特許第6266248号(P6266248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266248半導体装置、放電制御システム、制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266248
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】半導体装置、放電制御システム、制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20180115BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-150648(P2013-150648)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-23698(P2015-23698A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 宣靖
(72)【発明者】
【氏名】小寺 一史
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−182216(JP,A)
【文献】 特開平09−023590(JP,A)
【文献】 特開2005−192281(JP,A)
【文献】 特開2003−070179(JP,A)
【文献】 特開2007−116785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42−10/48
H02J7/00−7/12、
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列に接続された組電池の各々の電池セルを放電する複数の放電トランジスタの制御端子に接続される半導体装置であって、
複数の駆動信号に基づいて前記複数の放電トランジスタを駆動する駆動電圧を出力する複数の駆動回路を有し、
前記複数の駆動回路はそれぞれ、
前記放電トランジスタの制御端子が接続される外部出力端子に出力端子が接続され、前記駆動信号が供給されるバッファ回路と、
対応する前記電池セルの正極が接続される第1の外部入力端子における第1の電圧を前記バッファ回路に供給するための第1のスイッチ回路と、
前記第1の電圧より高い第2の電圧を前記バッファ回路に供給するための第2のスイッチ回路と、
を有し、
前記第1の電圧または前記第2の電圧に基づいて前記駆動電圧を生成すること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2のスイッチ回路は、前記第1の外部入力端子に正極が接続される電池セルより上位の電池セルの正極が接続される第2の外部入力端子における前記第2の電圧を前記バッファ回路に供給するように接続されたこと、を特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の電圧を昇圧して前記第2の電圧を生成する昇圧回路を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記昇圧回路は、前記組電池に含まれる最上位の前記電池セルに対応する放電トランジスタの制御端子に対して前記駆動電圧を生成する駆動回路に対して前記第2の電圧を供給するものであること、を特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の電池セルが接続される複数の外部入力端子に接続され、選択信号に基づいて選択した1つの外部入力端子における電圧を出力する選択回路と、
前記選択回路の出力電圧をデジタル信号に変換するAD変換回路と、
前記AD変換回路の出力を外部へ出力するインタフェース回路と、
外部からのコマンドに基づいて前記選択信号と前記駆動信号を生成する制御回路と、
を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記制御回路は、外部からのコマンドに基づいて昇圧回路を制御する制御信号を生成すること、を特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記制御回路は、外部からのコマンドに基づいて前記AD変換回路を制御する制御信号を生成すること、を特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
複数の電池セルが直列に接続された組電池の各々の電池セルに接続された複数の放電トランジスタを駆動して前記電池セルを放電する放電制御システムであって、
コマンドを出力する放電制御装置と、
前記コマンドに基づいて、前記複数の電池セルが接続される複数の外部入力端子における電圧に応じた電圧値を出力し、前記複数の放電トランジスタの制御端子に対して駆動電圧を出力する監視装置と、
を有し、
前記監視装置は、
複数の駆動信号に基づいて前記複数の放電トランジスタを駆動する駆動電圧を出力する複数の駆動回路を有し、
前記複数の駆動回路はそれぞれ、
前記放電トランジスタの制御端子が接続される外部出力端子に出力端子が接続され、前記駆動信号が供給されるバッファ回路と、
対応する前記電池セルの正極が接続される第1の外部入力端子における第1の電圧を前記バッファ回路に供給するための第1のスイッチ回路と、
前記第1の電圧より高い第2の電圧を前記バッファ回路に供給するための第2のスイッチ回路と、
を有し、
前記第1の電圧または前記第2の電圧に基づいて前記駆動電圧を生成すること、
を特徴とする放電制御システム。
【請求項9】
前記放電制御装置は、
前記監視装置から出力される電圧値に基づいて算出した前記複数の電池セルの各々のセル電圧を第1の基準電圧と比較して放電対象を設定し、
前記放電対象のセル電圧と第2の基準電圧とを比較した結果に応じてコマンドを出力し、
前記監視装置は、前記コマンドに基づいて、前記第1のスイッチ回路と前記第2のスイッチ回路を制御すること、
を特徴とする請求項8に記載の放電制御システム。
【請求項10】
複数の電池セルが直列に接続された組電池の各々の電池セルを放電する複数の放電トランジスタの制御端子に接続される半導体装置の制御方法であって、
前記半導体装置は、
複数の駆動信号に基づいて前記複数の放電トランジスタを駆動する駆動電圧を出力する複数の駆動回路を有し、
対応する前記電池セルの正極が接続される第1の外部入力端子における第1の電圧、または前記第1の電圧より高い第2の電圧に基づいて前記駆動電圧を生成するように前記複数の駆動回路を制御すること、
