(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記温度検出手段で換算した温度が前記第二の制御温度に到達したら、前記第一の制御温度より高く前記第二の制御温度より低い第三の制御温度に変更し、かつ、火力投入時の前記誘導加熱手段の加熱出力量を前記被加熱物内へ被調理物が投入されたと判断する前の加熱出力量に戻し、前記温度検出手段で換算した温度が、前記第三の制御温度を一旦下回った後に再度前記第三の制御温度に到達したら、前記第一の制御温度に戻すよう制御することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
前記温度検知素子は、前記天板の裏面に接触して前記被加熱物の温度を検知する接触式温度センサー、又は前記被加熱物の赤外線エネルギーを非接触で検知し温度に換算する非接触式の赤外線センサーのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成)
図1は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示す斜視図、
図2は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示す天板を外した状態の斜視図、
図3は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の誘導加熱コイルと温度検出手段を示す部分断面図、
図4は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0010】
以下、
図1から
図4により本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成について説明する。
なお、それぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略することがある。
【0011】
図1に示すように、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器100は、本体1の天面に被調理物を収容した調理容器10が載置可能な非磁性体、例えば結晶化ガラスからなるトッププレート2を備える。トッププレート2は、その外周にシリコン系接着剤(図示せず)等で固着された金属、例えばステンレスで構成された枠体3とで、天板4を構成している。
【0012】
天板4には、各種の操作入力を行う上面操作部5を備えている。本体1の前面には、各種の操作入力を行う前面操作部6と、誘導加熱調理器の電源を入切する電源スイッチ7を備えている。
【0013】
8は内部に配設された輻射式加熱手段(図示せず)により、魚等の被調理物をその内部に載置してグリル調理やオーブン調理をする調理庫である。
【0014】
調理庫8の前面開口には、調理庫扉9が前方に引き出し自在に設けられている。調理庫扉9の引き出しに連動して、載置皿(図示せず)及び載置皿に載置された被調理物を載置する焼き網(図示せず)が引き出される。
【0015】
調理庫扉9を最も押し込んだ状態で、調理庫8の前面開口が調理庫扉9により閉塞され調理が行える状態となる。調理庫8で調理を行うための操作入力は、上面操作部5または前面操作部6から行う。
【0016】
図2に示すように、トッププレート2の下方には、複数の誘導加熱手段が配設されている。11は誘導加熱コイルからなる左誘導加熱手段で、誘導加熱手段の外側に近い外周コイルと、内側中心に近い内周コイルの複数コイルによって構成されている。12は右誘導加熱手段、13は中央誘導加熱手段である。このように加熱手段を3つ設けたものは、3口タイプの誘導加熱調理器と呼ばれる。
【0017】
ここで、誘導加熱手段とは、電磁誘導の原理を利用した加熱手段のことを言い、誘導加熱コイルに高周波交流電流を印加すると回転した磁力線が発生し誘導加熱コイル内部には一様な磁界が発生する。
【0018】
磁界が誘導加熱コイルを貫通すると誘導加熱コイル内部では磁束変化を妨げる磁界が発生し、被加熱物に渦電流が流れ高周波交流電流、例えば20〜90kHzの交流電流を印加することで流れ続ける。それで被加熱物の電気抵抗と渦電流によってジュール熱が発生することにより被加熱物が発熱する加熱方式のことである。
【0019】
なお、本実施の形態では誘導加熱手段を3口設けた例をあげたが、加熱手段を3口設けた誘導加熱調理器では、その内の1口である中央誘導加熱手段が誘導加熱手段ではない加熱手段、例えばラジエントヒーターのような電熱線からなる輻射式加熱手段で構成してもよく、適宜選択可能である。
【0020】
図2に示すように、左誘導加熱手段11の外周コイル11bと内周コイル11aの間には、温度検知素子14a、14bが配設されている。温度検知素子14a、14bは温度測定対象に接触させて伝熱を検知する、例えばサーミスタのような接触式温度センサーである。
【0021】
温度検出手段14a、14bは
図3に示すようにトッププレート2の下面に当接するように付勢されており、トッププレート2に伝わった調理容器10の熱を検知するようになっている。
【0022】
同様に
図2に示すように、左誘導加熱手段11の外周コイル11bと内周コイル11aの間には、温度検知素子15が配設されている。温度検知素子15は、例えば赤外線センサーのような非接触式のセンサーである。
【0023】
温度検出手段15は
図3に示すようにトッププレート2の下面と所定の空間を有して設けられている。トッププレート2を透過して調理容器10から放射される赤外線エネルギーを非接触で検知して温度に換算し、調理容器10の温度を検出するようになっている。
【0024】
温度検知素子15は被加熱物10から放射された赤外線を集約させ、かつリアルタイムで(時間差が殆んどなく)受信してその赤外線エネルギーを検知できることから、応答性の良い点では接触式温度センサーの温度検知素子14a、14bよりも優れている。
【0025】
接触式温度センサーの温度検知素子14a、14bは非接触式の温度検知素子15と比較すると、急激な温度変化をリアルタイムで捕捉する点では劣る、しかし、トッププレート2や被加熱物10からの輻射熱を受け、被加熱物10の底部やその直下にあるトッププレート2の温度を確実に検出できる点では温度検知素子15よりも優れている。また、伝熱を検知するので、被加熱物10を移動させた場合でもトッププレート2に残る熱を検知することが可能である。
【0026】
前述のように接触式温度センサーからなる温度検知素子14a、14bと、赤外線センサーのような非接触式の温度検知素子15にそれぞれ優れた点があり、状況に応じてそれらを使い分けることで温度の検出精度を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の実施の形態1では温度検知素子を接触式温度センサー2つと、赤外線センサーのような非接触式のもの1つの計3つとしたが、これに限定されるものではなく、適宜選択、配置することができる。
【0028】
右誘導加熱手段12の下方には、図示しない印刷配線基板と電子部品から構成される制御手段18と、図示しない印刷配線基板に半導体スイッチング素子と整流回路とその他電子部品から構成されるインバーター回路16が配設されている。また、図示しないが、印刷配線基板や左誘導加熱手段11、右誘導加熱手段12、中央誘導加熱手段13等を冷却するための冷却ファンも備えている。
【0029】
図4に示すように制御手段18には、記憶手段20や比較手段21が内包されており、記憶手段20は加熱出力量計測手段19が計測した、後述する保温工程における左誘導加熱手段11を所定の出力、例えば1000Wで出力させたときの加熱出力量を記憶する。
【0030】
記憶手段に記憶された加熱出力量は、比較手段21によって最新の加熱出力量と比較され、最新の加熱出力量が記憶された加熱出力量より大きくなったときに被調理物30が投
