(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の電極および前記第二の電極の第一の方向と、前記第三の電極および中間領域の第二の方向とがあり、前記中間領域は、前記第一のレベルにある前記第一および第二の電極を離し、電気的に絶縁している、請求項6に記載の感圧性安全装置。
前記感圧性材料は、ふるいの形に設計された電気的に非導電性の可とう性の材料であって、機械的荷重の下で変形し、そのため、第一層の第一および第二の電極は、機械的荷重の領域の第二層の前記第三の電極と部分的に接触できる、請求項6に記載の感圧性安全装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
技術設備を監視するためのより単純な設計のセンサを提供することが、本発明の目的である。本発明の更なる目的は、より費用効果的に製作することができる、技術設備を監視するためにセンサを提供することである。本発明の更なる目的は、信号処理のすべての部分の充分な検証を実行することができるセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に従えば、技術設備を監視するための感圧性安全装置は、少なくとも1つの第一のセンサセルと、少なくとも1つの第二のセンサセルとを有するセンサと、前記第一および第二のセンサセルに接続される第一、第二および第三のセンサセル用電極と、前記第一および第二のセンサセルの中の感圧性材料であって、局部荷重の下で、前記第一および第二のセンサセルの電気的性質を荷重点で変化させるように構成された感圧性材料と、前記第一および第二のセンサセルの作動に応じて出力信号を提供するように構成された評価ユニットと、を備える。前記第一の電極は前記第一のセンサセルに接続され、前記第二の電極は前記第二のセンサセルに接続され、前記第三の電極は、両方の前記第一および第二のセンサセルに接続され、前記感圧性安全装置は、第一の順次切替素子、第二の順次切替素子および所定の第一の電位を供給するための端子をさらに備える。前記第一、第二および第三の各電極は、前記第一の順次切替素子によって、評価ユニットに接続され、前記第一、第二および第三の各電極は、第二の順次切替素子によって、前記所定の第一の電位に接続されている。
【0011】
したがって、実際の測定工程に加えて、評価ユニットによって、順次切替素子の自己検査をするために順次切替素子を過剰に占める(over-occupy)ことが、着眼点である。換言すれば、センサ電極をマトリックス様に配置した場合、列の電極、および、行の電極が順次切替素子によって、それぞれ接合されるだけでなく、各順次切替素子は列および行の電極の全てに接続されている。
【0012】
順次切替素子は、個々の出力につながる電極にその入力を交替に接続する。このことにより、各列の電極は第一の順次切替素子で結合される。そして、センサセルのマトリックス様の各行の相互接続電極は第二の順次切替素子に結合される。その結果、いずれの場合においても、1つのセンサセル(それは2つの選択された電極の交点に位置する)は各出力端で測定されることができる。このようにして、第一の順次切替素子を次々と行電極に出力端まで接続することによって、そして、第二の順次切替素子を次々と各列の電極に出力端まで接続することによって、各センサセルの全てを、次々とサンプリングすることが可能である。
【0013】
順次切替素子の過剰占有によって、すなわち、順次切替素子を行および列の両方の電極に接続することによって、センサセルを、橋絡(bridge)できる。従って、各順次切替素子を同じ電極に同時に接続することにより、第一の順次切替素子の出力と第二の順次切替素子の出力との間に直接の電気接続を確立する。結果として生じる出力間の「短絡」を特定し、測定によってテストすることできる。すなわち、直接接続がされている出力間に特定の測定値が存在する。測定された値が予測値と異なる場合、第一の、または、第二の順次切替素子のアドレス指定に誤りがあることになり、既存の評価ユニットによって決定することができる。評価ユニットは各センサセルの評価、そして、自己診断の評価に応じて出力信号を提供する。そして、前記出力信号を基礎として、上位にある制御ユニットは、誤りが生じた場合、機械を安全な状態に移すことができる。
【0014】
従って、この順次切替素子の自己診断は、いかなる追加コンポーネントまたは監視回路なしに、都合よく実行されることができる。各列および各行のすべての電極がそれぞれ第一および第二の順次切替素子の各々の入力に割り当てられることが可能であるように、各順次切替素子の入力幅(input width)が増加するだけである。しかしながら、順次切替素子ごとに別々の監視回路を提供するよりも、本配置は、より費用効果的になる。
【0015】
さらにまた、既存の評価ユニットを自己診断の用に供することができることが有利である。追加試験装置は必要とされない。同様に、通常の測定の後に順次切替素子を同じ電極に接続することによって、この監視を、通常の測定工程に容易に組み込み、前記順次切替素子のアドレス指定をテストすることができる。従って、この監視を、正常測定の後、簡単な方法で連続的に実行することができる。
【0016】
最後に、順次切替素子の過剰占有によって、センサを連続する信号処理の中で完全に切り離すことができるので、連続する信号処理の中で追加の試験の可能性が期待できる。従って、評価ユニットの各入力の機能性を、このようにして都合よくテストすることもできる。
【0017】
従って、本発明のセンサは第一に、マトリックス様のセンサ配列の順次切替素子の単純な、かつ費用効果的な監視ができるようになる。そして、第二に連続する信号処理の更なる素子を「架橋されている」センサによって、簡単な方法でテストすることができる。それ故、上述の目的は、完全に達成される。
【0018】
好ましい改良形態において、本センサは、第一の電位の端末と第二の順次切替素子との間に配置される抵抗器を備えている。この改良は、順次切替素子を点検するための所定の期待値を簡単な方法で定めることが可能であるという効果がある。特に第一の電位がグラウンド電位であるときに、意味のある測定を行うことが可能であるために抵抗器が必要とされる。さらにまた、第一の順次切替素子の出力が定電圧電源に接続されている場合、順次切替素子が正しく「短絡」されたときに、期待値は抵抗器を通した電圧降下によって、直接与えられる。順次切替素子が誤って接続された場合もしくはそれらのアドレス指定が誤っている場合、測定した電圧は予想される電圧と異なる。
【0019】
更に好ましい改良形態において、抵抗器を、可変的な方法で調整することができる。この改良形態は、期待値を異なる測定工程に適合させることができるという効果がある。例えば、センサセルを測定するときに、抵抗値を出力損失を最小化するために減少させることができるが、順次切替素子の自己診断のために、より高い抵抗とすればより正確な測定ができる。
