特許第6266200号(P6266200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266200鉄筋構造及びそれを用いた鉄筋コンクリート部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266200
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】鉄筋構造及びそれを用いた鉄筋コンクリート部材
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   E04C5/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-114481(P2012-114481)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-241755(P2013-241755A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯干 福馬
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳史
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4151245(JP,B2)
【文献】 特開2000−336746(JP,A)
【文献】 特開2003−268925(JP,A)
【文献】 特開2011−220107(JP,A)
【文献】 特開平06−307016(JP,A)
【文献】 特開2011−089290(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0946274(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/18
E04C 5/16
E04C 5/06
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる複数の主筋と、
前記主筋の軸方向と交差する平面内において矩形状とされて前記主筋を囲んで配置された複数のせん断補強筋と、
前記主筋の軸方向において前記せん断補強筋と隣接して設けられた付着補強筋とを備え、
前記主筋は、前記せん断補強筋の少なくとも四隅において時計回りに配筋された第1主筋、第2主筋、第3主筋および第4主筋と、前記第1主筋と前記第2主筋との間であって前記第1主筋に隣接して設けられた第5主筋と、前記第1主筋と前記第2主筋との間であって前記第2主筋に隣接して設けられた第6主筋と、前記第3主筋と前記第4主筋との間であって前記第3主筋に隣接して設けられた第7主筋と、前記第3主筋と前記第4主筋との間であって前記第4主筋に隣接して設けられた第8主筋と、前記第1主筋と前記第4主筋との間に設けられた第9主筋と、前記第2主筋と前記第3主筋との間に設けられた第10主筋とを有し、
前記付着補強筋は、少なくとも前記第1主筋と前記第4主筋とを囲み、前記第5主筋と前記第8主筋とに内周が当接し、かつ、前記第9主筋に当接する第1付着補強筋と、少なくとも前記第2主筋と前記第3主筋とを囲み、前記第6主筋と前記第7主筋とに内周が当接し、前記第10主筋に当接する第2付着補強筋と、を有する
ことを特徴とする鉄筋構造。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄筋構造において、
前記付着補強筋は、前記主筋の軸方向と直交する方向に延びる背部の両端部から折り曲げられた一対の曲折部を有するコ字状部と、前記曲折部の先端から前記曲折部の軸方向に延びる一対の足部とを備え、
前記コ字状部は、少なくとも前記第1主筋と前記第9主筋と前記第4主筋とに対向し、
前記足部の先端は、前記第1主筋と前記第2主筋との中間位置、及び前記第3主筋と前記第4主筋との中間位置には至らない
ことを特徴とする鉄筋構造。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄筋構造において、
前記付着補強筋は、前記主筋の軸方向と直交する方向に延びる背部の両端部から折り曲げられた一対の曲折部を有するコ字状部と、基端が前記曲折部に接続されて先端が互いに近接する方向に折り曲げられた一対の足部とを備え、
前記コ字状部は、少なくとも前記第1主筋と前記第9主筋と前記第4主筋とに対向し、
前記足部の先端は、前記第1主筋と前記第2主筋との中間位置、及び前記第3主筋と前記第4主筋との中間位置には至らない
ことを特徴とする鉄筋構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の鉄筋構造が内部に埋設された
ことを特徴とする鉄筋コンクリート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱又は梁などに利用される鉄筋構造及びそれを用いた鉄筋コンクリート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸方向に延びる複数の主筋と、主筋を囲んでせん断強度を補強する複数のせん断補強筋とを備える鉄筋コンクリート部材において、材端部の主筋の量と中央部の主筋の量に差がある場合に、主筋が曲げ引張を受けても、鉄筋コンクリート部材内部から滑って抜け出さないようにするために、主筋を材の全長に亘って配筋することが考えられる。しかし、主筋の量が増え、主筋同士を接合する部品が別途必要となり、また、主筋同士を接合するという接合作業も増えてしまう。一方、主筋の滑りを抑制するようにせん断補強筋の量を多くして主筋とコンクリートとの付着強度を向上させることも考えられるが、せん断補強筋の量が増え、せん断補強筋の配筋作業も増えてしまう。
