(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266174
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】デジタル電力レシーバシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20180115BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20180115BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
H02J13/00 B
H04L25/02 K
H04B3/54
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-521192(P2017-521192)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公表番号】特表2017-535191(P2017-535191A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】US2015056206
(87)【国際公開番号】WO2016064727
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】62/066,560
(32)【優先日】2014年10月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515149292
【氏名又は名称】ボルトサーバー インコーポレーティッド
【氏名又は名称原語表記】VOLTSERVER,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イーブス
(72)【発明者】
【氏名】ハリー ロウ
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0204268(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0075759(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0124713(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0133666(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0033747(US,A1)
【文献】
特表2004−511927(JP,A)
【文献】
特表平01−502554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H04B 3/54
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル電力分配システムによって供給されるデジタル電力レシーバシステムであって、
デジタル電力送電ソースから始まる個々の伝送ラインペアにそれぞれ接続される1つ以上の個々のレシーバ回路であって、前記1つ以上の個々のレシーバ回路は、前記伝送ラインペア上のデジタル電力をアナログ電力に変換するよう構成される、1つ以上の個々のレシーバ回路と、
前記1つ以上の個々のレシーバ回路のグループを並列に電気的に接続する1つ以上のレシーバ出力バスセグメントと、
前記1つ以上の個々のレシーバ回路に、又は、前記1つ以上のレシーバ出力バスセグメントに接続するよう構成される1つ以上の電力調整回路と、
組み合わせられた電力出力を提供するよう、前記1つ以上の電力調整回路の出力端子を電気的に接続する1つ以上の電力調整回路出力バスセグメントと、
前記デジタル電力レシーバシステム内部の少なくとも1つの電圧を監視し、電力の安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングのうちの少なくとも1つを向上させるために少なくとも1つの電力調整回路の出力電力を調節するよう作用するよう動作可能である制御回路と、を備える、
デジタル電力レシーバシステム。
【請求項2】
前記制御回路は、通信信号を前記伝送ラインペア上に重畳することによって、前記伝送ラインペアにより情報を送信又は受信するよう構成される、請求項1に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項3】
