(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同じ形状及び大きさの複数の栽培鉢と、前記栽培鉢での観察に適した作物の種と、前記作物の栽培に使う肥料分を含まない土を入れた小袋と、前記作物の生育に適する量の肥料分を含む土を入れた小袋と、前記作物の生育に適しない量の肥料分を含む土を入れた小袋と、前記種の播き方並びに前記作物の栽培及び観察の仕方を記載した手引書とからなり、
前記各小袋には、それぞれ肥料の量又は肥料の割合並びに肥料の種類が記載してあることを特徴とする教育用植物栽培キット。
【背景技術】
【0002】
農家は商品価値の高い農産物を生産して所得向上を図るため、病害虫の発生を防止するハウス内で作物を栽培したり、作物がすくすくと健康に育つように土を改良したりして、最良な栽培環境を整えながら作物を生産している。
そして、最近、中学校の学習指導要領に植物育成科目が必修科目として設定され(第8節技術・家庭、第2〔技術分野〕2A(6))、その学習内容は(1)生物の生育環境と育成技術、(2)生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育の2項目で構成されている。
(1)の項目については、ア 生物の育成に適する条件と生物の育成環境を管理する方法を知ること、イ 生物育成に関する技術の適切な評価・活用について考えることを指導し、(2)の項目については、目的とする生物の育成計画を立て、生物の栽培又は飼育ができることを指導することとなっている。
しかし、農村地帯を含め、全国レベルで、植物の種を播いてから植物が生長する際の原理そのものについて、生徒は勿論、教師にも理解されていないのが現状である。
【0003】
植物が生長する原理を理解させるための手段が下記特許文献1〜4に開示されている。
ところが、これらの文献に開示されている手段は、何れも実験のための設備あるいは装置が複雑で、また、植物の成長過程の基礎説明も簡単ではないという問題があり、特に、中学の基礎過程の学習手段としては、実を挙げづらい状態にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−369640号公報
【特許文献2】特開2009−207471号公報
【特許文献3】特開2010−172288号公報
【特許文献4】実用新案登録第3130522号公報
【0005】
[特許文献1]には、亜熱帯の大型の蝶であるオオゴマダラの生態を観察し、自然環境について学ぶことのできる環境教育教材としての個人・家庭向きの飼育セットが記載されている。
この飼育セットは、第4齢幼虫とその食草であるホウライカガミの葉からなり、第4齢幼虫が食草を旺盛に摂食して脱皮し第5齢幼虫なり、蛹、成虫へと変態していく様を観察できるようにしたものである。
しかし、この栽培キットは、実体験により蝶の生態や自然の摂理・しくみ、偉大さを肌で感じることができるものの、異なる条件の下でオオゴマダラやホウライカガミの成長や生育具合を観察するものではなかった。
【0006】
[特許文献2]には、植物の根の伸張状況を、根を抜かずに目視で観察することができる教材用の植物生長観察システムが記載されている。
この植物生長観察システムは、吸水性樹脂粉末と水からなり、ゲル内が目視できる透明性を有する水系ゲルを育苗ポット内に入れるステップ、該水系ゲルに植物の種子もしくは球根もしくは苗を入れるステップ、および該水系ゲル内で植物が発芽し生長するに伴うゲル内の植物の根の伸張状況を、根を抜かずにゲルの外から目視で観察するステップからなるものである。
しかし、この植物生長観察システムは、植物の根の伸張状況を根を抜かずに目視で観察できるものの、異なる条件の下で植物の根の伸張状況を観察するものではなかった。
【0007】
[特許文献3]には、植物の種蒔きから発芽、苗の成長過程を観察でき、収穫して野菜を食するまで体験することができる学校教材としての使用に適する溶液栽培ユニットが記載されている。
