特許第6265918号(P6265918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6265918
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】金型清掃用樹脂組成物及び金型清掃方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20180115BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20180115BHJP
   C11D 3/14 20060101ALI20180115BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20180115BHJP
   C11D 7/06 20060101ALI20180115BHJP
   C11D 7/10 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B29C33/72
   C11D3/37
   C11D3/14
   C11D3/04
   C11D7/06
   C11D7/10
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-559655(P2014-559655)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(86)【国際出願番号】JP2014051543
(87)【国際公開番号】WO2014119485
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-17672(P2013-17672)
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】福西 陽一
(72)【発明者】
【氏名】野村 弘明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 勝則
【審査官】 一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/173043(WO,A1)
【文献】 特開2011−021156(JP,A)
【文献】 特開2011−020416(JP,A)
【文献】 特開平04−234444(JP,A)
【文献】 特開平05−245849(JP,A)
【文献】 特開2002−160225(JP,A)
【文献】 特開平10−226799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ゴムと、
アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、
シリカと、
加硫剤と、
を含有し、水分の含有率が、0.20質量%以上3.50質量%以下である金型清掃用樹脂組成物。
【請求項2】
前記合成ゴムは、エチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムを含む請求項1に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項3】
前記シリカの含有量が、前記合成ゴムの含有量100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項4】
前記水分の含有量に対する、前記アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物の含有量の質量比が、0.1以上5.0以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項5】
前記水分の含有量に対する、前記シリカの含有量の質量比が、3以上30以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項6】
前記シリカは、相対湿度60%、温度23℃における平衡水分含有率が5質量%以上9質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項7】
前記アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物の含有量が、前記合成ゴムの含有量100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項8】
前記加硫剤の含有量が、前記合成ゴムの含有量100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する工程と、
前記金型清掃用樹脂組成物が付与された成形金型を加熱する工程と、
を含む金型清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型清掃用樹脂組成物及び金型清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂と金型とを用いて、集積回路素子等の封止成形物を成形する場合、長時間成形を繰り返すと成形金型の内部表面が汚れてくる。そのまま連続して成形を続けると、封止成形物の表面が汚れたり、封止成形物が金型に付着したりして成形作業に支障をきたす場合が多々あった。そのため、金型は定期的に清掃する必要がある。金型の清掃方法の一つとして、金型清掃用組成物を使用する方法が提案されている。
【0003】
金型清掃用組成物としては、合成ゴム及び合成樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種と、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、水と、を含有してなる金型洗浄剤組成物(例えば、特開2011−21156号公報参照)、並びに合成ゴム及び合成樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種と、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、有機溶剤と、を含有してなる金型洗浄剤組成物(例えば、特開2011−20416号公報参照)が提案され、洗浄性能が改善されるとされている。
また、金型汚染改良ゴム組成物が、ゴムとリン酸アルカリ金属塩とを含むことで、シリカ添加による金型の洗浄作業性の低下や加硫剤による金型の汚染を防ぐことができるとされている(例えば、特開平04−234444号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアルカリ金属塩等を含む金型清掃用樹脂組成物では、保存安定性が充分ではなく、製造してから長期間(例えば6ヶ月)経過すると、充分な清掃性能を発揮できない場合があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、清掃性能と保存安定性とに優れる金型清掃用樹脂組成物及びそれを用いる金型清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、シリカと、加硫剤と、を含有し、水分の含有率が、0.20質量%以上3.5質量%以下である金型清掃用樹脂組成物である。
【0007】
