特許第6266210号(P6266210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266210
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/50 20060101AFI20180115BHJP
   H04B 1/44 20060101ALI20180115BHJP
   H03H 7/46 20060101ALI20180115BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20180115BHJP
   H03H 9/72 20060101ALI20180115BHJP
   H03H 9/70 20060101ALI20180115BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H04B1/50
   H04B1/44
   H03H7/46 A
   H03H7/38 Z
   H03H9/72
   H03H9/70
   H03H9/17 F
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-8343(P2013-8343)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-140115(P2014-140115A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】村田 龍司
(72)【発明者】
【氏名】松尾 信昭
(72)【発明者】
【氏名】松林 佑喜
【審査官】 大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−129419(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/009474(WO,A1)
【文献】 特開2005−252536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/50
H03H 7/38
H03H 7/46
H03H 9/17
H03H 9/70
H03H 9/72
H04B 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナに接続される共通端子、第1端子及び第2端子を備えるダイプレクサと、
前記第1端子に接続され、複数の第1ポートを備え、前記複数の第1ポートから前記ダイプレクサに接続される1つのポートを選択する第1スイッチと、
前記複数の第1ポートのうち少なくとも1つと接続された第1デュプレクサと、
前記第2端子に接続され、前記第1デュプレクサとは異なる通過帯域を有する第2デュプレクサと、
前記複数の第1ポートのうち別の1つと接続された第1インピーダンス部と、
を具備し、
前記第1デュプレクサを通過する信号の送信と前記第2デュプレクサを通過する信号の送信とを同時に行うおよび/または前記第1デュプレクサを通過する信号の受信と前記第2デュプレクサを通過する信号の受信とを同時に行う場合、前記第1スイッチは前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続し、
前記第1デュプレクサを通過する信号の送信および受信のいずれも行わずかつ前記第2デュプレクサを通過する信号の送信および/または受信を行う場合、前記第1スイッチは前記第1インピーダンス部と接続された第1ポートを前記第1端子に接続し、
前記第1スイッチが前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続した場合、前記第1端子がオープンまたはショートの場合より前記第1デュプレクサと前記共通端子との間のインピーダンスが整合し、
前記第1スイッチが前記第1インピーダンス部と接続された第1ポートを前記第1端子に接続した場合、前記第1端子がオープンまたはショートの場合より前記第1インピーダンス部と前記共通端子との間のインピーダンスが整合することを特徴とするモジュール。
【請求項2】
前記第2端子に接続され、複数の第2ポートを備え、前記複数の第2ポートから前記ダイプレクサに接続される1つのポートを選択する第2スイッチと、
第2インピーダンス部と、を具備し、
前記第2デュプレクサは前記複数の第2ポートのうち少なくとも1つを介して、前記第2端子と接続され、
前記第2インピーダンス部は前記複数の第2ポートのうち別の1つと接続されており、
前記第1デュプレクサを通過する信号の送信と前記第2デュプレクサを通過する信号の送信とを同時に行うおよび/または前記第1デュプレクサを通過する信号の受信と前記第2デュプレクサを通過する信号の受信とを同時に行う場合、前記第2スイッチは前記第2デュプレクサと接続された第2ポートを前記第2端子に接続し、