この溶液栽培ユニットは、養液を収容する上部開口の養液収容槽を有し、この養液収容槽に養液補給ポット設置部およびプランター設置部を設けた養液栽培ユニット本体と養液を収容するとともに、前記養液補給ポット設置部に口部を下向きにした倒立状態で着脱可能に設置される養液補給ポットと、前記養液補給ポットの口部に装着され、外周壁に養液補給孔を有した内筒およびこの内筒に嵌合されるとともに、周方向に回すことにより前記養液補給孔を開閉可能な外筒とからなり、前記養液収容槽に収容された養液の液面の昇降によって前記養液補給孔が開閉されるボトルキャップと、前記プランター設置部に着脱可能に設けられ、前記養液収容槽に収容された養液に浸される部分には複数の開口部を有する底部を備え、少なくとも前記養液栽培ユニット本体から上部に突出する部分は透明材料によって形成された筒状体であり、植物の茎葉支え部を形成するプランターと、前記プランターの内底部に収納され、栽培用の苗を定植するためのプラントおよびパーライトと、前記養液補給ポットに被嵌され、内部に収容された養液を紫外線から保護する遮光カバーとを具備したものである。
しかし、この溶液栽培ユニットは、ポンプ等を用いず、植物が必要とする養液を自動的に供給して発育させることができ、構造的に簡単で、学校教材として適し、しかも一般家庭で自家栽培としても使用できるものの、異なる条件の下で植物の発育状況を観察するものではなかった。
【0008】
[特許文献4]には、植物の生育、食育について学習することができる教材用芽ねぎ栽培キットが記載されている。
この栽培キットは、栽培容器と、芽ねぎの種と、前記栽培容器内に配置され芽ねぎの培地部となる発泡性樹脂成形体と、前記栽培容器に固定され前記培地部の一部の領域の上方に配置されるネットとを有し、水を保持させた前記発泡性樹脂成形体に前記芽ねぎの種を蒔くことで、先端部に種皮がついた芽ねぎと、ネットにより種皮が除去された芽ねぎの両方を栽培して観察できるようにしたものである。
しかし、この栽培キットは、ネットが掛けられている部分と掛けられていない部分とで生育具合を観察できるものの、それ以外の条件(肥料、水やり、日照、温度、病害虫防除の有無、土壌の種類等)の相違による生育具合を観察できるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、植物育成科目を学習する生徒や、生徒を指導する教師に、農家のように作物の生育にとってどのような栽培環境が好ましいか、成功するにはどうすればよいかを生徒に考えさせ、創意・工夫して栽培する歓び、収穫する歓びを体験させて、学習の基礎となる生物育成の原理を簡単に理解できるようにした植物栽培法の実施に適した
教育用植物栽培キットを提供することを目的とする。
本栽培法で、生徒は養分欠乏症や養分過剰症など、作物が枯れていく姿を観察し体験することができる。作物が枯れていく姿を見ることは忍びないことであろうが、植物や動物は常に「死」と直面しながら生きている。生徒や教師にとってこの体験は生物育成を学ぶ上で意義深いことである。
しかし、本来生物育成の授業は、動物や植物が健康に育ち、各々が役目を果たす姿を体験させることこそ大きな意義がある。この「成功体験できる生物育成栽培法」は、作物がすくすくと健康に成長する姿、そして栽培する歓び、収穫する歓びを生徒や教師に体験させることを目的に発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための
第1の植物栽培法は、人為的に肥料を増減させ、養分濃度の異なる複数の栽培鉢をセットにして比較栽培を行い、養分を欠乏させたり過剰にしたりして、作物の生理障害を誘発させ、作物育成の基礎を学ばせるものであって、次の手順からなる。
1.同じ形状及び大きさの栽培鉢を複数用意する。
2.肥料分を含まない土を前記栽培鉢の一つに入れ、作物の種を播く。
3.前記作物の生育に適する適度な肥料分を含む土を前記栽培鉢の一つに入れ、前記作物の種を播く。
4.前記作物の生育に適しない量の肥料分を含む土を前記栽培鉢の一つに入れ、前記作物の種を播く。
5.前記2.〜4.の手順で種を播いた栽培鉢を同じ環境に置き、作物を栽培する。
【0011】
上記の目的を達成するための
