(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266254
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】構内無線システム、無線端末、構内無線システムの位置把握切替方法及び無線端末の位置把握切替方法
(51)【国際特許分類】
G01S 19/48 20100101AFI20180115BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20180115BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G01S19/48
H04W64/00 171
H04W64/00 120
H04W64/00 160
H04M3/42 U
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-157937(P2013-157937)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-28442(P2015-28442A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】312012287
【氏名又は名称】株式会社日立国際八木ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昇
【審査官】
神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−092506(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0288728(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/093785(WO,A1)
【文献】
特開2009−206960(JP,A)
【文献】
特開2012−070082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G01S 5/00−5/14
G01S 19/00−19/55
H04B 7/24− 7/26
H04M 3/00
H04M 3/16−3/20
H04M 3/38−3/58
H04M 7/00−7/16
H04M 11/00−11/10
H04W 4/00−8/24
H04W 8/26−16/32
H04W 24/00−28/00
H04W 28/02−72/02
H04W 72/04−74/02
H04W 74/04−74/06
H04W 74/08−84/10
H04W 84/12−88/06
H04W 88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外ではGPSを利用し、屋内ではIMESを利用して、予め設定した一定の時間間隔で局所的な位置を検知する動作を行う第一の位置検知手段と、
基地局からのPHS通信可能範囲による基地局エリアの位置を検知する、前記第一の位置検知手段よりも広範囲の第二の位置検知手段と、
歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出手段と、
を具備し、
前記第一の位置検知手段により前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出手段により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には、測位システムが前記第一の位置検知手段から前記第二の位置検知手段に切り替わる
ことを特徴とする構内無線システム。
【請求項2】
屋外ではGPS衛星、屋内ではIMES送信機からの電波を、予め設定した一定の時間間隔で受信して局所的な位置を検知する動作を行う第一の位置検知部と、
PHS通信可能範囲による基地局からの電波を受信して前記第一の位置検知部よりも広範囲の位置範囲を検知可能な第二の位置検知部と、
歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出部と、を具備し、
前記第一の位置検知部により前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出部により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には、測位システムが前記第一の位置検知部から前記第二の位置検知部に切り替わる
ことを特徴とする無線端末。
【請求項3】
屋外ではGPSを利用し、屋内ではIMESを利用して、予め設定した一定の時間間隔で局所的な位置を検知する動作を行う第一の位置検知手段と、
基地局からのPHS通信可能範囲による基地局エリアの位置を検知する、前記第一の位置検知手段よりも広範囲の第二の位置検知手段と、
歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出手段と、を具備し、
前記第一の位置検知手段により前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出手段により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には、測位システムが前記第一の位置検知手段から前記第二の位置検知手段に切り替わる
ことを特徴とする構内無線システムの位置把握切替方法。
【請求項4】
屋外ではGPS衛星、屋内ではIMES送信機からの電波を、予め設定した一定の時間間隔で受信して局所的な位置を検知する動作を行う第一の位置検知部と、
PHS通信可能範囲による基地局からの電波を受信して前記第一の位置検知部よりも広範囲の位置範囲を検知可能な第二の位置検知部と、
歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出部と、を具備し、