外部デバイスが、前記制御回路に前記通信信号を前記伝送ラインペア上で重畳させる信号を提供するよう構成される、請求項2に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記デジタル電力レシーバシステム内部の少なくとも1つのレシーバ電圧を取得し、前記デジタル電力送電ソースがその平均伝送電圧を調整して前記レシーバ電圧を所定値に調節できるように、前記レシーバ電圧を前記伝送ラインペアにより通信するよう構成される、請求項2に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項5】
前記制御回路は、前記デジタル電力レシーバシステム内部の少なくとも1つのレシーバ電流を取得し、前記デジタル電力送電ソースがその平均伝送電圧を調整して前記デジタル電力レシーバシステムからの出力電流を所定値に調節できるように、前記レシーバ電流を前記伝送ラインペアにより通信するよう構成される、請求項2に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項6】
前記制御回路は、少なくとも1つの前記1つ以上のレシーバ回路の内部電圧を監視し、前記1つ以上のレシーバ回路が増加された電力で動作することを可能にする前に、電力の所定最小量が、前記1つ以上のレシーバ回路を供給する前記伝送ラインペアから利用できることを確実にするよう、前記内部電圧が所定値に到達するまで、1つ以上の電力調整回路の前記電力出力を制限するよう構成される、請求項1に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の電力調整回路は、電流フローを制限して、多くのレシーバ回路のうちの1つにおける過電流状態を防止するよう構成される、請求項1に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項8】
前記制御回路は、所定の動作スキームに基づいて、前記1つ以上の電力調整回路に関する出力電力レベルを調節するよう構成される、請求項1に記載のデジタル電力レシーバシステム。
【請求項9】
デジタル電力を調節するための方法であって、
デジタル電力を伝送ラインペアを経由してデジタル電力レシーバシステム内の少なくとも1つのレシーバ回路へ伝送することと、
前記レシーバ回路において前記デジタル電力をアナログ電力に変換することと、
前記アナログ電力を少なくとも1つの電力調整回路に伝送することと、
前記電力調整回路から出力電力を伝送することと、
前記デジタル電力レシーバシステムにおいて少なくとも1つの電圧を監視することと、
その監視に応じて、電力の安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングのうちの少なくとも1つを向上させるために前記電力調整回路からの前記出力電力を調節することと、を含む、
方法。
【請求項10】
電力の安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングのうちの複数が、前記電力の調節によって向上する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
更に、通信信号を前記伝送ラインペア上に重畳することによって、前記伝送ラインペアにより情報を送信又は受信するよう、レシーバ制御回路を用いることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
更に、外部デバイスからの信号を用いて、前記レシーバ制御回路に通信信号を前記伝送ラインペア上で重畳させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更に、
前記デジタル電力レシーバシステム内部で少なくとも1つのレシーバ電圧を取得することと、
前記レシーバ電圧を前記伝送ラインペアにより前記デジタル電力を生成する伝送ソースへ通信することと、
前記レシーバ電圧に応じて前記伝送ソースによって生成された前記デジタル電力の平均伝送電圧を調整して、前記レシーバ電圧を所定値に調節することと、を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
更に、
前記デジタル電力レシーバシステム内部で少なくとも1つのレシーバ電流を取得することと、
前記レシーバ電流を前記伝送ラインペアにより前記デジタル電力を生成する伝送ソースへ通信することと、
前記レシーバ電流に応じて前記伝送ソースによって生成された前記デジタル電力の平均伝送電圧を調整して、前記デジタル電力レシーバシステムからの出力電流を所定値に調節することと、を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
更に、
前記少なくとも1つのレシーバ回路の内部電圧を監視することと、
前記内部電圧が、電力の所定最小量が前記伝送ラインペアから利用できることを確実にする所定値に到達するまで、前記電力調整回路からの前記出力電力を制限することと、