第2の植物栽培法は、人為的に肥料を増減させ、養分濃度の異なる複数の栽培鉢をセットにして比較栽培を行い、養分を欠乏させたり過剰にしたりして、作物の生理障害を誘発させ、作物育成の基礎を学ばせるとともに、作物の生育環境による成長への影響を学ばせるものであって、次の手順からなる。
1.同じ形状及び大きさの栽培鉢を複数用意する。
2.肥料分を含まない土を複数の前記栽培鉢に入れ、それぞれに同じ作物の種を播く。
3.前記作物の生育に適する適度な肥料分を含む土を複数の前記栽培鉢に入れ、それぞれに同じ作物の種を播く。
4.前記作物の生育に適しない量の肥料分を含む土を複数の前記栽培鉢に入れ、それぞれに同じ作物の種を播く。
5.前記2.の手順で種を播いた複数の栽培鉢のうちの一部の栽培鉢、前記3.の手順で種を播いた複数の栽培鉢のうちの一部の栽培鉢及び前記4.の手順で種を播いた複数の栽培鉢のうちの一部の栽培鉢を露天に置き、前記2.の手順で種を播いた複数の栽培鉢のうちの他の栽培鉢、前記3.の手順で種を播いた複数の栽培鉢のうちの他の栽培鉢及び前記4.の手順で種を播いた複数の栽培鉢のうちの他の栽培鉢を前記露天とは異なる環境に置いて、作物を栽培する。
【0012】
上記の目的を達成するための
第3の植物栽培法は、
第1の植物栽培法によって作物育成の基礎を学ばせた後に、同じ栽培鉢及び土を用いて作物を順調に生育させ、栽培する歓び、収穫する歓びを体験させるものであって、次の手順からなる。
(1)
第1の植物栽培法で用いた複数の栽培鉢の土を取り出す。
(2)取り出した土をまんべんなく混ぜる。
(3)混ぜた土を日陰で4〜5日乾燥させる。
(4)乾燥させた土の量に対し20%程度の量の土壌改良資材を混ぜる。
(5)前記土壌改良資材を混ぜた土に、有機質肥料と卵殻を適量混ぜる。
(6)前記土壌改良資材、有機質肥料及び卵殻を混ぜた土を前記複数の栽培鉢に入れる。
(7)前記複数の栽培鉢に作物の種を播く。
(8)作物の種を播いた前記複数の栽培鉢を栽培に適した環境に置き、作物を栽培する。
【0013】
そして、第1の植物栽培法を容易に実施できるようにするための請求項
1に係る発明の
教育用植物栽培キットは、次の構成からなる。
1.同じ形状及び大きさの複数の栽培鉢。
2.前記栽培鉢での観察に適した作物の種。
3.前記作物の栽培に使う肥料分を含まない土を入れ、肥料の量又は肥料の割合
並びに肥料の種類が記載してある小袋。
4.前記作物の生育に適する量の肥料分を含む土を入れ、肥料の量又は肥料の割合
並びに肥料の種類が記載してある小袋。
5.前記作物の生育に適しない量の肥料分を含む土を入れ、肥料の量又は肥料の割合
並びに肥料の種類が記載してある小袋。
6.前記種の播き方並びに前記作物の栽培及び観察の仕方を記載した手引書。
【0014】
第1の植物栽培法を容易に実施できるようにするとともに、栽培鉢や栽培条件を識別し易くするための請求項
2に係る発明の
教育用植物栽培キットは、請求項
1記載の
教育用植物栽培キットに、栽培条件を識別できるようにするための表示を施すことが可能なラベルを、前記栽培鉢の個数と同じ枚数又は前記栽培鉢の個数より多い枚数追加したものである。
【0015】
請求項
2に係る発明のラベルを各栽培鉢に取り付けやすくするための請求項
3に係る発明の
教育用植物栽培キットは、前記複数の栽培鉢のそれぞれに、前記ラベルを差し込むための穴又は前記ラベルを貼り付け易くするための面を設けたものである。
【0016】
第3の植物栽培法を容易に実施できるようにするための請求項
4に係る発明の
教育用植物栽培キットは、請求項1ないし
3のいずれかに記載の
教育用植物栽培キットに、土壌改良資材、有機質肥料、卵殻及び二回目に栽培する作物の種を追加したものである。
【発明の効果】
【0017】
作物の生育にとって養分(肥料)は不可欠である。作物の生育に適する養分(肥料)が欠乏すると、作物の生育は止まり枯死に至る。逆に養分(肥料)が過剰にあると根に障害が生じ、作物の生育は萎縮し止まり、ひどい時には枯死に至る。この現象を農業現場では、連作障害とか濃度障害と呼んでいる。
本発明の
