(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)とを少なくとも重合してなるフッ素含有ポリマーと溶剤(C)とを含有するフッ素含有ポリマー組成物であって、
前記フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)として、環構造を含む(メタ)アクリレートモノマーと、環構造を含まずかつ(メタ)アクリレート以外の部分にヘテロ原子を含まない(メタ)アクリレートモノマーとを含有し、
前記溶剤(C)として、炭素数9〜16のアルカン及び炭素数8〜16の脂肪族環構造を含む炭化水素から選択された1種又は2種以上からなる、引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(C1)と、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコールから選択されたジオール化合物の誘導体であって、ジオール化合物の一つの末端の水酸基がアルキルエーテルで置換され、他方の末端がアルキルエステルで置換された化合物、及び前記ジオール化合物の両末端の水酸基がアルキルエーテルで置換された化合物から選択された1種又は2種以上からなるジオール化合物誘導体(C2)
とを含有することを特徴とするフッ素含有ポリマー組成物。
Rf−(X)m−O−C(=O)−C(Y)=CH2 …(1)
但し、式(1)においてRfは炭素数6以下のフルオロアルキル基を示し、Xは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、mは0又は1の数を示す。
前記フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)として、環構造を含まずアミノ基を含む(メタ)アクリレートモノマーをさらに用いることを特徴とする、請求項1に記載のフッ素含有ポリマー組成物。
前記フッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)との含有割合が、質量比で(A)/(B)=30/70〜80/20の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素含有ポリマー組成物。
前記フッ素含有モノマー(A)、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)、引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(C1)、ジオール化合物誘導体(C2)、及び重合開始剤を混合して混合物となす工程と、
前記混合物を40〜120℃に加熱して、前記フッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)とを重合させて前記フッ素含有ポリマーとなす工程とを有する
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ素含有ポリマー組成物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、C
8F
17基を有するフッ素含有ポリマーが撥水撥油剤等に用いられてきた。これらC
8F
17基を有するフッ素含有ポリマーは分解物の毒性が懸念されるため、C
6F
13基やC
4F
9基含有物への代替が求められている。
【0003】
しかし、C
6F
13基やC
4F
9基を含有するポリマーは、従来のC
8F
17基含有物と比較して、撥水撥油性に劣る傾向があり、この問題に対して、例えば特許文献1では、これらの基を有するフッ素系モノマーを炭素及び水素からなる環状部分を有する非フッ素系モノマーと所定の割合で共重合させ、そのフッ素系重合体をヘプタンやヘキサン等のフッ素非含有炭化水素系溶剤に溶解させてコーティング剤とすることを開示している。
【0004】
しかし、これらの溶剤は上記のようなフッ素系重合体の溶解性に優れるものの、引火点が低く、ヘプタンは引火点が−4℃であり、イソヘキサンは−20℃以下であり、いずれも危険物第4類第1石油類に分類され、安全性確保のために使用上多くの制約がある。
【0005】
これらの溶剤を、引火点のより高い炭化水素系溶剤に変更すると、撥水性及び撥油性が低下するのが確認されており、有害性が懸念されるC
8F
17基を有するフッ素含有ポリマーや、引火点が低く危険性の高い溶剤を使用せず、従来と同等以上の撥水撥油効果が得られる撥水撥油剤は得られていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、C
6F
13基のような比較的短いフルオロアルキル基をもつフッ素含有ポリマーを用い、引火点が低い溶剤を使用せずに、優れた撥水撥油性を発揮できるフッ素含有ポリマー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフッ素含有ポリマー組成物(以下、「ポリマー組成物」と略称する場合もある)は、下記一般式(1)で示されるフッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)とを少なくとも重合してなるフッ素含有ポリマーと溶剤(C)とを含有するポリマー組成物であって、
フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)として、環構造を含む(メタ)アクリレートモノマーと、環構造を含まずかつ(メタ)アクリレート以外の部分にヘテロ原子を含まない(メタ)アクリレートモノマーとを含有し、溶剤(C)として、炭素数9〜16のアルカン及び炭素数8〜16の脂肪族環構造を含む炭化水素から選択された1種又は2種以上からなる、引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(C1)と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコールから選択されたジオール化合物の誘導体であって、ジオール化合物の一つの末端の水酸基がアルキルエーテルで置換され、他方の末端がアルキルエステルで置換された化合物、及びジオール化合物の両末端の水酸基がアルキルエーテルで置換された化合物から選択された1種又は2種以上からなるジオール化合物誘導体(C2)とを含有するものとする。
【0009】
Rf−(X)
m−O−C(=O)−C(Y)=CH
2 …(1)
但し、式(1)において、Rfは炭素数6以下のフルオロアルキル基を示し、Xは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、mは0又は1の数を示す。