を特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置、放電制御システム、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電によって繰り返し使用することができる二次電池が知られている。高い直流電圧が必要なシステムでは、直列に接続された複数の二次電池を含む組電池が用いられる。組電池に含まれる個々の二次電池は、単一セルまたは電池セルと呼ばれる。組電池に含まれる複数の電池セルのそれぞれには、抵抗とトランジスタを有する放電回路が並列に接続される。各電池セルの電圧(電池セルの端子間電圧)に応じてトランジスタがオンオフ制御される。これにより、各電池セルの電圧が調整される(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−218680号公報
【特許文献2】特開2006−53120号公報
【特許文献3】特開2004−248348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電圧が低い電池セルの場合、放電回路のトランジスタをオンして電池セルを所望の電圧まで放電することができなくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、複数の電池セルが直列に接続された組電池の各々の電池セルを放電する複数の放電トランジスタの制御端子に接続される半導体装置であって、複数の駆動信号に基づいて前記複数の放電トランジスタを駆動する駆動電圧を出力する複数の駆動回路を有し、前記複数の駆動回路はそれぞれ、前記放電トランジスタの制御端子が接続される外部出力端子に出力端子が接続され、前記駆動信号が供給されるバッファ回路と、対応する前記電池セルの正極が接続される第1の外部入力端子における第1の電圧を前記バッファ回路に供給するための第1のスイッチ回路と、前記第1の電圧より高い第2の電圧を前記バッファ回路に供給するための第2のスイッチ回路と、を有し、前記第1の電圧または前記第2の電圧に基づいて前記駆動電圧を生成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、電池セルを放電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】放電制御システムの概略説明図である。
図2】放電制御装置の一部回路図である。
図3】放電制御を示すフローチャートである。
図4】放電制御システムの動作を示す波形図である。
図5】放電制御システムの動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を説明する。
図1に示すように、組電池10には放電回路20が接続され、その組電池10と放電回路20は放電制御システム30に接続されている。放電制御システム30は、監視装置31とホスト装置32を有している。監視装置31は半導体装置の一例、ホスト装置32は放電制御装置の一例である。
【0009】
組電池10は、n個(図1では5個)の電池セルBC1〜BC5を含む。電池セルBC1〜BC5は、直列に接続されている。電池セルBC1〜BC5は例えばリチウムイオン電池である。組電池10は電池セルBC1〜BC5に対応する(n+1)個(図1では6個)の外部端子P11〜P16を有している。外部端子P11は電池セルBC1の負極に接続され、外部端子P12は電池セルBC1の正極と電池セルBC2の負極に接続されている。同様に、外部端子P12〜P15は電池セルBC2〜BC4の正極と電池セルBC3〜BC5の負極に接続されている。そして、外部端子P16は電池セルBC5の正極に接続されている。
【0010】
外部端子P11と外部端子P12の間の電位差は、電池セルBC1の電圧(負極と正極の間の電圧であって、セル電圧)である。同様に、外部端子P12〜P15と外部端子P13〜P16の間の電位差は、電池セルBC2〜BC5の電圧である。そして、外部端子P11と外部端子P16の間の電位差は、組電池10の電圧である。
【0011】
組電池10の各外部端子P11〜P16は放電回路20に接続されている。
放電回路20は、組電池10に含まれる電池セルBC1〜BC5に応じて、n個(5個)の放電回路21〜25を有している。
【0012】
放電回路21は、外部端子P12と外部端子P11の間に接続されている。放電回路21は、放電抵抗R1と放電トランジスタT1を含む。放電トランジスタT1は、NチャネルMOSトランジスタである。放電抵抗R1の第1端子は外部端子P12を介して電池セルBC1の正極に接続されている。放電抵抗R1の第2端子は放電トランジスタT1の第1端子(例えばドレイン端子)に接続されている。放電トランジスタT1の第2端子(例えばソース端子)は外部端子P11を介して電池セルBC1の負極に接続されている。つまり、放電抵抗R1と放電トランジスタT1は、互いに直列に接続されている。そして、放電抵抗R1と放電トランジスタT1を含む放電回路21は、電池セルBC1に対して並列に接続されている。
【0013】
同様に、外部端子P12と外部端子P12の間に接続された放電回路22は、互いに直列に接続された放電抵抗R2と放電トランジスタT2を含む。この放電回路22は、電池セルBC2に対して並列に接続されている。また、外部端子P13と外部端子P13の間に接続された放電回路23は、互いに直列に接続された放電抵抗R3と放電トランジスタT3を含む。この放電回路23は、電池セルBC3に対して並列に接続されている。また、外部端子P15と外部端子P14の間に接続された放電回路24は、互いに直列に接続された放電抵抗R4と放電トランジスタT4を含む。この放電回路24は、電池セルBC4に対して並列に接続されている。また、外部端子P16と外部端子P15の間に接続された放電回路25は、互いに直列に接続された放電抵抗R5と放電トランジスタT5を含む。この放電回路25は、電池セルBC5に対して並列に接続されている。
【0014】
組電池10の外部端子P11〜P16は、監視装置31に接続されている。
また、放電回路20に含まれる放電トランジスタT1〜T5の制御端子(例えばゲート端子)は、監視装置31に接続されている。
【0015】
監視装置31は、(n+1)個(図1では6個)の外部入力端子P21〜P26と、n個(図1では5個)の外部出力端子P31〜P35を有している。外部入力端子P21〜P26は、組電池10の外部端子P11〜P16にそれぞれ接続されている。したがって、各外部入力端子P21〜P26には、組電池10に含まれる電池セルBC1〜BC5の端子における電圧が印加される。
【0016】
監視装置31は、マルチプレクサ41、AD変換回路42、インタフェース回路43、制御回路44を有している。