【0020】
更に有利な改良形態において、センサは、第二の電位を供給するための更なる電極を備えている。そこにおいて、第二の電位の電極は、評価ユニットと並列な直列抵抗を通して第一の順次切替素子に接続される。この更なる改良形態では、2つの抵抗器によって決定される期待値によって、結果として生じる電圧分割で実行される測定が更に改善されるという利点を有する。
【0021】
更に有利な改良形態においては、直列抵抗器も、可変的である。この改良形態は、特に期待値の自由選択に加えて、評価ユニット、特に評価ユニットの入力に位置するアナログ・デジタル変換器を、適切に構成された電圧分割器によって、全ての測定範囲でテストすることができるという効果がある。センサセルが順次切替素子の適切な切換えにより取り外されるときに、このテストは可能である。したがって、可変電圧分割器だけを、評価ユニットに接続すればよい。このことにより、評価ユニットの付加的なモニタリング機能を、簡単な方法で設けることができる。
【0022】
更に有利な改良形態において、センサは、第一のレベルおよび第二のレベルに更に分けられる。そこにおいて、第一の電極および第二の電極は第一のレベルに配置され、第三の電極は第二のレベルに配置される。これらの第一および第二のレベルは、感圧性材料を介して、互いから離れて置かれる。この改良形態では、多数のセンサセルを有するセンサが特に容易に製造されるという効果がある。第一層および第二層は、実質的に同一で、1つの部品として製造することができる。第一層および第二層の各電極の交点で形成されるセンサセルのマトリックス様の配置は、2枚の層が互いに重ねられる前に形成される。センサセルの電気的性質は、2枚の層の間に連続的に配置される感圧性材料によって、測定される。従って、センサは、3つの基本要素だけから都合よく成り立つ。
【0023】
更に有利な改良形態において、センサは、更に第一および第二の電極のための第一の方向ならびに第三電極のための第二の方向を有し、更に中間領域を含む。そこにおいて、中間領域は、第一のレベルにおいて第一および第二の電極を切り離し、それらを電気的に絶縁する。この改良形態は、電極が実質的に小片状の設計でありえるという利点を有し、センサセルの形状は実質的に電極の互いの方向によって決定される。電極の異なる方向は、好ましくは電極が互いに関して配置される角度に応じて与えられる。第一および第二の層の電極は、好ましくは矩形のセンサセルを形成するために、互いに関して直交方向に配置される。センサセルの互いの幅および、特に、距離は、中間領域により測定することができる。
【0024】
更に有利な改良形態において、センサには、導電線および貫通接続(through connection)を更に有する。そこにおいて、更なる導電線は中間領域に配置されて、第一の方向を有する。そして、貫通接続は更なる導電線を第三の導電線に電気的に接続する。この改良形態は、第一のレベルの電極および第二のレベルの電極の接点閉路接続を1つのレベルにおいて、統一するという効果がある。第一のレベル上の電極としての同じ方向を有する更なる導電線のために、電極の全ての接続(それは電極と接触する)を、センサの一方の側に都合よく配列することができる。すなわち、接点閉路接続は、第一のレベルの第一および第二の電極、ならびに、第二のレベルの第三の電極の両方とも第一のレベルの一点で一様に引き出すことができる。このことにより、第一および第二の順次切替素子の各電極を結合する段階が、単純化される。
【0025】
更に有利な改良において、第一のレベルおよび第二のレベルは、導電性および電気的に非導電性の糸から成る布帛から形成される。そこにおいて、導電性の糸の第一、第二および第三の各電極は、布帛に織り込まれている。この改良形態では、広い表面積の可撓性のセンサを簡単な方法で作製することができるという効果がある。特にこの小片状の電極は、織っている間、導電性の糸または電気的に非導電性の糸を選択的に用いることによって、簡単な方法で製造することができる。このことにより、小片状の電極および絶縁性の中間的な空間を有する織布が製造できる。
【0026】
更に有利な改良形態において、感圧性の材料は、ふるい(sieve)の形をしており、機械的荷重の下で変形する電気的に非導電性の軟質材料である。第一層の第一および第二の電極は、機械的荷重のかかっている領域で第二層の第三の電極と部分的に接触できる。この改良形態では、センサセルの抵抗値が感圧性材料の固有の電気的性質に依存していなくて、むしろ単に前記感圧性材料の弾性と、ふるい状のグリッドの寸法および形状のみに依存するという利点がある。従って、感圧性材料の特性抵抗は、感圧性材料によって隔てられた電極が接触する数に基づいて決定される。センサセルの領域の中での感圧性材料の機械的荷重によって生じる接触点の数がより多いほど、センサセルの電気抵抗は低くなる。
【0027】
前述の特徴および以下さらに説明する特徴は、それぞれ示した組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせでも、または単独でも使用できることは言うまでもない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1において、第一の圧力検知安全装置および第二の圧力検知安全装置が全体として参照記号10および12で表示されている。第一および第二の圧力検知安全装置は、ここではロボット16として特定される自動で動作する技術設備14を保護する役割を果たす。ロボット16は、例えば、生産ラインまたは組立ラインの切断または溶接ロボットであってもよい。
【0030】
ロボット16はホルダ18に取り付けられていて、駆動装置20によってそれ自体の軸を中心に回転することができる。さらに、ロボット16はその末端にツール24を有するロボットアーム22を備える。ロボットアーム22の回転および枢動(pivot)領域がロボット16の作用領域を画定し、これは同時にロボット16の危険領域に対応する。この領域への立ち入りは、無許可であっても許可があっても、ロボットを人に対する危険がない状態にすることができるように特定されなければならない。
【0031】
ここでは、特定プロセスは、安全システム26に接続されている圧力検知安全装置10および12によって行われる。安全システム26は、EN ISO 13856−1の意味における出力信号開閉装置、例えば、単純な安全開閉装置、構成可能な安全コントローラまたは他のプログラマブル制御ユニットになることができる。安全システム26は、例えば技術設備の電源を切ることによって、技術設備14を人にとって危険ではない状態にさせるように構成されている。
【0032】
