【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、乾熱収縮率はJIS L1013にしたがって、また係合強力はJIS L3416に従って面ファスナー幅80mmで測定した。
【0071】
実施例1
面ファスナーの基布を構成する地経糸、地緯糸、フック状係合素子用モノフィラメント糸およびループ状係合素子用マルチフィラメント糸として次の糸を用意した。
【0072】
[地経糸]
・融点260℃のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:167dtexで30本
[地緯糸(芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント系熱融着糸)]
・芯成分:ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)
・鞘成分:イソフタル酸25モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
(軟化点:190℃)
・芯鞘比率(重量比):70:30
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:116dtexで24本
・200℃での乾熱収縮率:13%
[フック状係合素子用モノフィラメント糸]
・ポリブチレンテレフタレート繊維(融点:220℃)
・繊度:410dtex(直径:0.20mm)
[ループ状係合素子用マルチフィラメント糸]
・ポリブチレンテレフタレート繊維(融点:220℃)
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:265dtexで7本
【0073】
上記4種の糸を用いて、以下の条件で、フック状係合素子が存在する領域(A)、そして(A)領域に隣接する、裏面にループ状係合素子が存在する領域(B)を交互に有する両面係合タイプの布製面ファスナーを製造した。
【0074】
[フック状係合素子が存在する領域(A)]
上記地経糸、地緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメントを用いて、織組織として平織を用い、織密度(熱収縮処理後)が地経糸55本/cm、地緯糸20本/cmとなるように織った。そして、地経糸4本に1本の割合でフック状係合素子用モノフィラメントを地経糸に平行に打ち込み、地緯糸3本を浮沈したのちに地経糸3本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にループを形成した。
【0075】
[ループ状係合素子が存在する領域(B)]
上記地経糸、地緯糸およびフック状係合素子用モノフィラメントを用いて、織組織として平織を用い、織密度(熱収縮処理後)が地経糸55本/cm、地緯糸20本/cmとなるように織った。そして、地経糸4本に1本の割合でループ状係合素子用マルチフィラメントを地経糸に平行に打ち込み、地緯糸1本を浮沈したのちに地経糸1本を跨ぐようにし、跨いだ箇所でループを形成するように基布上にループを形成した。なお、フック状係合素子用糸とループ状係合素子用糸は交わることなく、また接することもない。
【0076】
なお、上記(A)と(B)の領域は別々に織るのではなく、同時に織り上げて両面係合タイプの布製面ファスナーを製造した。具体的には、地緯糸を(A)と(B)に共通に打ち込み織り上げて(A)と(B)の領域が交互に存在する面ファスナーを形成した。すなわち、
図1のように、面ファスナーテープの断面から見て、フック状係合素子列領域(A:地経糸4本+フック状係合素子用糸1本)の隣にループ状係合素子列領域(B地経糸4本+ループ状係合素子用糸1本)が存在し、その隣には、またフック状係合素子列領域(A:地経糸4本+フック状係合素子用糸1本)が存在し、さらにその隣にはループ状係合素子列領域(B:地経糸4本+ループ状係合素子用糸1本)が来るように、上記(A)領域と上記(B)領域が交互に存在するように織られている。そして、フック状係合素子が存在する面の反対側の面にループ状係合素子が存在している。なお、フック状係合素子用糸とループ状係合素子用糸は交わることも接することもない。
【0077】
上記条件にて織成された両面係合タイプの布製面ファスナー用テープ用の布を、地緯糸の鞘成分のみが熱溶融し、なおかつ、地経糸、フック係合素子用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸、さらには地緯糸の芯成分が熱溶融しない温度域、すなわち200℃で熱処理を施した。地緯糸は大きく収縮するとともに鞘成分が溶融して近隣に存在する糸を融着させた。その結果、基布は地緯糸方向に9%収縮した。そして、得られた織物を冷却させたのち、フック状係合素子用ループの片脚部を切断してフック状係合素子を形成した。
【0078】
得られた両面係合タイプの布製面ファスナーのフック状係合素子密度は30個/cm
2であり、さらにフック状係合素子の基布面からの高さは1.7mmであり、ループ状係合素子密度は60個/cm
2であり、さらにループ状係合素子の基布面からの高さは1.8mmであった。
【0079】