マルチプレクサ41の入力端子は各外部入力端子P21〜P26に接続されている。マルチプレクサ41は、制御回路44から供給される選択信号SLに応じた入力端子、つまり外部入力を選択する。例えば、外部入力端子P21を選択した場合、その外部入力端子P21における端子電圧VT1と等しい電圧を出力する。同様に、外部入力端子P22〜P26を選択した場合、その外部入力端子P22〜P26における端子電圧VT2〜VT6と等しい電圧を出力する。マルチプレクサ41の出力電圧を、Tx(x=1〜6)とする。マルチプレクサ41は、選択した入力端子(外部入力端子)から供給される電圧と等しい電圧VTxを出力する。マルチプレクサ41は選択回路の一例である。
【0017】
マルチプレクサ41の出力端子はAD変換回路42の入力端子に接続されている。AD変換回路42は、制御回路44から供給される制御信号EN1に応じて活性化/非活性化する。活性化したAD変換回路42は、マルチプレクサ41の出力電圧VTxをデジタル変換して生成した電圧値を出力する。端子電圧VT1を変換した電圧値をDT1とする。同様に、端子電圧VT2〜VT6を変換した電圧値をDT2〜DT6とする。つまり、AD変換回路42は、電圧値DTx(x=1〜6)を出力する。
【0018】
インタフェース回路43は、制御回路44から供給される制御信号EN2に応じて活性化/非活性化する。インタフェース回路43の出力端子は外部出力端子PH1に接続され、その外部出力端子PH1にはホスト装置32が接続されている。活性化したインタフェース回路43は、AD変換回路42から出力される電圧値DTxを出力する。なお、インタフェース回路43からの電圧値を、便宜上、AD変換回路42からの電圧値と同じ符号を用いる。その電圧値DTxは、外部出力端子PH1を介してホスト装置32に供給される。
【0019】
ホスト装置32は、監視装置31の制御端子PH2に接続され、その制御端子PH2は制御回路44に接続されている。ホスト装置32は、監視装置31を制御するためのコマンドCMDを出力し、そのコマンドCMDは制御端子PH2を介して制御回路44に供給される。制御回路44は、コマンドCMDに応じて上記の選択信号SL、制御信号EN1,EN2を生成する。
【0020】
例えば、ホスト装置32は、所定のコマンドCMDを出力し、制御回路44はそのコマンドCMDに応じて選択信号SLを生成する。マルチプレクサ41は、その選択信号SLに応じて外部入力端子P21〜P26を選択し、それらの外部入力端子P21〜P26に供給される電圧を出力する。AD変換回路42は、マルチプレクサ41の出力電圧VTx(x=1〜6)を変換した電圧値DTxを出力する。この電圧値DTxは、インタフェース回路43によりホスト装置32に対して出力される。このように、ホスト装置32は、外部入力端子P21における電圧、つまり組電池10の外部端子P11における電圧の値DT1を受け取る。同様に、ホスト装置32は、組電池10の外部端子P12〜P16における電圧値DT2〜DT6を受け取る。このように、監視装置31は、各外部入力端子P21〜P26に印加される端子電圧VT1〜VT6をデジタル値に変換し、その変換後の値(電圧値)をホスト装置32に出力する。
【0021】
ホスト装置32は、受け取った電圧値DT1〜DT6に基づいて、各電池セルBC1〜BC5のセル電圧VC1〜VC5を算出する。例えば、ホスト装置32は、電圧値DT2から電圧値DT1を減算してセル電圧VC1を算出する。同様に、ホスト装置32は、電圧値DT3〜DT6から電圧値DT2〜DT5を減算してセル電圧VC2〜VC5を算出する。
【0022】
例えば、ホスト装置32には、基準電圧Vcr1、基準電圧Vcr2が設定されている。基準電圧Vcr1は、各電池セルBC1〜BC5に応じて設定される。基準電圧Vcr1は、各電池セルBC1〜BC5のセル電圧VC1〜VC5を均一化するための目標値である。
【0023】
基準電圧Vcr2は、各電池セルBC1〜BC5を放電するための放電トランジスタT1〜T5に応じて設定されている。例えば、基準電圧Vcr2は、各放電トランジスタT1〜T5のしきい値電圧に応じて設定されている。
【0024】
ホスト装置32は、電池セルBC1〜BC5のセル電圧VC1〜VC5と、基準電圧Vcr1,Vcr2に基づいて、セル電圧VC1〜VC5を均一化するように監視装置31を制御するためのコマンドCMDを生成する。
【0025】
また、監視装置31は、放電回路20を制御するためのレベル変換部45と駆動部46を有している。
制御回路44は、ホスト装置32から出力されるコマンドCMDに基づいて、駆動信号SK11〜SK15を生成する。駆動信号SK11〜SK15は、レベル変換部45に供給される。
【0026】
レベル変換部45は、n個(5個)のレベルコンバータ(「LVC」と表記)51〜55を有している。
レベルコンバータ51は、例えば、制御回路44の動作電圧と、外部入力端子P21,P22を介して入力される電圧に基づいて動作する。そして、レベルコンバータ51は、制御回路44から出力される駆動信号SK11のレベルを、外部入力端子P21,P22の電圧範囲のレベルに変換し、その変換後の駆動信号SK21を出力する。
【0027】
同様に、レベルコンバータ52〜55は、制御回路44から出力される駆動信号SK12〜SK15のレベルを、対応する外部入力端子にける電圧範囲のレベルに変換し、変換後の駆動信号SK22〜SK25を出力する。駆動信号SK21〜SK25は駆動部46に供給される。
【0028】
駆動部46は、n個(図1では5個)の駆動回路61〜65を有している。
駆動回路61には、駆動信号SK21が供給される。駆動回路61の出力端子は外部出力端子P31に接続され、その外部出力端子P31は放電回路20の放電トランジスタT1の制御端子に接続されている。駆動回路61は、駆動信号SK21に基づいて、放電トランジスタT1を駆動するための駆動電圧VK1を出力する。放電トランジスタT1は、駆動電圧VK1に基づいてオンオフする。
【0029】
同様に、駆動回路62〜65の出力端子は外部出力端子P32〜P35を介して放電トランジスタT2〜T5の制御端子にそれぞれ接続されている。駆動回路62〜65は、駆動信号SK22〜SK25に基づいて、駆動電圧VK2〜VK5を出力する。放電トランジスタT2〜T5は、駆動電圧VK2〜VK5に基づいてオンオフする。
【0030】
図2に示すように、駆動回路61は、バッファ回路71、インバータ回路81、スイッチ回路SW1a,SW1b、抵抗R11を有している。
バッファ回路71は、駆動信号SK21に基づいて、その駆動信号SK21のレベルと等しいレベルの信号SK31を出力する。
【0031】
インバータ回路81は、トランジスタTP1,TN1を有している。トランジスタTP1は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、トランジスタTN1は例えばNチャネルMOSトランジスタである。
【0032】