図1は入力モジュール28および出力モジュール30を有するモジュール型の安全システム26を示す。入力モジュール28は回線32を介して圧力検知安全装置10,12に接続されている。この実施形態では、出力モジュール30は冗長な回線34を介してコンタクタ36に接続されており、前記コンタクタ36の動作接点38は電気駆動装置20の電源40に配置されている。プロセッシングユニット42がコンタクタ36を駆動して、入力モジュール28に印加される圧力検知安全装置10,12からの信号に応じて、危険がある場合にロボット16の電源を切るようになされている。
【0033】
言うまでもなく、技術設備14の電源を切ることは、技術設備を安全な状態にする1つの可能な選択肢でしかない。代わりとして、または追加で、別の実施形態では、安全システム26は、例えば、ロボット16にロボットアーム22を後退させることによって、安全な状態を確立するためにロボット16の動作の制御にも影響を及ぼすことができる。また、プロセッシングユニット42が第一の圧力検知安全装置10および第二の圧力検知安全装置12または他の安全装置からの合成信号を考慮して、共通の配慮に基づいてロボット16の駆動方法に関する決定を行うようにすることも同様に実行可能である。他の安全装置は、例えば、ライトバリアもしくはライトグリッドなどの非接触安全装置(BWS)、または安全カメラシステムとすることができる。
【0034】
図1による実施形態において、第一の圧力検知安全装置10は安全マット、特にEN ISO 13856−1の意味におけるスイッチングマットであり、これがロボット16のホルダ18の周囲の床に敷かれている。この実施形態では、安全マットはモジュール型で、8つの安全マットモジュール42を接続しており、全体として4つのモジュールを備える2つの列を形成している。各安全マットモジュール42は、アクティブセンサエリア44および評価ユニット46を有するセンサを具備する。
【0035】
アクティブセンサエリア44は、以下の図を参照して詳細に説明するように、圧力検知式である。評価ユニット46は圧力検知アクティブセンサエリア44への負荷を記録して、前記負荷に応じて出力信号を供給するように構成されている。評価ユニット46はデジタルもしくはアナログ回路、マイクロコントローラ、FPGA、ASIC、または他の信号処理ユニットであってもよい。
【0036】
この実施形態では、評価ユニット46からの出力信号は、第一状態および第二状態を示すことのできる信号である。安全な状態はアクティブな出力信号(常時オン)によって示されることが好ましい。特に好ましくは、出力信号はOSSD信号、すなわち、互いに同期していない2つのクロック信号を備える冗長信号である。個々の評価ユニット46からの出力信号は、回線32を介して、個別に、または合成され安全システム26の入力モジュール28に伝送される。まったく出力信号がない場合、または出力信号が予期した形で入力モジュール28に到達しない場合、安全システム26によって前述の安全機能が実行されて、技術設備14はコンタクタ36によって電源を切られる。
【0037】
個々の安全マットモジュール42から構成されている安全マットは、安全マットモジュール42の個々のアクティブセンサエリア44によって形成される実質的に連続したセンサ表面を含む。この点に関し、実質的に連続したとは、隣り合う安全マットの移行領域でも安全関連の識別を行うことができ、それに応じてパッシブな境界領域が最小限にされることを意味する。
【0038】
図1による実施形態において、安全マットモジュール42は広がりのあるベース(base)を備える直方体形の支持体を有する。ベースは、側面と比較して表面積の大きい上面および裏面を有する。安全マットモジュール42のアクティブセンサエリア44はベースの上面を完全に覆っている。そのため、安全マットモジュールの有効動作エリアは、事実上安全マットモジュール42全体に広がっている。複数の安全マットモジュールを組み合わせて、有効動作エリアは隣り合う2つの安全マットモジュール42間の突合せ継手47まで延びて、事実上シームレスな安全マットの動作エリアを形成している。ある実施形態において、支持体はさらにベースを取り囲む狭い境界(narrow border)を有し、この境界に追加の保護層を定着させると、特に高い国際保護等級(IP67)が達成される。
【0039】
安全マットの作動を識別するために、個々の安全マットモジュール42の評価ユニット46も複合体に組み合わせられている。これは安全マットモジュール42の内部または前記安全マットモジュールの裏面のアクティブセンサエリア44の下であることが好ましい。
【0040】
ある実施形態において、評価ユニット46は互いに直列に接続され、連鎖の最初または最後の評価ユニット46を安全システムの入力モジュールに接続する。直列回路は、評価ユニット46からの出力信号がなければすぐに、安全マット全体の作動がそれに接続されている安全システムに信号を送るように設計されている。しかし、他の実施形態では、個々の評価ユニット46の異なる組み合わせ、例えば、マスター・スレーブ構成および異なる信号処理も実行可能である。そのため、ある実施形態において、検出された値は個々の評価ユニット46によって直接安全システムに渡してもよく、該安全システムは安全マットモジュールの作動をどのように評価するかを独立して決定する。
【0041】
図1による実施形態において、技術設備14は安全マットおよび有効表面上に配置されている。他の好適な実施形態において、安全マットは技術設備14のホルダ18の周りに配置されていてもよい。設備が有効表面上に取付けられている場合、安全マットまたは個々の安全マットモジュールは、技術設備14が配置されている領域を無効にすることができるように構成しなければならない。言い換えると、安全マットは、アクティブセンサエリアのどの領域が作動しているかを特定するためには、空間を分解する(resolve)ことができる設計でなければならない。この空間分解能によって、技術設備14が取付けられている個々の領域は未評価のままにすることができる。
【0042】
図1による実施形態において、第二センサ12は同様に、アクティブなセンサの表面44と、回線32を介して安全システム26の入力モジュール28に接続されている評価ユニット46とを具備する。第二センサ12のアクティブセンサエリア44は技術設備14の表面、ここでは特にロボットアーム22上に配置されている。アクティブなセンサの表面44は可撓性で、技術設備14の表面の境界に合致することができる。安全マットの場合のように、複数のアクティブセンサエリア44を組み合わせて、この実施形態において複合体を形成して、有効動作エリアのサイズを増やしてもよい。好ましくは、空間を移動しているロボットの部分はアクティブなセンサの表面44により完全にカバーされている。
【0043】
図1による実施形態において、ロボットアーム22は2つの円筒形コンポーネントを有し、アクティブなセンサの表面44は前記円筒形コンポーネントの円筒形表面上に配置されている。
【0044】
