特許第6266105号(P6266105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266105オレフィンに硫化水素を付加することによるメルカプタンの合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266105
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】オレフィンに硫化水素を付加することによるメルカプタンの合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 319/04 20060101AFI20180115BHJP
   C07C 321/04 20060101ALI20180115BHJP
   B01J 23/26 20060101ALI20180115BHJP
   B01J 31/10 20060101ALI20180115BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180115BHJP
【FI】
   C07C319/04
   C07C321/04
   B01J23/26 Z
   B01J31/10 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-525944(P2016-525944)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-539097(P2016-539097A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】FR2014052692
(87)【国際公開番号】WO2015059412
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】1360377
(32)【優先日】2013年10月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カゾー,ジャン−ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】オストレロ,デルフィーヌ
【審査官】 天野 斉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500417(JP,A)
【文献】 特開平02−003667(JP,A)
【文献】 米国特許第03257302(US,A)
【文献】 特表2006−500416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端オレフィンおよび硫化水素から出発する、メルカプタンを合成する方法であって、
少なくとも以下の連続工程:
−A− 酸触媒によって触媒する、末端オレフィンへの硫化水素の接触付加工程、次いで
−B− 前記付加反応生成物を、以下の画分へ分離する工程、
過剰の硫化水素およびオレフィンを含む軽質画分、ならびに
少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分、
−C− 酸触媒上に、工程Bから得られた前記軽質画分を通す仕上げ工程、次いで
−D− 前記仕上げ工程からの生成物を以下の画分へ分離する工程
硫化水素が豊富な画分、および
付加生成物が豊富な画分、次いで
−E− 接触付加工程Aに、前記硫化水素が豊富な画分をリサイクルする工程
を含む、方法。
【請求項2】
合成されるメルカプタンが第2級メルカプタンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記付加工程で使用される触媒がルイス酸部位を含む触媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程Aの付加反応および/または仕上げ工程Cが、固体酸触媒を使用する不均一触媒反応であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ルイス酸部位を含む触媒が、活性炭、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化トリウム、軽石、およびシリカ−アルミナ組成物から選ばれる担体上に堆積された、モリブデン酸化物、コバルト酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸コバルト、リンタングステン酸から選択されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記末端オレフィンが、以下の一般式(1):
C=CH (1)
[式中、Rは水素原子を表し、および
は1から20個の炭素原子を有する、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を表す。]
を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記末端オレフィンが、1−ブテンであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記仕上げ工程に使用される触媒が、陽イオン交換樹脂、および交換されているまたはされていないゼオライトから選択される強酸部位を有する酸触媒であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の追加工程:
