特許第6266070号(P6266070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6266070
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20180115BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180115BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H05K5/00 B
   B60R16/02 610A
   H02G3/16
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-203840(P2016-203840)
(22)【出願日】2016年10月17日
【審査請求日】2017年9月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 純
(72)【発明者】
【氏名】佐脇 敬法
(72)【発明者】
【氏名】顧 孝龍
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−050824(JP,A)
【文献】 特開2010−142009(JP,A)
【文献】 特開2010−233357(JP,A)
【文献】 特開2015−133866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 〜 5/06
B60R 16/02
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクターが取付けられると共に電子部品が実装されている回路基板と、前記コネクターの一部が突出した状態で前記回路基板を収納する収納ケースと、前記回路基板が収納された状態で前記収納ケース内に封入される封入材料と、を備えている電子制御装置であって、
前記収納ケースは、前記コネクターが突出する正面と、この正面に対面する背面と、この背面と前記正面とを繋ぐ左右の側面と、前記正面、背面、左右の側面で囲われる上面及び底面とからなる6面を有し、
前記左右の側面に、前記電子制御装置を車体に締結する左右のステーを各々備え、
前記上面を見たときに、前記電子制御装置の重心位置よりも、前記背面へ寄った位置に前記左右のステーが設けられ、
前記左右のステーは、前記上面を見たときに、前記側面から外方へ延びる底辺と、この底辺の先端から前記正面側へ延びて前記側面に繋がる斜辺とを有して直角三角形を呈していることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記重心から前記背面側へ寄ったオフセット量は、前記側面の長さの15〜30%に設定されていることを特徴とする請求項1記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記背面が上、前記正面及び前記コネクターが下になるように、前記車体に取付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に二輪車に搭載され、エンジンの制御を行う電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に対する防水や防塵を図ることができ、回路基板を健全な状態に保つことができるため、回路基板は収納ケースに収納される。収納ケースを含む電子制御装置は各種の形態のものが実用化されてきた(例えば、特許文献1(図1)参照)。
【0003】
特許文献1の図1に示されるように、電子制御装置(10)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)は、回路基板(30)と、封筒状の収納ケース(40)と、封入材料(特許文献1図3、符号(60))とからなる。収納ケース(40)は、左右のステー(80、80)を備え、ステー(80、80)を介して車体に締結される。
このような構成からなる電子制御装置(10)の平面図を、図3に示す。なお、図3では符号は振り直した。
【0004】
図3に示すように、従来の電子制御装置100の重心101は、上下左右の中心付近に位置する。この重心101を通る直線102に合致(ほぼ合致を含む。)する位置に、左右のステー103L、103R(Lは左、Rが右を示す添え字。)が配置されている。重心101に図面左右方向及び左右方向の力が加わった場合に、左右のステー103L、103Rで電子制御装置100を効果的に保持することができる。このような技術思想に基づいて、従来のステー103L、103Rは、重心101を中心にして、左右対称に配置されてきた。
【0005】
近年、アイドリングストップ(車両停止時に自動でエンジンを停止し、発進時に自動的にエンジンを始動すること)やランプのLED(発光ダイオード)化などにより、回路が複雑化し、実装される電子部品の大型化するようになってきた。結果、電子制御装置100は重くなる。
【0006】
電子制御装置100が重くなると、ステー103L、103Rへの負荷が増大し、ステー103L、103Rの強度を上げる必要がある。ステー103L、103Rの肉厚を増すことで強度を高めることができる。又は、樹脂製ステーを金属製ステーに変更することで肉厚を増すことなく強度を高めることができる。
ただし、肉厚を増すと近傍の肉厚との差が大きくなり、ヒケ(引け)などの成形欠陥が出やすくなる。また、金属製ステーにすると、収納ケースの価格が上昇する。
車両の軽量化やコストダウンが求められ中、電子制御装置の重量増加を抑制しつつコストダウンを図ることが望まれる。
