(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266274
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】連続ウェブから一連のカットアウトフォームを作製するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20180115BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20180115BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G06F3/12 303
B41J29/38 Z
B41J29/00 H
G06F3/12 343
G06F3/12 351
G06F3/12 382
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-184945(P2013-184945)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-53009(P2014-53009A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】12183527.6
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517166000
【氏名又は名称】ザイコン・マニュファクチュアリング・ナムローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Xeikon Manufacturing N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン・ルシア・ヤン・マリア・ヴァン・バウヴェル
【審査官】
山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−161935(JP,A)
【文献】
特開2007−251911(JP,A)
【文献】
特開2002−239984(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0014109(US,A1)
【文献】
特表2007−518313(JP,A)
【文献】
特開2007−021872(JP,A)
【文献】
特開2009−164854(JP,A)
【文献】
特開2004−312106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09−3/12
B41J 29/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続ウェブからカットアウトフォームを作製する方法であって、該方法は、
複数の印刷ジョブを受信するステップ(110)であって、該複数の印刷ジョブのそれぞれは、画像、カットアウト輪郭、及び所望数のコピーを定義する、受信するステップと、
前記複数の印刷ジョブからの1つ又は複数の画像を含む1組の印刷パターンを生成するステップ(120)であって、前記1組の印刷パターンの1つの印刷パターンは、前記複数の印刷ジョブの第1の印刷ジョブの第1の画像及び第2の印刷ジョブの第2の画像を有し、それらの印刷パターンは、組み合わされて、前記複数の印刷ジョブのそれぞれの所望数のコピーを得ることができ、生成された1組の印刷パターンは、幾つかの別個の印刷パターンを有する、生成するステップと、
前記1組の印刷パターンを、前記連続ウェブ上の前記複数の印刷ジョブのそれぞれの所望数のコピーを得るように、組み合わせてプリンタに利用可能にするステップ(130)と、
前記複数の印刷ジョブからの1つ又は複数のカットアウト輪郭を含む1組のカットアウトパターンを生成するステップ(140)であって、前記1組のカットアウトパターンの1つのカットアウトパターンは、前記複数の印刷ジョブの第1の印刷ジョブの第1のカットアウト輪郭及び第2の印刷ジョブの第2のカットアウト輪郭を有し、それらのカットアウトパターンは、前記組み合わされた印刷パターンに適合するように組み合わされることができ、生成された1組のカットアウトパターンは、幾つかの別個のカットアウトパターンを有する、生成するステップと、
前記1組のカットアウトパターンをカッティング装置に利用可能にするステップ(150)と、