−F− 合体した、分離工程Bから得られた前記重質画分と分離工程Eから得られた前記付加生成物が豊富な画分とを、以下の画分へ精製する工程、
1つ以上のメルカプタンを含む1つ以上の軽質画分、および
硫化物を含む重質画分
を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
以下の追加工程:
−G− 仕上げ工程Cに、請求項9に定義された精製工程Fからの前記重質画分をリサイクルする工程
を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項で定義された方法を実施するための装置であって、
パイプライン(2、3)を介して硫化水素およびオレフィンが供給される付加反応器(1)、
付加反応器(1)の出口に接続され、第1の分離装置(5)に粗製反応混合物の流れを供給するパイプライン(4)、
第1の分離装置(5)の出口に接続され、仕上げ反応器(8)に前記過剰の硫化水素とオレフィンとを含む軽質画分を供給するパイプライン(7)、
仕上げ反応器(8)の出口に接続され、第2の分離装置(10)に仕上げ反応器(8)からの反応混合物の全てを供給するパイプライン(9)、
第2の分離装置(10)の出口に位置し、前記硫化水素が豊富な画分を付加反応器(1)にリサイクルするパイプライン(11)、および
第1および第2の分離装置(5、10)から来る、前記少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分、ならびに前記付加生成物が豊富な画分を回収するパイプライン(12、6、120、60)
を含む、装置。
【請求項12】
第1および第2の分離装置(5、10)から来るパイプライン(6、12)に接続され、第1のライン(16)で第2級メルカプタンを、第2のライン(15)で直鎖メルカプタンを単離することができ、且つ第3のライン(14)で前記硫化物および他の副生成物を含む重質画分を排出することができる精製装置(13)を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
精製装置(13)の出口に接続され、前記硫化物および他の副生成物を搬送し、仕上げ反応器(8)に供給するライン(17)を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メルカプタン(チオールとも呼ばれる)の分野に関し、より具体的には末端オレフィンへの硫化水素の接触付加によるメルカプタンの合成方法に関する。
【0002】
本発明は、この方法を実施するための装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
多くの研究が、メルカプタンまたはチオールへの工業的関心のゆえにこれらの化合物の製造の開発のために行われている(Forquy, Arretz, Heterogeneous Catalysis in Mercaptan Industrial Synthesis, Studies in Surface Science and Catalysis、41巻,(1988),91−104頁参照)。
【0004】
例えば、金属酸化物、例えば、タングステンまたはセシウムの酸化物、およびアルカリ誘導体を含浸させたアルミナタイプの触媒の存在下で硫化水素によるアルコールのチオール化反応を使用する、広く用いられている方法が知られている。このチオール化は、例えば、第1級メルカプタンの合成の場合に使用される。
【0005】
オレフィンへの硫化水素の付加を使用する方法も知られている。オレフィンへの硫化水素の付加は、触媒条件またはラジカル条件(例えば、光化学)にあるか否かによって、マルコフニコフ則または反対に反マルコフニコフ則に順応できるスルフヒドリル化(sulphydration)反応である。スルフヒドリル化方法は、様々な触媒の存在下において加圧下で硫化水素(HS)をオレフィンと反応させることを目的として提案された。この合成は、非常によく文献(Reid, Organic chemistry of bivalent sulfur,1巻,20,(1958))に記載され、均一酸触媒(文献US2531601号に記載されたAlCl、または文献GB602238号、US243410号およびUS2443852号に記載されたBF)または強酸部位を有する不均一触媒(文献US4565893号に記載された陽イオン交換樹脂、文献US4102931号に記載された交換ゼオライト)、または担持リン酸(US2950324号)、少量のアルミナを含むシリカ(US2951875号)、金属酸化物に含浸させたまたはさせていないアルミナ(US6162952号)、またはヘテロポリ酸(US3036133号、FR2844794号)のような様々なタイプの触媒を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2531601号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第602238号明細書
【特許文献3】米国特許第243410号明細書
【特許文献4】米国特許第2443852号明細書
【特許文献5】米国特許第4565893号明細書
【特許文献6】米国特許第4102931号明細書
