【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記問題を解決するために、筆記具を構成する筒体
の外周面に、該筒体の一方の端部に、長手方向に沿って延びるクリップを具備し、該クリップに、熱変色性インキの筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性インキの筆跡を熱変色可能なゴム状弾性を有する摩擦体を装着してなる熱変色性筆記具であって、前記摩擦体が、クリップ表面より外方に隆起した前記熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部と、前記クリップの裏面よりも筒体側に突出した裏面部とを有し、前記裏面部の少なくとも一部が、前記クリッ
プと筒体間に位置するとともに、前記摩擦部と裏面部とで、前記クリップ
が保持され、前記摩擦体が、前記筒体に装着してあることを特徴とする。
【0009】
また、前記摩擦体の裏面部の少なくとも一部が、前記クリップと筒体間に挟持されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記クリップに第一係合孔を形成し、前記摩擦体に設けた脚部を、前記クリップの表面側から前記第一係合孔を挿通し、前記摩擦体の脚部に第一係止部を設け、前記第一係合孔に第一係止部を係止して装着することを特徴とする。
【0012】
さらにまた、前記筒体に第二係合孔を設けるとともに、前記摩擦体
に設けた脚部に、第二係止部を設け、前記第二係合孔に前記第二係止部を係止して装着していることを特徴とする。
【0013】
また、前記摩擦体の脚部が、前記前記クリップの表面と筒体の内周面間で伸張した状態で装着してあることを特徴とする。
【0014】
さらにまた、前記クリップと筒体が、前記摩擦体の脚部を介して連設してあることを特徴とする。
【0015】
本願発明の第1の構成によれば、前記摩擦体が、前記クリップの表面より外方に隆起した前記熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部と、前記クリップの裏面よりも筒体側に突出した裏面部とを有し、前記裏面部の少なくとも一部が、前記クリップ片と筒体間に位置するとともに、前記摩擦部と裏面部とで、前記クリップを保持することで、摩擦体を使用するときに、摩擦体を外れ難くする効果を奏する。これは、クリップの表面より外方に隆起した摩擦部を、紙面等に筆記した熱変色性インキの筆跡を摩擦するときに、直接、紙面等に当接しない裏面部によって、表面側の摩擦体の移動を抑制しているためである。
【0016】
本願発明の第2の構成によれば、前記摩擦体が、前記筒体に装着していることで、摩擦体の外れを効果的に抑制することができる。尚、摩擦体と筒体の装着方法は、特に限定されるものではなく、凹凸嵌合、乗り越し嵌合、圧入嵌合、融着であってもよい。また、摩擦体は、クリップとは別体であり、筒体とも別体であることが好ましいが、筒体と二色成形によって一体に成形することもできる。
【0017】
本願発明の第3の構成によれば、前記摩擦体の裏面部の少なくとも一部が、前記クリップと筒体間に挟持されていることで、より摩擦体の外れを効果的に抑制するとともに、ゴム状弾性を有する摩擦体が、前記クリップと筒体間に挟持してあることで、クリップをポケット等に挟持した時、クリップの撓みによるクリップと筒体との連設する部分に生じる応力を、挟持した摩擦体が緩和するため、クリップの破損や装着力の低下を抑制する効果も奏する。
【0018】
本願発明の第4の構成によれば、前記クリップに第一係合孔を形成し、前記摩擦体に設けた脚部を、前記クリップの表面側から前記第一係合孔を挿通し、前記筒体に装着することで、摩擦体を使用するときに、摩擦体の移動を抑制し、摩擦体を外れ難くする効果を奏する。また、摩擦体の脚部を筒体に装着することで、クリップ自体が撓んでも、移動を抑制することができる。
【0019】
本願発明の第5の構成によれば、前記筒体に第二係合孔を設けるとともに、前記摩擦体の脚部に第一係止部及び第二係止部を設け、前記第一係合孔に第一係止部を係止し、前記第二係合孔に前記第二係止部を係止して装着することで、第一係止部と第二係止部の両者で、摩擦体の外れを抑制することができる。
【0020】
摩擦体の脚部と第一係合孔、第二係合孔の嵌合方法は、特に限定されるものではなく、凹凸嵌合、乗り越し嵌合、圧入嵌合等、特に限定されるものではないが、クリップ表面から挿通し易く、外れ方向(逆方向)で抵抗の大きい乗り越し嵌合とすることが好ましい。
【0021】
本願発明の第6の構成によれば、前記摩擦体が、前記クリップの表面と筒体の内周面間で伸張した状態で装着することで、摩擦体がクリップの移動を抑制することができ、摩擦体の使用するとき等に生じるクリップ自体の横ブレや撓みを抑制することができる。
【0022】
本願発明の第7の構成によれば、前記クリップと筒体が、前記摩擦体の脚部を介して連設することで、クリップをポケット等に挟持した時、クリップの撓みによるクリップと筒体との連設する部分に生じる応力が、ゴム状弾性を有する摩擦体の脚部によって緩和するため、繰り返しによるクリップの挟持力の低下を抑制する効果も奏する。
【0023】
尚、本発明の筆記具を構成する筒体には、軸筒やキャップ等、筆記具を構成する従来から知られている筒体を適宜用いることができる。
【0024】
また、摩擦体には、ゴム状弾性を有する弾性体、例えば、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリエステル系ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー等、ゴム状弾性を有するゴム、エラストマー等が挙げられ、適宜選択して用いることができる。また、硬さは、ショアA硬度40以上、100以下が好ましい。
【0025】
本発明に用いる熱変色性インキには、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
【0026】
また、前記可逆熱変色性インキに含有される色材は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適に用いられる。