前記連続ウェブから前記カットアウト輪郭に従ってカットアウトフォームをカットするために前記1組のカットアウトパターンからの前記カットアウトパターンが適用されなければならない順序について、前記カッティング装置に命令するステップ(160)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記カットアウトパターンのそれぞれが、前記印刷パターンのうちの1つに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記命令するステップは、所与のカットアウトパターン(252)の各発生を特定するように、前記印刷パターンにおいて機械可読光学マーク(251)を提供するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械可読マークはバーコードである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記機械可読マークは、QRタグ等の2次元タグである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記印刷パターンを利用可能にするステップは、前記印刷パターンを、前記プリンタによってアクセス可能な記憶媒体上に記憶するステップを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記カットアウトパターンを利用可能にするステップは、前記カットアウトパターンを、前記カッティング装置によってアクセス可能な記憶媒体上に記憶するステップを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ウェブを長手方向にカットして複数のストリップにするステップ(170)を更に含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ストリップを横方向にカットして同一画像の組にするステップ(180)を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プロセッサに請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法を実行させるように構成されたコード手段を備えるコンピュータプログラム。
【請求項11】
複数の印刷ジョブを受信するための入力インタフェース(211)であって、前記複数の印刷ジョブのそれぞれは、画像、カットアウト輪郭、及び所望数のコピーを定義する、入力インタフェースと、
前記複数の印刷ジョブからの1つ又は複数の画像を含む1組の印刷パターンを生成するように構成され、前記1組の印刷パターンの1つの印刷パターンは、前記複数の印刷ジョブの第1の印刷ジョブの第1の画像及び第2の印刷ジョブの第2の画像を有し、それらの印刷パターンは、前記印刷ジョブのそれぞれの所望数のコピーを取得するように組み合わされ、生成された1組の印刷パターンは、幾つかの別個の印刷パターンを有し、および、前記複数の印刷ジョブからの1つ又は複数のカットアウト輪郭を含む1組のカットアウトパターンを生成するように構成され、前記1組のカットアウトパターンの1つのカットアウトパターンは、前記複数の印刷ジョブの第1の印刷ジョブの第1のカットアウト輪郭及び第2の印刷ジョブの第2のカットアウト輪郭を有し、それらのカットアウトパターンは、前記組み合わされた印刷パターンに適合するように組み合わされ、生成された1組のカットアウトパターンは、幾つかの別個のカットアウトパターンを有する、処理手段(212)と、
前記1組の印刷パターンを、連続ウェブ上の前記複数の印刷ジョブ(201〜203)のそれぞれの所望数のコピーを得るように、組み合わせてプリンタ(230)に利用可能にするように構成されるとともに、前記1組のカットアウトパターン(221〜223)をカッティング装置(240)に利用可能にするように構成される、出力インタフェース(213)と、
前記連続ウェブから前記カットアウト輪郭に従ってカットアウトフォームをカットするために前記1組のカットアウトパターンからの前記カットアウトパターン(221〜223)が適用されなければならない順序について、前記カッティング装置(240)に命令する手段と、
を備える、ベクトル化装置(210)。
【請求項12】
前記カッティング装置に命令する手段は前記処理手段(212)に含まれ、該処理手段(212)は、所与のカットアウトパターン(252)の各発生を特定するように前記印刷パターンにおいて機械可読マーク(251)を提供するように構成される、請求項11に記載のベクトル化装置(210)。
【請求項13】
連続ウェブからカットアウトフォームを作製するためのシステムであって、該システムは、
連続ウェブ(250)上に印刷パターンを印刷するようになっているプリンタ(230)と、
前記連続ウェブ(250)からカッティングパターンを少なくとも部分的にカットするようになっているカッティング装置(240)と、
前記プリンタ(230)及び前記カッティング装置(240)に動作可能に接続された、請求項11又は12に記載のベクトル化装置(210)と、