【特許文献7】米国特許第2950324号明細書
【特許文献8】米国特許第2951875号明細書
【特許文献9】米国特許第6162952号明細書
【特許文献10】米国特許第3036133号明細書
【特許文献11】仏国特許第2844794号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Forquy, Arretz, Heterogeneous Catalysis in Mercaptan Industrial Synthesis, Studies in Surface Science and Catalysis、41巻,(1988),91−104頁
【非特許文献2】Reid, Organic chemistry of bivalent sulfur,1巻,20,(1958)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
出願人は、特に、この末端オレフィンへ硫化水素を接触付加させるこの反応の収率を向上させることを目的とする。実際、この付加反応は、特に反マルコフニコフ反応、二重結合の異性化反応、およびチオエーテルの形成をもたらす出発反応物質、即ち、オレフィンへのメルカプタン(主反応において形成される)の付加反応から誘導される特定数の副生成物をもたらす。
【0009】
内部オレフィンのようなこれらの不純物のいくつかは、方法に非反応性化合物の蓄積のような、かなりの制約を生じ、明白な経済的理由のために除去できない。
【0010】
このような方法の実行可能性の性能はこのような不純物の存在によって著しく損なわれる。
【0011】
メルカプタンの製造において副生成物として得られたチオエーテルは、一般的に商業的興味の対象ではなく、収率の損失を意味し、それをできるだけ制限することが生産効率および精製工程のコストの両方を最適化するために常に有用である。
【0012】
従って、出願人はこの方法を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
選択性を向上させるために、特にチオールの収率を増加させるために、触媒についての研究が行われてきた。しかし、出願人は、ここでは触媒について作業することを選択せず、方法それ自体の改善に集中した。
【0014】
技術的課題は、オレフィンに硫化水素を付加する工程および未反応原料のリサイクル工程に続く仕上げ工程を追加することによって解決された。
【0015】
結果的に、本発明は、少なくとも以下の連続工程を含む、末端オレフィンおよび硫化水素からメルカプタンを合成する方法に関する。
−A− 酸触媒によって触媒する、末端オレフィンへの硫化水素の接触付加工程、次いで
−B− 前記付加反応生成物を以下の画分へ分離する工程、
過剰の硫化水素およびオレフィンを含む軽質画分、ならびに
少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分、
−C− 酸触媒上に工程Bから得られた前記軽質画分を通す仕上げ工程、次いで
−D− 前記仕上げ工程からの生成物を以下の画分へ分離する工程
硫化水素が豊富な画分、および
付加生成物が豊富な画分、次いで
−E− 接触付加工程Aに、前記硫化水素が豊富な画分をリサイクルする工程。
【0016】
本発明は本発明による方法を実施するための装置にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】メルカプタンの合成のための装置について記載する。
図2図1の変形例であり、追加の精製装置を含む。
図3図2の変形例であり、追加のラインを含む。
図4図1の変形例であり、追加の分離装置を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明および本発明による装置の実施形態を示す添付の図1から4、ならびに以下の実施例を読むことで明らかになるであろう。
【0019】
また、表現「aからbの間」によって示される値のあらゆる範囲はaを超え、b未満(即ち、限界値aおよびbを除外)の値の範囲を表し、一方、表現「aからb」によって示される値のあらゆる範囲はaからbまで(即ち、限界値aおよびbを含む)の値の範囲を意味する。
【0020】
付加工程
本発明に係る方法は、末端オレフィンへの硫化水素の接触付加工程から始まる。
【0021】
硫化水素
硫化水素は、オレフィンの転化を得るために十分な量でこの方法で使用される。一般に、この量は、1から100、好ましくは2から30、より好ましくは2から12のHS/オレフィンのモル比に対応し得る。好ましくは、硫化水素が付加反応において過剰に使用される。過剰の硫化水素の添加により、チオエーテルまたはオリゴマーの形成の競合反応に対してチオールの形成反応を促進することができる。
【0022】
好ましくは、付加工程は硫化水素の加圧下で行われる。好ましくは、圧力は1MPaから2MPaである。これらの条件により、滞留時間のパラメーターを変更することにより、当量の触媒での転化のレベルを増加させることが可能になる。方法は、連続方法としてまたはバッチ方法として行うことができる。好ましくは、連続方法である。
【0023】
触媒の体積に対する(合成条件で)オレフィンおよび硫化水素の1時間当たりの体積流量の比として定義される1時間当たりの液空間速度は、触媒活性に応じて大きく異なり得る。この値は、一般に1から150h−1の間、好ましくは50から150h−1の間である。
