特許第6266158号(P6266158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6266158
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】折装置に備える折丁ガイド
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/52 20060101AFI20180115BHJP
   B65H 45/18 20060101ALI20180115BHJP
   B65H 29/40 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B65H29/52
   B65H45/18
   B65H29/40
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-157122(P2017-157122)
(22)【出願日】2017年8月16日
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-160841(P2016-160841)
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151416
【氏名又は名称】株式会社東京機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 宏一
(72)【発明者】
【氏名】小山 博司
(72)【発明者】
【氏名】大田 桂一郎
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3776415(JP,B2)
【文献】 特開平10−218452(JP,A)
【文献】 実開昭61−206548(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36−5/38
B65H29/38−29/40
B65H29/52
B65H37/00−37/06
B65H45/00−45/30
B41F13/54−13/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の折込みローラーに折り畳まれて、折込みローラー間から送り出される折丁を回転するファン装置に導くための折装置に備える折丁ガイドにおいて、
前記折丁ガイドは、前記折丁の送りを補助する折込み下ガイドと、前記折丁が薄頁の折丁の場合に、当該折丁の送りを補助する薄頁ガイドを有し、
前記折丁が薄頁の場合、当該折丁が、前記折込み下ガイドと前記薄頁ガイドとの間を通って前記一対の折込みローラーから前記回転するファン装置に送られるようになった折装置に備える折丁ガイドであって、
前記薄頁ガイドには当該薄頁ガイドの材質よりも変形し易い折丁メクレ防止ガイドが更に備わっており、
前記折丁メクレ防止ガイドは、その一端が固定端部をなし、その他端が自由端部となって前記薄頁の折丁が送られる際に当該折丁に接して当該折丁メクレ防止ガイドの弾性力を前記折丁に及ぼすことで当該折丁のメクレを防止するようになっていることを特徴とする折丁ガイド。
【請求項2】
前記折丁が薄頁の場合に、前記薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドが所定の薄頁用ガイド定位置に留まると共に、前記折丁が薄頁でない場合に、前記薄頁用ガイド位置とは異なる待機位置に移動できる構造を前記折丁ガイドが有していることを特徴とする請求項1に記載の折装置に備える折丁ガイド。
【請求項3】
前記薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドが、前記薄頁用ガイド定位置と待機位置との間を移動可能とするアクチュエーターを前記薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドに備えたことを特徴とする請求項2に記載の折装置に備える折丁ガイド。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の折装置に備える折丁ガイドを備えた折装置。
【請求項5】
前記回転するファン装置のファン羽根に、前記折丁メクレ防止ガイドとの干渉を防止する切り欠き部を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の折装置に備える折丁ガイドを備えた折装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット輪転機やデジタル印刷機等に設けられる折装置において、該折装置にて裁断され折り畳まれながら一対の折込みローラー間に導かれ、送り出される折丁を、回転するファン装置に安定的に導くための、折装置に備えるガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
巻取紙に印刷するための従来から知られるオフセット輪転機やデジタル印刷機においては、印刷部で印刷した一枚乃至複数枚のウェブを折装置で折り畳んで折丁の形で排紙することが行われている。この折り畳み方式には多様な種類があるが、この種の折装置の一例として、新聞用オフセット輪転機では、折ブレードを装備した折胴と、折込みローラーとを組み合わせてウェブを折り畳む方式が一般的に多用されている。この折装置の概略構造について以下に説明する。
【0003】
新聞用オフセット輪転機やデジタル印刷機で印刷されたウェブは、ドラッグローラーによって折装置に導かれ、三角形状のフォーマー及びその下部に設けられた一対のフォーミングローラーによってウェブの進行方向に対して平行に二つ折り(縦折り)され、縦折りウェブとなる。前記フォーミングローラーの下部に設けられたニッピングローラーに差し込まれ、折胴及び鋸胴の間へ送り、一対の折込みローラーに送られ、回転するファン装置(以降は適宜、単に「ファン」とする)に導かれたものを発送するための搬送ベルトが備えられている。
【0004】
鋸胴には、鋸台に支持された鋸刃が組み込まれており、折胴及び鋸胴の対向回転作動によって、折胴の外周面に設けられた鋸刃受との間で、縦折りウェブを進行方向に一定ピッチで切断する。
【0005】