を備える、システム。
【請求項14】
前記カッティング装置(240)によってアクセス可能な記憶媒体(220)を更に備え、前記出力インタフェース(213)は、ベクトルベースのフォーマットに従ってフォーマットされるデジタルファイルの形態で前記カットアウトパターンを記憶することを可能にするように、前記記憶媒体(220)に動作可能に接続される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記カッティング装置(240)は、多層ウェブの1つ又は複数の層を通ってカットするように構成される電子制御されたレーザ装置を備える、請求項13又は14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、同じ画像の多数のコピー、又は一連の画像、或いは個々に変化する画像の大きな集合、を印刷するための、いわゆる「連続」ウェブ用デジタル印刷システム、すなわち、基材(例えば紙、プラスチック箔、又はそれらの多層の組合せ)の連続したロールがプリンタを通じて繰り出される印刷システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷において、印刷される画像はプレート上に形成される。このプレートは、シリンダーが回転する度にウェブの関連部分上に画像のコピーがスタンプされるように、シリンダーの回りに配置される。これらの連続ウェブが、(例えば多層基材の最も上の層において輪郭をカットして剥離式の接着性ラベルを作製するために)後続の機械的カットアウト処理を受けなくてはならないとき、通過する基材の関連部分上に同じカットアウトパターンを繰返し組み付ける(imposes)プレートとして、カットアウトパターンを形成することも一般的に行われている。現在のところ、同じ論理がレーザカッターにも適用されている。レーザカッターは刃先を有する物理的ロールを用いないが、それでもやはり、繰返し適用される単一の「プレートエリア」として形成されるカッティングパターンを用いる。
【0003】
この方法の不利な点は、十分な柔軟性を有しないことである。
【0004】
本発明は、中でも、デジタル印刷システムが、従来のオフセットプリンタとは異なり、同じ画像の正確なコピーを印刷することに限定されないという本発明者の独創的な洞察に基づいている。したがって、デジタル印刷システムを用いて、厳密に繰返しでない画像パターンを有するウェブを提供することが可能である。これは、例えば、異なる数のコピーがウェブ上に存在する様々な画像を、この画像パターンが含むことに起因している。既知のカッティングシステムはこの状況に適切に対処することができない。
【0005】
したがって、本発明の実施形態の目的はこの不利な点を克服することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、連続ウェブ上に一連のカットアウトフォームを作製する方法であって、該方法は、複数の印刷ジョブを受信するステップであって、該複数の印刷ジョブのそれぞれは、画像、カットアウト輪郭、及び所望の数のコピーを定義する、受信するステップと、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数の画像を含む1組の印刷パターンを生成するステップであって、それらの印刷パターンは組み合わされて、前記印刷ジョブの前記それぞれの所望数のコピーが得られる、生成するステップと、前記1組の印刷パターンを、前記印刷ジョブの前記それぞれの所望数のコピーを得るように、組み合わせてプリンタに利用可能にするステップと、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数のカットアウト輪郭を含む1組のカットアウトパターンを生成するステップであって、それらのカットアウトパターンは、前記組み合わされた印刷パターンに適合するように組み合わされることができる、生成するステップと、前記1組のカットアウトパターンをカッティング装置に利用可能にするステップと、前記カットアウト輪郭に従ってカットアウトフォームをカットするために前記1組のカットアウトパターンからの前記カットアウトパターンが適用されなければならない順序について前記カッティング装置に命令するステップと、を含む、連続ウェブ上に一連のカットアウトフォームを作製する方法が提供される。
【0007】
本出願では、「パターン」という用語は、1つ以上の画像又はカットアウト輪郭を表現する1組のカッティング命令又は印刷命令を示すのに用いられる。本発明は、少なくとも2つの画像又はカットアウト輪郭を含むパターンとともに用いるときに特に有利であり、とりわけ、生成される1組のパターンが幾つかの別個のパターンを含むときに有利である。