前記内部電圧が前記所定値に到達する場合、前記少なくとも1つのレシーバ回路を増加された電力で動作させることと、を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記電力調整回路は、電流フローを制限して、前記レシーバ回路における過電流状態を防止する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記電力調整回路は、所定の動作スキームに基づいて、前記電力調整回路からの前記出力電力を調節する、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記電力調整回路からの前記出力電力の前記調節は、レシーバチャンネルが、前記電力調整回路に取り付けられる少なくとも1つの負荷デバイスからの電力引き出しによる過負荷状態になることを防止する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
デジタル電力、又はデジタル電気は、電力が、エネルギーの不連続な、制御可能な単位で分配されるいずれかの電力形式として特徴付けることができる。パケットエネルギー伝達(PET)は、米国特許第8,781,637号明細書(Eaves2012)に開示されている新しいタイプのデジタル電力プロトコルである。
【0002】
従来のアナログ電力システムと比較したデジタル送電システムにおける主に見分ける要因は、電気エネルギーが不連続単位に分離され、エネルギーの個々の単位が、安全性、効率、復元性、制御、又はルーティングを最適化するために用いられてもよいアナログ及び/又はデジタル情報に関連付けられてもよいことである。
【0003】
Eaves2012によって説明されるように、ソースコントローラ及び負荷コントローラは、送電ラインによって接続される。Eaves2012のソースコントローラは、送電ラインを電源から定期的に切離し(切断し)、少なくとも、ラインが切り離される直前及び直後にソースコントローラ端子に現れる電圧特性を解析する。電力ラインが切り離される期間は、Eaves2012によって、「サンプリング周期」と呼ばれ、ソースが接続される期間は「伝達周期」と呼ばれる。サンプリング周期前、その間、及びその後のライン上の電圧の上昇及び減衰率は、故障状態が送電ライン上に現れているかどうかを明らかにする。測定可能な故障は、短絡、高ライン抵抗、又は、不適切にラインと接触している個人の存在を含むが、これらに限定されない。
【0004】
Eaves2012は、また、安全性を更に高めるか、総エネルギー又は負荷コントローラ端子における電圧等のエネルギー伝達の一般的特性を提供するよう、送電ラインによりソース及び負荷コントローラ間に送信されてもよいデジタル情報も説明している。PETシステム内のエネルギーは、不連続量又は量子として伝達されるため、それは「デジタル電力」又は「デジタル電気」と呼ばれてもよい。
【0005】
デジタル電力分配システムの1つの用途は、直流(DC)電力をデジタル形式で、及び、システムのソース側から負荷側へ高電圧で分配することにある。電力分配システムの負荷側において、DC電力は、一般に入手可能な電力調整回路での使用のために、レシーバと呼ばれる回路を用いてデジタル形式から従来のアナログDC形式に戻して変換される。業界で広く知られている電力調整回路は、入力電圧を取り、制御された交流(AC)又はDC出力電圧を生成する。一実施例は、380V DC入力を取り、コンピュータでの使用のために12V DC出力を生成する調整器である。電力調整回路は、また、無停電電源装置又はインバータにおいて一般に見出されるように、DC入力をAC出力に変換できる。その最も基本的な形態において、電力調整器は、電流フローを許容するか、抑制するかのいずれか一方を行う単純なスイッチである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
デジタル電力レシーバシステム及びデジタル電力を調節するための方法を本明細書中で説明し、ここで、装置及び方法の様々な実施形態は、以下で説明する構成要素、特徴、及びステップのうちのいくつか又は全てを含んでもよい。
【0007】
デジタル電力分配システムによって供給されるデジタル電力レシーバシステムは、デジタル送電ソースから始まる個々の伝送ラインペアにそれぞれ接続される1つ以上の個々のレシーバ回路であって、1つ以上の個々のレシーバ回路は、伝送ラインペア上のデジタル電力をアナログ電力に変換するよう構成される、1つ以上の個々のレシーバ回路と、1つ以上の個々のレシーバ回路のグループを並列に電気的に接続する1つ以上のレシーバ出力バスセグメントと、1つ以上の個々のレシーバ回路に、又は、1つ以上のレシーバ出力バスセグメントに接続するよう構成される1つ以上の電力調整回路と、組み合わせられた電力出力を提供するよう、1つ以上の電力調整回路の出力端子を電気的に接続する1つ以上の電力調整回路出力バスセグメントと、デジタル電力レシーバシステム内部の少なくとも1つの電圧を監視し、電力の安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングのうちの少なくとも1つを向上させるために少なくとも1つの電力調整回路の出力電力を調節するよう作用するよう動作可能である制御回路と、を備える。
