(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3のフィルムは、高い隠蔽性を確保するためには十分な厚みを必要とし、例えば、小型光学機器の遮蔽部材に求められているような薄膜とすることが困難であった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術を鑑み、薄膜であっても高隠蔽性のフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、光吸収層と光拡散層を含む積層フィルムにおいて、光吸収層と光拡散層の合計の層数を4層以上とすることにより、隠蔽性が格段に向上することを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)光吸収剤を含有する樹脂層(光吸収層)と光拡散剤を含有する樹脂層(光拡散層)
とを交互に積層してなり、光拡散剤が酸化チタンであって、光吸収層と光拡散層の合計の層数が4層以上であることを特徴とする隠蔽フィルム(ただし、光拡散層には金属粉末を含まない。)。
(2)光吸収剤がカーボンブラックである(1)記載の隠蔽フィルム。
(3)光吸収層と光拡散層に用いる樹脂が、いずれもポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)または(2)記載の隠蔽フィルム。
(4)フィルムの総厚みが25μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の隠蔽フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薄膜であっても高隠蔽性のフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、光吸収剤や光拡散剤の含有量が同じ従来の隠蔽フィルムと比較して、透過率が格段に低下したフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の隠蔽フィルムは、光吸収層と光拡散層が積層されたものである。
【0011】
本発明において、光吸収層と光拡散層に用いる樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネートが挙げられる。中でも、汎用性の観点から、ポリアミドやポリエステルが好ましく、隠蔽性の向上がより顕著であることからポリアミドがより好ましい。光吸収層に用いる樹脂と、光拡散層に用いる樹脂は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0012】
本発明に用いる光吸収剤としては、光吸収機能を有しているものであれば、顔料、フィラー等、特に限定されない。光吸収剤としては、例えば、カーボンブラック、暗色顔料が挙げられる。中でも、隠蔽性の向上の観点から、カーボンブラックが好ましい。光吸収剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。光吸収剤の種類は、各層ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0013】
光吸収剤の粒子径は、特に限定されないが、0.001〜3μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましく、0.01〜0.6μmであることがさらに好ましい。粒子径が0.001μm未満である場合、凝集がおこりやすく、分散性が向上しにくい場合があり、一方、粒子径が3μmを超える場合、隠蔽性が向上しにくい場合がある。光吸収剤の粒子径は、各層ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0014】
光吸収剤の含有量は、各光吸収層中、0.4〜30質量%とすることが好ましく、1〜20質量%とすることがより好ましく、2〜15質量%とすることがさらに好ましい。光吸収剤の含有量が0.4質量%未満の場合は、隠蔽性が向上しにくい場合があり、一方、光吸収剤の含有量が30質量%を超える場合は、溶融粘度が上昇し、製膜が困難となる場合がある。光吸収剤の濃度は、各層ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
本発明に用いる光拡散剤としては、光拡散機能を有しているものであれば、顔料、フィラー等、特に限定されない。光拡散剤としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウムが挙げられる。中でも、隠蔽性の向上の観点から、酸化チタン、硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。光拡散剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。光拡散剤の種類は、各層ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0016】
光拡散剤の粒子径は、特に限定されないが、0.01〜2μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましく、0.2〜2μmであることがさらに好ましい。粒子径が0.01μm未満である場合、凝集がおこりやすく、分散性が向上しにくい場合があり、一方、粒子径が2μmを超える場合、隠蔽性が向上しにくい場合がある。光拡散剤の粒子径は、各層ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
