【実施例】
【0031】
<ビタミンE含有乳化組成物の作製>
(1)原材料
ビタミンE(商品名:理研Eオイル800;理研ビタミン社製 総トコフェロール含量約68質量%以上)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製 デカグリセリンモノオレート、HLB値14)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ウイルサーフTF−80;日油社製 脂肪酸の主成分 オレイン酸、HLB値15)
ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−1570;三菱化学フーズ社製 ショ糖ステアリン酸エステル、HLB15)
クエン酸(商品名:クエン酸(結晶);関東化学社製)
DL−リンゴ酸(商品名:リンゴ酸フソウ;扶桑化学工業社製)
グリセリン(ミヨシ油脂社製)
水飴(商品名:ハローデックス;林原社製 固形分72質量%以上、マルトシルトレハロース含量50質量%以上(固形分当り))
アラビアガム(商品名:アラビクコールSS;三栄薬品貿易社製)
オクテニルコハク酸エステル化澱粉(商品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)
澱粉分解物(商品名:パインデックス#2;松谷化学工業社製)
【0032】
(2)ビタミンE含有乳化組成物(水中油型乳化組成物)の配合
上記原材料を用いて作製したビタミンE含有乳化組成物(水中油型乳化組成物)の試作品の配合組成を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
(2)ビタミンE含有乳化組成物(水中油型乳化組成物:試作品1〜9)の作製
300mL容ガラスビーカーにビタミンE成分以外の表1に記載の3倍量の原材料を加えて70℃まで加温し、70℃を保持しながらTKホモミクサー(型式:MARKII;プライミクス社製)で回転数3000rpm、10分間撹拌して水相とした。次いで水相をTKホモミクサーを用いて回転数3000rpmで撹拌しながら、70℃に加温した表1に記載した3倍量のビタミンEを水相部に徐々に加えた後、TKホモミクサーを用いて回転数8000rpm、15分間撹拌して乳化し、ビタミンE含有乳化組成物(水中油型乳化組成物:試作品1〜9)を得た。なお、試作品1〜4は有機酸を含有し、試作品5〜9は有機酸を含有していないビタミンE含有乳化組成物(水中油型乳化組成物)である。
【0035】
(3)ビタミンE含有乳化組成物(粉末品)の配合
上記原材料を用いて作製したビタミンE含有乳化組成物(粉末品)の試作品の配合組成を表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】
(4)ビタミンE含有乳化組成物(粉末品:試作品10〜15)の作製
5L容ステンレス製ジョッキにビタミンE成分以外の表2に記載の10倍量の原材料を加えて80℃に加温し、80℃を保持しながらTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で回転数4000rpm、10分間撹拌して水相とした。次いで水相をTKホモミクサーを用いて回転数4000rpmで攪拌しながら、80℃に加温した表1に記載の10倍量のビタミンEを水相部に徐々に加えた後、TKホモミクサーを用いて回転数10000rpm、15分間攪拌して乳化し、得られた乳化液を更にAPVゴーリンホモジナイザー(型式:LAB1000;APV社製)を用いて34.3MPaで1回処理し、均質化液を得た。
この均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度180℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することによりビタミンE含有乳化組成物(粉末品:試作品10〜15)を得た。なお、試作品10〜12は有機酸を含有し、試作品13〜15は有機酸を含有していないビタミンE含有乳化組成物(粉末品)である。
【0038】
<鉄または亜鉛含有低脂肪乳飲料の作製>
(1)原材料
市販低脂肪牛乳(商品名:榛名1.0低脂肪牛乳;榛名酪農業協同連合会製)
ピロリン酸第二鉄(商品名:ピロリン酸第二鉄液;関東化学社製)
