(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記狭帯域反射器は、種々異なる反射特性を有する複数の面内領域を含み、前記狭帯域反射器は、少なくとも2つの面内領域が前記固体光源によって発せられた光を同時に受け取ることができる、請求項1に記載の発光装置。
前記狭帯域反射器は、光出力方向において前記波長変換部材からの光路内に、種々異なる反射特性を有する少なくとも2つの狭帯域反射器又は狭帯域反射層を含む、請求項1に記載の発光装置。
前記狭帯域反射器は、前記波長変換部材に対して前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の位置を変化させることによって、前記第1の状態と前記第2の状態との間で機械的に切り替え可能である、請求項3に記載の発光装置。
前記狭帯域反射器又は前記狭帯域反射器の領域の反射特性は、前記狭帯域反射器が前記第1の状態と前記第2の状態との間で電気的に切り替え可能であるように、電界の印加によって調整可能である、請求項1に記載の発光装置。
前記狭帯域反射器によって送られた光のスペクトル組成を検出し、前記第1の状態と前記第2の状態との間で前記狭帯域反射器の前記切り替えを電気的に制御するための制御装置に接続される光センサを更に含む、請求項1に記載の発光装置。
前記発光装置の外で、光のスペクトル組成を検出し、前記第1の状態と前記第2の状態との間での前記狭帯域反射器の前記切り替えを電気的に制御するための制御装置に接続された光センサを更に含む、請求項1に記載の発光装置。
【背景技術】
【0002】
小売又は見本市等の多くの場合、例えば生鮮食品等の品物を魅力的に提示することが望ましい。照明に関しては、これは、通常、品物の色が増強されるべきであることを意味する。
【0003】
従来、超高圧ナトリウムランプ(例えばSDW−Tランプ)又は特殊な蛍光灯等の小型高輝度放電ランプが、この目的の為に使用される。より広い連続スペクトルを示す光源の場合、必要とされるスペクトルを得る為に、追加フィルタが使用されることが多いが、低システム効果の原因となる。これらの従来の光源の更なる欠点は、比較的低い効果及び短い寿命である。
【0004】
上記の欠点を克服する為に、発光ダイオード(LED:light emitting diode)をベースとした解決策を原則として使用することができる。種々異なるスペクトル出力を有する発光ダイオード(LED)を所望の割合で組み合わせることによって(例えば、青色、緑色、琥珀色、及び赤色)、特定の色の飽和度を生み出す全スペクトル出力を得ることができる。しかしながら、所望の発光極大を有するLEDを製造することは難しい。現在のLEDをベースとした解決策の他の欠点は、種々異なる色のLEDの使用による複雑なビニング(選別)問題に起因するシステムの低効率及び複雑性である。更に、カラーポイントの安定性を維持する為には、特に赤色LEDが電流及び温度と共に出力スペクトルの激しい変化を示すので、複雑な制御システムが必要とされる。その結果、ランプのコストが高額である。
【0005】
一般的なライティング用途では、種々異なる色のLEDを有するシステムの幾つかの欠点は、青色LEDのみを使用し、白色光出力を得る為の波長変換材料(蛍光体とも呼ばれる)による青色光の一部の変換によって、克服することができる。しかしながら、特殊照明用途に関する多くの青色光変換蛍光体の欠点は、それらが一般的に広い発光スペクトルを示し、従って、色の高飽和度を達成することができないことである。
【0006】
更に、上記の公知のシステムは、1色又は最大で数色の増強に適し得る所定の光スペクトルを提供する。小売環境では、あらゆる対象物の最適照明は、通常、多くの種々異なるスペクトル組成を必要とする。例えば、果物及び野菜の照明の場合、緑色が増強された(緑がかった)白色光が望ましく、チーズ及び肉の場合、黄色が増強された及び赤色が増強された白色光がそれぞれ望ましい。更に、魚の照明の場合、寒白色光が好まれるのに対して、パンの場合は、暖白色光が最も視覚的に魅力的な印象を与える。現在、この様な種々異なる色の品物の最適照明に使用することのできる単一システムは存在しない。
【0007】
米国特許出願公開第2011/0176091号は、可変の色出力を有するデバイスを開示する。このデバイスは、ライトチャンバ内に配置されたLED、発光素子(蛍光体)、並びにそれによって発光光のカラーポイント及び相関色温度が変更され得る電気的可変散乱素子を含む。このデバイスは、寒白色光又は暖白色光を発するように調整され得る。しかしながら、米国特許出願公開第2011/0176091号の開示にもかかわらず、当該分野において、改善された色調整可能なデバイスに対する需要が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、この問題を克服すること、及び様々な色を増強可能な、望ましい出力光スペクトルを生成するように簡単に構成することができる発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、本目的及び他の目的は、
