特許第6266282号(P6266282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266282
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物及びその蒸留再生システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/00 20060101AFI20180115BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20180115BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20180115BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B01D3/00 B
   B01D3/14 A
   C11D7/50
   C11D7/26
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-192723(P2013-192723)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-59151(P2015-59151A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591282711
【氏名又は名称】アクア化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100376
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100143199
【弁理士】
【氏名又は名称】磯邉 毅
(72)【発明者】
【氏名】山本 健
(72)【発明者】
【氏名】仲野 真一
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−204497(JP,A)
【文献】 特開平08−269496(JP,A)
【文献】 特開平09−087668(JP,A)
【文献】 特開平09−019602(JP,A)
【文献】 特開平02−142598(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/073841(WO,A1)
【文献】 特公昭51−005353(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
B01D 1/00− 8/00
B01B 1/00− 1/08
B08B 3/00− 3/14
B08B 1/00− 1/04
B08B 5/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式RO[CO]COCH及び/又は、化学式RO[CO]Hから選ばれる一種またはそれ以上の親油性溶剤(Cは、CHCH(CH)又はCHCHCH、Rは炭素数1〜2のアルキル基又はアセチル基、Rは炭素数3〜6のアルキル基、n及びmは1〜3)と、
化学式RO[CHCHO]Hの一種またはそれ以上の親水性溶剤(Rは炭素数1〜4のアルキル基、kは1〜3)と、を含有し、
水の含有率が15Vol%以上である洗浄剤を蒸留再生する蒸留再生システムであって、
前記親油性溶剤と前記親水性溶剤は、常圧下での沸点差が50℃以下であり、
使用後の洗浄剤を受けるリボイラーと、リボイラーからの蒸気を受ける蒸留塔と、蒸留塔からの蒸気を受けるコンデンサと、コンデンサの出力を受ける貯留槽と、を有して構成され、
常圧下で動作させるコンデンサの出力を、コンデンサの蒸気温度に基づいて、水を貯留すべき第1貯留槽か、混合溶剤を貯留すべき第2貯留槽かに供給する構成を採るか、或いは、
減圧下で動作させるコンデンサの出力を、単一の貯留槽に供給して、単一の貯留槽に回収された回収液の比重に基づいて、必要量の水を補充する構成を採ることを特徴とする蒸留再生システム。
【請求項2】
前記親油性溶剤と前記親水性溶剤の引火点が、各々、70℃以上である請求項1に記載の蒸留再生システム。
【請求項3】
前記親油性溶剤と、前記親水性溶剤の含有Vol比は、9:1〜1:9である請求項1又は2に記載の蒸留再生システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の蒸留再生システムで蒸留再生される洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性加工油と水溶性加工油の何れに対しても優れた洗浄性能を発揮する洗浄剤組成物、及びその蒸留再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤は、炭化水素系やアルコール系など、一般に引火性を有する非水系洗浄剤と、非引火性の水系洗浄剤と、前二者の中間に位置する準水系洗浄剤と、に区分される。そして、準水系洗浄剤は、上記の関係から、可燃物型と非可燃物型とに分類することができる。