前提となる第1の植物栽培法によれば、植物育成科目を学習する生徒や生徒を指導する教師は、作物の栽培過程において「作物がすくすく成長する姿、養分が欠乏し緑の葉色が黄色に変色し枯死していく姿、種を播いても発芽しない姿、発芽しても作物の生育が萎縮して成長が止まり枯死していく姿」など、直々に観察することができる。そして作物栽培には「人、作物、環境」とのかかわりが大切であることを基礎から学ぶことができる。さらには失敗や成功体験をもとに「工夫」、「創造」し、作物がすくすく成長するにはどうすればいいかを考え学ぶことができるという効果がある。
また、
第1の植物栽培法による作物の栽培後に、同じ栽培鉢及び土を用いる
第3の植物栽培法によれば、同じ栽培鉢及び土を用いることができるので経済的であり、
第1の植物栽培法で得た知識を確認しつつ、作物を順調に生育させることができるので、生徒及び教師に農業に対する深い理解を与えられる。そして、自らの手で種を播き、日々の水やりなどの栽培管理をして、順調に作物が育っていくことの歓びを味わうことができ、収穫した作物を学校や家庭で食することにより、育てた作物を食する歓びも味わうことができる。
【0018】
本発明の
教育用植物栽培キットによれば、上記植物栽培法や、該植物栽培法による作物栽培後に同じ栽培鉢及び土を用いる植物栽培法を手軽に実行でき、植物育成科目を学習する生徒や生徒を指導する教師の負担が楽になるとともに、背景技術の項に記載した学習指導要領の植物育成科目における指導項目について、確実に学習効果を上げられるという効果がある。
各地で「地産地消」が唱えられているが、新鮮で安全な農産物を作って食べることは、「地産地消」の原点であり、食農教育の教材として最適である。
【0019】
さらに、
第1の植物栽培法及び該植物栽培法による作物栽培後に同じ栽培鉢及び土を用いる
第3の植物栽培法による学習効果は、学校教育だけにとどまらない。
農業現場においても、例えば新しく開拓した畑で作物を栽培した場合、養分(肥料)が欠乏し収量が減少するし、同じ畑で同じ作物を毎年栽培していると、養分(肥料)が残留蓄積し収量が減少する。
第1の植物栽培法及び該植物栽培法による作物栽培後に同じ栽培鉢及び土を用いる
第3の植物栽培法により、農家の人々、特に新規に参入した就農者に、これらの原因を深く理解してもらうことによって、収量の減少を解決するための方策、すなわち、土の養分バランスを調整するために有機質肥料又は卵殻を散布したり、通気・通水を図るため土壌改良資材を施用したりすることによる土質改良を促すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の植物栽培法及び該植物栽培法によって生物育成の原理をしっかりと学習できるよう指導する際の実施の形態は次のとおりである。
1.同じ形状及び大きさの栽培鉢を複数用意する。
2.肥料分を含まない土を栽培鉢の一つに入れ、作物の種を100粒播き栽培する。
3.肥料分を含まない土とその土の量に対して作物の生育に適する適度な量の肥料をポリ袋等の容器に入れて混ぜた後、その肥料分を含む土を栽培鉢の一つに入れ、作物の種を100粒播き栽培する。
ここで、作物の生育に適する適度な量の肥料とは、コマツナの場合、肥料分を含まない土約1リットルに対して、窒素、リン酸及びカリウムを含んだ細粒の化学肥料であれば5g〜10g程度である。
4.肥料分を含まない土とその土の量に対して作物の生育に適しない量の肥料とをポリ袋等の容器に入れて混ぜた後、その肥料分を含む土を栽培鉢の一つに入れ、作物の種を100粒播き栽培する。
ここで、作物の生育に適しない量の肥料とは、コマツナの場合、肥料分を含まない土約1リットルに対して、窒素、リン酸及びカリウムを含んだ細粒の化学肥料であれば15g程度以上である。
5.作物の種を播いたら、適当な間隔で、好ましくは毎日決まった時間に、作物の成長の様子を観察させ、栽培鉢別に記録を作成させる。
ここで、観察や記録の作成を容易に行えるようにするため、栽培鉢を識別できるようにするための表示、例えば、鉢に識別可能な表示を書かせたり、ラベルを立てさせたりする方が良く、観察の際に適宜写真撮影を行わせることも記録作成のために有効である。
6.作物の成長に要する期間、例えば、コマツナの場合30〜35日が過ぎたら観察を終える。