<2> 前記合成ゴムは、エチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムを含む前記<1>に記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0008】
<3> 前記シリカの含有量が、前記合成ゴムの含有量100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下である前記<1>又は<2>に記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0009】
<4> 前記水分の含有量に対する、前記アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物の含有量の質量比が、0.1以上5.0以下である前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0010】
<5> 前記水分の含有量に対する、前記シリカの含有量の質量比が、3以上30以下である前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0011】
<6> 前記シリカは、相対湿度60%、温度23℃における平衡水分含有率が5質量%以上9質量%以下である前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0012】
<7> 前記アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物の含有量が、前記合成ゴムの含有量100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0013】
<8> 前記加硫剤の含有量が、前記合成ゴムの含有量100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下である前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
【0014】
<9> 前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する工程と、前記金型清掃用樹脂組成物が付与された成形金型を加熱する工程と、を含む金型清掃方法である。
【0015】
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「成形金型の内部表面」とは、成形金型により成形される被成形物と接する領域を意味する。なお、本明細書中では、「成形金型」を、単に「金型」と称する場合がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、清掃性能と保存安定性とに優れる金型清掃用樹脂組成物及びそれを用いる金型清掃方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の金型清掃用樹脂組成物及び金型清掃方法について詳細に説明する。
<金型清掃用樹脂組成物>
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「特定洗浄剤」ともいう)と、シリカと、加硫剤と、を含有し、水分の含有率が金型清掃用樹脂組成物の総質量中に0.20質量%以上3.50質量%以下である。
【0018】
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、シリカと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である特定洗浄剤と、を含有し、水分の含有率が特定の範囲であることで、特定洗浄剤が有効に作用して優れた清掃性能を発揮することができる。また、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、金型清掃用樹脂組成物を製造してから長期間(例えば6か月)経過した後であっても、優れた清掃性能を発揮することができる。これは、例えば以下のように考えることができる。
【0019】
従来のアルカリ金属塩等を含む金型清掃用樹脂組成物は、金型清掃用樹脂組成物の保存中に、金型清掃用樹脂組成物が含む水分量が低下し、初期の設定物性(ムーニー粘度、引張強度、伸び、加硫特性等)が変化すると考えられる。保存中に水分量が低下した金型清掃用樹脂組成物は、金型清掃時に適切に伸びない為、金型への充填不良、及び金型清掃不良が起きると考えられる。本発明の発明者らは、金型清掃用樹脂組成物に、シリカを含有させて、更に、水分の含有率を0.20質量%以上3.50質量%以下とすることで、経時による水分量の低下を抑えることができることを見出した。これにより、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物を提供することができると考えられる。
【0020】
また、一般にアルカリ金属塩と水分とを含む金型清掃用樹脂組成物は、優れた金型清掃能力を示す。しかしながら、金型清掃用樹脂組成物に含まれる加硫剤は、熱、光、空気中の酸素等の影響により劣化(分解)する傾向があるため、長期間保存後の金型洗浄剤組成物を使用すると、加硫性能が低下する場合があった。加硫性能が低下すると、金型清掃時に金型清掃用樹脂組成物が十分に硬化しないため、金型表面からの汚染物質の除去が充分にできない。本発明の発明者らは、長期保存中の金型清掃用樹脂組成物においては、金型洗浄剤組成物が含む水分により、加硫剤の劣化が促進されると考えている。従来技術のように金型清掃用樹脂組成物に単に水分を加えるのではなく、その代わりにシリカを含有させた上で、水分含有率が0.20質量%〜3.50質量%となるように金型清掃用樹脂組成物を構成することで、加硫剤の劣化を抑制することができ、かつ優れた金型の清掃性能が保持されると考えられる。
【0021】
金型清掃用樹脂組成物における水分は、金型清掃用樹脂組成物の製造時に添加した水であっても、金型清掃用樹脂組成物を構成する材料に含まれる水分であってもよい。金型清掃用樹脂組成物における水分は、清掃性能と保存安定性との観点から、金型清掃用樹脂組成物を構成する材料に含まれる水分であることが好ましい。
【0022】
金型清掃用樹脂組成物における水分含有率は0.20質量%以上3.50質量%以下であり、金型清掃性と保存安定性との観点から、0.50質量%以上3.00質量%以下であることが好ましく、0.80質量%以上2.90質量%以下であることがより好ましく、1.25質量%以上2.80質量%以下であることが更に好ましく、1.40質量%以上1.80質量%以下であることが特に好ましい。
なお、金型清掃用樹脂組成物における水分含有率は、カールフィッシャー法で測定することができる。具体的には、三菱化学株式会社製のカールフィッシャー水分計CA−100及び水分気化装置VA−100を用いて、水分気化−電量滴定法により測定される。なお、気化するための温度は180℃とする。
【0023】
[ゴム成分]
金型清掃用樹脂組成物は、ゴム成分として合成ゴムの少なくとも1種を含む。合成ゴムは特に制限されず、通常用いられる合成ゴムから適宜選択することができる。合成ゴムは、いわゆる未加硫ゴムであり、例えば、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)等のエチレン−α−オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上併せて用いられる。これら未加硫ゴムは、金型内において加硫されて加硫ゴムとなる。
【0024】