【0008】
生成された1組のパターンを適切な順序で基材上に組み付けることによって、結果として各画像の所望の数のコピーが作製される。
【0009】
本発明は、中でも、ダイカッターを自動的に駆動することによって、より効率的な印刷プロセス及び仕上げプロセスを得ることができるという本発明者の洞察に基づいている。
【0010】
本発明による方法の利点は、例えば、画像のシリーズごとに最小数のバンド(帯状域)が作製されるようにして、画像を平行な長手方向のバンド(印刷プロセスの終了時点において互いに分離することができる)内に配置することによって、最も効率的な方法で所望の数のコピーを得るようにウェブ上に画像を組み合せることができること、及びカッティング装置の動作が選択された画像組付けと対応するように自動制御されることである。
【0011】
このため、本発明は、デジタルプレス技術及びレーザ・ダイカッティング装置を次のレベルへと導き、ラベル作製を更に自動化させて生産性を向上させる新たな機会を生み出す。
【0012】
本発明による方法の実施の形態において、前記カットアウトパターンのそれぞれが前記印刷パターンのうちの1つに対応する。
【0013】
この実施形態は、プリンタ及びカッティング装置をそれぞれ制御するのに別個の1組のファイルが必要ではなくなるので、特に処理及び記憶の効率が良い。
【0014】
本発明による方法の実施形態において、前記命令するステップは、所与のカットアウトパターンの各発生を特定するように前記印刷パターンにおいて機械可読光学マークを提供するステップを含む。
【0015】
この実施形態の利点は、プリンタとカッティング装置との間の同期を必要としないことである。
【0016】
本発明による方法の実施形態において、前記機械可読マークはバーコードである。
【0017】
本発明による方法の別の実施形態において、前記機械可読マークは、QRタグ等の2次元タグである。
【0018】
これらの実施形態の利点は、この種のマークの読取り装置が容易に入手可能でありかつ比較的単純であることである。
【0019】
本発明による方法の実施形態において、前記印刷パターンを利用可能にするステップは、前記印刷パターンを、前記プリンタによってアクセス可能な記憶媒体上に記憶するステップを含む。
【0020】
本発明による方法の実施形態において、前記カットアウトパターンを利用可能にするステップは、前記カットアウトパターンを、前記カッティング装置によってアクセス可能な記憶媒体上に記憶するステップを含む。
【0021】
これらの実施形態の利点は、印刷パターン及び/又はカットアウトパターンを生成する役割を果たすエンティティは、オフラインで用いることができ、それぞれのパターンを記憶した後にアクティブである必要がないことである。
【0022】
本発明による方法の実施形態において、前記ウェブを長手方向にカットして複数のストリップにするステップを更に含む。
【0023】
特定の実施形態において、本方法は前記ストリップを横方向にカットして同一画像のシリーズにするステップを更に含む。
【0024】
これらの実施形態の利点は、一連のラベルの非常に効率的な作製を可能にすることであり、これは所望の1組のラベル画像について、ラベルの個別のストリップ(ロール)の数が最小になることにつながる。
【0025】
本発明の一態様によれば、プロセッサに上記で説明した方法を実行させるように構成されたコード手段を備えるコンピュータプログラムが提供される。
【0026】
本発明の一態様によれば、ベクトル化装置であって、複数の印刷ジョブを受信するための入力インタフェースであって、前記複数の印刷ジョブのそれぞれは、画像、カットアウト輪郭、及び所望の数のコピーを定義する、入力インタフェースと、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数の画像を含む1組の印刷パターンを生成するように構成され、それらの印刷パターンは組み合わされて、前記印刷ジョブの前記それぞれの所望数のコピーが得られるとともに、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数のカットアウト輪郭を含む1組のカットアウトパターンを生成するように構成され、それらのカットアウトパターンは、前記組み合わされた印刷パターンに適合するように組み合わされることができる、処理手段と、前記1組の印刷パターンを、前記印刷ジョブの前記それぞれの所望数のコピーを得るように、組み合わせてプリンタに利用可能にするともに、前記1組のカットアウトパターンをカッティング装置に利用可能にするための出力インタフェースと、前記カットアウト輪郭に従ってカットアウトフォームをカッティングするために前記1組のカットアウトパターンからの前記カットアウトパターンを適用しなくてはならない順序について前記カッティング装置に命令する手段と、を備える、ベクトル化装置が提供される。
