【実施例】
【0037】
(B.実施例)
本発明は、以下の実施例によって例証され、これらの実施例は、いかなる点においても
限定的であることが意図されない。
【0038】
(実施例1)健常ボランティアにおける注射用組換えヒトニューレグリン-1の忍容性を評
価する第I相非盲検非比較単回投与試験
【0039】
健常対象における注射用組換えヒトニューレグリン-1の単回投与の安全性及び忍容性を
決定するために、第I相臨床試験(プロトコルID:KW-70112)を中国の北京大学第一病院
(Peking University First Hospital)で実施した。28名の健常ボランティアを登録し、
その登録順に従って、6つの用量群に無作為化した。これらの用量群の中では、男女比は
約1:1であった。
【0040】
被験薬:
【0041】
規格:Neucardin(商標)。ニューレグリン-1 β2アイソフォームのEGF様ドメインを含み
、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する61アミノ酸のポリペプチド。分子量7054Dal(
1μg=0.14nmol)。250μg(5000EU)/バイアル(1μg=20EU)。
【0042】
製剤:注射用。
【0043】
投与の様式:低速ボーラス(20ml/10分、注入ポンプ制御)。
【0044】
保存:安全な場所に、利用を制限し、遮光して、3〜8℃で。
【0045】
用量群:
【0046】
28名のボランティアを、0.2μg、0.4μg、0.8μg、1.2μg、1.6μg、及び2.4μgに相当
する漸増投与量にした6つの群に分けた(詳細については表1を参照されたい)。前の用量
群の安全性及び忍容性を確認する前提条件の下で、0.2μg/kgから始めて、該試験を次の
用量へと段階的に増加させた。
【表1】
【0047】
試験手順
【0048】
1)スクリーニング期間:
・書面によるインフォームドコンセントフォームを得る;
・包含/除外基準を確認する;
・人口統計学
・病歴を収集する;
・健康診断;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・血液検査、尿検査;
・血液生化学検査;
・血清心臓マーカー;
・ECG;
・心臓超音波画像;
・血液凝固検査:APTT、PT;
・血清学的検査(HBsAg、抗HCV、抗HIVアッセイを含む);
・胸部X線;
・尿HCG検査(女性対象、必要な場合);
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0049】
2)ベースライン:予定された治験薬投与の前夜から治験薬投与の開始までの時間
・健康診断;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・特異的抗体アッセイ;
・包含/除外基準を再確認する;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0050】
3)治験薬が投与された日
・治験薬投与;
・ECG;
・心エコー検査;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する(毎日)。
【0051】
4)薬物投与の中止後1日目及び7日目
・健康診断;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・特異的抗体アッセイ;
・血液検査、尿検査;
・血液生化学検査;
・血清心臓マーカー;
・ECG;
・心臓超音波画像(薬物投与の中止後7日目);
・血液凝固検査:APTT、PT;
・尿HCG検査(女性対象、必要な場合);
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0052】
5)薬物投与の中止後10日目
【0053】
薬物投与の中止後7日目の検査結果における任意の異常な項目に関して、この項目を投
与後10日目に再検査した。その後、結果が正常になるまで、それを一定の間隔で再検査し
た。
【0054】
結果及び解析
【0055】
合計28名の健常対象を0.2、0.4、0.8、1.2、1.6、2.4μg/kgの6つの用量群に登録し、
各用量群で試験を終了した対象の数は、それぞれ、4名、4名、4名、5名、6名、5名であっ
た(表1参照)。
【0056】
インフォームドコンセントに署名した時から治療最後の来診まで有害事象(AE)をモニ
タリングした。16名の対象(57.1%)は、該試験期間中に少なくとも1回の有害事象を経
験し、全ての有害事象は軽度であった。該試験中、中等度又は重症の有害事象を経験した
対象はいなかった。
【0057】
該試験中、最も頻繁に報告された有害事象を表2に記載し、重症度別の有害事象を表3に
記載した。
【表2】
【表3】
【0058】
治験薬関連の有害事象は、ECG異常(8名の対象、28.6%)及び胃腸障害(7名の対象、2
5.0%)であった。ECG異常には、わずかなST-T部の低下、T波平坦化、又は最小限のT波逆
