特許第6266078号(P6266078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266078
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】技術設備を保護するための安全マット
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   G01L5/00 101Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-226179(P2016-226179)
(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公開番号】特開2017-120254(P2017-120254A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】10 2015 120 371.5
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ハンプ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム リンク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クチェラ
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−159424(JP,A)
【文献】 特許第2676057(JP,B2)
【文献】 実開平4−35316(JP,U)
【文献】 実開昭61−61723(JP,U)
【文献】 実公昭57−60495(JP,Y2)
【文献】 実開昭48−77672(JP,U)
【文献】 特許第3549132(JP,B2)
【文献】 米国特許第5602428(US,A)
【文献】 西独国特許出願公開第2138919(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L5/
G01L1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に駆動される設備を保護するための安全マットであって、センサ、堅い支持体および評価ユニットを具備し、
前記支持体は、表面、裏面、ならびに前記表面および前記裏面をつなぐ第1および第2の側面を有し、
前記評価ユニットは、前記支持体の内部に配置されて、前記センサの作動に応じて出力信号を出力するように構成され、
前記センサは、前記支持体の表面をカバーする有効表面を備え、
前記裏面は前記支持体の内部にある前記評価ユニットに接続するための開口(opening)を有し、
前記第1の側面は第1の空隙(cavity)を有し、前記第2の側面は第2の空隙を有し、
前記裏面は第1および第2のケーブルガイドを有し、前記第1のケーブルガイドは前記開口を前記第1の空隙に接続し、前記第2のケーブルガイドは前記開口を前記第2の空隙に接続している、安全マット。
【請求項2】
前記裏面は平面レベルを定めており、前記第1および第2のケーブルガイドは前記裏面にはめ込まれている、請求項1に記載の安全マット。
【請求項3】
前記第1および第2のケーブルガイドは、それぞれチャンネルを形成し、前記支持体の裏面に所定の長さおよび所定の幅の細長い凹部(recesses)が形成されている、請求項1に記載の安全マット。
【請求項4】
第1のケーブルガイドの前記所定の長さは、前記第2のケーブルガイドの前記所定の長さに等しい、請求項3に記載の安全マット。
【請求項5】
前記第1のケーブルガイドは、第1区間および第2区間を含み、
前記所定の幅は前記第1区間において一定であり、前記所定の幅は前記第2区間の長さに沿って変化する、請求項3に記載の安全マット。
【請求項6】
前記チャンネルを形成する細長い凹部は、その幅にわたって、断面が樽状の形状を有する、請求項3に記載の安全マット。
【請求項7】
前記第1および第2のケーブルガイドは前記第1のケーブルガイドがいかなるねじれもなしで前記開口および前記第1の空隙を接続し、前記第2のケーブルガイドはいかなるねじれもなしで前記開口および前記第2の空隙を接続するように構成される、請求項1に記載の安全マット。
【請求項8】
前記第1および第2のケーブルガイドは、変化する曲率を有する曲がった形状を有する、請求項1に記載の安全マット。
【請求項9】
前記第1のケーブルガイドは、少なくとも一つの真直ぐな区間と少なくとも一つの移行のための曲がりを有する、請求項1に記載の安全マット。
【請求項10】
前記第1のケーブルガイドおよび前記第2のケーブルガイドは、前記開口のある領域に少なくとも1つの共有区間を有する、請求項1に記載の安全マット。
【請求項11】
前記評価ユニットは、前記開口において固定されて、所定のケーブル長さで前記支持体から出ているケーブルによって、接続されている、請求項1に記載の安全マット。
【請求項12】
前記ケーブルはプラグコネクタを有し、前記裏面に前記プラグコネクタ用のレセプタクルとして作用する第1のくぼみ(hollow)および第2のくぼみを備える、請求項11に記載の安全マット。
【請求項13】
前記第1のくぼみは前記第1のケーブルガイドの終端に配置されて、前記第1の空隙において開いており、前記第2のくぼみは前記第2のケーブルガイドの終端に配置されて、前記第2の空隙において開いている、請求項12に記載の安全マット。
【請求項14】
前記第1のくぼみおよび前記第2のくぼみは、ある角度で、好ましくは直角で交差している、請求項12に記載の安全マット。
【請求項15】
前記プラグコネクタは接続端を有し、前記第1のくぼみおよび第2のくぼみは前記プラグコネクタが前記第1の位置および第2の位置で前記第1のくぼみに嵌入されることができるように、構成され、
前記プラグコネクタの接続端は前記第1位置で前記側面と同一面にあり、前記プラグコネクタの接続端は前記第2位置で前記側面と同一面にない、請求項12に記載の安全マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術設備を保護するための安全マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産プロセスの自動化が進むにつれて、個々の生産設備の確実な安全性に関する要件も継続的に増大している。例えば、2006年5月17日改正のEC機械指令は、機械を市場に出すとき、または初めて使用を開始するときに考慮するべき事故防止のための標準安全レベルを策定している。したがって、技術設備、機械およびロボットは相応の安全対策と合わせてでなければ受託することはできない。これらの対策には、特に、技術設備の危険領域の監視や、危険領域に無許可のアクセスがあった場合に技術設備を人および物体にとって安全な状態にすることが含まれる。
【0003】
例えば特許文献1に記述されるように、人の存在を特定するために、いわゆる圧力マットまたはスイッチングマットが先行技術から公知である。この種の安全マットは一般に、互いに離れて、帯状または格子状のスペーサで互いに距離を保たれる2つの通電プレートから構成される。人が安全マットを踏むと、プレート間に交差接続が形成されるまでプレートとスペーサとが変形する。交差接続は測定によって検出することができ、接続されている安全リレーモジュールに技術設備のスイッチを切らせるか、または前記技術設備の始動を防止させる。この種の圧力感応安全装置の設計および検査に関する一般的な基準および要求がEN ISO 13856−1に規程されている。特に、機能、標識(marking)および文書に関する最小限の安全要求が、前記規則の中に特定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第10 46 974 B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の安全マットには、機械の前の特別の表面積部だけしか監視することができないという不利な点がある。したがって、安全マットは所定のアクセス領域または所定の操作者の位置においてのみ用いられることが可能であり、その一方で、機械に対する更なるアクセスは他の安全装置または構造手段により防止しなければならなかった。特に、自動的に作動するロボットのような、自立型で、例えばすべての側から利用できなければならない最近の設備の場合、アクセスを特定の領域に制限することができない。従って、床に配置される感圧性安全装置によって、技術設備の周辺で全ての領域を保護することができることが望ましい。