このようにして得られた両面係合タイプの布製面ファスナーを、ポリエチレンテレフタレート繊維が染色可能な高圧条件で紺色に染色したところ、染色斑がなく、高級感ある濃紺色に染色できた。
【0080】
染色された両面係合タイプの布製面ファスナーは、従来の係合素子引き抜き防止用樹脂(バックコート用樹脂)を裏面に塗布した一般的な面ファスナーと比べて基布が極めて柔軟であり、この両面係合タイプの布製面ファスナーを水中に10分間浸漬したのち、水中から取り出したが、形態および係合力に何ら変化がなく、基布は平坦な状態を有しており、さらにフック状係合素子とループ状係合素子が一定方向に揃っており、かつ係合素子の表面には異物が付着しておらず、外観品位において極めて優れていた。
【0081】
次に、得られた面ファスナーの係合強力を求めた。その結果を表1に示す。なお、係合強力は、80mm幅の面ファスナーのせん断方向と剥離方向の両方向で測定した。さらに、この面ファスナー同士を係合・剥離を2000回繰り返し、その後のループ状係合素子の基布からの抜け並びにループ繊維の切れを観察した。その結果を表1に記載する。
【0082】
表1から明らかなように、本実施例のフック・ループ一体型面ファスナーは、係合強力が高く、係合・剥離を2000回繰り返した後の面ファスナーを観察したところ、係合素子の抜けはわずかであり、ループ繊維の切れはほぼ見られず、外観や係合強力を損なうようなものではなかった。
【0083】
実施例2〜4
上記実施例1において、ループ状係合素子列領域を構成するループ状係合素子のループの形成を減らしてループ状係合素子密度を40個/cm
2に変更する以外は実施例1と同様にして面ファスナーを作製した(実施例2)。
【0084】
また、上記実施例1において、フック状係合素子列領域を構成するフック状係合素子用糸の本数を変更し、フック状係合素子密度を60個/cm
2に変更する以外は実施例1と同様にして面ファスナーを作製した(実施例3)。
【0085】
また、上記実施例1において、ループ状係合素子列領域を構成するループ状係合素子用糸の本数を増やし、そしてループ状係合素子のループの数を増やしてループ状係合素子密度を100個/cm
2に変更する以外は実施例1と同様にして面ファスナーを作製した(実施例4)。
【0086】
そして実施例1と同様に、得られた染色後の面ファスナーの外観品位、係合強力、および係合・剥離を2000回繰り返した後のループ状係合素子の引き抜き並びにループ繊維の切れを観察した。その結果を表1に示す。
【0087】
表1に記載されているように、実施例2〜4のものは、いずれも係合強力は実施例1のものと比べると劣るものの、係合素子の引き抜きに関しては実施例1のものよりも若干優れていた。また、いずれの面ファスナーにおいてもループ繊維の切れはほぼ見られなかった。外観品位に関しては、いずれのものも極めて優れ、染色斑も全く観察されない優れたものであった。
【0088】
特に実施例2においては、ループ状係合素子密度が実施例1より少ないため、1個のフック状係合素子がループ状係合素子に係合する機会が減少し、結果としてループ状係合素子に引っ掛かっているフック状係合素子の全体数が減少して係合強力が低くなったと推測される。
【0089】
また実施例3においては、フック状係合素子密度が増えたため、ループ状係合素子に引っ掛かるフック状係合素子の全体数は増えると思われたが、係合面を観察すると、フック状係合素子の頂上部とループ状係合素子の頂上部が接触しているだけで、フック状係合素子とループ状係合素子はお互いの素子の間に入り込んでいない部分が多くみられた。これは、フック状係合素子およびループ状係合素子の素子密度が高すぎることが原因と推測される。
【0090】
また、実施例4においては、ループ状係合素子密度が増えたため、フック状係合素子に引っかかるループ状係合素子の数が増えるように思われたが、係合面を観察すると、実施例3の場合と同様に、フック状係合素子の頂上部とループ状係合素子の頂上部が接触しているだけで、フック状係合素子とループ状係合素子はお互いの素子の間に入り込んでいない部分が多くみられた。これは、ループ状係合素子の素子密度が高すぎるためループ状係合素子が十分に広がらず、係合するフック状係合素子の数が減少したことが原因と推測される。
【0091】
すなわち、上記実施例2〜4では、ほとんど係合素子の隙間がないため、フック状係合素子およびループ状係合素子が長手方向の係合素子の隙間には入り込みにくく、その結果、係合している素子の全体数が少なくなり係合強力が低くなったと推測される。
【0092】
また係合・剥離を2000回繰り返した後の係合素子の引き抜かれに関しては、実施例1の面ファスナーが、実施例2〜4に比べわずかにループ状係合素子用糸の繊維が抜けているのが確認されたが、これは、初期の係合強力から推察するに、実施例1の面ファスナーはフック状係合素子が引っ掛かるループ状係合素子の数が多い分、引き抜かれるループ状係合素子の数も多くなったと推測される。
【0093】
実施例5
上記実施例1において、フック状係合素子をポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメント(融点:260℃、繊度:298dtex、直径0.17mm)に置き換え、ループ状係合素子をポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント(融点:260℃、繊度:265dtex、フィラメント本数7本)に置き換える以外は実施例1と同様にして面ファスナーを作製した。