【0008】
デジタル電力を調節するための方法は、デジタル電力を伝送ラインペアを経由してデジタル電力受電システム内の少なくとも1つのレシーバ回路へ伝送することと、レシーバ回路においてデジタル電力をアナログ電力に変換することと、アナログ電力を少なくとも1つの電力調整回路に伝送することと、電力調整回路から出力電力を伝送することと、デジタル電力レシーバシステムにおいて少なくとも1つの電圧を監視することと、その監視に応じて、電力の安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングのうちの少なくとも1つを向上させるために電力調整回路からの出力電力を調節することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】デジタル電力受電システムのブロック図である。
【
図2】レシーバ回路の実施形態のブロック図である。
【
図3】単純なダイオード20の形態でのスイッチを含むレシーバ回路の実施形態のブロック図である。
【
図4】DC電力調整回路の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面において、同様の参照文字は、異なる図面全体を通して同じ又は類似の部分を指し、アポストロフィは、同じ参照番号を共有する同じ又は類似の品目の多数の例を区別するために用いられる。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、代わりに、以下で検討する実例において特定の原理を図示することに関して強調されている。
【0011】
本発明の様々な態様の前記及び他の特徴並びに利点は、本発明の広い範囲内の様々な概念及び特定の実施形態の以下のより詳細な説明から明らかとなろう。上で紹介し、以下でより詳細に検討する主題の様々な態様は、主題が実施の何らかの特定の方法に限定されないものとして、数多くの方法のいずれかにおいて実施されてもよい。特定の実施及び適用の実施例は、主に例示の目的のために提供される。
【0012】
本明細書中で特に定義しない限り、用いられるか、特徴付ける、本明細書中で用いる用語(技術及び科学用語を含む)は、関連技術の文脈におけるそれらの許容される意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書中で明確にそのように定義しない限り、理想的又は過剰に形式張った意味に解釈されるべきではない。例えば、特定の構成が引用されている場合、構成は、実施上の不完全な現実が適用される可能性があるように、実質的に(だが、完全ではない)純粋なものであってもよく、例えば、少なくとも微量不純物の潜在的な存在(例えば、少なくとも1又は2%を超える)は、説明の適用範囲内にあるものとして理解され得る。同様に、特定の形状が引用されている場合、形状は、例えば、製造上の公差に起因する理想的な形状からの不完全なバラツキを含むことを意図している。本明細書中に表す比率又は濃度は、重量又は体積によるものである可能性がある。以下で説明するプロセス、手順、及び現象は、特に明記のない限り、雰囲気圧(例えば、約50〜120kPa−例えば、約90〜110kPa)及び温度(例えば、−20〜50℃−例えば、約10〜35℃)で生じてもよい。
【0013】
用語、第1、第2、第3、等は、様々な構成要素を説明するために本明細書中で用いられるかもしれないが、これらの構成要素は、それらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、単に、1つの構成要素を別のものから区別するために用いられる。従って、以下で検討する第1の構成要素は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の構成要素を称してもよい。
【0014】
「上の」、「下の」、「左」、「右」、「前の」、「後の」等のような空間に関する用語は、図面において示すように、1つの構成要素の、別の構成要素に対する関係性を説明するよう、説明のし易さのために本明細書中で用いられてもよい。空間に関する用語、並びに図示する構成は、本明細書中で説明し、図面に示す向きに加えて、使用又は操作における装置の異なる向きを含むことを意図している。例えば、図面内の装置が逆になった場合、他の構成要素又は特徴「の下」若しくは「より低い」ものとして説明される構成要素は、従って、他の構成要素又は特徴「の上」に配向されるであろう。従って、例示的な用語「上の」は、上及び下の向きの両方を包含してもよい。装置は、そうでなくても、配向されてもよく(例えば、90度回転されるか、他の向きに)、本明細書中で用いられる空間に関する用語は、それに応じて解釈されてもよい。