【0006】
しかしながら、冒頭の段落に記載した安全マットは、個々の安全マットとして、または、いくつかの安全マットから成る複合マットとして、この保護を実行することが難しい。
【0007】
個々の安全マットの有効表面積は、それぞれのプレートサイズにより決定されて、したがって制限される。同様に、構造上の理由のために、特許文献1に示すように、感度は、安全マットの伝熱面積を通じて均一でない。したがって、識別は、制限されるかまたは、特に境界領域の全てにおいて可能であるというわけではない。
【0008】
特に大きい領域で使われる複合マットは、互いに安全マットが触れあう境界領域のそばで信頼性が高い検出が常に可能なわけではない。
【0009】
本発明の目的は、上述の不利な点を回避する安全マットを提供することである。本発明の他の目的は特にモジュラ方式で、延長することができる安全マットを提供することである。本発明のさらなる目的は、2枚の隣接する安全マットの間に遷移領域においても信頼性が高い識別を許容できる安全マットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、電気的に駆動される設備を保護するための安全マットが設けられている。安全マットは、センサ、堅い支持体および評価ユニットを備える。
【0011】
前記支持体は、表面、裏面、ならびに表面および裏面をつなぐ第1および第2の側面を有し、前記評価ユニットは、前記支持体の内部に配置されて、センサの作動に応じて出力信号を出力するように構成されている。前記センサは、前記支持体の表面をカバーする有効表面を備え、前記裏面は支持体の内部にある評価ユニットに接続するための開口(opening)を有し、前記第1の側面は第1の空隙(cavity)を有し、前記第2の側面は第2の空隙を有し、前記裏面は第1および第2のケーブルガイドを有し、第1のケーブルガイドは前記開口を第1の空隙に接続し、前記第2のケーブルガイドは前記開口を第2の空隙に接続している。
【0012】
このように、安全マットのセンサシステムとハウジング構造とを互いに分離することが着想点である。これは安全マットの有効表面積がハウジング自体ではなく、ハウジング上のセンサの配置に依存するという利点を有する。そのため、センサはハウジングの構造にも依存せず、所望のように設計することができる。
【0013】
支持体に配置されている可撓性触覚センサは、好ましくはアクティブセンサエリアが支持体の表面を実質的に完全に覆うように使用される。アクティブセンサエリアとは、機械的な負荷を検出するために、タッチに感応するセンサのエリアである。アクティブセンサエリアはセンサの有効動作エリアとも呼ばれる。
【0014】
センサとハウジングとを互いに切り離すことは、支持体自体がセンサの機能に寄与しないゆえに、支持体に対して剛性なおよび環境に適応した設計ができるというさらなる利点もあるが、むしろ支持体は前記センサを支持する役割を提供する。支持体の剛性設計は全ての有効面積上にセンサの均一な感度を都合よく保証する。その結果、センサによる識別の信頼性が増加する。さらに加えて、その堅い支持体のため、安全マットを、安全マットの感度に影響を与えずに、柔らかい床もしくは平坦でない床の領域において、都合よく用いることが可能である。これは、センサに関してこれらの平坦でない領域が堅い支持体によって補償されるからである。この点に関して、「堅い」とは、支持体が、均一な強さを有し、表面に対して垂直な少なくとも800 N/cmの圧力負荷に耐えることができることをいう。堅い支持体は1つの部分であってもよく多くの部分に分かれていてもよい。その結果、前記支持体は、本発明の意味の範囲内での剛性設計であれば、鋼板および弾性部材(例えばポリウレタン基体)から成る複合体として製造することができる。支持体の追加的な弾性部材は、支持体が床のより小さな平坦でない領域にフィットすることを都合よく助ける。
【0015】
評価ユニットは、センサに接続され、センサに対する機械負荷を評価して、評価に応じて出力信号を出力するように設計された信号処理ユニットである。堅い支持体内の評価ユニットの配置によって、評価ユニットは、安全マットが踏まれることによる機械負荷から、特に良好に保護されている。加えて、多数の個々のセンサセルを経由したセンサとの接続(それは通常、複雑である)を、好ましくは安全マットの内部において行うことができる。
【0016】
出力信号は、好ましくは安全マットの裏面の開口(opening)を経て該開口を始端とし、該開口を支持体の側面の空隙に接続するケーブルガイドによって、提供される。従って、安全マットがコンパクトな構造であるときに、出力信号を簡単な方法で外部へ導くことができる。
【0017】
特に、個々の安全マットは、連続した有効作動領域を有する複合体を形成するために、好ましくは接続されることが可能である。この場合、安全マットは、有効な作動領域の下で完全に電気的に相互に接続される。接点は選択的に第1または第2のケーブルガイドによって、好ましくは異なる側面において設けられることが可能である。その結果、安全マットが相互接続するときに、前記安全マットは特定の方向に限定されなくなる。
【0018】
安全マットをモジュールとして設計することによって、安全マット(タイルのような)を結合して複合体に形成することができ、その表面は、寄せ木張りのようにすきまなく満たされる。異なるケーブルガイドにより評価ユニットの可変的な接続ができるために、安全マットから成る複合体は、技術設備のモニタリング領域に複合体を一致させるために容易に変更もしくは延長することができる。従って、上述の目的は、完全に達成される。
【0019】
好適な改良形態において、安全マットの裏面は平面のレベルを定め、第1および第2のケーブルガイドが裏面にはめ込まれる。この改良形態によれば、安全マットをフラットに横たえることができ平面状の基体と同一になるという利点を有する。裏面は、ケーブルガイドに埋め込まれる接続部品が突出しないように凹部にケーブルガイドがはめ込まれた実質的な平面を定める。表側から安全マットに作用する機械力は、従って、ケーブルガイドに嵌入される部品の周辺に、加えられる。従って、安全マットが配置されたあと、例えばケーブル織物またはケーブルハーネスといったケーブルガイドの部品は、第1にアクセスに対して、そして第2に機械的荷重に対して保護される。
【0020】
更なる改良形態において、第1および第2のケーブルガイドはチャンネル形状であり、所定の長さおよび所定の幅を有する支持体の裏面の、細長い溝である。この改良形態によれば、評価ユニット用の接続部品、例えばケーブルまたはケーブルハーネスが、所定の形状を有するようにして、特に容易に敷設されることができるという効果がある。前記所定の形状は、接続部品の秩序ある、したがって安全な布設を許容する。それらが接続部品の長さおよび幅に対応するように、前記所定の長さおよび幅は、都合よく選択される。さらにまた、チャンネル状の凹部は、支持体の製造期間中の早い時期に、例えば支持体を直接射出成形している間、簡単な方法で作製されることができる。接続部品のための追加の保持具は必要とされない。
【0021】
特に好適な改良形態において、第1のケーブルガイドの前記所定の長さは、第2のケーブルガイドの前記所定の長さに等しい。この改良形態によれば、等しい長さの接続部品を独立してケーブルガイドが沿う側面において用いることができるという効果がある。これは特に、構造的な理由のために、開口が裏面の中央に配置されなくて、ケーブルガイドが導かれる2つの側面のうちの1つにより近いときに、有利である。従って、所定の長さを有する接続部品を、第1および第2のケーブルガイドに同じように整然としておよび安全な方法で敷設することができる。
【0022】
特に好適な改良形態において、第1のケーブルガイドは、第1の区間および第2の区間を有する。そこにおいて、前記所定の幅は第1の区間において一定である。前記所定の幅は第2の区間において区間の長さに沿って変化する。この改良形態では、ケーブルガイドの所定の圧縮空間を第2の区間において、作製できるという効果がある。前記圧縮空間によって、接続部品をこの点で、遊びをもって敷設することができるが、接続部品は他の区間においては遊びなしで導かれる。従って、隣接する安全マットの接続部品どうしを接続するときに発生する、特に接続部品の長さの比較的短い差を制御された方法で補正することができる。
【0023】