7.観察を終えたら、それぞれの栽培鉢における作物の成長がどうであったかを比較させる。
【0022】
また、学習効果を一層上げるためには、その成長の様子や、その観察から分かったことや感想を発表させると良く、それも複数の生徒又は教師のいる前で発表させるとなお良い。
発表者は代表者でも良いし、作物の成長の様子を観察した複数の者でも良く、さらには、グループを作っておいて、そのグループでディスカッションした後に各グループの代表者が行う等、適宜の者とすることができる。
【0023】
そして、種播き、栽培及び観察の仕方やそれらのことを行う際の注意点を記載した手引書を作成しておき、学習開始に際して学習する生徒や教師に渡しておくと、間違った種播き、栽培及び観察が行われるのを防止することができる。
また、
図1のように観察記録を作成する際に用いる観察記録欄1、栽培鉢区別欄2及び日付欄3を設けた表を記載した記録用紙を用意しておき、観察開始に際して学習する生徒や教師に渡しておくと、確実に観察が行われるよう学習者をサポートすることができる。
栽培鉢区別欄2としては、例えば、肥料の量を5段階で観察を行わせる場合、
図1のように5つの欄を設け、それぞれの欄に肥料の量を記載できるようにしておくと良い。後述する実施例のように、無肥料、肥料5g、10g、15g、20gで観察を行わせることを予定している場合には、それぞれの欄に肥料の量を予め記載しておいても良い。
また、後述する異なる環境下での栽培に備えて、上記5つの欄の右側にそれぞれ2つの欄を設けても良いし、大きな2つの欄の右側にそれぞれ5つの欄を設けても良い。
さらに、
図1のように日付欄3の上部には、学年・組・班・氏名等のグループや個人を識別するための欄4や、作物名、播種日、肥料名、栽培環境等の各栽培鉢に共通する情報を記載する欄5を設け、下部には観察記録を作成する際の注意事項記載欄6や栽培鉢区別毎の写真貼付欄7を設けても良い。
【0024】
このような植物栽培法の実施に際し、以下に掲げる発展的な測定や観察を行わせると、高度な学習を行わせることが可能となる。
a.種を播く前の土の肥料濃度(EC)とPHの測定及び栽培を終了した時の土の肥料濃度(EC)とPHの測定。
b.栽培終了時に作物を根こそぎ採取し、根の部分を洗った後、根の姿(本数、長さ、重量)を測定。
c.上記2.3.4.の栽培鉢のいずれか又は全部をそれぞれ偶数個用意し、半分は露天に置き、後の半分は簡易ハウス等の露天とは異なる環境に置いて、作物を栽培して観察。
d.栽培鉢として透明な鉢を用い、栽培中の根の伸張する姿を観察(鉢に近い部分の根の様子を観察できる)。ただし、透明な栽培鉢を用いる場合、根が光線を嫌うので、栽培鉢の回りに遮光性のシートを巻きつけた方が良い。観察する時だけシートを取り除き、観察が終了したら再び巻きつけるのである。遮光性のシートとしては、遮光力、耐久性及び入手のし易さの面から、アルミホイルが好適である。
いずれの場合においても、その測定結果や観察結果の比較や発表を行わせると、学習効果を一層向上させることができる。
また、栽培した作物を収穫し、それを調理して食べることにより、学習者に収穫の喜びを与えることができるので、食育との連携も図ることができる。
【0025】
第3の植物栽培法によって、上記した
第1の植物栽培法により生物育成の原理を学習した後、栽培に使用した複数の栽培鉢と土を再利用して、成功体験を目指して作物を栽培する際の実施の形態は次のとおりである。
(1)複数の栽培鉢の土を取り出す。
(2)取り出した栽培鉢の土をまんべんなく混ぜる。
(3)混ぜた土を日陰で4〜5日乾燥させる。
(4)乾燥させた土の量に対し20%程度の量の土壌改良資材を混ぜる。
ここで、土壌改良資材としては、木皮、もみがら又は腐葉等が適している。
(5)有機質肥料と乳酸卵殻を適量土に混ぜる。
ここで、有機質肥料としては、魚かすなどを熟成させた有機質肥料のブラドミン(商品名)が特に適している。
(6)土壌改良資材、有機質肥料及び乳酸卵殻を混ぜた土を栽培鉢に入れる。
(7)栽培鉢に作物の種を播く。