前記第1デュプレクサを通過する信号の送信および受信のいずれも行わずかつ前記第2デュプレクサを通過する信号の送信および/または受信を行う場合、前記第2スイッチは前記第2デュプレクサと接続された第2ポートを前記第2端子に接続し、
前記第1スイッチが前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続し前記第2スイッチが前記第2デュプレクサと接続された第2ポートを前記第2端子に接続した場合、前記第2端子がオープンまたはショートの場合より前記第2デュプレクサと前記共通端子との間のインピーダンスが整合し、
前記第1スイッチが前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続し前記第2スイッチが前記第2インピーダンス部と接続された第2ポートを前記第2端子に接続した場合、前記第2端子がオープンまたはショートの場合より前記第2インピーダンス部と前記共通端子との間のインピーダンスが整合することを特徴とする請求項1記載のモジュール。
【請求項3】
前記第1インピーダンス部はリアクタンスを有することを特徴とする請求項1または2記載のモジュール。
【請求項4】
前記第1インピーダンス部はインダクタ及びキャパシタの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項記載のモジュール。
【請求項5】
前記第2インピーダンス部はリアクタンスを有することを特徴とする請求項記載のモジュール。
【請求項6】
前記第2インピーダンス部はインダクタ及びキャパシタの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項記載のモジュール。
【請求項7】
前記第1スイッチはFETを含むことを特徴とする請求項1からいずれか一項記載のモジュール。
【請求項8】
前記第2スイッチはFETを含むことを特徴とする請求項記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの通信機器は、インターネットへの接続など機能の拡大が進んでいる。通信データの増大に対応するため、例えばLTE(Long Term Evolution)−Advancedなどの技術の開発が進められている。LTE−Advancedでは、高スループット化のためCA(Carrier Aggregation)が用いられる。例えば、Inter Band Non Contiguous CAは、800MHz帯及び2GHz帯など複数の周波数帯域を共用することで、広帯域化、高速化、及びデータ量の拡大を図る技術である。例えば映像と音声、音声とデータなど、2つの信号を同時に送信及び受信することができる。また2つの信号を同時に送信のみ、又は同時に受信のみを行うこともある。
【0003】
複数の周波数帯域に対応するために、通過帯域の異なる複数のデュプレクサ、及びデュプレクサを切り替えるスイッチを用いる。これにより複数の国及び地域の通信方式に対応することができる。例えば特許文献1には、FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いたスイッチのポートに抵抗を接続する技術が記載されている。特許文献2には、スイッチとダイプレクサとを接続したモジュールが記載されている。ダイプレクサにはスイッチを介して複数のデュプレクサが接続されている。このため複数の通信系の信号の送信及び受信が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/024376号
【特許文献2】特開2008−48450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば2つの通信系の信号を同時に送信及び受信(送受信)するとき、2つのデュプレクサがダイプレクサに接続される。インピーダンス整合することで、良好な周波数特性を得ることができる。2つの信号のうち一方を送受信するとき、1つのデュプレクサがダイプレクサに接続される。このとき、もう一方の信号を遮断するため、スイッチはオフとなる。オフ状態におけるスイッチは例えばオープンインピーダンスとなる。または、スイッチの一端を接地してスイッチオフ状態を強化する。このような場合、インピーダンスは例えば50Ωから極端に乖離するため、ポートのインピーダンスを50Ωで設計しているダイプレクサのインピーダンス整合を取ることが難しく、挿入損失が増加することがある。