− 第1の波長領域の光を発するように構成された固体光源と、
− 光源によって発せられた前記第1の波長領域の光を受け取るように配置され、第1の波長領域の光を第2の波長領域の可視光に変換可能な波長変換部材と、
− 前記第2の波長領域の光を受け取る為に波長変換部材から光出力方向に配置された狭帯域反射器であって、前記狭帯域反射器が前記第2の波長領域の第1のサブレンジを反射する第1の状態と、狭帯域反射器が異なる光学特性を有する第2の状態との間で可逆的に切り替え可能である、狭帯域反射器と、
を含む色調整可能な発光装置によって達成される。光学特性は、通常、反射特性である。
【0010】
本発明の発光装置のスペクトル出力は、意図された用途、例えば、照明される対象物に関して所望通りに簡単に調整することができる。従って、どの様な色の増強又は抑制も達成及び制御することができる。通常、第2の波長領域は、可視光スペクトル(400〜800nm)を表す。
【0011】
ある実施形態では、第2の状態における狭帯域反射器は、第2の波長領域の全ての波長の光を透過する。他の実施形態では、第2の状態において、狭帯域反射器は、第2の波長領域の第2のサブレンジを反射する。通常、前記第1のサブレンジ及び前記第2のサブレンジは、互いに異なる。好ましくは、第1及び第2のサブレンジは、重なり合わない。前記第1の状態における及び任意選択的に又前記第2の状態における狭帯域反射器の反射帯域幅(即ち、サブレンジR1及び任意選択的に又サブレンジR2の幅)は、100nm以下でも、好ましくは50nm以下でも良い。従って、光出力スペクトルの非常に細かい調整が可能である。
【0012】
ある実施形態では、狭帯域反射器は、種々異なる反射特性を有する複数の領域を含んでも良い。例えば、狭帯域反射器は、種々異なる反射特性を有する複数の面内領域を含んでも良く、狭帯域反射器は、少なくとも2つの面内領域が固体光源によって発せられた光を同時に受け取ることができるように配置されても良い。他の実施形態では、狭帯域反射器は、光出力方向において波長変換部材からの光路に配置された、種々異なる反射特性を有する少なくとも2つの狭帯域反射器又は狭帯域反射層を含んでも良い。少なくとも2つの狭帯域反射器又は狭帯域反射層はそれぞれ、第1の状態と第2の状態との間で個々に切り替え可能でも良い。これらの実施形態の全ては、潜在的出力スペクトルの数を増加させ、従って、色調整可能な発光装置の適応性及び多用途性を高める。
【0013】
本発明の実施形態において、狭帯域反射器は、波長変換部材に対して前記領域の少なくとも1つの位置を変化させることによって、前記第1の状態と前記第2の状態との間で機械的に切り替え可能でも良い。代替的に、他の実施形態では、狭帯域反射器又はその領域の反射特性は、狭帯域反射器が前記第1の状態と前記第2の状態との間で電気的に切り替え可能であるように、電界の印加によって調整可能でも良い。例えば、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器は、電気的に制御可能な液晶セル、電気的に制御可能な薄膜ロールブラインド、及び/又は電気的に制御可能なエレクトロクロミック層を含んでも良い。
【0014】
一部の実施形態では、発光装置は、光出力方向において狭帯域反射器からの光路に配置された拡散器又は角度を付けた拡散反射器を更に含む。拡散器は、出力光の配光及び均一性を向上させ得る。拡散器は、上記の様な電気的に切り替え可能な狭帯域反射器と組み合わせると特に有利となり得る。
【0015】
更なる実施形態では、発光装置は、光出力方向において狭帯域反射器からの光路に配置された光混合室を含み得る。光混合室は、光の再生利用をもたらし、配光及び均一性を更に向上させ得る。
【0016】
一部の実施形態では、発光装置は、狭帯域反射器によって送られた光のスペクトル組成を検出するように配置された光センサを更に含み得る。光センサは、通常、前記第1の状態と前記第2の状態との間の狭帯域反射器の前記切り替えを電気的に制御する為の制御装置に接続される。従って、狭帯域反射器は、出力光の所定の望ましいスペクトル組成を提供するように自動的に調整され得る。代替的又は追加的に、一部の実施形態では、発光装置は、発光装置の外で、光のスペクトル組成を検出するように配置され、前記第1の状態と前記第2の状態との間の狭帯域反射器の前記切り替えを電気的に制御する為の制御装置に接続された光センサを含み得る。その結果、狭帯域反射器が、従って出力光が、照明される対象物の反射特性に基づいて自動的に調整され得る。