前記合成ゴムは、金型清掃に際して、汚染性が少ないという点、及び加硫時の臭気が少ないという点から、エチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、エチレン−プロピレンゴムの少なくとも1種及びブタジエンゴムの少なくとも1種の混合物であることがより好ましい。
【0025】
本明細書において、「エチレン−プロピレンゴム」との語は、通常のエチレン−プロピレンゴム(EPM)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下、「EPDM」と略記することもある。)と、の双方を含む趣旨であり、エチレン−プロピレンゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0026】
前記エチレン−プロピレンゴムとしては、エチレンと少なくともプロピレンを含むα−オレフィンとの共重合割合が、モル比でエチレン/α−オレフィン=55/45〜83/17であることが好ましく、55/45〜61/39であることがより好ましく、55/45〜59/41であることが更に好ましい。
前記α−オレフィンとしては、プロピレンの他に、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
【0027】
前記エチレン−プロピレンゴムにおけるエチレン/プロピレン比は、金型清掃用樹脂組成物について、H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトルをHの共鳴周波数:500MHzで測定することで算出することができる。なお、金型清掃用樹脂組成物からHPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて常法によりエチレン−プロピレンゴムを単離してから、同様にしてH−NMRスペクトルを測定することで、より明確にエチレン/プロピレン比を算出することもできる。
【0028】
前記エチレン−プロピレン−ジエンゴムとは、エチレンと、少なくともプロピレンを含むα−オレフィンと、非共役二重結合を2つ有する環状物又は非環状物であるジエンモノマーと、からなるターポリマーを意味する。具体的には、エチレンと、プロピレン等のα−オレフィンと、ジエンモノマーと、からなるターポリマーが挙げられる。
【0029】
前記ジエンモノマーとしては、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、1,17−オクタデカジエン、1,19−イコサジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,7−シクロドデカジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン、メチレンノルボルネン、2−メチルペンタジエン−1,4、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、メチル−テトラヒドロインデン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0030】
前記エチレン−プロピレン−ジエンゴムにおけるジエン成分に由来する構成単位の含有率は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの総質量中に6.5質量%〜9.5質量%であることが好ましく、7.0質量%〜9.0質量%であることがより好ましく、7.5質量%〜8.5質量%であることが更に好ましい。また前記エチレン−プロピレン−ジエンゴムのヨウ素価は、12〜22であることが好ましく、14〜18であることがより好ましい。
【0031】
ターポリマーであるエチレン−プロピレン−ジエンゴム中の各モノマーの共重合割合としては、エチレンが30モル%〜80モル%、ジエンモノマーが0.1モル%〜3モル%で、残りがα−オレフィンである場合が好ましく、エチレンが30モル%〜70モル%、ジエンモノマーが0.1モル%〜3モル%で、残りがα−オレフィンである場合がより好ましい。そして、ターポリマーであるエチレン−プロピレン−ジエンゴムとしては、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が5〜70のものを用いるのが好ましい。
【0032】
前記エチレン−プロピレンゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、特に制限されない。クリーニング性能の観点から、エチレン−プロピレンゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、5〜40であることが好ましく、5〜30であることがより好ましい。ムーニー粘度は、JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して測定される。
【0033】
前記エチレン−プロピレンゴムの含有率は、クリーニング性能の観点から、金型清掃用樹脂組成物の総質量中に10質量%〜50質量%であることが好ましく、20質量%〜40質量%であることがより好ましい。金型清掃用樹脂組成物は、エチレン−プロピレンゴムを1種単独で含んでいてもよいし、また2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0034】
金型清掃用樹脂組成物は、ブタジエンゴムの少なくとも1種を含むことが好ましい。前記ブタジエンゴムは、特に制限されず、通常用いられるブタジエンゴムから適宜選択することができる。中でも清掃性能の観点から、ブタジエンゴムとしては、シス1,4結合の含有率が90質量%以上であるハイシス構造を有し、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が20〜60であるブタジエンゴムが好ましく、前記シス1,4結合の含有率が90質量%以上であるハイシス構造を有し、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が30〜45であるブタジエンゴムがより好ましい。前記ブタジエンゴムは、1種単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。
【0035】
金型清掃用樹脂組成物は、前記エチレン−プロピレンゴムと、前記ブタジエンゴムとを含むため、成形金型の内部表面の汚れを取り除く際、金型清掃用樹脂組成物の硬度を適切に保つことが可能であり、成形金型内部の細部まで金型清掃用樹脂組成物が適切に充填できる。また、金型清掃用樹脂組成物の強度を保つことができるため、金型清掃用樹脂組成物がもろくならず、汚れの除去後、金型清掃用樹脂組成物の成形金型からの離型作業を容易に行うことができる。
【0036】
金型清掃用樹脂組成物に含まれる前記エチレン−プロピレンゴム(A)の含有量の前記ブタジエンゴム(B)の含有量に対する質量比(A)/(B)は20/80〜90/10であることが好ましく、30/70〜80/20であることがより好ましい。
エチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムの総量100質量部中に、エチレン−プロピレンゴムが90質量部以下であれば、良好な金型離型性が維持され、クリーニング作業時間が長くなることもない。また、ブタジエンゴムが80質量部以下であれば、金型離型性が良好であり、かつ加硫後の成形物の柔軟性も維持される。そのため、前記エチレン−プロピレンゴムと前記ブタジエンゴムとの配合割合が上記範囲内にあれば、清掃性能の観点より好ましい。
