特許第6266039号(P6266039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266039非エイリアス識別情報のリポジトリデータの共有
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266039
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】非エイリアス識別情報のリポジトリデータの共有
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/24 20090101AFI20180115BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20180115BHJP
【FI】
   H04W8/24
   H04W88/18
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-93388(P2016-93388)
(22)【出願日】2016年5月6日
(62)【分割の表示】特願2014-180977(P2014-180977)の分割
【原出願日】2010年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-167865(P2016-167865A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】12/415,341
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アンパット,ソウラブウ
(72)【発明者】
【氏名】カウラ,リッキー
(72)【発明者】
【氏名】カンダンテン,マッテオ
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−539628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPマルチメディアサブシステム(IMS)のアプリケーションサーバが実行するコンピュータ実施方法であって、
第1のユーザプロファイルに関連するリポジトリデータの第1のセット及び第2のユーザプロファイルに関連するリポジトリデータの第2のセットを分析するステップであり、前記第1のユーザプロファイル及び前記第2のユーザプロファイルは、相互にエイリアスではないステップと、
前記リポジトリデータの第1のセットと前記リポジトリデータの第2のセットとの間の共通の構成データを識別するステップと、
前記識別された共通の構成データの単一のインスタンスを含む新たなデータ構造を生成するステップと、
前記新たなデータ構造の格納前記IMSのホーム加入者サーバ(HSS)において行わせるステップであり、前記格納を行わせることは、更に、前記格納された新たなデータ構造を、前記第1のユーザプロファイル及び前記第2のユーザプロファイルについて前記HSSのリポジトリに保持されるのではなく、前記識別された共通の構成データについての前記HSS内の単一のインスタンスの置換にさせるステップと、
前記第1のユーザプロファイル又は前記第2のユーザプロファイルに関連するサービス要求を受信するステップと、
前記サービス要求に応答するために使用されるリポジトリデータとして、前記格納された新たなデータ構造を前記HSSから取得するステップと
を有するコンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記サービス要求は、呼に関連する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
記共通の構成データは、サービスの使用の許可に関連する指示を有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記新たなデータ構造は、BLOB(binary large object)を有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記格納された新たなデータ構造を前記HSSから取得するステップは、UDRコマンドを前記HSSに発行するステップを更に有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記格納された新たなデータ構造における前記共通の構成データの少なくともいくつかのデータが変更された場合に通知されるように前記HSSに申し込むステップを更に有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記格納された新たなデータ構造における前記共通の構成データの少なくともいくつかのデータが変更されたことを示す通知メッセージを受信するステップを更に有する、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
