【実施例1】
【0019】
実施例1はポートにインピーダンス部を接続した例である。
図1は実施例1に係るモジュール100を例示する回路図である。
【0020】
図1に示すように、モジュール100は、ダイプレクサ10、スイッチ12及び14、デュプレクサ16及び18、インピーダンス部20及び22、集積回路(Integrated Circuit:IC)24、並びに複数のパワーアンプ(Power Amplifier:PA)26を備える。
【0021】
ダイプレクサ10はローパスフィルタ(Low Pass Filter:LPF)10a及びハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)10bを備える。スイッチ12は5つのポート13を備える。スイッチ14は5つのポート15を備える。デュプレクサ16は送信フィルタ16a及び受信フィルタ16bを備える。デュプレクサ18は送信フィルタ18a及び受信フィルタ18bを備える。デュプレクサに含まれるフィルタは例えばバンドパスフィルタである。IC24はPA24a及びローノイズアンプ(Low Noise Amplifier:LNA)24bを備える。
【0022】
LPF10a及びHPF10bそれぞれの一端はアンテナ端子10cを介してアンテナ28に共通して接続されている。LPF10aの他端は端子10dを介してスイッチ12の一端に接続されている。HPF10bの他端は端子10eを介してスイッチ14の一端に接続されている。
【0023】
スイッチ12の5つのポート13のうち、4つのポート13にはデュプレクサ16の一端が接続されている。5つのポート13のうちの1つであるポート13aにはインピーダンス部20の一端が接続されている。スイッチ12は複数のポート13からダイプレクサ10に接続される1つを選択する。送信フィルタ16aはPA24aに接続されている。受信フィルタ16bはLNA24bに接続されている。
【0024】
スイッチ14の4つのポート15にはデュプレクサ18の一端が接続されている。5つのポート15のうちの1つであるポート15aにはインピーダンス部22の一端が接続されている。スイッチ14は複数のポート15からダイプレクサ10に接続される1つを選択する。送信フィルタ18aはPA26に接続されている。受信フィルタ18bはLNA24bに接続されている。インピーダンス部20及び22のインピーダンスは例えば50Ωである。
【0025】
デュプレクサ16の通過帯域は、デュプレクサ18の通過帯域より低周波数側である。送信フィルタ16aの通過帯域は受信フィルタ16bの通過帯域とは異なる周波数に位置する。4つのデュプレクサ16は互いに異なる通過帯域を有する。4つのデュプレクサ18は互いに異なる通過帯域を有する。IC24はアップコンバート及びダウンコンバートなど信号の処理を行う。PA24a及び26、LNA24bは信号を増幅させる。
【0026】
アンテナ28はRF信号を送受信する。ダイプレクサ10は周波数に応じて信号をスイッチ12及び14の一方に向けて出力し、他方には出力しない。またダイプレクサ10はスイッチ12及び14の一方から入力された信号をアンテナ28に向けて出力し、他方には出力しない。LPF10a、スイッチ12及びデュプレクサ16に流れる信号をLB(Low Band)信号とする。HPF10b、スイッチ14及びデュプレクサ18に流れる信号をHB(High Band)信号とする。
【0027】
LB信号は、PA24a、送信フィルタ16a、スイッチ12及びLPF10aを介してアンテナ28に入力され、アンテナ28から送信される。アンテナ28が受信したLB信号は、LPF10a、スイッチ12、及び受信フィルタ16bを介してLNA24bに入力され、IC24においてダウンコンバートされる。
【0028】
HB信号は、HPF10b、PA26、送信フィルタ18a、スイッチ14及びHPF10bを介してアンテナ28に入力され、アンテナ28から送信される。アンテナ28が受信したHB信号は、HPF10b、スイッチ14、及び受信フィルタ18bを介してIC24に入力され、ダウンコンバートされる。
【0029】
図2(a)から
図2(c)はモジュール100の動作を例示する模式図である。
図2(a)はLB信号及びHB信号の両方を同時に送受信する例である。スイッチ12はデュプレクサ16と接続された1つのポート13を選択し、ダイプレクサ10と接続する。スイッチ14はデュプレクサ18と接続された1つのポート15を選択し、ダイプレクサ10と接続する。ダイプレクサ10を基準としたアンテナ28側のインピーダンス、スイッチ12側のインピーダンス、スイッチ14側のインピーダンスは、例えばそれぞれ50Ωである。アンテナ28〜デュプレクサ16間、及びアンテナ28〜デュプレクサ18間において、通過帯域のインピーダンスが整合している。