【0037】
金型清掃用樹脂組成物における前記エチレン−プロピレンゴムの含有量の前記ブタジエンゴムの含有量に対する質量比は、金型清掃用樹脂組成物について、H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトルをHの共鳴周波数:500MHzで測定することで算出することができる。
【0038】
前記合成ゴムは、加硫硬化した後の伸び率が40%〜800%のものが好ましく、100%〜300%のものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後の伸び率が40%以上であれば、加硫後の成形性が維持されるため、清掃性能の観点より好ましい。
前記合成ゴムは、加硫硬化した後の引張強度が3MPa〜10MPaであるものが好ましく、5MPa〜8MPaであるものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後の引張強度が3MPa以上であれば、チッピングの発生が低減されるため、清掃性能の観点より好ましい。
前記合成ゴムは、加硫硬化した後のゴム硬度(デュロメータ硬さ)がA60〜95であることが好ましく、A70〜90であることがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後のゴム硬度がこの範囲内にあれば、チッピング及びボイドの発生頻度も低いため、清掃性能の観点より好ましい。
【0039】
金型清掃用樹脂組成物は、ゴム成分として、合成ゴムであるエチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムを含むことが好ましいが、これら以外に、天然ゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム等のその他のゴム成分を含有してもよい。
【0040】
前記合成ゴムの含有量としては、金型清掃用樹脂組成物に含有される全成分中に、質量基準で、20質量%〜90質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましく、40質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
【0041】
[洗浄剤]
金型清掃用樹脂組成物は、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である特定洗浄剤を含む。
特定洗浄剤であるアルカリ金属塩又はアルカリ金属酸化物におけるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属は、清掃性能の観点から、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ナトリウム及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0042】
アルカリ金属塩としては、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、メタリン酸塩、次リン酸塩、亜リン酸(ホスホン酸)塩、次亜リン酸(ホスフィン酸)塩、ピロリン酸塩、トリメタリン酸塩、テトラメタリン酸塩、ピロ亜リン酸、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩等の無機酸塩;アクリル酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、アミノ安息香酸塩、アルギン酸塩、安息香酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ケイ皮酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、トルエンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、乳酸塩、尿酸塩、ハロゲン置換酢酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、マロン酸塩、酪酸塩、リンゴ酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。これらの中でもアルカリ金属塩は、清掃性能の観点から、リン酸塩、炭酸塩、及びケイ酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0043】
アルカリ金属塩は、多価酸の塩の場合、部分的にアルカリ金属の塩となったものであってもよい。アルカリ金属塩は、例えば、3価のリン酸塩の場合、1つのアルカリ金属と2つの水素を有する第一塩、2つのアルカリ金属と1個の水素を有する第二塩、又は3つのアルカリ金属を有する第三塩のいずれであってもよい。また、アルカリ金属塩は、酸性塩、アルカリ性塩、又は中性塩のいずれであってもよい。これらの中でも、金型に対する腐食性抑制の観点から、アルカリ金属塩は、アルカリ性塩又は中性塩が好ましい。アルカリ金属塩としては、水和物を用いてもよい。
【0044】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水和物を用いてもよい。
【0045】
特定洗浄剤としては、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物は、1種単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。
【0046】
金型清掃用樹脂組成物における特定洗浄剤の含有量は、清掃性能と保存安定性との観点から、合成ゴムの含有量100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上3質量部以下であることが更に好ましい。
【0047】
また、水分の含有量に対する特定洗浄剤の含有量の質量比(特定洗浄剤の含有量/水分の含有量)は、清掃性能と保存安定性との観点から、0.1以上5.0以下であることが好ましく、0.3以上3.0以下であることがより好ましく、0.5以上1.5以下であることが更に好ましい。
【0048】
金型清掃用樹脂組成物は、特定洗浄剤に加えて、その他の洗浄剤を含んでいてもよい。その他の洗浄剤としては、金型清掃用樹脂組成物に用いられる洗浄剤から適宜選択することができる。その他の洗浄剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、金属石鹸等を挙げることができる。
【0049】
金型清掃用樹脂組成物が、その他の洗浄剤を含む場合、その他の洗浄剤の含有量は、合成ゴム100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。その他の洗浄剤の含有量の下限値は、特に制限されないが、合成ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。
【0050】
[充填剤]
金型清掃用樹脂組成物は、シリカを含む。シリカは、例えば、充填剤として機能する。シリカとしては特に制限はなく、含水非晶質シリカ、無水非晶質シリカ、結晶性シリカ等を挙げることができ、市販のシリカから適宜選択することができる。また、シリカは、湿式シリカであっても、乾式シリカであってもよい。