【0017】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載した様な発光装置を含む照明器具に関する。
【0018】
本発明は、クレームに記載された特徴の全ての可能な組み合わせに関することに留意されたい。
【0019】
以下、本発明のこの態様及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a-b】本発明による色調整可能な発光装置(側面図)の一般概念を示す。
【
図2a-c】
図1a〜bに示された通りの光L1、L2、L3及びR1に関する種々異なる波長における光強度例を示すグラフである。
【
図3a-c】
図1a〜bに示された通りの光L1、L2、L4及びR2に関する種々異なる波長における光強度例を示すグラフである。
【
図4a-b】機械的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む実施形態の概略側面図を示す。
【
図5a-b】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む実施形態の概略側面図を示す。
【
図6】機械的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図7】機械的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略斜視図を示す。
【
図8】機械的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図9】機械的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図10】機械的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図11】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図12】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図13a-b】電気的に制御可能なロールアップブラインドの形の電気的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む別の実施形態の概略側面図を示す。
【
図14】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器及び拡散器を含む実施形態の概略側面図を示す。
【
図15】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器、光混合室及び拡散器を含む実施形態の概略断面側面図を示す。
【
図16】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器及び角度を付けた拡散反射器を含む実施形態の概略側面図を示す。
【
図17】電気的に切り替え可能な狭帯域反射器及び制御装置を介して電気的に切り替え可能な狭帯域反射器に接続された光センサを含む実施形態の概略断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に示される様に、層及び領域の大きさは、例示を目的として誇張されており、従って、本発明の実施形態の一般構造を示す為に提供されるものである。全体を通して、同様の参照符号は同様の要素を指す。
【0022】
以下、本発明の現在好適な実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明は、以下により完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの種々異なる形で実施されても良く、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるものではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性の為に提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝える。
【0023】
図1a及び
図1bは、本発明の実施形態による発光装置の一般構造を示す。発光装置100は、適切な支持体(不図示)上に配置された光源101を含む。光源から光出力方向に(但し、光源から一定の距離に)、波長変換部材102が設けられる。光源に対して波長変換部材の反対側(即ち、光路の下流)に、狭帯域反射器103が設けられる。