転が含まれた。治験薬投与期間及び観察期間中、前胸部不快感、窒息感、胸痛、呼吸困難
を経験した対象はおらず、血圧は投与後2時間及び24時間で正常であり、血液生化学検査
、電解質、血清心臓マーカー、及び心エコー検査に異常は見られなかった。
【0059】
各用量の全ての対象は、健康診断パラメータにおいてベースラインから変化しなかった
。血清抗体アッセイは全ての対象で陰性の結果を示した(表4参照)。
【表4】
【0060】
第I相臨床試験の結果により、2.4μg/kg/日を超えない用量では、薬物関連の有害事
象は、主に、軽度のECG異常及び胃腸障害であることが示され、中等度又は重症の有害事
象は認められなかった。したがって、単回投与で投与される場合の2.4μg/kg/日を超え
ない用量は忍容性である。
【0061】
(実施例2)健常ボランティアにおける注射用組換えヒトニューレグリン-1の忍容性を評
価する第I相非盲検非比較複数回投与試験
【0062】
健常対象における連続5日間の注射用組換えヒトニューレグリン-1の複数回投与の安全
性及び忍容性を評価するために、第I相臨床試験(プロトコルID:KW-70112)を中国の北
京大学第一病院(Peking University First Hospital)で実施した。32名の健常ボランテ
ィアを登録し、4つの用量群に無作為化した。
【0063】
被験薬:
【0064】
規格:Neucardin(商標)。ニューレグリン-1 β2アイソフォームのEGF様ドメインを含み
、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する61アミノ酸のポリペプチド。分子量7054Dal(
1μg=0.14nmol)。250μg(5000EU)/バイアル(1μg=20EU)。
【0065】
製剤:注射用。
【0066】
投与の様式:低速ボーラス(20ml/10分、注入ポンプ制御)。
【0067】
保存:安全な場所に、利用を制限し、遮光して、3〜8℃で。
【0068】
用量群:
【0069】
32名のボランティアを、0.2μg、0.4μg、0.8μg、及び1.2μgに相当する漸増投与量に
した4つの群に分けた(詳細については表5を参照されたい)。前の用量群の安全性及び忍
容性を確認する前提条件の下で、0.2μg/kgから始めて、該試験を次の用量へと段階的に
増加させた。
【表5】
【0070】
試験手順
【0071】
1)スクリーニング期間:
・書面によるインフォームドコンセントフォームを得る;
・包含/除外基準を確認する;
・人口統計学;
・病歴を収集する;
・健康診断;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・血液検査、尿検査;
・血液生化学検査;
・血清心臓マーカー;
・ECG;
・心臓超音波画像;
・血液凝固検査:APTT、PT;
・血清学的検査(HBsAg、抗HCV、抗HIVアッセイを含む);
・胸部X線;
・尿HCG検査(女性対象、必要な場合);
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0072】
2)ベースライン:予定された治験薬投与の前夜から治験薬投与の開始までの時間
・健康診断;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・包含/除外基準を再確認する;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0073】
3)薬物投与の1日目から5日目
・治験薬投与;
・ECG;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する(毎日);
・併用薬を記録する(毎日)。
【0074】
4)薬物投与の中止後1日目及び7日目
・健康診断;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・血液検査、尿検査;
・血液生化学検査;
・血清心臓マーカー;
・ECG;
・心臓超音波画像(薬物投与の中止後7日目);
・血液凝固検査:APTT、PT;
・尿HCG検査(女性対象、必要な場合);
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0075】
5)薬物投与の中止後14日目
【0076】
薬物投与の中止後7日目の検査結果における任意の異常な項目に関して、この項目を投
与後10日目に再検査した。その後、結果が正常になるまで、それを一定の間隔で再検査し
た。
【0077】
結果及び解析
【0078】
合計32名の健常対象を登録し、0.2、0.4、0.8、及び1.2μg/kgの4つの異なる用量群に
無作為化した。各群に8名の対象とし、男女比を1:1とした。1.2μg/kg用量群の1名の対
象は有害事象のために試験を中止し、他の全ての対象は該試験を終了した。
【0079】
インフォームドコンセントに署名された時から治療最後の来院まで有害事象をモニタリ
ングした。23名の対象(71.9%)は、該試験期間中に少なくとも1回の有害事象を経験し