【0015】
また更に、この開示において、構成要素が別の要素に対して、「その上に」、「接続され」、「結合され」、「接触する」等として言及されている場合、それは、他の構成要素に対して直接その上にあり、接続され、結合され、又は接触していてもよく、特に指定のない限り、介在する構成要素が存在していてもよい。
【0016】
本明細書中で用いる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためであり、例示的な実施形態を制限することを目的としていない。本明細書中で用いるように、「a」及び「an」等の単数形は、特に文脈が示さない限り、複数形も同様に含むことを意図している。加えて、用語「includes」、「including」、「comprises」、及び「comprising」は、記載した構成要素又はステップの存在を明記するが、1つ以上の他の構成要素又はステップの存在若しくは追加を排除しない。
【0017】
加えて、本明細書中で特定する様々な構成部品は、組み立てられた及び完成した形で提供されてもよく、又は、構成部品のいくつか若しくは全てが、共にパッケージ化され、完成品を作製するよう、顧客による組み立て及び/又は変更のために説明書(例えば、文書、動画、又は音声形式の)と共にキットとして市販されてもよい。
【0018】
より詳細に、本明細書中に開示するものは、従来の電力調節回路と、電力の安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングの因子を向上又は最適化でき、所定の優先順位スキームに基づいて、多数の負荷にかかるデジタル電力送達を優先できるデジタル電力レシーバ回路との新規の組み合わせである。
【0019】
多くの場合において、より高い電力レベルに対応するため、又は、冗長性を提供するため、多数の送信ペアが並列に組み合わされる。電力制限回路が並列に組み合わされる場合に生じる1つの困難は、回路インピーダンスの軽微な相違により、個々の回路が常に負荷全体を等しく共有しないことにある。回路インピーダンスの相違の理由は、同じ長さでの送信ペア断面直径における差及び/又は送信ペア長さにおける差を含む可能性がある。
【0020】
第2の困難は、起動中の回路の適切な同期である。例えば、合計200Wの電力を供給しなければならないが、いずれかの個々の回路が100Wに電力が制限されている場合の2つの回路システムを考える。2つの回路のうちの一方が他方の前に起動した場合、それは一時的に全ての負荷要件(すなわち、200W)に対応する必要がある。この負荷は、回路の100Wの最大容量を超えており、結果として、過電力の不適合条件により、回路の停止を招く。自動的にリセットするよう構成される回路は、通常、電源投入シーケンスを再試行する前に1〜60秒間待機する。第1の回路が再試行を待機している間、第2の回路は、稼動を開始し、次に、200W負荷全体に対応するよう試行し、更には、過電力の不適合条件のために停止する。デジタル電力回路同士の同期がなければ、不良起動シーケンスが無期限に継続する恐れがある。
【0021】
更に、第3の困難は、より大きな並列グループの一部である個々の回路の不具合に対応する場合に生じる。多くの場合、回路は、それらに関連付けられた優先レベルを有する負荷を供給している。例えば、心臓ポンプに電力を供給している供給回路は、病院内の一般照明を供給しているものよりも勝る優先順位を有するべきである。個々の回路が故障した場合、どの負荷が低減された電力の割り当てを受けるのかを決定する既定の優先順位付けスキームを有することが有利である。その上、優先順位付けスキームは、外部ホストシステムによって理想的に構成できるであろう。外部ホストシステムが優先順位付けスキームを構成することを可能にする1つの方法は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)として業界において周知の実装によるものである。
【0022】
本明細書中に開示するのは、上で検討した困難に経済的に、信頼性を持って対処でき、1つから並列に数十個に及ぶ並列デジタル電力回路の幅広い範囲に対応できるアーキテクチャである。加えて、以下で説明するように、Eaves2012に説明されているPETプロトコルの通信機能は、安全性、効率、復元性、制御、又はルーティングの最適化された組み合わせを実装し、優先レベルが多数の負荷への電力の送達に関して設定されることを可能にするために活用される。
【0023】
デジタル電力レシーバシステム10のブロック図を