第2の区間は、一様に増加する幅を有する第1領域と、一様に減少する幅を有する第2領域とに好ましくは分けられる。従って、圧縮空間は、ケーブルガイドの一様な好ましくは連続的な、それ以外の部分では一定の幅の拡張の結果としてできる。接続部品が遊びなしでさし込まれることができる各第1の区間は、特に好ましくは、接続部品が2つの側の圧縮空間において確実に固定されるように、第2区間の2つの端を接続する。
【0024】
特に好適な改良形態において、チャンネル形の細長い複数の凹部は、その幅が断面樽状の形状を有する。この改良形態では、凹部によって特にケーブルガイドの接続部品を確実に保持することに適切にできるという効果がある。樽状の形状のために、凹部は曲がった側壁を有し、そこに対して接続部品(特に丸型ケーブル)が合うように配置される。従って、樽状の形状は、接続部品がケーブルガイドからすべり落ちるのを防止する。
【0025】
更なる改良形態において、第1および第2のケーブルガイドは第1のケーブルガイドがいかなるねじれもなしで開口および第1の空隙に接続されるように、第2のケーブルガイドが開口およびいかなるねじれなしで第2の空隙に接続されるように構成される。この改良形態によれば、接続部品がケーブルガイドの端周辺に敷設されなくてもよいという効果がある。このねじれのないケーブルガイドのプロファイルは、可とう性の度合いが低く、所定の好ましい方向を有する接続部品を許容する。例えば、それはシースに入った網で囲われたケーブルまたは敷設されるケーブルの織物であってもよい。
【0026】
更なる改良形態において、第1および第2のケーブルガイドは、様々な曲率を有する曲がった形状を有していてもよい。この改良形態によれば、単純なケーブルガイドを使うために、いかなるねじれもなしで構成されたケーブルガイドとすることができるという効果がある。さらにまた曲がった形状は、ケーブルガイドのある所定の長さを、開口や空隙の位置とは独立して実現できることを意味する。従って、側面および開口における空隙間の区間が同じでないときでも、同じ所定の長さを持った異なるケーブルガイドが採用できる。
【0027】
更なる改良形態において、第1のケーブルガイドは、少なくとも一つの真直ぐな区間と、少なくとも一つの移行点での屈曲を有する全体として曲がった形状を有する。この改良形態によれば、曲がった形状が屈曲部においてゆっくりとのみ、すなわち急激にでなく狭くなり、その結果、低い自由度の可とう性を有する接続部品であってもスムーズにケーブルガイドと適合することができるという効果がある。ここで、移行点での屈曲部とは、直線状部と弧状部との間に、もしくは2つの弧状部の間に、または、互いに関してある角度をなす2つの直線状部の間に配置される連結要素である。移行点での屈曲部は、直線状部またはアークとは対照的に、様々な曲率半径を有して、2つの区間の間の円滑な移行を許容する。曲がった形状の近接する2つの断面は、互いに関して常に接線が一定(tangentially constant)である。
【0028】
更なる改良形態において、第1のケーブルガイドおよび第2のケーブルガイドは、開口の領域において少なくとも一つの共有区間を有する。この改良形態によれば、ケーブルガイドが開口の領域において一緒に並び、ある所定の好ましい方向の接続部品が開口から出ることができて、両方のケーブルガイドに通じるように開くことができる。従って、前記開口に固定的に接続され、前記開口から好ましい方向に突出する接続部品は、2つのケーブルガイドのうちの1つに、選択的に嵌入されることができる。このようにして、開口に固定された接続部品は、好ましくは、1つのケーブルガイドから他のケーブルガイドまで移動する間にわずかな機械的荷重だけがかかる。従って、安全マットのために、この開口は、特定の予防措置なしで閉じることができて、封止することができる。この結果例えばIP67に沿った国際的な高い保護基準を確実にすることができる。同時に、安全マットの複合物は、柔軟な方法で相互接続できる。
【0029】
更なる改良形態において、開口に固定され、所定のケーブル長さで支持体から出るケーブルによって、評価ユニットは接続される。この改良形態によれば、評価ユニットは、接続部品としてのケーブルに接続している。ケーブルは出力信号を送信するための、または、制御信号または他の入力信号または電源電圧を受信するための、好ましくは多芯で、網でおおわれ、シースに入れられたケーブルである。ケーブルは所定の長さだけ支持体から出ている。すなわち、それは開口において固定され、その結果、それはより開口にさらに挿入されることも、開口から取り出されることもできない。従って、評価ユニット用の接続部品は、安全マットに固定的に接続される。その結果、支持体を完全に閉じることができて、高い国際的な保護基準を確実にするために封止することができる。
【0030】
特に好適な改良形態において、ケーブルはプラグコネクタを備えている。そして、前記裏面はプラグコネクタ用のレセプタクルとして第1のくぼみ(hollow)および第2のくぼみを有する。この改良形態によれば、裏面と一体に組み込まれたプラグコネクタによって、簡単な方法で評価ユニットを接続することが可能であるという効果がある。第1および第2のくぼみはプラグコネクタの外部の形状に一致される。その結果、プラグコネクタは第1および第2の凹部に嵌入され固定されることができる。くぼみおよびプラグコネクタはプラグコネクタがくぼみに留められることができて、固定されることができるように、好ましくは設計される。その結果、プラグコネクタは第1もしくは第2のくぼみにさし込まれた後に裏面において嵌入される。プラグコネクタはさらに、軸方向において、離散的に、または自由に移動可能でありえる。
【0031】
特に好適な改良形態において、第1のくぼみは第1のケーブルガイドの終端部に配列されて、第1の空隙において、開いている。第2のくぼみは第2のケーブルガイドの終端部に配列されて、第2の空隙において開いている。プラグコネクタのためのくぼみは、ケーブルガイドの終端を形成する。プラグコネクタが、ケーブルガイドから離れて静止している端部は、好ましくは、ケーブルガイドからくぼみへの移行部において配置されている。従って、接続部品は、引張応力がかからない方法でケーブルガイドに、都合よく位置する。
【0032】
特に好適な改良形態において、第1のくぼみおよび第2のくぼみは、ある角度で好ましくは直角で、交差する。この改良形態によれば、くぼみを互いの近くに置き、したがって開口から同程度の距離で配列することができるという効果がある。くぼみの交差角は、付随する側面が交差する角度に対応する。このようにして、側面の空隙は、安全マットの各角に、都合よく配列される。空隙は側面の交差する端から同じ距離で配列されることが好ましい。その結果、複合体を形成する個々の安全マットの組合せは更に単純化される。
【0033】
特に好適な改良形態において、プラグコネクタは接続端を有する。そして、プラグコネクタが第1位置および第2位置において第1のくぼみに嵌入されることができるように、第1のくぼみおよび第2のくぼみは構成される。そこにおいて、プラグコネクタの接続端は第1位置の側面と同一面で終了する。しかし、プラグコネクタの接続端は第2位置の側面に関して同一平面に配列されない。この改良形態によれば、プラグコネクタが異なる位置にある各くぼみにおいて保持されることができるという効果がある。そして、その結果、複合体を形成する隣接する安全マットの接続は単純化される。従って、プラグコネクタは、隣接する安全マットのプラグと接触するために、側面を越えて突出している。このようにして、各安全マットは、単純および柔軟な方法で、都合よく相互接続できる。
【0034】
前述の特徴および以下さらに説明する特徴は、それぞれ示した組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせでも、または単独でも使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態に係る安全装置の利用分野を示す模式図である。
図2】実施形態に係る安全マットを示す斜視図である。
図3】実施形態に係る安全マットのセンサを示す。
図4】別の実施形態に係るセンサを示す模式図である。
図5】実施形態に係る安全マットを示す分解組立図である。
図6】実施形態に係る安全マットの断面図を示す。
図7】実施形態に係るセンサの接続回路を示す模式図である。
図8】実施形態に係るセンサの接続回路を示す模式図である。
図9】実施形態に係る安全マットの裏面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1において、第1の圧力検知安全装置および第2の圧力検知安全装置が全体として参照記号10および12で表示されている。第1および第2の圧力検知安全装置は、ここではロボット16として特定される自動で動作する技術設備14を保護する役割を果たす。ロボット16は、例えば、生産ラインまたは組立ラインの切断または溶接ロボットであってもよい。