シリカの含水量は、清掃性能と保存安定性との観点から、6質量%以上20質量%以下であることが好ましく、7質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。なお、シリカの含水量は、カールフィッシャー水分計を用いて水分気化−電量滴定法で測定することができ、詳細は、金型清掃用樹脂組成物の水分含有率の測定方法と同様である。
【0051】
また、シリカは、清掃性能と保存安定性との観点から、相対湿度60%、23℃における平衡水分含有率が、5質量%以上9質量%以下であることが好ましく、5.5質量%以上8.5質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上8質量%以下であることが更に好ましい。
【0052】
シリカの嵩密度は、金型清掃用樹脂組成物の製造作業性の観点から、30g/l以上300g/l以下であることが好ましく、100g/l以上300g/l以下であることがより好ましい。なお、シリカの嵩密度は、JIS K5105−18に準拠して測定される。
【0053】
市販のシリカの具体例としては、例えば、ニップシールAQ、ニップシールLP、ニップシールNA、ニップシールVN3(以上、東ソー・シリカ株式会社製)等が挙げられる。
【0054】
金型清掃用樹脂組成物におけるシリカの含有量は、清掃性能と保存安定性との観点から、合成ゴムの含有量100質量部に対して10質量部以上60質量部以下であることが好ましく、15質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上45質量部以下であることが更に好ましい。
【0055】
また、水分の含有量に対するシリカの含有量の質量比(シリカの含有量/水分の含有量)は、清掃性能と保存安定性の観点から、3.0以上30以下であることが好ましく、4.0以上20以下であることがより好ましく、5.0以上15以下であることが更に好ましい。
【0056】
金型清掃用樹脂組成物は、シリカに加えて、シリカ以外の充填剤を含有してもよい。金型清掃用樹脂組成物は、シリカに加えて、シリカ以外の充填剤を含有することにより、金型清掃時の加圧時に、金型清掃用樹脂組成物に対してより充分に圧力がかかる。金型清掃用樹脂組成物に対してより充分に圧力がかかると、金型の隅々まで金型清掃用樹脂組成物が行き渡り、また、金型を摩耗することなく成形金型の内部表面の汚れをより効率的に除去できる。このような観点からは、金型清掃用樹脂組成物は、シリカに加えて、シリカ以外の充填剤を含有することが好ましい。
前記シリカ以外の充填剤としては、有機充填剤及び無機充填剤のいずれであってもよく、金型を摩耗することなく成形金型の内部表面の汚れをより効率的に除去できる観点からは、無機充填剤がより好ましい。
【0057】
前記無機充填剤としては、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。
前記充填剤としては、金型を摩耗することなく成形金型の内部表面の汚れを除去できる適切な硬度を有し、金型清掃時の加圧時に充分に圧力がかかる観点から、酸化チタン及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
金型清掃用樹脂組成物が、シリカ以外の充填剤を含む場合、前記シリカ以外の充填剤は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0058】
金型清掃用樹脂組成物が、シリカ以外の充填剤を含む場合、その含有量は、合成ゴムの含有量100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、3質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
【0059】
[加硫剤]
金型清掃用樹脂組成物は、加硫剤の少なくとも1種を含む。加硫剤としては、合成ゴムを架橋可能なものであればよく、硫黄分子を化合物中に含んでいなくともよい。
なお、本発明において加硫とは、硫黄を添加して合成ゴムを架橋すること及び過酸化物を用いて合成ゴムを架橋することの両方を包含する概念である。
【0060】
前記加硫剤としては、硫黄、一塩化硫黄、セレン、テルル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛、含硫黄有機化合物、ジチオカルバミン酸塩、オキシム類、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ジニトロソ化合物、変性フェノール樹脂、ポリアミン、過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、前記加硫剤としては、過酸化物が好ましい。また、過酸化物としては、有機過酸化物でも無機過酸化物でもよく、有機過酸化物がより好ましい。金型清掃用樹脂組成物が加硫剤として有機過酸化物を含有すれば、硫黄を含む加硫剤を用いた際に起こりやすい清掃時の金型の腐食作用がなく、短時間で離型に必要な未加硫ゴムの架橋を進めることができ、さらに架橋が適切に進行するため、清掃後の清掃用樹脂組成物を容易に金型から除去することができる。
【0061】
前記有機過酸化物としては、2価の過酸化物構造(−O−O−)を少なくとも1つと、炭化水素基を少なくとも1つとを有していればよい。
前記過酸化物としては、1分間半減期温度が、100℃〜190℃であるものが好ましい。過酸化物の1分間半減期温度が190℃より高いと、金型清掃時に成形時間が過剰となる。また、過酸化物の1分間半減期温度が190℃より高いと、金型清掃時に金型温度を上げられない場合、金型清掃用樹脂組成物が十分に加硫せず脆くなることで清掃の作業性が低下する傾向がある。過酸化物の1分間半減期温度が100℃未満であると、金型清掃用樹脂組成物の製造時、及び混練加工時に加硫が進行するため、金型清掃時に金型の形状に十分に追随できなくなる傾向がある。
また、前記過酸化物の1分間半減期温度は、140℃〜190℃であることがより好ましく、145℃〜180℃であることが更に好ましい。
【0062】
過酸化物の1分間半減期温度とは、1分間で過酸化物の濃度が初期値の半分に減少する温度のことである。
具体的に、1分間半減期温度は、以下のようにして求めることができる。まず、前記過酸化物をある一定温度(T)で熱分解させた際、前記過酸化物の初期濃度をa、前記過酸化物の分解量をxとし、時間(t)とlna/(a−x)の関係をプロットすることで、得られた直線の傾き定数kを求める。次に、温度(T)における半減期は、その定義である式 kt1/2=ln2に、先に求めたkを代入することで求めることができる。さらに、同様の手順を繰り返すことで異なる温度毎にその温度での半減期(t1/2)をそれぞれ求め、得られたlnt1/2と1/Tとをプロットする。
このようにして得られた直線を外挿することで、このプロットした図から半減期(t1/2)が1分間である温度、すなわち1分間半減期温度を求めることができる。
【0063】
前記有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t‐ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、2,5−ジメチル-2,5-ビス(2−エチルヘキシルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシパーオキシイソプロピルノモカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、n‐ブチル‐4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、ビス‐t‐ブチルパーオキシド、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びn‐ブチル‐4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0064】