本発明は上記課題に鑑み、挿入損失の低減が可能なモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アンテナに接続される共通端子、第1端子及び第2端子を備えるダイプレクサと、前記第1端子に接続され、複数の第1ポートを備え、前記複数の第1ポートから前記ダイプレクサに接続される1つのポートを選択する第1スイッチと、前記複数の第1ポートのうち少なくとも1つと接続された第1デュプレクサと、前記第2端子に接続され、前記第1デュプレクサとは異なる通過帯域を有する第2デュプレクサと、前記複数の第1ポートのうち別の1つと接続された第1インピーダンス部と、を具備し、前記第1デュプレクサを通過する信号の送信と前記第2デュプレクサを通過する信号の送信とを同時に行うおよび/または前記第1デュプレクサを通過する信号の受信と前記第2デュプレクサを通過する信号の受信とを同時に行う場合、前記第1スイッチは前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続し、前記第1デュプレクサを通過する信号の送信および受信のいずれも行わずかつ前記第2デュプレクサを通過する信号の送信および/または受信を行う場合、前記第1スイッチは前記第1インピーダンス部と接続された第1ポートを前記第1端子に接続し、前記第1スイッチが前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続した場合、前記第1端子がオープンまたはショートの場合より前記第1デュプレクサと前記共通端子との間のインピーダンスが整合し、前記第1スイッチが前記第1インピーダンス部と接続された第1ポートを前記第1端子に接続した場合、前記第1端子がオープンまたはショートの場合より前記第1インピーダンス部と前記共通端子との間のインピーダンスが整合することを特徴とするモジュールである。
【0007】
上記構成において、前記第2端子に接続され、複数の第2ポートを備え、前記複数の第2ポートから前記ダイプレクサに接続される1つのポートを選択する第2スイッチと、第2インピーダンス部と、を具備し、前記第2デュプレクサは前記複数の第2ポートのうち少なくとも1つを介して、前記第2端子と接続され、前記第2インピーダンス部は前記複数の第2ポートのうち別の1つと接続されており、前記第1デュプレクサを通過する信号の送信と前記第2デュプレクサを通過する信号の送信とを同時に行うおよび/または前記第1デュプレクサを通過する信号の受信と前記第2デュプレクサを通過する信号の受信とを同時に行う場合、前記第2スイッチは前記第2デュプレクサと接続された第2ポートを前記第2端子に接続し、前記第1デュプレクサを通過する信号の送信および受信のいずれも行わずかつ前記第2デュプレクサを通過する信号の送信および/または受信を行う場合、前記第2スイッチは前記第2デュプレクサと接続された第2ポートを前記第2端子に接続し、前記第1スイッチが前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続し前記第2スイッチが前記第2デュプレクサと接続された第2ポートを前記第2端子に接続した場合、前記第2端子がオープンまたはショートの場合より前記第2デュプレクサと前記共通端子との間のインピーダンスが整合し、前記第1スイッチが前記第1デュプレクサと接続された第1ポートを前記第1端子に接続し前記第2スイッチが前記第2インピーダンス部と接続された第2ポートを前記第2端子に接続した場合、前記第2端子がオープンまたはショートの場合より前記第2インピーダンス部と前記共通端子との間のインピーダンスが整合する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第1インピーダンス部はリアクタンスを有する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第1インピーダンス部はインダクタ及びキャパシタの少なくとも一方を含む構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記第2インピーダンス部はリアクタンスを有する構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記第2インピーダンス部はインダクタ及びキャパシタの少なくとも一方を含む構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記第1スイッチはFETを含む構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第2スイッチはFETを含む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、挿入損失の低減が可能なモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は実施例1に係るモジュールを例示する回路図である。