入されたと、制御手段が判断する。動作については、後段で詳しく説明する。
【0031】
(動作)
図5は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図6は
図5のフローチャートの続き、
図7は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の制御状態を示すグラフ、
図8は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の他の制御状態を示すグラフである。前述の構成と
図5〜
図8にて動作を説明する。
【0032】
使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0033】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0034】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0035】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S1)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S2)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0036】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S3)。
【0037】
S3で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、加熱出力量計測手段19が計測した加熱出力量を記憶手段20に記憶する(S4)。加熱出力量は出力1000Wで通電した時間(加熱した時間)から算出される。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱、言い換えると通電のON、OFFが繰り返される。
【0038】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S5)。S5で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S6)。
【0039】
S5で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物保温工程が開始される(S7)。加熱OFF回数が3回目の時点で揚げ物予熱工程を終了したのは、試験の結果から加熱のON、OFFを繰り返し油の温度が安定してくるまでの回数を、例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0040】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S8)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S9)し、未満のときは1000Wで加熱する(S10)。
【0041】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S11)。S11で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、加熱出力量計測手段19が計測した加熱出力量を記憶手段20に記憶する(S13)。その後、一時加熱をOFF(S14)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0042】
S11で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるAA、前々回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるBBを算出する(S12)。
【0043】
前回の加熱出力量とは、
図7ではT5で通電しているときの加熱出力量であり、今回の加熱出力量とは、T7で通電しているときの加熱出力量である。また、前々回の加熱出力量とは、T3で通電しているときの加熱出力量である。
【0044】
同様に
図8ではT7で通電しているときの加熱出力量であり、今回の加熱出力量とは、T9で通電しているときの加熱出力量である。また、前々回の加熱出力量とは、T5で通電しているときの加熱出力量である。
【0045】
ここで、
図7と
図8で示しているT0からT9について説明する。T1、T3、T5、T7、T9はそれぞれ誘導加熱手段が所定の時間幅で通電している期間のことであり、後述する加熱ON時間と同じ意味である。
【0046】
誘導加熱手段を所定の加熱出力で稼動させる場合、常時通電している訳ではなく、通電している時間と通電しない時間を交互に繰り返している。T0、T2、T4、T6、T8は所定の時間幅で通電していない期間のことで、後述する加熱OFF時間と同じ意味である。
【0047】
算出したAA、BBがそれぞれ予め設定された判定値Xと、比較手段21により比較される(S15)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱出力量の比は1となる。判定値Xは1よりも大きい数値、X>1として設定されている。
【0048】
AA、BBのいずれかの値が判定値Xよりも大きいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱時間が長くなり加熱出力量が大きくなる。よって、AA、BBのいずれかの値も大きくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0049】
ここで、判断として前回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるAA、又は前々回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるBBの何れかを使用しているのは、
図7のグラフのような例ではT7が明らかに長くなっているので判断できるのに対し、
図8のグラフのような例では、前回の加熱出力量を算出する期間であるT7が、今回の加熱出力量を算出する期間であるT9に比べ明らかに長くなっているとは言えない場合を考えての対応である。
【0050】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱ON時間が大きくは変化しない例であるが、このような場合でも前々回の加熱出力量を算出する期間のT5に対し、今回の加熱出力量を算出する期間のT9が明らかに長くなっているので判断できるようになる。
【0051】
S15で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S16)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S17)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S17)した後、加熱を一時OFFする(S18)。
【0052】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを
実行(S19)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0053】
以上のように、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱出力量と、今回の加熱出力量、言い換えると最新の加熱出力量とを比較するようにしたので、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0054】
実施の形態2.