図1に示す。このシステムは、パケットエネルギー伝達(PET)プロトコルで動作するよう構成されるデジタル電力レシーバを含んでいる。パケットエネルギー伝達、及び、より詳細には、電力のトランスミッタソースは、Eaves2012に説明されている。1つ以上のレシーバ回路1は、それぞれ、PET伝送ソース12から始まる伝送ラインペア(Pair1、Pair2、PairN)を有する。個々のレシーバ回路出力は、電気レシーバ出力バス(DC_Link_In)2上で並列に結合されてもよい。1つ以上のDC電力調整回路3のDC入力端子は、DC_Link_In2の有効セグメントに繋がれている。電力調整回路3の個々の出力は、並列に結合されるか、電力調整回路出力バス(DC_Link_Out)4のセグメント同士を接続又は切断することによって別々に操作されてもよい。レシーバ回路1及び電力調整回路3の動作は、制御回路5によって管理される。制御回路5は、フィードバックライングループ、RxFB1、RxFB2、RxFBN、DCFB1、DCFB2、DCFBNを介してレシーバ及び電力調整回路1及び3の動作に関するフィードバックを取得する。制御回路5は、それがEaves2012の1つのペアに対して多数の伝送ラインペアを管理するという差がありながら、Eaves2012に説明されている負荷コントローラと類似している。制御回路5は、様々な電力調整回路3へのエネルギーの割り当てを優先するために必要なアルゴリズムを実行し、安全性、効率、復元性、制御、及びルーティングを最適化する完全に機能的なプロセッサであってもよい。他の実施形態において、制御回路5は、遠隔処理デバイスから生じる操作のためのコマンドを実行する簡略版であってもよい。
【0024】
全体的に、制御回路5は、どのくらいの量及びどの程度の電力レベルで、DC電力調整回路3のそれぞれが動作するのかを決定するよう、各レシーバ回路1からの電力の利用可能性を監視できる。背景技術欄で検討したように、並列接続されたグループの動作のために、多数のレシーバ回路1が電力を送達するよう同期して起動されるか、DC電力調整回路1出力に取り付けられた負荷デバイス11が電力を引き出すことを開始するために、レシーバチャンネルのうちの1つ以上が過負荷状態になる可能性がある。制御回路5は、第1の電力コントローラ(PowCtrl1)、第2の電力コントローラ(PowCtrl2)から、N番目の電力コントローラ(PowCtrlN)までを含む制御ライングループを介して、電力調整回路3のそれぞれにおける電力伝達率を制御できる。
【0025】
レシーバ回路1の実施形態を
図2に示す。スイッチSW1 20は、レシーバ回路1への電流フローを制御する。SW1 20は、
図2に示すような制御可能スイッチ(電気機械式又は固体電子式)の形態であってもよく、若しくは、
図3に示すような単純なダイオードであってもよい。レシーバ回路1は、導体ペア上のデジタル電力を、もはや不連続単位又はパルスを含まない従来のアナログ電気に戻して変換する。この変換は、能動的(制御可能スイッチを用いる)又は受動的(ダイオードを用いる)のいずれか一方による整流によって実行される。整流はSW1 20によって行われ、デジタル電源12、すなわちトランスミッタがエネルギーパルスを終了させる場合に、レシーバ導体ペアに戻るレシーバDCリンク22からの電流フローを抑制する。トランスミッタ12は、システムのトランスミッタ側にあるそれ自体のスイッチを開く(スイッチを非導通状態にする)ことによって、エネルギーパルスを終了させる。この時点で、伝送ペアは、トランスミッタ及びレシーバの両方から絶縁されており、少なくとも、トランスミッタ12がレシーバ導体ペアを解析して、Eaves2012で説明されるように、電圧減衰が所定のパラメータ内部にあるかどうかを判断することを可能にしている。
【0026】
SW1 20は、いずれか一方向に電流フローを制御できる双方向スイッチを備えていてもよい。レシーバ回路1は、次いで、双方向電力調整回路3と結合されてもよい。これにより、電力は、電力調整回路3の出力から、レシーバ回路1を通って戻り、伝送ラインペアへと逆に流れることが可能となる。この機能は、負荷11が役割を逆にし、エネルギーソースとなることができる場合において有用である。例えば、デジタル電力レシーバシステム10が夜間に住宅に供給している場合、住宅は、公共電力に売り戻されるようデジタル電力レシーバシステム10を通って送り返されてもよい余剰電力を提供する太陽光発電パネルを有していてもよい。別の実施形態において、バッテリ等のエネルギー蓄積デバイスが、電力調整回路3のうちの1つ以上の出力を受け取るよう位置決めされる。バッテリは、一例において充電されてもよいが、次いで、後にデジタル電力レシーバシステム10に戻って放電されてもよい。デジタル電力レシーバシステム10は、エネルギー蓄積デバイス内のエネルギーの一部が伝送ラインを経由して伝送ソース12に送り返され、蓄積デバイスからのエネルギーの残りが、優先順位スキームに従って、システム10内の様々な電力調整回路3’、3’’、及び3’’’に分配される場合、ルーティングアルゴリズムを実行してもよい。