【0027】
本発明による装置の一実施形態において、前記カッティング装置に命令する手段は前記処理手段に含まれ、該処理手段は、所与のカットアウトパターンの各発生を特定するように、前記印刷パターンにおいて機械可読光学マークを提供するように構成される。
【0028】
本発明の一態様によれば、連続ウェブから一連のカットアウトフォームを作製するためのシステムであって、該システムは、連続ウェブ上に印刷パターンを印刷するようになっているプリンタと、前記連続ウェブからカッティングパターンを少なくとも部分的にカットするようになっているカッティング装置と、前記プリンタ及び前記カッティング装置に動作可能に接続された、上述のベクトル化装置と、を備える、連続ウェブから一連のカットアウトフォームを作製するためのシステムが提供される。
【0029】
一実施形態において、本発明によるシステムは、前記カッティング装置によってアクセス可能な記憶媒体を更に備え、上記出力インタフェースは、ベクトルベースのフォーマットに従ってフォーマット設定されるデジタルファイルの形態で前記カットアウトパターンを記憶することを可能にするように、前記記憶媒体に動作可能に接続される。
【0030】
本発明によるシステムの一実施形態において、前記カッティング装置は、多層ウェブの1つ又は複数の層を通ってカットするように構成される、電子制御されたレーザ装置を備える。
【0031】
本発明によるコンピュータプログラム、ベクトル化装置、及びシステムの実施形態の技術的な効果及び利点は、必要な場合に変更を加えれば、本発明による方法の対応する実施形態の技術的な効果及び利点と同じである。
【0032】
次に、本発明のこれらの態様及び他の態様を、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態によるシステムの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるベクトル化装置の、より詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以後、同一の画像又は類似の画像を複数の「コピー」と呼ぶ。これらの「コピー」は、例えば画像内に可変のシリアル番号又はバッチ番号が(例えば数字形式で又は機械可読の光学パターンとして)存在することができるという意味で、厳密に同一である必要がないことが理解されよう。しかしながら、同じシリーズの「コピー」は同じカットアウト輪郭の対象となることが想定される。
【0035】
本発明は、同じ画像の複数のコピーは必要ではないが、印刷ジョブが、複数の、潜在的には多数の、個別に区別可能な画像又は「ワンオフ(one-off)」からなる状況にも適用することができることに留意すべきである。
【0036】
本明細書全体を通じて、所定のカットアウト輪郭に従って切り抜かれた画像は、「カットアウトフォーム(cut-out form)」又は「ラベル」と呼ばれる。この用語は、閉じた輪郭によって画定される剥離式ラベル、すなわち最も上の層を剥離して別個のラベル、好ましくは接着性のラベルを作製することができる、多層基材から作製されるラベルを含むように理解される。これは、最も上の層を通るがそれより下の基材層(複数の場合もある)を通らずにカットするカッティング動作を必要とする。この用語は、ミシン目からなる輪郭によって画定される形状も含むことができ、それにより、この形状は周囲の基材から容易に押し出すか又は切り離すことができる。この用語は、基材の折りたたみを容易にするために基材にプレスされる輪郭も含むことができる。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態による方法の一実施形態のフローチャートを提供している。方法ステップは、プリンタ及びカッティング装置に適切に接続されたベクトル化装置によって実行されることが好ましい。ベクトル化装置は、専用ハードウェア又は適切にプログラムされたコンピュータを備えることができる。プリンタは、好ましくは連続基材に対して印刷することが可能なデジタルプリンタ、特に電子写真プリンタであることが好ましい。カッティング装置は、カットアウト輪郭に従って動きが電子的に制御されるレーザを備えるカッティング装置であることが好ましい。剥離式ラベルを作製するために、カッティング装置は多層基材の1つ又は複数の層を通ってカットし、一方でそれより下の1つ又は複数の層を元のままに保っておくことが可能であることが好ましい。
【0038】