【0094】
そして実施例1と同様に、得られた面ファスナーの係合強力と、係合・剥離を2000回繰り返した後のループ状係合素子の引き抜かれ並びにループ繊維の切れの有無を観察し、さらに外観品位に関しても観察を行った。その結果を表1に示す。
【0095】
なお、実施例5のフック状係合素子用糸は、ポリエチレンテレフタレートのモノフィラメント糸であるため、剛直なるポリエチレンテレフタレート製繊維の特徴を考慮し、あえて実施例1のものより繊度を細くした。
【0096】
表1の結果から明らかなように、初期係合強力は実施例1のものより低くなったが、実施例2〜4のものと遜色のない結果が得られた。さらに2000回剥離後の係合素子の引き抜きの程度は実施例1のものとほぼ同等であった。また、ループ繊維の切れはほぼ見られなかった。
【0097】
実施例1のものと比べて係合・剥離強力が低くなっているが、これはループ状係合素子を構成するマルチフィラメント糸が個々のフィラメントにばらけることなく、集束状態を保っていることが観察され、それが係合力を低い値としているものと推測される。また、外観品位に関しては、上記実施例1〜3のものと変わりなく優れており、高級感を有するものであり、湿潤下においてもこの評価は変わらなかった。
【0098】
【表1】
【0099】
なお、表中、PETはポリエチレンテレフタレート、PBTはポリブチレンテレフタレートの略である。
【0100】
比較例1
上記実施例1において、地緯糸として熱融着性繊維に代えて24本のフィラメントからなる120デシテックスのポリエチレンテレフタレートからなる熱融着性でない通常のマルチフィラメント糸を用い、そしてフック状係合素子面側にポリウレタンエマルジョン液を固形分で45g/m
2スプレー塗布する以外は実施例1と同一の方法により両面係合タイプの布製面ファスナーを製造した。得られた面ファスナーの性能を表1に併記する。
【0101】
この比較例のものは、面ファスナーの性能においては大きな問題はなかったが、フック状係合素子の表面に付着したポリウレタン系の接着剤が一部剥離し、表面に埃が付着したように白粉が存在し、さらに係合・剥離を繰り返すことにより、より一層白粉が発生し、安っぽい印象を与えるものであり、さらに面ファスナーそのものが上記実施例1〜4のものと比べて硬く、柔軟性の点で劣るものであった。さらに染色物に関しても、基布のフック状係合素子側の面とフック状係合素子の表面にはポリウレタン層が存在しており、この層およびこの層により被覆された係合素子および基布が十分に染色されておらず、表裏で濃色差を有するものであり、高級感を有する印象を与えるものではなかった。
【0102】
比較例2
実施例1において、地経糸のうち係合素子用糸の隣に存在する糸を実施例1に使用した熱融着性繊維に置き換え、そして地緯糸を比較例1で用いたポリエチレンテレフタレート製のマルチフィラメント糸に置き換える以外は同一の方法により両面係合タイプの布製面ファスナーを製造した。
【0103】
得られた面ファスナーは、製造の際に、地経糸が熱融着して収縮を生じ、工程管理が極めて困難であり、得られた面ファスナーも、所々で波打ちを生じており、外観品位に劣るものであった。さらに2000回の係合剥離によりループ状係合素子が基布面から引き抜かれ、係合力が大幅に低下し、面ファスナーとして消費者に満足してもらえるようなものではなかった。さらに、経糸方向に経スジが目立ち、到底満足できるものではなかった。結果を上記表1に併記した。
【0104】
比較例3
基布を構成する地経糸および地緯糸、そしてフック状係合素子糸用モノフィラメント糸、ループ状係合素子用マルチフィラメント糸として次の糸を用意した。
【0105】
[地経糸]
・融点225℃のナイロン6からなるマルチフィラメント糸
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:155dtexで12本
[地緯糸]
・地経糸と同じ
[フック状係合素子用モノフィラメント糸]
・ナイロン66からなるモノフィラメント糸(融点:235℃)
・dtex(直径:0.20mm)
[ループ状係合素子用マルチフィラメント糸]
・ナイロン6からなるマルチフィラメント糸(融点:225℃)
・トータルデシテックスおよびフィラメント本数:235デシテックスで10本
【0106】
上記4種の糸を使用し、上記実施例1と同様な織条件で織成し、そしてナイロンが熱劣化しない195℃の蒸気を用いて熱処理を施し、ループ形状を固定した。さらに、係合素子の基布への固定には、ポリウレタン系のエマルジョン液をエアレススプレー方式によってフック状係合素子面に塗布し、乾燥した。そしてさらに、フック状係合素子用ループの片脚部を切断して、フック状係合素子を形成した。得られた面ファスナーを、ポリアミド系織物を染色する条件下で濃紺色に染色した。
【0107】
得られた面ファスナーの係合素子密度および係合素子高さ等は実施例1のものとほとんど変わらないものであった。そして実施例1と同様に、得られた面ファスナーのフック面の外観品位と、係合強力と、係合・剥離を2000回繰り返した後の外観品位を確認した。