【0027】
制御回路5は、レシーバ制御ライングループ、RxCtrl1、RxCtrl2、RxCtrlNを経由して
図2のレシーバ変調回路23へ通信信号を送信してもよい。業界に周知の技法を用いる変調回路23は、伝送ラインペア、PairN上に通信信号を重畳し、変調することができる。変調信号は、次いで、Eaves2012において詳述されているように、対応するトランスミッタソースコントローラにおいて復調されてもよい。トランスミッタソースコントローラは、次いで、伝送ラインペア上で有効な電圧及び電流を投入、切断、又は出力電力に関する制限を設定するよう指示されてもよい。
【0028】
通信機能の使用に対する一実施例は、制御回路5がトランスミッタソースコントローラのそれぞれに通信を返し、それら全てが同じデジタル電力レシーバシステム10に電力を供給していることを通知することである。このように、個々のトランスミッタコントローラは、関係する伝送ラインペアの全てに対する電力フローのバランスを取るよう作用するか、予め構成された優先順位付けスキームに従って、別のペアに対する1つのペアへのより高い電力制限を許容してもよい。更なる実施例は、レシーバコントローラが、
図2の点18におけるようなレシーバ回路電圧又は
図4の点27におけるような電力調整回路電圧を取得し、値を1つ以上のトランスミッタコントローラに通信する場合である。コントローラは、次いで、それらの平均出力を調整して、所定の設定点に従うレシーバにおける電圧を調節する。レシーバコントローラは、トランスミッタコントローラに、レシーバにおける所定の電圧設定点を維持するために、それらの平均出力電圧を増加又は減少させるようコントローラに指示するコマンドを定期的に送信することによって同様の結果を達成できる。他の方法の中でも、平均出力電圧変動は、Eaves2012において説明されているように、PET波形のサンプリング周期に対する伝達周期のデューティサイクルを調整することによって達成されてもよい。
【0029】
対応するトランスミッタコントローラに通信を返すことなく、制御回路5は、レシーバ回路1が、
図2の点18でレシーバ入力における電圧を取得することによって電力を送達する準備が整っているかどうかを検知し、それが所定の最小値に達したかどうかを判断する機能を有している。コントローラは、制御ライングループ、PowCtrl1、PowCtrl2、PowCtrlNを経由して1つ以上の電力調整回路3’、3’’、及び/又は3’’’をイネーブル化する前に、最小数のレシーバ回路1’、1’’、及び/又は1’’’が電力を送達する準備が整うまで、待機できる。代替として、仮に限られた数のレシーバ回路1’、1’’、及び/又は1’’’だけが電力を送達する準備が整っている場合、制御回路5は、既定の優先順位付けスキームに従って、有効電力を電力調整回路3’、3’’、及び/又は3’’’に分配するよう構成されてもよい。この場合、
図1で点線として示すDC_Link_Out4は、電力調整回路3’/3’’/3’’’が個々に負荷11に対して電力を送達することを可能にするよう、電力調整回路3’、3’’、及び/又は3’’’のうちの少なくとも1つから削除される。優先順位付けスキームは、コントローラにおいて局所的にプログラム化されてもよく、又は、レシーバ回路1において変調回路を経由してトランスミッタコントローラから遠隔でプログラム化されてもよい。
【0030】
レシーバ回路1から電力調整回路3への有効電力を割り当てるための更に別の方法は、DCフィードバックライングループ、DCFB1、DCFB2、DCFBNを経由する個々の電力調整回路3’、3’’、及び3’’’における電圧及び/又は電流を測定し、電力調整器制御ライングループ、PowCtrl1、PowCtrl2、PowCtrlNを用いて優先順位付けスキームに基づいて電力調整回路3によって提供されてもよい電力又はエネルギー量を制限することにある。例えば、DC電力調整回路3’、3’’、又は3’’’は、心臓ポンプ充電器に供給していてもよく、その個々の負荷要件に対する最小数のレシーバ回路1’、1’’、及び/又は1’’’が満足されるとすぐに、そして、その他の電力調整回路3’、3’’、又は3’’’がイネーブル化される前に、イネーブル化される。それらは、ただ1つのレシーバ回路1’、1’’、又は1’’’が電力を送達することに利用できる限り、電力調整回路3の動作を可能にすることを含む、電力調整回路3をディスエーブル化することに対する電力調整回路3をイネーブル化することのための最小数の有効レシーバ回路1に対する異なる設定であってもよいことは、留意されたい。追加の実施例は、導体ペアが、高い突入電流要件を有するデバイスのために初期状態の高電流に対応するよう構成されてもよいが、後に、最も効率的な動作のために電流を低いレベルに制限するよう構成される場合である。