加硫剤は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用して加硫速度等を調整してもよい。
【0065】
金型清掃用樹脂組成物中の前記加硫剤の含有量は、金型清掃用樹脂組成物に含有される合成ゴムを100質量部とした場合、1質量部〜20質量部であることが好ましく、3質量部〜10質量部であることがより好ましく、4質量部〜8質量部であることが更に好ましい。金型清掃用樹脂組成物中の加硫剤の含有量が20質量部以下であると、清掃後の金型清掃用樹脂組成物が脆くなることが防止されるため、成形金型からの金型清掃用樹脂組成物の除去作業を容易にすることができる。金型清掃用樹脂組成物中の加硫剤の含有量が1質量部以上であると、加硫が十分に進み、金型清掃用樹脂組成物が清掃時に金型へ貼りつくことが防止されるため、清掃作業性をより向上させることができる。
【0066】
前記加硫剤の他に、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫助剤を含有することもできる。前記加硫助剤としては、例えば、アクリル酸モノマー、硫黄、酸化亜鉛等が挙げられる。特に、前記加硫剤として過酸化物を用いる場合には、加硫助剤として硫黄及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫促進剤を含有することもできる。
前記加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系等の加硫促進剤を挙げることができる。
前記グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン等が挙げられる。
前記アルデヒド−アミン系加硫促進剤としては、ホルムアルデヒド−パラトルイジン縮合物、アセトアルデヒド−アニリン縮合物等が挙げられる。
前記チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等が挙げられる。
また、前記加硫促進剤の他に、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫促進助剤を含有することもできる。前記加硫促進助剤としては、マグネシア、リサージ、石灰等が挙げられる。
前記加硫助剤、前記加硫促進剤、及び前記加硫促進助剤の種類及び量は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて適宜選択することができる。
【0067】
[他の成分]
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤、滑剤、離型剤、その他添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
【0068】
(有機溶剤)
金型清掃用樹脂組成物は、有機溶剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。有機溶剤としては特に制限はなく、通常用いられる有機溶剤から適宜選択することができる。有機溶剤としては、具体的には、多価アルコール、多価アルコールモノアルキルエーテル等のアルコール溶剤;アミド溶剤;ケトン溶剤;エーテル溶剤などを挙げることができる。有機溶剤としては、アルコール溶剤が好ましく、多価アルコール、多価アルコールモノアルキルエーテル等がより好ましい。
【0069】
有機溶剤は、金型を洗浄する際に液体であることが好ましく、さらに金型が加熱される際に揮散性が低いものがより好ましく、沸点が180℃以上であることが更に好ましい。沸点が180℃以上の溶剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:188℃)、プロピレングリコール(沸点:187℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点:190℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)等が挙げられる。
【0070】
金型清掃用樹脂組成物が、有機溶剤を含む場合、その含有量は、合成ゴムの含有量100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが更に好ましい。有機溶剤の含有量の下限値は特に制限されないが、合成ゴムの含有量100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましい。
また、有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0071】
(滑剤)
金型清掃用樹脂組成物は、滑剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。金型清掃用樹脂組成物が滑剤を含有することにより、製造時の混練において配合剤の分散性が向上する。
滑剤としては、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、アミド系滑剤、炭化水素系滑剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
脂肪酸エステル系滑剤としては、ブチルステアレート、ブチルラウレート、ステアリルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸系滑剤としては、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。
アミド系滑剤としては、エチレンビスステアロアミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。
炭化水素系滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス等が挙げられる。
前記滑剤としては、加工時の混練において配合剤の分散を良好にする観点から、ステアリン酸、ベヘン酸、及びモンタン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
金型清掃用樹脂組成物において、滑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金型清掃用樹脂組成物が、滑剤を含む場合、その含有量は、金型清掃用樹脂組成物に含有される全成分中に、質量基準で、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.3質量%〜15質量%であることがより好ましい。また、滑剤の含有量は、合成ゴムの含有量100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
【0072】
(離型剤)
金型清掃用樹脂組成物は、離型剤の少なくとも1種を含有してもよい。金型清掃用樹脂組成物は、離型剤を含有することにより、成形後の金型離型効果が優れたものとなり、清掃時の作業性が向上する。