、全ての有害事象は軽度であった。該試験中に、重症の又は重篤な有害事象を経験した対
象はいなかった(表6参照)。
【表6】
【0080】
頻繁に報告された治験薬関連の有害事象には、ECG異常(14例、40.63%)及び胃腸障害
(9例、28.13%)が含まれた。ECG異常には、わずかなST-T部の低下、T波平坦化、又は最
小限のT波逆転が含まれた。治験薬投与期間及び観察期間中、ECGが異常であった対象の中
で、前胸部不快感、窒息感、胸痛、及び呼吸困難を経験したものはいなかった。試験の全
過程において、いかなる治療も施されなかった。5回目の治験薬投与後48時間以内に、ほ
とんど全てのECG異常が正常に戻った
【0081】
治験薬に関連する胃腸障害は、胃の不快感、吐き気、嘔吐、及び軟便であった(表7参
照)。
【表7】
【0082】
第I相臨床試験の結果により、1.2μg/kg/日を超えない用量では、薬物関連の有害事
象は、主に、軽度のECG異常及び胃腸障害であることが示され、中等度又は重症の有害事
象は認められなかった。この複数回投与試験で経験されるAEは、単回投与試験のAEと類似
しており、該治験薬を複数日投与した場合、AEの発生率及び強度が増加しないことを裏付
けた。
【0083】
(実施例3)標準療法を受けている心不全患者における注射用組換えヒトニューレグリン-
1の有効性及び安全性を評価する非盲検単一施設並行群試験
【0084】
慢性心不全に対する注射用組換えヒトニューレグリン-1の有効性及び安全性を評価する
ために、並びに慢性心不全を治療するための注射用組換えヒトニューレグリン-1の有効用
量範囲を検討するために、標準治療をベースとした第II相非盲検単一施設並行群試験(プ
ロトコルID:HREC 06/035)をオーストラリアの聖ビンセント病院(St Vincent's Hospi
tal)で実施した。15名の慢性心不全患者を登録し、3つの群に無作為化した。
【0085】
被験薬:
規格:Neucardin(商標)。ニューレグリン-1 β2アイソフォームのEGF様ドメインを含み
、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する61アミノ酸のポリペプチド。分子量7054Dal(
1μg=0.14nmol)。250μg(5000EU)/バイアル(1μg=20EU)。
【0086】
製剤:注射用。
【0087】
投与の様式:静脈内に点滴する。
【0088】
保存:安全な場所に、利用を制限し、遮光して、3〜8℃で。
【0089】
用量群:
【0090】
15名の慢性心不全患者(LVEF≦40%、NYHAクラスII/III、ACEI/ARA及びβ遮断薬を服
用し、先立つこと3カ月間、安定投与量のこれらの薬物で安定している)を登録し、各群
に5名の患者として3つの用量群に無作為化した(表8参照)。
【表8】
【0091】
試験手順
【0092】
1)スクリーニング及びベースライン:
・書面によるインフォームドコンセントフォームを得る;
・病歴を収集する;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・健康診断;
・包含/除外基準を確認する;
・ECG;
・FBC;
・神経ホルモンマーカー、免疫学的マーカー(NT-proBNP、PIIINP、NA、アルドス、エ
ンドセリン、hsCRP、TNF-a、IL-6);
・心臓超音波画像;
・MRI。
【0093】
2)薬物投与の1日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・治験薬投与;
・ECG;
・RHカテーテル;
・NT-proBNP。
3)薬物投与の2〜11日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・治験薬投与;
・ECG。
【0094】
4)該試験の12日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・ECG;
・RHカテーテル;
・FBC;
・神経ホルモンマーカー、免疫学的マーカー(NT-proBNP、PIIINP、NA、アルドス、エ
ンドセリン、hsCRP、TNF-a、IL-6);
・心臓超音波画像;
・MRI。
【0095】
5)該試験の30日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・ECG;
・FBC;
・神経ホルモンマーカー、免疫学的マーカー(NT-proBNP、PIIINP、NA、アルドス、エ
ンドセリン、hsCRP、TNF-a、IL-6);
・心臓超音波画像;
・MRI。
【0096】
6)該試験の60日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・ECG;
・FBC;
・神経ホルモンマーカー、免疫学的マーカー(NT-proBNP、PIIINP、NA、アルドス、エ
ンドセリン、hsCRP、TNF-a、IL-6);
【0097】
7)該試験の90日目