【0024】
末端オレフィン
末端オレフィンは、本発明の意味において、二重結合が必ず炭化水素鎖の一端に位置する不飽和炭化水素を意味する。
【0025】
好ましくは、出発反応物質として使用されるオレフィンは、以下の一般式(1)のものとすることができる:
C=CH (1)
式中、Rは水素原子を表し、および
は1から20個の炭素原子、好ましくは2から20個の炭素原子、より具体的には2から12個の炭素原子を有する、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を表す。基Rは、必要に応じて、問題の反応に対し不活性の基で置換される。例えば、この基はシクロアルキル、アリール、カルボキシ(−COOH)、アルキルカルボニル(−C(O)OR)、アルコキシ(−OR)、アルキルカルボニル−オキシカルボニル(−C(O)−O−C(O)−R)、シアノ(−CN)、チオカルボキシ(−C(S)−OH)、メルカプトカルボニル(−C(O)−SH)、アルコキシ(チオカルボニル)(−C(S)−OR)、(アルキルチオ)カルボニル(−C(O)−SR)、アルキルカルボニルチオカルボニル(−C(O)−S−C(O)−R)、ハロゲン原子、スルホ(−SOH)、チオニル(R−S(O)−)、アルキルスルホニル(R−S(O)−)、アルコキシスルホニル(RO−S(O)−)、シラン官能基を含む基、および/またはシロキサンおよび/またはリン酸塩から選択することができるが、これらに限定されない。
【0026】
Rは1から20個の炭素原子、好ましくは2から20個の炭素原子、より具体的には2から12個の炭素原子を有する、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を表す。
【0027】
好ましく使用されるオレフィンは、CからC20の直鎖状末端オレフィンである。好ましいオレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセンおよび1−ドデセンから選択される。より具体的には、1−ブテンが使用される。この場合、スルフヒドリル化反応は2−ブタンチーオールをもたらす。
【0028】
触媒
本発明の方法は、不均一系触媒反応に対応する酸触媒、好ましくは固体酸触媒を使用する。
【0029】
好ましくは、これらの触媒は以下から選択される:
− 以下:
−(i)式:HPW1240,nHO、HSiW1240,nHOまたはH1862,nHOの化合物(nは、一般には0から30の間、好ましくは6から20の間の、結晶化の水分子の数を表す整数である);および
−(ii) 少なくとも1つの化合物(i)の、カリウム、ルビジウム、セシウムもしくはアンモニウム塩、または該塩の混合物;
から選択される1つ以上のヘテロポリ酸:
− 硫酸化ジルコニア
− タングステネイティド(tungstenated)ジルコニア、
− ゼオライト、
− カチオン樹脂、ならびに
− 金属酸化物。
【0030】
ヘテロポリ酸(i)は、一般に、リン酸、ケイ酸、タングステン酸のような2つ以上の異なるオキソ酸を縮合させることによって得られる。それは水または極性有機溶媒に可溶性である。式:HPW1240,nHOの化合物は、12−リンタングステン酸または12−タングストリン酸の名前で知られており、市販されている。式HSiW1240,nHOの化合物は、12−タングストケイ酸または12−ケイタングステン酸の名前で知られており、市販されている。
【0031】
式H1862,nHOの化合物は、以下の文献:A. P . Ginsberg, Inorganic Synthesis、27巻,J. Wiley & sons出版、(1990)、105−107頁に記載の手順に従って調製することができる。
【0032】
ヘテロポリ酸(ii)は、対応するカチオンによるヘテロポリ酸(i)の1つ以上のプロトンの部分置換により得られる塩である。そのような置換は完全なものとはできず、さもなければ酸性度が失われるであろうことは当業者には明らかであろう。このような塩は、所望の量のアルカリまたはアンモニウムの前駆体が添加されたヘテロポリ酸(i)の溶液から調製される。
【0033】
好適な前駆体は対応する塩化物または炭酸塩である。沈殿した塩は分離され、次いで温和な条件、好ましくは、遠心分離およびその後の凍結乾燥により、乾燥される。以下を参照として挙げることができる:N. Essayem, G. Coudurier, M. Fournier, J.C. Vedrine, Catal. Lett.,34(1995)、224−225頁。
【0034】
これらのヘテロポリ酸は、活性炭、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化トリウム、軽石、およびシリカ−アルミナ組成物のように、既知の担体上に堆積させることができる。
【0035】
硫酸化ジルコニアは、以下の文献:F.R. Chen,G. Coudurier,J−F Joly and J.C. Vedrin, J. Catal.,143(1993)、617頁に記載された方法によって、酸化ジルコニウム担体上に硫酸を含浸させることにより調製される。
【0036】
タングステネイティドジルコニアは、Soledらの特許(US5113034号)に記載された方法によって、酸化ジルコニウム担体上に酸化タングステンを含浸させることによって調製される。