ここで、作物の種としては、上記の植物栽培法で用いたコマツナでも良いし、他の種類の種でも良いが、発芽後10〜30日程度の若い葉を収穫して食することのできる、コマツナ、ミズナ、ロケットサラダ、レッドマスタード及びレッドオークなど複数種類の作物の種をミックスして売られているベビーリーフ(商品名)の種を用いると、一年中、どこでも簡単に短い期間で栽培できるとともに、複数種類の野菜の葉の形や味を楽しむことができるので、特に好適である。
(8)作物の種を播いた栽培鉢を栽培に適した環境に置き、作物を栽培する。
【0026】
次に、請求項1〜
4に係る発明の
教育用植物栽培キットの実施の形態は次のとおりである。
【0027】
1.同じ形状及び大きさの複数の栽培鉢。
この栽培鉢には、栽培条件等を識別できるようにするための表示を施し易くするための、表示面を鉢の上部及び/又は側面に設けておくとより好ましく、そのような表示面を設けない場合、表示用のラベルを追加したり、該ラベルとともにラベルを差し込む穴やラベルを貼り付け易くする面を栽培鉢に設けても良い。ラベルを貼り付け易くする面は、ラベルの下部の形状と同等又は少し大きい平面部であり、その平面部に剥離紙を設けた粘着面を設けておくとより良い。
上記表示面やラベルには、作物名、播種日、肥料名、肥料の量、生育環境、グループ名、個人名等の一部又は全部を記入する欄を設けるとより好ましく、これらの事項のうち、作物名、肥料名、肥料の量及び生育環境については、栽培鉢やラベルに予め記入しておいても良い。
また、ラベルには下部にぎざぎざを設けておくと土に差した場合でも抜けにくく、栽培鉢にラベルを差し込む穴を設けた場合、その穴をぎざぎざの厚さ又は幅よりほんの少し小さいサイズとすることで、ラベルを差し込んだら簡単には抜けないものとすることができる。
【0028】
2.栽培鉢での観察に適した作物の種。
作物の種としては、栽培鉢で生育させることができるものであれば良いが、一年中どこでも簡単に栽培が可能なコマツナが適している。コマツナは肥料の吸収力が強いので、特に肥料分を含まない土を用いた栽培において、養分の欠乏症が観察しやすいという特徴がある。
コマツナ以外では、レタスも好適である。レタスは肥料濃度に敏感なので、作物の生育に適しない量の肥料分を含む土を用いた栽培において、発芽不良や生育不良が観察し易い。
【0029】
3.作物の栽培に使う肥料分を含まない土。
肥料分を含まない土であれば種類は問わないが、山土又は黒ぼくの土に通気・通水を良くするため、土量の10%程度の木皮、もみがら又は腐葉などを混ぜたものが栽培鉢で作物の生育させる上で好ましい。
【0030】
4.作物の生育に適する肥料。
作物の生育に適する肥料としては、一般に市販されている肥料で、その作物に適したものであれば特に種類は問わないが、すぐに肥料の効果が出易い窒素、リン酸及びカリウムを含んだ細粒の化学肥料が好ましい。
そして
、肥料分を含まない土、作物の生育に適する量の肥料分を含む土及び作物の生育に適しない量の肥料分を含む土を、それぞれ予め袋に入れておく。
これらの肥
料や土を入れた袋には、肥料の量又は肥料の割合
並びに肥料の種類を記載し
、土の種
類について記載しても良い。
さらに
、同じ土を用いて再度種播き及び栽培を行う場合に備えて、連作障害対策用の土壌改良資材、有機質肥料、乳酸卵殻及び二回目に栽培する作物の種を追加しておく。この土壌改良資材としては、使用した土量の約20%に相当する木皮、もみがら又は腐葉などが好適であり、有機質肥料としてはブラドミン(商品名)が好適である。
【0031】
5.前記種の播き方並びに前記作物の栽培及び観察の仕方を記載した手引書。
種の播き方は、肥料分を含まない土に肥料を混ぜる方法、栽培鉢に入れる土の量の目安及び栽培鉢への種のばらまき方等を説明するものであり、文字による説明が最も通常の方法であるが、絵図を交えて説明するとより分かりやすい。
作物の栽培及び観察の仕方は、水やりの方法やタイミング及び観察した際に記録すべき点等を説明するものであり、文字による説明が最も通常の方法であるが、絵図を交えて説明するとより分かりやすい。
この手引書に、