IPマルチメディアサブシステム(IMS)のアプリケーションサーバの少なくとも1つのプロセッサによる実行に応じて、
第1のユーザプロファイルに関連するリポジトリデータの第1のセット及び第2のユーザプロファイルに関連するリポジトリデータの第2のセットを分析し、前記第1のユーザプロファイル及び前記第2のユーザプロファイルは、相互にエイリアスではなく、
前記リポジトリデータの第1のセットと前記リポジトリデータの第2のセットとの間の共通の構成データを識別し、
記識別された共通の構成データの単一のインスタンスを含む新たなデータ構造を生成し、
前記新たなデータ構造の格納前記IMSのホーム加入者サーバ(HSS)において行わせ前記格納を行わせることは、更に、前記格納された新たなデータ構造を、前記第1のユーザプロファイル及び前記第2のユーザプロファイルについて前記HSSのリポジトリに保持されるのではなく、前記識別された共通の構成データについての前記HSS内の単一のインスタンスの置換にさせ、
前記第1のユーザプロファイル又は前記第2のユーザプロファイルに関連するサービス要求を受信し、
前記サービス要求に応答するために使用されるリポジトリデータとして、前記格納された新たなデータ構造を前記HSSから取得することを有する動作を前記アプリケーションサーバにより実行するように構成されたプロセッサ実行可能命令を格納した前記アプリケーションサーバ内の命令記憶装置
【請求項9】
前記サービス要求は、呼に関連する、請求項8に記載の命令記憶装置
【請求項10】
記共通の構成データは、
前記第1のユーザプロファイルに関連するユーザ又は前記第2のユーザプロファイルに関連するユーザがサービスに加入しているか否かの通知、
前記サービスが前記第1のユーザプロファイルに関連する前記ユーザ又は前記第2のユーザプロファイルに関連する前記ユーザについて起動されているか否かの通知、又は
着信転送の宛先、
のうち少なくとも1つを有する、請求項8に記載の命令記憶装置
【請求項11】
前記プロセッサ実行可能命令は、
記格納された新たなデータ構造における前記共通の構成データの少なくともいくつかのデータが変更された場合に通知されるように前記HSSに申し込み、
前記HSSから、前記格納された新たなデータ構造における前記共通の構成データの少なくともいくつかのデータが変更されたことを示す通知メッセージを受信することを有する動作を実行するように更に構成される、請求項8に記載の命令記憶装置
【請求項12】
前記通知メッセージは、前記共通の構成データの前記少なくともいくつかのデータへの変更の少なくとも1つの詳細を含む、請求項11に記載の命令記憶装置
【請求項13】
前記新たなデータ構造を前記HSSに格納することは、前記新たなデータ構造をトランスペアレントにするのに有効となる、前記新たなデータ構造を前記HSSに格納することを更に有する、請求項8に記載の命令記憶装置
【請求項14】
前記格納された新たなデータ構造を取得することは、UDRコマンドを前記HSSに送信することを更に有し、
前記UDRコマンドは、サービス指示、又は前記第1のユーザプロファイル若しくは前記第2のユーザプロファイルに関連するユーザ識別情報のうち少なくとも1つが付随する、請求項8に記載の命令記憶装置
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサと、命令記憶装置とを有するIPマルチメディアサブシステム(IMS)のアプリケーションサーバのためのシステムであって、
前記命令記憶装置は、
前記少なくとも1つのプロセッサによる実行に応じて、
第1のユーザプロファイルに関連するリポジトリデータの第1のセット及び第2のユーザプロファイルに関連するリポジトリデータの第2のセットを分析し、前記第1のユーザプロファイル及び前記第2のユーザプロファイルは、相互にエイリアスではなく、
前記リポジトリデータの第1のセットと前記リポジトリデータの第2のセットとの間の共通の構成データを識別し、
前記識別された共通の構成データの単一のインスタンスを含む新たなデータ構造を生成し、
前記新たなデータ構造の格納前記IMSのホーム加入者サーバ(HSS)において行わせ前記格納を行わせることは、更に、前記格納された新たなデータ構造を、前記第1のユーザプロファイル及び前記第2のユーザプロファイルについて前記HSSのリポジトリに保持されるのではなく、前記識別された共通の構成データについての前記HSS内の単一のインスタンスの置換にさせ、
前記第1のユーザプロファイル又は前記第2のユーザプロファイルに関連するサービス要求を受信し、