トランジスタTP1,TN1のゲート端子に信号SK31が供給される。トランジスタTP1のソース端子はスイッチ回路SW1a,SW1bに接続されている。トランジスタTP1のドレイン端子はトランジスタTN1のドレイン端子に接続され、トランジスタTN1のソース端子は外部入力端子P21に接続されている。トランジスタTP1のドレイン端子とトランジスタTN1のドレイン端子の間のノードはインバータ回路81の出力端子であり、この出力端子は外部出力端子P31に接続されている。外部出力端子P31は、放電回路20の放電トランジスタT1の制御端子に接続されている。外部出力端子P31と外部入力端子P21の間には抵抗R11が接続されている。
【0033】
スイッチ回路SW1aの第1端子は外部入力端子P22に接続され、スイッチ回路SW1aの第2端子はトランジスタTP1のソース端子に接続されている。スイッチ回路SW1bの第1端子は、上記の外部入力端子P22のより高い電圧が供給される端子、例えば外部入力端子P23に接続されている。スイッチ回路SW1bの第2端子は、トランジスタTP1のソース端子に接続されている。
【0034】
スイッチ回路SW1aの制御端子には、制御回路44から出力される制御信号SS1aが供給される。スイッチ回路SW1aは、制御信号SS1aに応答してオンオフする。例えば、スイッチ回路SW1aは、Hレベルの制御信号SS1aに応答してオンし、Lレベルの制御信号SS1aに応答してオフする。スイッチ回路SW1bの制御端子には、制御回路44から出力される制御信号SS1bが供給される。スイッチ回路SW1bは、制御信号SS1bに応答してオンオフする。例えば、スイッチ回路SW1bは、Hレベルの制御信号SS1bに応答してオンし、Lレベルの制御信号SS1bに応答してオフする。
【0035】
スイッチ回路SW1aをオンすると、トランジスタTP1のソース端子、つまりインバータ回路81の高電位側電源端子に外部入力端子P22における端子電圧VT2が供給される。インバータ回路81は、放電トランジスタT1のゲート端子に、電池セルBC1の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK1を供給する。放電トランジスタT1のソース端子には端子電圧VT1が供給されている。したがって、放電トランジスタT1のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC1の端子間電圧、つまりセル電圧と等しくなる。
【0036】
一方、スイッチ回路SW1bをオンすると、トランジスタTP1のソース端子、つまりインバータ回路81の高電位側電源端子に外部入力端子P23における端子電圧VT3が供給される。インバータ回路81は、放電トランジスタT1のゲート端子に、電池セルBC2の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK1を供給する。したがって、放電トランジスタT1のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC1より上位(電圧が高い側)の電池セルBC2の正極における電圧と、対応する電池セルBC1の負極における電圧との間の電圧と等しくなる。
【0037】
同様に、駆動回路62は、バッファ回路72、インバータ回路82、スイッチ回路SW2a,SW2b、抵抗R12を有している。
バッファ回路72は、駆動信号SK22に基づいて、その駆動信号SK22のレベルと等しいレベルの信号SK32を出力する。
【0038】
インバータ回路82は、トランジスタTP2,TN2を有している。トランジスタTP2は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、トランジスタTN2は例えばNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタTP2,TN2のゲート端子に信号SK32が供給される。トランジスタTP2のソース端子は、スイッチ回路SW2aを介して外部入力端子P23に接続されている。また、トランジスタTP2のソース端子は、スイッチ回路SW2bを介して外部入力端子P24に接続されている。外部出力端子P32と外部入力端子P22の間には抵抗R12が接続されている。
【0039】
スイッチ回路SW2aは、制御回路44から出力される制御信号SS2aに応答してオンオフする。スイッチ回路SW2bは、制御回路44から出力される制御信号SS2bに応答してオンオフする。スイッチ回路SW2aをオンすると、インバータ回路82は、放電トランジスタT2のゲート端子に、電池セルBC2の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK2を供給する。したがって、放電トランジスタT2のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC2の端子間電圧、つまりセル電圧となる。一方、スイッチ回路SW2bをオンすると、インバータ回路82は、放電トランジスタT2のゲート端子に、電池セルBC3の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK2を供給する。したがって、放電トランジスタT2のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC2より上位(電圧が高い側)の電池セルBC3の正極における電圧と、対応する電池セルBC2の負極における電圧との間の電圧となる。
【0040】
また、駆動回路63は、バッファ回路73、インバータ回路83、スイッチ回路SW3a,SW3b、抵抗R13を有している。
バッファ回路73は、駆動信号SK23に基づいて、その駆動信号SK23のレベルと等しいレベルの信号SK33を出力する。
【0041】
インバータ回路83は、トランジスタTP3,TN3を有している。トランジスタTP3は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、トランジスタTN3は例えばNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタTP3,TN3のゲート端子に信号SK33が供給される。トランジスタTP3のソース端子はスイッチ回路SW3aを介して外部入力端子P24に接続されている。また、トランジスタTP3のソース端子は、スイッチ回路SW3bを介して、外部入力端子P24より高い電圧が供給される外部入力端子P25に接続されている。外部出力端子P33と外部入力端子P23の間には抵抗R13が接続されている。
【0042】
