともに、互いに接続した一連の(一組の)椅子にも使用可能である。加えて、本文に記載された弾性旋回軸は椅子に有益なものとして記載されているが、本文記載の弾性旋回軸は、ピンとラグを用いない旋回動作によって利益を得るその他の機械的装置に使用してもよい。
【0009】
図1は一連の座席10を示す。これらの座席は弾性旋回軸12が背もたれ14に位置付けられた運動学的座席10として示されている。具体的には、背もたれ14は上部16と下部18を備えている。図示された例において、上部16と下部18は中間部20によって分割されているが、中間部20は必須ではない。これらの座席はそれぞれ、
図4に示されているようにシートパン22をも有している。シートパン22(
図1では、下部座席フレーム24を示すために省かれている)は一般的に背もたれ14とは別々の構成部品として提供されているが、全ての座席構成部品を所望に応じて単一の一体形成された部品として提供することも可能であることが予見されている。しかしながら、シートパン22は典型的には背もたれ14とは独立に動くことができる。シートパン22は下部座席フレーム24に装着されている。下部座席フレーム24の特定の構成部品が動くことによって、シートパン22が動かされ、又はシートパン22が動くことが可能となる。
【0010】
シートパン22と一般的な方法で取り付けられた下部座席フレーム24の両側に並んで側梁支持部26が備えられている。側梁支持部26は剛性が高く、あるとしてもごく僅かにしか弾性を有さないか又は撓まない材料で一般的に形成されている。側梁支持部26の各々の上部領域28は弾性旋回軸12を形成する構成部品を提供する。一つより多い数の要素が接合されるか、又はその他の方法で協働して側梁支持部26を形成し得る。例えば、
図8は、集合的に協働して側梁支持部26を形成するとともに後述の機能を発揮する側梁支持部26の第1部分Aと第2部分Bを示している。各側梁支持部26を集合的に形成する二つ以上の数の構成部品を提供することを可能としてもよい。側梁支持部26は一般的に弾性旋回軸の構成部品を間接的に座席フレーム24に接続させるものである。
【0011】
図示された例において弾性旋回軸12は、
図2に示された、少なくとも二つの交差する屈曲性ウィーブ30によって形成されている(二つの屈曲性ウィーブ及びその構成部品が図示されているが、二つより多い数の屈曲性ウィーブを用いてより高い張力を提供し得ること、又はより小さい脚部をより多い数で提供し得ることが理解されるべきである)。
図6に示されるように、側梁支持部26の上部領域28は分岐して内側脚部32と外側脚部34とを形成する。内側脚部32及び外側脚部34は、分岐点36においてY字形状のような構成を形成する。分岐点36は脚部32の第1端38と、脚部34の第1端40を提供する。内側脚部32は、内側脚部32の上部44を形成する曲げ部42を有している。内側脚部32は上部44の先端に、
図1に示された背もたれ14の接続部48に固定される第2端部46を有している。内側脚部32は一般的に接続部48の内側領域58に固定されている。
【0012】
外側脚部34も同様に、外側脚部34の上部54を形成する曲げ部52を有している。外側脚部34もまた上部54の先端に、背もたれ14の接続部48に固定される第2端部56を有している(外側脚部34は一般的に接続部48の外側領域50に固定されている)。側梁支持部26のY字形状の分岐点36が、背もたれ14の接続部48に接続された第2端部46及び56と組み合わされて弾性旋回軸12をもたらす。この実施形態において、
図2及び3に示されるように、内側脚部32と外側脚部34は垂直面において互いに交差して側面視で「X字」を形成する。
【0013】
水平面においても交差するような、より大きい湾曲部を有する脚部を創出することは十分に可能である。換言すれば、内側脚部32を外側領域50に接続することは可能であろうし、外側脚部34を内側領域58に接続することは可能であろう。もしも適切に離間されていなければ、摩擦が生じる可能性は有るが、これは屈曲性ウィーブ30を形成するうえでの一つの可能な形状である。