【0031】
図4に示すDC電力調整回路3の実施形態において、第2のスイッチ(SW2)24及び第3のスイッチ(SW3)25はトランジスタスイッチを備えている。この場合において、制御回路5は、RxFB1、RxFB2、RxFBNによって提供されるようなレシーバ入力電圧が、レシーバチャンネルが完全に初期化され、電力を送達する準備が整ったことを示す最小値に到達するまで、SW2 24及びSW3 25を解放状態(非導通状態)に保持する。最小数のレシーバ回路1が、電力を提供する準備が整った場合、制御回路5は、SW3 25を閉じる(導通状態にする)よう作用する。SW3 25は、直列抵抗器R1 26を介してレシーバ回路1をDC電力調整回路3の出力に接続する。R1 26は、出力バスDC_Link_Out4に取り付けられる負荷デバイス11の一部であってもよい入力静電容量を充電する場合に、電流フローを制限する。R1 26及びSW2 24の作用は、プリチャージ回路と業界において一般に呼ばれている。プリチャージ時間が終了した後、負荷デバイス11への直結は、第2のスイッチSW2 24を閉じ、次いで、第3のスイッチSW3 25を開くことによって行われる。従って、レシーバ回路1は、同時に係合され、実質的なパルス電力機能を提供することができる。
【0032】
図1に戻って参照すると、外部制御チャンネル6は、外部デバイスからの追加のセンサ信号又は通信信号が制御回路5によって取得されることを可能にする。例えば、外部制御チャンネル6は、外部温度センサ、周辺光センサ、又は直列通信ストリームを含んでもよい。外部制御チャンネル6は、サードパーティインターフェースとして提供されてもよい。例えば、デジタル電力レシーバシステム10はLED照明器具の一部であってもよく、器具のメーカーは、周辺光条件に関するデータを伝送ラインペアにより伝送ソース12に送り返すことを望んでもよく、また、LED器具の調光レベルを設定するよう外部制御チャンネル6を介して制御信号を発信することも望んでもよい。外部制御チャンネル6は、また、Eaves2012において説明されるように、伝送ソースコントローラ内の対応する「通信リンク」に接続されてもよい。この接続は、上で説明したような、伝送ラインペアの変調を経由するトランスミッタソースコントローラへの通信の必要性を回避できる。
【0033】
本発明の説明する実施形態において、特定の専門用語が明確にするために用いられる。説明のため、特定の用語は、同様の結果を達成するよう、同様の方法で動作する技術的及び機能的均等物を少なくとも含むよう意図されている。加えて、本発明の特定の実施形態が複数のシステム構成要素又は方法ステップを含むいくつかの例において、それらの構成要素又はステップは、単一の構成要素又はステップと置き換えられてもよく、同様に、単一の構成要素又はステップは、同じ目的に適う複数の構成要素又はステップと置き換えられてもよい。更に、様々な特性に対するパラメータ又は他の値が、本発明の実施形態のために本明細書中で明記される場合、それらのパラメータ又は値は、1/100、1/50、1/20、1/10、1/5、1/3、1/2、2/3、3/4、4/5、9/10、19/20、49/50、99/100等ずつ上下して(又は、1、2、3、4、5、6、8、10、20、50、100等の係数倍で)、若しくは、特に指定のない限り、その近似値を丸めることによって調整されてもよい。その上、本発明を、その特定の実施形態を参照して示し、説明してきたが、当業者は、形態及び詳細において様々な代用及び変更が、本発明の適用範囲から逸脱することなく、その内部で行われてもよいことを理解するであろう。また更に、他の態様、機能、及び利点も、本発明の適用範囲内にあり、本発明の全ての実施形態は、必ずしも、上で説明した利点の全てを達成するか、又は、特性の全てを所有する必要はない。加えて、一実施形態に関連して本明細書中で検討したステップ、構成要素、及び特徴は、同様に、他の実施形態と共に用いられてもよい。参照テキスト、論文、特許、特許出願等を含む、テキスト全体を通して引用された参照の内容は、その全てを引用して本明細書中に組み込み、これらの参照からの適切な構成部品、ステップ、及び特性は、本発明の実施形態に含まれてもよいか、含まれなくてもよい。また更に、背景技術欄で特定された構成部品及びステップは、本開示に統合され、本発明の適用範囲内で、開示内の別の箇所で説明された構成部品及びステップと共に、又はそれと置き換えられて用いられてもよい。方法クレームにおいて、段階が特定の順序で列挙されている場合、参照しやすいように追加された順序付先頭文字の有無にかかわらず、段階は、用語及び言い回しによって特に指定又は暗示しない限り、それらが列挙される順序に一時的に制限されるものとして解釈すべきではない。