前記第一の位置検知部により前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出部により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には、測位システムが前記第一の位置検知部から前記第二の位置検知部に切り替わる
ことを特徴とする無線端末の位置把握切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PHS端末の位置情報を把握する構内無線システム、無線端末、構内無線システムの位置把握切替方法及び無線端末の位置把握切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handayphon System)方式による従来の構内無線システムでは、
図4に示すようにサービスエリア内を複数の通信エリアに分割し、各通信エリアにPHS基地局11a、11bを設置する。各PHS基地局11a、11bの通信可能範囲が基地局エリア12a、12bとなり、この基地局エリア12a、12b内に存在するPHS端末13とPHS基地局11a、11bとの間で通信が行われる。例えばPHS端末13が基地局エリア12aにて電波を発信すると、この電波はPHS基地局11aにて受信される。PHS基地局11aは、PHS端末13からの電波を受信すると、位置情報をPHS端末13へ送付する。上記PHS端末13の位置確認動作は、PHS端末13が基地局エリア12a、12bを移動する毎に行われる。
【0003】
上記従来の構内無線システムにおけるPHS端末13の位置確認は、測位範囲が基地局エリア12a、12bの約80〜100mであるため精度が低い。また、2つの基地局エリア12a、12bが重複したカバーエリア重複箇所14においては、PHS端末13がどの基地局エリア12a、12bに属しているのか明確に判定できない場合がある。例えば基地局エリア12a内に位置しているPHS端末13がカバーエリア重複箇所14に移動した場合、PHS端末13にはPHS基地局11a、11bの双方から送信される電波が到達するが、PHS端末13は前回位置確認を行ったPHS基地局11aからの電波を受信して位置確認を行う。しかし、カバーエリア重複箇所14においては、PHS基地局11aから送られてくる電波が弱く、また、PHS基地局11bからの電波も送られてくるので、PHS端末13の位置確認動作が安定して行われず、位置確認を明確にできない場合がある。
【0004】
また、本発明に関連する公知技術として、構内無線システムの通信エリア毎に配置される無線基地局、及び前記各無線基地局同士を接続制御する主装置を備え、該主装置により携帯機の位置を特定する場合、無線基地局の電波の送出を順次停止しながら当該各無線基地局に接続される携帯機を検索し、前記検索した携帯機が接続可能な無線基地局の重複する通信エリアから当該携帯機の位置を特定するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、本発明に関連する公知技術として、構内無線システムにおけるBS呼出しエリア内にBSアンテナを設置すると共に、屋内用GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)として機能するIMES(Indoor Messaging System)送信機を設置し、無線端末装置の位置登録を行うことにより、無線端末装置の位置測定精度を向上するようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−206960号公報
【特許文献2】特開2012−70082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように
図4に示した従来の構内無線システムは、PHS端末13の位置確認を行う場合、測位範囲が基地局エリア12a、12bの約80〜100mであるため精度が低く、また、2つの基地局エリア12a、12bが重複したカバーエリア重複箇所14においては、PHS端末13がどの基地局エリア12a、12bに属しているのか明確に判定できない場合がある。
【0008】
一方、GPS(IMES)を用いてPHS端末の位置測定を行う測位システムは、基地局エリアのシステムによる測位と比較して精度を向上することができる。しかし、GPSを用いて定期的な測位を試みようとした場合、GPSの通信速度や消費電力低減などの制約から更新間隔を長くとる必要がある。そのような場合、更新期間中にPHS端末の所有者が長距離移動してしまうと、測位精度を維持できず、場合によっては基地局エリアのシステムを用いた方が精度が良くなる可能性がある。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、GPSを用いてPHS端末の位置確認を高精度で行うことができると共に、GPS電波が届かない屋内や基地局エリアが重複するエリアであってもPHS端末の位置を確実に検知でき、且つ低コスト化を図ることができる構内無線システム、無線端末、構内無線システムの位置把握切替方法及び無線端末の位置把握切替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る構内無線システムは、屋外ではGPSを利用し、屋内ではIMESを
利用して
、予め設定した一定の時間間隔で局所的な位置を検知する
動作を行う第一の位置検知手段と、基地局からのPHS通信可能範囲による基地局エリアの位置を検知する、前記第一の位置検知手段よりも広範囲の第二の位置検知手段と、歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出手段と、を具備し、前記第一の位置検知手段に
より前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出手段により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には
、測位システムが前記第一の位置検知手段から前記第二の位置検知手段
に切り替わることを特徴とする。
【0011】
第2の発明に係る無線端末は、屋外ではGPS衛星、屋内ではIMES送信機からの電