前記サービス要求に応答するために使用されるリポジトリデータとして、前記格納された新たなデータ構造を前記HSSから取得することを有する動作を前記アプリケーションサーバにより実行するように構成されたプロセッサ実行可能命令を格納するシステム。
【請求項16】
前記プロセッサ実行可能命令は、前記格納された新たなデータ構造における前記共通の構成データの少なくともいくつかのデータが変更された場合に通知されるように前記HSSに申し込むことを有する動作を実行するように更に構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記申し込むことは、SNRコマンドを前記HSSに発行することを更に有し、前記SNRコマンドは、サービス指示、又は前記第1のユーザプロファイル若しくは前記第2のユーザプロファイルに関連するユーザ識別情報のうち少なくとも1つが付随する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサ実行可能命令は、前記HSSから、申し込みに関連する少なくともいくつかのデータが変更されたという通知を受信することを有する動作を実行するように更に構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記サービス要求は、呼に関連する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
記共通の構成データは、
前記第1のユーザプロファイルに関連するユーザ又は前記第2のユーザプロファイルに関連するユーザがサービスに加入しているか否かの通知、
前記サービスが前記第1のユーザプロファイルに関連する前記ユーザ又は前記第2のユーザプロファイルに関連する前記ユーザについて起動されているか否かの通知、又は
着信転送の宛先、
のうち少なくとも1つを有する、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの格納に関し、特にIPマルチメディアサブシステム(IMS:IP multimedia subsystem)においてアプリケーションサーバがユーザにサービス要求を送出できるようにユーザに関連付けられたデータの格納に関する。
【背景技術】
【0002】
IMSは、3Gネットワークでインターネットプロトコル(IP:internet protocol)に基づくサービスを提供可能なサービスオーバーレイアーキテクチャである。これにより、移動ユーザは、IPネットワークで利用可能な非常に様々なサービスにアクセスすることが可能になる。IMSはまた、着信転送のような典型的には回線交換ネットワークに関連するサービスを提供することもできる。
【0003】
IMSアーキテクチャ及び機能は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)により提供される一式の標準により規定されている。
【0004】
IMSアーキテクチャの3つの主な要素は、S-CSCF(Serving-Call Session Control Function)と、ホーム加入者サーバ(HSS:Home Subscriber Server)と、アプリケーションサーバである。S-CSCFは、HSSにおいてユーザ毎に保持されているサービスプロファイル情報に従った、1つ以上のアプリケーションサーバを介したユーザへの信号及びユーザからの信号のルーティングを扱う。
【0005】
HSSは、ユーザ毎にサービスプロファイル情報を保持する。これは、ユーザが加入したサービス及びユーザが参加し得るサービスを含み、ユーザに関する様々なデータを含む集中データベースとして動作する。
【0006】
HSSにより格納されているデータは、トランスペアレントなデータ(HSSがシンタックス(構文)を理解するが、データの意味を理解しないことを意味する)でもよく、トランスペアレントでないデータ(HSSがシンタックスとデータの意味との双方を理解することを意味する)でもよい。
【0007】
ユーザに関するデータ(すなわち、ユーザのサービスのサービスプロファイル及び特定の構成(設定)を記述する)は、トランスペアレントなデータである。これは、コンテナ(この場合は、BLOB(binary large object)として知られるデータ構造)に格納され、HSSデータベースへ格納のためにアプリケーションサーバによりHSSに送信される。従って、コンテナは、実際にデータベース内のデータベースを表し、HSSはデータの意味を認識しない。HSSは、どのようにコンテナにアクセスするかを単に認識しており、アプリケーションサーバがユーザのために要求に対してサービス提供する必要がある場合に、要求に応じてアプリケーションサーバに返信する。