【0003】
そこで、せん断補強筋の他に付着補強筋を用いることが考えられる。付着補強筋を有する鉄筋構造として、主筋と、せん断補強筋と、せん断補強筋と隣接して設けられた付着補強筋とを備えた鉄筋構造が知られている(特許文献1)。
特許文献1で示される鉄筋構造では、1本の主筋が1つの付着補強筋で囲まれていたり、又は、最外周に配筋された主筋よりも内側に配筋された複数の主筋が1つの付着補強筋で囲まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4151245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような従来の鉄筋構造では、1本の主筋が1つの付着補強筋で囲まれていたり、又は、複数の主筋が1つの付着補強筋で囲まれているが、鉄筋構造における最外周に配筋された主筋は付着補強筋で囲まれていないため、せん断力が最も加わる鉄筋構造の最外周側を十分に補強することに限界があった。
【0006】
本発明の目的は、せん断力が最も加わる最外周側を補強できる鉄筋構造及びそれを用いた鉄筋コンクリート部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鉄筋構造は、軸方向に延びる複数の主筋と、前記主筋の軸方向と交差する平面内において矩形状とされて前記主筋を囲んで配置された複数のせん断補強筋と、前記主筋の軸方向において前記せん断補強筋と隣接して設けられた付着補強筋とを備え、前記主筋は、前記せん断補強筋の少なくとも四隅において時計回りに配筋された第1主筋、第2主筋、第3主筋および第4主筋と、前記第1主筋と前記第2主筋との間であって前記第1主筋に隣接して設けられた第5主筋と、前記第1主筋と前記第2主筋との間であって前記第2主筋に隣接して設けられた第6主筋と、前記第3主筋と前記第4主筋との間であって前記第3主筋に隣接して設けられた第7主筋と、前記第3主筋と前記第4主筋との間であって前記第4主筋に隣接して設けられた第8主筋と、前記第1主筋と前記第4主筋との間に設けられた第9主筋と、前記第2主筋と前記第3主筋との間に設けられた第10主筋とを有し、前記付着補強筋は、少なくとも前記第1主筋と前記第4主筋とを囲み、前記第5主筋と前記第8主筋とに内周が当接し、かつ、前記第9主筋に当接する第1付着補強筋と、少なくとも前記第2主筋と前記第3主筋とを囲み、前記第6主筋と前記第7主筋とに内周が当接し、前記第10主筋に当接する第2付着補強筋と、を有することを特徴とする。
【0008】
この構成の本発明では、付着補強筋は、少なくとも第1主筋と第4主筋とを囲み、第5主筋と第8主筋とに内周が当接する第1付着補強筋を有するので、せん断力が最も加わる鉄筋構造の外周端部側を集中して補強できる。
また、この構成の本発明では、付着補強筋は、少なくとも第2主筋と第3主筋とを囲み、第6主筋と第7主筋とに内周が当接する第2付着補強筋を有するため、せん断力が最も加わる鉄筋構造の外周端部側をより集中して補強できる。
【0009】
本発明では、前記付着補強筋は、前記主筋の軸方向と直交する方向に延びる背部の両端部から折り曲げられた一対の曲折部を有するコ字状部と、前記曲折部の先端から前記曲折部の軸方向に延びる一対の足部とを備え、前記コ字状部は、少なくとも前記第1主筋と前記第9主筋と前記第4主筋とに対向し、前記足部の先端は、前記第1主筋と前記第2主筋との中間位置、及び前記第3主筋と前記第4主筋との中間位置には至らない構成が好ましい。
【0010】
この構成の本発明では、付着補強筋は、曲折部の先端から曲折部の軸方向に延びる一対の足部を備え、足部の先端は、第1主筋と第2主筋との中間位置、及び第3主筋と第4主筋との中間位置には至らない。このため、鉄筋構造の施工時に付着補強筋を設置しやすくなる。
【0011】
本発明では、前記付着補強筋は、前記主筋の軸方向と直交する方向に延びる背部の両端部から折り曲げられた一対の曲折部を有するコ字状部と、基端が前記曲折部に接続されて先端が互いに近接する方向に折り曲げられた一対の足部とを備え、前記コ字状部は、少なくとも前記第1主筋と前記第9主筋と前記第4主筋とに対向し、前記足部の先端は、前記第1主筋と前記第2主筋との中間位置、及び前記第3主筋と前記第4主筋との中間位置には至らない構成が好ましい。
【0012】
この構成の本発明では、付着補強筋は、基端が曲折部に接続されて先端が互いに近接する方向に折り曲げられた一対の足部を備え、足部の先端は、第1主筋と第2主筋との中間位置、及び第3主筋と第4主筋との中間位置には至らない。このため、付着補強筋が鉄筋構造内部から抜けにくくなる。また、鉄筋構造の施工時に付着補強筋を設置しやすくなる。
【0014】
本発明の鉄筋コンクリート部材は、前述の鉄筋構造が内部に埋設されたことを特徴とする。
この構成の本発明では、上記鉄筋構造が内部に埋設されているため、せん断力が最も加わる鉄筋コンクリート部材の外周端部側を集中して補強できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る鉄筋コンクリート部材を示す側面図。