【0003】
ここで、非可燃物型の準水系洗浄剤は、水を配合することで非引火性にしたタイプであり、一方、可燃物型の準水系洗浄剤は、グリコールエーテル系、アルコール系、ピロリドン系などの溶剤を主体成分として引火性を有している。なお、グリコールエーテル系の溶剤は、一分子中に水酸基とエーテル基とを有することで、汚れへの浸透力に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−97596 号公報
【特許文献2】特開平10−251692号公報
【特許文献3】特開2000−192090号公報
【特許文献4】特開2001−172685号公報
【特許文献5】特開2001−200293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、水溶性加工油を用いた金属加工が増加しているところ、油性加工油だけでなく、水溶性加工油にも対応可能な洗浄剤が望まれている。
【0006】
しかし、水溶性加工油で加工された加工品を、非水系の炭化水素系溶剤で洗浄した場合には、洗浄後にシミ(水溶性加工油の固形分残渣)が発生し、特に、乾燥状態の水溶性加工油が付着した加工品に対しては、如何に洗浄力に優れた非水系の溶剤を使用しても、シミの発生が避けられないという問題がある。
【0007】
また、非引火性など作業面での安全性と、洗浄性に優れ、且つ、再生可能な準水系洗浄剤も強く望まれるところである。
【0008】
ここで、グリコールエーテル系の溶剤であって、非引火性のものも提案されているが(特許文献1〜特許文献5)、何れも、界面活性剤やフッ素系化合物を必須成分とするので、溶剤の再生が不可能であり、また、作業面での安全性にも問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、油性加工油と水溶性加工油の何れに対しても優れた洗浄性能を発揮する洗浄剤組成物を効果的に再生する蒸留再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、化学式RO[CO]COCH及び/又は、化学式RO[CO]Hから選ばれる一種またはそれ以上の親油性溶剤(Cは、CHCH(CH)又はCHCHCH、Rは炭素数1〜2のアルキル基又はアセチル基、Rは炭素数3〜6のアルキル基、n及びmは1〜3)と、化学式RO[CHCHO]Hの一種またはそれ以上の親水性溶剤(Rは炭素数1〜4のアルキル基、kは1〜3)と、を含有し、水の含有率が15Vol%以上である洗浄剤を蒸留再生する蒸留再生システムであって、前記親油性溶剤と前記親水性溶剤は、常圧下での沸点差が50℃以下であり、使用後の洗浄剤を受けるリボイラーと、リボイラーからの蒸気を受ける蒸留塔と、蒸留塔からの蒸気を受けるコンデンサと、コンデンサの出力を受ける貯留槽と、を有して構成され、常圧下で動作させるコンデンサの出力を、コンデンサの蒸気温度に基づいて、水を貯留すべき第1貯留槽か、混合溶剤を貯留すべき第2貯留槽かに供給する構成を採るか、或いは、減圧下で動作させるコンデンサの出力を、単一の貯留槽に供給して、単一の貯留槽に回収された回収液の比重に基づいて、必要量の水を補充する構成を採ることを特徴とする。なお、〜で示す数値範囲は、両端の数値を含んでいる。
【0012】
本発明の洗浄剤、撹拌や超音波振動などを付加することなく、静止浴状態でも所定の洗浄性能を発揮することができる。しかも、上記の親油性溶剤と親水性溶剤とを組み合わせることで、油性加工油と水溶性加工油の何れの洗浄にも適用することができ、洗浄後の加工品にシミが発生することがない。
【0013】
本発明の親油性溶剤と親水性溶剤とは、沸点範囲が同じであるので、混合液の状態で蒸留再生することできる。なお、沸点差は、好ましくは、20℃以下、より好ましくは、10℃以下とすべきである。
【0014】
本発明の洗浄剤は、水の含有量が15Vol%以上であり、非引火性を実現することができる。ここで、引火性は、JISK2265−4に基づいて特定される引火点によって評価され、非引火性とは、引火点が測定できない場合を意味する。
【0015】
本発明の親油性溶剤は、化学式RO[CO]COCH及び/又は、化学式RO[CO]Hから選ばれる一種またはそれ以上の混合物であり、Cは、CHCH(CH)又はCHCHCH、Rは炭素数1〜2のアルキル基又はアセチル基、Rは炭素数3〜6のアルキル基、n及びmは1〜3である。
【0016】