【0008】
アプリケーションサーバは、3GPP標準に従ってサービス指示(Service Indication)を提供し、このサービス指示は、データベースからコンテナの1つを取得するために、HSSにより鍵として使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
3GPP標準はまた、それぞれが他人のエイリアス(alias)であるユーザ識別情報のグループに関連するトランスペアレントなデータを含むエイリアスリポジトリデータ要素(Alias Repository data element)を規定している。エイリアスとして考えられるためには、グループの各ユーザ識別情報は、3つの条件を満たさなければならない。
1)これらは同じサービスプロファイルの一部でなければならない(すなわち、全てのユーザが同じサービスに加入する)。
2)これらは同じ暗示的な登録セットの一部でなければならない。
3)これらは1つ1つのサービスについて同じサービス構成を有さなければならない。
【0010】
ユーザに属するパブリックユーザ識別情報(Public User Identity)のセットは、そのセットの全ての識別情報がそのセットのパブリックユーザ識別情報の1つの単一のIMS登録を介してサービスに暗示的に登録されている場合、暗示的な登録セットを形成する。単一のパブリックの識別情報は、他のパブリックユーザ識別情報に対するマスターとして考えられるべきではない。セットの中の1つのパブリックユーザ識別情報が登録される場合、暗示的な登録セットに関連する全てのパブリックユーザ識別情報は、同時に登録される。この関連付けは、HSSにより維持管理される。
【0011】
グループの各ユーザ識別情報がエイリアスと考えられるために1つ1つのサービスについて同じサービス構成を有さなければならないことが、制約として見なされてもよい。例えば、各ユーザは、着信転送サービスについて同じ着信転送番号を有さなければならない。このことは、サービスの目的を容易に覆し得る。
【0012】
エイリアスリポジトリデータ要素の存在は、HSSがエイリアス毎に同じデータの冗長のコピーを格納する必要性を妨げる。しかし、冗長のトランスペアレントなデータは、エイリアスではないユーザ識別情報のグループ(すなわち、これらは前述の3つの条件のそれぞれを満たさない)について依然として格納されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、IPマルチメディアサブシステム(IMS)においてデータを格納する方法が提供され、この方法は、
i)エイリアスではない第1のユーザ及び第2のユーザを選択し、
ii)それぞれ第1及び第2のユーザに関連する第1及び第2のデータセットを分析し、第1及び第2のデータセットのそれぞれの共通のデータ要素を識別し、ただし、第1及び第2のデータセットは、第1及び第2のユーザのためにサービス要求を満たすためにIMS内の第1のアプリケーションサーバにより使用可能であり、
iii)識別された共通のデータ要素の単一のインスタンスを含むデータ構造を生成し、
iv)データ構造をIMS内のホーム加入者サーバ(HSS)に格納することを有する。
【0014】
従って、本発明は、非エイリアスのユーザに関するデータが冗長のデータ要素を除外したデータのセットに低減可能にすることにより、既存のIMSに固有の問題を克服する。このことは、様々な利点を提供する。すなわち、同じデータの複数のインスタンスを有するのではなく、非エイリアスのユーザ識別情報のグループに関連するデータを1回のみ格納することにより、HSSでのメモリが最適化される。データのグループ化された性質のため、複数のデータ読み取り/プロファイル更新動作の必要性を低減することにより、HSSとアプリケーションサーバとの間の通知効率を改善する。情報の単一の位置及び格納のため、HSSでの加入データの管理が容易になる。サービス相互作用がエイリアスの識別情報に制限されないデータのグループ化に基づいて設計されることを可能にすることにより、アプリケーションサーバの柔軟性が改善する。
【0015】
典型的には、共通のデータ要素は、トランスペアレントなデータセットとしてHSSに格納される。
【0016】
共通のデータ要素は、通常では、HSSにより維持管理されるデータベース内のコンテナに格納される。好適なコンテナはBLOB(binary large object)である。
【0017】
典型的には、コンテナは、共通のデータ要素にアクセスする要求に応じて、第1のアプリケーションサーバに返信される。
【0018】
好ましい実施例では、第1のアプリケーションサーバは、共通のデータ要素への変更の通知を受信するように申し込む。
【0019】