折胴には、鋸刃を受ける部材として、ゴム等の弾力性のある材質で形成された一対の鋸刃受と、縦折りウェブの切断位置の進行方向直上流の位置に突き刺して縦折りウェブを移送するための針と、鋸刃で切断された縦折りウェブを折胴の定まった回転位相位置で折るための折ブレードが設けられている。
【0006】
鋸胴が縦折りウェブを切断する前に、針で切断位置の進行方向直上流の位置を突き刺し、切断された端部を進行方向の下流側とする縦折りウェブは、針で保持されたまま折胴の外周面に沿って移送され、次の鋸胴の切断作動によって、進行方向の上流側を一定の長さに切断され、切断された縦折りウェブとなる。そして、切断された縦折りウェブの略中央になる位置に、折胴の外周面から折ブレードが突出し、同時に切断された縦折りウェブの進行方向の下流側を保持していた針が折胴の外周面に没入する。該折ブレードは切断された縦折りウェブの中央相当位置を一対の折込みローラー間に差し込むように位相調整されている。
【0007】
この切断された縦折りウェブは、前述したようにその中央相当位置を一対の折込みローラーの間に差し込まれ、4頁以上の媒体の場合は四つ折り状態となった折丁となり、2頁の場合は、二つ折り状態となった折丁となり、前部ガイド及びペーパーガイドを介して、下流側へと送り出され、ファンを介して搬送ベルト上に所定のピッチでラップした状態に整列され、機外へと排紙される。そして、折装置とは別に設けられた搬送装置によって後工程へと運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3776415号公報
【特許文献2】特許第3820235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の従来構造において、薄頁折丁(2頁ペラ印刷、4頁ブロード印刷、8頁タブロイド印刷、6頁ブロード印刷、12頁タブロイド印刷、4頁印刷と2頁印刷のセクション印刷時と定義する)の特にカラー面が多い印刷時に関しては、ウェブにコシが無いまたは弱くなる。なお、カラー面が多い印刷とは、読者の目にとまりやすいようにモノクロ印刷よりカラー印刷が好まれる場合、例えば、全面カラー広告や新聞の1面は特にカラー印刷が多くなる。また、コシが無いまたは弱い状態とは、カラー印刷時はインキを多く使い、湿し水もインキ量に比例して多く使うことで、ウェブ自体に水分を多く含むことになり、やわらかく、しっとりしている状態をいう。
【0010】
以上のような状況下においては、一対の折込みローラーから前部ガイド及びペーパーガイドを介して、ファンに送り込まれる際、メクレなどの不具合が発生すると、安定して薄頁折丁を導くことができず、排紙装置からの排紙の乱れや、ファンに送り込まれた際に折丁のメクレが発生することで、搬送ベルト上では一定のピッチで排紙するため、メクレがそのまま折丁の折れとなってしまう。このようなトラブルが起こると、製品として不良品となり、損紙になることで、生産性の向上を図ることができなくなる。
【0011】
従来は、ファンへ導くための前部ガイド及びペーパーガイド位置の調整やファンのタイミング等の各部の調整で対応していたが、特に前記ガイドの調整はスペースが狭く、印刷中に不具合が起きてもすぐに調整が出来ないことや、調整自体が非常に難しく、熟練の技術や経験が必要になるという問題点もあった。
【0012】
また、メクレ等を生じた薄頁折丁がファンに正しく入らないことにより、紙詰まりが生じたり、そのまま搬送装置に落下すると、搬送装置上においての折丁並びが不揃いの状態となり、後工程の集積装置などにそのまま流れてしまうと、集積装置に折丁詰まりが生じ、集積装置が停止する原因や、折丁の折れ等が生じた場合は、不良品となり、部数管理の手間がかかるなどの工数時間圧迫の原因ともなっていた。
【0013】
そして、低速では印刷可能であるが、昨今は印刷速度の高速化の要望が多数あり、現状では、顧客の要望する印刷速度に対応できないという問題点もあった。
【0014】
そのため、この発明は、上述したように、従来技術では現在のニーズである、薄頁印刷の高速化への解消とはならず、問題をかかえていたが、この課題を一挙に解決するべく、薄頁印刷を高速運転で生産した場合でも、ウェブ先端のメクレ等の不具合を生じずに、一対の折込みローラーからファンに送り出し、排紙装置に安定した所定ピッチでの排紙が可能となる装置の提供を目標とする。特にウェブにコシが無いまたは弱い薄頁印刷の場合であっても、高速運転が可能となることにより、生産性を向上させることを目的とする。
【0015】
このような課題を解決するため、折丁をファンに導くためのペーパーガイド装置が提案されている(特許文献1参照)さらに、前記問題を防止するために、例えば、折込みローラーの下方に空気を噴出するエアノズルとファンへ案内する折込み下ガイドとを具備する装置が提案されている(特許文献2参照)
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載されたペーパーガイド装置は、薄頁印刷の2頁ペラ印刷には対応しておらず、4頁以上の折丁には効果はあるが、印刷速度は6万部/H(1時間当たりの折両出し時(折装置2つ使用)の印刷部数)が限界であった。以前は前記速度でも特段問題はなかったが、昨今、薄頁印刷のニーズが出てきたことや、生産性の向上が求められることにより、より多くの印刷を行うことが必要である。人件費削減なども課題と言われる中で、高速印刷は明確な目標となりつつある。例えば、号外などは、早急に世に配布することが重要であり、高速印刷が可能になることで、顧客のニーズをかなえることができる。しかし、特許文献1ではそれを解決することは不可能であった。
【0017】
そして、特許文献2に記載された装置は、空気を噴出するエアノズルが折込みローラーの下に設けられているが、折装置の特に折込みローラー下は空間が狭いこともあり、折丁詰まりが生じた際など、作業が容易にできないばかりか、複数ヶ所設置、さらにはエア配管が折装置の狭い空間に設置されることにより、メンテナンス時の作業も容易にできない恐れがある。
【0018】
さらに、薄頁印刷媒体が複数重なる場合は、前の印刷媒体が遅滞することにより、次媒体の印刷時間が押されることになり、生産性向上が図れない場合がある。特に、薄頁印刷のスケジュールが続く場合は生産スケジュールに悪影響を与えることとなる。