図1のように観察記録を作成する際に用いる観察記録欄1、栽培鉢区別欄2及び日付欄3を設けた表を記載した記録用紙を添付しておけば、確実に観察が行われるよう学習者をサポートすることができる。
上記手引書には発表やグループディスカッションを行う際の注意点を含ませても良く、発表やグループディスカッションを行うに際して重要な項目を列記したメモ用紙を添付しておけば、学習者にとって論点整理がし易くなる。
【実施例】
【0032】
教育用植物栽培キットの一例としては、栽培鉢5鉢(容量約1リットル)、専用培土5袋(無肥料、約5リットル)、専用肥料70g、作物の種500粒(コマツナ)、ラベル5枚、栽培手引書1枚をセットとする。
そして、栽培手引書における肥料の条件設定の一例は、無肥料、5g、10g、15g、20gであり、露天における栽培後約1ヶ月の生育結果の一例は次のとおりとなった。
無肥料の場合:発芽するが、葉色が薄くなりその後生育が遅延する。
肥料5gの場合:発芽良好で、順調に生育する。
肥料10gの場合:発芽良好で、順調に生育する。
肥料15gの場合:発芽が悪く、葉色が濃くなり、生育が萎縮し遅れる。
肥料20gの場合:発芽が悪く、葉色が濃く、生育が萎縮し枯死する。
さらに、冬期及び夏期において、肥料5g又は10gの栽培鉢を6つ用意し、3つは露天で、後の3つは簡易ハウスの中で栽培した結果、露天では天候や季節に左右され、冬期は生育が遅延し、夏期は病害虫の発生があったのに対し、簡易ハウスの中では、季節や病害虫に関係なく、安定して順調に生育した。
【0033】
また、上記のように肥料の量を異ならせて作物の栽培を行い、その栽培及び観察が終了した後に、栽培に使用した5つの栽培鉢と土を再利用して、成功体験を目指して作物を栽培するための
教育用植物栽培キットの一例としては、栽培鉢5鉢(容量約1リットル)、専用培土5袋(無肥料、約5リットル)、専用肥料70g、作物の種500粒(コマツナ)、ラベル5枚及び栽培手引書1枚に、二回目の栽培に用いる木皮、もみがら又は腐葉(容量約1リットル)、ブラドミン(商品名)約50g、乳酸卵殻約50g及びベビーリーフ(商品名)の種1000粒を加えたものをセットとする。
そして、このキットを用いて1回目の栽培終了後に、栽培に使用した5つの栽培鉢と土を再利用してベビーリーフ(商品名)を栽培する方法の一例は、次のとおりである。
(1)5つの栽培鉢の土をシートか新聞紙の上にひっくり返し、株や根を取り除く。
(2)各栽培鉢の土は肥料濃度が異なるので、肥料濃度が均一になるようにまんべんなく混ぜる。
(3)土に酸素を十分に供給するため薄く広げ、日陰で4〜5日乾燥させる。
(4)栽培中に根が傷まないように、土量の20%程度の土壌改良資材(木皮、もみがら又は腐葉等)を土に混ぜ、土の通気性と通水性を良くする。
(5)栽培中に養分の欠乏が発生しないように、魚かすなどを熟成させた有機質肥料のブラドミン(商品名)を大さじ一杯(50g)土に混ぜる。
また、作物にカルシウム欠乏が発生しないように、カルシウムを含有した乳酸卵殻を大さじ一杯(50g)土に混ぜる。そうすると作物がおいしくなる。
(6)土壌改良資材、有機質肥料及び乳酸卵殻をまんべんなく混ぜた土を複数の栽培鉢に入れる。
(7)栽培鉢にベビーリーフ(商品名)の種を播く。
(8)ベビーリーフ(商品名)の種を播いた栽培鉢を、栽培に適した環境に置き、作物を栽培する。
ここで、栽培に適した環境とは、比較的気温が高く病害虫の発生もない場合は露天で良く、そうでない場合は気温管理や病害虫防除が可能な簡易ハウス、ビニールハウス又は温室等の中とする。
なお、ベビーリーフ(商品名)の種の播き方や栽培の仕方は、コマツナの種の播き方や栽培の仕方と同じである。
そして、栽培手引書には、上記(1)〜(6)の手順及びベビーリーフ(商品名)の種の播き方や栽培の仕方がコマツナの種の播き方や栽培の仕方と同じであることを記載しておく。上記(1)〜(6)の手順の説明についても文字による説明が最も通常の方法であるが、絵図を交えて説明するとより分かりやすい。
このようにして、ベビーリーフ(商品名)を栽培した結果、複数の野菜が順調に発芽するとともに、順調に生育させることができ、発芽後10日〜30日の長期間に亘って収穫を行うことができた。