この好ましい実施例の変形では、HSSは、共通のデータ要素への変更を検出し、通知メッセージを第1のアプリケーションサーバに送信する。
【0020】
この通知メッセージは、共通のデータ要素に対して行われた変更の詳細を含むことが好ましい。或いは、アプリケーションサーバは、変更の詳細を判定するために、HSSに明示的に問い合わせてもよい。
【0021】
共通のデータ要素は、第1のアプリケーションサーバと同じサービスを実施する第2のアプリケーションサーバによりアクセス可能である。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の方法の各ステップを実行させるように構成されたプロセッサを有するシステムが提供される。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、プロセッサに第1の態様の方法を実施させるようにプロセッサで実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、プロセッサに第1の態様の方法を実施させるようにプロセッサで実行可能な命令を有するコンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明が実行され得るIPマルチメディアサブシステム(IMS)の一部を示す図
図2】HSS内のグループ化されたリポジトリデータとユーザのセットとの関連付けの概略図
図3】本発明を実行する際にアプリケーションサーバ及びHSSで実行されるステップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、HSS2及びS-CSCF3に結合されたアプリケーションサーバ1を示している。アプリケーションサーバ1は、Shインタフェースを使用してHSS2に結合されており、ISCインタフェースを使用してS-CSCF3に結合されている。HSS2及びS-CSCF3は、Cxインタフェースを使用して結合されている。Sh及びCxインタフェースは、認証、許可及び課金に使用されるネットワーキングプロトコルであるDIAMETERプロトコルの一部として規定されている。ISCインタフェースは、セッションイニシエーションプロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)の一部として規定されている。
【0028】
前述のように、S-CSCF3は、HSS2においてユーザ毎に保持されているサービスプロファイル情報に従った、アプリケーションサーバ1を介したユーザへの信号及びユーザからの信号のルーティングを扱う。
【0029】
HSS2は、システムのユーザ毎にサービスプロファイル情報を保持する。これは、ユーザが加入したサービス及びユーザが参加し得るサービスを含み、ユーザに関する様々なデータを含む集中データベースとして動作する。
【0030】
アプリケーションサーバ1は、サービス要求を処理してその要求に基づいて適切な応答の返信及び/又は適切な動作の実行を行うために必要なステップを実行することにより、サービス要求に応答するように構成される。処理及び適切な動作は、アプリケーションサーバ1により提供されるサービスに依存する。アプリケーションサーバ1は、1つより多くのサービスを提供してもよい。
【0031】
アプリケーションサーバ1が提供し得るサービスの種類の例には、コールスクリーニングサービス、着信転送サービス又は通信禁止サービスがある。
【0032】
アプリケーションサーバ1でのShインタフェースの実装は、2つのモード(データ処理及び加入/通知)で動作してもよい。
【0033】
データ処理モードは、HSS2からデータを取得するためにSh Pullを使用し、データをHSS2に格納するためにSh Updateを使用する。データは、Sh Pull要求を生成することにより、HSS2から取得され、データは、Sh Update要求を行うことにより、HSS2に格納される。
【0034】
加入/通知モードは、特定のユーザの特定のデータが他のネットワークエンティティによりHSS2で更新された場合、アプリケーションサーバ1が通知を取得することを可能にする。
【0035】
以下のリストは、Shアプリケーションを使用して要求され得るデータの種類の要約である。
・リポジトリデータ:サービスに関するトランスペアレントなデータを含む。
・パブリック識別子:ユーザに関連するパブリックユーザ識別情報(IMPU:Public User Identity)のリストを含む。
・IMSユーザ状態:パブリック識別子のIMSユーザ状態についての情報を含む。可能な値は、REGISTERED、NOT_REGISTERED、AUTHENTICATION_PENDING、REGISTERED_UNREG_SERVICESである。