スイッチ回路SW3aは、制御回路44から出力される制御信号SS3aに応答してオンオフする。スイッチ回路SW3bは、制御回路44から出力される制御信号SS3bに応答してオンオフする。スイッチ回路SW3aをオンすると、インバータ回路83は、放電トランジスタT3のゲート端子に、電池セルBC3の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK3を供給する。したがって、放電トランジスタT3のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC3の端子間電圧、つまりセル電圧となる。一方、スイッチ回路SW3bをオンすると、インバータ回路83は、放電トランジスタT3のゲート端子に、電池セルBC4の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK3を供給する。したがって、放電トランジスタT3のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC3より上位(電圧が高い側)の電池セルBC4の正極における電圧と、対応する電池セルBC3の負極における電圧との間の電圧となる。
【0043】
また、駆動回路64は、バッファ回路74、インバータ回路84、スイッチ回路SW4a,SW4b、抵抗R14を有している。
バッファ回路74は、駆動信号SK24に基づいて、その駆動信号SK24のレベルと等しいレベルの信号SK34を出力する。
【0044】
インバータ回路84は、トランジスタTP4,TN4を有している。トランジスタTP4は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、トランジスタTN4は例えばNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタTP4,TN4のゲート端子に信号SK34が供給される。トランジスタTP4のソース端子はスイッチ回路SW4aを介して外部入力端子P25に接続されている。また、トランジスタTP4のソース端子は、スイッチ回路SW4bを介して、外部入力端子P25より高い電圧が供給される外部入力端子P26に接続されている。外部出力端子P34と外部入力端子P24の間には抵抗R14が接続されている。
【0045】
スイッチ回路SW4aは、制御回路44から出力される制御信号SS4aに応答してオンオフする。スイッチ回路SW4bは、制御回路44から出力される制御信号SS4bに応答してオンオフする。スイッチ回路SW4aをオンすると、インバータ回路84は、放電トランジスタT4のゲート端子に、電池セルBC4の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK4を供給する。したがって、放電トランジスタT4のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC4の端子間電圧、つまりセル電圧となる。一方、スイッチ回路SW4bをオンすると、インバータ回路84は、放電トランジスタT4のゲート端子に、電池セルBC5の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK4を供給する。したがって、放電トランジスタT4のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC4より上位(電圧が高い側)の電池セルBC5の正極における電圧と、対応する電池セルBC4の負極における電圧との間の電圧となる。
【0046】
そして、駆動回路65は、バッファ回路75、インバータ回路85、スイッチ回路SW5a,SW5b、抵抗R15を有している。
バッファ回路75は、駆動信号SK25に基づいて、その駆動信号SK25のレベルと等しいレベルの信号SK35を出力する。
【0047】
インバータ回路85は、トランジスタTP5,TN5を有している。トランジスタTP5は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、トランジスタTN5は例えばNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタTP5,TN5のゲート端子に信号SK35が供給される。トランジスタTP5のソース端子はスイッチ回路SW5aを介して外部入力端子P26に接続されている。外部出力端子P35と外部入力端子P25の間には抵抗R15が接続されている。また、トランジスタTP5のソース端子は、スイッチ回路SW5bを介してチャージポンプ回路47に接続されている。
【0048】
チャージポンプ回路47の入力端子は外部入力端子P41に接続され、その外部入力端子P41は組電池10の外部端子P16に接続されている。したがって、チャージポンプ回路47には、電池セルBC5の正極における電圧が供給される。電池セルBC5の正極における電圧は、端子電圧VT6である。このため、チャージポンプに供給する電圧をVT6とする。チャージポンプ回路47の出力端子は、外部端子P42に接続され、その外部端子P42にはコンデンサC11が接続されている。チャージポンプ回路47は、制御回路44から供給される制御信号EN3に応じて活性化/非活性化する。制御回路44は、ホスト装置32からのコマンドCMDに応じて制御信号EN3を生成する。活性化したチャージポンプ回路47は、外部入力端子P41を介して供給される電圧VT6に基づいて、その電圧VT6より高い電圧VCPを生成する。チャージポンプ回路47は昇圧回路の一例である。
【0049】
スイッチ回路SW5aは、制御回路44から出力される制御信号SS5aに応答してオンオフする。スイッチ回路SW5bは、制御回路44から出力される制御信号SS5bに応答してオンオフする。スイッチ回路SW5aをオンすると、インバータ回路85は、放電トランジスタT5のゲート端子に、電池セルBC5の正極端子レベルに応じたレベルの駆動電圧VK5を供給する。したがって、放電トランジスタT5のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC5の端子間電圧、つまりセル電圧となる。一方、スイッチ回路SW5bをオンすると、インバータ回路85は、放電トランジスタT5のゲート端子に、チャージポンプ回路47により生成された電圧に応じたレベルの駆動電圧VK5を供給する。したがって、放電トランジスタT5のゲート−ソース間電圧Vgsは、対応する電池セルBC5より上位(電圧が高い側)の電圧VCPと、対応する電池セルBC5の負極における電圧との間の電圧となる。
【0050】