・病歴を収集する;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・健康診断;
・ECG;
・FBC;
・RHカテーテル;
・神経ホルモンマーカー、免疫学的マーカー(NT-proBNP、PIIINP、NA、アルドス、エ
ンドセリン、hsCRP、TNF-a、IL-6);
・心臓超音波画像;
・MRI。
【0098】
結果及び解析
【0099】
有効性の主要評価項目は、(MRIで測定されるLVEF、LVEDV、及びLVESVの変化によって
決定されるような)左室機能及びリモデリングを評価することである。血行動態パラメー
タ並びに神経ホルモンマーカー及び免疫学的マーカーは、有効性の副次的評価項目の役割
を果たす。
【0100】
総数として、13名の対象(13/15、86.7%)に、IV注入により試験薬を連続11日間投与
し、1名の対象(1/15、6.7%)に、IV注入により試験薬を10日間投与し、1名の対象(1
/15、6.7%)に、IV注入により試験薬を7日間投与した。脱落した対象はいなかった。
【0101】
A群(1.2μg/kg/日
* 1日+2.4μg/kg/日
* 10日)では、4名の対象(4/5、80.0
%)に、IV注入により試験薬を連続11日間投与し、1名の対象(1/5、20.0%)に、IV注
入により試験薬を7日間投与した。B群(1.2μg/kg/日
* 1日+1.2μg/kg/日
* 10日
)では、5名の対象(5/5、100.0%)に、IV注入により試験薬を連続11日間投与した。C
群(1.2μg/kg/日
* 1日+0.6μg/kg/日
* 10日)では、4名の対象(4/5、80.0%)
に、IV注入により試験薬を連続11日間投与し、1名の対象(1/5、20%)に、IV注入によ
り試験薬を10日間投与した。
【0102】
A群では、Neucardin(商標)の投与後、12日で、該LVEF(%)は、ベースラインと比較
して5.4%改善し、増加率は16.0%であった。1カ月で、該LVEF(%)は、ベースラインと
比較して3.3%改善し、増加率は8.8%であった。3カ月で、該LVEF(%)は、ベースライ
ンと比較してなおも2.6%改善し、増加率は6.1%であった。
【0103】
B群では、12日で、該LVEF(%)は、ベースラインと比較して3.8%改善し、増加率は11
.8%であった。1カ月で、該LVEF(%)は、ベースラインと比較して3.4%改善し、増加率
は9.7%であった。3カ月で、該LVEF(%)の改善は、ベースラインと比較して4.8%に増
加し、増加率は15.7%であった。
【0104】
C群では、12日で、該LVEF(%)は、ベースラインと比較して2.2%改善し、増加率は8.
4%であった。1カ月で、該LVEF(%)は、ベースラインと比較して4.6%改善し、増加率
は15.4%であった。LVEF(%)の改善は、ベースラインと比較して4.4%差で3カ月まで維
持され、増加率は15.5%であった。
【0105】
そして、該試験を終了した(合せて)全15名の対象について、LVEF(%)の改善は、ベ
ースラインと比較して、12日、1カ月、3カ月で、それぞれ、3.8%、3.8%、及び3.9%で
あった(表9参照)。
【0106】
該試験を終了した(合せて)全15名の対象について、及び各々の個々の用量群について
、どの時点においても、ベースラインと比較してLVEDV(ml)の顕著な変化はなかった。
【0107】
LVESV(ml)に関して、A群では、12日で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して8
.4ml減少し、減少率は4.9%であった。1カ月で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較
して14.3ml減少し、減少率は8.8%であった。3カ月で、該LVESV(ml)は、ベースライン
と比較して12.0ml減少し、減少率は8.3%であった。
【表9】
【0108】
B群では、12日で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して1.0ml減少し、減少率は2
.5%であった。1カ月で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して3.8ml減少し、減少
率は2.5%であった。3カ月で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して12.6ml減少し
、減少率は6.3%であった。
【0109】
C群では、12日で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して11.4ml減少し、減少率は
8.6%であった。1カ月で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して8.0ml減少し、減少
率は5.1%であった。3カ月で、該LVESV(ml)は、ベースラインと比較して10.8ml減少し
、減少率は7.1%であった。