第1のステップ110において、本方法は複数の印刷ジョブを受信することを含む。上記複数の印刷ジョブのそれぞれは、画像、カットアウト輪郭、及び所望数のコピーを規定する。印刷ジョブは、ジョブ定義フォーマット(JDF)等の標準化されたファイルフォーマットにおいて提供されることが好ましい。JDFは、画像関連データ(通常、印刷されることになる実際の画像を含むファイルの参照)及びジョブを実行するのに必要なメタデータの双方を含む。代替的に、ジョブはポータブルドキュメントフォーマット(PDF)において提供することもできる。PDFも、印刷されることになる実際の画像を含む。当業者であれば、他のフォーマットも同等に適切であることを理解するであろう。カットアウト輪郭は、例えば印刷されることになる画像内の特定の層又は(仮想)色として印刷ジョブファイル内で提供されることが好ましい。カットアウト輪郭は、ベクトルフォーマットで提供されることが最も好ましく、これによってカッティング装置を駆動することが容易になり、画像はビットマップフォーマット又はベクトルフォーマットで提供することができる。
【0039】
第2のステップ120では、説明される方法は、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数の画像を含む1組の印刷パターンを生成することを含む。これは、生成された印刷パターンが、組み合わされると、印刷ジョブのそれぞれの所望の数のコピーが作製されるように、行われる。異なるシリーズのラベルが作製されることになるとき、所望の数のコピーに到達するまで個々のシリーズが平行な長手方向のストリップにおいて繰り返されることが好ましく、ストリップの残りの長さは次のシリーズのために用いられる。この手法によって、印刷及びカットアウトプロセスが完了した後に、ウェブを細長く切って(すなわち長手方向にカットして)複数のストリップにし(170)、次にストリップをシリーズの境界においてカットすること(180)によって、異なるシリーズの好都合な分離が確実にされる。
【0040】
ウェブ上の画像の所望のパターンは、通常、プリンタの能力によって決まるウェブの幅及び長さを有する1つ又は複数の領域、すなわち個々の印刷パターンに分割されることが好ましい。ウェブ上への画像の組付けは、単一のロール上の或る特定の最大数のコピーを考慮する要件等の、最終顧客の要件によっても影響される場合がある。プリンタが隣接領域を継ぎ目なく印刷することができない場合、単一の領域が用いられるか、又は各印刷パターンが整数の画像を含むこと、すなわち画像が印刷パターンの境界を超えて延在しないことが好ましい。
【0041】
印刷パターンは、上記で説明したように、印刷ジョブのそれぞれの所望の数のコピーを得るように組み合わされてプリンタに利用可能にされる(140)。この「利用可能にする」とは、印刷されることになるグラフィックをデジタルデータとしてプリンタにアップロードすること、又はそれらを1つ若しくは複数のファイルとして、プリンタがアクセスを有する記憶デバイスにアップロードすることを含むことができる。
【0042】
好ましくは並行して実行される別のステップでは、1組のカットアウトパターンが生成され(130)、そのカットアウトパターンは、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数のカットアウト輪郭を含み、カットアウトが組み合わされると、組み合わされた印刷パターンに適合するようになっている。明らかに、カットアウトパターンは1対1の関係で印刷パターンに適合することができる。しかしながら、デジタルプリンタは隣接する領域にわたって画像の部分を継ぎ目なく接合することを可能とすることができるが、これは通常、カッティング装置には当てはまらない。このため、カットアウト輪郭がカットアウトパターンの境界を超えて延在しないように、なるべく注意を払う必要がある。
【0043】
代替的に、カットアウトパターンはウェブ上の画像のレイアウトに基づいて生成することができる。この場合、印刷パターンは追加の組付けステップにおいてウェブ上に(仮想的に)配列され、カットアウトパターンがそのレイアウトから導出される。
【0044】
カットアウトパターンは、カッティング装置に利用可能にされる(150)。ここでもまた、この「利用可能にする」とは、カットアウト輪郭をデジタルデータとしてカッティング装置にアップロードすること、又はそれらを1つ若しくは複数のファイルとして、カッティング装置がアクセスを有する記憶デバイスにアップロードすることを含むことができる。
【0045】
最後に、カットアウト輪郭に従ってラベルをカットするために上記カットアウトパターンが適用されなくてはならない順序についてカッティング装置に命令すること(160)が重要である。印刷プロセスが、プリンタとカッティング装置との間のシンクロニシティを維持するように十分正確に制御されている場合、この命令することは、カッティング装置にタイミング調整された信号(timed signal)を提供することに置き換えることができる。実際の代替策は、特定のカットアウトパターンが発生するごとに特定の機械可読光学マーク、例えばバーコード、又はQRタグ等の2次元コードを提供することからなる。このマークは、シリアル番号、バッチ番号等の、追加の情報を含むことができる。