(構成)
本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器と一部が異なるだけであり、異なる箇所を説明し、その他の説明は本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0055】
図9は本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器の制御系の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器の加熱出力量計測手段19に変えて、計時手段23を有している。計時手段23は、後述する加熱のON時間、あるいはOFF時間を計るものである。
【0056】
(動作)
図10は本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図11は
図10のフローチャートの続きである。本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器の構成と
図10、
図11及び本発明の実施の形態1で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0057】
本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0058】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0059】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0060】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S21)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S22)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0061】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S23)。
【0062】
S23で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間を記憶手段20に記憶する(S24)。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0063】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S25)。S25で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S26)。
【0064】
S25で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物保温工程が開始される(S27)。加熱OFF回数は本発明の実施の形態1と同様に例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0065】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S28)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S29)し、未満のときは1000Wで加熱する(S30)。
【0066】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S31)。S31で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間を記憶手段20に記憶する(S33)。その後、一時加熱をOFF(S34)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0067】
S31で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるCC、前々回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるDDを算出する(S32)。
【0068】
前回の加熱ON時間とは、
図7ではT5であり、今回の加熱ON時間とは、T7である。また、前々回の加熱ON時間とは、T3である。同様に
図8ではT7であり、今回の加熱ON時間とは、T9である。また、前々回の加熱ON時間とは、T5である。
【0069】
算出したCC、DDがそれぞれ予め設定された判定値TXと、比較手段21により比較される(S35)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱ON時間の比は1となる。判定値TXは1よりも大きい数値、TX>1として設定されている。
【0070】
CC、DDのいずれかの値が判定値TXよりも大きいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱ON時間が長くなる。よって、CC、DDのいずれかの値も大きくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0071】
ここで、判断として前回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるCC、又は前々回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるDDの何れかを使用しているのは、
図7のグラフのような例ではT7が明らかに長くなっているので判断できるのに対し、
図8のグラフのような例では、前回の加熱ON時間であるT7が、今回の加熱ON時間であるT9に比べ明らかに長くなっているとは言えない場合を考えての対応である。
【0072】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱ON時間が大きくは変化しない例であるが、このような場合でも前々回の加熱ON時間のT5に対し、今回の加熱ON時間のT9が明らかに長くなっているので判断できるようになる。
【0073】
S35で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S36)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S37)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S37)した後、加熱を一時OFFする(S38)。
【0074】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S39)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0075】
以上のように、本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱ON時間と、今回の加熱ON時間、言い換えると最新の加熱ON時間とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0076】
実施の形態3.