第一センサ10とは対照的に、第二センサ12は技術設備14へのアクセスを監視するのではなく、ロボットアーム22と接触する物体または人を検出するように設計されている。第一センサ10の場合と同様に、第二センサの評価ユニット46は出力信号を生成し、それに基づいて、安全システム26はロボット16を制御し、特に電源を切ることができる。
【0045】
第一および第二のセンサ10,12の技術的な設計を、以下の図面を参照して詳細に説明する。同一の参照記号は同一の部品を表す。
【0046】
図2は、
図1に図示した第一の圧力検知安全装置10の安全マットモジュール42の実施形態を示す斜視図である。安全マットモジュール42は、表面積の大きい平らな表面50と、表面50に垂直な狭い側面52とを備える剛性の支持体48を有する。
【0047】
図2による実施形態において、平らな表面50は矩形であり、安全マットモジュール42は全体として直方体形であるので、表面50、裏面および側面52は互いに直交している。言うまでもなく、他の実施形態では、他の形状が採用可能である。特に、三角形、菱形または六角形が考えられ、すなわち、特に隙間なく表面を埋めることのできる(寄木張りにした)形状である。
【0048】
図2による実施形態では、安全マットモジュール42は、幅60cm、奥行き1m、高さ3cmである。表面50は面積が0.25m
2から1m
2までであることが好ましい。これらの寸法は安全マットモジュール42を通常のタイルのように敷くのに特に適する。この実施形態では、T形接続エレメント54が安全マットモジュールの2つの側縁53の底部に配置されており、安全マットモジュール42から垂直に突出している。2つの側縁53の反対側に位置する側縁に、接続エレメント54の反対側に位置している受け部56が配置されている。受け部56は支持体48の裏面における接続エレメント54に対応するT形の空隙(cavity)であるため、隣り合う2つの安全マットモジュール42は互いにぴったりくっついて置くことができ、受け部56と接続エレメント54を嵌め合うことによって固定することができる。言うまでもなく、他の実施形態では、他の接続手段が考えられる。例えば、ある実施形態では、接続エレメントはダブルT形の輪郭をした個別のコンポーネントにすることができ、これを必要に応じて受け部56に差し込む。別の実施形態では、安全マットモジュールを合わせて保持するために、例えばアルミニウムから成るU型材も使用することができる。
【0049】
図2による実施形態において、側面52に追加の空隙(cavities)が配置されており、これらの空隙58のうちの少なくとも1つに、隣接する安全マットモジュール42との電気接触をするためのプラグコネクタ60が配置されている。プラグコネクタ60を嵌めるプラグ(ここでは図示せず)を追加の空隙58に配置することができる。安全マットモジュール42の評価ユニットは支持体48内部に配置されている(ここでは同様に見えない)。評価ユニットは安全システムまたは隣接する安全マットモジュール42の追加の評価ユニットに、プラグおよびプラグコネクタ60によって接続することができる。ある実施形態において、各スイッチングマットは端子プラグを必要とする。好ましくは、プラグコネクタ60を異なる空隙58に配置することができ、空隙58は好ましくは安全マットモジュール42の角領域の全部に設けられている。それにより、安全マットは特に簡単で柔軟にアセンブリに組み合わせることができる。
【0050】
この実施形態において、平らな表面50は弾性ゴムマット62、例えばポリウレタンから成るマットによって完全に覆われているので、前記マットの下に位置するセンサは隠れている。ゴムマット62は好ましくは平らな表面50および側面52の移行部に固定して、水、埃およびその他不純物が支持体48の内部に侵入できないようにする。ゴムマット62および支持体48は、安全マットモジュール42が国際保護クラスIP67に準拠するように構成されていると特に好ましい。プラグおよびプラグコネクタ60にも同じことが当てはまる。
【0051】
アクティブセンサエリアおよび安全マットの評価ユニットも、ここでは表面に突起64を有するゴムマット62の下に配置されて、滑るリスクを最小限に抑えるようにしている。
【0052】
圧力検知アクティブセンサエリアは支持体48のベースの平らな表面50全体にわたってゴムマット62の下に広がり、安全マットモジュール42のアクティブ領域を画定している。ある実施形態では、アクティブ領域は支持体48の平らな表面50全体に広がっている。言うまでもなく、個々の安全マットモジュール42は、アセンブリの一部ではなく、独立した安全マットとして使用することもできる。
【0053】
図3は安全マットモジュール42のセンサ66の好適な例示的実施形態を示す。アクティブセンサエリア44を形成しているマトリックス状のセンサ配列68に加えて、センサ66はセンサ配列68を評価ユニットに接続する接続領域70を有する。センサ配列68およびセンサ66の接続領域70は共通のキャリア(carrier)材料72から製造される。キャリア材料72は電気構造が織られている可撓性の布のような生地であることが好ましい。生地内の電気構造は導電糸と非導電糸とを使用して作成される。キャリア材料72は非常にフレキシブルで、生地のように巻いたり折り曲げたりすることができる。キャリア材料72に加えて、センサ配列68は、センサ配列68の圧力検知特性を実質的に判定する追加の生地状の材料を有する。
【0054】
センサ配列68はキャリア材料72と、キャリア材料72上の電気構造物と、感圧材料から形成されている。電気構造物は個々のセンサセル74を形成し、これがマトリックス状に行76と列78に配列されている。
【0055】
図4を参照してさらに詳しく説明するように、センサ配列68にわたる、そのためアクティブセンサエリア44にわたる全体的な圧力分散を判定するために、各センサセル74において機械的負荷を判定することができる。
【0056】
この実施形態において、接続領域70はセンサ配列68の側縁79に形成されている。他の実施形態では、接続領域70はセンサ配列68の複数の側縁にも形成することができる。接続領域70はキャリア材料72およびその上の電気構造物の延長部である。言い換えると、センサ配列68および接続領域70は実質的に単一体から製造されている。接続領域70は同様に可撓性の設計である。接続領域70は、接続領域70への移行部でセンサ配列68の側縁79に沿って走る曲げ縁80に沿って折ることができる。接続領域70は曲げ縁80の周囲に配置されるように構成されている。すなわち、接続領域70はセンサ配列68の下で曲げ縁18で折り曲げることができる。
図3には、折りたたんでいないセンサが図示されている。
【0057】
接続領域70はセンサ配列68の側縁79の全長にわたり、または