【0037】
ロボット16はホルダ18に取り付けられていて、駆動装置20によってそれ自体の軸を中心に回転することができる。さらに、ロボット16はその末端にツール24を有するロボットアーム22を備える。ロボットアーム22の回転および枢動(pivot)領域がロボット16の作用領域を画定し、これは同時にロボット16の危険領域に対応する。この領域への立ち入りは、無許可であっても許可があっても、ロボットを人に対する危険がない状態にすることができるように特定されなければならない。
【0038】
ここでは、特定プロセスは、安全システム26に接続されている圧力検知安全装置10および12によって行われる。安全システム26は、EN ISO 13856−1の意味における出力信号開閉装置、例えば、単純な安全開閉装置、構成可能な安全コントローラまたは他のプログラマブル制御ユニットになることができる。安全システム26は、例えば技術設備の電源を切ることによって、技術設備14を人にとって危険ではない状態にさせるように構成されている。
【0039】
図1は入力モジュール28および出力モジュール30を有するモジュール型の安全システム26を示す。入力モジュール28は回線32を介して圧力検知安全装置10,12に接続されている。この実施形態では、出力モジュール30は冗長な回線34を介してコンタクタ36に接続されており、前記コンタクタ36の動作接点38は電気駆動装置20の電源40に配置されている。プロセッシングユニット42がコンタクタ36を駆動して、入力モジュール28に印加される圧力検知安全装置10,12からの信号に応じて、危険がある場合にロボット16の電源を切るようになされている。
【0040】
言うまでもなく、技術設備14の電源を切ることは、技術設備を安全な状態にする1つの可能な選択肢でしかない。代わりとして、または追加で、別の実施形態では、安全システム26は、例えば、ロボット16にロボットアーム22を後退させることによって、安全な状態を確立するためにロボット16の動作の制御にも影響を及ぼすことができる。また、プロセッシングユニット42が第1の圧力検知安全装置10および第2の圧力検知安全装置12または他の安全装置からの合成信号を考慮して、共通の配慮に基づいてロボット16の駆動方法に関する決定を行うようにすることも同様に実行可能である。他の安全装置は、例えば、ライトバリアもしくはライトグリッドなどの非接触安全装置(BWS)、または安全カメラシステムとすることができる。
【0041】
図1による実施形態において、第1の圧力検知安全装置10は安全マット、特にEN ISO 13856−1の意味におけるスイッチングマットであり、これがロボット16のホルダ18の周囲の床に敷かれている。この実施形態では、安全マットはモジュール型で、8つの安全マットモジュール42を接続しており、全体として4つのモジュールを備える2つの列を形成している。各安全マットモジュール42は、アクティブセンサエリア44および評価ユニット46を有するセンサを具備する。
【0042】
アクティブセンサエリア44は、以下の図を参照して詳細に説明するように、圧力検知式である。評価ユニット46は圧力検知アクティブセンサエリア44への負荷を記録して、前記負荷に応じて出力信号を供給するように構成されている。評価ユニット46はデジタルもしくはアナログ回路、マイクロコントローラ、FPGA、ASIC、または他の信号処理ユニットであってもよい。
【0043】
この実施形態では、評価ユニット46からの出力信号は、第1状態および第2状態を示すことのできる信号である。安全な状態はアクティブな出力信号(常時オン)によって示されることが好ましい。特に好ましくは、出力信号はOSSD信号、すなわち、互いに同期していない2つのクロック信号を備える冗長信号である。個々の評価ユニット46からの出力信号は、回線32を介して、個別に、または合成され安全システム26の入力モジュール28に伝送される。まったく出力信号がない場合、または出力信号が予期した形で入力モジュール28に到達しない場合、安全システム26によって前述の安全機能が実行されて、技術設備14はコンタクタ36によって電源を切られる。
【0044】
個々の安全マットモジュール42から構成されている安全マットは、安全マットモジュール42の個々のアクティブセンサエリア44によって形成される実質的に連続したセンサ表面を含む。この点に関し、実質的に連続したとは、隣り合う安全マットの移行領域でも安全関連の識別を行うことができ、それに応じてパッシブな境界領域が最小限にされることを意味する。
【0045】
図1による実施形態において、安全マットモジュール42は広がりのあるベース(base)を備える直方体形の支持体を有する。ベースは、側面と比較して表面積の大きい上面および裏面を有する。安全マットモジュール42のアクティブセンサエリア44はベースの上面を完全に覆っている。そのため、安全マットモジュールの有効動作エリアは、事実上安全マットモジュール42全体に広がっている。複数の安全マットモジュールを組み合わせて、有効動作エリアは隣り合う2つの安全マットモジュール42間の突合せ継手47まで延びて、事実上シームレスな安全マットの動作エリアを形成している。ある実施形態において、支持体はさらにベースを取り囲む狭い境界(narrow border)を有し、この境界に追加の保護層を定着させると、特に高い国際保護等級(IP67)が達成される。
【0046】
安全マットの作動を識別するために、個々の安全マットモジュール42の評価ユニット46も複合体に組み合わせられている。これは安全マットモジュール42の内部または前記安全マットモジュールの裏面のアクティブセンサエリア44の下であることが好ましい。
【0047】
ある実施形態において、評価ユニット46は互いに直列に接続され、連鎖の最初または最後の評価ユニット46を安全システムの入力モジュールに接続する。直列回路は、評価ユニット46からの出力信号がなければすぐに、安全マット全体の作動がそれに接続されている安全システムに信号を送るように設計されている。しかし、他の実施形態では、個々の評価ユニット46の異なる組み合わせ、例えば、マスター・スレーブ構成および異なる信号処理も実行可能である。そのため、ある実施形態において、検出された値は個々の評価ユニット46によって直接安全システムに渡してもよく、該安全システムは安全マットモジュールの作動をどのように評価するかを独立して決定する。
【0048】
図1による実施形態において、技術設備14は安全マットおよび有効表面上に配置されている。他の好適な実施形態において、安全マットは技術設備14のホルダ18の周りに配置されていてもよい。設備が有効表面上に取付けられている場合、安全マットまたは個々の安全マットモジュールは、技術設備14が配置されている領域を無効にすることができるように構成しなければならない。言い換えると、安全マットは、アクティブセンサエリアのどの領域が作動しているかを特定するためには、空間を分解する(resolve)ことができる設計でなければならない。この空間分解能によって、技術設備14が取付けられている個々の領域は未評価のままにすることができる。
【0049】
図1による実施形態において、第2センサ12は同様に、アクティブなセンサの表面44と、回線32を介して安全システム26の入力モジュール28に接続されている評価ユニット46とを具備する。第2センサ12のアクティブセンサエリア44は技術設備14の表面、ここでは特にロボットアーム22上に配置されている。アクティブなセンサの表面44は可撓性で、技術設備14の表面の境界に合致することができる。安全マットの場合のように、複数のアクティブセンサエリア44を組み合わせて、この実施形態において複合体を形成して、有効動作エリアのサイズを増やしてもよい。好ましくは、空間を移動しているロボットの部分はアクティブなセンサの表面44により完全にカバーされている。
【0050】
図1による実施形態において、ロボットアーム22は2つの円筒形コンポーネントを有し、アクティブなセンサの表面44は前記円筒形コンポーネントの円筒形表面上に配置されている。
【0051】
第1センサ10とは対照的に、第2センサ12は技術設備14へのアクセスを監視するのではなく、ロボットアーム22と接触する物体または人を検出するように設計されている。第1センサ10の場合と同様に、第2センサの評価ユニット46は出力信号を生成し、それに基づいて、安全システム26はロボット16を制御し、特に電源を切ることができる。