【0024】
動作中、光源は、第1の波長領域の光L1、例えば青色光を発する。光L1は、光L1の少なくとも一部をL2で示される第2の波長領域の光に変換する波長変換部材によって受け取られる。光L2は、狭帯域反射器103によって受け取られる。
図1aにおいてラインスクリーンとして使用して示される第1の状態では、狭帯域反射器103は、反射される狭いサブレンジR1を除いて、第2の波長領域の光L2の大部分を透過する。従って、第1の状態では、狭帯域反射器は、光L3(L3=L2−R1)を透過する。
【0025】
図1bは、狭帯域反射器103が、
図1bにおいて高密度スクリーンパターンによって示される第2の状態へと切り替えられた発光装置100を示す。第2の状態では、狭帯域反射器は、領域R1の代わりに、狭いサブレンジR2を反射する。従って、第2の状態では、発光装置からの全発光光L4は、第1の状態中に発せられた光L3とはスペクトル組成が異なる(L4=L2−R2)。
【0026】
通常、第1の状態において、領域R1の光が反射される一方で、波長領域R2の光は透過され得る。同様に、第2の状態では、領域R2の光が反射される一方で、波長領域R1の光は透過され得る。
【0027】
図2a〜c及び
図3a〜cは、本発明の実施形態による発光装置によって生み出された光のスペクトル組成例を概略的に示す。
図2a及び
図3aは、光源101によって発せられた光L1及び波長変換部材102によって生み出された変換光L2の光強度スペクトルを各々示す。
【0028】
図2bは、第1の状態において狭帯域反射器103によって反射された光R1の光強度スペクトルを示す。
図2cは、第1の状態において狭帯域反射器によって透過された後の発光装置から出射する光L3の光強度スペクトルを示す。図に示される様に、出力スペクトルは、狭帯域反射器によって反射された光R1に対応する波長において不足する。この特定の出力スペクトルを有する発光装置は、緑色を犠牲にして、黄色を増強する為に使用され得る。従って、第1の状態において、この発光装置は、バナナ等の黄色い対象物の照明を行うのに適し得る。
【0029】
一方、
図3bは、第2の状態において狭帯域反射器103によって反射された光R2の光強度スペクトルを示す。従って、
図3cは、第2の状態において狭帯域反射器によって透過された後の発光装置から出射する光L4の光強度スペクトルを示す。図に示される様に、出力スペクトルは、狭帯域反射器によって反射された光R2に対応する波長において不足する。従って、第2の状態において、この発光装置は、トマト等の赤い対象物の色を増強する為に、任意選択的にフィルタと組み合わせて使用され得る。
【0030】
狭帯域反射器103は、第1のサブレンジR1の光を反射する第1の状態と、第2のサブレンジR2の光を反射し得る第2の状態との間で可逆的に切り替え可能である。第1及び第2のサブレンジは、一般的に、可視光スペクトル内の狭い領域である。狭帯域反射器によって反射されたサブレンジの帯域幅は、通常100nm以下であり、好ましくは50nm以下である。従って、サブレンジR1及び任意選択的にサブレンジR2は、一般的に、100nm、好ましくは、50nmを超えて延在しない。
【0031】
前記第1の状態と前記第2の状態との間の切り替えは、ユーザによって行うことができ、一般的には、照明される特定の対象物に対して行われる。この切り替えは、機械的でも電気的でも良い。
図4a〜bは、機械的切り替えの概念を示す。
図4aでは、狭帯域反射器103は第1の状態にある。機械的に切り替え可能な実施形態の狭帯域反射器は、通常、異なる反射特性を有する2つの部分103a、103bを含む。特に、部分103aは、R1で示される第1のサブレンジの光を反射することができる。従って、
図4aに見られる様に、部分103aが光源及び波長変換部材から光出力方向に位置付けられる場合(ここでは、波長変換部材の前)、狭帯域反射器は、第1の状態にあると言われる。一方、第2の部分103bは、R2で示される異なるサブレンジの光を反射することができる。
図4bに示される様に、第1の部分103aではなく、第2の部分103bが、光源及び波長変換部材から光出力方向に位置付けられる場合、狭帯域反射器は、第2の状態にあると言われる。狭帯域反射器は、
図4a及び
図4bにそれぞれ示される2つの位置間で機械的にシフト、例えば横方向にスライドされ得る。
【0032】
第1の状態及び第2の状態間で狭帯域反射器を切り替える為の別の概念が、