そして、好ましくは、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルなどを例示することができる。なお、蒸留再生の観点からは、上記の何れか一種が選択され、好ましくは、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが選択される。
【0017】
また、本発明の親水性溶剤は、化学式RO[CHCHO]Hの一種又はそれ以上の混合物であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、kは1〜3である。そして、好ましくは、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールn−ブチルエーテルなどを例示することができる。そして、蒸留再生の観点からは、上記の何れか一種が選択される。
【0018】
また、親油性溶剤として、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが選択される場合には、これに沸点の近いジエチレングリコールエチルエーテルが好適に選択される。
【0019】
親油性溶剤と、親水性溶剤の含有Vol比は、5:1〜1:5程度(より好ましくは、2:1〜1:2程度)に設定するのが好ましい。また、親油性溶剤と親水性溶剤の引火点が、各々、70℃以上であると、非引火性の洗浄剤Wを実現する上で好適である。
【0020】
本発明の洗浄剤は、使用後、親油性溶剤と親水性溶剤とが混合状態で蒸留再生され、これに、必要量の水が添加されることで洗浄剤として再使用されるのが好適である。
【0021】
このような場合、溶剤の沸点が低い方が有利であるが、常圧下での沸点が180℃〜230℃の溶剤の場合には、減圧下で蒸留再生するのが好適である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る蒸留再生システムは、油性加工油と水溶性加工油の何れに対しても優れた洗浄性能を発揮する上に、シミの発生がない洗浄剤組成物を高効率に再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】蒸留再生システムを含んだ洗浄システムの一例を図示したものである。
図2】多重効用型バッチ蒸留システムを示す図面である。
図3】バッチ式単蒸留システムを示す図面である。
図4】連続式単蒸留システムを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例を説明するが、具体的な記載内容は、何ら、本発明を限定するものではない。
【0029】
<可溶性試験>
化学式RO[CO]COCH又は、化学式RO[CO]Hの親油性溶剤と、化学式RO[CHCHO]Hの親水性溶剤について、沸点の近いものを適宜組み合わせ、溶剤の混合比と共に、水の含有率(0〜90Vol%)を変えて可溶性を確認した。なお、混合液について、500rpmで10分撹拌した後に、その混合液の状態を目視確認した。
【0030】
その結果、親油性溶剤と親水性溶剤の混合Vol比に拘わらず、また、水の含有率に拘わらず、混合液が透明かつ相分離がないことを確認した。
【0031】
<非引火性試験>
そこで、代表値として、親油性溶剤と親水性溶剤の混合比を50vol%とし、この混合液に、水を加えた準水系洗浄剤について引火点の計測試験を実施した。
【0032】
具体的には、準水系洗浄剤全体に対する水の含有率vol%(5、10、15、20、30、40)を変えた6種類の洗浄液について、試験方法JISK2265−4に基づいて引火点を計測した。
【0033】
その結果、水の含有率が5vol%や10vol%の洗浄液には、引火点が検出されたが、その他の洗浄液には引火点が検出されなかった。
【0034】
ここで、この非引火性試験に供した親油性溶剤と親水性溶剤の引火点は、90〜100℃程度であるので、水の含有率vol%が15%以上であれば、同程度の物性を有する溶剤にも非引火性が実現されるものと期待され、また、他の溶剤を使用する場合には、引火点その他の物性を考慮して水の含有比を変えれば良いと考えられる。
【0035】
そこで、これらの諸点を考慮して、構成溶剤に拘わらず非引火性を実現するには、少なくとも、水の含有率は、10vol%以上、好ましくは15vol%以上であるべきであると結論した。
【0036】
<洗浄性能試験>
次に、洗浄性能試験について説明する。この試験でも、代表値として、親油性溶剤と親水性溶剤の混合比を50vol%とし、水を含まない引火性の洗浄剤NWを第1群の実施例とした。
【0037】
また、この引火性の洗浄剤NWに、含有率30vol%の水を加えた非引火性の洗浄剤Wを、第2群の実施例とした。そして、第1群と第2群の実施例について、油性加工油と水溶性加工油に対する洗浄性能を実験した。
【0038】