(構成)
本発明の実施の形態3の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態2の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0077】
(動作)
図12は本発明の実施の形態3に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図13は
図12のフローチャートの続きである。
図12、
図13及び本発明の実施の形態1、2で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0078】
本発明の実施の形態1、2に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0079】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0080】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0081】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S41)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S42)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0082】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S43)。
【0083】
S43で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S44)。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0084】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S45)。S45で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S46)。
【0085】
S45で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物
保温工程が開始される(S47)。加熱OFF回数は本発明の実施の形態1、2と同様に
例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0086】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S48)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S49)し、未満のときは1000Wで加熱する(S50)。
【0087】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S51)。S51で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S53)。その後、一時加熱をOFF(S54)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0088】
S51で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるEE、前々回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるFFを算出する(S52)。
【0089】
前回の加熱OFF時間とは、
図7ではT4であり、今回の加熱OFF時間とは、T6である。また、前々回の加熱OFF時間とは、T2である。同様に
図8ではT6であり、今回の加熱OFF時間とは、T8である。また、前々回の加熱OFF時間とは、T4である。
【0090】
算出したEE、FFがそれぞれ予め設定された判定値TYと、比較手段21により比較される(S55)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱OFF時間の比は1となる。判定値TYは1よりも小さい数値、TY<1として設定されている。
【0091】
EE、FFのいずれかの値が判定値TYよりも小さいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱ON時間が長くなり、加熱OFF時間が短くなる。よって、EE、FFのいずれかの値も小さくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0092】
ここで、判断として前回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるEE、又は前々回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるFFの何れかを使用しているのは、
図8のグラフのような例では、前回の加熱OFF時間であるT6が、今回の加熱ON時間であるT8に比べ差が少ない場合を考えての対応である。
【0093】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱OFF時間が大きくは変化しない例であるが、比較対象を複数にすることで判断できるようになる。
【0094】
S55で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S56)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S57)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S57)した後、加熱を一時OFFする(S58)。
【0095】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S59)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0096】
以上のように、本発明の実施の形態3の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱OFF時間と、今回の加熱OFF時間、言い換えると最新の加熱OFF時間とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1、2と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0097】
実施の形態4.
(構成)
本発明の実施の形態4の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態2、3の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0098】
(動作)
図14は本発明の実施の形態4に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図15は
図14のフローチャートの続きである。
図14、
図15及び本発明の実施の形態1〜3で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0099】
本発明の実施の形態1〜3に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0100】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0101】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0102】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S61)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S62)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0103】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S63)。
【0104】
S63で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間と加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S64)。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0105】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S65)。S65で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S66)。
【0106】
S65で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物保温工程が開始される(S67)。加熱OFF回数は本発明の実施の形態1〜3と同様に例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0107】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S68)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S69)し、未満のときは1000Wで加熱する(S70)。
【0108】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S71)。S71で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間と加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S73)。その後、一時加熱をOFF(S74)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0109】
S71で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱ON時間+加熱OFF時間と今回の加熱ON時間+加熱OFF時間の比であるGG、前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間と今回の加熱ON時間+加熱OFF時間の比であるHHを算出する(S72)。
【0110】
前回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、
図7ではT5+T4であり、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T7+T6である。また、前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T3+T2である。
【0111】
同様に
図8ではT7+T6であり、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T9+T8である。また、前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T5+T4である。
【0112】
算出したGG、HHがそれぞれ予め設定された判定値TWと、比較手段21により比較される(S75)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱ON時間+加熱OFF時間の比は1となる。判定値TWは1よりも大きい数値、TW>1として設定されている。
【0113】
GG、HHのいずれかの値が判定値TWよりも大きいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱ON時間が長くなるので、加熱ON時間+加熱OFF時間も長くなる。よって、GG、HHのいずれかの値も大きくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0114】
ここで、判断として前回の加熱ON時間+加熱OFF時間と今回の加熱ON時間+加熱OFF時間の比であるGG、又は前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間と今回の加熱ON時間+加熱OFF時間の比であるHHの何れかを使用しているのは、
図7のグラフのような例ではT7+T6が明らかに長くなっているので判断できるのに対し、
図8のグラフのような例では、前回の加熱ON時間+加熱OFF時間であるT7+T6が、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間であるT9+T8に比べ明らかに長くなっているとは言えない場合を考えての対応である。
【0115】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱ON時間+加熱OFF時間が大きくは変化しない例であるが、このような場合でも前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間のT5+T4に対し、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間のT9+T8が明らかに長くなっているので判断できるようになる。
【0116】
S75で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S76)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S77)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S77)した後、加熱を一時OFFする(S78)。
【0117】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S79)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0118】
以上のように、本発明の実施の形態4の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間と、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間、言い換えると最新の加熱ON時間+加熱OFF時間とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1〜3と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0119】
実施の形態5.