波を
、予め設定した一定の時間間隔で受信して局所的な位置を検知する
動作を行う第一の位置検知部と、PHS通信可能範囲による基地局からの電波を受信して前記第一の位置検知部よりも広範囲の位置範囲を検知可能な第二の位置検知部と、歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出部と、を具備し、前記第一の位置検知部に
より前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出部により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には
、測位システムが前記第一の位置検知部から前記第二の位置検知部
に切り替わることを特徴とする。
【0012】
第3の発明に係る構内無線システムの位置把握切替方法は、屋外ではGPSを利用し、
屋内ではIMESを利用して
、予め設定した一定の時間間隔で局所的な位置を検知する
動作を行う第一の位置検知手段と、基地局からのPHS通信可能範囲による基地局エリアの位置を検知する、前記第一の位置検知手段よりも広範囲の第二の位置検知手段と、歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出手段とを具備し、前記第一の位置検知手段に
より前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出手段により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には
、測位システムが前記第一の位置検知手段から前記第二の位置検知手段
に切り替わることを特徴とする。
【0013】
第4の発明に係る無線端末の位置把握切替方法は、屋外ではGPS衛星、屋内ではIM
ES送信機からの電波を
、予め設定した一定の時間間隔で受信して局所的な位置を検知する
動作を行う第一の位置検知部と、PHS通信可能範囲による基地局からの電波を受信して前記第一の位置検知部よりも広範囲の位置範囲を検知可能な第二の位置検知部と、歩数検出により移動距離の検出を行う移動距離検出部とを具備し、前記第一の位置検知部に
より前記一定の時間間隔で行われる位置検知動作の待機期間中において、前記移動距離検出部により移動距離が一定の基地局エリアの測位可能範囲を超えたことが検出された場合には
、測位システムが前記第一の位置検知部から前記第二の位置検知部
に切り替わることを特徴とする。
【0014】
なお、前記第1ないし第4の発明において、前記移動距離検出手段又は移動距離検出部とは、加速度センサである。
【0015】
また、前記第一の位置検知手段又は第一の位置検知部とは、IMES対応のGPS受信部である。
【0016】
また、前記第二の位置検知手段又は第二の位置検知部とは、PHS無線部である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基地局エリアだけでなく、GPSやIMESを利用することにより、例えばGPS電波が届かない屋内や基地局エリアが重複するエリアなど、位置の把握が難しい場所であっても、位置検知を容易にすると共に位置検知精度を向上することができる。
【0018】
また、GPS又はIMES及び基地局システムによる位置把握を総合的に利用することにより、GPS更新間隔を短くすることなく測位精度を維持でき、且つカバーエリアの広範囲化を実現できる。
【0019】
更に、無線端末の移動に対する汎用性を確保し、使用状況により測位システムを切り替えることで効率的な利用が可能であり、且つGPS(IMES)システムのみでカバーエリアを広げるよりも低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る構内無線システムの概略構成図である。
【
図2】同実施形態におけるPHS端末の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3】同実施形態に係る構内無線システムにおけるPHS端末の測位動作を示すフローチャートである。
【
図4】従来のPHS方式による構内無線システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る構内無線システムの概略構成図である。なお、
図1はサービスエリア内に2つのPHS端末を設けた場合を例として示している。
図1に示すようにサービスエリア内を複数の通信エリアに分割し、各通信エリアにPHS基地局21a、21bを設置する。各PHS基地局21a、21bのPHS通信可能範囲が基地局エリア22a、22bとなり、この基地局エリア22a、22b内に存在するPHS端末23とPHS基地局21a、21bとの間で通信が行われる。
【0022】
また、基地局エリアのシステムで位置の把握が難しい場所や局所的に位置把握精度を高めたい場所、例えばGPS電波が届かない屋内や2つの基地局エリア22a、22bが重複したカバーエリア重複箇所24などにIMES送信機25を設置する。このIMES送信機25は、その設置位置を示す位置情報を出力する。上記IMES送信機25は、出力の上限値が−94dBW程度の微弱電波であり、周辺に通信可能範囲が基地局エリア22a、22bより非常に小さい10m程度のIMESエリア26が形成される。
【0023】
上記PHS端末23は、詳細を後述するようにIMES対応のGPS受信部を備えており、GPS衛星27あるいはIMES送信機25から送信される電波を受信し、位置情報を取得して現在位置を確認する。
【0024】
次に、上記PHS端末23の詳細について
図2を参照して説明する。
図2は、PHS端末23の詳細な構成を示すブロック図である。PHS端末23は、IMES対応のGPS受信部31、PHS無線部32、及び携帯(PHS端末)保持者の歩数を検知するための加速度センサ33を備えている。GPS受信部31は、GPSアンテナ34を備え、GPS衛星27あるいはIMES送信機25からの電波を受信して位置情報を取得し、制御部36へ出力する。PHS無線部32は、PHSアンテナ35を備え、制御部36に接続される。PHS無線部32は、制御部36の制御に基づいて動作し、PHSアンテナ35を介してPHS基地局21a、21bと通信を行う。加速度センサ33は、携帯保持者の歩数を検出し、その検出信号を制御部36へ出力する。制御部36は、上記加速度センサ33が検出した歩数に基づいて携帯保持者の移動距離を算出する。
