特許第6266115号(P6266115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266115
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】長繊維強化ポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20180115BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20180115BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08K7/02
   C08J5/04CFG
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-541389(P2016-541389)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2016-540869(P2016-540869A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2013077634
(87)【国際公開番号】WO2015090435
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】510022808
【氏名又は名称】エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】プフレガー,マルク
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−202759(JP,A)
【文献】 特開2008−019440(JP,A)
【文献】 特表2011−503307(JP,A)
【文献】 特表2011−500952(JP,A)
【文献】 特開平10−130494(JP,A)
【文献】 特開2012−111941(JP,A)
【文献】 特開2010−222486(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/134930(WO,A1)
【文献】 特開平08−207148(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02169008(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
C08J 5/04−5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)少なくとも1種の非晶質又は微結晶性ポリアミド;ただし、ポリアミドA)の試験片が、少なくとも80%の、ASTM D 1003による光透過率、及び、<25J/gの、ISO 11357による融解熱を有することを条件とする、
A1)27重量%までの脂肪族ポリアミド、ただし、ポリアミドAとA1は相溶性であり、ポリアミドA)とポリアミドA1)の重量比が9:1〜2:1であり、A)とA1)のコンパウンドからなる厚さ2mmの試験片の、ASTM D 1003による光透過率が、少なくとも80%であることを条件とする、
B)20〜85重量%の、円形の断面を有するエンドレスファイバー、及び、
C)0〜10重量%の、少なくとも1種の添加剤
を含み、成分A)、A1)、B)及びC)が合計100重量%となる、ポリアミド成形材料。
【請求項2】
ポリアミドA)が、最大で12J/gの、ISO 11357による融解熱を有し、
ポリアミドA)の厚さ2mmの試験片が、少なくとも80%の、ASTM D 1003による光透過率を示すことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項3】
ポリアミドA)又はA1)の相対粘度が、20℃にて100mLのm-クレゾール中、0.5gで測定した際、1.35〜2.15であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリアミド成形材料。
【請求項4】
ポリアミドA)又はA1)の少なくとも1種がアミン末端ポリアミドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項5】
前記エンドレスファイバーがガラス繊維及び/又は炭素繊維であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項6】
前記エンドレスファイバーが、全ポリアミド成形材料に対して、25〜80重量%の重量割合で含まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項7】
前記添加剤(特徴C)が、全ポリアミド成形材料に対して、0.01〜10重量%の重量割合で含まれていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項8】
前記少なくとも1種の非晶質又は微結晶性ポリアミドA)が、PA MACM12、PA MACM12/PACM12、PA PACM12、PA MACMI/12、PA 6-3-T、PA MACM14、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT、PA MACMI/MACMT/MACM12、PA MACMI/MACM12及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項9】
前記少なくとも1種の脂肪族ポリアミドA1)が、PA 11、PA 12、PA 1010、PA 1212、PA 1012、PA 1210、PA 69、PA 610、PA 612、PA 6/12及びそれらの混合物又はコポリアミドから選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項10】