【0010】
上記ポリマー組成物においては
、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)として、環構造を含まずアミノ基を含む(メタ)アクリレートモノマーをさらに用いることが好ましい。
【0011】
上記脂肪族炭化水素(C1)とジオール化合物誘導体(C2)との割合は、質量比で30/70〜90/10の範囲内であることが好ましい。
【0012】
また、上記ジオール化合物誘導体(C2)は、フッ素含有モノマー(A)100質量部に対して10〜500質量部含有することが好ましい。
【0013】
また、上記フッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)との含有割合は、質量比で(A)/(B)=30/70〜80/20の範囲内であることが好ましい。
【0014】
本発明のフッ素含有ポリマー組成物の製造方法は、フッ素含有モノマー(A)、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)、引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(C1)、ジオール化合物誘導体(C2)、及び重合開始剤を混合して混合物となす工程と、この混合物を40〜120℃に加熱して、フッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)とを重合させてフッ素含有ポリマーとなす工程とを有する方法とする。
【0015】
本発明の撥水撥油剤は、本発明のフッ素含有ポリマー組成物を含有するものとする。
【0016】
本発明の繊維製品は、本発明の撥水撥油剤で基材を処理して得られるものとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のポリマー組成物によれば、C
6F
13基のような比較的短いフルオロアルキル基をもつフッ素含有ポリマーを用いながら、引火点が低く危険性の高い溶剤を使用しなくても、従来と同等以上の撥水撥油効果が得られる撥水撥油剤が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明で用いるフッ素含有モノマー(A)は、次の一般式(1)で表される構造を有するものである。
【0019】
Rf−(X)
m−O−C(=O)−C(Y)=CH
2 …(1)
式(1)においてRfは炭素数6以下のフルオロアルキル基を表し、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基(C
nF
2n+1、n=1〜6)が好ましく、その炭素数(n)は4〜6がより好ましい。
【0020】
Xは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
【0021】
mは0又は1の数であり、1が好ましい。
【0023】
上記一般式(1)で表されるフッ素含有モノマーの具体例としては、m=0のアクリレートでは、CF
3−O−C(=O)−CH=CH
2、C
2F
5−O−C(=O)−CH=CH
2、C
3F
7−O−C(=O)−CH=CH
2、C
4F
9−O−C(=O)−CH=CH
2、C
5F
11−O−C(=O)−CH=CH
2、C
6F
13−O−C(=O)−CH=CH
2等が挙げられ、m=0のメタクリレートでは、CF
3−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
2F
5−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
3F
7−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
4F
9−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
5F
11−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
6F
13−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2等が挙げられる。また、m=1のアクリレートでは、C
4F
9−CH
2−O−C(=O)−CH=CH
2、C
5F
11−CH
2−O−C(=O)−CH=CH
2、C
6F
13−CH
2−O−C(=O)−CH=CH
2、C
4F
9−C
2H
4−O−C(=O)−CH=CH
2、C
5F
11−C
2H
4−O−C(=O)−CH=CH
2、C
6F
13−C
2H
4−O−C(=O)−CH=CH
2、C
4F
9−C
3H
6−O−C(=O)−CH=CH
2、C
5F
11−C
3H
6−O−C(=O)−CH=CH
2、C
6F
13−C
3H
6−O−C(=O)−CH=CH
2、C
4F
9−C
4H
8−O−C(=O)−CH=CH
2、C
5F
11−C
4H
8−O−C(=O)−CH=CH
2、C
6F
13−C
4H
8−O−C(=O)−CH=CH
2等が挙げられ、m=1のメタクリレートでは、C
4F
9−CH
2−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
5F
11−CH
2−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
6F
13−CH
2−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
4F
9−C
2H
4−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
5F
11−C
2H
4−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
6F
13−C
2H
4−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
4F
9−C
3H
6−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
5F
11−C
3H
6−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
6F
13−C
3H
6−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
4F
9−C
4H
8−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