光拡散剤の含有量は、各光拡散層中、5〜60質量%とすることが好ましく、30〜50質量%とすることがより好ましい。光拡散剤の含有量が5質量%未満の場合は、隠蔽性が向上しにくい場合があり、一方、光拡散剤の含有量が60質量%を超える場合は、溶融粘度が上昇し、製膜しにくい場合がある。光拡散剤の濃度は、各層ごとに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
各層の樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
【0019】
本発明の隠蔽フィルムの層構成は、光吸収層と光拡散層の合計の層数(以下、「総層数」と略称する。)を4層以上とすることが必要で、9層以上とすることが好ましく、35層以上とすることが好ましい。総層数が3以下の場合、隠蔽性の向上効果が不十分となる。総層数を4層以上とすることにより、隠蔽性を顕著に向上させることができる。
【0020】
光吸収層と光拡散層の積層順
は、光透過率を効率的に低下させることができるので、交互に積層されていることが
必要である。なお、意匠性や接着性等の効果を付与するため、表層や、各層の間には、透明層、接着層等の層が積層されていてもよい。
【0021】
本発明においては、各層の光吸収剤や光拡散剤の濃度が高いほど、また、総層数を増やすほど、隠蔽性が向上する傾向がある。
【0022】
光吸収層と光拡散層の厚みは、すべて同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよいが、隠蔽性の向上の観点から、すべて同じであることが好ましい。
【0023】
本発明において、フィルムの厚みは、100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましく、25μm以下とすることがさらに好ましく、15μm以下とすることが最も好ましい。フィルムの厚みを小さくすることにより、隠蔽部材等の軽量化により貢献することができる。本発明においては、表層を黒色顔料を用いた光吸収層とすることにより、黒色隠蔽フィルムとすることができ、表層を白色顔料を用いた光拡散層とすることにより、印刷可能な白色隠蔽フィルムとすることができる。黒色隠蔽フィルム、白色隠蔽フィルムいずれの場合であっても、表層の厚みは、意匠性の観点から、フィルムの厚みに対して、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0024】
本発明の隠蔽フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、コート法、ラミネート法、共押出法が挙げられる。中でも、1回の製膜で、多層構造のフィルムが作製することが可能であることから、共押出法が好ましい。
【0025】
共押出法とは、共押出により未延伸フィルムを作製し、それを延伸する方法である。未延伸フィルムを作製する際、ダイは、マルチマニホールド型多層ダイを用いてもよいし、フィードブロック型多層ダイを用いてもよい。光吸収層と光拡散層に用いる樹脂が異なる場合、各樹脂の融点の差は、40℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることがさらに好ましい。また、各樹脂のメルトフローレート(MFR)の差は、30g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましい。なお、MFRは、製膜する温度において、荷重2.16kgfで測定した値である。樹脂の融点の差を40℃以下とし、MFRの差を30g/10分以下とすることにより、フローマークや厚みムラを低減することができる。延伸方法は特に限定されないが、例えば、逐次延伸法、同時二軸延伸法が挙げられる。延伸条件は、光吸収層と光拡散層に用いる樹脂のガラス転移点や結晶化の影響を考慮して設定すればよい。例えば、吸収樹脂層と光拡散層に用いる樹脂のいずれもがポリアミド6である場合は、延伸温度を70〜80℃とすることが好ましく、光吸収層と光拡散層に用いる樹脂のいずれもがポリエチレンテレフタレートである場合は、延伸温度を70〜90℃とすることが好ましい。
【0026】
共押出法においては、溶融した樹脂をフィードブロック中で合流させた後、さらにマルチプライヤーを通すことにより、より多層のフィルムを作製することができる。例えば、フィードブロック中で2種2層とした場合は、2分割可能なマルチプライヤーを1回通過させることにより、2種4層とすることができ、2分割可能なマルチプライヤーを2回通過させることにより、2種8層とすることができる。また、フィードブロック中で2種3層にした場合は、2分割マルチプライヤーを1回通過させることにより2種5層とすることができ、2分割マルチプライヤーを2回通過させることにより2種9層とすることができ、2分割マルチプライヤーを3回通過させることにより2種17層とすることができ、2分割マルチプライヤーを4回通過させることにより2種33層とすることができる。
【0027】
本発明のフィルムは、光吸収剤や光吸収剤の含有量が同じ従来品と比較して、光透過率が格段に低下している。例えば、従来品である2種3層フィルムに対して、光吸収剤や光吸収剤の総含有量を変えずに、本発明の一実施態様である2種33層の積層構成とすることにより、光透過率を1/10以下とすることができる。そのため、本発明のフィルムは、従来の隠蔽フィルムに比べて厚みを大幅に小さくすることができ、総厚みが25μm以下であっても、光透過率1.0%以下の高い隠蔽性を実現することができる。
【0028】