図5a〜bによって示される。この様な実施形態において、狭帯域反射器は、電気的に制御可能な特性、多くの場合電気的に制御可能な光学特性を有する材料を含む。更なる詳細及び例は、以下の通りである。狭帯域反射器104は、電圧源に接続される。印加電圧がない場合(U=0)は、狭帯域反射器は、全ての可視波長を等しく透過し得るか可視光の第1のサブレンジR1を反射し得るかの何れかである。従って、印加電圧がない場合、狭帯域反射器は、第1の状態にある。
図5bによって示される電圧の印加時には、狭帯域反射器は、代わりに別のサブレンジR2の光を反射する。従って、印加電圧において、狭帯域反射器は、第2の状態にある。代替的に、印加電圧がない場合は、狭帯域反射器104は、第1のサブレンジを反射しても良く、印加電圧に応じて透過性となっても良い。
【0033】
更に、狭帯域反射器が、異なる電圧で第3のサブレンジR3の光を反射する第3の状態、第4のサブレンジR4の光を反射する第4の状態等にあり得るように、異なる電圧で異なる反射特性を有し得ることが考えられる。
【0034】
図6〜10は、第1の状態と第2の状態、並びに任意選択的に第3の状態、第4の状態等の間の機械的切り替えを利用した様々な実施形態を示す。
図6に示される様に、狭帯域反射器103は、種々異なる反射特性を持ち、各々が特定のサブレンジが反射される状態を示す3つの部分103a、103b、103cを含んでも良い。従って、この様な狭帯域反射器を用いると、狭帯域反射器は、少なくとも3つの状態を有し得る。機械的に切り替え可能な狭帯域反射器が第1の位置と第2の位置との間で、第2の位置と第3の位置との間で部分的に切り替えられても良く、従って、多くの可能な中間位置(追加の状態を示す)を提供することも可能である。
【0035】
機械的に切り替え可能な狭帯域反射器は、干渉フィルタ又はダイクロイックフィルタ等の光学フィルタ、フォトニックギャップ材料等を含んでも良い。
【0036】
図7は、4つの異なる部分103a、103b、103c、103dを有する発光装置の斜視図であり、4つの異なる部分は、前記部分の各々が光源及び波長変換部材から光出力方向に位置付けられることができるように機械的にシフトされ得る。
【0037】
図8は、所謂画素化された狭帯域反射器を含む発光装置の実施形態を示す。この実施形態では、狭帯域反射器は、種々異なる反射特性を有する複数の部分103a、103b、103c、103d、103eを含む。少なくとも2つ、例えば少なくとも3つ(
図8に示される様に)の部分が同時に光源及び波長変換部材から光出力方向に位置付けられ得る。従って、第1の状態では、狭帯域反射器は、複数(例えば2つ又は3つ)のサブレンジの光を反射し得る。この様な実施形態では、第2の状態及び何れの更なる状態においても、狭帯域反射器は、少なくとも1つのサブレンジに関して第1の状態又は前述の何れの状態とも異なる第2の複数のサブレンジの光を反射し得る。
図4a〜b、
図6及び
図7の狭帯域反射器もまた、2つの部分103a、103bの一部が同時に光源及び波長変換部材から光出力方向に位置付けられ、第3の状態において、狭帯域反射器から反射された光が、反射された量(強度)に対して任意選択的に異なる割合で2つのサブレンジR1及びR2を含むように、部分的にシフトされ得ることが考えられる。
図6の実施形態の場合、第4の状態は、部分103b、103cの一部が共に光源及び波長変換部材から光出力方向に位置付けられることを表すことも可能で、第4の状態においては、第2のサブレンジR2及び第3のサブレンジR3の光が反射され得る。
【0038】
図9に示された別の実施形態では、狭帯域反射器は、異なる反射特性を有する光出力方向に積層された少なくとも2つの層105、106を含む。従って、狭帯域反射器の部分103aは、層105a及び層106aを含み得る。同様に、部分103bは、層部分105b及び層部分106bを含み得る。層部分105a、105bは、同じ又は異なる反射特性を有していても良い。層部分106a、106bもまた、同じ又は異なる反射特性を有していても良い。しかしながら、通常は、105a〜105b及び106a〜106bの少なくとも一方間に反射特性の多少の差が存在する。
【0039】
図10に示された更に別の実施形態では、層スタックから成る狭帯域反射器を使用する代わりに、光源及び波長変換部材から光出力方向に配置された2つの狭帯域反射器103’、103’’が使用され得る。狭帯域反射器103’、103’’の各々は、異なる反射特性を有する上記の様な少なくとも2つの部分を含む。狭帯域反射器103’、103’’は、異なる位置間で個々にシフトされ得る。従って、波長変換部材の前に位置付けられる部分のどの様な組み合わせも、特定のサブレンジの光が反射される状態を示し得る。例えば、狭帯域反射器103’、103’’の各々が2つの部分を含む場合、狭帯域反射器は、少なくとも4つの異なる状態を提供し得る。狭帯域反射器103’、103’’は、必ずしも、同数又は同パターンの種々異なる反射特性を有する部分を有する必要はない。反射器103’、103’’の各々は、