【0014】
別の実施形態において、屈曲性ウィーブ30は、曲げ部を有してはいないが、使用されていない時には一般的に真っ直ぐな状態を維持し張力を加えられると僅かに湾曲する脚部32及び34によって形成される。そのような脚部は、曲げ部が形成された脚部よりも一般的により頑丈か若しくは厚みが大きいか、又は他の方法でより高い剛性を有するように設計されている。なぜならば、真っ直ぐな脚部においては押し戻し(プッシュバック)が曲げ部付きの脚部ほど大きくないからである。この実施形態において、押し戻しの特徴は材料そのものによってもたらされる。
図7は弾性旋回軸のいかなる上部形状も可能であるということを示すための図である。
図8は、脚部32及び34が具体的な曲げ部無しに湾曲し得ることを示す。この特徴は
図3においても示されている。
【0015】
一般的に、弾性旋回軸12は釣り竿のように動作する。すなわち、曲がることは出来るがいったん圧力が解除されれば跳ね返って元の形状に戻る。しかしながら、屈曲性ウィーブ30が二つの脚部又は部品によって形成されることによってもたらされる利点の一つは、単一の脚部は曲げられて変形可能であるが、それと釣り合うような「弾性的に戻る(スプリングバックする)」脚がないということである。二つの弾性的なリブ又は脚部を提供することによって、接続点において対抗するリブが反力をもたらすのである。
【0016】
使用中に、シートパン22が前方に動くにつれ、背もたれ14が後方に倒れる(リクラインする)ことが許容される。この動作中には、一つにはシートパン22と背もたれ14の下部18との間が側梁支持部26によって固定されているという理由により、背もたれは弾性旋回軸12を中心に旋回する。背もたれの上部16(旋回軸の上に位置する部分)が後方に動くにつれ、座席10のリクライン中に下部18は前方に動く。一般的に、背もたれが各座席10の後ろの乗客の空間に侵入することを制限するために、旋回軸はできる限り高い位置で動き得る(図面は背もたれにおける回動軸の一つの位置を示しているが、弾性旋回軸は所望に応じて背もたれに沿ったいかなる位置に配置されてもよいことが理解されるべきである)。弾性旋回軸12が背もたれ14に沿ったどの位置に配置されるかによって、背もたれの上部が動く角度の量を変えることが出来る。一般的に、旅客機の座席は、誘導滑走、離陸及び着陸位置における完全に直立した状態では、垂直位置から15度角度が付いた座席となっている。リクライン時には、旅客機の座席は典型的に垂直位置から30度の角度でリクラインする(これらの角度範囲は旅客機の客室用の座席のものである。国際飛行便のために設計され、睡眠位置にリクラインするプレミアムシートは、明らかにこれらの範囲外にあるとともより大きい角度でリクラインする)。
【0017】
背もたれ14はシートパン22と(直接的に又は間接的に)連結しているために、シートパン22が前方に動き、次いで所定位置にロックされるとき、背もたれ14がリクラインすることが許容される。乗客が背もたれを倒してリクラインさせるときに底部シートパン22も前方に動くように、背もたれの下部18もまた底部シートパン22と連結することが可能であろう。背もたれ14と底部シートパン22の動きを制御するために、及び底部シートパン22と背もたれ14が共に連結されている場合は、シートパン22に取り付けられている装置60が位置をロックするために用いられ、それにより背もたれ14のリクラインもまた制御される。
【0018】
例えば、
図5は座席フレーム24のバー62及び64に固定されている部材60を示す。シートパン22がいったん所望位置に配置されると、座席に座っている人は部材60を定位置にロックして背もたれ14のリクライン動作の制御を補助することが出来る。
【0019】
上述されそして図示された構造及び方法に対する変更、改変、追加及び削除は、本発明の範囲または精神及び以下の請求の範囲から逸脱しない範囲でなされ得る。