【0037】
また、陽イオン交換として当該技術分野で知られている酸官能基を有する全ての様々なポリマーおよびコポリマーは、本発明に従って使用される触媒として適切であり得る。特に、ジビニルベンゼンによるスルホン化ポリスチレンに基づく架橋樹脂、遊離のカルボキシル基を有するアクリル樹脂またはフェニルアクリル樹脂、フェノールスルホン酸から誘導されるフェノール−ホルムアルデヒドタイプの樹脂、リグノ−スルホン交換体等を特に使用することができる。この種の樹脂は様々な名前、特に、Allassion(R)、Cecacit(R)、Wofatites(R)、Levatites(R)、Imac(R)、Ionac(R)、Amberlites(R)、Amberlyst(R)、Liquorex(R)、Zeorex(R)、Zeocarb(R)、Dowex(R)等で市販されている。スチレンとジビニルベンゼンとのスルホン化コポリマーは特に好適であり、例えば、Amberlyst(R)、Lewatit(R)、またはDowex(R)の名称で市販されているものがある。また、Nafion(R)の商標で知られているテトラフルオロエチレンとペルフルオロスルホン酸(特に、ペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸)のコポリマーを有利に使用することができる。どのような樹脂が触媒として使用されるかにかかわらず、0.5%を超える水を含有しないこと(80℃での6時間の乾燥後に決定することができる)を保証する必要がある(有利には0.2重量%未満の水)。
【0038】
アルミナ上にモリブデン酸化物、コバルト酸化物、クロム酸化物またはモリブデン酸コバルトを使用することも可能である。これらは、活性炭、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化トリウム、軽石、およびシリカ−アルミナ組成物のような、既知の担体上に堆積させることができる。
【0039】
好ましくは、付加工程において、ルイス酸タイプの触媒が使用される。好ましくは、ブレンステッド酸タイプの触媒が仕上げ工程に使用される。
【0040】
好ましくは、付加工程において使用される触媒は、ルイス酸部位を含有する触媒である。
【0041】
好ましくは、ルイス酸部位を含有する不均一触媒は、活性炭、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化トリウム、軽石、およびシリカ−アルミナ組成物から選ばれる担体上に堆積された、モリブデン酸化物、コバルト酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸コバルト、リンタングステン酸から選択され、より具体的にはアルミナ上に担持された酸化クロムである。
【0042】
好ましくは、仕上げ工程のために使用される触媒は、転化率を最大化するために、最初の付加反応に使用される触媒とは異なる。
【0043】
反応の最初の部分では、前述の反応物質は上記で定義された触媒組成物の充填の存在下で接触させる。
【0044】
この方法は、気相もしくは液相で、または気/液相中で行うことができる。好ましい実施形態では、使用される温度および圧力の条件が、反応物質および生成物が気体状態であるようなものである場合、反応は気相中で行われる。
【0045】
方法は好ましくは反応物質が連続的に供給される反応器中で行われるが、バッチ式反応器も用いることができる。
【0046】
反応温度は、使用されるオレフィンおよび転化率の所望の程度に応じて異なるが、一般には30から350℃、好ましくは100から350℃の範囲である。
【0047】
分離工程
次いで、付加反応の生成物を
過剰の硫化水素ならびに末端および/または内部オレフィンを含む軽質画分、および
少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分
に分離する工程が続く。
【0048】
仕上げ工程に意図される画分は軽質画分である。それは未反応の反応物質、即ち、反応器内で過剰に添加された硫化水素、末端オレフィン、および酸性反応環境の影響下で異性化されたオレフィンを含む。
【0049】
実際、酸性環境の影響下では、末端二重結合の移行が観察された。得られたオレフィンは、鎖の一端に位置していた二重結合の鎖の内部へのこの移行のために、「内部オレフィン」と呼ばれる。
【0050】
維持される第2の画分は付加反応の生成物、即ち、マルコフニコフに従う付加の優勢な生成物、反マルコフニコフ付加の生成物および硫化物またはチオエーテルを含む。
【0051】
反応混合物中のこれらの化学種の分子量のため、蒸留が分離の適切な方法であり得る。気/液分離も可能である。
【0052】
仕上げ工程
分離工程Bからの軽質画分、即ち、付加反応器中でメルカプタンまたは硫化物に転化されなかった反応物質は、場合により仕上げ反応器に直接供給される追加の量の硫化水素の存在下で、適切な技術(固定床、多管、流動床等)の触媒仕上げ反応器内で処理される。
【0053】
本発明による方法は、不均一触媒反応に対応する酸触媒、好ましくは固体酸触媒を使用する。
【0054】
この仕上げ反応器は酸触媒を使用する。この触媒は、強酸部位を有する酸触媒である。より具体的には、それは陽イオン交換樹脂、および交換されているまたはされていないゼオライト、特に、担持ヘテロポリ酸、タイプAmberlyst(R) A15、A16、A35、A36、A70のマクロ架橋スルホン化樹脂から選択される。Amberlyst(R) 35、36dryが特に好適である。これらの樹脂はダウ社により供給される。