なお、図2では、監視装置31の外部入力端子P21と組電池10の外部端子P11の間に接続された抵抗R21と、外部入力端子P21とグランドの間に接続されたコンデンサC21が示されている。同様に、監視装置31の外部入力端子P22〜P26と組電池10の外部端子P12〜P16の間に接続された抵抗R22〜R26と、外部入力端子P22〜P26とグランドの間に接続されたコンデンサC22〜C26が示されている。抵抗R21〜R26及びコンデンサC21〜C26は、例えば監視装置31の外部入力端子P21〜P26に供給される電圧の安定化やノイズを除去する。
【0051】
次に、放電制御システム30における放電処理を説明する。
図3に示すように、放電処理は、ステップ101〜106を含む。
放電処理は、例えばタイマなどの計時に従って、定期的に実施される。なお、所定の信号をトリガとして実施されてもよい。
【0052】
先ず、ステップ101において、全ての電池セルBC1〜BC5のセル電圧を測定する。
例えば、図1に示すホスト装置32は、監視装置31の外部入力端子P21〜P26を順次選択するように複数のコマンドCMDを出力する。監視装置31の制御回路44は、コマンドCMDに応じて選択信号SLを生成し、マルチプレクサ41は、選択信号SLに応じた入力端子を選択し、その入力端子に供給される端子電圧に応じた出力電圧VTx(x=1〜6)を出力する。AD変換回路42は、マルチプレクサ41の出力電圧VTxを変換した電圧値DTx(x=1〜6)を出力する。ホスト装置32は、全ての電圧値DT1〜DT6を受け取ると、それらの電圧値DT1〜DT6に基づいて、各電池セルBC1〜BC5のセル電圧VC1〜VC5を算出する。
【0053】
次に、ステップ102において、放電処理が必要な電池セルを判定する。
ホスト装置32は、ステップ101において算出した各電池セルBC1〜BC5のセル電圧VC1〜VC5を、放電のために設定された基準電圧Vcr1と比較し、その比較結果に基づいて、各電池セルBC1〜BC5において放電が必要か否かを判定する。ホスト装置32は、基準電圧Vcr1より高いセル電圧の電池セルについて放電が必要と判定する。そして、その放電が必要と判定した電池セルを放電対象とする。放電が必要な電池セルがあると判定した場合(判定:YES)、次のステップ103へ移行し、放電が必要な電池セルが無いと判定した場合(判定:No)、ステップ101へ移行する。
【0054】
次に、ステップ103において、放電駆動電圧は十分か否かを判定する。
ホスト装置32は、ステップ102において設定した放電対象の電池セルのセル電圧を、電圧制御のために設定された基準電圧Vcr2と比較し、その比較結果に基づいて、放電駆動電圧が十分か否かを判定する。放電駆動電圧は、図2に示す放電トランジスタT1〜T5をオン駆動するための電圧であり、基準電圧Vcr2は、図2に示す放電トランジスタT1〜T5のしきい値電圧に応じて設定される。ホスト装置32は、放電対象の電池セルのセル電圧が基準電圧Vcr2より高い場合、放電駆動電圧が十分であると判定する。一方、放電対象の電池セルのセル電圧が基準電圧Vcr2より低い場合、放電駆動電圧は不十分であると判定する。そして、放電駆動電圧が十分と判定した場合(判定:YES)、次のステップ104へ移行する。
【0055】
ステップ104において、放電対象の電池セルから電圧供給する。ホスト装置32は、放電対象の電池セルから、放電トランジスタを駆動する駆動回路に対して電圧供給するように生成したコマンドCMDを出力する。
【0056】
例えば、放電対象の電池セルを図2に示す電池セルBC1とする。ホスト装置32は、電池セルBC1から駆動回路61に対して電圧供給するように生成したコマンドCMDを出力する。制御回路44は、そのコマンドCMDに応答してHレベルの制御信号SS1aを出力する。その制御信号SS1aによりスイッチ回路SW1aがオンし、インバータ回路81に対して外部入力端子P22を介して電池セルBC1から電圧が供給される。
【0057】
ステップ105において、所定時間、放電対象の電池セルを放電する。
ホスト装置32は、放電対象の電池セルに応じた放電トランジスタをオンするように生成したコマンドCMDを出力する。制御回路44は、そのコマンドCMDに応じた駆動信号を出力する。
【0058】
例えば、放電対象の電池セルを図2に示す電池セルBC1とする。ホスト装置32は、電池セルBC1を放電するように生成したコマンドCMDを出力する。制御回路44は、そのコマンドCMDに応じた駆動信号SK11を出力する。この駆動信号SK11は、図2に示すレベルコンバータ51によりレベル変換され、駆動回路61に供給される。駆動回路61のインバータ回路81は、レベルコンバータ51の駆動信号SK21に基づいて、駆動電圧VK1を出力する。このとき、インバータ回路81に対して、スイッチ回路SW1aを介して、放電対象の電池セルBC1のセル電圧が供給される。インバータ回路81は、セル電圧と等しい駆動電圧VK1を出力する。この駆動電圧VK1は、放電トランジスタT1に応じて設定された基準電圧Vcr1より高い。したがって、放電トランジスタT1は、駆動電圧VK1に応じてオンする。これにより、放電対象の電池セルBC1が放電される。
【0059】
ホスト装置32は、放電トランジスタT1をオンするためのコマンドCMDを出力してから所定時間経過すると、放電トランジスタT1をオフするためのコマンドCMDを出力する。このコマンドCMDに応じて制御回路44が駆動信号SK11を出力し、その駆動信号SK11に基づいて駆動回路61のインバータ回路81はLレベル(外部入力端子P21の電位レベル)の駆動電圧VK1を出力し、放電トランジスタT1がオフする。
【0060】
上記のステップ103において、放電駆動電圧が不十分と判定した場合(判定:NO)、ステップ106へ移行する。
ステップ106において、放電対象の電池セルより上位の電圧を供給する。ホスト装置32は、放電対象の電池セルが接続された外部接続端子より上位(高電位側)の外部接続端子の電圧を、放電対象の電池セルに対応する駆動回路に対して供給するように生成したコマンドCMDを出力する。
【0061】
例えば、放電対象の電池セルを図2に示す電池セルBC1とする。ホスト装置32は、電池セルBC1より上位の電池セルBC2から駆動回路61に対して電圧供給するように生成したコマンドCMDを出力する。つまり、ホスト装置32は、放電対象の電池セルBC1が接続された外部入力端子P22より上位(高電位側)の外部入力端子P23に供給される電圧を駆動回路61に対して供給するように生成したコマンドCMDを出力する。制御回路44は、そのコマンドCMDに応答してHレベルの制御信号SS1bを出力する。その制御信号SS1bによりスイッチ回路SW1bがオンし、インバータ回路81に対して外部入力端子P23を介して電池セルBC2から電圧が供給される。
【0062】
そして、ステップ105において、所定時間、放電対象の電池セルを放電する。