図2図2(a)から図2(c)はモジュールの動作を例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は比較例におけるモジュールの動作を例示する模式図である。
図4図4(a)及び図4(b)はLB号及びHB信号の両方を同時に送受信する場合の周波数特性を例示するグラフである。
図5図5(a)及び図5(b)は比較例における周波数特性を例示するグラフである。
図6図6(a)及び図6(b)は実施例1における周波数特性を例示するグラフである。
図7図7(a)及び図7(b)はインピーダンス部の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1はポートにインピーダンス部を接続した例である。図1は実施例1に係るモジュール100を例示する回路図である。
【0020】
図1に示すように、モジュール100は、ダイプレクサ10、スイッチ12及び14、デュプレクサ16及び18、インピーダンス部20及び22、集積回路(Integrated Circuit:IC)24、並びに複数のパワーアンプ(Power Amplifier:PA)26を備える。
【0021】
ダイプレクサ10はローパスフィルタ(Low Pass Filter:LPF)10a及びハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)10bを備える。スイッチ12は5つのポート13を備える。スイッチ14は5つのポート15を備える。デュプレクサ16は送信フィルタ16a及び受信フィルタ16bを備える。デュプレクサ18は送信フィルタ18a及び受信フィルタ18bを備える。デュプレクサに含まれるフィルタは例えばバンドパスフィルタである。IC24はPA24a及びローノイズアンプ(Low Noise Amplifier:LNA)24bを備える。
【0022】
LPF10a及びHPF10bそれぞれの一端はアンテナ端子10cを介してアンテナ28に共通して接続されている。LPF10aの他端は端子10dを介してスイッチ12の一端に接続されている。HPF10bの他端は端子10eを介してスイッチ14の一端に接続されている。
【0023】
スイッチ12の5つのポート13のうち、4つのポート13にはデュプレクサ16の一端が接続されている。5つのポート13のうちの1つであるポート13aにはインピーダンス部20の一端が接続されている。スイッチ12は複数のポート13からダイプレクサ10に接続される1つを選択する。送信フィルタ16aはPA24aに接続されている。受信フィルタ16bはLNA24bに接続されている。
【0024】
スイッチ14の4つのポート15にはデュプレクサ18の一端が接続されている。5つのポート15のうちの1つであるポート15aにはインピーダンス部22の一端が接続されている。スイッチ14は複数のポート15からダイプレクサ10に接続される1つを選択する。送信フィルタ18aはPA26に接続されている。受信フィルタ18bはLNA24bに接続されている。インピーダンス部20及び22のインピーダンスは例えば50Ωである。
【0025】
デュプレクサ16の通過帯域は、デュプレクサ18の通過帯域より低周波数側である。送信フィルタ16aの通過帯域は受信フィルタ16bの通過帯域とは異なる周波数に位置する。4つのデュプレクサ16は互いに異なる通過帯域を有する。4つのデュプレクサ18は互いに異なる通過帯域を有する。IC24はアップコンバート及びダウンコンバートなど信号の処理を行う。PA24a及び26、LNA24bは信号を増幅させる。
【0026】
アンテナ28はRF信号を送受信する。ダイプレクサ10は周波数に応じて信号をスイッチ12及び14の一方に向けて出力し、他方には出力しない。またダイプレクサ10はスイッチ12及び14の一方から入力された信号をアンテナ28に向けて出力し、他方には出力しない。LPF10a、スイッチ12及びデュプレクサ16に流れる信号をLB(Low Band)信号とする。HPF10b、スイッチ14及びデュプレクサ18に流れる信号をHB(High Band)信号とする。
【0027】
LB信号は、PA24a、送信フィルタ16a、スイッチ12及びLPF10aを介してアンテナ28に入力され、アンテナ28から送信される。アンテナ28が受信したLB信号は、LPF10a、スイッチ12、及び受信フィルタ16bを介してLNA24bに入力され、IC24においてダウンコンバートされる。
【0028】
HB信号は、HPF10b、PA26、送信フィルタ18a、スイッチ14及びHPF10bを介してアンテナ28に入力され、アンテナ28から送信される。アンテナ28が受信したHB信号は、HPF10b、スイッチ14、及び受信フィルタ18bを介してIC24に入力され、ダウンコンバートされる。
【0029】