(構成)
本発明の実施の形態5の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0120】
(動作)
図16は本発明の実施の形態5に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図17は
図16のフローチャートの続きである。
図16、
図17及び本発明の実施の形態1〜4で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0121】
本発明の実施の形態1〜4に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0122】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0123】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0124】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S81)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S82)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0125】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S83)。
【0126】
S83で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、加熱出力量計測手段19が計測した加熱出力量を記憶手段20に記憶する(S84)。加熱出力量は出力1000Wで通電した時間(加熱した時間)から算出される。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0127】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S85)。S5で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S86)。
【0128】
S5で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、記憶手段20に記憶した揚げ物予熱工程における最新の加熱出力量、言い換えれば揚げ物予熱工程における最後の加熱出力量をZとしてセット(S87)し、揚げ物予熱工程を終了して揚げ物保温工程が開始される(S88)。
【0129】
加熱OFF回数は本発明の実施の形態1〜4と同様に例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0130】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S89)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S90)し、未満のときは1000Wで加熱する(S91)。
【0131】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S92)。S92で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、加熱出力量計測手段19が計測した加熱出力量を記憶手段20に記憶する(S94)。その後、一時加熱をOFF(S95)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0132】
S92で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるII、前々回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるJJ、Zとしてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱出力量と揚げ物保温工程の今回の加熱出力量の比であるKKを算出する(S93)。
【0133】
前回の加熱出力量とは、
図7ではT5のときの加熱出力量であり、今回の加熱出力量とは、T7のときの加熱出力量である。また、前々回の加熱出力量とは、T3のときの加熱出力量である。
【0134】
同様に
図8ではT7のときの加熱出力量であり、今回の加熱出力量とは、T9のときの加熱出力量である。また、前々回の加熱出力量とは、T5のときの加熱出力量である。それから、揚げ物予熱工程の最後の加熱出力量とは
図7、
図8ともにT1のときの加熱出力量である。
【0135】
算出したII、JJ、KKがそれぞれ予め設定された判定値Xと、比較手段21により比較される(S96)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱出力量の比は1となる。判定値Xは1よりも大きい数値、X>1として設定されている。
【0136】
II、JJ、KKのいずれかの値が判定値Xよりも大きいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱時間が長くなり加熱出力量が大きくなる。よって、II、JJ、KKのいずれかの値も大きくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0137】
ここで、判断として前回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるII、又は前々回の加熱出力量と今回の加熱出力量の比であるJJ、Zとしてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱出力量と揚げ物保温工程の今回の加熱出力量の比であるKKの何れかを使用しているのは、
図7のグラフのような例ではT7が明らかに長くなっているので判断できるのに対し、
図8のグラフのような例では、前回の加熱出力量を算出する期間であるT7が、今回の加熱出力量を算出する期間であるT9に比べ明らかに長くなっているとは言えない場合を考えての対応である。
【0138】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱ON時間が大きくは変化しない例であるが、このような場合でも前々回の加熱出力量を算出する期間のT5に対し、今回の加熱出力量を算出する期間のT9が明らかに長くなっているので判断できるようになる。
【0139】
なお、揚げ物予熱工程における最後の加熱出力量をZとしてセットし、Zとしてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱出力量と揚げ物保温工程の今回の加熱出力量の比であるKKを算出しておくのは、揚げ物予熱工程から揚げ物保温工程に切り替わった直後に被調理物30が投入されると、揚げ物保温工程の前回の加熱出力量の記憶データがないために判断ができなくなることを防止するためである。
【0140】
S96で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S97)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S98)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S98)した後、加熱を一時OFFする(S99)。
【0141】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S100)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0142】
以上のように、本発明の実施の形態5の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱出力量、または揚げ物予熱工程の最後の加熱出力量と、今回の加熱出力量、言い換えると最新の加熱出力量とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1〜4と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0143】
また、揚げ物保温工程に入って直ぐに被調理物が投入されても、揚げ物予熱工程の最後の加熱出力量と比較することによって、被調理物の投入を間違いなく判断でき、確実性が向上する。
【0144】
実施の形態6.