前記添加剤が、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、着色及びマーキング物質、無機色素、有機色素、IR-吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、結晶遅延剤、縮合触媒、鎖長調節剤、消泡剤、鎖延長添加剤、グラファイト、カーボンナノチューブ、離型剤、分離剤、光学的光沢剤、フォトクロミック添加剤、可塑剤、メタリック顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、充填強化物質、又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項11】
長繊維強化-棒状顆粒として存在することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項12】
前記顆粒の長さが3〜25mmであることを特徴とする、請求項11に記載のポリアミド成形材料。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の長繊維強化-棒状顆粒の製造方法であって、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料を、引抜成形法にかけることを特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質又は微結晶性ポリアミドをベースとする、長繊維で強化されたポリアミド成形材料に関する。本発明によれば、短繊維を用いた技術水準のポリアミド成形材料よりも、引張強さ、衝撃特性及び歪み(変形)等の機械的特性に関して明確に優れた、ポリアミド成形材料からなる成形品が初めて製造できる。本発明は、さらに、長繊維で強化された棒状顆粒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、本質的にその優れた機械的特性により、最近、内外の構成エレメントとして広く用いられている。強度や剛性等の機械的特性の改良は、特に、繊維状の強化物質、例えばガラス繊維の使用によって達成できる。
【0003】
EP 2 060 607 A1は、部分結晶性及び非晶質ポリアミドからなり、扁平な長ガラス繊維、すなわち、非円形の断面を有する長ガラス繊維を充填材として含んでいるポリアミド形成材料について記載している。EP 2 060 607 A1のポリアミド混合物は、ポリアミドマトリクスに対して、55〜85重量%の少なくとも1種の脂肪族ポリアミドからなる。しかしながら、歪みに関する機械的特性は、十分ではない。さらに、EP 0 725 114 B1からは、ポリアミド混合物であって、同様に、長繊維強化物質が当該ポリアミド混合物中に含まれているものが知られているが、このポリアミド成形材料は、結晶性の熱可塑性のポリアミドと、非晶質の熱可塑性のポリアミドからそれぞれなり、これらは互いに相溶性を示さない(すなわち、2つの相が形成される)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP 2 060 607 A1
【特許文献2】EP 0 725 114 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、ここから出発して、本発明の目的は、向上した引張強さや衝撃特性等の優れた機械的特性に加えて、同時に、非常にわずかな歪みを示すポリアミド成形材料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載のポリアミド成形材料によって達成される。従属請求項は、有利な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係るポリアミド成形材料は、ポリアミドが、少なくとも1種の非晶質又は微結晶性ポリアミドであること(ただし、ポリアミドAが、少なくとも80%の、ASTM D 1003による試験片の光透過率を示すことを条件とする)、および、そのようなポリアミド成形材料中に、円形の断面を有する長繊維が20〜85重量%、及び任意で添加剤が含まれることよって識別される。請求項1に含まれる光透過率に関する条件は、長繊維を含まない成形材料に対してのみ当てはまる。
【0008】
そのようなポリアミド成形材料が、優れた特性を示す成形品に加工できることが示された。これは、非常に良好な引裂抵抗、衝撃強さ及びノッチ付き衝撃強さと、非常に低い歪みの組み合わせにおいて明らかになった。歪みは、横と縦の成形収縮率の差として測定される。
【0009】
本発明に係る成形材料では、光透過性について前述した状態が、ポリアミドAのために維持されることが必須である。
【0010】
非晶質又は微結晶性ポリアミドの場合、融解熱に関して、最大で25J/g、好ましくは最大で12J/g、特に好ましくは最大で3J/g、非常に好ましくは最大で1J/gの融解熱を有するものが特に好ましい。この条件は、繊維を含まないポリアミドにのみ関連する。
【0011】
さらに、ポリアミドAは、厚さ2mmの試験片で、ASTM D 1003に従って測定した際、少なくとも80%の光透過率、及びそれゆえ高い透明性を示す。好ましくは、その試験片が少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも88%、非常に好ましくは少なくとも90%の光透過率に達するポリアミドAを使用する。
【0012】
微結晶性ポリアミドが使用される場合、結晶子が上述した透明性がなお達成されるような小さい寸法を有する形態が、重要である。
【0013】