【0052】
第1および第2のセンサ10,12の技術的な設計を、以下の図面を参照して詳細に説明する。同一の参照記号は同一の部品を表す。
【0053】
図2は、図1に図示した第1の圧力検知安全装置10の安全マットモジュール42の実施形態を示す斜視図である。安全マットモジュール42は、表面積の大きい平らな表面50と、表面50に垂直な狭い側面52とを備える剛性の支持体48を有する。
【0054】
図2による実施形態において、平らな表面50は矩形であり、安全マットモジュール42は全体として直方体形であるので、表面50、裏面および側面52は互いに直交している。言うまでもなく、他の実施形態では、他の形状が採用可能である。特に、三角形、菱形または六角形が考えられ、すなわち、特に隙間なく表面を埋めることのできる(寄木張りにした)形状である。
【0055】
図2による実施形態では、安全マットモジュール42は、幅60cm、奥行き1m、高さ3cmを有する。表面50は面積が0.25mから1mまでであることが好ましい。これらの寸法は安全マットモジュール42を通常のタイルのように敷くのに特に適する。
【0056】
この実施形態では、T形接続エレメント54が安全マットモジュールの2つの側縁53の底部に配置されており、安全マットモジュール42から垂直に突出している。2つの側縁53の反対側に位置する側縁に、接続エレメント54の反対側に位置する受け部56が配置されている。受け部56は支持体48の裏面における接続エレメント54に対応するT形の空隙(cavity)であるため、隣り合う2つの安全マットモジュール42を互いにぴったりくっついて置くことができ、受け部56と接続エレメント54を嵌め合うことによって固定することができる。
【0057】
言うまでもなく、他の実施形態では、他の接続手段が考えられる。例えば、ある実施形態では、接続エレメントはダブルT形の輪郭をした個別のコンポーネントにすることができ、これを必要に応じて受け部56に差し込む。別の実施形態では、安全マットモジュールを合わせて保持するために、例えばアルミニウムから成るU型材も使用することができる。
【0058】
図2による実施形態において、側面52に追加の空隙が配置されている。これらの空隙58のうちの少なくとも1つに、隣接する安全マットモジュール42との電気接触をするためのプラグコネクタ60が配置される。プラグコネクタ60を嵌めるプラグ(ここでは図示せず)を追加の空隙58に配置することができる。
【0059】
安全マットモジュール42の評価ユニットは支持体48の内部に配置されている(ここでは同様に見えない)。評価ユニットは安全システムまたは隣接する安全マットモジュール42の追加の評価ユニットに、プラグおよびプラグコネクタ60によって接続することができる。ある実施形態において、各スイッチングマットは端子プラグを必要とする。好ましくは、プラグコネクタ60を異なる空隙58に配置することができ、空隙58は好ましくは安全マットモジュール42の角領域の全部に設けられている。それにより、安全マットは特に簡単で柔軟にアセンブリに組み合わせることができる。
【0060】
この実施形態において、平らな表面50は弾性ゴムマット62、例えばポリウレタンから成るマットによって完全に覆われているので、前記マットの下に位置するセンサは隠れている。ゴムマット62は好ましくは平らな表面50および側面52の移行部に固定して、水、埃およびその他不純物が支持体48の内部に侵入できないようにする。ゴムマット62および支持体48は、安全マットモジュール42が国際保護クラスIP67に準拠するように構成されていると特に好ましい。プラグおよびプラグコネクタ60にも同じことが当てはまる。
【0061】
アクティブセンサエリアおよび安全マットの評価ユニットも、ここでは表面に突起64を有するゴムマット62の下に配置されて、滑るリスクを最小限に抑えるようにしている。
【0062】
圧力検知アクティブセンサエリアは支持体48のベースの平らな表面50全体にわたってゴムマット62の下に広がり、安全マットモジュール42のアクティブ領域を画定している。ある実施形態では、アクティブ領域は支持体48の平らな表面50全体に広がっている。言うまでもなく、個々の安全マットモジュール42は、アセンブリの一部ではなく、独立した安全マットとして使用することもできる。
【0063】
図3は安全マットモジュール42のセンサ66の好適な例示的実施形態を示す。アクティブセンサエリア44を形成しているマトリックス状のセンサ配列68に加えて、センサ66はセンサ配列68を評価ユニットに接続する接続領域70を有する。センサ配列68およびセンサ66の接続領域70は共通のキャリア(carrier)材料72から製造される。キャリア材料72は電気構造が織られている可撓性の布のような生地であることが好ましい。生地内の電気構造は導電糸と非導電糸とを使用して作成される。キャリア材料72は非常にフレキシブルで、生地のように巻いたり折り曲げたりすることができる。キャリア材料72に加えて、センサ配列68は、センサ配列68の圧力検知特性を実質的に判定する追加の生地状の材料を有する。
【0064】
センサ配列68はキャリア材料72と、キャリア材料72上の電気構造物と、感圧材料から形成されている。電気構造物は個々のセンサセル74を形成し、これがマトリックス状に行76と列78に配列されている。
【0065】
図4を参照してさらに詳しく説明するように、センサ配列68にわたる、そのためアクティブセンサエリア44にわたる全体的な圧力分散を判定するために、各センサセル74において機械的負荷を判定することができる。
【0066】
この実施形態において、接続領域70はセンサ配列68の側縁79に形成されている。他の実施形態では、接続領域70はセンサ配列68の複数の側縁にも形成することができる。接続領域70はキャリア材料72およびその上の電気構造物の延長部である。言い換えると、センサ配列68および接続領域70は実質的に単一体から製造されている。接続領域70は同様に可撓性の設計である。接続領域70は、接続領域70への移行部でセンサ配列68の側縁79に沿って走る曲げ縁80に沿って折ることができる。接続領域70は曲げ縁80の周囲に配置されるように構成されている。すなわち、接続領域70はセンサ配列68の下で曲げ縁18で折り曲げることができる。図3には、折りたたんでいないセンサが図示されている。
【0067】
接続領域70はセンサ配列68の側縁79の全長にわたり、または図3による実施形態のように、側縁79の部分領域のみにわたることもできる。接続領域70は、側縁79から始まる折り重ね領域82に空隙(cavities)84を有する。折り重ね領域82は曲げ縁80から、前記曲げ縁の全長にわたって、好ましくは1cmから2cm接続領域70に延びている。空隙84は接続領域70の通過開口であり、曲げ縁80に平行な直線上に配置されている。空隙84は好ましくは、折り重ね領域82に配置されているキャリア材料72の矩形のスロット状の空隙である。
【0068】
接続領域70は接触領域86をさらに有する。評価ユニットとの電気接続を確立できるように、接触領域86の電気構造物と接触することができる。好ましくは、接触領域86のキャリア材料72に絶縁ケーブルを織り込んでいるが、電気構造物と接触することになる地点ではケーブルの絶縁材は除去されている。これは、例えば、正確な地点でケーブルの絶縁材を後にレーザで除去することにより行うことができる。センサ配列68およびその電気接続を図4で詳しく説明する。
【0069】
図4は、センサ配列68および接続領域70におけるその電気接続の実施形態を示す模式図である。センサ配列68は第1の層88と第2の層90とを有し、それぞれキャリア材料72から製造されている。前述したように、電気構造物が第1の層88および第2の層90に配置されている。第1および第2の層88,90の電気構造物は帯状の電極92,94,96から形成されている。各層の電極は互いに平行に配置されて、絶縁用の中間領域98によって離間している。第1の層88および第2の層90は好ましくは単一体から製造されて、製造後に2つの部分に分割されて、2つの部分を重ね、互いに対して90°回転させて配置して、マトリックス状のセンサ配列68を形成する。
【0070】
第1の層88と第2の層90との間に感圧材料から成る追加の層100が配置されている。追加の層100は好ましくは導電性の不織布から成る。特に好ましくは、追加の層100は導電性コーティングを塗布したマイクロファイバー不織布である。追加の層100の感圧材料は、機械的な負荷がかけられたときに、2つの相対する電極間の電気特性が変化するように構成されている。