(構成)
本発明の実施の形態6の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態2〜4の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0145】
(動作)
図18は本発明の実施の形態6に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図19は
図18のフローチャートの続きである。
図18、
図19及び本発明の実施の形態1〜5で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0146】
本発明の実施の形態1〜5に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0147】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0148】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0149】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S111)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S112)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0150】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S113)。
【0151】
S113で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間を記憶手段20に記憶する(S114)。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0152】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S115)。S115で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S116)。
【0153】
S115で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、記憶手段20に記憶した揚げ物予熱工程における最新の加熱ON時間、言い換えれば揚げ物予熱工程における最後の加熱ON時間をT1としてセット(S117)して、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物保温工程が開始される(S118)。
【0154】
加熱OFF回数は本発明の実施の形態1〜5と同様に例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0155】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S119)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S120)し、未満のときは1000Wで加熱する(S121)。
【0156】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S122)。S122で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間を記憶手段20に記憶する(S124)。その後、一時加熱をOFF(S125)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0157】
S122で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるLL、前々回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるMM、T1としてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間と揚げ物保温工程の今回の加熱ON時間の比であるNNを算出する(S123)。
【0158】
前回の加熱ON時間とは、
図7ではT5であり、今回の加熱ON時間とは、T7である。また、前々回の加熱ON時間とは、T3である。同様に
図8ではT7であり、今回の加熱ON時間とは、T9である。また、前々回の加熱ON時間とは、T5である。それから、揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間とは
図7、
図8ともにT1のときの加熱ON時間である。
【0159】
算出したLL、MM、NNがそれぞれ予め設定された判定値TXと、比較手段21により比較される(S126)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱ON時間の比は1となる。判定値TXは1よりも大きい数値、TX>1として設定されている。
【0160】
LL、MM、NNのいずれかの値が判定値TXよりも大きいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱ON時間が長くなる。よって、LL、MM、NNのいずれかの値も大きくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0161】
ここで、判断として前回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるLL、又は前々回の加熱ON時間と今回の加熱ON時間の比であるMM、T1としてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間と揚げ物保温工程の今回の加熱ON時間の比であるNNの何れかを使用しているのは、
図7のグラフのような例ではT7が明らかに長くなっているので判断できるのに対し、
図8のグラフのような例では、前回の加熱ON時間であるT7が、今回の加熱ON時間であるT9に比べ明らかに長くなっているとは言えない場合を考えての対応である。
【0162】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱ON時間が大きくは変化しない例であるが、このような場合でも前々回の加熱ON時間のT5に対し、今回の加熱ON時間のT9が明らかに長くなっているので判断できるようになる。
【0163】
なお、揚げ物予熱工程における最後の加熱ON時間をT1としてセットし、T1としてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間と揚げ物保温工程の今回の加熱ON時間の比であるNNを算出しておくのは、揚げ物予熱工程から揚げ物保温工程に切り替わった直後に被調理物30が投入されると、揚げ物保温工程の前回の加熱ON時間の記憶データがないために判断ができなくなることを防止するためである。
【0164】
S126で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S127)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S128)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S128)した後、加熱を一時OFFする(S129)。
【0165】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S130)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0166】
以上のように、本発明の実施の形態6の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱ON時間、または揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間と、今回の加熱ON時間、言い換えると最新の加熱ON時間とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1〜5と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0167】
また、揚げ物保温工程に入って直ぐに被調理物が投入されても、揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間と比較することによって、被調理物の投入を間違いなく判断でき、確実性が向上する。
【0168】
実施の形態7.
(構成)
本発明の実施の形態7の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態2〜4及び6の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0169】