なお、引火性の洗浄剤NWとして、多種類の混合液を用意したが、非引火性の洗浄剤Wを実現するには、構成溶剤の引火点が高い方が有利であること、また、蒸留再生を実現するため構成溶剤の沸点が共通することが前提となるので、構成溶剤の引火点が各々70℃以上であること、及び、構成溶剤の常圧下での沸点差が50℃以下であることを条件に選択した。
【0039】
具体的には、洗浄試験に供した第1群の洗浄剤NWには、例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートと、ジエチレングリコールエチルエーテルの混合液を含んでいる。
【0040】
油性加工油としては、バサラR−2240(R−GOT株式会社)と、アクアプレスL−107A(アクア化学)を使用した。また、水溶性加工油としては、ハイソルX(ビーピー・ジャパン)を使用した。
【0041】
これらの加工油に、四塩化炭素で清浄化したテストピース(SUS)を各々30分間浸漬し、液切りをした後、水溶性加工油については、更に、60℃環境で30分間乾燥させた。
【0042】
このようにして加工油を付着させた3種類多数のテストピースについて、第1次超音波洗浄(5分)⇒第2次超音波洗浄(減復圧5回、5分)⇒蒸気洗浄(2分)⇒真空乾燥(160秒)を実行した。
【0043】
なお、比較例として、市販のグリコールエーテル系の溶剤(AQ#200:アクア化学)についても同様の洗浄性能を比較した。
【0044】
その結果、油性加工油を付着させたテストピースは、第1群実施例、第2群実施例、比較例とも、シミの無い同レベルの洗浄性能が確認された。すなわち、実施例及び比較例の洗浄剤は、非水系の炭化水素溶剤と遜色のない洗浄性能を発揮することが確認された。
【0045】
一方、水溶性加工油を付着させたテストピースについては、これを、比較例の洗浄剤で洗浄すると目視可能なシミが確認された。これに対して、第1群と第2群の実施例の洗浄剤で洗浄した場合には、何れの洗浄剤でも、テストピースが確実に洗浄され、しかもシミの発生も認めらなかった。
【0046】
<蒸留再生システム1>
実施例の洗浄剤は、蒸留システムSYSにおいて、バッチ処理的に蒸留再生されて再使用される。図1は、バッチ蒸留システムSYSを含んだ洗浄システムの一例を図示したものであり、水を含有する非引火性の洗浄剤W(第2群の実施例)を使用する第一と第二の超音波洗浄槽1,2と、準水系の洗浄剤を使用する蒸気洗浄槽3と、が示されている。
【0047】
油性加工油又は水溶性加工油の付着した金属加工品は、第一超音波洗浄槽1⇒第二超音波洗浄槽2⇒蒸気洗浄槽3の順番に移送され、蒸気洗浄槽3おいて、仕上げリンス処理と真空乾燥処理とが完了する。この場合、第一と第二の超音波洗浄槽1,2において、実施例の洗浄剤を使用するので、水溶性加工油の付着した金属加工品であっても、洗浄処理を終えた金属加工品にシミが生じることはない。
【0048】
なお、蒸気洗浄槽3で使用する準水系の洗浄剤は、好適には、グリコールエーテル系の親油性溶剤と親水性溶剤で構成される。これらの溶剤は、その沸点が一致するので、蒸留再生槽6で蒸留再生されて、蒸気洗浄槽3において再利用される。なお、蒸気洗浄槽3や蒸留再生槽は、真空ポンプによって適宜に減圧される。更に、水を含有する非引火性の洗浄剤Wで蒸気洗浄することも可能である。
【0049】
また、蒸留システムSYSについても、不図示の真空ポンプによって適宜に減圧されて運転される。
【0050】
図示の通り、実施例の洗浄剤Wは、第二超音波洗浄槽2⇒リザーブタンク5⇒循環ポンプP⇒異物除去フィルターF⇒第二超音波洗浄槽2の経路で循環すると共に、第一超音波洗浄槽1⇒リザーブタンク4⇒循環ポンプP⇒異物除去フィルターF⇒第一超音波洗浄槽1の経路でも循環している。
【0051】
そして、使用後の洗浄剤Wは、バッチ処理的にリザーブタンクから蒸留システムSYSに供給され、減圧下で、混合溶剤と水とに分留される。そして、汚れ分の濃縮液が全量廃棄される一方、再生された混合溶剤と水は、第二超音波洗浄槽2(又はそのリザーブタンク5)に供給され、第二超音波洗浄槽2でオーバフローした洗浄剤は、第一超音波洗浄槽に導入される。
【0052】
そのため、第二超音波洗浄槽1や、第一超音波洗浄槽1の洗浄剤Wの汚染度を、常に所定レベル以下に維持することができる。なお、再生された混合溶剤や水を、第一超音波洗浄槽1(又はそのリザーブタンク4)に供給しても良いのは勿論である。
【0053】
図2は、多重効用型バッチ蒸留システムSYSをより詳細に示す図面である。図示の通り、この蒸留システムSYSは、リザーブタンク4から使用後の洗浄剤Wを受けるリボイラー10と、リボイラー10からの蒸気を受ける蒸留塔11と、20℃程度に維持されたコンデンサ17を経由した蒸留塔11からの留出液を受け、これを蒸留塔11に還流可能に構成された還流槽12と、蒸留塔11からの缶出液を受け、これをリボイラー10に還流可能に構成された中間槽13と、を中心に構成されている。そして、蒸留塔11は、定常的には、全還流運転される。