図4a〜b、
図6、
図7又は
図8の何れか1つを参照して説明した通りのものでも良い。
【0040】
電気的切り替えを利用した更なる実施形態が、
図11、
図12及び
図13a〜bを参照してこれより説明される。
【0041】
図11は、2つの電気的に制御可能な狭帯域反射器104’、104’’のスタックを含む発光装置を示す。狭帯域反射器104’、104’’は、個々に制御可能で、別個の電圧源に接続されても良い。代替的に、
図12に示される様に、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器は、異なる、任意選択的に個々に制御可能な部分104a、104bを含み得る。前記部分104a、104bの各々は、電圧源に接続される。狭帯域反射器が少なくとも2種類の領域104a、104bの繰り返しパターンを有し、従って画素化された狭帯域反射器を形成し得ることが考えられる。
【0042】
本発明の複数の実施形態において、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器は、電気的に制御可能な光学特性を有する材料を含み得る。例は、液晶材料及びエレクトロクロミック材料を含む。例えば、一部の実施形態において、狭帯域反射器は、電圧源に接続された2つの光学的に透明な電極間に挟持された、液晶材料(例えばコレステリック液晶材料)を含む液晶セルでも良い。電界印加時には、液晶分子が透過状態から反射状態へ、又はその逆に切り替えられる。
【0043】
ある実施形態例では、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器は、コレステリック液晶材料、一般的にゲルを含む。コレステリック液晶材料は、透過状態と反射状態との間で切り替えられることが可能である。カイラルネマチック液晶としても知られるコレステリック液晶は、異なるダイレクタ軸を有する分子の層から形成され、その結果、螺旋構造が生じる。反射波長は、螺旋のピッチに依存する。コレステリック液晶材料のピッチは、分子の種類に依存し得る、及び場合によっては更に、UV照射条件によって製造中に制御され得る。有利には、コレステリック液晶ゲルは、異なる反射特性を有する(通常、異なる波長を反射することができる)少なくとも2種類の領域104a、104bの繰り返しパターンを有する画素化された狭帯域反射器に使用され得る。
【0044】
代替的に、本発明に関する複数の実施形態において、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器は、フォトニック結晶を含み得る。均一なパターンで積層されたフォトニック結晶構造又は粒子は、光がこれらの構造又は粒子によって偏向されると、光の干渉を生じさせる。その結果、光の特定の波長が反射される。フォトニック結晶構造の反射及び透過特性は、隣接する構造又は粒子同士の距離を変化させることによって調整され得る。前記距離は、電界に応じて異なり得るので、反射特性は、電圧源を用いて電気的に制御することができる。例えば、フォトニックインク等のフォトニック結晶構造は、可視スペクトルの何れの波長をも反射するように増加電圧(例えば、0Vから約2Vへ)を印加することによって電気的に制御することができる。
【0045】
代替的に、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器104は、エレクトロクロミック材料を含んでも良い。
【0046】
他の実施形態では、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器は、電気的に制御可能なロールブラインドデバイス107を含んでも良い。この様なロールブラインドデバイスは、
図13a〜bに示される様に、波長変換部材上に直接配置されても良い。
【0047】
電気的に制御されたロールブラインド又はロール可能な電極が当該分野で公知である。一般的に、この様なデバイスは、電圧源(不図示)に接続された第1の透明電極層が上に配置される平面基板を含む。絶縁透明誘電体層が第1の透明電極上に配置される。ロールブラインドは、一般的に自己支持膜から形成された、可撓性のある光学機能層を含む。ロールブラインドの誘電体層に対向することが意図された側において、光学機能層が第2の電極層でコーティングされる。ロールブラインドは、自然に巻かれた構造を有し、電位の印加に応じて可逆的に広げられ得る。広げられた平面構造では、ロールブラインドは、その巻かれた構造と比較して、基板のより大きな部分を覆う。電位が取り除かれると、ロールブラインドは、固有応力により、元の巻かれた構造を再び取る。本発明の下では、可撓性のある光学機能層は、広げられた状態において、ロールブラインドがサブレンジR1の光を反射する様な反射特性を有する。