離型剤としては、金属石鹸系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤、合成ワックス、脂肪酸アミド系離型剤等が挙げられる。
金属石鹸系離型剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛等が挙げられる。
市販の脂肪酸エステル系離型剤、合成ワックス、及び脂肪酸アミド系離型剤としては、リコワックスOP(クラリアントジャパン株式会社製、モンタン酸部分ケン化エステル)、ロキシオールG−78(エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製、高分子複合エステル)、リコルブH−4(クラリアントジャパン株式会社製、変性炭化水素)、ロキシオールVPN881(エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製、鉱油系合成ワックス)、脂肪酸アマイドS(花王株式会社製、脂肪酸アミド)、カオーワックスEB−P(花王株式会社製、脂肪酸アミド)、アルフローHT−50(日油株式会社製、脂肪酸アミド)等が挙げられる。
離型剤の種類及び量は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて適宜選択することができる。また、離型剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
(その他添加剤)
その他添加剤としては、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、カップリング剤、スコーチ防止剤等の公知の添加剤を挙げることができる。これらは目的等に応じて適宜選択される。
【0074】
[調製方法]
本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法としては、例えば、ジャケット付き加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミキサー等を用いて、各種成分を混練して、混練物として金型清掃用樹脂組成物を得る調製方法が挙げられる。得られた混練物は、加圧ロールに通してシート状等の形状に成形することができる。
金型清掃用樹脂組成物の形状は、使用する金型により、適宜選択することができる。
金型清掃用樹脂組成物をシート状に成形した場合、シートの厚みは特に制限されるものではなく、例えば、3mm〜10mm等の範囲にすることができる。
【0075】
(用途)
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、成形金型の清掃のために用いることができる。成形金型の種類としては、特に限定されるものではない。成形金型としては、例えば、光学部材封止用金型、半導体材料封止用金型、ゴム成形金型等が挙げられる。成形金型としては、具体的には、発光ダイオード(LED)用の封止金型、半導体パッケージ用の封止金型、ゴムパッキン成形金型、熱硬化性樹脂部品成形金型等が挙げられる。金型の成形温度と硬化時間との観点より、成形金型としては、LED用の封止金型、半導体パッケージ封止金型等が好ましい。
【0076】
また、前記成形金型により成形される樹脂(以下、「清掃対象樹脂」と略記することもある。)の種類としては、特に制限されるものではない。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0077】
金型清掃用樹脂組成物を使用した場合の金型清掃方法としては、トランスファタイプと、コンプレッションタイプとに大別される。本発明の金型清掃用樹脂組成物は、トランスファタイプ及びコンプレッションタイプのいずれの金型清掃方法にも適用しうる。本発明の金型清掃用樹脂組成物は、作業性の向上、及び清掃作業の時間短縮の観点より、コンプレッションタイプの金型清掃方法への適用がより好ましい。
【0078】
金型清掃用樹脂組成物は、金型清掃用樹脂組成物を付与した金型を、前記清掃対象樹脂の成形温度に応じた温度に加熱して、使用すればよい。成形温度は、前記清掃対象樹脂の種類に応じて適宜選択される。例えば、清掃対象樹脂がエポキシ樹脂である場合には、約170℃に金型を加熱すればよい。
【0079】
<金型清掃方法>
本発明の金型清掃方法は、既述の本発明の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する工程(以下、「付与工程」ともいう)と、金型清掃用樹脂組成物が付与された金型を加熱する工程(以下、「加熱工程」ともいう)とを有する。本発明の金型清掃方法は、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物によれば、金型清掃用樹脂組成物の製造から長時間(例えば6ヶ月)経過した場合でも、清掃性能が充分に維持されているため、効率的に金型の汚れを除去することができる。
成形金型、及び成形金型により成形される樹脂の種類等の詳細については、既述した通りである。
【0080】
[付与工程]
本発明における付与工程は、金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部表面に付与する工程である。本工程で用いる金型清掃用樹脂組成物の構成、好ましい態様等の詳細については、既述した通りである。
【0081】
金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。付与する方法としては、例えば、シート状に成形した金型清掃用樹脂組成物を圧縮成形する方法(コンプレッション成形する方法)、トランスファー成形する方法等の公知の方法が挙げられる。
金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部表面に付与する際には、成形金型のキャビティ部分の一部又は全部の表面を覆うように付与することができる。成形時には、樹脂が成形金型の内部表面全体に行き渡るため、金型清掃方法においては、成形金型のキャビティ部分の全部の表面を覆うように、金属清掃用樹脂組成物を付与することが好ましい。
【0082】
[加熱工程]
加熱工程は、成形金型内部表面に付与した金型清掃用樹脂組成物を加熱する工程である。
加熱方法及び加熱条件(温度、時間、回数等)は、特に限定されるものではなく、前記清掃対象樹脂の種類、及び本発明の金型清掃用樹脂組成物の組成に応じて、公知の方法及び条件を適宜選択することができる。
【0083】
本発明における加熱工程においては、例えば、簡便性の観点より、前記清掃対象樹脂を金型で成形する際の温度と同等の温度で、かつ清掃対象樹脂を金型で成形する際の方法と同様の方法で、金型清掃用樹脂組成物を加熱することが好ましい。これにより、金型清掃のために金型を加熱又は冷却する必要がなく、金型清掃後速やかに、金型成形を行うことができる。
加熱工程における温度としては、160℃〜190℃であることが好ましく、170℃〜180℃であることがより好ましい。
【0084】
加熱時間としては、金型清掃用樹脂組成物が充分に加硫し、かつ成形金型の内部表面全体に行き渡れば、特に制限はない。加熱時間は、150秒〜500秒であることが好ましく、180秒〜360秒であることがより好ましい。
【0085】