【0019】
この発明の目的は、上記課題を解決することにあり、一対の折込みローラーに折り畳まれて、折込みローラー間から送り出される薄頁折丁をファンに導くための折丁ガイドにおいて、薄頁折丁をガイドする前部ガイド及びペーパーガイドに加えて、前記ガイドよりも柔らかい補助ガイドである薄頁用ガイドを設置することで上記課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る折装置に備える折丁ガイドは、
一対の折込みローラーに折り畳まれて、折込みローラー間から送り出される折丁を回転するファン装置に導くための折装置に備える折丁ガイドにおいて、
前記折丁ガイドは、前記折丁の送りを補助する折込み下ガイドと、前記折丁が薄頁の折丁の場合に、当該折丁の送りを補助する薄頁ガイドを有し、
前記折丁が薄頁の場合、当該折丁が、前記折込み下ガイドと前記薄頁ガイドとの間を通って前記一対の折込みローラーから前記回転するファン装置に送られるようになった折装置に備える折丁ガイドであって、
前記薄頁ガイドには当該薄頁ガイドの材質よりも変形し易い折丁メクレ防止ガイドが更に備わっており、
前記折丁メクレ防止ガイドは、その一端が固定端部をなし、その他端が自由端部となって前記薄頁の折丁が送られる際に当該折丁に接して当該折丁メクレ防止ガイドの弾性力を前記折丁に及ぼすことで当該折丁のメクレを防止するようになっていることを特徴としている。
【0021】
薄頁ガイドにこの薄頁ガイドの材質よりも変形し易い折丁メクレ防止ガイドが更に備わっていることで、薄頁の折丁を従来に比べてより高速度で送っても折丁メクレの発生を防止することができ、単位時間当りより多くの薄頁の折丁を一対の折込みローラーから前記折丁ガイドを介してファンにより効率良く送ることができる。
【0022】
また、本発明の請求項2に係る折装置に備える折丁ガイドは、請求項1に記載の折装置に備える折丁ガイドにおいて、
前記折丁が薄頁の場合に、前記薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドが所定の薄頁用ガイド定位置に留まると共に、前記折丁が薄頁でない場合に、前記薄頁用ガイド位置とは異なる待機位置に移動できる構造を前記折丁ガイドが有していることを特徴としている。
【0023】
薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドがこのように薄頁用ガイド定位置と待機位置との間を移動可能とすることによって、薄頁の折丁のみを折込みローラーからファンに送る際に、薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドをこの薄頁の折丁を送るのに最適な薄頁用ガイド定位置に留めることができる一方、薄頁以外の折丁を折込みローラーから前記折丁ガイドを介してファンに送る際に、これら薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドが邪魔にならないように待機位置に自動又は手動により移動させることができるので、薄頁の折丁を、そのメクレを防止しながら折込みローラーからファンに高速度で送り出すことができる。
【0024】
また、本発明の請求項3に係る折装置に備える折丁ガイドは、請求項2に記載の折装置に備える折丁ガイドにおいて、
前記薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドが、前記薄頁用ガイド定位置と待機位置との間を移動可能とするアクチュエーターを前記薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドに備えたことを特徴としている。
【0025】
薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドがこのようなアクチュエーターを備えることで、薄頁ガイド及び折丁メクレ防止ガイドを、作業者が直接手を使って薄頁用ガイド定位置と待機位置との間で移動させる必要がなくなる。
【0026】
また、本発明の請求項4に係る折装置は、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の折装置に備える折丁ガイドを備えた折装置である。
【0027】
折装置がこのような折丁ガイドを備えることで、薄頁の折丁を従来に比べてより高速度で折込みローラーから前記折丁ガイドを介してファンに送ることができ、従来に比べて短時間でより多数の薄頁の折丁を供給可能な折装置を提供できる。
【0028】
また、本発明の請求項5に係る折装置は、
前記回転するファン装置のファン羽根に、前記折丁メクレ防止ガイドとの干渉を防止する切り欠き部を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の折装置に備える折丁ガイドを備えた折装置である。
【0029】
前記ファン羽根に、前記薄頁用ガイドとの干渉を防止する切り欠き部を有することで、薄頁の折丁をファンに送るまで更に長い時間、安定的に薄頁用ガイドによって、補助(ガイド)することができ、薄頁の折丁を更に安定供給可能な折装置を提供できる。
【0030】
なお、好ましくは、請求項1に記載の折装置に備える折丁ガイドにおいて、
前記折丁メクレ防止ガイドは、前記薄頁ガイドに対して前記薄頁の折丁の送り方向下流側に配置されているのが良い。
【0031】
折丁メクレ防止ガイドが薄頁ガイドに対してこのような位置に配置されていることで、薄頁の折丁をより高速度で送った際にこの折丁のメクレをより確実に防止することができる。
【0032】
また、好ましくは、上記形態において、前記折丁メクレ防止ガイドは、細長の弾性体からなり、その一端が前記薄頁ガイド側に固定された固定端部をなし、その他端は自由端部となって前記薄頁の折丁が送られる際に当該折丁に接して当該弾性体の弾性力を前記折丁に及ぼすことで当該折丁のメクレを防止するのが良い。
【0033】
折丁メクレ防止ガイドがこのように構成されていることで、薄頁の折丁をより高速度で送った際にこの折丁のメクレをより確実に防止することができる。
【0034】