図2図1のII−II線での断面図。
図3】本発明の第1実施形態に係る付着補強筋を示す平面図。
図4】本発明の第2実施形態に係る鉄筋コンクリート部材を示す側面図。
図5図4のV−V線での断面図。
図6】本発明の第2実施形態に係る付着補強筋を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、各実施形態において、同一の構成部分には同じ符号を付すとともに、それらの説明を省略または簡略化する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は鉄筋コンクリート部材10の側面図であり、図2は鉄筋コンクリート部材10の断面図であり、図3は付着補強筋4を示す。
鉄筋コンクリート部材10は、鉄筋構造1と、鉄筋構造1が内部に埋設されたコンクリート5とを備える。
【0018】
鉄筋構造1は、軸方向(図1における左右方向)に延びる複数の主筋2と、主筋2の軸方向と交差する平面(図2における紙面と平行な平面)内において矩形状とされて主筋2を囲んで配置され、鉄筋構造1のせん断強度を補強する複数のせん断補強筋3と、主筋2の軸方向においてせん断補強筋3に重ねて設けられる付着補強筋4とを備える。
【0019】
主筋2は、外周側(図2における上端部側及び下端部側)に配筋された第1主筋21A〜第9主筋21I、第10主筋21L、第11主筋21K、第12主筋21Jを有する。本実施形態では、図2の上端側と下端側とのそれぞれにおいて、主筋2は6本ずつ配筋されている。
第1主筋21A〜第4主筋21Dは、せん断補強筋3の四隅に時計回りに配筋されている。
第5主筋21Eは、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの間であって第1主筋21Aに隣接して設けられ、第6主筋21Fは、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの間であって第2主筋21Bに隣接して設けられている。
【0020】
第7主筋21Gは、第3主筋21Cと第4主筋21Dとの間であって第3主筋21Cに隣接して設けられ、第8主筋21Hは、第3主筋21Cと第4主筋21Dとの間であって第4主筋21Dに隣接して設けられている。
第9主筋21Iは第1主筋21Aと第4主筋21Dとの間に設けられ、第12主筋21Jは第5主筋21Eと第8主筋21Hとの間に設けられている。また、第11主筋21Kは第6主筋21Fと第7主筋21Gとの間に設けられ、第10主筋21Lは第2主筋21Bと第3主筋21Cとの間に設けられている。
【0021】
せん断補強筋3は、図1に示すように、主筋2の軸方向に略等間隔で並んで配筋されている。各せん断補強筋3は、高強度鋼棒などから形成され、フープ形状である。
せん断補強筋3は、図2に示すように、第1主筋21A〜第9主筋21I及び第10主筋21Lと当接する。これによって、せん断補強筋3が全ての主筋21A〜21Lを囲む。なお、本実施形態では、各せん断補強筋3は、図2における上部右側角部分に、内側に向かって延びる一対の腕部31を有し、せん断補強筋3の上部右側角部分の曲面部分と一対の腕部31とで第1主筋21Aを囲んでいる。
【0022】
付着補強筋4は、低強度鋼材などから形成され、1つのせん断補強筋3に対応して一対設けられており、図2における上側に設けられた第1付着補強筋4Aと、図2における下側に設けられた第2付着補強筋4Bとを有する。第1付着補強筋4Aと第2付着補強筋4Bとは、一端側が開放されたコの字形状であり、この開放部分どうしが対向されている。
第1付着補強筋4Aは、主筋2の軸方向と直交する方向(図2における左右方向)に延びる背部41と背部41の両端部から折り曲げられた一対の曲折部42とを有するコ字状部43と、曲折部42の先端から曲折部42の軸方向(図2における軸方向)に延びる一対の足部44とを備える。
【0023】
背部41は、第1主筋21A、第4主筋21D及び第9主筋21Iと当接し、曲折部42は、第1主筋21A及び第5主筋21Eと、第4主筋21D及び第8主筋21Hと当接する。よって、コ字状部43は、第1主筋21Aと第4主筋21Dとに当接している。
足部44は第5主筋21E及び第8主筋21Hと当接し、この当接する第5主筋21E及び第8主筋21Hよりも曲折部42の軸方向に向けて延出する。そして、一対の足部44は互いに平行である。ただし、足部44の先端は、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置には至らない。
【0024】
このような第1付着補強筋4Aは第1主筋21Aと第4主筋21Dとを囲み、第1付着補強筋4Aの内周が第5主筋21Eと第8主筋21Hとに当接する。
【0025】
第2付着補強筋4Bは、第1付着補強筋4Aと同様の構造であり、背部41は、第2主筋21B、第3主筋21C及び第10主筋21Lと当接し、曲折部42は、第2主筋21B及び第6主筋21Fと、第3主筋21C及び第7主筋21Gと当接する。よって、コ字状部43は、第2主筋21Bと第3主筋21Cとに当接している。
【0026】
足部44は第6主筋21F及び第7主筋21Gと当接し、この当接する第6主筋21F及び第7主筋21Gよりも曲折部42の軸方向に向けて延出する。そして、足部44の先端は、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置には至らない。