【0071】
第1の層88の電極92,94と第2の層90の電極96との重なり領域(ここでは破線を使って示している)に、センサ配列68のセンサセル74が形成されている。言うまでもなく、第1および第2の層の他の電極は、追加のセンサセル74を形成する。そのため、第1の層88の電極と第2の層90の電極とによって、各センサセル74に接触させることができる。
【0072】
感圧材料が機械的に負荷をかけられたときにセンサセル74の電気特性を判定する、追加の層100の感圧材料は、センサセル74の電極間に配置されている。好ましくは、センサセル74の電気特性はセンサセル74の比抵抗によって判定され、これはセンサセル74の電極を使用して測定することができる。
【0073】
センサセル74への機械的な負荷による比抵抗の変化は、さまざまな方法で生じることがある。例えば、ある実施形態では、追加の層に機械的な負荷がかけられた場合、前記追加の層の比抵抗は負荷の部位で変わる。別の好適な例示的実施形態では、負荷による抵抗の変化は、第1および第2の層88,90の電極から追加の層100の導電材料までの接触面積の変化によって生じる。すなわち、電極92,94,96を備える第1および第2の層は、圧力下で追加の層100の粗い導電材料に適合し、その結果、接触面積のサイズが大きくなり、抵抗が下がる。あるいは、抵抗の変化は、機械的負荷による追加の層100の導電材料の幾何学形状の変化によって生じる。
【0074】
別の実施形態において、感圧材料はふるい(sieve)の形で、機械的負荷の下で変形する非導電性の可撓性材料である。第1の層の第1および第2の電極は、機械的負荷の領域で第2の層の第3電極と部分的に接触することができる。そのときのセンサセルの電気抵抗は、ふるい状の格子の弾性、サイズおよび形状に依存する。そのときのセンサセルの電気抵抗は、感圧材料によって離間している電極が接触する回数によって判定する。センサセルの領域の感圧材料の機械的負荷から生じる接触点の数が多いほど、センサセルの電気抵抗は低くなる。
【0075】
好ましくは、第1の層88の電極92,94と第2の層90の電極96とは、センサ配列68の片側で接触される。前述したように、接触は、第1および/または第2の層のキャリア材料72の延長部から形成されている接続領域70で作られる。
【0076】
図4による実施形態では、第1の層88および第2の層90のキャリア材料72とも、接続領域70まで延びている。しかし、ここでは第1の層88の電極のみが接続領域70および、第1の層88の中間領域98の電極に平行に配置されている追加の導電路102まで延びている。導電路102は、電極92,94と同様に、キャリア材料72に織り込まれている。導電路102は、電極92,94と同様に、第1の層88の全幅にわたり延びることができる。
【0077】
また、センサ配列68は、追加の導電路102を第2の層90の電極96に電気接続する貫通接続部104を有する。電極と同様に、貫通接続部104は導電糸から成るが、第1の層88から、追加の層100を通って、第2の層90まで、第1および第2の層に直交して通っている。
【0078】
第1の層88の電極92,94および追加の導電路102に垂直に走っている絶縁ケーブル106が接続領域70に配置されている。ケーブル106の絶縁材は個々の接触点108で取り除かれているので、第1の層の電極92,94または追加の導電路102のうちの1つとこれらの点の絶縁ケーブル106との間に電気接続を形成することができる。絶縁ケーブル106は接続領域70の片側ではキャリア材料72から出て通っており、例えばコネクタストリップとして接続部110が設けられている。絶縁ケーブル106、そのため第1および第2の層88,90の電極92,94,96は、センサセル74内の抵抗値を接続部110によって判定することのできる評価ユニット(ここでは図示せず)に接続することができる。
【0079】
図5および図6は、安全マットモジュール42の好適な例示的実施形態を分解組立図および断面図で示す。ここでも、同一の参照記号は同一の部品を表す。
【0080】
図5は、安全マットモジュール42の層状構成を示している。第1レベルは滑り止めゴムマット62を形成し、その下にセンサ66が配置されている。センサは、支持体48に挿入されるように構成されているカバープレート112上にある。カバープレート112はセンサ66のセンサ配列68によって完全に覆われるような寸法にされているが、センサ66の接続領域70はカバープレート112を越えて突出している。接続領域70は同様にゴムマット62を越えて突出している。そのため、組み立てた状態では、ゴムマット62、カバープレート112およびセンサ配列68が層状のアセンブリを形成し、そこから接続領域70が突出している。
【0081】
この好適な実施形態において、支持体48は周囲の突出した境界116を備えるベース114を有する。カバープレート112およびセンサ配列68は支持体上にある。カバープレート112は、一方では異なる熱膨張特性を補償でき、他方で接着層の引張力が温度変化により安全マットを変形させないように選択された支持体の凹穴(bores)として直径および奥行を有する複数の接着点において、支持体48に圧力ばめでまたは密着して固定される。別の実施形態では、カバープレート112は噛み合い接続により境界116に固定することもできる。さらに、カバープレート112は1本または複数本の圧入ボルトを有することができ、支持体48は支持体48に対してカバープレート112を配向するために対応する穴を有することができる。
【0082】
ゴムマット62はカバープレート112およびセンサ配列68を越えて、境界116の上面もゴムマット62で覆われるようになるまで延びている。それにより、カバープレート112およびセンサ配列68は、好ましくは防水・防塵で、境界116の上面に接着結合されているゴムマット62により支持体48内に埋め込まれている。空隙の形の構造物118がベース114に組み込まれており、その中に、安全マットモジュール42の電子機器、例えば評価ユニットが配置されている。構造物118は電子機器を外部に接続するために、ケーブルハーネス119用の空隙をさらに有することができる。
【0083】
図6は、センサ66の曲げ縁80を横切る安全マットモジュール42の断面図を示す。センサ配列68はカバープレート112の上にあり、さらにそれが支持体48の上にある。
【0084】
カバープレート112は剛性の金属プレートとすることができ、この実施形態では、片側で180°折り曲げられ、折り曲げられた区間が支持体48の折り目に噛み合うように嵌め込まれて、金属プレートを支持体に固定するようにしている。接続領域70は側面52に折り重ねられ、これは半径124で曲がり表面50に垂直になっている。半径124は好ましくは0.2cmから1cmの範囲である。折り曲げ中、カバープレート112を支持する支持体48の突起部123は接続領域で空隙84を貫通して案内される。それにより、表面50に垂直にかかる力は接続領域70に作用せず、接続領域70を越えて突起部123を抜け、支持体48に解放される。そのため、接続領域70は人が表面を踏んでも負荷を受けない。
【0085】
図6による好適な実施形態において、支持体48は支持体の周囲に境界116を追加で具備する。滑り止めゴムマット62を境界116に載せて、支持体48の内部が密封されるようにしている。別の実施形態では、センサ配列68およびカバープレート112が境界まで延びて、接続領域70が境界116に折り重ねられ、支持体48の内部まで案内されるようにしてもよい。この場合、境界116は接続領域70の前述した空隙84が係合できる溝状外形を有して、表面50にかかる力も接続領域70を越えて解放されるようにされている。
【0086】
図7および図8は、センサ66に接続するための実施形態の2つの模式図を示す。
【0087】
図7は、第1および第2の端子126,128を有する回路配列125によって、評価ユニット(ここでは図示せず)に接続することのできる第1および第2のセンサセル74を示す。センサセル74は第1電極92と、第2電極94と、第3電極96とから形成されている。センサセル74の電極間において、前述したように、センサセル74にかかる機械的負荷に依存する抵抗値129を判定することができる。
【0088】