【0055】
仕上げ工程では、触媒は、好ましくは、例えば、「Amberlyst(R) 36dry」の名称の下で販売されたマクロ架橋スルホン化樹脂である。
【0056】
この工程は、最初の反応工程としての硫化水素の圧力と同じ範囲内で、100から150℃の範囲の温度で行うことができる。この工程により、触媒上の異性化オレフィンを反応器に存在する硫化水素と反応させることにより異性化オレフィンを転化することが可能になる。
【0057】
この工程は、気相中または液相中で連続的またはバッチ方法として行うことができる。好ましくは、連続的に行われる。
【0058】
触媒の体積に対する(合成条件における)オレフィンおよび硫化水素の1時間当たりの体積流量の比として定義される、1時間当たりの液空間速度は、触媒の活性に依存して大きく変化し得る。この値は、一般に1から150h−1、好ましくは50から150h−1である。
【0059】
分離工程
その後、仕上げ工程からの生成物を
硫化水素が豊富な画分および
付加生成物が豊富な画分
に分離する工程が続く。
【0060】
付加生成物に富む画分は、マルコフニコフに従った付加の優勢な生成物、反マルコフニコフ付加の生成物および硫化物を含む。
【0061】
リサイクル
仕上げ工程中に反応しなかった反応物質、即ち、付加反応器内および場合により仕上げ反応器内で過剰に添加された硫化水素および、仕上げ工程中でも未だ反応しなかった微量のオレフィンは、再び付加反応を受けるために付加反応器にリサイクルされる。
【0062】
リサイクル工程は、反応しない副生成物の蓄積を回避するために、除去(パージ)を含むことができる。
【0063】
好ましくは、上記の方法は、第2級メルカプタンの合成をもたらす。
【0064】
第1の実施形態によれば、本発明の方法は、この方法の終わりに追加の精製工程Fを含むことができる。
【0065】
分離工程Bから得られた重質画分および分離工程Eから得られた付加生成物が豊富な画分は、各々少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上の硫化物を含むが、期待されたメルカプタンを単離するために、合体され、精製される。
【0066】
反応混合物中に存在する化学種の分子量のため、蒸留が分離の適切な方法であり得る。このように、この工程Fにより直鎖メルカプタンおよび硫化物から第2級メルカプタンを単離することが可能となる。
【0067】
第2の実施形態によれば、前記の最後の精製工程Fから生じた硫化物は、仕上げ工程Cにリサイクルされる。
【0068】
これらの硫化物の存在により、仕上げ工程の反応の熱を放散することが可能になる。それはスルフヒドロリシス反応も可能にし、この反応は、硫化アルキル(好ましくは分岐)に対する硫化水素の反応に対応し、2分子のメルカプタンを放出することを可能にする。
【0069】
実際、硫化物またはチオエーテルは硫化水素およびアルミナに担持されたスルホン酸樹脂、アルミノシリケート、12−リンタングステン酸、またはアルミナ上のコバルト−モリブデン組成物、またはアルミナ上のヘテロポリ酸のような触媒の存在下でメルカプタンに転化できることが、文献US4927972号、US4059636号およびUS2006/0025633号から知られている。
【0070】
このように、反応混合物中に存在する内部および端末オレフィンへの硫化水素の付加反応に加えて、スルフヒドロリシス反応がこの反応混合物内で可能である。
【0071】
結果的に、この仕上げ工程により、反応の副生成物を市場性のあるメルカプタンに部分的に転化することによって反応からの収率を向上させることが可能になる。
【0072】
従って、この第2の実施形態は、以下の連続工程を含む:
−A− 酸触媒によって触媒する、末端オレフィンへの硫化水素の接触付加工程、次いで
−B− 前記付加反応生成物を以下の画分へ分離する工程
過剰の硫化水素およびオレフィンを含む軽質画分、ならびに
少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分
−C− 酸触媒上に工程Bから得られた前記軽質画分を通す仕上げ工程
−D− 前記仕上げ工程からの生成物を以下の画分へ分離する工程
硫化水素が豊富な画分、および
付加生成物が豊富な画分、次いで
−E− 接触付加Aの工程に前記硫化水素が豊富な画分をリサイクルする工程、
−F− 合体した、分離工程Bから得られた前記重質画分と分離工程Eから得られた前記付加生成物が豊富な画分とを以下の画分へ精製する工程
1つ以上のメルカプタンを含む1つ以上の軽質画分および
硫化物を含む重質画分、次いで
−G− 仕上げ工程Cに、前の精製工程Fからの前記重質画分をリサイクルする工程。
【0073】
第3の実施形態によれば、分離工程Bおよび分離工程Eから得られたメルカプタンおよび硫化物を含有する画分は合体されない。この実施形態によれば、精製工程は、各画分に対し提供される。
【0074】
従って、この第3の実施形態は、以下の工程を含む:
−A− 酸触媒によって触媒する、末端オレフィンへの硫化水素の接触付加工程、次いで
−B− 付加反応生成物を、以下の画分への分離する工程
過剰の硫化水素およびオレフィンを含む軽質画分、および