【0110】
そして、該試験を終了した(合せて)全15名の対象について、LVESV(%)の減少は、
ベースラインと比較して、12日、1カ月、3カ月で、それぞれ、6.9%、8.3%、及び11.8%
であった(表10参照)。
【表10】
【0111】
24時間にわたってモニタリングしたとき、6時間のNeucardin(商標)の注入は、いくつ
かの血行動態パラメータに急性にかつ顕著に影響を及ぼした。表11に示すように、血行動
態に対するNeucardin(商標)の急性の影響は、全く疑いようのないものであった。
【表11】
【0112】
試験対象の血行動態における長期間の顕著な変化を次の表にまとめ、詳細を以下に記載
する(表12)。
【表12】
【0113】
神経ホルモンマーカー及び免疫学的マーカーに関して、NT-proBNPは、1日目の6時間のN
eucardin(商標)の注入後に増加し、投与の開始から24時間でベースラインに戻らず、投
薬の終了後、それは減少し、試験の最後にベースラインに戻った。
【0114】
顕著な変化はhs-CRPでは認められなかった。
【0115】
安全性評価に関して、10名の対象(10/15、66.7%)は、少なくとも1回の有害事象(A
E)を経験した。最もよく報告される個々のAEは、吐き気(20%)、倦怠感(20%)、及
び胸痛(20%)であり、投与量との明確な因果関係はなかった。対象の約67%は、治験薬
の投与中又は投与後にECG異常を有し、これには、T波の逆転又は平坦化、ST-T部の変化、
心室性期外収縮、非持続的に続く上室性もしくは心室性頻脈又は心房粗動/細動が含まれ
た。ECG異常はCHF対象によく見られるものであり、かつ比較用のプラセボ群がなかったの
で、この試験で薬物との因果関係または関係性を評価するのは難しい。
【0116】
A群の1名の対象(2.4μg/kg/日)及びC群の1名の対象(0.6μg/kg/日)は、重篤な
有害事象(SAE)を経験した。
【0117】
バイタルサイン、健康診断、実験室パラメータに関して同定された臨床的に重大な異常
はなかった。
【0118】
第II相試験の結果によれば、組換えヒトニューレグリン-1は、0.6〜2.4μg/kg/日(1
2〜48EU/kg/日又は0.08〜0.34nmol/kg/日)の用量範囲で慢性心不全患者を治療する
のに有効かつ安全であると考えられる。
【0119】
(実施例4)慢性心不全患者における組換えヒトニューレグリン1の有効性及び安全性を評
価する、標準治療をベースとした無作為化二重盲検多施設共同プラセボ比較試験
【0120】
慢性鬱血性心不全に対する注射用組換えヒトニューレグリン-1の有効性及び安全性を評
価するために、並びに慢性鬱血性心不全を治療するための注射用組換えヒトニューレグリ
ン-1の有効用量範囲を検討するために、標準治療をベースとした第II相二重盲検多施設共
同プラセボ対照比較試験(プロトコルID:ZS-01-206)を中国の複数の臨床施設で実施し
た。拡張型心筋症、高血圧症、ウイルス性心筋炎、心筋梗塞、及びアルコール性心筋症を
含む1以上の因子に起因する慢性心不全と診断された64名の患者を登録し、4つの群に無作
為化した。
【0121】
被験薬:
【0122】
規格:Neucardin(商標)。ニューレグリン-1 β2アイソフォームのEGF様ドメインを含み
、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する61アミノ酸のポリペプチド。分子量7054Dal(
1μg=0.14nmol)。250μg(5000EU)/バイアル(1μg=20EU)。
【0123】
製剤:注射用。
【0124】
投与の様式:静脈内に点滴する。
【0125】
保存:安全な場所に、利用を制限し、遮光して、3〜8℃で。
【0126】
プラセボ:
【0127】
規格:Neucardin(商標)用の賦形剤。250μg/バイアル。活性のある組換えヒトニュー
レグリン-1タンパク質を含まない。
【0128】
用量群:
【0129】
64名の慢性心不全患者(LVEF≦40%、NYHAクラスII/III、ACEI/ARA、β遮断薬、利尿
薬、又はジゴキシンを服用し、先立つこと1カ月の間、安定投与量のこれらの薬物で安定
している)を登録し、各群に16名の患者として4つの用量群に無作為化するようデザイン
した(表13参照)。
【表13】
【0130】
試験手順
【0131】
1)スクリーニング及びベースライン:
・書面によるインフォームドコンセントフォームを得る;
・人口統計学;
・病歴を収集する;
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・健康診断;
・血液/尿検査、血液生化学検査;
・血液凝固検査:APTT、PT;
・NT-proBNP;
・ECG;
・NYHA分類;
・心臓超音波画像;
・胸部ラジオグラフィー;
・MRI;
・組織ドップラー(乳房、肝臓、胆嚢、腎臓、副腎、膵臓、脾臓、卵巣、子宮、前立腺
);
・尿妊娠検査(出産年齢の女性);
・安静時の呼吸困難評価;
・生活の質;
・6分間歩行試験;