また、好ましくは、上記形態において、前記折丁メクレ防止ガイドは、その固定端部が前記薄頁ガイド側に対して着脱可能な締結手段によって固定され、かつその固定端部と自由端部の間の一部が前記薄頁ガイドによって拘束されることで、前記薄頁の折丁が送られていない状態において、前記折丁メクレ防止ガイドの自由端部側が、前記薄頁ガイドから常に所定の位置関係で延在するようになっているのが良い。
【0035】
折丁メクレ防止ガイドがこのように構成されていることで、折丁メクレ防止ガイドの自由端部側が折丁と接触して摩耗しても、新しい折丁メクレ防止ガイドに簡単かつ迅速な作業で交換することができ、かつ交換後も折丁メクレ防止ガイドの自由端部側が薄頁の折丁に対して同じ位置に接触することで薄頁の折丁のメクレを安定して確実に防止し、メクレの発生していない高品質の薄頁折丁を折込みローラーから前記折丁ガイドを介してファンに送ることができる。
【0036】
また、好ましくは、上記形態において、前記折丁メクレ防止ガイドは、その固定端部と自由端部の間の一部が前記薄頁ガイドに形成された折丁メクレ防止ガイド挿通孔に挿通されることで当該薄頁ガイドに拘束されているのが良い。
【0037】
折丁メクレ防止ガイドが薄頁ガイドにこのように拘束されていることで、折丁メクレ防止ガイドの交換作業に慣れていない作業者であっても、折丁メクレ防止ガイドの交換作業を簡単かつ迅速に行うことができ、かつ折丁メクレ防止ガイドの自由端部側が薄頁の折丁に対して常に同じ位置に接触するように正確に交換できる。
【0038】
また、好ましくは、上記形態において、前記折丁メクレ防止ガイドの固定端部は、前記薄頁ガイド又は当該薄頁ガイドを前記折丁ガイドに取り付けるブラケットの何れかに前記締結手段によって着脱自在に固定されているのが良い。
【0039】
折丁メクレ防止ガイドの固定端部がこのように薄頁ガイド又は薄頁ガイドを折丁ガイドに取り付けるブラケットの何れかに締結手段を介して着脱自在に固定されていることで、折丁メクレ防止ガイドの交換作業に慣れていない作業者であっても、折丁メクレ防止ガイドの交換作業を簡単かつ迅速に行うことができ、かつ折丁メクレ防止ガイドの自由端部側が薄頁の折丁に対して常に同じ位置に接触するように正確に交換できる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によると、薄頁印刷時の一対の折込みローラーから前部ガイド及びペーパーガイド並びに薄頁用ガイドを介して、前記各ガイドの相乗効果で、前記各ガイドを総称した折丁ガイドを介してファンに導くまでにメクレなどが発生せずに、安定したピッチでファンに送り出し、排紙装置も薄頁折丁が乱れることなく、集積装置まで送ることができる折装置に備える折丁ガイドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】折丁を作成する本発明及び従来技術の折装置の一部の概略構造を示す概略図である。
図2】本発明の折胴装置周辺の概略構造を示す概略図である。
図3】本発明の折丁ガイド周辺の概略構造(定位置、待機位置)を示す概略図である。
図4】本発明の折丁ガイド周辺の概略構造を示す上面概略図である。
図5】本実施形態に係る折丁ガイド着脱が手動の際の薄頁印刷方法を説明するフローチャートである。
図6】本実施形態に係る折丁ガイド着脱が自動の際の薄頁印刷方法を説明するフローチャートである。
図7】薄頁折丁がファンに入るときの不具合状態であるメクレの一例を示す図(図7a)及び薄頁折丁の理想の状態を示す図(図7b)である。
図8】本発明のファン羽根の変形例形態に係る折丁ガイド周辺の概略構造を示す上面概略図である。
図9】従来のファン羽根の一例を展開した状態で示す図である。
図10】変形例のファン羽根の一例を展開した状態で示す図(図10a及び図10b)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係る折装置に備える折丁ガイドを新聞用オフセット輪転機等に使われる折装置に適用した場合について説明する。なお、図1は、折丁を作成する本発明及び従来技術の折装置の一部の概略構造を示す概略図である。また図2は、本発明の折胴装置周辺の概略構造を示す概略図である。
【0043】
図1及び図2に示すように、新聞用オフセット輪転機やデジタル印刷機(両者ここでは図示せず)で印刷されたウェブWは、ドラッグローラー11によって、折装置1に導かれる。三角形状のフォーマー12及びその下部に設けられた一対のフォーミングローラー13によってウェブWの進行方向に対して平行に二つ折り(縦折り)され、縦折りウェブW(以下、適宜単に「ウェブW」とする)となる。このウェブWは、フォーミングローラー13の下部に設けられた一対のニッピングローラー14間に差し込まれ、鋸胴15及び折胴16の間へと送り込まれる。図1にあるOS及びDSとは、オペレーションサイド(OS)、ドライブサイド(DS)の略称である。なお、OS側は機械の操作、運転をする側であり、DS側は印刷機にある電動機側である。Wa及びWdとは、所謂巻取紙といわれるウェブのサイズを現したものである。なお、Waとは巻取紙の所謂A巻といわれるウェブのサイズ(幅1626mm)であり、Wdは前記A巻の幅方向が半分のサイズである所謂D巻といわれるウェブのサイズ(幅813mm)である。さらに図示しない所謂C巻といわれるウェブのサイズ(幅1219mm)は、本発明実施形態のセクション印刷を実施する際に使用される。
【0044】
鋸胴15には、鋸台23に支持された鋸刃22が組み込まれており、鋸胴15及び折胴16の対向回転作動(図2中矢印参照)によって、折胴16の外周面に設けられた鋸刃受24との間で、ウェブWを進行方向に一定ピッチで切断する。
【0045】
折胴16には、鋸刃22を受ける部材として、ゴム等の弾力性のある材質で形成された一対の鋸刃受24と、ウェブWの切断位置の進行方向直上流の位置に突き刺して縦折りウェブWを移送するための針26と、鋸刃22で切断されたウェブWを折胴16の定まった回転位相位置で折るための折ブレード25が設けられている。
【0046】
鋸刃22がウェブWを切断する前に、針26で切断位置の進行方向直上流の位置を突き刺し、切断された端部を進行方向の下流側とするウェブWは、針26で保持されたまま折胴16の外周面に沿って移送され、次の鋸刃22の切断作動によって、進行方向の上流側を一定の長さに切断され、切断されたウェブWとなる。そして、切断されたウェブWの略中央になる位置に、折胴16の外周面から折ブレード25が突出し、同時に切断されたウェブWの進行方向の下流側を保持していた針26が折胴16の外周面に没入する。この折ブレード25は切断されたウェブWの中央相当位置を一対の折込みローラー17間に差し込むように位相調整されている。