【0007】
すなわち、電子制御装置の重量が増す場合であっても、電子制御装置の重量増加を抑制しつつコストダウンが可能な構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−47931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、重量増加を抑制しつつコストダウンが可能な電子制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、コネクターが取付けられると共に電子部品が実装されている回路基板と、前記コネクターの一部が突出した状態で前記回路基板を収納する収納ケースと、前記回路基板が収納された状態で前記収納ケース内に封入される封入材料と、を備えている電子制御装置であって、
前記収納ケースは、前記コネクターが突出する正面と、この正面に対面する背面と、この背面と前記正面とを繋ぐ左右の側面と、前記正面、背面、左右の側面で囲われる上面及び底面とからなる6面を有し、
前記左右の側面に、前記電子制御装置を車体に締結する左右のステーを各々備え、
前記上面を見たときに、前記電子制御装置の重心位置よりも、前記背面へ寄った位置に前記左右のステーが設けられ、
前記左右のステーは、前記上面を見たときに、前記側面から外方へ延びる底辺と、この底辺の先端から前記正面側へ延びて前記側面に繋がる斜辺とを有して直角三角形を呈していることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、重心から背面側へ寄ったオフセット量は、側面の長さの15〜30%に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明では、背面が上、正面及びコネクターが下になるように、車体に取付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、敢えて、左右のステーを、重心位置よりも背面側へオフセットさせた。重心に力が加わるため、ステーは、重心に近い側を丈夫にし、重心から遠い部位を無くすことができる。すなわち、ステーは、正三角形や二等辺三角形や台形を半分にしたような略直角三角形にすることができる。半分であるから、ステーは小型、軽量化が図れる。
すなわち、本発明により、重量増加を抑制しつつコストダウンが可能な電子制御装置が提供される。
【0014】
請求項2に係る発明では、重心から背面側へ寄ったオフセット量は、側面の長さの15〜30%に設定されている。オフセット量を15%未満にすると、重心から遠い部位にも肉を付ける必要があり、ステーの形状を略直角三角形にすることが難しくなる。また、30%を超えると、ステーの重心側の部位に負担が掛かり、増肉などの手当が必要になる。
オフセット量が15〜30%の範囲にあれば、ステーの形状を略直角三角形に保つことができると共にステーの重量増加を回避することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、背面が上、正面及びコネクターが下になるように、車体に取付けられる。この取付け姿勢であれば、重心の上に左右のステーがあり、左右のステーで重心を吊る形態となる。吊られているため、電子制御装置が安定的に車体に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る電子制御装置の分解斜視図である。
図2】上面を見たときの電子制御装置の図である。
図3】従来の電子制御装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0018】
図1に示すように、電子制御装置10は、コネクター11L、11R(Lは左を示す添え字であり、Rは右を示す添え字である。以下同じ)が取付けられると共に電子部品12、13が実装されている回路基板14と、コネクター11L、11Rの一部が突出した状態で回路基板14を収納する収納ケース20と、回路基板14が収納された状態で収納ケース20内に封入される封入材料30とを備えている。封入材料30は便宜的に小判形状として描いたが、不定形材料であるため、この形状にとらわれるものではない。また、回路基板14上に構成される回路は省略した。そして、コネクター11L、11R及び電子部品12、13の数や形状は実施例に限定されるものではない。
【0019】
回路基板14は、例えば、銅箔付きガラスエポキシ樹脂板15と、この樹脂板15の上面に実装された電子部品12、13と、樹脂板15の一端に取付けられたコネクター11L、11Rとからなる。
銅箔で構成される回路が複雑化し、電子部品12、13が大型化すると、回路基板14の重心G1は、コネクター11L、11R側にかなり寄った位置になる。
【0020】
収納ケース20は、封筒形状を呈し、コネクター11L、11Rが貫通する開口状の正面21と、この正面21に対面する背面22と、この背面22と正面21とを繋ぐ左右の側面23L、23Rと、正面21、背面22、左右の側面23L、23Rで囲われる上面24及び底面25とからなる6面を有する。
左右の側面23L、23Rの内面にガラスエポキシ樹脂板15を出し入れすることができる溝23a、23aが設けられている。
【0021】
収納ケース20に、引き出しを閉じる要領で、回路基板14を収納する。次に、開口状の正面21から、ポッティング用樹脂と呼ばれる封入材料30を封入する。封入材料30で回路基板14が囲われるため、周囲の水や塵が電子部品12、13や回路に到達する心配はない。
【0022】