図3による実施形態のように、側縁79の部分領域のみにわたることもできる。接続領域70は、側縁79から始まる折り重ね領域82に空隙(cavities)84を有する。折り重ね領域82は曲げ縁80から、前記曲げ縁の全長にわたって、好ましくは1cmから2cm接続領域70に延びている。空隙84は接続領域70の通過開口であり、曲げ縁80に平行な直線上に配置されている。空隙84は好ましくは、折り重ね領域82に配置されているキャリア材料72の矩形のスロット状の空隙である。
【0058】
接続領域70は接触領域86をさらに有する。評価ユニットとの電気接続を確立できるように、接触領域86の電気構造物と接触することができる。好ましくは、接触領域86のキャリア材料72に絶縁ケーブルを織り込んでいるが、電気構造物と接触することになる地点ではケーブルの絶縁材は除去されている。これは、例えば、正確な地点でケーブルの絶縁材を後にレーザで除去することにより行うことができる。センサ配列68およびその電気接続を
図4で詳しく説明する。
【0059】
図4は、センサ配列68および接続領域70におけるその電気接続の実施形態を示す模式図である。センサ配列68は第一の層88と第二の層90とを有し、それぞれキャリア材料72から製造されている。前述したように、電気構造物が第一の層88および第二の層90に配置されている。第一および第二の層88,90の電気構造物は帯状の電極92,94,96から形成されている。各層の電極は互いに平行に配置されて、絶縁用の中間領域98によって離間している。第一の層88および第二の層90は好ましくは単一体から製造されて、製造後に2つの部分に分割されて、2つの部分を重ね、互いに対して90°回転させて配置して、マトリックス状のセンサ配列68を形成する。
【0060】
第一の層88と第二の層90との間に感圧材料から成る追加の層100が配置されている。追加の層100は好ましくは導電性の不織布から成る。特に好ましくは、追加の層100は導電性コーティングを塗布したマイクロファイバー不織布である。追加の層100の感圧材料は、機械的な負荷がかけられたときに、2つの相対する電極間の電気特性が変化するように構成されている。
【0061】
第一の層88の電極92,94と第二の層90の電極96との重なり領域(ここでは破線を使って示している)に、センサ配列68のセンサセル74が形成されている。言うまでもなく、第一および第二の層の他の電極は、追加のセンサセル74を形成する。そのため、第一の層88の電極と第二の層90の電極とによって、各センサセル74に接触させることができる。
【0062】
感圧材料が機械的に負荷をかけられたときにセンサセル74の電気特性を判定する、追加の層100の感圧材料は、センサセル74の電極間に配置されている。好ましくは、センサセル74の電気特性はセンサセル74の比抵抗によって判定され、これはセンサセル74の電極を使用して測定することができる。
【0063】
センサセル74への機械的な負荷による比抵抗の変化は、さまざまな方法で生じることがある。例えば、ある実施形態では、追加の層に機械的な負荷がかけられた場合、前記追加の層の比抵抗は負荷の部位で変わる。別の好適な例示的実施形態では、負荷による抵抗の変化は、第一および第二の層88,90の電極から追加の層100の導電材料までの接触面積の変化によって生じる。すなわち、電極92,94,96を備える第一および第二の層は、圧力下で追加の層100の粗い導電材料に適合し、その結果、接触面積のサイズが大きくなり、抵抗が下がる。あるいは、抵抗の変化は、機械的負荷による追加の層100の導電材料の幾何学形状の変化によって生じる。
【0064】
別の実施形態において、感圧材料はふるい(sieve)の形で、機械的負荷の下で変形する非導電性の可撓性材料である。第一の層の第一および第二の電極は、機械的負荷の領域で第二の層の第三電極と部分的に接触することができる。そのときのセンサセルの電気抵抗は、ふるい状の格子の弾性、サイズおよび形状に依存する。そのときのセンサセルの電気抵抗は、感圧材料によって離間している電極が接触する回数によって判定する。センサセルの領域の感圧材料の機械的負荷から生じる接触点の数が多いほど、センサセルの電気抵抗は低くなる。
【0065】
好ましくは、第一の層88の電極92,94と第二の層90の電極96とは、センサ配列68の片側で接触される。前述したように、接触は、第一および/または第二の層のキャリア材料72の延長部から形成されている接続領域70で作られる。
【0066】
図4による実施形態では、第一の層88および第二の層90のキャリア材料72とも、接続領域70まで延びている。しかし、ここでは第一の層88の電極のみが接続領域70および、第一の層88の中間領域98の電極に平行に配置されている追加の導電路102まで延びている。導電路102は、電極92,94と同様に、キャリア材料72に織り込まれている。導電路102は、電極92,94と同様に、第一の層88の全幅にわたり延びることができる。
【0067】
また、センサ配列68は、追加の導電路102を第二の層90の電極96に電気接続する貫通接続部104を有する。電極と同様に、貫通接続部104は導電糸から成るが、第一の層88から、追加の層100を通って、第二の層90まで、第一および第二の層に直交して通っている。
【0068】
第一の層88の電極92,94および追加の導電路102に垂直に走っている絶縁ケーブル106が接続領域70に配置されている。ケーブル106の絶縁材は個々の接触点108で取り除かれているので、第一の層の電極92,94または追加の導電路102のうちの1つとこれらの点の絶縁ケーブル106との間に電気接続を形成することができる。絶縁ケーブル106は接続領域70の片側ではキャリア材料72から出て通っており、例えばコネクタストリップとして接続部110が設けられている。絶縁ケーブル106、そのため第一および第二の層88,90の電極92,94,96は、センサセル74内の抵抗値を接続部110によって判定することのできる評価ユニット(ここでは図示せず)に接続することができる。
【0069】
図5および
図6は、安全マットモジュール42の好適な例示的実施形態を分解組立図および断面図で示す。ここでも、同一の参照記号は同一の部品を表す。
【0070】
図5は、安全マットモジュール42の層状構成を示している。第一レベルは滑り止めゴムマット62を形成し、その下にセンサ66が配置されている。センサは、支持体48に挿入されるように構成されているカバープレート112上にある。カバープレート112はセンサ66のセンサ配列68によって完全に覆われるような寸法にされているが、センサ66の接続領域70はカバープレート112を越えて突出している。接続領域70は同様にゴムマット62を越えて突出している。そのため、組み立てた状態では、ゴムマット62、カバープレート112およびセンサ配列68が層状のアセンブリを形成し、そこから接続領域70が突出している。
【0071】