【0047】
この切断されたウェブWは、前述したようにその中央相当位置を一対の折込みローラー17の間に差し込まれ、本実施形態では四つ折り状態となった薄頁折丁Fとなり、薄頁折丁Fがスムーズに下流側へと送り出されるよう、ペーパーガイド18(請求項及び課題を解決するための手段では「薄頁ガイド」と表記する)及び薄頁用ガイド19(請求項及び課題を解決するための手段では「折丁メクレ防止ガイド」と表記する)並びに前部ガイド20(請求項及び課題を解決するための手段では「折込み下ガイド」と表記する)の相乗効果を総称して折丁ガイド30を介して、ファン21へと送り込まれ、図示していない搬送ベルト上に所定のピッチでラップした状態で整列され、機外へと排紙される。そして、折装置1とは別に設けられた図示しない搬送装置により、後工程へと運ばれる。
【0048】
以下、本発明の一実施形態に係る折装置に備える折丁ガイド(以下、適宜単に「折丁ガイド」とする)について図面に基づいて説明する。図3は、折丁ガイド周辺の概略構造を示す概略図である。折丁ガイドは、前述したように折胴16の外周面から折ブレード25が突出し、一対の折込みローラー17の間に折り畳まれて、折込みローラー間から送り出される折丁をファン21に導くための折装置1に備えるものであり、折丁の送りを補助する前部ガイド20と、折丁が薄頁の折丁の場合に、折丁の送りを補助するペーパーガイド18を有している。
【0049】
そして、折丁ガイド30は、折丁が薄頁の場合、一対の折込みローラーから折丁が前部ガイド20とペーパーガイド18との間を通ってファン21に送られるようになった折装置に備わる。前部ガイド20は通常、印刷時等に動作させるものではなく、交換時等に調整するものであるため、印刷時、停止時共に定位置に設置している。更に、ペーパーガイド18にはペーパーガイド18の材質よりも変形し易い材質で出来た薄頁用ガイド19が備わっている。
【0050】
前述した材質について説明する。前部ガイド20は主に鉄などの金属で出来ており、十分な厚さを有した板材からなる。また、ペーパーガイド18は主にアルミ等の金属で出来ており、これも十分な厚さを有した板材である。そして、ペーパーガイド18の形状としては、図3において側面から見て、杖の持ち手のような形をなしている。
【0051】
また、折丁ガイド30は、折丁が薄頁の場合に、ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19が所定のペーパーガイド及び薄頁用ガイド定位置に留まると共に、折丁が薄頁でない場合に、ガイド定位置とは異なる待機位置に移動できるガイド機構を有している。
【0052】
前述したガイド機構について詳細に説明する。ペーパーガイド18はガイドスライド部33にペーパーガイド用固定ボルト32にて固定され、薄頁用ガイド19は、薄頁用ガイド固定ボルト31にて固定されている。ガイドスライド部33は、ガイドスライド部定位置33−1に設定され、薄頁印刷時の使用状態となる。また、ペーパーガイド18及びペーパーガイド18に備わっている薄頁用ガイド19はスライド用ブラケット34に取り付けられている。本発明の使用状態である薄頁印刷の場合、ペーパーガイド18は、手動にてペーパーガイド定位置18−1に動かして固定(設定)する。これによって、ペーパーガイド18に備わっている薄頁用ガイド19は、薄頁用ガイド定位置19−1に設定される。
【0053】
一方、薄頁印刷ではない場合(8頁以上の厚頁印刷時)、ペーパーガイド18は、ペーパーガイド待機位置18−2に設定し、ペーパーガイド18に備わっている薄頁用ガイド19は、薄頁用ガイド待機位置19−2に設定する。ガイドスライド部33は、ガイドスライド部待機位置33−2に設定され、薄頁印刷時以外の使用状態となる。
【0054】
なお、このガイド機構による上記2つの位置の移動に際しては、本実施形態では手動で行うが、これとは異なり、ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19が、ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19定位置と待機位置との間を移動可能とするアクチュエーターをペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19に備えていても良い。
【0055】
ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19がこのようなアクチュエーターを備えることで、ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19を、作業者が直接手を使ってペーパーガイド定位置18−1及び薄頁用ガイド定位置19−1と待機位置との間で移動させる必要がなくなる。
【0056】
以下、本発明の要旨をなすペーパーガイド18の構成についてより詳細に説明する。薄頁用ガイド19の自由端部19aは、ペーパーガイド18に対して薄頁折丁Fの送り方向下流側に配置されている。上述の配置関係により、薄頁折丁Fをファン21に送り込むまでの薄頁折丁Fを接触しながらガイドする距離が長くなり、移動が安定することで薄頁折丁Fのメクレを防ぐことが可能である。また、薄頁用ガイド19は、例えば66ナイロン(登録商標)などの樹脂材でできた細長の弾性体からなり、その一端が薄頁用ガイド19側に固定された固定端部19bをなし、その他端は自由端部19aとなって薄頁折丁Fが送られる際に折丁に接して弾性体としての薄頁用ガイド19の弾性力を折丁に及ぼすことで、折丁のメクレを防止するようになっている。
【0057】
また、薄頁用ガイド19は、その固定端部19bがペーパーガイド側に対して着脱可能な締結手段である薄頁用ガイド固定ボルト31によって固定され、かつその固定端部19bと自由端部19aの間の一部がペーパーガイド18によって拘束されている。つまり、薄頁用ガイド19は、その固定端部19bと自由端部19aの間の一部がペーパーガイド18に形成された挿通孔35に挿通されることでペーパーガイド18に拘束されている。これによって、薄頁の折丁が送られていない状態において、薄頁用ガイド19の自由端部19a側が、ペーパーガイド18から常に所定の位置関係で延在するようになっている。
