【実施例】
【0018】
図1〜
図7に示す実施例の可変動弁機構群1は、内燃機関が備える複数の気筒6A,6B・・の各バルブ7,7・・を駆動するための機構である。各バルブ7,7・・に対しては、図示しない、バルブ7を閉じる方向に付勢するバルブスプリングが取り付けられている。この可変動弁機構群1は、第一可変動弁機構1A,1Aと、第二可変動弁機構1B,1Bとを備えている。
【0019】
[第一可変動弁機構1A]
図2,
図3等に示す第一可変動弁機構1A,1Aは、所定の気筒6B,6B以外の気筒6A,6Aに対して設けられており、内燃機関の運転状況に応じてバルブのリフト量及び作用角(以下、「リフト量等」という。)を変更する。この第一可変動弁機構1Aは、カム10と、入力部材20と、出力部材30と、スライダ40と、支持シャフト50と、変位装置60とを備えている。なお、以下では、支持シャフト50の長さ方向を軸線方向p,qといい、その軸線方向p,qの一方を増加用方向pといい、他方を減少用方向qという。
【0020】
{カム10}
カム10は、軸線方向p,qに延びるカムシャフト18に突設されている。そのカムシャフト18は、第一及び第二の各可変動弁機構1A,1B・・に共通のシャフトである。そのカムシャフト18は、内燃機関のシリンダヘッドに軸線方向p,qに間隔をおいて並設された複数のカムハウジング9,9・・を、軸線方向p,qに貫通する形で支持されている。そのカムシャフト18は、内燃機関の回転に従い回転し、具体的には、内燃機関が2回転する毎に1回転する。そして、各カム10は、断面形状が円形のベース円11と、ベース円11から突出したノーズ12とを備えている。
【0021】
{入力部材20}
入力部材20は、支持シャフト50に間にスライダ40を挟んで外嵌されることで、揺動可能に支持されている。そして、カム10により駆動されて揺動する。
【0022】
詳しくは、この入力部材20は、内周面に増加用方向pに進むに従い揺動方向の一方(リフト方向)に進む、一方向捩れの入力部側ヘリカルスプライン24を備えている。また、先端部にカム10に当接するローラ21を備えている。また、後端部に突起22を備えている。その突起22に、ロストモーション機構29が当接している。そのロストモーション機構29は、入力部材20の突起22を、揺動方向の他方(戻り方向)に付勢することで、ローラ21をカム10に付勢して追従させるための機構である。このロストモーション機構29は、ボディ29aと、リフタ29cと、それらの間に介装されたロストモーションスプリング29bとを含み構成されている。
【0023】
{出力部材30}
出力部材30,30は、入力部材20よりも増加用方向p側に設けられた一方の出力部材30と、入力部材20よりも減少用方向q側に設けれた他方の出力部材30とからなる。そして、これらの出力部材30,30は、支持シャフト50に間にスライダ40を挟んで外嵌されることで、入力部材20と同一の軸線上に揺動可能に支持されている。そして、カム10により入力部材20が駆動されると、それと一緒に揺動してバルブ7,7を駆動する。
【0024】
詳しくは、各出力部材30は、内周面に減少用方向qに進むに従い揺動方向の一方(リフト方向)に進む、他方向捩れの出力部側ヘリカルスプライン34を備えている。また、先端部にバルブ7を押圧するノーズ33を備えている。そのノーズ33で、ロッカアーム38を介してバルブ7を駆動する。そのロッカアーム38は、ラッシュアジャスタ39によって揺動可能に支持されている。そして、各出力部材30の、入力部材20側とは反対側の端部には、出力部材30の本体とは別体に、端板35を備えている。
【0025】
{スライダ40}
スライダ40は、円筒状の部材であって、支持シャフト50に軸線方向p,qに相対変位が許容され、かつ、周方向にも相対揺動が許容される形で外嵌されている。そして、このスライダ40の内周面には、周方向(揺動方向)に延びる係合溝46が凹設されている。
【0026】
そして、スライダ40には、入力部材20及び出力部材30,30が外嵌され、それらとヘリカルスプラインの噛み合いで係合している。具体的には、スライダ40は、外周面に、入力部側ヘリカルスプライン24と噛み合う入力用ヘリカルスプライン42と、出力部側ヘリカルスプライン34,34と噛み合う出力用ヘリカルスプライン43,43とを備えている。そのため、入力部材20及び出力部材30,30に対してスライダ40が軸線方向p,qに相対変位をすると、入力部材20に対して出力部材30,30が、スライダ40とのヘリカルスプラインの噛み合いで揺動方向に相対回動をする。
【0027】
{支持シャフト50}