この好適な実施形態において、支持体48は周囲の突出した境界116を備えるベース114を有する。カバープレート112およびセンサ配列68は支持体上にある。カバープレート112は、一方では異なる熱膨張特性を補償でき、他方で接着層の引張力が温度変化により安全マットを変形させないように選択された支持体の凹穴(bores)として直径および奥行を有する複数の接着点において、支持体48に圧力ばめでまたは密着して固定される。別の実施形態では、カバープレート112は噛み合い接続により境界116に固定することもできる。さらに、カバープレート112は1本または複数本の圧入ボルトを有することができ、支持体48は支持体48に対してカバープレート112を配向するために対応する穴を有することができる。
【0072】
ゴムマット62はカバープレート112およびセンサ配列68を越えて、境界116の上面もゴムマット62で覆われるようになるまで延びている。それにより、カバープレート112およびセンサ配列68は、好ましくは防水・防塵で、境界116の上面に接着結合されているゴムマット62により支持体48内に埋め込まれている。空隙の形の構造物118がベース114に組み込まれており、その中に、安全マットモジュール42の電子機器、例えば評価ユニットが配置されている。構造物118は電子機器を外部に接続するために、ケーブルハーネス119用の空隙をさらに有することができる。
【0073】
図6は、センサ66の曲げ縁80を横切る安全マットモジュール42の断面図を示す。センサ配列68はカバープレート112の上にあり、さらにそれが支持体48の上にある。
【0074】
カバープレート112は剛性の金属プレートとすることができ、この実施形態では、片側で180°折り曲げられ、折り曲げられた区間が支持体48の折り目に噛み合うように嵌め込まれて、金属プレートを支持体に固定するようにしている。接続領域70は側面52に折り重ねられ、これは半径124で曲がり表面50に垂直になっている。半径124は好ましくは0.2cmから1cmの範囲である。折り曲げ中、カバープレート112を支持する支持体48の突起部123は接続領域で空隙84を貫通して案内される。それにより、表面50に垂直にかかる力は接続領域70に作用せず、接続領域70を越えて突起部123を抜け、支持体48に解放される。そのため、接続領域70は人が表面を踏んでも負荷を受けない。
【0075】
図6による好適な実施形態において、支持体48は支持体の周囲に境界116を追加で具備する。滑り止めゴムマット62を境界116に載せて、支持体48の内部が密封されるようにしている。別の実施形態では、センサ配列68およびカバープレート112が境界まで延びて、接続領域70が境界116に折り重ねられ、支持体48の内部まで案内されるようにしてもよい。この場合、境界116は接続領域70の前述した空隙84が係合できる溝状外形を有して、表面50にかかる力も接続領域70を越えて解放されるようにされている。
【0076】
図7および
図8は、センサ66に接続するための実施形態の2つの模式図を示す。
【0077】
図7は、第一および第二の端子126,128を有する回路配列125によって、評価ユニット(ここでは図示せず)に接続することのできる第一および第二のセンサセル74を示す。センサセル74は第一電極92と、第二電極94と、第三電極96とから形成されている。センサセル74の電極間において、前述したように、センサセル74にかかる機械的負荷に依存する抵抗値129を判定することができる。
【0078】
電極92,94,96は第一の順次切替(sequentialization)エレメント130および第二の順次切替エレメント132に接続されている。第一および第二の順次切替エレメント130,132は複数の接続端子を単一の接続端子126,128に結合するように構成されている。順次切替エレメント130,132は好ましくはデータスイッチ、いわゆるマルチプレクサである。
【0079】
順次切替エレメント130,132は複数の入力134と、単一の出力136とを有する。順次切替エレメント130,132では、1つの出力136がある特定のときに入力134のうちの1つに必ず接続されている。順次切替エレメント130,132は単一の、好ましくは集積電子装置、または単一の順次切替エレメントを形成するために一緒に連結されている複数の個別開閉装置の結合体にすることができる。
【0080】
順次切替エレメント130,132の個々の入力134間の切り替えは外部トリガ138,140によって行われる。外部トリガ138,140は評価ユニットから直接提供することができるか、または外部クロック信号によって提供することができる。後者の場合、第二の順次切替エレメント132の外部トリガ138のサイクルは、第一の順次切替エレメント130の外部トリガ140のサイクルよりも1まわり(one factor)長いことが好ましい。その比率は、第一の順次切替エレメント130が入力134のうちの第一入力を出力136に接続すると同時に、第二の順次切替エレメントがその入力134のすべてを少なくとも1度出力136に接続するように選択される。このように、それぞれの電極を第一および第二の順次切替エレメント130,132の出力136に前記順次切替エレメントによって接続することによって、センサセル74のすべてを簡単に連続してテストすることができる。
【0081】
第一および第二の順次切替エレメント130,132はその入力134で過剰に占有される(over occupied)。つまり、第一の順次切替エレメント130は第一の層88の電極92,94だけでなく、第二の層90の電極96にも接続されている。第二の順次切替エレメント132は第二の層90の電極96だけでなく、第一の層88の電極92,94にも接続されている。
【0082】
図7に図示するように、出力136は同じ電極(ここでは第三電極96)に接続することができる。このような第一および第二の順次切替エレメント130,132の配置では、センサセル74を「橋絡(bridge)」することができる。そのため、第一の順次切替エレメント130と第二の順次切替エレメント132との出力136間の直接接続を確立することができる。
【0083】
このような「短絡」は、第一および第二の端子126,128に接続されている評価ユニットによる測定で判定することができる。第一および第二の順次切替エレメント130,132が正しく接続されている場合、評価ユニットは第一端子126と第二端子128との間の対応する短絡を判定することができる。順次切替エレメント130,132をセルフテストするために、順次切替エレメントはときどき短絡させて、短絡を評価ユニットでテストする。それにより、センサの信号処理チェーンの一部としての順次切替エレメント130,132の機能性を継続的に検証することができる。
【0084】
図8は、マトリックス状のセンサ66に接触させるための特に好適な実施形態を示す。