【0058】
続いて、図4は、本発明の折丁ガイド周辺の概略構造を示す上面概略図である。折込みローラー17は折丁ガイド30の上部に位置しているが、折丁ガイド30の詳細説明を重視するため、折丁ガイド30を実線としている。前部ガイド20は斜め下方に配置されているため、ペーパーガイド18とは互いに干渉しないようになっている。該図は、上記構成要素の位置関係を示す図であり、点線及び破線は図2及び図3を参照のこと。ウェブWは、ウェブの幅と位置関係の理解容易化のための図であり、実際は図1のように縦方向に折込みローラー17の間に送られている。
【0059】
そして、ペーパーガイド18に備わっている薄頁用ガイド19は図示されていない。ペーパーガイド18は、ペーパーガイド用軸37に固定されており、ペーパーガイド用軸37はブラケット38に固定されている。スライド用ブラケット34に備わるガイドスライド部33(図示せず)により、ペーパーガイドスライド用ボルト36にて位置変更を行う。前部ガイド20は、前部ガイド軸39に固定されている。
【0060】
ペーパーガイド18にこのペーパーガイド18の材質よりも変形し易い材質で出来た薄頁用ガイド19が更に備わっていることで、薄頁の折丁を従来に比べてより高速度でウェブW送っても折丁メクレの発生を防止することができ、単位時間当りより多くの薄頁の折丁を一対の折込みローラーから前記折丁ガイドを介してファン21により効率良く送ることができる。
【0061】
また、ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19がこのようにペーパーガイド定位置18−1及び薄頁用ガイド定位置19−1と待機位置との間を移動可能とすることによって、薄頁の折丁のみを折込みローラー17からファン21に送る際に、ペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19をこの薄頁の折丁を送るのに最適なペーパーガイド定位置18−1及び薄頁用ガイド定位置19−1に留めることができる一方、薄頁以外の折丁を折込みローラー17から前記折丁ガイド30を介してファン21に送る際に、これらペーパーガイド18及び薄頁用ガイド19が邪魔にならないように待機位置に自動又は手動により移動させることができるので、薄頁の折丁を、そのメクレを防止しながら折込みローラー17からファン21に高速度で送り出すことができる。
【0062】
続いて、従来技術では困難であったが、本実施形態の構成を有することで、薄頁の折丁を一定の品質を保ちながら如何に高速度で送ることが可能になったかについて具体的に説明する。従来構造では薄頁印刷時は6万部/H(1時間あたり、折両出し(折装置2つ使用)時の場合、6万部の印刷が可能)が最高速度となっていたが、折丁ガイド30を備えることにより、13万部/時(1時間あたり、折両出し(折装置2つ使用)時の場合、13万部の印刷が可能)が可能となった。6万部印刷を実施する場合、従来では1時間掛かっていた印刷が、30分以内での印刷終了が可能となった。
【0063】
印刷時間の削減が可能となったことで、号外等の印刷発行が短時間で可能となり、追い刷り(部数追加)や記事内容変更等による刷り直しにも早くに対応が可能となる。時間の削減は人件費の削減にも効果がある。
【0064】
前述は6万部印刷を例にあげたが、所謂別刷り印刷や先刷り印刷(印刷媒体の発行日が印刷日より先のもの)は連続して20万部以上を印刷することもあり、部数が増えることにより、さらに効果が発揮される。例えば、2頁印刷を折両出しで20万部の印刷を行った場合を想定すると、従来構造では速度は6万部/時が最速のため、印刷終了までに約3時間20分掛かるが(従来構造では2頁印刷は不可能であるため、この時点で効果が見えるが、例題として上げる)、折丁ガイド30を備えることにより、13万部/時での印刷が可能となったことで、印刷終了までに掛かる時間は約1時間30分となり、従来構造に比べ、約1時間50分も早くに印刷終了が可能な薄頁の折丁を供給可能な折装置1を提供できる。なお、折片出し(折装置1つ使用)で20万部の印刷を行う場合、例えば4頁印刷時は、従来構造では約6時間40分掛かるが、折丁ガイド30を備えることにより、約3時間となり、従来構造に比べ、約3時間40分も早くに印刷終了が可能となる。
【0065】
薄頁用ガイド19がペーパーガイド18に対して本実施形態のような位置に配置され、前部ガイド20との位置関係の相乗効果により、薄頁の折丁をより高速度で送った際にこの折丁のメクレをより確実に防止することができる。
【0066】
薄頁用ガイド19が本実施形態のように構成されていることで、薄頁用ガイド19の自由端部19a側が折丁と接触して摩耗しても、新しい薄頁用ガイド19に簡単かつ迅速な作業で交換することができ、かつ交換後も薄頁用ガイド19の自由端部19a側が薄頁の折丁に対して同じ位置に接触することで薄頁の折丁のメクレを安定して確実に防止し、メクレが発生していない高品質の薄頁折丁を折込みローラー17から前記折丁ガイド30を介してファン21に送ることができる。
【0067】
薄頁用ガイド19の固定端部19bが本実施形態のようにペーパーガイド18に薄頁用ガイド固定ボルト31などの締結手段を介して着脱自在に固定されていることで、薄頁用ガイド19の交換作業に慣れていない作業者であっても、薄頁用ガイド19の交換作業を簡単かつ迅速に行うことができ、かつ薄頁用ガイド19の自由端部19a側が薄頁の折丁に対して常に同じ位置に接触するように正確に交換できる。
【0068】
本発明に係る折丁ガイド30において、薄頁用ガイド19とは、ほどよく撓り、ウェブWがストップしない程度の弾力のある樹脂製、例えば、66ナイロン(登録商標)、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ダイナロック(登録商標)などをガイドの下に設置することにより、薄頁印刷での折丁をメクレなどの不具合が生じずに、高速運転の場合でも安定的にファンに送り出すことができ、排紙装置も所定のピッチで乱れなく、集積装置まで送ることができる。なお、本実施形態の代わりに芯に金属が入った周囲が樹脂製(鉄系成分を含む素材)のものであっても同様の作用が得られる。