【0025】
また、制御部36には、表示部37、記録部38、外部インターフェース部39が接続される。表示部37には、時刻や通信情報等、種々の情報が表示される。記録部38には、設定情報や通信情報等が記録される。外部インターフェース部39としては例えばUSBが用いられ、外部機器と接続される。
【0026】
上記のように構成されたPHS端末23の位置確認は、基地局エリア22a、22b内に位置するPHS端末23がPHS基地局21a、21bに対して電波を発信し、PHS基地局21a、21bから送られてくる位置情報を受信して行う他、屋外ではGPS衛星27を利用し、屋内ではIMES送信機25から送信される位置情報を受信して行う。すなわち、PHS端末23は、GPS衛星27又はIMES送信機25及び基地局システムによる位置情報の取得を総合的に利用して行い、また、使用状況により測位方法を切り替えて行う。
【0027】
以下、上記構内無線システムにおけるPHS端末23の測位動作について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。このフローチャートに示す処理は、PHS端末23に設けられた制御部36の制御のもとに実行される。
【0028】
PHS端末23の制御部36は、所定の時間間隔で測位動作を開始し(ステップS1)、先ず、IMES対応のGPS受信部31をオン(ON)する(ステップS2)。GPS受信部31は、GPS衛星27を捕捉・追従し(ステップS3)、GPS衛星27からの電波を受信して現在の位置情報を取得し、制御部36へ出力する(ステップS4)。なお、PHS端末23がGPS衛星27からの電波を受信できない屋内において、IMESエリア26内に位置している場合には、GPS受信部31はIMES送信機25から送信される電波を受信し、位置情報を取得して制御部36へ出力する。制御部36は、上記位置情報を取得すると、GPS受信部31をオフ(OFF)し(ステップS5)、一定時間例えば12〜20秒待機し(ステップS6)、その後、ステップS7へ進む。このステップS7では、PHS端末23の最後の位置更新からの累計経過時間と予め設定したGPS更新間隔(例えば1〜数秒)と比較し、累計経過時間がGPS更新間隔より小さいかどうかを判断する。
【0029】
制御部36は、上記ステップS7で、累計経過時間が所定のGPS更新間隔に達していないと判断した場合は、加速度センサ33の検出情報に基づいて、ステップS4で得た位置情報取得位置からの携帯保持者移動距離を計算し(ステップS8)、この携帯保持者の移動距離がPHS測位
可能範囲より大きくなったかどうか、すなわち携帯保持者が基地局エリア22a、22bの外に出たかどうかを判断する(ステップS9)。携帯保持者の移動距離がPHS測位
可能範囲より小さい場合には、携帯保持者が未だ同じ基地局エリア内に居るものと判断し、ステップS6に戻り、ステップS6〜S9の処理を再度繰り返して実行する。
【0030】
そして、ステップS9で携帯保持者の移動距離がPHS測位
可能範囲より大きくなったと判断された場合には、携帯保持者が他の基地局エリアに移動したものと判断し、PHS無線部32を動作させ、PHS基地局21a、21bと無線通信を行ってPHS位置情報を取得する(ステップS10)。その後、ステップSステップS6に戻る。
【0031】
また、ステップS7で、PHS端末23の最後の位置更新からの累計経過時間が予め設定したGPS更新間隔より大きくなったと判断されると、ステップS1に戻り、IMES対応のGPS受信部31をオンして、GPS衛星27あるいはIMES送信機25からの電波を受信して現在の位置情報を取得し、制御部36へ出力する。
【0032】
PHS端末23の制御部36は、上記のようにして所定の時間間隔で測位処理を実行する。
【0033】
上記実施形態で示したように、PHS端末23にIMES対応のGPS受信部31を搭載し、GPS電波の届かない屋内や基地局エリアのシステムにおける位置の把握が難しい場所、例えば基地局エリア22a、22bが重なるカバーエリア重複箇所24にIMES送信機25を配置することで、屋外ではGPS衛星27、屋内ではIMES送信機25からの電波を受信して局所的な位置を検知でき、基地局エリアのシステムにおける位置の把握が難しい場所においても、PHS端末23の位置検知精度を向上できると共に、基地局エリアのシステムを利用して広範囲に亘り位置を把握することができる。上記IMES送信機25は、出力が微弱電波であるためカバーエリアは小さいが、正確な位置測定が可能である。
【0034】
また、局所的に位置把握精度を高めたい場所にIMES送信機25を設置し、GPS(又はIMES)による測位の後、加速度センサ33の歩数検出を利用して携帯保持者の移動距離を求め、この移動距離が基地局エリアのシステムの測位可能
範囲を上回った場合に測位システムを基地局エリアのシステムに切り替えることにより、基地局エリアのシステムとGPS(IMES)システムがお互いに補完し合い、GPS更新間隔を短くすることなく測位精度を維持でき、且つカバーエリアの広範囲化を実現できる。
【0035】
更に、基地局エリアのシステム及びGPS(IMES)システムの併用利用により、GPS(IMES)システムのみでカバーエリアを広げるよりも低コスト化を図ることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0037】
21a、21b…PHS基地局、22a、22b…基地局エリア、23…PHS端末、24…カバーエリア重複箇所、25…IMES送信機、26…IMESエリア、27…GPS衛星、31…IMES対応のGPS受信部、32…PHS無線部、33…加速度センサ、34…GPSアンテナ、35…PHSアンテナ、36…制御部、37…表示部、38…記録部、39…外部インターフェース部。