このとき、インバータ回路81に対して、スイッチ回路SW1bを介して、放電対象の電池セルBC1より上位の電池セルBC2から電圧供給される。つまり、インバータ回路81には、電池セルBC2の正極が接続された外部入力端子P23における端子電圧VT3が供給される。インバータ回路81は、端子電圧VT3と等しい駆動電圧VK1を出力する。したがって、放電トランジスタT1のソース−ゲート端子間には、放電対象の電池セルBC1のセル電圧VC1に、上位の電池セルBC2のセル電圧VC2を加算した電圧の駆動電圧VK1が供給される。そして、この駆動電圧VK1は、放電トランジスタT1に応じて設定された基準電圧Vcr1より高い。したがって、放電トランジスタT1は、駆動電圧VK1に応じてオンする。これにより、放電対象の電池セルBC1が放電される。
【0063】
[放電対象が最上位の電池セルBC5の場合]
ステップ106において、ホスト装置32は、チャージポンプ回路47を活性化するようにコマンドCMDを出力する。制御回路44は、そのコマンドCMDに応答して制御信号EN3を出力し、チャージポンプ回路47を活性化する。そして、ホスト装置32は、チャージポンプ回路47の出力電圧VCPを、放電対象の電池セルBC5に対応する駆動回路65に供給するようにコマンドCMDを出力する。制御回路44は、そのコマンドCMDに応答してHレベルの制御信号SS5bを出力する。その制御信号SS5bによりスイッチ回路SW5bがオンし、インバータ回路85に、チャージポンプ回路47の出力電圧VCPが供給される。この出力電圧VCPは、放電対象の電池セルBC5のセル電圧VC5に基づく端子電圧VT6を昇圧して生成される。
【0064】
そして、ステップ105において、所定時間、放電対象の電池セルを放電する。このとき、インバータ回路85に対して、スイッチ回路SW5bを介して、チャージポンプ回路47の出力電圧VCPが供給される。インバータ回路85は、出力電圧VCPと等しい駆動電圧VK5を出力する。したがって、放電トランジスタT5のゲート端子には、放電対象の電池セルBC5のセル電圧VC5に、チャージポンプ回路47の出力電圧VCPを加算した電圧の駆動電圧VK5が供給される。そして、この駆動電圧VK5は、放電トランジスタT5に応じて設定された基準電圧Vcr1より高い。したがって、放電トランジスタT5は、駆動電圧VK5に応じてオンする。これにより、放電対象の電池セルBC5が放電される。
【0065】
ステップ105における処理を終了すると、ステップ101へ移行する。ステップ101において、全ての電池セルBC1〜BC5の電圧が測定される。そして、ステップ102において、放電対象の電池セルについて放電が必要か否か、が判定される。放電対象とした電池セルのセル電圧が基準電圧Vcr1以下となると、その電池セルに対応する駆動回路に含まれる2つのスイッチ回路がオフされ、放電対象の電池セルに対する放電処理を終了する。そして、他の電池セルに放電が必要と判定されると、必要と判定された電池セルが放電対象として設定され、その放電対象の電池セルに対して放電処理が実施される。
【0066】
次に、上記の放電制御システムの作用を説明する。
例えば、図1に示す電池セルBC1を放電対象とする。放電対象の電池セルBC1に対して、図3に示す各ステップ101〜106の処理が適宜実施される。
【0067】
図4に示すように、セル電圧VC1が基準電圧Vcr2より高いため、Hレベルの制御信号SS1aとLレベルの制御信号SS1bが図2に示す制御回路44から出力される。Hレベルの制御信号SS1aに応じてスイッチ回路SW1aがオンし、セル電圧VC1と等しい駆動電圧VK1が放電トランジスタT1に供給される。放電トランジスタT1は、駆動電圧VK1に応じてオンし、電池セルBC1が放電される。
【0068】
図4に示すように、電池セルBC1のセル電圧VC1は放電処理によって低下する。そして、セル電圧VC1に応じて、電池セルBC1に対応する放電トランジスタT1のゲート端子に供給される駆動電圧VK1が低下する。
【0069】
そして、セル電圧VC1が基準電圧Vcr2より低くなると、Lレベルの制御信号SS1aとHレベルの制御信号SS1bが図2に示す制御回路44から出力される。このHレベルの制御信号SS1bに応答してスイッチ回路SW1bがオンする。これにより、駆動電圧VK1は、セル電圧VC1に、セル電圧VC2を加算した電圧となる。この駆動電圧VK1は基準電圧Vcr2より高いため放電トランジスタT1はオンし、電池セルBC1に対する放電が継続される。そして、セル電圧VC1が基準電圧Vcr1と等しくなると、電池セルBC1に対する放電処理が終了する。
【0070】
このように、放電対象の電池セルBC1のセル電圧VC1が、放電トランジスタT1に応じて設定された基準電圧Vcr2より低くなったときにも、駆動電圧VK1を調整することにより放電トランジスタT1をオンする。基準電圧Vcr2は、放電トランジスタT1のしきい値電圧やオン抵抗値に応じて設定される。放電トランジスタT1のサイズを小さくすると、オン抵抗値が大きくなり、しきい値電圧が高くなる。すると、低電圧の電池セルから供給されるセル電圧では、放電トランジスタをオンできなくなる。
【0071】
図1に示す放電制御システム30は、セル電圧VC1が放電トランジスタT1に応じて設定された基準電圧Vcr2より高いときにはセル電圧VC1に基づく駆動電圧VK1を放電トランジスタT1に供給してその放電トランジスタT1をオンし、電池セルBC1を放電する。そして、セル電圧VC1が基準電圧Vcr2より低くなると、セル電圧VC1より上位のセル電圧VC2に基づいて駆動電圧VK1を生成する。この駆動電圧VK1により放電トランジスタT1をオンし、電池セルBC1に対する放電処理を継続する。このように、基準電圧Vcr2より低いセル電圧VC1のときにも放電トランジスタT1をオンして電池セルBC1を放電することができる。
【0072】
なお、電池セルBC2〜BC4については、電池セルBC1と同様であるため、説明を省略する。
次に、図2に示す電池セルBC5を放電対象とした場合を説明する。
【0073】
図5に示すように、セル電圧VC5が基準電圧Vcr2より高いため、Hレベルの制御信号SS5aとLレベルの制御信号SS5bが図2に示す制御回路44から出力される。Hレベルの制御信号SS5aに応じてスイッチ回路SW5aがオンし、セル電圧VC5と等しい駆動電圧VK5が放電トランジスタT5に供給される。放電トランジスタT5は、駆動電圧VK5に応じてオンし、電池セルBC5が放電される。
【0074】
図5に示すように、電池セルBC5のセル電圧VC5は放電処理によって低下する。そして、セル電圧VC5に応じて、電池セルBC5に対応する放電トランジスタT5のゲート端子に供給される駆動電圧VK5が低下する。
【0075】