【0069】
また、薄頁用ガイド19は、従来のペーパーガイドを流用し、薄頁用ガイド19に挿通孔を形成するための加工を施すことにより使用することも可能である。従来品を使用せずに、最初から薄頁用ガイド19を設置したペーパーガイド18を製作することにより、一対の折込みローラー下に、新たなスペースを設けることなく、設置することも可能であるため、ペーパーガイド18以外のコストは掛からない。
【0070】
また、薄頁用ガイド19は、ボルト1本の固定で使用可能なため、メンテナンスが容易であるばかりか、印刷時に折丁メクレが発生し、排紙乱れの不具合が発生した場合でも、輪転機を停止させてから、交換するまでの時間は短時間で可能なため、生産性の向上が保たれる。
【0071】
さらに、本発明に係る薄頁用ガイド19を設置したペーパーガイド18は、薄頁印刷時のみに使用するものであるため、通常の日刊紙(朝刊、夕刊等)の厚頁印刷時には折丁ガイド30を待機位置である脱にしておき、薄頁印刷時のみ折丁ガイド30を設定位置である着にすることにより、薄頁用ガイド19の劣化を防ぎ、交換頻度を少なくすることでコストダウンをすることが可能である。
【0072】
そして、折丁ガイド30を自動化にすることで、該装置の着脱忘れを防止することも可能である。折丁ガイド30を自動で変位させる方法は、エアーシリンダー、油圧シリンダー、電磁弁等で可能である。エアーシリンダー等は1ヶ所に設置することで変位させられるため、折装置のウェブが流れる空間が狭くなることもなく、作業性の向上が保たれる。さらに、折丁ガイド30の着脱が実際に操作されたかを確認するための、センサーを取り付け、GP(グラフィックパネル)で確認することも可能である。該ガイドの着脱の信号は、給紙装置に巻取紙が装着され、運転する印刷機が設定された場合に自動に印刷頁数を自動で確認し、反映させる方法や、実際の印刷頁を確定したデータを反映させることにより、該ガイドを自動にて変位させることも可能である。
【0073】
続いて、折丁ガイド30の着脱の手動動作について説明する。なお、以下のルーチンはあくまで本発明で実施する一例であり、本発明の範囲内であれば適宜、さまざまなルーチンを適用可能である。図5に示す折丁ガイド着脱手動時のルーチンを開始する(ステップS10)。この際、最初に印刷頁数設定を行う(ステップS11)。次いで、薄頁設定であるかの確認を行い(ステップS12)。次いで、折丁ガイドを手動着にて定位置に設定する(ステップS13)。そして、印刷を開始し(ステップS14)。次いで、折丁が良紙であるかを確認する(ステップS15)。ここで、折丁が良紙であれば印刷を続行し(ステップS16)、印刷が終了したら(ステップS17)、折丁ガイドを手動にて待機位置に戻し(ステップS18)、折丁ガイド着脱手動時のルーチンを終了する(ステップS30)。なお、ステップS15で折丁が不良であれば印刷を停止し(ステップS20)、折丁ガイドを手動脱にて待機位置に戻し(ステップS21)、折丁ガイドの調整を行い(ステップS22)、再びステップS13に戻る。そして、上記ステップS13〜18を行い、折丁ガイド着脱手動時のルーチンを終了する(ステップS30)。
【0074】
続いて、折丁ガイド30の着脱の自動動作に関する一例について説明する。図6に示す折丁ガイド着脱自動時のルーチンを開始する(ステップS100)。この際、最初に印刷頁数のデータを受信する(ステップS101)、次いで、薄頁設定であるかの確認を行い(ステップS102)、ここで薄頁設定YESであれば運転を開始し(ステップS103)、薄頁設定NOであれば運転を終了する(S200)。そしてS103で運転を開始したのち、速度をクローリング速度以上にし(ステップS104)、折丁ガイドが自動着にて定位置に設定される(ステップS105)。次いで、折丁ガイドが着されたかをGPにて確認し(ステップS106)、ここで折丁ガイドが着されていれば印刷を開始し(ステップS107)、次いで、折丁が良紙であるかを確認する(ステップS108)。ここで、折丁が良紙であれば印刷を続行する(ステップS109)、印刷が終了したら(ステップS110)、折丁ガイドを自動脱にて待機位置に戻し(ステップS111)、折丁ガイドが脱されたかをGPにて確認し(ステップS112)、折丁ガイドが待機位置に戻ったところで折丁ガイド着脱自動時のルーチンを終了する(ステップS200)。
【0075】
なお、ステップS106にて折丁ガイドが定位置に設定されていない場合は印刷を停止し(ステップS120)、ステップS103に戻る。そして、上記ステップS103〜ステップS112を行い、折丁ガイド着脱自動時のルーチンを終了する(ステップS200)。
【0076】
また、ステップS108で折丁が不良であれば印刷を停止し(ステップS130)、折丁ガイドを自動脱にて待機位置に戻された状態で(ステップS131)、折丁ガイドの調整を行い(ステップS132)、ステップS103に戻る。そして、上記ステップS103〜S112を行い、折丁ガイド着脱自動時のルーチンを終了する(ステップS200)。
【0077】
また、ステップS112にて折丁ガイドが脱されない場合は、折丁ガイドを手動脱にて待機位置に戻し(ステップS140)、折丁ガイド着脱自動時のルーチンを終了する(ステップS200)。
【0078】
続いて、従来構造と本発明に関する、従来構造と本発明時の折丁の比較説明をする。図7(a)は、従来構造の際に高速印刷を行った場合に発生する不具合である折丁メクレの一例を示した図である。そして、図7(b)は、本発明の構造により、高速印刷を行った場合でも、薄頁折丁の理想の状態を示した図である。
【0079】
従来構造の場合、図7(a)のように薄頁折丁がファンに入るときにメクレが生じることにより、ファンから搬送ベルトに送り込まれる際に所定のピッチで排紙されるため、メクレが発生した折丁は搬送ベルト上で重なることになり、メクレが発生した部分が折られた状態となることで不良品となるばかりか、そのまま集積装置(図示せず)に送られることで、集積装置内で紙詰まりを起こすことになり、該状態の折丁は生産性の向上を図ることができなくなる。
【0080】