少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分
−C− 酸触媒上に工程Bから得られた前記軽質画分を通す仕上げ工程
−D− 仕上げ工程からの生成物を以下の画分に分離する工程
硫化水素が豊富な画分、および
付加生成物が豊富な画分、次いで
−E− 接触付加Aの工程に前記硫化水素が豊富な画分をリサイクルする工程、
−P1− 分離工程Bから得られた前記重質画分を以下の画分へ精製する工程
1つ以上のメルカプタンを含む1つ以上の軽質画分、および
硫化物を含む重質画分
−G1− 仕上げ工程Cに、前の精製工程P1からの前記重質画分をリサイクルする工程、
−P2− 分離工程Dからの前記付加生成物が豊富な画分を以下の画分へ精製する工程
1つ以上のメルカプタンを含む1つ以上の軽質画分、および
硫化物を含む重質画分。
【0075】
1−ブテンからの2−ブタンチオール合成
次に、本発明に係る方法の好ましい実施形態として、1−ブテンからの2−ブタンチオール合成を説明する。
【0076】
従って、1−ブテンは、マルコフニコフ付加に従って、主にsec−ブチルメルカプタン(SBM)とも呼ばれる2−ブタンチオールをもたらす。第2級メルカプタンの命名は、チオール官能基を有する炭素原子が第2級炭素であるという事実から来る。
【0077】
得ることができる副生成物は次のとおりである:
− 反マルコフニコフ付加に従う配向付加の生成物である、n−ブチルメルカプタン(NBM)、
− 酸環境における1−ブテンの異性化の生成物である、2−シス−ブテンと2−トランス−ブテン、
− ブテンとメルカプタンとの間の反応生成物である、硫化物またはチオエーテル。
【0078】
副生成物の量は、手順および反応条件によって変わることとなる。
【0079】
以下の反応スキームは、上述した種を示す。
【0080】
【化1】
【0081】
本発明の方法に含まれる仕上げ工程は、硫化水素との反応によりブテン−2を転化することを目的とする。
【0082】
硫化物を液相で仕上げ工程にリサイクルする工程は、メルカプタンの生成をもたらす硫化物のスルフヒドロリシスの反応を生じることが目的である。
【0083】
従って、この方法は、市場性のあるメルカプタンへの第2級化学種の最大の転化を可能にし、ひいては収率の増加をもたらす。
【0084】
本発明は上記方法を利用する装置にも関する。本発明の装置の詳細については、非限定的な一例としてのみ与えられる以下の説明を読み、本発明の装置の実施形態を例示する添付の図1から4を参照することにより、明らかになるであろう。
【0085】
装置
図1
図1は、メルカプタンの合成のための装置を説明する。この装置は、パイプライン(2)を介して硫化水素が供給され、パイプライン(3)を介して末端オレフィンが供給される、末端オレフィンへの硫化水素の接触付加のための付加反応器(1)を含む。付加反応器(1)の出口に位置するパイプライン(4)は、第1の分離装置(5)に粗製反応混合物の流れを供給する。
【0086】
第1の分離装置(5)の出口に接続されたパイプライン(6)により、メルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分を排出することが可能になる。
【0087】
また、第1の分離装置(5)の出口に接続されたパイプライン(7)は、オレフィンおよび過剰の硫化水素を含む軽留画分を回収する。このパイプライン(7)は、仕上げ反応器(8)に供給する。
【0088】
パイプライン(9)は仕上げ反応器(8)からの反応混合物の全てを第2の分離装置(10)に搬送する。
【0089】
第2の分離装置(10)の出口に位置するパイプライン(11)は、硫化水素が豊富な画分を付加反応器(1)、または付加反応器(1)に原料を供給するバイプライン(2)にリサイクルする。このパイプライン(11)によって、未反応反応物質、特に硫化水素のリサイクルが可能になる。このパイプライン(11)は、周囲に蓄積する副生成物の除去を実行するためのバルブを含んでもよい。
【0090】
第2の分離装置(10)からのライン(12)は、付加反応器から生じた生成物と合体させるために、付加生成物が豊富な画分を、ライン(6)に回収する。
【0091】
図2
図2図1の変形例である。図2の参照番号は図1のものと同一である。図2は追加の精製装置(13)を含む。
【0092】
メルカプタン(単数または複数)および場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分を搬送する、第1の分離装置(5)の出口に接続されたライン(6)は、第2の分離装置(10)からの付加生成物が豊富な画分を回収するライン(12)に接続され、精製装置(13)に供給する。この精製装置(13)により、第1のライン(16)で第2級メルカプタン、第2のライン(15)で直鎖メルカプタンを単離し、第3のライン(14)で硫化物および他の副生成物を含む重質留分を排出することが可能になる。
【0093】
図3
図3図2の変形例である。図3の参照番号は図2のものと同一である。図3は追加のライン(17)を含む。
【0094】
硫化物および他の副生成物を搬送するライン(17)は、精製装置(13)の出口に接続され、仕上げ反応器(8)に供給する。
【0095】
図4
図4図1の変形例である。図4の参照番号(1)から(5)および(7)から(11)は図1のものと同一である。