【0048】
電気的に切り替え可能な狭帯域反射器を含む実施形態において、発光装置は、通常、電圧源に接続され、ユーザが手動で又は自動的に、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器に供給される電圧を制御すること、従ってその切り替えを制御することを可能にする制御手段も含む。
【0049】
発光装置は、光学素子、例えば、反射器、拡散器、レンズ、光混合室等を更に含んでも良い。例えば、一部の実施形態では、発光装置は、狭帯域反射器によって受け取られる光の角度分布を選択する為に、波長変換部材と狭帯域反射器との間に配置されたコリメータを含んでも良い。
【0050】
特に、一部の実施形態では、発光装置は、
図14に示される様に、光出力方向において狭帯域反射器からの光路に配置された少なくとも1つの拡散器108を含み得る。拡散器108は、当該分野で公知の任意の適切な拡散器でも良い。適切な拡散器の例は、TiO
2若しくはAl
2O
3の粒子等の散乱粒子、孔若しくは空洞を含むプラスチック拡散器、及び光を拡散するように構成された表面構造を有する基板を含む。代替的に、透過型拡散器の代わりに、拡散反射器111が使用されても良い。拡散反射器は、
図16に示される様に、狭帯域反射器に対して角度が付けられても良い。
【0051】
図15に示される本発明の実施形態では、発光装置は、狭帯域反射器から光出力方向に設けられた光混合室109を含んでも良い。光混合室は、少なくとも1つの反射壁110及び拡散器108が配置される光出射窓によって規定される。
【0052】
拡散器、拡散反射器及び/又は光混合室は、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器104の代わりに、機械的に切り替え可能な狭帯域反射器と組み合わせて使用されても良いことが留意される。
【0053】
更なる調整機能及び改善されたスペクトル調整を提供する為に、発光装置は、狭帯域反射器から出射する光のスペクトル組成を測定する光センサを更に含んでも良い。例えば、光センサ112は、
図17に示される様に、光混合室109内の光を測定する為に配置されても良い。光センサ112は、制御装置113に接続されて、それと通信しても良く、制御装置113は次に、電気的に切り替え可能な狭帯域反射器104に電圧を供給する電圧源に接続され、それを制御しても良い。従って、狭帯域反射器は、予め設定された望ましいスペクトル組成を達成する為に自動的に調整され得る。
【0054】
一部の実施形態では、発光装置は、発光装置によって照明された、又は照明される予定の対象物から反射された光を含む、発光装置の外で、光スペクトルを測定するように構成された外部光センサを更に含み得る。この第2の光センサは、制御装置に接続されても良く、この制御装置は次に、狭帯域反射器の切り替えに関与する電圧源に接続され、それを制御しても良い。この制御装置は、光センサ112が接続されるのと同じ制御装置113でも良い。従って、狭帯域反射器と、従って出力光とは、照明される対象物の反射特性(色)にも基づいて自動的に調整され得る。
【0055】
本発明の発光装置の光源は、通常、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)又はレーザダイオード等の固体光源である。好ましくは、光源によって発せられた第1の波長領域の光は、約300nm〜約500nmの波長領域にある。一部の実施形態では、光源は、GaN又はInGaNをベースとしたLED等の青色発光LEDである。
【0056】
波長変換部材は、光源の発光波長を十分に考慮して選択される。波長変換部材は、通常、光源に対して離れた場所に配置されるが(所謂リモート蛍光体構造)、波長変換部材が光源上又は付近に直接配置(所謂近接構造)され得ることも考えられる。
【0057】
波長変換部材は、少なくとも1つの発光材料を含む。本発明の複数の実施形態では、波長変換部材は、単一の本体に組み込まれた、又は異なる波長変換特性を有する別個の領域を形成するように分離された複数の波長変換部材を含み得る。例えば、波長変換部材は、各々が少なくとも1つの発光材料を含む複数の積層された波長変換層を含み得る。代替的に、波長変換部材は、種々異なる発光材料又は発光材料の種々異なる組成を含む少なくとも2種類の複数の面内領域を含み得る(所謂画素化された蛍光体)。
【0058】
発光材料は、無機蛍光体材料、有機蛍光体材料、及び/又は量子ドットでも良い。無機波長変換材料の例は、限定されないが、セリウム(Ce)ドープYAG(Y