一方、本発明の構造の場合、図7(b)のようにファン21に入る前後共に折丁にメクレが発生していない、理想の折丁状態でファン21に送り込むことにより、搬送ベルト上に不具合なく一定ピッチで排紙され、集積装置でも詰まり等不具合を起こすことなく、決定しているタイムスケジュール通りの印刷時間内で印刷を終了させることが出来、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0081】
続いて、本発明の変形例について説明する。図8は、本発明のファン羽根の変形例形態に係る折丁ガイド周辺の概略構造を示す上面概略図である。折込みローラー17は折丁ガイド30及びファン羽根211の上部に位置しているが、折丁ガイド30及びファン羽根211とファン羽根211の変形例であるファン羽根切り欠き部220の詳細説明を重視するため、折丁ガイド3 0及びファン羽根211を実線としている。該図は、上記構成要素の位置関係を示す図であり、破線は図1乃至図3を参照のこと。ウェブWは、ウェブの幅と位置関係の理解容易化のための図であり、実際は図1のように縦方向に折込みローラー17の間に送られている。
【0082】
そして、ファン羽根211について説明する。ファン羽根211は、図示しないファンボス、形状としては、ホイール状のような形をなしているものに、ファン羽根固定ボルト230により固定されており、前記ファンボスはファン軸240に固定され、ファン軸240が回転することによりファン21が回転し、ウェブWを搬送している。ファン羽根211は円周上に配置されているため、固定するために作業用空洞231を利用し、ボルトにて固定している。ファン21の概略構造は図1に示しているとおりであり、図9及び図10に示したファン羽根211は、実際には図1に示すように、長手方向に湾曲した状態で取り付けられている。
【0083】
続いて、ファン羽根211の変形例である、前記薄頁用ガイド19(図示せず)との干渉を防止するファン羽根切り欠き部220を有したファン羽根211とペーパーガイド18の位置関係について説明する。ペーパーガイド18にこのペーパーガイド18の材質よりも変形し易い材質で出来た薄頁用ガイド19(図示せず)が備わっているが、従来のファン羽根211(図9参照)では前記薄頁用ガイド19(図示せず)とファン羽根211が接触していたが、ファン羽根211に、前記薄頁用ガイド19(図示せず)との干渉を防止するファン羽根切り欠き部220を有したファン羽根211を備えることにより、薄頁折丁Fがファン21に送り込まれる際に、薄頁用ガイド19(図示せず)が薄頁折丁Fを補助(ガイド)する時間を更に長くすることが可能となった。なお、変形例であるファン羽根211は変形例のファン羽根の一例を示す図(図10a及び図10b)を参照のこと。
【0084】
そして、薄頁折丁Fを補助(ガイド)する時間が更に長くなったことにより、従来に比べて更に折丁メクレの発生を防止することができ、特に折装置のニッピングローラー14間の距離が長いDS側折装置(図1参照)はウェブWのバタツキが多く、薄頁折丁Fの状態がOS側折装置と比較すると悪い傾向にあるが、OS側折装置に何らかの不具合が起きた場合、DS側折装置に転送して印刷を行う際でも、良好な薄頁折丁Fをファン21に効率良く送ることができるようになった。
【0085】
より具体的には、上述の実施形態と同様に、従来の場合、図7(a)のように薄頁折丁Fがファン21に入るときにメクレが生じることにより、ファン21から搬送ベルトに送り込まれる際に所定のピッチで排紙されるため、メクレが発生した折丁は搬送ベルト上で重なることになり、メクレが発生した部分が折られた状態となることで不良品となるばかりか、そのまま集積装置に送られることで、集積装置内で紙詰まりを起こすことになり、該状態の折丁は生産性の向上を図ることができなくなる。
【0086】
しかしながら、本発明の構造の場合、図7(b)のように、ファン21に入る前後共に折丁にメクレが発生していない、理想の折丁状態でファン21に送り込むことにより、搬送ベルト上に不具合なく一定ピッチで排紙され、集積装置でも詰まり等不具合を起こすことなく、決定しているタイムスケジュール通りの印刷時間内で印刷を終了させることが出来、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施形態において記載された各構成要素の形状、寸法、材質、個数等に限定されるものではなく、本発明の効果を発揮し得る範囲内であれば適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0088】
1 折装置
11 ドラッグローラー
12 フォーマー
13 フォーミングローラー
14 ニッピングローラー
15 鋸胴
16 折胴
17 折込みローラー
18 ペーパーガイド
18−1 ペーパーガイド定位置
18−2 ペーパーガイド待機位置
19 薄頁用ガイド
19−1 薄頁用ガイド定位置
19−2 薄頁用ガイド待機位置
19a 自由端部
19b 固定端部
20 前部ガイド
21 ファン
211 ファン羽根
220 ファン羽根切り欠き部
230 ファン羽根固定ボルト
231 作業用空洞
240 ファン軸
30 折丁ガイド
31 薄頁用ガイド固定ボルト
32 ペーパーガイド用固定ボルト
33 ガイドスライド部
33−1 ガイドスライド部定位置
33−2 ガイドスライド部待機位置
34 スライド用ブラケット
35 挿通孔
36 ペーパーガイドスライド用ボルト
W ウェブ
Wa A巻
Wd D巻
F 薄頁折丁
【要約】
【課題】印刷した薄頁折丁を折り畳み時、メクレが発生した状態で回転するファンに送り込まれ、不具合折丁となるのを防止し、さらに高速度で印刷することを、大掛かりな装置を必要とせずに実現できる折装置に備える折丁ガイドを提供することにある。
【解決手段】鋸胴と折胴16によって切断されたウェブが折ブレード25によって一対の折込みローラー17間に差し込まれて薄頁折丁になる折装置において、回転するファンに送り込む前に前部ガイド20及びペーパーガイド18並びに薄頁用ガイド19を総称した折丁ガイド30を薄頁印刷時に定位置及び待機位置に変位するように構成し、簡易的に調整及び取り外し可能に備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10