本発明では、さらに、ある種の割合で、すなわち、前記非晶質又は微結晶性ポリアミドを27重量%まで、脂肪族ポリアミドで置き換えることが可能である。この際、請求項3に記載された2つのポリアミドの重量比に関する条件及び、そのコンパウンドの光透過性が維持されることが重要である。この実施形態では、このように27重量%の上限が維持されることが重要であり、さもないと、そのコンパウンドの透明性に関して不都合な特性が生じる。この実施形態では、好ましくは、全成形材料に対して、最大で27重量%までのポリアミドAが、脂肪族ポリアミドA1によって置き換えられ、この際、ポリアミドAとA1のコンパウンドの光透過率が少なくとも80%となるように、ポリアミドAとA1が相溶性(compatible)であることが、重要な前提条件として要求される。請求項3の条件は、長繊維を含まないポリアミド成形材料に対してのみ当てはまる。さらに、この際、ポリアミドAとポリアミドA1の重量比が、9:1〜2:1、好ましくは6:1〜3:1、特に好ましくは5:1〜3.5:1であることが好ましい。
【0014】
さらに、ポリアミドA又はA1の相対粘度は、20℃にて100mLのm−クレゾール中、0.5gで測定した際、1.35〜2.15、好ましくは1.40〜1.80、特に好ましくは1.45〜1.60であることが好ましいことが証明された。
【0015】
さらに、前記ポリアミドA又はA1の少なくとも1種がアミン末端ポリアミドであることが有利である。アミン末端ポリアミドとは、ポリアミドが、カルボキシル末端基よりも多くのアミノ末端基を有することを意味する。これは、当業者に既知の方法において、二官能性又は単官能性アミン又はカルボン酸を使用して、ポリアミドの重縮合をコントロールすることによって、達成できる。
【0016】
本発明に係るポリアミド成形材料の量的な組成に関しては、全ポリアミド成形材料に対して、25〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは35〜65重量%の重量割合にて長繊維が含まれることが好ましい。添加剤(特徴C)は、好ましくは、全ポリアミド成形材料に対して、0.01〜10重量%の重量割合で、好ましくは0.1〜5%の重量割合で含まれることができる。この際、個々の添加剤の重量割合は、最大で4重量%である。
【0017】
物質の観点からは、円形の断面を有する長繊維が、ガラス繊維又は炭素繊維であることが好ましい。
【0018】
前記少なくとも1種の非晶質又は微結晶性ポリアミドAは、好ましくは、PA MACM12/PACM12、PA PACM12、PA MACMI/12、PA NDT/INDT、PA MACM14、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT、PA MACMI/MACMT/MACM12、PA MACMI/MACM12及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、前記グループは、PA MACM12、PA MACM12/PACM12、PA MACMI/12、PA NDT/INDT、PA MACM14、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA MACMI/MACMT/MACM12、PA MACMI/MACM12及びそれらの混合物からなる。特に好ましくは、前記グループは、PA MACM12、PA MACM12/PACM12、PA MACMI/12、PA MACMI/MACMT/12、PA 6I/6T/MACMI/MACMT/12、PA MACMI/MACMT/MACM12及びそれらの混合物からなる。
【0019】
PA MACM12/PACM12中のPACM12の割合は、好ましくは最大で50mol%である。最大で50mol%のPACM12を有するPA MACM12/PACM12は非晶質であり、それゆえ融点を示さない。
【0020】
微結晶性ポリアミドの場合、ISO 11537に従って測定された融点は、最大で252℃である。非晶質ポリアミドは、その非晶質性のため融点を示さない。脂肪族ポリアミドA1は、ISO 11537に従って測定された際、最大で252℃の融点を有する。
【0021】
脂肪族ポリアミドA1は、好ましくは、PA 11、PA 12、PA 1010、PA 1212、PA 1012、PA 1210、PA 69、PA 610、PA 612、PA 6/12、及びそれらの混合物又はコポリアミドから選択される。特に好ましくは、脂肪族ポリアミドA1は、PA 12、PA 1010及びそれらの混合物から選択される。
【0022】
ポリアミド及びそのモノマーについて使用されるスペリング及び略称は、ISOスタンダード 1874-1:1992に対応する。例えば、スペリング「PA NDT/INDT」は、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン及びテレフタル酸から形成されたポリアミドを表す。
【0023】
エンドレスファイバー(ロービング)として、引抜成形法の際に使用されるガラス繊維又は炭素繊維は、適切なサイジング-又は接着剤系を有していてもよい。この目的のために、例えば、シラン、チタン酸塩、ポリアミド、ウレタン、ポリヒドロキシエーテル、エポキシド、ニッケル、それらの各組み合わせ又は混合物をベースとする系が使用できる。
【0024】
前記長ガラス繊維は、10〜20μm、好ましくは10〜18μm、特に好ましくは10〜14μm、非常に好ましくは10〜12μmの直径を有する。より細い繊維は、より高い強靭性をもたらす。しかしながら、10μm未満の直径の場合、引抜成形法のために要求される繊維の強度を保つことができない。
【0025】
長ガラス繊維は、例えば、A-、C-、D-、E-、M-、S-、R-ガラス、又は任意の混合物等の、あらゆる種類のガラスから構成されることができる。E-ガラスからなるガラス繊維、又はE-ガラスを含む混合物あるいはEガラス繊維を含む混合物からなるガラス繊維が好ましい。
【0026】
長炭素繊維は、3〜12μm、好ましくは4〜10μm、特に好ましくは5〜9μmの直径を有する。
【0027】