電極92,94,96は第1の順次切替(sequentialization)エレメント130および第2の順次切替エレメント132に接続されている。第1および第2の順次切替エレメント130,132は複数の接続端子を単一の接続端子126,128に結合するように構成されている。順次切替エレメント130,132は好ましくはデータスイッチ、いわゆるマルチプレクサである。
【0089】
順次切替エレメント130,132は複数の入力134と、単一の出力136とを有する。順次切替エレメント130,132では、1つの出力136がある特定のときに入力134のうちの1つに必ず接続されている。順次切替エレメント130,132は単一の、好ましくは集積電子装置、または単一の順次切替エレメントを形成するために一緒に連結されている複数の個別開閉装置の結合体にすることができる。
【0090】
順次切替エレメント130,132の個々の入力134間の切り替えは外部トリガ138,140によって行われる。外部トリガ138,140は評価ユニットから直接提供することができるか、または外部クロック信号によって提供することができる。後者の場合、第2の順次切替エレメント132の外部トリガ138のサイクルは、第1の順次切替エレメント130の外部トリガ140のサイクルよりも1まわり(one factor)長いことが好ましい。その比率は、第1の順次切替エレメント130が入力134のうちの第1入力を出力136に接続すると同時に、第2の順次切替エレメントがその入力134のすべてを少なくとも1度出力136に接続するように選択される。このように、それぞれの電極を第1および第2の順次切替エレメント130,132の出力136に前記順次切替エレメントによって接続することによって、センサセル74のすべてを簡単に連続してテストすることができる。
【0091】
第1および第2の順次切替エレメント130,132はその入力134で過剰に占有される(over occupied)。つまり、第1の順次切替エレメント130は第1の層88の電極92,94だけでなく、第2の層90の電極96にも接続されている。第2の順次切替エレメント132は第2の層90の電極96だけでなく、第1の層88の電極92,94にも接続されている。
【0092】
図7に図示するように、出力136は同じ電極(ここでは第3電極96)に接続することができる。このような第1および第2の順次切替エレメント130,132の配置では、センサセル74を「橋絡(bridge)」することができる。そのため、第1の順次切替エレメント130と第2の順次切替エレメント132との出力136間の直接接続を確立することができる。
【0093】
このような「短絡」は、第1および第2の端子126,128に接続されている評価ユニットによる測定で判定することができる。第1および第2の順次切替エレメント130,132が正しく接続されている場合、評価ユニットは第1端子126と第2端子128との間の対応する短絡を判定することができる。順次切替エレメント130,132をセルフテストするために、順次切替エレメントはときどき短絡させて、短絡を評価ユニットでテストする。それにより、センサの信号処理チェーンの一部としての順次切替エレメント130,132の機能性を継続的に検証することができる。
【0094】
図8は、マトリックス状のセンサ66に接触させるための特に好適な実施形態を示す。図8による実施形態において、第1の順次切替エレメント130および第2の順次切替エレメント132によって9つのセンサセル74が評価ユニット46に接続されている。第1、第2および第3の電極92,94,96に加えて、回路配列125は追加のセンサセル74に接触しているさらに3つの電極142,144,146を備えている。上記の実施形態と同様に、電極92,94,96,142,144,146はすべて、第1および第2の順次切替エレメント130,132の入力134にそれぞれ接続されている。このように、センサセル74の2つの電極の各々だけを出力136に接続できるだけでなく、前述のような直接接続を行うこともできる。
【0095】
図8による実施形態において、第2の順次切替エレメント132の出力136は第1抵抗器148を介して電気接地端子150に接続されている。第1の順次切替エレメント130の出力136は、一方では第2抵抗器152を介して電圧源154に接続されて、他方では第1の順次切替エレメント130の出力136は評価ユニット46のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)に接続されている。それにより、第2抵抗器152と第1抵抗器148との間、または第2抵抗器152と、第1および第2の順次切替エレメント130,132が接続されているセンサセル74の抵抗129と第2抵抗器152との合成抵抗との間に分圧器が形成されることになる。言い換えると、第1の順次切替エレメント130および第2の順次切替エレメント132が「短絡」すると、アナログ/デジタルコンバータ156に所定の電圧が確立されて、前記所定の電圧が第1および第2の抵抗器148,152の分圧器と、電圧源154の電圧とによって生じる。次に、センサセル74の特定の抵抗129を、この予測値からの偏差により簡単に判定することができる。
【0096】
このように、評価ユニット46によってセンサセル74の瞬時的な抵抗、またそのためセンサセル74への対応する圧力負荷の判定が特にしやすい。また、順次切替エレメント130,132の接続(addressing)を簡単にテストすることができる。順次切替エレメント130,132を監視するための追加の装置は必要ない。
【0097】
さらに、第1抵抗器148および第2抵抗器152がそれぞれ調整可能であれば、アナログ/デジタルコンバータ156が正しく動作するかテストできる。第1および第2の順次切替エレメント130,132が同じ電極に接続されているときに存在する可変の分圧器のおかげで、アナログ/デジタルコンバータ156の領域全体を検証可能にすることができる。センサセル74の評価結果、ならびに順次切替エレメントおよび/またはアナログ/デジタルコンバータ156の監視結果を、さらに処理するために上位の制御ユニットに転送することができる。
【0098】
ある実施形態において、評価ユニット46はOSSDとすることができる。すなわち、出力信号は第1状態および第2状態を示すことのできるOSSD信号である。好ましくは、信号は互いに同期していない2成分を有する冗長クロック信号である。第1状態はセンサの安全状態、つまり、センサセル74が負荷を受けておらず、かつ順次切替エレメント130,132またはアナログ/デジタルコンバータ156のいずれにも障害が特定されなかった状態を示す。第1状態は積極的に信号が送られ、すなわち、この状態で冗長信号が存在しなければならない。第2状態は冗長なクロック信号がない状態で信号が送られて、センサセル74が負荷を受けているか、または順次切替エレメント130,132もしくはアナログ/デジタルコンバータ156に障害が存在することを示す。
【0099】
別の実施形態において、評価ユニット46からの出力信号は、どのセンサセル74が負荷を受けているのか、またはどのセンサセル74が負荷を受けていないのかに関する情報を示す符号化信号を含む。同様に、順次切替エレメント130,132およびアナログ/デジタルコンバータ156のセルフテスト結果は安全システムに伝送されて、一方ではセンサ66が触れられたかどうかの評価を行うことができ、他方ではセンサ66の機能性およびその信号処理を示す診断レポートを生成できるようにする。
【0100】
最後の2つの実施形態の間の中間構成も考えられる。例えば、OSSD信号が評価ユニットによって提供されるのと同時に、診断データが第2出力によって提供される。言うまでもなく、図8による実施形態は任意の所望の数のセンサセル74に適用することができ、本開示に示される9つのセンサセルに限定されるものではない。
【0101】
図9は、好適な実施形態に係る新規な安全マットの裏面を示す斜視図である。安全マットの裏面160は支持体48の底面に対応する。裏面160は、支持体48内に位置している電子機器の接続を可能にするために構造物が組み込まれている平らな表面162を実質的に有する。構造物は、平らな表面162に、例えば表面フライス加工(milling)プロセスにより組み込まれるか、または支持体48の製造中、例えば射出成形中に直接形成される。
【0102】
図9による実施形態において、構造物は通過口(passage opening)164と、第1、第2、第3および第4のケーブルガイド166,168,170,172と、裏面160のくぼみの形としてのソケット174a,174bとを有する。通過口164は、平らな表面162に垂直で、好ましくは穴(bore)の形で、支持体48を貫通して延びている開口である。例えば安全マットの評価ユニットなど、支持体48内に配置されている電子機器への接続は、通過口164を通して確立することができる。