支持シャフト50は、第一及び第二の各可変動弁機構1A,1B・・に共通のパイプ状のシャフトである。この支持シャフト50は、複数のカムハウジング9,9・・を軸線方向p,qに貫通する形で、軸線方向p,qに変位可能に支持されている。そして、前述の通り、各可変動弁機構1A,1B・・の入力部材20及び出力部材30,30を、スライダ40を介して揺動可能に支持している。
【0028】
そして、減少用方向q側の出力部材30と、それに隣接するカムハウジング9との間には、スプリング52が介装されている。そのスプリング52は、減少用方向q側の出力部材30の端面(端板35)を増加用方向pに付勢することで、入力部材20及び出力部材30,30を増加用方向pに付勢している。
【0029】
また、増加用方向p側の出力部材30とそれに隣接するカムハウジング9との間には、受部材53が設けられている。その受部材53は、Cリングであり、支持シャフト50の外周面に凹設された周方向に延びる嵌合溝54に嵌合することで、支持シャフト50と一緒に軸線方向p,qに変位する形で取り付けられている。その受部材53に、増加用方向p側の出力部材30の端面(端板35)がスプリング52により付勢されている。
【0030】
よって、これらのスプリング52と受部材53とにより、支持シャフト50に入力部材20及び出力部材30,30が、支持シャフト50と一緒に軸線方向p,qに変位する形で係合している。
【0031】
そして更に、スプリング52は、入力部材20及び出力部材30,30並びに受部材53を介して、支持シャフト50を増加用方向pに付勢している。そして、受部材53に隣接するカムハウジング9は、受部材53に当接することで支持シャフト50が所定の基本位置Oよりも増加用方向pに変位するのを阻止するストッパとなっている。そのため、支持シャフト50は、減少用方向q側に外力が加わらない状態では、スプリング52の付勢力により基本位置Oに配される。その一方、減少用方向q側に外力が加わる状態では、スプリング52が圧縮されることで基本位置Oよりも減少用方向q側の変位用区間Vに配される。
【0032】
また、この支持シャフト50は、第一及び第二の各可変動弁機構1A,1B・・毎に、内周面から外周面にまで貫通した軸線方向p,qに延びる長孔56,56・・を備えている。
【0033】
{変位装置60}
変位装置60は、第一及び第二の各可変動弁機構1A,1B・・に共通の装置である。この変位装置60は、各可変動弁機構1A,1B・・の各スライダ40,40・・を一斉に軸線方向p,qに変位させる。
【0034】
具体的には、変位装置60は、各スライダ40,40・・を増加用方向pに一斉に変位させることで、前記相対変位(入力部材20及び出力部材30,30に対するスライダ40の軸線方向p,qの相対変位)及び前記相対回動(入力部材20に対する出力部材30,30の揺動方向の相対回動)をそれぞれ一方にさせてバルブ7のリフト量等を増加させる。また、変位装置60は、各スライダ40,40・・を減少用方向qに一斉に変位させることで、前記相対変位及び前記相対回動をそれぞれ他方にさせてバルブ7,7・・のリフト量等を減少させる。
【0035】
詳しくは、この変位装置60は、各スライダ40,40・・を軸線方向p,qに一斉に変位させる制御シャフト64を備えている。その制御シャフト64は、支持シャフト50の内側に設けられている。その制御シャフト64に、長孔56を通過して延びる係合ピン65が取り付けられている。その係合ピン65が、ブッシュ66を介してスライダ40の係合溝46に係合している。それにより、制御シャフト64にスライダ40が、係合ピン65とブッシュ66とを介して、軸線方向p,qには一緒に変位し、周方向には相対揺動が許容される形で係合している。
【0036】
{全体構成}
第一可変動弁機構1Aは、
図5に示すように、制御シャフト64でスライダ40を所定の境界位置Xよりも増加用方向p側の通常区間Pに配すると、可変状態になる。その可変状態のときには、支持シャフト50がスプリング52の付勢力によりカムハウジング9に付勢されて基本位置Oに配される。そして、制御シャフト64で係合ピン65を介してスライダ40を軸線方向p,qに変位させても、係合ピン65が長孔56の減少用方向q側の内端面56xに当接しない。
【0037】
そのため、制御シャフト64で係合ピン65を介してスライダ40を軸線方向p,qに変位させても、それと一緒に支持シャフト50並びに入力部材20及び出力部材30が軸線方向p,qに変位しない。そのため、入力部材20及び出力部材30に対してスライダ40が軸線方向p,qに相対変位をする。そのため、入力部材20に対して出力部材30,30が、スライダ40とのヘリカルスプラインの噛み合いで揺動方向に相対回動をする。そのため、バルブ7,7のリフト量等が変更される。