【0030】
図2(b)はLB信号及びHB信号のうち、LB信号を送受信し、HB信号を送受信しない例である。スイッチ12はデュプレクサ16と接続された1つのポート13を選択する。スイッチ14はインピーダンス部22と接続された1つのポート15aを選択し、ダイプレクサ10と接続する。このため、ダイプレクサ10のアンテナ端子10cからHPF10bを見た、LPF10aの通過帯域におけるインピーダンスを高インピーダンスとすることができ、LPF10aの挿入損失を低減させることが可能となる。
【0031】
図2(c)はHB信号を送受信し、LB信号を送受信しない例である。スイッチ12はインピーダンス部20と接続されたポート13aを選択し、ダイプレクサ10と接続する。スイッチ14はデュプレクサ16と接続された1つのポート13を選択する。このため、アンテナ端子10cからLPF10aを見た、HPF10bの通過帯域におけるインピーダンスを高インピーダンスとすることができ、HPF10bの挿入損失を低減させることが可能となる。
図2(b)及び
図2(c)に示すように、LB信号及びHB信号のうち一方のみを送受信する場合でも、インピーダンス整合を取ることができる。後述するように、インピーダンス部20及び22がリアクタンスを有することで、挿入損失をより低減することができる。
【0032】
比較例について説明する。比較例は、インピーダンス部20及び22が設けられていない例である。
図3(a)及び
図3(b)は比較例におけるモジュールの動作を例示する模式図である。
【0033】
図3(a)はLB信号を送受信し、HB信号を送受信しない例である。スイッチ14はいずれのポート15も選択しない。このため、スイッチ14はオープン又はショートとなる。ダイプレクサ10を基準としたスイッチ14側のインピーダンスが50Ωから大きく外れる。例えばスイッチ14がオープンである場合、インピーダンスは無限大に近付く。スイッチ14がショートである場合、インピーダンスはゼロに近くなる。
図3(b)はHB信号を送受信し、LB信号を送受信しない例である。スイッチ12はいずれのポート13も選択しない。このため、スイッチ12側のインピーダンスは50Ωから大きく外れる。
【0034】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、比較例においてLB信号及びHB信号の一方のみを送受信する場合、インピーダンス整合を取ることが難しい。
図3(a)の例ではスイッチ14において反射された信号がスイッチ12及びアンテナ28に漏洩する恐れがある。このため比較例においては、挿入損失が増加する。
【0035】
周波数特性のシミュレーションについて説明する。シミュレーションにおいてインピーダンス部20及び22はπ型の整合回路とした。LB信号の送受信時、整合回路はHB側のスイッチ14に接続される。このとき、アンテナ端子10cから見た整合回路のインピーダンスは、LB信号の周波数において高くなるように設定されている。従ってLB信号はHPF10b側に漏れ難い。915MHzの信号はLB信号、1710MHzの信号はHB信号に含まれる。
【0036】
図4(a)及び
図4(b)はLB信号及びHB信号の両方を同時に送受信する場合の周波数特性を例示するグラフである(
図2(a)参照)。
図4(a)はデュプレクサ16、
図4(b)はデュプレクサ18の周波数特性を表す。横軸は周波数、縦軸は挿入損失を示す。
図5(a)及び
図5(b)は比較例における周波数特性を例示するグラフである。
図5(a)はLB信号及びHB信号のうちLB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ16の周波数特性を表す(
図3(a)参照)。
図5(b)はLB信号及びHB信号のうちHB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ18の周波数特性を表す(
図3(b)参照)。
図5(a)ではスイッチ14がオープン、
図5(b)ではスイッチ12がオープンであるとした。
図6(a)及び
図6(b)は実施例1における周波数特性を例示するグラフである。
図6(a)はLB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ16の周波数特性を表す(