図2(a)から図2(c)はモジュール100の動作を例示する模式図である。図2(a)はLB信号及びHB信号の両方を同時に送受信する例である。スイッチ12はデュプレクサ16と接続された1つのポート13を選択し、ダイプレクサ10と接続する。スイッチ14はデュプレクサ18と接続された1つのポート15を選択し、ダイプレクサ10と接続する。ダイプレクサ10を基準としたアンテナ28側のインピーダンス、スイッチ12側のインピーダンス、スイッチ14側のインピーダンスは、例えばそれぞれ50Ωである。アンテナ28〜デュプレクサ16間、及びアンテナ28〜デュプレクサ18間において、通過帯域のインピーダンスが整合している。
【0030】
図2(b)はLB信号及びHB信号のうち、LB信号を送受信し、HB信号を送受信しない例である。スイッチ12はデュプレクサ16と接続された1つのポート13を選択する。スイッチ14はインピーダンス部22と接続された1つのポート15aを選択し、ダイプレクサ10と接続する。このため、ダイプレクサ10のアンテナ端子10cからHPF10bを見た、LPF10aの通過帯域におけるインピーダンスを高インピーダンスとすることができ、LPF10aの挿入損失を低減させることが可能となる。
【0031】
図2(c)はHB信号を送受信し、LB信号を送受信しない例である。スイッチ12はインピーダンス部20と接続されたポート13aを選択し、ダイプレクサ10と接続する。スイッチ14はデュプレクサ16と接続された1つのポート13を選択する。このため、アンテナ端子10cからLPF10aを見た、HPF10bの通過帯域におけるインピーダンスを高インピーダンスとすることができ、HPF10bの挿入損失を低減させることが可能となる。図2(b)及び図2(c)に示すように、LB信号及びHB信号のうち一方のみを送受信する場合でも、インピーダンス整合を取ることができる。後述するように、インピーダンス部20及び22がリアクタンスを有することで、挿入損失をより低減することができる。
【0032】
比較例について説明する。比較例は、インピーダンス部20及び22が設けられていない例である。図3(a)及び図3(b)は比較例におけるモジュールの動作を例示する模式図である。
【0033】
図3(a)はLB信号を送受信し、HB信号を送受信しない例である。スイッチ14はいずれのポート15も選択しない。このため、スイッチ14はオープン又はショートとなる。ダイプレクサ10を基準としたスイッチ14側のインピーダンスが50Ωから大きく外れる。例えばスイッチ14がオープンである場合、インピーダンスは無限大に近付く。スイッチ14がショートである場合、インピーダンスはゼロに近くなる。図3(b)はHB信号を送受信し、LB信号を送受信しない例である。スイッチ12はいずれのポート13も選択しない。このため、スイッチ12側のインピーダンスは50Ωから大きく外れる。
【0034】
図3(a)及び図3(b)に示すように、比較例においてLB信号及びHB信号の一方のみを送受信する場合、インピーダンス整合を取ることが難しい。図3(a)の例ではスイッチ14において反射された信号がスイッチ12及びアンテナ28に漏洩する恐れがある。このため比較例においては、挿入損失が増加する。
【0035】
周波数特性のシミュレーションについて説明する。シミュレーションにおいてインピーダンス部20及び22はπ型の整合回路とした。LB信号の送受信時、整合回路はHB側のスイッチ14に接続される。このとき、アンテナ端子10cから見た整合回路のインピーダンスは、LB信号の周波数において高くなるように設定されている。従ってLB信号はHPF10b側に漏れ難い。915MHzの信号はLB信号、1710MHzの信号はHB信号に含まれる。
【0036】
図4(a)及び図4(b)はLB信号及びHB信号の両方を同時に送受信する場合の周波数特性を例示するグラフである(図2(a)参照)。図4(a)はデュプレクサ16、図4(b)はデュプレクサ18の周波数特性を表す。横軸は周波数、縦軸は挿入損失を示す。図5(a)及び図5(b)は比較例における周波数特性を例示するグラフである。図5(a)はLB信号及びHB信号のうちLB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ16の周波数特性を表す(図3(a)参照)。図5(b)はLB信号及びHB信号のうちHB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ18の周波数特性を表す(図3(b)参照)。図5(a)ではスイッチ14がオープン、図5(b)ではスイッチ12がオープンであるとした。図6(a)及び図6(b)は実施例1における周波数特性を例示するグラフである。図6(a)はLB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ16の周波数特性を表す(図2(b)参照)。図6(b)はHB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ18の周波数特性を表す(図2(c)参照)。表1は915MHz及び1710MHzにおける挿入損失を示す表である。