(動作)
図20は本発明の実施の形態7に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図21は
図20のフローチャートの続きである。
図20、
図21及び本発明の実施の形態1〜6で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0170】
本発明の実施の形態1〜6に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0171】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0172】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0173】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S141)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S142)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0174】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S143)。
【0175】
S143で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S144)。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0176】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S145)。S145で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S146)。
【0177】
S145で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、記憶手段20に記憶した揚げ物予熱工程における最新の加熱OFF時間、言い換えれば揚げ物予熱工程における最後の加熱OFF時間をT0としてセット(S147)して、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物保温工程が開始される(S148)。
【0178】
加熱OFF回数は本発明の実施の形態1〜6と同様に例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0179】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S149)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S150)し、未満のときは1000Wで加熱する(S151)。
【0180】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S152)。S152で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S154)。その後、一時加熱をOFF(S155)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0181】
S152で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるOO、前々回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるPP、T0としてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱OFF時間と揚げ物保温工程の今回の加熱OFF時間の比であるQQを算出する(S153)。
【0182】
前回の加熱OFF時間とは、
図7ではT4であり、今回の加熱OFF時間とは、T6である。また、前々回の加熱OFF時間とは、T2である。同様に
図8ではT6であり、今回の加熱OFF時間とは、T8である。また、前々回の加熱OFF時間とは、T4である。それから、揚げ物予熱工程の最後の加熱OFF時間とは
図7、
図8ともにT0のときの加熱OFF時間である。
【0183】
算出したOO、PP、QQがそれぞれ予め設定された判定値TYと、比較手段21により比較される(S156)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱OFF時間の比は1となる。判定値TYは1よりも小さい数値、TY<1として設定されている。
【0184】
OO、PP、QQのいずれかの値が判定値TYよりも小さいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱ON時間が長くなり、加熱OFF時間が短くなる。よって、OO、PP、QQのいずれかの値も小さくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0185】
ここで、判断として前回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比である00、又は前々回の加熱OFF時間と今回の加熱OFF時間の比であるPP、T0としてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱OFF時間と揚げ物保温工程の今回の加熱OFF時間の比であるQQの何れかを使用しているのは、
図8のグラフのような例では、前回の加熱OFF時間であるT6が、今回の加熱ON時間であるT8に比べ差が少ない場合を考えての対応である。
【0186】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱OFF時間が大きくは変化しない例であるが、比較対象を複数にすることで判断できるようになる。
【0187】
なお、揚げ物予熱工程における最後の加熱OFF時間をT0としてセットし、T0としてセットした揚げ物予熱工程の最後の加熱OFF時間と揚げ物保温工程の今回の加熱OFF時間の比であるQQを算出しておくのは、揚げ物予熱工程から揚げ物保温工程に切り替わった直後に被調理物30が投入されると、揚げ物保温工程の前回の加熱OFF時間の記憶データがないために判断ができなくなることを防止するためである。
【0188】
S156で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S157)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S158)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S158)した後、加熱を一時OFFする(S159)。
【0189】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S160)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0190】
以上のように、本発明の実施の形態7の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱OFF時間、または揚げ物予熱工程の最後の加熱OFF時間と、今回の加熱OFF時間、言い換えると最新の加熱OFF時間とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1〜6と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0191】
また、揚げ物保温工程に入って直ぐに被調理物が投入されても、揚げ物予熱工程の最後の加熱OFF時間と比較することによって、被調理物の投入を間違いなく判断でき、確実性が向上する。
【0192】
実施の形態8.
(構成)
本発明の実施の形態8の誘導加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態2〜4、6及び7の誘導加熱調理器と同様であるのでここでは省略する。
【0193】
(動作)
図22は本発明の実施の形態8に係る誘導加熱調理器の制御を示すフローチャート、
図23は
図22のフローチャートの続きである。
図22、
図23及び本発明の実施の形態1〜7で使用した
図7、
図8を用いて動作を説明する。
【0194】
本発明の実施の形態1〜7に係る誘導加熱調理器と同様、使用者が電源スイッチ7を入れると制御手段18が起動し、まず、内蔵しているカウンタ(図示せず)のクリアや稼動開始に必要な初期値設定などの初期処理を行った後、天面操作部5または前面操作部6からの入力が可能な状態となる。
【0195】