このような第2付着補強筋4Bは第2主筋21Bと第3主筋21Cとを囲み、第2付着補強筋4Bの内周が第6主筋21Fと第7主筋21Gとに当接する。
【0027】
従って、本実施形態では、以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態の鉄筋構造1では、付着補強筋4は、第1主筋21Aと第4主筋21Dとを囲み、第5主筋21Eと第8主筋21Hとに内周部が当接する第1付着補強筋4Aを有するので、せん断力が最も加わる鉄筋構造1の外周端部側を集中して補強できる。
【0028】
(2)また、付着補強筋4は、曲折部42の先端から曲折部42の軸方向に延びる一対の足部44を備え、足部44の先端は、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置には至らない。このため、鉄筋構造1の施工時に付着補強筋4を設置しやすくなる。
【0029】
(3)また、付着補強筋4は、第2主筋21Bと第3主筋21Cとを囲み、第6主筋21Fと第7主筋21Gとに内周部が当接する第2付着補強筋4Bを有するため、せん断力が最も加わる鉄筋構造1の外周端部側をより集中して補強できる。
【0030】
(4)本実施形態の鉄筋コンクリート部材10では、鉄筋構造1が内部に埋設されているため、せん断力が最も加わる鉄筋コンクリート部材10の外周端部側を集中して補強できる。
【0031】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4ないし図6に示すように、本実施形態の鉄筋構造1Aでは、第1実施形態と異なり、各足部44は、基端が曲折部42に接続されて先端が互いに近接する方向に所定角度αだけ折り曲げられている。なお、本実施形態では、一対の腕部31は、図5における下部左側角部分に設けられている。
【0032】
このような本実施形態の鉄筋構造1A、鉄筋コンクリート部材10Aでは、第1実施形態と同様の(1)〜(4)の作用効果を奏する上に、付着補強筋4は、基端が曲折部42に接続されて先端が互いに近接する方向に折り曲げられた一対の足部44を備え、足部44の先端は、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置には至らない。このため、付着補強筋4が鉄筋構造1A内部から抜けにくくなる。また、鉄筋構造1Aの施工時に付着補強筋4を設置しやすくなる。
【0033】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、せん断補強筋3の内周に沿って第1主筋21A〜第4主筋21D、第9主筋21I及び第10主筋21Lが配筋されていたが、主筋2は、少なくとも、せん断補強筋3の四隅に配筋されていればよい。
【0034】
た、前記実施形態では、せん断補強筋3は一対の腕部31を有していたが、せん断補強筋3は腕部31を有していなくてもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、第1付着補強筋4Aの足部44の先端は、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置には至らなかったが、これには限定されず、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置に至っていてもよい。
さらに、前記実施形態では、第2付着補強筋4Bの足部44の先端は、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置には至らなかったが、これには限定されず、第1主筋21Aと第2主筋21Bとの中間位置、及び第3主筋21Cと第4主筋21Dとの中間位置に至っていてもよい。
そして、第1付着補強筋4Aの足部44の先端と第2付着補強筋4Bの足部44の先端とが重なっていてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、第1付着補強筋4Aのコ字状部43は、第1主筋21A、第4主筋21D及び第9主筋21Iとに当接していたが、これには限定されず、このコ字状部43が、第1主筋21A、及び、第4主筋21Dから所定距離離れていてもよく、第1主筋21A、及び、第4主筋21Dに対向していればよい。
【0037】
また、第2付着補強筋4Bのコ字状部43は、第2主筋21B、第3主筋21C及び第10主筋21Lと当接していたが、これには限定されず、このコ字状部43が、第2主筋21B、及び、第3主筋21Cから所定距離離れていてもよく、第2主筋21B、及び、第3主筋21Cに対向していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、柱又は梁などに利用される鉄筋構造及びそれを用いた鉄筋コンクリート部材として利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1,1A…鉄筋構造、2…主筋、3…せん断補強筋、4…付着補強筋、4A…第1付着補強筋、4B…第2付着補強筋、10,10A…鉄筋コンクリート部材、21A…第1主筋、21B…第2主筋、21C…第3主筋、21D…第4主筋、21E…第5主筋、21F…第6主筋、21G…第7主筋、21H…第8主筋、41…背部、42…曲折部、43…コ字状部、44…足部
図1
図2
図3
図4
図5
図6