・S-CSCF名:ユーザに割り当てられたS-CSCFのアドレスを含む。
・初期フィルタ基準:サービスの開始情報を含む。ASは、提供されるサービスに関する初期フィルタ基準のみを取得することができる。
・位置情報:回線交換(CS:Circuit-Switched)又はパケット交換(PS:Packet-Switched)ドメインに存在し得るユーザに関する位置情報を含む。
・ユーザ状態:CS/PSドメインのユーザの状態を含む。
・課金情報:課金機能のアドレスを含む。
・MSISDN:パブリックユーザ識別情報に関連するMSISDN(GSM又はUMTS移動ネットワークでの加入を固有に識別する番号)を含む。
【0036】
図2は、一式のIMSパブリック識別情報(IMPU:IMS public identity)IMPU1〜IMPU4を示している。IMPU1〜IMPU4のそれぞれは、これらに関するリポジトリデータを取得するためにHSS2にアクセスしようとしてもよい。図2に示す状況では、IMPU1、IMPU2及びIMPU3がエイリアス(alias)である。IMPU1及びIMPU2は、HSS2のグループ化されたリポジトリデータS2にアクセスすることができ、IMPU2及びIMPU3は、HSS2のグループ化されたリポジトリデータS3にアクセスすることができる。前述のように、IMPU1〜4は、グループ化されたリポジトリBLOB(binary large object)への鍵として、サービス指示(Service Indication)を使用する。
【0037】
IMPU3及びIMPU4はエイリアスではない。しかし、アプリケーションサーバ1は、プロファイル更新動作を使用して、これらの2つの識別情報のためのグループリポジトリデータを生成することができる。これは、IMPU3及びIMPU4により共有される。
【0038】
これが行われる方法を、図3を参照して説明する。図3は、2つの非エイリアス識別情報IMPU3(図4ではユーザAとして示される)及びIMPU4(図4ではユーザBとして示される)のためのグループ化されたリポジトリデータを生成して格納する際の、アプリケーションサーバ1とHSS2との間の相互作用を示している。
【0039】
まず、アプリケーションサーバ1は、相互にエイリアスではないユーザの対(この場合は、ユーザA及びB)を選択する。次に、各ユーザに関連するリポジトリデータを分析し、リポジトリデータセットのそれぞれの共通のデータ要素を識別する。
【0040】
例えば、ユーザAは、コールスクリーニングサービス及び着信転送サービスに加入してもよく、ユーザBはコールスクリーニングサービス、着信転送サービス及び通信禁止サービスに加入してもよい。
【0041】
加入するサービスの違い(すなわち、ユーザA及びBの異なるサービスプロファイル)のため、ユーザA及びユーザBは非エイリアス(non-alias)である。しかし、それにもかかわらず、ユーザA及びBの着信転送サービスに関するリポジトリデータは、一緒にグループ化され、データの単一のインスタンスとして格納されてもよい。
【0042】
ユーザA及びユーザBのそれぞれの構成(設定)データとして保持され得るリポジトリデータの典型的なセットは、ユーザがサービスの使用を許可されていることを示す情報要素と、サービスがそのユーザについて起動されていることを示す情報要素と、着信転送の宛先(電話番号又は電子メールアドレスのようなURI(uniform resource identifier))と、他の加入オプションとを含む。この場合、着信転送の宛先を除いて、全てのこれらの情報要素は、ユーザA及びユーザBで同じでもよい。例えば、ユーザA及びBの双方が許可されていてもよく、サービスが双方のユーザについて起動されていてもよく、他の加入オプションが同一でもよい。
【0043】
従って、アプリケーションサーバ1は、ユーザA及びBのそれぞれのリポジトリデータを分析し、ユーザA及びユーザBの双方の共通のデータ要素(すなわち、ユーザがサービスの使用を許可されているという指示、サービスがそのユーザについて起動されているという指示、並びに他の加入オプション)を識別し、HSS2に格納するためのコンテナ(BLOB等)を生成してもよい。
【0044】
次に、アプリケーションサーバ1は、ユーザA及びBのグループ化されたリポジトリデータを備えたコンテナをHSS2に送信し、HSS2に対してグループ化されたリポジトリデータをそのデータベースに格納させるためのPURコマンドを発行する。従って、HSS2に格納されたグループ化されたリポジトリデータは、2人の非エイリアスのユーザA及びBを通じてグループ化されたトランスペアレントなデータである。これらの動作は、図3にステップ1及び2として示されている。
【0045】