そして、セル電圧VC5が基準電圧Vcr2より低くなると、Lレベルの制御信号SS5aとHレベルの制御信号SS5bが図2に示す制御回路44から出力される。このHレベルの制御信号SS5bに応答してスイッチ回路SW5bがオンする。これにより、駆動電圧VK5は、セル電圧VC5に、チャージポンプ回路47の出力電圧VCPを加算した電圧となる。この駆動電圧VK5は基準電圧Vcr2より高いため放電トランジスタT5はオンし、電池セルBC5に対する放電が継続される。そして、セル電圧VC5が基準電圧Vcr1と等しくなると、電池セルBC5に対する放電処理が終了する。
【0076】
このように、放電対象の電池セルBC5のセル電圧VC5が基準電圧Vcr2より低くなったときにも、駆動電圧VK5を調整することにより放電トランジスタT5をオンし、電池セルBC5に対する放電処理を継続する。このように、基準電圧Vcr2より低いセル電圧VC5のときにも放電トランジスタT5をオンして電池セルBC5を放電することができる。
【0077】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)駆動回路61は、バッファ回路71、インバータ回路81、スイッチ回路SW1a,SW1b、抵抗R11を有している。インバータ回路81はトランジスタTP1,TN1を有している。スイッチ回路SW1aの第1端子は外部入力端子P22に接続され、スイッチ回路SW1aの第2端子は トランジスタTP1のソース端子に接続されている。スイッチ回路SW1bの第1端子は、上記の外部入力端子P22のより高い電圧が供給される端子、例えば外部入力端子P23に接続されている。スイッチ回路SW1bの第2端子は、トランジスタTP1のソース端子に接続されている。インバータ回路81は、スイッチ回路SW1aを介して供給される端子電圧VT2、またはスイッチ回路SW1bを介して供給される端子電圧VT3に基づいて、電池セルBC1を放電する放電トランジスタT1に対して駆動電圧VK1を出力する。
【0078】
したがって、電池セルBC1のセル電圧VC1が基準電圧Vcr1より高いときにはそのセル電圧VC1による端子電圧VT2に基づいて生成された駆動電圧VK1により放電トランジスタT1がオンし、電池セルBC1が放電される。一方、電池セルBC1のセル電圧VC1が基準電圧Vcr1より低いときには、上位の端子電圧VT3に基づいて駆動電圧VK1が生成される。この駆動電圧VK1により放電トランジスタT1がオンされ、電池セルBC1が放電される。このように、電池セルBC1のセル電圧VC1に応じて、端子電圧VT2、または端子電圧VT2より上位の端子電圧VT3に基づいて駆動電圧VK1を生成することで、低いセル電圧VC1のときにも放電トランジスタT1をオンして電池セルBC1を放電することができる。
【0079】
(2)最上位の電池セルBC5に対応する駆動回路65のインバータ回路85には、スイッチ回路SW5bを介してチャージポンプ回路47の出力電圧VCPが供給される。チャージポンプ回路47は、電池セルBC5のセル電圧VC5に基づく端子電圧VT6に基づいて、その端子電圧VT6より高い出力電圧VCPを生成する。この出力電圧VCPに基づいて、電池セルBC5に対応する放電トランジスタT5を駆動する駆動電圧VK5を生成する。したがって、低いセル電圧VC5のときにも放電トランジスタT5をオンして電池セルBC5を放電することができる。そして、チャージポンプ回路47を用いて放電トランジスタT5に対する駆動電圧VK5を生成する。これにより、放電トランジスタT5に、他の電池セルBC1〜BC4に対応する放電トランジスタT1〜T4と同じ電気的特性のトランジスタを用いることができる。
【0080】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、例えば電池セルBC1のセル電圧が基準電圧Vcr2より低い場合に、その電池セルBC1を放電する放電回路21の放電トランジスタT1に供給する駆動電圧VK1を、上位の電池セルBC2による端子電圧VT3に基づいて生成した。これを、例えばさらに上位の電池セルBC3による端子電圧VT4に基づいて生成するようにしてもよい。
【0081】
例えば、組電池に含まれる電池セルの数をnとする。低電位側からの順序がm番目の電池セルについて、(m+1)番目の端子における電圧と、(m+i)番目(2≦i≦(n−m+1))の端子電圧とを切り替えてインバータ回路の電源端子に供給する。これにより、放電トランジスタをオンして低電圧の電池セルを放電することが可能となる。スイッチ回路を介してインバータ回路に供給して駆動電圧を生成するための端子電圧は、放電トランジスタの電気的特性(例えば、耐圧)に応じて設定することが好ましい。
【0082】
・上記実施形態では、5個の電池セルBC1〜BC5を含む組電池10について説明したが、組電池に含まれる電池セルの数は4個以下又は6個以上の任意の数に変更してもよい。
【0083】
・各駆動回路61〜65に含まれるスイッチ回路SW1a,SW1b〜SW5a,SW5bを相補的にオンオフするようにしてもよい。
・各駆動回路61〜65のインバータ回路81〜85の電源端子に3つ以上のスイッチ回路を接続し、各スイッチ回路を対応する電池セルのセル電圧に応じて制御し、放電トランジスタT1〜T5がオン可能な駆動電圧VK1〜VK5を生成するようにしてもよい。
【0084】
・監視装置31の回路構成を適宜変更してもよい。
例えば、放電トランジスタのオン抵抗値を小さくすることで、低いゲート電圧にて放電トランジスタをオンすることが可能となる。したがって、図2に示す放電トランジスタT5のオン抵抗値を小さくすることで、電池セルBC5の電圧値が基準電圧Vcr2より低い場合でも、その電池セルBC5のセル電圧VC5により放電トランジスタT5をオンし、電池セルBC5を放電することができる。このような場合、図2に示すチャージポンプ回路47を省略することができる。
【0085】
・基準電圧Vcr1を適宜設定してもよい。例えば、図3に示すステップ101において測定した全ての電池セルBC1〜BC5のセル電圧VC1〜VC5に基づいて設定するようにしてもよい。例えば、最小のセル電圧を検出し、その最小のセル電圧に応じて基準電圧Vcr1を設定する。そして、基準電圧Vcr1をセル電圧VC1〜VC5と比較し、基準電圧Vcr1より高いセル電圧の電池セルを放電対象とする。
【符号の説明】
【0086】
10 組電池
20 放電回路
21〜25 放電回路
61〜65 駆動回路
71〜75 バッファ回路
SW1a〜SW5a スイッチ回路
SW1b〜SW5b スイッチ回路
SS1a〜SS5b 制御信号
SK11〜SK15 駆動信号
SK21〜SK25 駆動信号
BC1〜BC5 電池セル
T1〜T5 放電トランジスタ
R1〜R5 放電抵抗
VK1〜VK5 駆動電圧
P21〜P26 外部入力端子
P31〜P35 外部出力端子
図1
図2
図3
図4
図5