【0038】
その一方、第一可変動弁機構1Aは、
図6に示すように、制御シャフト64でスライダ40を前記境界位置Xよりも減少用方向q側の空走区間Qに配すると、リフト保持状態になる。そのリフト保持状態のときには、係合ピン65が長孔56の前記内端面56xに当接してこれを押圧することで、支持シャフト50がスプリング52の付勢力に抗して変位用区間Vに配される。そして、制御シャフト64で係合ピン65を介してスライダ40を軸線方向p,qに変位させても、スプリング52の付勢力により長孔56の前記内端面56xは係合ピン65に付勢され続ける。そのため、支持シャフト50は係合ピン65と一緒に軸線方向p,qに変位する。
【0039】
そのため、制御シャフト64で係合ピン65を介してスライダ40を軸線方向p,qに変位させると、それと一緒に支持シャフト50並びに入力部材20及び出力部材30も軸線方向p,qに変位する。そのため、入力部材20及び出力部材30に対してスライダ40が軸線方向p,qに相対変位をしない。そのため、入力部材20に対して出力部材30,30が、スライダ40とのヘリカルスプラインの噛み合いで揺動方向に相対回動をすることもない。そのため、バルブ7,7のリフト量等は保持される。
【0040】
[第二可変動弁機構1B]
図4等に示す第二可変動弁機構1Bは、所定の気筒6B,6Bに対して設けられている。各第二可変動弁機構1Bは、次に示す点で第一可変動弁機構1Aと異なり、その他の点で同様である。
【0041】
即ち、スプリング52及び受部材53を備えていない。そして、各出力部材30,30の、入力部材20とは反対側の端面(端板35,35)が、それぞれに隣接するカムハウジング9,9に(直接又はシムを介して)当接している。そのため、制御シャフト64と一緒に支持シャフト50が軸線方向p,qに変位しても、それと一緒に入力部材20及び出力部材30,30が軸線方向p,qに変位することがない。
【0042】
そのため、第二可変動弁機構1Bは、
図5に示すように、スライダ40を通常区間Pに配しても、
図6に示すように、スライダ40を空走区間Qに配しても、可変状態になる。但し、スライダ40を空走区間Qに配したときの可変状態は、上記の可変状態と若干メカニズムが異なる。即ち、その空走区間Qに配したときの可変状態では、制御シャフト64で係合ピン65を介してスライダ40を軸線方向p,qに変位させると、それと一緒に支持シャフト50は軸線方向p,qに変位するが、それらと一緒に入力部材20及び出力部材30は軸線方向p,qに変位しないことで、前記相対変位及び前記相対回動をして、バルブのリフト量等が変更される。
【0043】
[可変動弁機構群1]
以上に示した第一及び第二可変動弁機構1A,1Bを備えた可変動弁機構群1は、次のようにして、各気筒6A,6B・・のバルブ7,7・・の駆動状態を切り換える。
【0044】
即ち、
図5aに示すように、制御シャフト64で各スライダ40,40・・を通常区間P,P・・に配することで、通常状態にする。その通常状態は、
図7aに示すように、第一及び第二のいずれの可変動弁機構1A,1B・・も可変状態になる状態である。
【0045】
その一方、
図6cに示すように、制御シャフト64で各スライダ40,40・・を空走区間Q,Q・・内の各第二可変動弁機構1B,1Bのリフト量が零になる減筒区間Qoに配することで、減筒状態にする。その減筒状態は、
図7cに示すように、第一可変動弁機構1A,1Aはバルブ7,7・・を駆動し、第二可変動弁機構1B,1Bはバルブ7,7・・を駆動しない状態である。なお、空走区間Q内の、境界位置Xと減筒区間Qoとの間の区間は、スライダ40,40・・を積極的に止めて使用することのない通過用区間Qtである。
【0046】
本実施例の可変動弁機構群1によれば、上記の減筒状態にすることで、所定の気筒6B,6B(第二可変動弁機構1B,1B)のみを休止することができる。
【0047】
なお、本実施例は、例えば次の変更例のようにして実施することもできる。
[変更例]
図8に示すように、支持シャフト50に第二受部材53’を、支持シャフト50と一緒に軸線方向p,qに変位するように取り付けてもよい。その第二受部材53’は、減少用方向q側の出力部材30の端面に当接する部材である。そして更に、減少用方向q側の出力部材30の端面(端板35)をスプリング52で付勢する代わりに、その第二受部材53’をスプリング52で付勢するようにしてもよい。