図8による実施形態において、第一の順次切替エレメント130および第二の順次切替エレメント132によって9つのセンサセル74が評価ユニット46に接続されている。第一、第二および第三の電極92,94,96に加えて、回路配列125は追加のセンサセル74に接触しているさらに3つの電極142,144,146を備えている。上記の実施形態と同様に、電極92,94,96,142,144,146はすべて、第一および第二の順次切替エレメント130,132の入力134にそれぞれ接続されている。このように、センサセル74の2つの電極の各々だけを出力136に接続できるだけでなく、前述のような直接接続を行うこともできる。
【0085】
図8による実施形態において、第二の順次切替エレメント132の出力136は第一抵抗器148を介して電気接地端子150に接続されている。第一の順次切替エレメント130の出力136は、一方では第二抵抗器152を介して電圧源154に接続されて、他方では第一の順次切替エレメント130の出力136は評価ユニット46のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)に接続されている。それにより、第二抵抗器152と第一抵抗器148との間、または第二抵抗器152と、第一および第二の順次切替エレメント130,132が接続されているセンサセル74の抵抗129と第二抵抗器152との合成抵抗との間に分圧器が形成されることになる。言い換えると、第一の順次切替エレメント130および第二の順次切替エレメント132が「短絡」すると、アナログ/デジタルコンバータ156に所定の電圧が確立されて、前記所定の電圧が第一および第二の抵抗器148,152の分圧器と、電圧源154の電圧とによって生じる。次に、センサセル74の特定の抵抗129を、この予測値からの偏差により簡単に判定することができる。
【0086】
このように、評価ユニット46によってセンサセル74の瞬時的な抵抗、またそのためセンサセル74への対応する圧力負荷の判定が特にしやすい。また、順次切替エレメント130,132の接続(addressing)を簡単にテストすることができる。順次切替エレメント130,132を監視するための追加の装置は必要ない。
【0087】
さらに、第一抵抗器148および第二抵抗器152がそれぞれ調整可能であれば、アナログ/デジタルコンバータ156が正しく動作するかテストできる。第一および第二の順次切替エレメント130,132が同じ電極に接続されているときに存在する可変の分圧器のおかげで、アナログ/デジタルコンバータ156の領域全体を検証可能にすることができる。センサセル74の評価結果、ならびに順次切替エレメントおよび/またはアナログ/デジタルコンバータ156の監視結果を、さらに処理するために上位の制御ユニットに転送することができる。
【0088】
ある実施形態において、評価ユニット46はOSSDとすることができる。すなわち、出力信号は第一状態および第二状態を示すことのできるOSSD信号である。好ましくは、信号は互いに同期していない2成分を有する冗長クロック信号である。第一状態はセンサの安全状態、つまり、センサセル74が負荷を受けておらず、かつ順次切替エレメント130,132またはアナログ/デジタルコンバータ156のいずれにも障害が特定されなかった状態を示す。第一状態は積極的に信号が送られ、すなわち、この状態で冗長信号が存在しなければならない。第二状態は冗長なクロック信号がない状態で信号が送られて、センサセル74が負荷を受けているか、または順次切替エレメント130,132もしくはアナログ/デジタルコンバータ156に障害が存在することを示す。
【0089】
別の実施形態において、評価ユニット46からの出力信号は、どのセンサセル74が負荷を受けているのか、またはどのセンサセル74が負荷を受けていないのかに関する情報を示す符号化信号を含む。同様に、順次切替エレメント130,132およびアナログ/デジタルコンバータ156のセルフテスト結果は安全システムに伝送されて、一方ではセンサ66が触れられたかどうかの評価を行うことができ、他方ではセンサ66の機能性およびその信号処理を示す診断レポートを生成できるようにする。
【0090】
最後の2つの実施形態の間の中間構成も考えられる。例えば、OSSD信号が評価ユニットによって提供されるのと同時に、診断データが第二出力によって提供される。言うまでもなく、
図8による実施形態は任意の所望の数のセンサセル74に適用することができ、本開示に示される9つのセンサセルに限定されるものではない。
【0091】
図9は、好適な実施形態に係る新規な安全マットの裏面を示す斜視図である。安全マットの裏面160は支持体48の底面に対応する。裏面160は、支持体48内に位置している電子機器の接続を可能にするために構造物が組み込まれている平らな表面162を実質的に有する。構造物は、平らな表面162に、例えば表面フライス加工(milling)プロセスにより組み込まれるか、または支持体48の製造中、例えば射出成形中に直接形成される。
【0092】
図9による実施形態において、構造物は通過口(passage opening)164と、第一、第二、第三および第四のケーブルガイド166,168,170,172と、裏面160のくぼみの形としてのソケット174a,174bとを有する。通過口164は、平らな表面162に垂直で、好ましくは穴(bore)の形で、支持体48を貫通して延びている開口である。例えば安全マットの評価ユニットなど、支持体48内に配置されている電子機器への接続は、通過口164を通して確立することができる。
【0093】
好適な実施形態において、ここでは図示していないケーブルは通過口164を通して案内される。ケーブルは保護被覆の施された多心ケーブルであることが好ましい。代わりとして、既製のケーブルハーネスを使用することも実行可能である。
【0094】
ケーブルは好ましくは通過口164に固定されて、通過口164はそれ以外をシールまたは詰め物で防塵・防水可能に封止して、例えばIP67に準拠した高い国際保護等級を確保できるようにする。この固定のおかげで、支持体48から通過口164を出るケーブルの部分は所定の固定長を有し、プラグコネクタが前記ケーブルの末端に配置されている。プラグコネクタはタイプM5,M8またはM12の多極丸型プラグコネクタであることが好ましい。好適な実施形態において、プラグコネクタはDIN EN 61076−2−104に準拠したネジロック構成、またはスナップロック構成を有する。プラグコネクタは、例えばプラグコネクタをケーブルに成形することによって、IP65/IP67保護等級を有することができる。プラグコネクタは、信号伝送のために高度な信頼性を確保するために、360°の耐EMCシールドを有する金属ハウジング内に配置されていることが特に好ましい。
【0095】