図2(b)参照)。
図6(b)はHB信号のみを送受信する場合のデュプレクサ18の周波数特性を表す(
図2(c)参照)。表1は915MHz及び1710MHzにおける挿入損失を示す表である。
【表1】
【0037】
図4(a)から
図6(b)及び表1に示すように、LB信号及びHB信号の両方において、実施例1は、同時送受信及び比較例と比べ良好な周波数特性を示す。すなわち、通過帯域における挿入損失が低減し、抑圧帯域における抑圧度が高くなる。また抑圧帯域において急峻な減衰極が生成される。上記のように、実施例1によれば、インピーダンス整合が可能だからである。また、インピーダンス部がリアクタンスを有することにより、デュプレクサ16及び18のそれぞれを最適化できるためである。以下に詳しく説明する。
【0038】
同時送受信においては、デュプレクサ16及び18を同時に調整する。つまりデュプレクサ16はLB信号を通過させHB信号を抑圧し、デュプレクサ18はHB信号を通過させLB信号を抑圧するように調整する。デュプレクサ16及び18は互いに影響しあう。例えばデュプレクサ16を最適化すると、デュプレクサ18の周波数特性が悪化する。このようにデュプレクサ間においてトレードオフが生じる。
【0039】
実施例1においてLB信号のみを送受信する場合、デュプレクサ16のみを最適化するようなインピーダンス部22を用いることができる。HB信号のみを送受信する場合、デュプレクサ18のみを最適化するようなインピーダンス部20を用いることができる。これにより、デュプレクサ16及び18の両方において、周波数特性が改善する。
【0040】
図4(a)、
図5(a)及び表1に示すように、LB信号については同時送受信に比べ、比較例の方が良好な周波数特性を示す。
図4(b)、
図5(b)及び表1に示すように、HB信号については比較例に比べ、同時送受信の方が良好な周波数特性を示す。配線の長さなどによってスイッチ12及び14の影響は変化するためである。なお、図示は省略するが、比較例においてスイッチ14がショートである場合、デュプレクサ16の挿入損失は915MHzにおいて−0.535dBである。スイッチ12がショートである場合、デュプレクサ18の挿入損失は1710MHzにおいて−0.258dBである。これらのショートの例と比べて、実施例1は良好な周波数特性を示す。
【0041】
インピーダンス部の例について説明する。挿入損失を改善するためには、インピーダンス部がリアクタンスを有することが好ましい。
図7(a)及び
図7(b)はインピーダンス部の例を示す回路図である。
【0042】
図7(a)に示すように、インピーダンス部はπ型のLC回路30であり、インダクタL1、キャパシタC1及びC2を備える。端子32と端子34との間にキャパシタC1及びC2が直列接続されている。インダクタL1の一端はキャパシタC1とキャパシタC2との間に接続され、他端は接地されている。端子32はポート13a又は15aと接続され、端子34は開放される。
図7(b)に示すように、インピーダンス部をT型のLC回路36としてもよい。端子32と端子34との間にインダクタL2及びL3が直列接続されている。キャパシタC3の一端はインダクタL2とインダクタL3との間に接続され、他端は接地される。インピーダンス部は上記以外の回路でもよく、キャパシタ及びインダクタの少なくとも一方を備える回路とすることができる。インピーダンス部20及び22は互いに異なる回路でもよい。インピーダンス部を、例えば50Ωの電気抵抗としてもよい。
【0043】
スイッチ12及び14はFETを用いて切り替えを行うFETスイッチである。FETスイッチを介して信号が漏洩しやすい。実施例1によれば、FETスイッチにおいても信号の漏洩を抑制することができる。デュプレクサの数は変更してもよく、スイッチに少なくとも1つのデュプレクサが接続されていればよい。ダイプレクサ10の端子10d及び10eのうち一方にスイッチを介さずにデュプレクサを接続し、他方にスイッチを接続してもよい。つまりスイッチは少なくとも1つでよい。デュプレクサが備えるフィルタとして、例えばSAWフィルタ、弾性境界波フィルタ、及び弾性薄膜共振器(Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)フィルタなどの弾性波フィルタを用いることができる。
【0044】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。