図2に示すように、電子制御装置10は、収納ケース20からコネクター11L、11Rの一部が突出している。左右の側面23L、23Rのほぼ中央にステー26L、26Rが一体形成されている。また、図1の回路基板14で説明したように、回路基板14の重心G1がコネクター11L、11R側に寄っていた。この影響を強く受けて、電子制御装置10の重心G2はコネクター11L、11R側に寄っている。
【0023】
この例では、左右の側面23L、23Rの長さをL1とし、正面21からステー26L、26Rまでの距離をL2とすると、L2はL1のほぼ半分となる。ステー26L、26Rは左右の側面23L、23Rの任意の位置に設けることができるが、L2をL1のほぼ半分にすると、視覚的な安定感が得られ外観性が良好となる。
【0024】
ステー26L、26Rは、樹脂材料で囲われた金属管31を備え、この金属管31がボルト穴32L、32Rを構成する。左右のボルト穴32L、32Rの中心を結ぶ線27を想定する。
左右のステー26L、26Rを結ぶ線27は、重心G2から背面22側へL3だけオフセットしている。このオフセット量L3は、距離L2のほぼ半分、すなわち左右の側面23L、23Rの長さL1のほぼ1/4(25%)となる。
【0025】
重心G2に諸方向の力が加わるが、本発明者らが検討したところ、ステー26Rにおいて、重心G2から遠い部位のエリアF(想像線の斜線で示すエリア)に応力が殆ど発生しなかった。よって、エリアFは、切除(削除)することができる。ステー26Lも同様である。
結果、ステー26Rは、側面23Rから外方へ延びる底辺28と、この底辺28の先端から正面21側へ延びて側面23Rに繋がる斜辺29とを有する略直角三角形の形状になる。ステー26Lも同様である。
【0026】
点Aと点Bと点Cを頂点とする二等辺三角形に対して、点Aと点B’と点Dを頂点とする直角三角形は、エリアFが欠けているため小型になり、エリアFの重量だけ軽量化が図れる。
【0027】
すなわち、左右の側面23L、23Rに、左右のステー26L、26Rを各々備え、上面24を見たときに(図2に相当)、電子制御装置10の重心G2位置よりも、背面22へL3だけ寄った位置に左右のステー26L、26Rが設けられていれば、左右のステーステー26L、26Rを略直角三角形にすることができる。
【0028】
図1において、従来であれば、重心G1が縦横の中央にくるようにエポキシ樹脂板15に電子部品12、13等を配置する必要があった。対して、本発明によれば、重心G1はエポキシ樹脂板15の中央に設定する必要がない。結果、電子部品12、13の配置の自由度が増し、特に、大きくて重い電子部品12、13をコネクター11L、11R側へ寄せて配置することが可能となった。
【0029】
図2において、オフセット量L3は、左右の側面23L、23Rの長さL1の25%程度が望ましいが、25%に限定するものではない。
本発明者らが検討したところでは、オフセット量L3は、左右の側面23L、23Rの長さL1の15〜30%であれば差し支えない。
【0030】
オフセット量L3が15%未満であると、重心G2から遠い部位(エリアF)にも肉を付ける必要があり、ステー26L、26Rの形状を略直角三角形にすることが難しくなる。また、30%を超えると、ステー26L、26Rにおいて重心G2寄りの部位に負担が掛かり、増肉などの手当が必要になる。
オフセット量L3がL1の15〜30%の範囲にあれば、ステー26L、26Rの形状を略直角三角形に保つことができると共にステー26L、26Rの重量増加を回避することができる。
【0031】
本発明に係る電子制御装置10の取付姿勢は、いわゆる平置き、縦置き、斜め置きの何れであっても差し支えない。
平面積が小さな二輪車の場合は、搭載スペースに限りがあるため、縦置きが推奨される。縦置きであれば背面22が上、正面21が下になる。この取付け姿勢であれば、重心G2の上に左右のステー26L、26Rがあり、左右のステー26L、26Rで重心G2を吊る形態となる。吊られているため、電子制御装置10が安定的に車体に保持される。
【0032】
尚、本発明の収納ケース20は、封筒型の他、正面21にも壁があり、この壁にコネクター11L、11Rが貫通又は突出するような容器であってもよい。収納ケース20は射出成形時に一体である他、上半体と下半体とを個別に成形し、下半体に上下半体とを熱融解着やビスによって締結し一体化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、車両に搭載される電子制御装置に好適である。
【符号の説明】
【0034】
10…電子制御装置、11L、11R…コネクター、12、13…電子部品、14…回路基板、20…収納ケース、21…正面、22…背面、23L、23R…側面、24…上面、25…底面、26L、26R…ステー、27…左右のステーを結ぶ線、28…三角形の底辺、29…三角形の斜辺、30…封入材料、G2…電子制御装置の重心、L3…オフセット量。
【要約】
【課題】重量増加を抑制しつつコストダウンが可能な電子制御装置を提供する。
【解決手段】左右の側面23L、23Rに、左右のステー26L、26Rを各々備えた電子制御装置10において、電子制御装置10の重心G2よりも、背面22へL3だけ寄った位置に左右のステー26L、26Rが設けられていれば、左右のステーステー26L、26Rを略直角三角形にすることができる。
【効果】点Aと点Bと点Cを頂点とする二等辺三角形に対して、点Aと点B’と点Dを頂点とする直角三角形は、エリアFが欠けているため小型になり、エリアFの重量だけ軽量化が図れ、コストダウンが図れる。
【選択図】図2
図1
図2
図3