ソケット174a,174bはプラグコネクタ用の受け口を形成する。ソケット174a,174bの形状は、プラグコネクタの形状に合致させている。ソケット174a,174bは、丸型プラグコネクタを留めることのできる半円形の断面を有する細長いくぼみにして、プラグコネクタをくぼみで保持することが好ましい。ソケット174a,174bは片側が側面52a,52bの空隙176a,176bに開いており、反対側はケーブルガイド166,168,170,172のうちの1つと合流している。それぞれの場合において、2つのソケット174a,174bは、第一および第二の側面52a,52bが合流する角領域で互いに交差するように配置されていることが特に好ましい。2つのソケット174a,174bの空隙(cavity)176a,176bが2つの側面52a,52bの突合せ縁178から離れている距離は好ましくは同じであって、安全マットが互いにぴったり接するときに、隣り合う2つの安全マットの空隙176a,176bが互いに相対して配置されるようにする。支持体が直方体である好適な実施形態において、4つの角すべてに交差するソケットが配置されていて、それぞれの場合において空隙は直方体形の支持体の側縁から一定の距離にある。このように、安全マットは特に柔軟に互いに組み合わせて、マルチコンポーネントアセンブリを形成するように接合することができる。
【0096】
ソケット174a,174bはケーブルガイド166,168,170,172を通して通過口(passage opening)164に接続されている。
図9による実施形態において、通過口164は安全マットの端面180に対して中心に配置されている。ここで、2つのソケット174aは、ソケット174aの空隙(cavities)176aが側面52aにある第一配向に配置されて、2つの追加のソケット174bが第二配向に配置されて、前記追加のソケットの空隙176bが側面52bにあるようになされている。第一および第二の配向は、支持体48が矩形のときに、互いに対して90°の角度であることが好ましい。ソケット174a,174bからケーブルガイド166,168,170,174までの移行部182a,182bは、通過口164から第一および第二の距離で配置されており、第一距離と第二距離とは異なる。移行部182a,182bで縁が形成されるので、ソケット174a,174bに差し込まれるプラグコネクタがケーブルガイドに滑り込むことはない。
【0097】
通過口164から出てくるケーブルをケーブルガイド166,168,170,172に差し込むことができる。ケーブルガイド166,168,170,172は、通過口164から移行部182a,182bまで走っている平らな表面162のチャネルを形成する。チャネルの壁は丸みをつけられており、丸みをつけられた部分はケーブルの表面が少なくとも部分的にチャネルの壁にぴったりくっつくように設計されている。チャネルの深さは、ケーブルをチャネルに完全に差し込めるように、そのため平らな表面162から突出しないように設計されている。チャネルは好ましくは断面が樽状の外形を有する。別の実施形態では、外形はU字形であり、下側の角が丸められている。
【0098】
ある実施形態において、チャネルは通過口164から出てくるケーブルの所定の長さに対応する長さを有する。個々のケーブルガイド166,168,170,172のチャネルは等しい長さであることが好ましい。ケーブルガイド166,168,170,172の外形は大きな曲率半径で湾曲しており、角がまったくない。外形は急激な曲がりがない。半径は10cmより大きいことが好ましい。
【0099】
図9による実施形態において、ケーブルガイド166,168,170,172は湾曲した外形の各区間(section)を作る。区間は直線状または湾曲状の区間にすることができる。区間の間に、直線区間から弓状区間までの移行部の湾曲が急激ではなく緩やかにのみ狭くなっていくように構成されている移行曲げ部が配置されていることが好ましい。湾曲した外形は、可撓性の低い硬いケーブルでもしっかりとケーブルガイドに差し込まれ、そのため確実に嵌まることができるようになる。特に、芯が折れるリスクや、ケーブルが急激に曲がって交差した接続が形成されるように複数の芯が押しつぶされるリスクを低減する。
【0100】
ある実施形態において、ケーブルはケーブルガイド166,168,170,172に遊びなく敷設されている。別の好適な実施形態では、チャネルは少なくとも1つの第一区間184と1つの第二区間186とを有する。ケーブルは第一区間184に遊びなく敷設することができる。第二区間186では、ケーブルガイドがこの領域で広がることにより圧縮スペース(compression space)が形成されている。第二区間186の第一領域におけるケーブルガイドの所定の幅は好ましくは均等に増加し、隣接する第二領域において、第一区間184の所定の幅まで再び連続的に減少する。圧縮スペース186は、ケーブル長さのわずかな違いを補償するために、ケーブルを遊びなく敷設するように設計されている。圧縮スペース186のある区間と正確に嵌まるケーブルガイドのある区間184とを組み合わせることにより、チャネル内にケーブルを効果的に固定することができ、同時に圧縮スペース184によりケーブル長さに関してある程度の柔軟性が提供される。
【0101】
ケーブルを案内するときの柔軟性は、ある実施形態において、ソケット174a,174bがプラグコネクタを異なる位置に固定するための追加の構造を有する場合に重要である。例えば、プラグコネクタを第一および第二の位置のソケット174a,174b内に配置できることが考えられ、第一位置ではプラグコネクタは側面52と同一平面上で終端し、第二位置ではプラグコネクタは側面52を越えて延びるか、または支持体48の内部にさらに置かれることになるので、側面と同一平面上で終端しない。プラグコネクタへのケーブルは第二位置では、第一位置よりも長くまたは短くしなければならない。長さの違いは圧縮スペース186によって達成することができる。
【0102】
裏面の設計はここに図示した実施形態に制限されるものではないことは言うまでもない。特に、他の実施形態では、通過口164は偏心的に配置することもできる。同様に、追加の通過口に追加のケーブルガイドを設けることができ、さらに追加の側面に接続オプションを提供するために、通過口に複数のケーブルを設けることもできる。
【0103】
好適な実施形態において、安全マットの評価ユニットからの出力信号は第一通過口164を介して供給され、入力信号または制御信号は追加の通過口を介して受信される。特に好ましくは、信号はある通過口から、評価ユニットを経由して追加の通過口までつながる(loop through)ことができる。連続して接続される複数の安全マットからなるアセンブリを、このように特に効果的に形成することができる。
【0104】
関連した出願のクロス参照
本願は、2015年11月25日に出願された、ドイツ特許出願DE10 2015 120368.5の優先権を主張する。この先の出願の全ての内容は、引用により本願明細書に組み込まれるものとする。