【0103】
好適な実施形態において、ここでは図示していないケーブルは通過口164を通して案内される。ケーブルは保護被覆の施された多心ケーブルであることが好ましい。代わりとして、既製のケーブルハーネスを使用することも実行可能である。
【0104】
ケーブルは好ましくは通過口164に固定されて、通過口164はそれ以外をシールまたは詰め物で防塵・防水可能に封止して、例えばIP67に準拠した高い国際保護等級を確保できるようにする。この固定のおかげで、支持体48から通過口164を出るケーブルの部分は所定の固定長を有し、プラグコネクタが前記ケーブルの末端に配置されている。プラグコネクタはタイプM5,M8またはM12の多極丸型プラグコネクタであることが好ましい。好適な実施形態において、プラグコネクタはDIN EN 61076−2−104に準拠したネジロック構成、またはスナップロック構成を有する。プラグコネクタは、例えばプラグコネクタをケーブルに成形することによって、IP65/IP67保護等級を有することができる。プラグコネクタは、信号伝送のために高度な信頼性を確保するために、360°の耐EMCシールドを有する金属ハウジング内に配置されていることが特に好ましい。
【0105】
ソケット174a,174bはプラグコネクタ用の受け口を形成する。ソケット174a,174bの形状は、プラグコネクタの形状に合致させている。ソケット174a,174bは、丸型プラグコネクタを留めることのできる半円形の断面を有する細長いくぼみにして、プラグコネクタをくぼみで保持することが好ましい。ソケット174a,174bは片側が側面52a,52bの空隙176a,176bに開いており、反対側はケーブルガイド166,168,170,172のうちの1つと合流している。それぞれの場合において、2つのソケット174a,174bは、第1および第2の側面52a,52bが合流する角領域で互いに交差するように配置されていることが特に好ましい。2つのソケット174a,174bの空隙(cavity)176a,176bが2つの側面52a,52bの突合せ縁178から離れている距離は好ましくは同じであって、安全マットが互いにぴったり接するときに、隣り合う2つの安全マットの空隙176a,176bが互いに相対して配置されるようにする。支持体が直方体である好適な実施形態において、4つの角すべてに交差するソケットが配置されていて、それぞれの場合において空隙は直方体形の支持体の側縁から一定の距離にある。このように、安全マットは特に柔軟に互いに組み合わせて、マルチコンポーネントアセンブリを形成するように接合することができる。
【0106】
ソケット174a,174bはケーブルガイド166,168,170,172を通して通過口(passage opening)164に接続されている。図9による実施形態において、通過口164は安全マットの端面180に対して中心に配置されている。ここで、2つのソケット174aは、ソケット174aの空隙(cavities)176aが側面52aにある第1配向に配置されて、2つの追加のソケット174bが第2配向に配置されて、前記追加のソケットの空隙176bが側面52bにあるようになされている。第1および第2の配向は、支持体48が矩形のときに、互いに対して90°の角度であることが好ましい。ソケット174a,174bからケーブルガイド166,168,170,174までの移行部182a,182bは、通過口164から第1および第2の距離で配置されており、第1距離と第2距離とは異なる。移行部182a,182bで縁が形成されるので、ソケット174a,174bに差し込まれるプラグコネクタがケーブルガイドに滑り込むことはない。
【0107】
通過口164から出てくるケーブルをケーブルガイド166,168,170,172に差し込むことができる。ケーブルガイド166,168,170,172は、通過口164から移行部182a,182bまで走っている平らな表面162のチャネルを形成する。チャネルの壁は丸みをつけられており、丸みをつけられた部分はケーブルの表面が少なくとも部分的にチャネルの壁にぴったりくっつくように設計されている。チャネルの深さは、ケーブルをチャネルに完全に差し込めるように、そのため平らな表面162から突出しないように設計されている。チャネルは好ましくは断面が樽状の外形を有する。別の実施形態では、外形はU字形であり、下側の角が丸められている。
【0108】
ある実施形態において、チャネルは通過口164から出てくるケーブルの所定の長さに対応する長さを有する。個々のケーブルガイド166,168,170,172のチャネルは等しい長さであることが好ましい。ケーブルガイド166,168,170,172の外形は大きな曲率半径で湾曲しており、角がまったくない。外形は急激な曲がりがない。半径は10cmより大きいことが好ましい。
【0109】
図9による実施形態において、ケーブルガイド166,168,170,172は湾曲した外形の各区間(section)を作る。区間は直線状または湾曲状の区間にすることができる。区間の間に、直線区間から弓状区間までの移行部の湾曲が急激ではなく緩やかにのみ狭くなっていくように構成されている移行曲げ部が配置されていることが好ましい。湾曲した外形は、可撓性の低い硬いケーブルでもしっかりとケーブルガイドに差し込まれ、そのため確実に嵌まることができるようになる。特に、芯が折れるリスクや、ケーブルが急激に曲がって交差した接続が形成されるように複数の芯が押しつぶされるリスクを低減する。
【0110】
ある実施形態において、ケーブルはケーブルガイド166,168,170,172に遊びなく敷設されている。別の好適な実施形態では、チャネルは少なくとも1つの第1区間184と1つの第2区間186とを有する。ケーブルは第1区間184に遊びなく敷設することができる。第2区間186では、ケーブルガイドがこの領域で広がることにより圧縮スペース(compression space)が形成されている。第2区間186の第1領域におけるケーブルガイドの所定の幅は好ましくは均等に増加し、隣接する第2領域において、第1区間184の所定の幅まで再び連続的に減少する。圧縮スペース186は、ケーブル長さのわずかな違いを補償するために、ケーブルを遊びなく敷設するように設計されている。圧縮スペース186のある区間と正確に嵌まるケーブルガイドのある区間184とを組み合わせることにより、チャネル内にケーブルを効果的に固定することができ、同時に圧縮スペース184によりケーブル長さに関してある程度の柔軟性が提供される。
【0111】
ケーブルを案内するときの柔軟性は、ある実施形態において、ソケット174a,174bがプラグコネクタを異なる位置に固定するための追加の構造を有する場合に重要である。例えば、プラグコネクタを第1および第2の位置のソケット174a,174b内に配置できることが考えられ、第1位置ではプラグコネクタは側面52と同一平面上で終端し、第2位置ではプラグコネクタは側面52を越えて延びるか、または支持体48の内部にさらに置かれることになるので、側面と同一平面上で終端しない。プラグコネクタへのケーブルは第2位置では、第1位置よりも長くまたは短くしなければならない。長さの違いは圧縮スペース186によって達成することができる。
【0112】
裏面の設計はここに図示した実施形態に制限されるものではないことは言うまでもない。特に、他の実施形態では、通過口164は偏心的に配置することもできる。同様に、追加の通過口に追加のケーブルガイドを設けることができ、さらに追加の側面に接続オプションを提供するために、通過口に複数のケーブルを設けることもできる。
【0113】
好適な実施形態において、安全マットの評価ユニットからの出力信号は第1通過口164を介して供給され、入力信号または制御信号は追加の通過口を介して受信される。特に好ましくは、信号はある通過口から、評価ユニットを経由して追加の通過口までつながる(loop through)ことができる。連続して接続される複数の安全マットからなるアセンブリを、このように特に効果的に形成することができる。
【0114】
〈関連出願のクロスリファレンス〉
本出願は2015年11月25日に出願されたドイツ国特許出願DE 10 2015 120 371.5の優先権を主張する。この先の出願の内容全体を参照によりこれに組み込む。
図1
図2
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図9