【0046】
マークは、カットアウトパターンに対する固定の空間関係で提供されることが好ましい。マークは更には、カッティング装置の空間較正を容易にするように、(例えばカッティングパターンの角にレジストレーションマークを含む)幾つかの空間的に分離した部分からなることもできる。マークはカッティング命令を含まず、現在カッティング装置によって処理されているウェブの部分の適切なカッティングパターンの参照のみを含む。
【0047】
代替的に、パターンの要求されたシーケンス(及びその順序)を事前にカッティング装置に通信し、それによって個々のカットアウトパターンがウェブ上に現れるときにそれらを明確に特定する必要性をなくすことができる。
【0048】
本発明は、上記で説明したような方法をプロセッサに実行させるように構成されたコード手段を含むコンピュータプログラムとして実装することができる。特定の実施形態では、本発明は、Xeikon X−800等の、印刷システムのデジタルフロントエンドへのソフトウェアアドオンとして実装される。その場合、ソフトウェアアドオンによって、デジタルフロントエンドは、印刷可能なビットマップの隣に、レーザ・ダイカッティング装置に接続するのに用いることができるダイカットファイルを生成することが可能になる。好ましくは管理情報システム(MIS)又はエンタプライズリソースプラニング(ERP)システムによって生成されたJDFファイル又はPDFファイルから、デジタルフロントエンド(例えばXeikon X−800)は、レーザ・ダイカッティング装置を駆動するためのカットアウトパターン(「フレーム」としても知られる)を含むベクトルベースのファイルを作成する。ファイルはレーザ・ダイカッティング装置に転送される。その間、バーコード等の機械可読マークがラベルの隣に印刷され、レーザ・ダイカッティングシステムに、ベクトルベースの形状のうちのいずれを用いるべきかを知らせる。全てのラベルが異なる形状を有することができるので、ウェブ上のどこにどのラベルが位置決めされているかに関する情報に既にアクセスを有するデジタルフロントエンドにおいて、カットアウトパターンの生成を実施することが特に有利である。
【0049】
図2は、本発明の一実施形態によるシステムの概略図を提示している。
【0050】
一般性を損なうことなく、
図2は3つの印刷ジョブが存在する状況を示している。これらのジョブは例示的なものであり、それらのジョブの特性は、本発明の範囲を一切限定するように意図されるものではない。
・ジョブ1は家の画像の8つのコピーからなり、
・ジョブ2はスマイリーフェイスの画像の11個のコピーからなり、
・ジョブ3は雲の画像の10個のコピーからなる。
【0051】
上述したジョブはラベルに関するものであり、ジョブ定義は、カットアウト輪郭の定義を含むことが仮定される。
【0052】
説明されるシステムは、連続ウェブ250上に印刷パターンを印刷するようになっているプリンタ230と、上記連続ウェブ250からカッティングパターンを少なくとも部分的にカットするようになっているカッティング装置240と、上記プリンタ230及び上記カッティング装置240に動作可能に接続されたベクトル化装置210とを備える。ベクトル化装置210の動作は
図1に関して上記で説明した通りである。
【0053】
本システムは、プリンタ230又はカッティング装置240にそれぞれアクセス可能な印刷パターン及び/又はカットアウトパターンを作製するプロセスにおいて用いられる固体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等の記憶媒体220を更に備えることができる。これを達成するために、ベクトル化装置210は、記憶媒体220とインタラクトする適切な出力インタフェース213を備える。パターンは、ベクトルベースのフォーマットに従ってフォーマット設定されるデジタルファイルの形態で提供されることが好ましい。
【0054】
説明される例では、最小数の別個のストリップ又はロールを用いて各画像の所望の数のコピーを作製するように、3つの異なるカットアウトパターンA、B、Cが作成される。簡単にするために、印刷パターンはカットアウトパターンと同一であると仮定される。これらのパターンは記憶システム220内に記憶される。パターンA−B−C−Cのシーケンスによって、それぞれの画像の所望の数のコピーがウェブ250上に作製されることを検証するのは容易である。
【0055】