添加剤については、技術水準において知られている全ての添加剤を使用することができる。これらの例は、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、着色及びマーキング物質、無機色素、有機色素、IR-吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、結晶遅延剤、縮合触媒、鎖長調節剤、消泡剤、鎖延長添加剤、グラファイト、カーボンナノチューブ、離型剤、分離剤、光学的光沢剤、フォトクロミック添加剤、可塑剤、メタリック顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、充填強化物質、特に、ナノスケールの充填強化物質、例えば、最大で100nmの粒子サイズの鉱物、又は、未修飾もしくは修飾の、天然もしくは合成のフィロシリケート、又はそれらの混合物から選択される添加剤である。安定剤あるいは老化防止剤として、例えば、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、光保護剤、UV安定剤、UV吸収剤、あるいはUV遮断剤が、本発明に係るポリアミド成形材料で使用できる。
【0028】
また、本発明に係るポリアミド成形材料では、難燃剤を使用する必要は必ずしもない。しかしながら、本発明によれば、本発明の実施形態は、上述したように、難燃剤を含まないポリアミド成形材料を含む。
【0029】
本発明によれば、本発明のさらなる実施形態は、前述したような、しかしカーボンブラックを含まない、ポリアミド成形材料を含む。
【0030】
ポリアミドの製造は、非晶質あるいは微結晶性ポリアミドの製造も、脂肪族ポリアミドの製造も、技術水準において知られているように、対応するジアミンとジカルボン酸及び場合によってはラクタム及び/又はアミノカルボン酸の基本的にモル量の使用によって、実施される。
【0031】
本発明に係るポリアミド成形材料は、長繊維強化-棒状顆粒を製造するために既知の方法によって、特に引抜成形法によって製造されることができ、その際、エンドレスファイバー・ストランドは、ポリマー溶融物に完全に浸され、続いて冷却され切断される。この方法によって得られる長繊維強化-棒状顆粒は、好ましくは3〜25mm、特に4〜12mmの顆粒長を有し、通常の加工方法(例えば、射出成形、加圧成形等)によって、成形品にさらに加工されることができ、その際、特に前記成形品の良好な特性が、温和な加工方法によって達成される。この関連で「温和な」は、とりわけ、過度の繊維破損やこれに付随する繊維長の著しい減少が、広く避けられることを意味する、射出成形の場合は、大きい直径を有するシャフトが使用されるべきであることを意味する。
【0032】
続いて、本発明は、実施形態を参照してより詳細に説明される。
【0033】
試験で使用された試験片は、Arburg社の射出成形機、Modell Allrounder 420 C 1000-250を用いて製造された。その際、230℃から最大で295℃の上昇シリンダー温度が使用された。金型温度は80℃であった(90℃の金型温度で製造された成形収縮率用のプレートを除いて)。光透過率測定用の円形プレートの場合、鏡面仕上げ金型が使用された。
【0034】
続く表1には、使用された出発物質、並びにその正確な化学命名法及び製造者が記載される。
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表2に、本発明に係る実施例を示し、表3では、比較例とその機械的特性が示される。
【0037】
表2から明らかなように、本発明に係る成形品は、比較例のものと比べて、向上した機械的特性を示す。このように、衝撃強さとノッチ付き衝撃強さの両方が、比較例のものより明確に優れている。このように、本発明に係るポリアミド成形材料又はそれから製造された成形品は、優れた機械的特性によって識別される。
【0038】
【表3】
【0039】
表2及び3に示される特性は、以下の方法によって測定された。
【0040】
試験片は乾燥状態で使用され、この目的のためにそれらは射出成形後、少なくとも48時間、室温で、乾燥した環境(すなわちシリカゲル上)で保管された。
【0041】
融解熱及び融点:
ISO 11357
顆粒
示差走査熱量測定(DSC)は、20K/分の加熱速度で実施された。融点の場合、ピーク最大時の温度が示される。
【0042】
光透過率:
ASTM D 1003
プレート、厚み2mm、60×60mm
温度 23℃
測定装置は、CIE light type C を有するByk Gardner社のHaze Gard plus
光透過率の値は、光の照射量の%で示される。
【0043】
引張弾性率:
ISO 527 引張り速度 1mm/分
ISO試験片、スタンダード:ISO/CD3167、タイプA1、170×20/10×4 mm、温度23℃
【0044】
引張強さ及び破断伸び:
ISO 527 引張り速度 5mm/分
ISO試験片、スタンダード:ISO/CD3167、タイプA1、170×20/10×4 mm、温度23℃
【0045】
シャルピー衝撃強さ:
ISO 179/eU
ISO試験片、スタンダード:ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4 mm、温度23℃
1=非計装化、2=計装化
【0046】
ノッチ付きシャルピー衝撃強さ;
ISO 179/eA
ISO試験片、スタンダード:ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4 mm、温度23℃
1=非計装化、2=計装化
【0047】
成形収縮率:
ISO 294-4
プレート、タイプD2、60×60×2 mm(スタンダードISO294-3による)
成形収縮率は、金型キャビティの寸法と比較して、流動方向に対して縦方向と横方向に測定された。5プレートの測定値の算術平均が示される。