グルコン酸亜鉛(商品名:ヘルシャスZn;扶桑化学工業社製)
ビタミンE含有乳化組成物(水中油型乳化組成物:試作品1〜9)
クエン酸(商品名:クエン酸(結晶);関東化学社製)
クエン酸三ナトリウム(商品名:クエン酸三ナトリウム;関東化学社製)
DL−リンゴ酸(商品名:リンゴ酸フソウ;扶桑化学工業社製)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;理研ビタミン社製 デカグリセリンモノオレート、HLB値14)
【0039】
(2)原材料配合
上記原材料を用いて作製した鉄または亜鉛含有低脂肪乳飲料の配合組成を表3〜6に示した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
(3)鉄または亜鉛含有低脂肪乳飲料の作製
300mLビーカーに表3〜6に記載の原材料の2倍量を加え、スパチュラで撹拌・溶解し、鉄含有低脂肪飲料(実施例品1〜8、比較例品1〜4、参考例品1〜3)および亜鉛含有低脂肪乳飲料(実施例品9〜16、比較例品5〜8、参考例品4〜6)を得た。
【0045】
<鉄またはマグネシウム含有オレンジジュースの作製>
(1)原材料
オレンジジュース(商品名:オレンジジュース(濃縮還元)果汁100%;原田乳業社製)
ピロリン酸第二鉄(商品名:ピロリン酸第二鉄液;関東化学社製)
塩化マグネシウム(商品名:塩化マグネシウム;関東化学社製)
ビタミンE含有乳化組成物(粉末品:試作品10〜15)
【0046】
(2)原材料配合
上記原材料を用いて作製した鉄またはマグネシウム含有オレンジジュースの配合組成を表7、8に示した。
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
(3)鉄またはマグネシウム含有オレンジジュースの作製
300mLビーカーに表7、8に記載の原材料の2倍量を加え、スパチュラで撹拌・溶解し、鉄含有オレンジジュース(実施例品17〜19、比較例品9〜11、参考例品7、8)およびマグネシウム含有オレンジジュース(実施例品20〜22、比較例品12〜14、参考例品9、10)を得た。
【0050】
<各飲料の評価>
(1)鉄または亜鉛含有低脂肪乳飲料の評価
得られた鉄含有低脂肪乳飲料(実施例品1〜8、比較例品1〜4、参考例品1〜3)および亜鉛含有低脂肪乳飲料(実施例品9〜16、比較例品5〜8、参考例品4〜6)の製造直後のものおよび冷蔵庫(10℃)10日間(暗所)にて保管したものの風味についての官能評価を、下記表9に示す評価基準に従い10名のパネラーでおこなった。結果はそれぞれ10名の評価点の平均値として求め、下記基準にて記号化した。結果を表10、11に示す。
[記号化]
◎: 平均値3.5以上
○: 平均値2.5以上3.5未満
△: 平均値1.5以上2.5未満
×: 平均値1.5未満
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
結果より、有機酸を配合した実施例品は、経時変化もなく風味は非常に良好であった。一方、有機酸を配合していない比較例品は、製造直後は良好であるが、経時的に風味が悪くなった。
【0053】
【表11】
結果より、有機酸を配合した実施例品は、経時変化もなく風味は非常に良好であった。一方、有機酸を配合していない比較例品は、製造直後は良好であるが、経時的に風味が悪くなった。
【0054】
(2)鉄またはマグネシウム含有オレンジジュースの評価
得られた鉄含有オレンジジュース(実施例品17〜19、比較例品9〜11、参考例品7、8)およびマグネシウム含有オレンジジュース(実施例品20〜22、比較例品12〜14、参考例品9、10)の製造直後のものおよび冷蔵庫(10℃)5日間(光照射:1500Lux)にて保管したものの風味についての官能評価を、「(1)鉄または亜鉛含有低脂肪乳飲料の評価」と同じ方法で風味について評価した。結果を表12、13に示す。
【0055】
【表12】
結果より、有機酸を配合した実施例品は、経時変化もなく風味は非常に良好であった。一方、有機酸を配合していない比較例品は、製造直後は良好であるが、経時的に風味が悪くなった。
【0056】
【表13】
結果より、有機酸を配合した実施例品は、経時変化もなく風味は非常に良好であった。一方、有機酸を配合していない比較例品は、製造直後は良好であるが、経時的に風味が悪くなった。