【0108】
その結果、外観品位では、フック状係合素子面に塗布した素子固定用の接着剤が、フック状係合素子糸から剥がれて白く粉状に見えた。そして係合・剥離を繰り返すと接着剤の剥がれは促進され、白粉はさらに多く見られた。またスプレー方式での塗布では噴出にムラがあると思われ、フック状係合素子面には幅方向に塗布量のムラと思われる接着剤のテカリが見られ、テープ外観品位は美しいとは到底いえないものであった。
【0109】
比較例4
上記比較例3において、フック状係合素子をポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメント(融点:260℃、繊度:298dtex、直径0.17mm)に置き換え、ループ状係合素子をポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント(融点:260℃、繊度:265dtex、フィラメント本数7本)に置き換える以外は比較例1と同様にして面ファスナーを作製した。
【0110】
そして実施例1と同様に、得られた面ファスナーの外観品位と、係合強力と、係合・剥離を2000回繰り返した後の外観品位を確認した。その結果、比較例3のものと同様に、素子固定用の接着剤が剥離することにより生じる白粉が見られ、係合・剥離を繰り返すと、比較例3のものと同様により一層の白粉が生じた。さらに同様に塗布ムラによるテカリも見られ、到底外観・品位に優れたものとは言えなかった。
【0111】
実施例6
上記実施例4において、基布面に存在するフック状係合素子の1/3を均等に選び出し、それらを根元から切断して取り除き、フック状係合素子の密度を20個/cm
2に減らした以外は実施例4と同一の方法により面ファスナーを作製した。
【0112】
実施例7
上記実施例1において、ループ状係合素子を構成するマルチフィラメント糸を、従来の一般的なループ面ファスナーのループ状係合素子用として用いられているフィラメント数が15本のマルチフィラメント糸、すなわち融点220℃のポリブチレンテレフタレートからなる265dtex/15フィラメントのマルチフィラメント糸に置き換える以外は実施例1と同一な方法により面ファスナーを作製した。
【0113】
実施例8
上記実施例1において、フック状係合素子を形成していた箇所、すなわち地経糸3本を跨いでいた箇所を地経糸1本を跨ぐように代えて、その箇所にフック状係合素子用のループを形成させ、かつループ状係合素子を形成していた箇所、すなわち地経糸1本を跨いでいた箇所を地経糸を1本も跨がないように代え、その箇所にループ状係合素子用のループを形成する以外は、いずれも実施例1と同一の方法で面ファスナーを作製した。
【0114】
上記実施例6〜8で得られた各面ファスナーを、実施例1〜5と同様に、染色後の面ファスナーの外観品位、係合強力、および係合・剥離を2千回繰り返した後のループ状係合素子の引き抜き並びに係合素子のループ繊維切れ状態をそれぞれ観察した。その結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
表2から明らかなように、実施例6〜8のものは、いずれも係合強力は実施例1のものと比べると劣るものの、外観品位に関しては、いずれも実施例1のものと同様に極めて優れており、染色斑も全く観察されず、優れたものであった。
【0117】
特に実施例6のものに関しては、ループ状係合素子の個数がフック状係合素子の個数に比べて多過ぎるものであるが、係合状態を観察すると、フック状係合素子の頂上部とループ状係合素子の頂上部は十分に接触しているものの、係合素子の間まで入るものが多くなく、実施例1のものと比べて係合強力の点で若干劣ることとなった。ループ状係合素子の耐引き抜き並びに耐繊維切れに関しては実施例1のものと同等であった。
【0118】
また、実施例7のものに関しては、ループ状係合素子を構成するマルチフィラメント糸として、従来の一般的なループ面ファスナーに用いられているものと同程度のフィラメント本数の多いものが用いられた場合であり、フィラメント数が多いため、地緯糸に使用した熱融着性樹脂がループ状係合素子用マルチフィラメント内に十分に浸透できず、係合剥離2千回後のループ状係合素子の抜けがわずかに見られた。そしてさらには、ループ状係合素子用マルチフィラメントの1本の繊維が細くなることで、繊維1本の強力が弱くなり、ループ状係合素子用マルチフィラメントの繊維がわずかに切れていることが観察された。
【0119】
また、実施例8のものに関しては、フック状係合素子とループ状係合素子の向きが係合し易い方向を向き合っているとは言えず、その結果、係合できた係合素子の数が実施例1のものと比べて少なく、高い係合強力が得られなかったものと予想される。ループ状係合素子の耐引き抜き並びに耐繊維切れに関しては実施例1のものと同等であった。
【0120】
この出願は、2012年9月28日に出願された日本国特許出願特願2012−216238を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0121】
本発明を表現するために、前述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。