次に制御手段18は、天面操作部5または前面操作部6から使用者が入力すると、入力された情報が調理開始命令か否かを調べ、調理開始でなければ、調理開始命令が入力されるまで待ち状態となる。
【0196】
入力待ち状態から、例えば左誘導加熱手段11で揚げ物調理を行う場合、揚げ物調理モードの入力キー(図示せず)を押下してから油の温度や火力等の調理情報を設定入力し、調理開始スイッチ(図示せず)を押下すると、調理開始命令により設定された火力等に基づく出力制御信号をインバーター回路16に送り、インバーター回路16が左誘導加熱手段11への高周波電力の供給を開始する。
【0197】
左誘導加熱手段11で揚げ物調理が開始されると、油を調理可能な所定の温度まで昇温させる揚げ物予熱工程が開始される(S171)。予熱は、例えば出力1000Wで加熱される(S172)。フローチャートに記載はないが被加熱物10の底面の反り量や油の量の判定等も行われている。
【0198】
制御手段18は、設定した所定の温度に制御するための制御温度A℃を決定する。例えば設定した所定の温度が180℃であれば、A℃=180℃となる。次に決定された制御温度A℃と、温度検知素子が検知し温度検出手段が検出した検出温度との比較が行われる(S173)。
【0199】
S173で検出温度がA℃以上になると加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間と加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S174)。揚げ物予熱工程が開始されてから所定の温度になるまで、左誘導加熱手段11の加熱のON、OFFが繰り返される。
【0200】
加熱のON、OFFが繰り返され、加熱OFFの回数が何回目かを判断する(S175)。S175で加熱OFFの回数が3回目に到達していないときは、検出温度がA℃未満であれば引き続き加熱を行うようにする(S176)。
【0201】
S175で加熱OFFの回数が3回目に到達したときは、記憶手段20に記憶した揚げ物予熱工程における最新の加熱ON時間+加熱OFF時間、言い換えれば揚げ物予熱工程における最後の加熱ON時間+加熱OFF時間をT1+T0としてセット(S177)して、揚げ物予熱工程を終了し揚げ物保温工程が開始される(S178)。
【0202】
加熱OFF回数は本発明の実施の形態1〜3と同様に例えば3回としたのであり、3回に限定されるものではない。
【0203】
揚げ物保温工程では、油の温度を一定に保つよう制御する。所定の温度を保つように制御温度A℃をセットする(S179)。セットされた制御温度A℃に対し、検出温度が制御温度未満であるか判断(S180)し、未満のときは1000Wで加熱する(S181)。
【0204】
1000Wで加熱し、検出温度が制御温度以上であるかを判断する(S182)。S182で検出温度が制御温度以上であるときは、加熱をOFFし、計時手段23が計時した加熱ON時間と加熱OFF時間を記憶手段20に記憶する(S184)。その後、一時加熱をOFF(S183)し、揚げ物保温工程を継続する。
【0205】
S182で検出温度が制御温度以上ではないときは、前回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるSS、前々回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるTT、T1+T0としてセットした揚げ物予熱工程の最後の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と揚げ物保温工程の今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるUUを算出する(S183)。
【0206】
前回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、
図7ではT5+T4であり、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T7+T6である。また、前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T3+T2である。
【0207】
同様に
図8ではT7+T6であり、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T9+T8である。また、前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間とは、T5+T4である。
それから、揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間+加熱OFF時間とは
図7、
図8ともにT1+T0のときの加熱ON時間+加熱OFF時間である。
【0208】
算出したSS、TT、UUがそれぞれ予め設定された判定値TWと、比較手段21により比較される(S186)。被調理物30が投入されていない状態で安定している加熱ON時間+加熱OFF時間の比は1となる。判定値TWは1よりも大きい数値、TW>1として設定されている。
【0209】
SS、TT、UUのいずれかの値が判定値TWよりも大きいときは、被調理物30が投入されたと判断する。被調理物30が投入されると、油の温度が下がるので、制御温度A℃まで温度を上げるように制御するには加熱ON時間が長くなるので、加熱ON時間+加熱OFF時間も長くなる。よって、SS、TT、UUのいずれかの値も大きくなり、被調理物30の投入を判断できる。
【0210】
ここで、判断として前回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるSS、又は前々回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるTT、T1+T0としてセットした揚げ物予熱工程の最後の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と揚げ物保温工程の今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるUUの何れかを使用しているのは、
図7のグラフのような例ではT7+T6が明らかに長くなっているので判断できるのに対し、
図8のグラフのような例では、前回の加熱ON時間+加熱OFF時間であるT7+T6が、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間であるT9+T8に比べ明らかに長くなっているとは言えない場合を考えての対応である。
【0211】
図8のグラフのような例とは、油量の違い、設定温度の違い、使用する鍋種の違いや、調理負荷の量の違いの影響で調理負荷投入の前後で加熱ON時間+加熱OFF時間が大きくは変化しない例であるが、このような場合でも前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間のT5+T4に対し、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間のT9+T8が明らかに長くなっているので判断できるようになる。
【0212】
なお、揚げ物予熱工程における最後の加熱ON時間+加熱OFF時間をT1+T0としてセットし、T1+T0としてセットした揚げ物予熱工程の最後の(加熱ON時間+加熱OFF時間)と揚げ物保温工程の今回の(加熱ON時間+加熱OFF時間)の比であるUUを算出しておくのは、揚げ物予熱工程から揚げ物保温工程に切り替わった直後に被調理物30が投入されると、揚げ物保温工程の前回の加熱ON時間+加熱OFF時間の記憶データがないために判断ができなくなることを防止するためである。
【0213】
S186で被調理物30が投入されたと判断すると、加熱出力を1500Wへ変更(S187)、制御温度をA℃よりも高いC℃に変更する(S188)。加熱出力1500Wで制御温度C℃以上になるまで加熱(S188)した後、加熱を一時OFFする(S189)。
【0214】
その後、A℃よりも高くC℃よりも低い制御温度B℃で、一度だけ加熱のONとOFFを実行(S190)し、制御温度A℃で加熱のON、OFF制御へ戻る。
【0215】
以上のように、本発明の実施の形態8の誘導加熱調理器によれば、記憶した前回、または前々回の加熱ON時間+加熱OFF時間、または揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間+加熱OFF時間と、今回の加熱ON時間+加熱OFF時間、言い換えると最新の加熱ON時間+加熱OFF時間とを比較するようにしたので、本発明の実施の形態1〜7と同様、被調理物が投入されたことを確実に判断することができ、被調理物の投入による油の温度低下に迅速に対応した制御を行うことができる。
【0216】
また、揚げ物保温工程に入って直ぐに被調理物が投入されても、揚げ物予熱工程の最後の加熱ON時間+加熱OFF時間と比較することによって、被調理物の投入を間違いなく判断でき、確実性が向上する。