金型清掃方法においては、付与工程及び加熱工程を複数回繰り返してもよい。付与工程及び加熱工程の繰り返し回数(以下、「ショット数」ともいう)としては、2回〜7回が好ましく、2回〜5回がより好ましい。本発明の金型清掃方法においては、金型清掃用樹脂組成物を用いることで、少ない繰り返し回数で金型から汚れを除去することができる。
【0086】
(その他の工程)
本発明の金型清掃方法は、必要に応じてその他の工程を設けてもよい。その他の工程としては、予熱工程、予備加圧工程等が挙げられる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明は、その主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0088】
<実施例1>
・金型清掃用樹脂組成物の作製
実施例1にかかる金型清掃用樹脂組成物を、以下の手順で作製した。
3000mlのジャケット付き加圧型ニーダー中に、エチレン−プロピレンゴム(商品名EPT 4021H、三井化学株式会社製、エチレン:プロピレンの組成比=55:45、ムーニー粘度ML1+4(100℃)24、ジエン含有率8.1%、ヨウ素価22)を40部と、ブタジエンゴム(商品名BR01、JSR株式会社製、ムーニー粘度ML1+4(100℃)45、比重0.9、シス1,4結合含有率95%)を60部と、を添加し、冷却しながら約3分間加圧混練した。
混練生地がパン生地状になり、混練生地の温度が約80℃となった。
次いで、アルカリ金属塩としてリン酸三カリウムを2部と、滑剤としてステアリン酸(商品名F−3、川研ファインケミカル株式会社製)を1部と、離型剤として高分子複合エステル(商品名LOXIOL G78、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)を1部、ステアリン酸亜鉛(商品名Zn−St GF200、日本油脂株式会社製)を1部、及び変性炭化水素(商品名Licolub H4、クラリアントジャパン株式会社製)を0.5部と、充填剤として含水非晶質シリカ(商品名ニップシールAQ、東ソー・シリカ株式会社製、含水量8%、平衡水分含有率7%(相対湿度60%、23℃))を30部と、酸化チタン(商品名CR−80、石原産業株式会社製)を5部と、を加えて約3分間混練した。
最後に、加硫剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25B−40、日油株式会社製、1分間半減期温度179.8℃)6部を加えて引続き約1分間混練した。
この間の混練物温度は100℃を超えないように調節した。
得られた混練物は、速やかに加圧ロールに通し、シート状に加工すると共に25℃以下に冷却し、厚さ7mmのシート状にして、実施例1の金型清掃用樹脂組成物を得た。
【0089】
<清掃性能評価>
市販のビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(商品名EME−G700、住友ベークライト株式会社製)を用い、先端に超硬合金製のチップが付いたプランジャーを備えたQFP28×28(6ポット−12キャビティ)の金型で500ショットの成形を行い、成形金型の内部表面の汚れを形成した。
この内部表面に汚れを有する成形金型を用いて、上記で得られた金型清掃用樹脂組成物について繰り返しコンプレッション成形を行い、成形金型の内部表面の汚れが除去できるまでに要した成形回数(ショット数)により、清掃性能を評価した。なお、成形金型の内部表面の汚れの除去状態は目視により判定した。また、成形金型の内部表面の汚れが除去できるまでに要した金型清掃用樹脂組成物の繰り返し成形回数(クリーニング完了ショット数)が4回以下であるものが合格である。
【0090】
<保存安定性評価>
上記で得られた金型清掃用樹脂組成物を、23℃の環境下で6ヶ月放置した後、上記清掃性能評価で行った試験と同様にして清掃性能を評価した。なお、金型清掃用樹脂組成物は、水分量の低下と光の照射による劣化とを防ぐため、チャック付きのアルミニウム蒸着処理ポリエチレン製袋に密閉し保存した。
また、洗浄時の加硫性を金型清掃用樹脂組成物の金型への貼り付きの程度を観察することで評価した。評価基準は以下の通りである
−評価基準−
A:金型への貼り付きが起こらなかった。
B:金型への貼り付きが起こるが、手で容易に剥がせた。
C:金型への貼り付きが起こり、手で剥がすと樹脂組成物が割れ、一部が金型表面に残った。
【0091】
<実施例2〜8、比較例1〜3>
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の作製において、配合成分を表1に記載したようにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8及び比較例1〜3の金型清掃用樹脂組成物を得た。清掃性能評価及び保存安定性評価の評価結果を表1に示す。なお、表1中、「−」は未配合であることを示す。また各成分の詳細は以下の通りである。
【0092】
エチレン−プロピレンゴム
EPT 4021H:三井化学株式会社製、エチレン/プロピレン比=55.5/44.5、ムーニー粘度ML1+4(100℃)24、ジエン含有率8.1%、ヨウ素価22
ブタジエンゴム
JSR BR01:JSR株式会社製、ムーニー粘度ML1+4(100℃)45、シス1,4結合の含有率95%、
ニトリルゴム
JSR N239SV:JSR株式会社製、ムーニー粘度ML1+4(100℃)30、アクリロニトリル結合の含有率34%
スチレン−ブタジエンゴム
JSR 1502:JSR株式会社製、ムーニー粘度ML1+4(100℃)52、スチレン結合の含有率23.5%
【0093】
充填剤
ニップシールAQ:シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、含水量8%、平衡水分含有率7%(相対湿度60%、23℃)
ニップシールLP:シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、含水量6%、平衡水分含有率7%(相対湿度60%、23℃)
ニップシールNA:シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、含水量6%
レオロシールDM−10:シリカ、株式会社トクヤマ製、含水量0.1%
CR−80:酸化チタン、石原産業株式会社社製
【0094】
滑剤
F−3:ステアリン酸、川研ファインケミカル株式会社製
加硫剤
パーヘキサ25B−40:日油株式会社製、1分間半減期温度179.8℃
パーヘキサV−40:日油株式会社製、1分間半減期温度172.5℃
離型剤
LOXIOL G78:高分子複合エステル、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製
Zn−St GF200:ステアリン酸亜鉛、日油株式会社製
Licolub H4:変性炭化水素、クラリアントジャパン株式会社製
【0095】
【表1】
【0096】
表1の結果より、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、優れた清掃性能を有していることが明らかになった。また、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、優れた保存安定性を有していることが分かる。
【0097】
日本出願2013−017672の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的に、かつ、個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。