【0054】
この蒸留システムSYSは、沸点100℃の水と、沸点200℃程度の混合溶剤の2成分系であり、リボイラー10と蒸留塔11とで2段の蒸留塔に設計されている。また、還流槽12に、真空ポンプ16を接続することで、100℃〜150℃、0.1atmに設計された蒸留塔を構成している。
【0055】
リボイラー10への導入液W(洗浄劣化液)は、加熱状態のオイルタンク14に収容された熱媒体オイルによって加熱され、リボイラー10の濃縮液は、排出可能に構成されている。なお、オイルタンク14には、オイル膨張タンクTN1が接続されて、熱膨張した熱媒体オイルを受け止めている。
【0056】
所定時間の全還流運転によって、還流槽12に回収された水と、中間槽13に回収された混合溶剤は、室温レベルまで冷却された後、例えば、リザーブタンク4(又はリザーブタンク5)に回収される。なお、このとき、洗浄剤Wには、補充タンクTN2から、必要量の水が補充されるので非引火性を維持することができる。
【0057】
ここで、蒸留システムSYSの一連の動作を確認すると以下の通りである。先ず、リザーブタンク4との接続を閉じた状態で、系全体を0.1atm程度に真空引きした上でリザーブタンク4との接続を開き、リザーブタンク4からリボイラー10に、使用後の洗浄液W(劣化液)を導入する。
【0058】
次に、リボイラー10の加熱動作を開始し、還流槽12や中間槽13が所定のホールドアップ状態で全還流運転を開始する。その後、所定の運転時間が完了すればリボイラー10の加熱動作を停止する。
【0059】
次に、リザーブタンク4との接続を閉じ、還流槽12と中間槽13を室温レベルまで冷却する。その後、系全体を大気開放した上で、還流槽12と中間槽13に回収された再生液を、補充タンクTN2からの補充液と共にリザーブタンク4に移動させる。また、リボイラー10の濃縮液を廃棄してバッチ処理を終える。
【0060】
なお、図2では、蒸留システムSYSを超音波洗浄槽に配置したが、他の浸漬洗浄槽あるいはスプレー洗浄槽を含め、配置対象が特に限定されないことは言うまでもない。また、蒸留システムSYSは、これをより簡易的に構成することもできる。
【0061】
<蒸留再生システム2>
図3は、バッチ式単蒸留方式を採った蒸留システムSYSを示しており、図2と同一の構成要素には同一の符号を付している。図示の通り、この蒸留システムでは、減圧ラインを省略して、常圧下で、混合液と水を蒸留再生している。
【0062】
そして、コンデンサ17の出力側には、水貯留槽TN3と溶剤貯留槽TN4とが並列的に配置され、接続関係が時間的に切替されることで、何れか一方だけがコンデンサ17に接続されるよう構成されている。この接続関係は、例えば、コンデンサ入力側の蒸気温度で管理され、蒸気温度が100℃を維持するタイミングでは、コンデンサ17の出力が水貯留槽TN3に導入され、その後、蒸気温度が100℃を超えた後は、コンデンサ17の出力が溶剤貯留槽TN4に導入される。
【0063】
例えば、溶剤の沸点が200℃程度の場合には、蒸気温度が200℃程度を維持した後、実質的な蒸留再生動作が完了すると、蒸気温度の降下が始まるので、蒸気温度の所定の温度降下時に蒸留再生処理を終えれば良い。
【0064】
そして、再生された混合溶剤と水とは、必要量の水を補給した状態で、例えば、リザーブタンク4又はリザーブタンク5に供給される。なお、ここでは、常圧下での動作を説明したが、図2の場合と同様に、減圧ラインを設けて、使用後の洗浄液W(劣化液)を低温沸騰させる構成を採っても良いのは勿論である。この場合には、引火性の洗浄剤NW(第1群の実施例)について、蒸留再生することもできる。
【0065】
<蒸留再生システム3>
図4は、連続式単蒸留方式を採った蒸留システムSYSであり、蒸留塔11に、使用後の洗浄液W(劣化液)を導入する機器構成を示している。この機器構成では、蒸留塔11の劣化液は、減圧下、低温沸騰して、その蒸気が蒸留塔の充填物を通過してコンデンサ17に導入される。なお、コンデンサ17としては、スパイラル型のものが好適に使用される。
【0066】
そして、コンデンサ17で凝縮した再生液は、デカンタなどの貯液槽20を経由して、調整タンクTN5に回収される。また、調整タンクTN5の再生液については、比重計測部21によって比重が管理されており、必要量の水が補充されることで、所定の液組成が維持される。
【0067】
なお、図4の機器構成の場合にも、引火性の洗浄剤NW(第1群の実施例)について、蒸留再生することもできるのは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
SYS 蒸留システム
10 リボイラー
11 蒸留塔
12 還流槽
13 中間槽
図1
図2
図3
図4