・包含/除外基準を確認する;
・24時間尿量;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0132】
2)薬物投与の1〜10日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・ECG;
・治験薬投与;
・24時間尿量;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0133】
3)該試験の11〜13日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・健康診断;
・ECG;
・血液/尿検査、血液生化学検査;
・血液凝固検査:APTT、PT;
・NT-proBNP;
・尿妊娠検査(出産年齢の女性);
・生活の質;
・6分間歩行試験;
・MRI;
・NYHA分類;
・安静時の呼吸困難評価;
・24時間尿量;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0134】
4)該試験の30及び90日目
・バイタルサイン(臥位血圧、脈拍、呼吸数、体温);
・健康診断;
・通常の血液/尿検査、血液生化学検査;
・血液凝固検査:APTT、PT;
・NT-proBNP;
・ECG;
・胸部ラジオグラフィー;
・6分間歩行試験;
・MRI;
・NYHA分類;
・安静時の呼吸困難評価;
・生活の質;
・有害事象及び重篤な有害事象を記録する;
・併用薬を記録する。
【0135】
結果及び解析
【0136】
40名の患者が該試験を終了した。有効性の主要評価項目は、30日目の心機能パラメータ
(LVEF、LVEDV、及びLVESV)である。LVEFに関して、LVEFの平均値は、プラセボ群では、
ベースライン時の21.54%から30日目の20.93%に減少する。一方、0.3μg/kg/日の群で
は、LVEFの平均値は、ベースライン時の25.08%から26.61%にやや改善し、増加率は4.88
%である。そして、0.6μg/kg/日の群では、LVEFの平均値は、ベースライン時の23.03
%から30日目の28.01%に顕著に増加し、増加率は27.11%である(表14参照)。
【0137】
LVEDVに関して、LVEDVの平均値は、プラセボ群では、ベースライン時の392.16mlから30
日目の413.35mlに増加し、増加率は5.93%である。一方、0.3μg/kg/日の群では、LVED
Vの平均値は、ベースライン時の333.62mlから30日目の323.22mlにやや減少し、減少率は3
.28%である。0.6μg/kg/日及び1.2μg/kg/日の群では、LVEDVの平均値は、それぞれ
、ベースライン時の408.51ml及び397.04mlから30日目の386.89ml及び374.46mlに顕著に減
少し、減少率は両方とも5%を上回る(表15参照)。
【表14】
【表15】
【0138】
LVESVの結果は、LVEDVの結果と類似している。プラセボ群では、LVESVの平均値は、ベ
ースライン時の310.54mlから30日目の335.78mlに増加し、増加率は9.45%である。一方、
各々の組換えニューレグリン治療群では、LVESVの平均値は減少した。一例として、0.6μ
g/kg/日の群では、LVESVの平均値は、ベースライン時の325.02mlから30日目の291.71ml
に減少し、減少率は11.58%であった(表16参照)。
【表16】
【0139】
NT-proBNPは、慢性心不全患者の生存率の重要な独立予後因子である。結果から、30日
目及び90日目のプラセボ及び1.2μg/kg/日の群におけるNT-proBNPの値は、ベースライ
ンのNT-proBNPの値と比較して顕著に増加した。一方、0.3μg/kg/日及び0.6μg/kg/
日の群では、それは、減少の傾向を示し(表17参照)、より良好な予後を示唆している。
【表17】
【0140】
各群で有害事象があり、特に、1.2μg/kg/日の群では、該群の100%の患者が少なく
とも1回の有害事象を経験した。最もよく報告される個々のAEは、吐き気、食欲不振、及
び頭痛であった。重篤な有害事象は報告されなかった(表18参照)。報告されたほとんど
の有害事象は治療しなくても緩和され、残りは、治験薬投与の中止後又は対症療法により
、後遺症なく緩和された。
【0141】
バイタルサイン及び健康診断に関して同定された臨床的に重大な異常はなかった。
【0142】
有効性及び安全性の結果から、本発明者らは、0.3〜1.2μg/kg/日(6〜24EU/kg/日
又は0.04〜0.17nmol/kg/日)の用量で、組換えヒトニューレグリン-1は、慢性心不全の
治療に有効かつ安全であることを見出すことができる。
【表18】
【0143】
これらの臨床試験の結果から、本発明者らは、0.3〜2.4μg/kg/日(6〜48EU/kg/日
又は0.04〜0.34nmol/kg/日)の用量で、組換えヒトニューレグリン-1は、慢性心不全の
治療に忍容性がありかつ有効であると結論することができる。