ステップ3〜5は、生成されて格納された後にグループ化されたリポジトリデータで相互作用するために実行され得る任意選択のステップを示している。
【0046】
ステップ3において、アプリケーションサーバ1は、ユーザA及びBのグループ化されたリポジトリデータを取得するためにUDRコマンドをHSS2に発行する。HSS2は、いずれかのユーザのサービス要求に応答する必要がある。UDRコマンドには、サービス指示(すなわち、着信転送)と、HSS2がグループ化されたリポジトリデータを取得するための鍵として使用するユーザ識別情報(すなわち、IMPU3又は4)とが付随されてもよい。次に、グループ化されたリポジトリデータは、アプリケーションサーバ1に返信されてもよい。
【0047】
ステップ4において、アプリケーションサーバ1は、ユーザA及びBのグループ化されたリポジトリデータへの変更を通知されるように申し込む。アプリケーションサーバ1は、SNRコマンドをHSS2に発行することにより、これを行う。SNRコマンドには、サービス指示(すなわち、着信転送)と、データの変更の場合にアプリケーションサーバ1が通知される必要のあるデータをHSS2が識別するために使用するユーザ識別情報(すなわち、IMPU3又は4)とが付随される。
【0048】
ステップ5において、HSS2は、データへの変更を検出している(例えば、着信転送サービスを扱う他のネットワークエンティティにより行われてもよい)。HSS2は、通知メッセージ(PNR通知として知られる)をアプリケーションサーバ1に発行することにより、これに応答する。アプリケーションサーバ1は、前述のように、必要に応じて変更されたデータを取得及び検査するために又は変更に応じていずれかの必要な処理を実行するために、UDRコマンドを使用する。
【0049】
非エイリアスのユーザのリポジトリデータを分析し、共通のデータを識別し、リポジトリデータのグループ化されたセットを構築する際に実行されるステップは、アプリケーションサーバ1により実行されるものとして記載されている。これらのステップは、代わりに別のネットワークエンティティにより実行されてもよく、依然として本発明の範囲内に入ることを認識することが重要である。
【0050】
以上の実施例に関し、更に、以下の項目を開示する。
【0051】
(1)IPマルチメディアサブシステム(IMS)においてデータを格納する方法であって、
i)エイリアスではない第1のユーザ及び第2のユーザを選択し、
ii)それぞれ前記第1及び第2のユーザに関連する第1及び第2のデータセットを分析し、前記第1及び第2のデータセットのそれぞれの共通のデータ要素を識別し、ただし、前記第1及び第2のデータセットは、前記第1及び第2のユーザのためにサービス要求を満たすために前記IMS内の第1のアプリケーションサーバにより使用可能であり、
iii)前記識別された共通のデータ要素の単一のインスタンスを含むデータ構造を生成し、
iv)前記データ構造を前記IMS内のホーム加入者サーバ(HSS)に格納することを有する方法。
【0052】
(2)前記共通のデータ要素は、トランスペアレントなデータセットとして前記HSSに格納される、(1)に記載の方法。
【0053】
(3)前記共通のデータ要素は、前記HSSにより維持管理されるデータベース内のコンテナに格納される、(2)に記載の方法。
【0054】
(4)前記コンテナは、前記共通のデータ要素にアクセスする要求に応じて、前記第1のアプリケーションサーバに返信される、(3)に記載の方法。
【0055】
(5)前記第1のアプリケーションサーバは、前記共通のデータ要素への変更の通知を受信するように申し込む、(1)に記載の方法。
【0056】
(6)前記HSSは、前記共通のデータ要素への変更を検出し、通知メッセージを前記第1のアプリケーションサーバに送信する、(5)に記載の方法。
【0057】
(7)前記通知メッセージは、前記共通のデータ要素に対して行われた前記変更の詳細を含む、(6)に記載の方法。
【0058】
(8)前記共通のデータ要素は、前記第1のアプリケーションサーバと同じサービスを実施する第2のアプリケーションサーバによりアクセス可能である、(1)に記載の方法。
【0059】
(9)(1)ないし(8)のうちいずれか1項に記載の方法の各ステップを実行させるように構成されたプロセッサを有するシステム。
【0060】
(10)プロセッサに(1)ないし(9)のうちいずれか1項に記載の方法を実施させるようにプロセッサで実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体。
【0061】
(11)プロセッサに(1)ないし(9)のうちいずれか1項に記載の方法を実施させるようにプロセッサで実行可能な命令を有するコンピュータプログラム。
図1
図2
図3