【0096】
図4の装置は、パイプ(60)を介して第1の分離装置(5)に接続され、第1のライン(160)で第2級メルカプタン、第2のライン(150)で直鎖メルカプタンおよび第3のライン(140)で硫化物を単離することができる、第1の精製装置(130)を含む。
【0097】
図4の装置は、第1の精製装置(130)の出口を仕上げ反応器(8)の入り口に接続して、硫化物および他の副生成物を搬送するライン(170)を含む。
【0098】
図4の装置は、最後に、パイプライン(120)を介して第2の分離装置(10)に接続され、第1のライン(19)でメルカプタンおよび第2のライン(20)で硫化物を単離することができる、第2の精製装置(18)を含む。
【0099】
より詳細には、本発明は、上記で定義された方法を実施するための装置に関し、該装置は、
パイプライン(2、3)を介して硫化水素およびオレフィンが供給される付加反応器(1)、
付加反応器(1)の出口に接続され、第1の分離装置(5)に粗製反応混合物の流れを供給するパイプライン(4)、
第1の分離装置(5)の出口に接続され、仕上げ反応器(8)に前記過剰の硫化水素および前記オレフィンを含む前記軽質画分を供給するパイプライン(7)、
仕上げ反応器(8)の出口に接続され、第2の分離装置(10)に仕上げ反応器(8)からの反応混合物の全てを供給するパイプライン(9)、
第2の分離装置(10)の出口に位置し、前記硫化水素が豊富な画分を付加反応器(1)にリサイクルするパイプライン(11)、および
第1および第2の分離装置(5、10)から来る、前記少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分、ならびに前記付加生成物が豊富な画分を回収するパイプライン(12、6、120、60)
を含む。
【0100】
好ましい実施形態によれば、第1および第2の分離装置(5、10)から来るパイプライン(12、6、120、60)は、少なくとも1つのメルカプタンおよび場合により1つ以上のチオエーテルを含む重質画分および付加生成物が豊富な画分を回収し、単一のパイプでそれらを合体させる。
【0101】
以下の実施例は本発明を例示するものである。
【実施例】
【0102】
末端オレフィンへの硫化水素の接触付加の実験室での実施の例
[実施例1]本発明による方法
ブテン−1への硫化水素の付加工程を以下の条件下で行う。
1− 200cmの触媒(19%Cr/アルミナ)を充填した第1の固定床触媒反応器
ブテン−1:75g/時間
S:92NL/時間、HS/ブテンのモル比=2に対応
触媒床の平均温度=245℃
P=1.4MPa
LHSV=60h−1
【0103】
この付加工程で得られた結果は以下のとおりである:
転化率:83%
選択率:81/14/5(SBM/NBM/チオエーテル)。
【0104】
未転化ブテンは、次のモル組成を有する:
10%ブテン−1/45%ブテン−2シス/45%ブテン−2トランス
【0105】
未転化ブテンの画分は、以下の条件で仕上げ反応器に進む。
2− 100cmのスルホン酸樹脂A36dry(ダウ)を充填した固定床仕上げ反応器
ブテン:7.3NL/時間
S:120NL/時間
HSV=120h−1
無溶媒。
【0106】
この仕上げ工程で得られた結果は以下のとおりである:
転化率:97.5%
選択率:87%SBM、13%チオエーテル。
【0107】
このように、これら2つの工程は、ブテン−1の99.5%の転化率および以下の選択率:
SBM:81.6%
NBM:11.6%
硫化物:6.2%
をもたらし、99.5%のブテン−1/0.5%ブテン−2:ブテンを供給する。
【0108】
[例2]比較方法
方法の最初の工程は実施例1のものと同一である。
【0109】
1− 200cmの触媒(19%Cr/アルミナ)を充填した第1の固定床触媒反応器
ブテン−1:75g/時間
S:92NL/時間、HS/ブテンのモル比=2に対応
触媒床の平均温度=245℃
P=1.4MPa
LHSV=60h−1
【0110】
性能:
転化率:83%
選択率:81/14/5(SBM/NBM/チオエーテル)
【0111】
未転化ブテンは、次のモル組成を有する:
10%ブテン−1/45%ブテン−2シス/45%ブテン−2トランス
【0112】
未転化ブテンの画分は、以下の条件に従って触媒反応器にリサイクルされる:
ブテンの供給:75g/時間、ここでブテン−1中に20%のブテン−2を含む
S:92NL/時間、HS/ブテンのモル比=2に対応
触媒床の平均温度=245℃
P=1.4MPa
LHSV=80h−1
【0113】
付加およびリサイクルのこれらの工程は60%の転化率および82/12/6(SBM/NBM/チオエーテル)の選択率をもたらす。
【0114】
反応しないブテン−2は、生産性の低下をもたらし、リサイクルにおいて蓄積し、最終的に方法を実行不可能にする。
【符号の説明】
【0115】
1 付加反応器
2 パイプライン
3 パイプライン
4 パイプライン
5 第1の分離装置
6 パイプライン
7 パイプライン
8 仕上げ反応器
9 パイプライン
10 第2の分離装置
11 パイプライン
12 ライン
13 精製装置
14 ライン
15 ライン
16 ライン
17 ライン
18 第2の精製装置
19 ライン
20 ライン
60 パイプ
120 ライン
130 第1の精製装置
140 ライン
150 ライン
160 ライン
図1
図2
図3
図4