カッティング装置240の空間較正を容易にするために、機械可読パターン識別マーク251(ここでは文字A、B、Cとして示される)を、対応するカットアウトパターン252の発生に対する適切な空間関係において提供することができる。これらのマーク251を読み取ることによって、カッティング装置240は、いずれのカッティングパターン252に従って、ウェブの現在処理されている部分をカットしなくてはならないかを通知されることになる。
【0056】
この図は、同一の画像を有するラベルのストリップ(ロール)を得るために、印刷されたウェブを細長く切る(すなわち長手方向にカットする)際に沿う線253も示している。最も右側のストリップを、スマイリーフェイスのシリーズと雲のシリーズとの間の境界において横方向に更にカットして、同一の画像を有するラベルの、2つの、より短いストリップ(ロール)を得ることができる。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態による、ベクトル化装置のより詳細な概略図を提示している。
【0058】
本発明によるベクトル化装置210は、複数の印刷ジョブを受信するための入力インタフェース211を備える。複数の印刷ジョブのそれぞれは、画像、カットアウト輪郭、及び所望の数のコピーを定義する。ベクトル化装置210は、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数の画像を含む1組の印刷パターンを生成する処理手段212を更に備える。これらの印刷パターンは、印刷ジョブのそれぞれの所望の数のコピーを得るように組み合わされる。処理手段212はまた、1つ又は複数のそれぞれの印刷ジョブからの1つ又は複数のカットアウト輪郭を含む1組のカットアウトパターンを生成する。これらのカットアウトパターンは、組み合わされた印刷パターンに適合するように組み合わされることができる。ベクトル化装置210は、印刷ジョブ201〜203のそれぞれの所望の数のコピーを得るように印刷パターンを組み合わせてプリンタ230に利用可能にするとともに、カットアウトパターン221〜223をカッティング装置240に利用可能にするための出力インタフェース213を更に備える。ベクトル化装置210は、上記カットアウト輪郭に従ってラベルをカットするために上記カットアウトパターン221〜223を適用しなくてはならない順序についてカッティング装置240に命令する手段を更に備える。
【0059】
「インタフェース」という用語は、当業者によく知られているように、プロトコルスタックの様々な層にわたるデータ通信接続性を確立するのに要求される必要なハードウェア及びソフトウェアを表す。標準化されたプロトコルが用いられることが好ましい。例えば、LANインタフェースは、IEEE802.3「イーサネット(登録商標)」リンク、IEEE802.11「無線LAN」リンクのうちの1つ又は複数のためのインタフェースを含むことができる。例えば、PANインタフェースはUSBインタフェース又はBluetooth(登録商標)インタフェースを含むことができる。
【0060】
「プロセッサ」としてラベル付けされる任意の機能ブロックを含む図に示す様々な要素の機能は、専用ハードウェア、及び適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通じて提供することができる。プロセッサによって提供されるとき、これらの機能は単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又はそのうちのいくつかを共有することができる複数の個々のプロセッサによって提供することができる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアのみを指すように解釈するべきでなく、限定ではないが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するためのリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性記憶装置を暗に含むことができる。従来の及び/又は特注の他のハードウェアも含めることができる。同様に、図面に示す任意のスイッチは単に概念的なものである。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通じて、専用ロジックを通じて、プログラム制御と専用ロジックとのインタラクトを通じて、又はさらには手動で実行することができる。特定の技法は、文脈からより具体的に理解されるように実施者によって選択可能である。
【0061】
方法及び装置は上記で別個の実施形態として説明されてきたが、これは明確にする目的でのみ行われ、方法実施形態のみに関連して説明された特徴を、本発明による装置において適用して同じ技術的効果及び利点を得ることができ、逆もまた同様であることに留意すべきである。