【表1】
【0037】
図4(a)から図6(b)及び表1に示すように、LB信号及びHB信号の両方において、実施例1は、同時送受信及び比較例と比べ良好な周波数特性を示す。すなわち、通過帯域における挿入損失が低減し、抑圧帯域における抑圧度が高くなる。また抑圧帯域において急峻な減衰極が生成される。上記のように、実施例1によれば、インピーダンス整合が可能だからである。また、インピーダンス部がリアクタンスを有することにより、デュプレクサ16及び18のそれぞれを最適化できるためである。以下に詳しく説明する。
【0038】
同時送受信においては、デュプレクサ16及び18を同時に調整する。つまりデュプレクサ16はLB信号を通過させHB信号を抑圧し、デュプレクサ18はHB信号を通過させLB信号を抑圧するように調整する。デュプレクサ16及び18は互いに影響しあう。例えばデュプレクサ16を最適化すると、デュプレクサ18の周波数特性が悪化する。このようにデュプレクサ間においてトレードオフが生じる。
【0039】
実施例1においてLB信号のみを送受信する場合、デュプレクサ16のみを最適化するようなインピーダンス部22を用いることができる。HB信号のみを送受信する場合、デュプレクサ18のみを最適化するようなインピーダンス部20を用いることができる。これにより、デュプレクサ16及び18の両方において、周波数特性が改善する。
【0040】
図4(a)、図5(a)及び表1に示すように、LB信号については同時送受信に比べ、比較例の方が良好な周波数特性を示す。図4(b)、図5(b)及び表1に示すように、HB信号については比較例に比べ、同時送受信の方が良好な周波数特性を示す。配線の長さなどによってスイッチ12及び14の影響は変化するためである。なお、図示は省略するが、比較例においてスイッチ14がショートである場合、デュプレクサ16の挿入損失は915MHzにおいて−0.535dBである。スイッチ12がショートである場合、デュプレクサ18の挿入損失は1710MHzにおいて−0.258dBである。これらのショートの例と比べて、実施例1は良好な周波数特性を示す。
【0041】
インピーダンス部の例について説明する。挿入損失を改善するためには、インピーダンス部がリアクタンスを有することが好ましい。図7(a)及び図7(b)はインピーダンス部の例を示す回路図である。
【0042】
図7(a)に示すように、インピーダンス部はπ型のLC回路30であり、インダクタL1、キャパシタC1及びC2を備える。端子32と端子34との間にキャパシタC1及びC2が直列接続されている。インダクタL1の一端はキャパシタC1とキャパシタC2との間に接続され、他端は接地されている。端子32はポート13a又は15aと接続され、端子34は開放される。図7(b)に示すように、インピーダンス部をT型のLC回路36としてもよい。端子32と端子34との間にインダクタL2及びL3が直列接続されている。キャパシタC3の一端はインダクタL2とインダクタL3との間に接続され、他端は接地される。インピーダンス部は上記以外の回路でもよく、キャパシタ及びインダクタの少なくとも一方を備える回路とすることができる。インピーダンス部20及び22は互いに異なる回路でもよい。インピーダンス部を、例えば50Ωの電気抵抗としてもよい。
【0043】
スイッチ12及び14はFETを用いて切り替えを行うFETスイッチである。FETスイッチを介して信号が漏洩しやすい。実施例1によれば、FETスイッチにおいても信号の漏洩を抑制することができる。デュプレクサの数は変更してもよく、スイッチに少なくとも1つのデュプレクサが接続されていればよい。ダイプレクサ10の端子10d及び10eのうち一方にスイッチを介さずにデュプレクサを接続し、他方にスイッチを接続してもよい。つまりスイッチは少なくとも1つでよい。デュプレクサが備えるフィルタとして、例えばSAWフィルタ、弾性境界波フィルタ、及び弾性薄膜共振器(Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)フィルタなどの弾性波フィルタを用いることができる。
【0044】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 ダイプレクサ
10c アンテナ端子
10d、10e 端子
12、14 スイッチ
13、13a、15、15a ポート
16、18 デュプレクサ
20、22 インピーダンス部
24 IC
28 アンテナ
C1、C2、C3 キャパシタ
L1、L2、L3 インダクタ
100 モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7