本発明の隠蔽フィルムは、隠蔽性が非常に高いため、光学機器用途、包装用途等に用いることができる。光学機器用途としては、例えば、カメラ、ビデオカメラのシャッター、絞り等の遮蔽部材が挙げられ、包装用途としては、例えば、食品包装用フィルム、梱包用フィルムが挙げられる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を、実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0030】
1.分析方法
(1)フィルムの厚み
走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製、商品名「S−4000型電界放射形走査顕微鏡」)を用いて、フィルムの断面観察をおこない、各層の厚みを測定した。
(2)フィルムの光学濃度(OD)
光学濃度計(マクベス社製、商品名「TR932」)を用いて測定した。透過ノズルは、3mmφのものを用いた。
光学濃度は、2.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、4.0以上であることがさらに好ましい。
なお、測定値が5.0を超えた場合は、「>5」と記載した。また、実施例1〜3のように最外層の片面が光拡散層で、最外層が光吸収層の場合は、光吸収層から測定した値を記載した。
(3)フィルムの光透過率
(2)で求めた光学濃度値を用いて、下記式により算出した。
光透過率=[10
(−OD)]×100%
光透過率は、1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることがさらに好ましい。
【0031】
2.原料
(1)ポリアミド6樹脂(PA6)
ユニチカ社製、商品名「ユニチカナイロン6 A1030BRF」
(2)カーボンブラック含有ポリアミドマスター
PA6 70質量部とカーボンブラック(CB、三菱化学社製、商品名「#980」、粒子径16nm)30質量部をドライブレンドした。その後、ドライブレンド物を、スクリュー径が30mmの二軸押出機に投入し、250℃の溶融温度で混練した後、ストランド状に押出し、冷却し、ペレット化した。
(3)酸化チタン含有ポリアミドマスター
PA6 50質量部と酸化チタン(TiO
2、デュポン社製、商品名「Ti−Pure R350」、粒子径0.2μm〜0.4μm)50質量部をドライブレンドした。その後、ドライブレンド物を、スクリュー径が30mmの二軸押出機に投入し、250℃の溶融温度で混練した後、ストランド状に押出し、冷却し、ペレット化した。
(4)ポリエステル樹脂(PET)
ユニチカ社製、商品名「ユニチカポリエステル樹脂 MA1340P」
(5)カーボンブラック含有ポリエステルマスター
PET70質量部とCB30質量部をドライブレンドした。その後、ドライブレンド物を、スクリュー径が30mmの二軸押出機に投入し、250℃の溶融温度で混練した後、ストランド状に押出し、冷却し、ペレット化した。
(6)酸化チタン含有ポリエステルマスター
PET50質量部とTiO
2 50質量部をドライブレンドした。その後、ドライブレンド物を、スクリュー径が30mmの二軸押出機に投入し、250℃の溶融温度で混練した後、ストランド状に押出し、冷却し、ペレット化した。
【0032】
実施例1
カーボンブラック濃度が2.0質量%になるようにカーボンブラック含有ポリアミドマスターとポリアミド6樹脂をドライブレンドし、スクリュー径が40mmの二軸押出機に投入し溶融した(光吸収層、A)。また、酸化チタン濃度が25質量%になるように酸化チタン含有ポリアミドマスターとポリアミド6樹脂のドライブレンドし、スクリュー径が40mmの二軸押出機に投入し溶融した(光拡散層、B)。それぞれの溶融した樹脂をフィードブロックで合流させ、さらにマルチプライヤーを通過させ、20℃に設定されたキャストロールに押出し、厚さ120μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムは、A/B/A/Bの2種4層フィルムであった。また、吐出量から計算した光吸収層/光拡散層の厚み比は50/50であった。
【0033】
得られた未延伸フィルムを、予熱温度65℃、延伸温度70℃、延伸速度20m/分で面倍率が10倍になるように延伸し、厚みが12μmの隠蔽フィルムを得た。
【0034】
実施例2〜21、比較例1〜7
光吸収剤、光拡散剤の含有量や、樹脂の種類、含有量や、フィルムの総厚み、総層数を表1のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなってフィルムを得た。なお、樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、マスターペレットとして、カーボンブラック含有ポリエステルマスターと酸化チタン含有ポリエステルマスターを用いた。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1〜21は、光吸収層と光拡散層を積層し、総層数を4層以上としたため、いずれも、薄膜であるにもかかわらず、隠蔽性が高かった。
実施例1〜6、8〜10、13、比較例4〜7を比較することにより、光拡散剤や光拡散剤の含有量が同じで総厚みが同じであっても、総層数を4層以上とすることにより、隠蔽性が格段に向上することがわかる。また、光拡散剤の濃度が高いほど、隠蔽性が向上することがわかる。
【0037】
比較例1、2は、積層する樹脂に光拡散剤を含有させなかったため、隠蔽性が低かった。
比較例3は、積層する樹脂に光吸収剤を含有させなかったため、隠蔽性が低かった。