3Al
5O
12)又はLuAG(Lu
3Al
5O
12)を含み得る。CeドープYAGは、黄色がかった光を発し、CeドープLuAGは、黄緑色がかった光を発する。赤色光を発する他の無機蛍光体材料の例は、限定されないが、ECAS(Ca
1−xAlSiN
3:Eu
xであり、0<x≦1、好ましくは0<x≦0.2であるECAS)及びBSSN(Ba
2−x−zM
xSi
5−yAl
yN
8−yO
y:Eu
zであり、MがSr又はCaを表し、0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.2、0≦y≦4、及び0.0005≦z≦0.05であるBSSNE)を含み得る。適切な有機波長変換材料の例は、ペリレン誘導体に基づいた有機発光材料、例えばBASFによってLumogen(登録商標)という名称で販売される化合物である。適切な化合物の例は、限定されないが、Lumogen(登録商標)Red F305、Lumogen(登録商標)Orange F240、Lumogen(登録商標)Yellow F083、及びLumogen(登録商標)F170を含む。
【0059】
有機又は特定の無機波長変換材料は、一般的に、キャリア材料(一般的にポリマーマトリックス)中に包含される。特定の無機蛍光体の場合、蛍光体粒子は、キャリア材料中に分散され得る。有機発光材料の場合、有機発光材料は、一般的に、キャリアに分子的に溶解される。適切なキャリア材料の例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリカーボネート(PC)を含む。
【0060】
一部の実施形態では、波長変換材料は、量子ドット又は量子ロッドを含み得る。量子ドットは、概して、僅か数ナノメートルの幅又は直径を有する半導体材料の小さな結晶である。入射光によって励起されると、量子ドットは、結晶の大きさ及び材料によって決定された色の光を発する。従って、ドットの大きさを適合させることによって、特定の色の光を生成することができる。可視領域での発光で最も良く知られた量子ドットは、硫化カドミウム(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)等の殻を有するセレン化カドミウム(CdSe)に基づく。リン化インジウム(InP)、並びに硫化銅インジウム(CuInS
2)及び/又は硫化銀インジウム(AgInS
2)等のカドミウムを含まない量子ドットも使用することができる。量子ドットは、非常に狭い発光帯を示し、従って、それらは飽和色を示す。更に、発光色は、量子ドットの大きさを適合させることによって簡単に調整することができる。従って、本発明の実施形態において、量子ドットは、1つ又は複数の狭い発光帯を有する光、即ち、かなり狭い第2の波長領域又は複数の狭い領域の光を生成する為に使用され得る。この様な実施形態では、狭帯域反射器は、狭く、明確に定義された色組成を有する出力光を生成する為に、第2の波長領域のかなりの部分を反射し得る。
【0061】
当該分野で公知の何れの種類の量子ドットも、それが適切な波長変換特性を有する場合、本発明において使用することができる。しかしながら、環境上の安全及び懸念から、カドミウムを含まない量子ドット又は少なくとも非常に低いカドミウム含有量を有する量子ドットを使用することが望ましい場合がある。
【0062】
本発明の発光装置は、例えば、小売店や展示会等の商業環境において対象物の特殊照明の為、又は芸術的若しくは装飾目的で、頭上位置、壁若しくは天井に取り付けられるか、吊るされる照明器具において有用となり得る。
【0063】
当業者は、本発明が決して上記の好適な実施形態に限定されないことを理解する。それどころか、添付のクレームの範囲内で多くの修正及び変更が可能である。例えば、発光装置は、各光源が別の波長変換部材及び/又は狭帯域反射器に関連付けられた複数の光源を含み得る。代替的に、複数の光源が、単一の波長変換部材が複数の光源によって発せられた光を受け取るように配置されても良い。
【0064】
更に、開示された実施形態に対する変更は、本願発明を実践する当業者によって、図面、開示内容、及び添付の特許請求の範囲の検討から理解及び達成することができる。特許請求の範囲において、「含む」(「comprising」)という単語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」も「an」も、複数を排除しない。特定の手段が互いに異なる従属クレームに記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利には使用できないことを示すものではない。