5F
11−C
4H
8−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
6F
13−C
4H
8−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2等が挙げられる。
【0024】
これらの中でも、C
4F
9−C
2H
4−O−C(=O)−CH=CH
2、C
6F
13−C
2H
4−O−C(=O)−CH=CH
2、C
4F
9−C
2H
4−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2、C
6F
13−C
2H
4−O−C(=O)−C(CH
3)=CH
2が好ましい。
【0025】
次にフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)は、特に限定されず、環構造(脂環又は芳香環)を含むモノマー、環構造を含まないモノマーのいずれも使用可能である。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0026】
環構造を含む(メタ)アクリレートモノマー(i)のうち、脂環含有モノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、芳香環含有モノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
環構造を含まない(メタ)アクリレートモノマーの例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート等のメタアクリレート以外の部分にヘテロ原子を含まない脂肪族モノマー(ii)が挙げられる。
【0028】
上記(i)及び(ii)以外の(メタ)アクリレートモノマー(iii)としては、アミノ基含有(メタ)アクリレートモノマー、オキシアルキレン基含有(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
【0029】
アミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーの例としては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0030】
オキシアルキレン基含有(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
また、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、N−メチロール(メタ)アクリル酸アミド、ジアセトン(メタ)アクリル酸アミド、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンを有する(メタ)アクリレート等も使用できる。
【0032】
フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)としては、上記環構造を含むモノマー(i)と環構造を含まないモノマー(ii)とを併用することが好ましく、さらに上記その他のモノマー(iii)、特にアミノ基含有(メタ)アクリレートモノマーを用いることがより好ましい。
【0033】
上記フッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)との含有割合(A)/(B)は、質量比で30/70〜80/20が好ましく、40/60〜70/30がより好ましい。この範囲内とすることにより、撥水性及び撥油性をより優れるものとすることができる。
【0034】
また、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)100質量部中、環構造を含むモノマー(i)は20〜80質量部が好ましく、30〜70質量部がより好ましい。ヘテロ原子を含まない脂肪族モノマー(ii)は、同100質量部中10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましい。また(i)及び(ii)以外の(メタ)アクリレートモノマー(iii)を用いる場合、その使用量は同100質量部中0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。これらの範囲内とすることにより、撥水性及び撥油性がともに優れるものとなる。
【0035】
フッ素含有ポリマー(A)の重量平均分子量は、ポリエチレングリコール(PEG)換算値で、5,000〜100,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。
【0036】
本発明のポリマー組成物には、溶剤(C)として、炭素数9〜16のアルカン及び炭素数8〜16の脂肪族環構造を含む炭化水素から選択された1種又は2種以上からなる、引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(以下、単に「脂肪族炭化水素」と記載する場合もある)(C1)とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコールから選択されたジオール化合物の誘導体であって、ジオール化合物の一つの末端の水酸基がアルキルエーテルで置換され、他方の末端がアルキルエステルで置換された化合物、及び前記ジオール化合物の両末端の水酸基がアルキルエーテルで置換された化合物から選択された1種又は2種以上からなるジオール化合物誘導体(C2)とを少なくとも共に含有する。
【0037】
引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(C1)の例としては、ノナン(35℃)、デカン(51℃)、ウンデカン(69℃)、ドデカン(87℃)、トリデカン等のアルカン、プロピルシクロヘキサン(35℃)、イソプロピルシクロヘキサン(35℃)、1−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサン(38℃)、ブチルシクロヘキサン(41℃)、t−ブチルシクロヘキサン(42℃)、1,1,3,5−テトラメチルシクロヘキサン(52℃)、シクロオクタン(30℃)、シクロデカン(65℃)、デカヒドロナフタレン(58℃)等のシクロアルカンが挙げられる(化合物名の後のカッコ内は引火点を示す)。
【0038】
また、一般にナフテン系溶剤(ナフテン系炭化水素)と呼ばれる分子中に脂肪族環構造を有する飽和炭化水素の混合物も使用可能であり、例えば、Exxsol D40やD60(エクソンモービル社製)、Shellsol D40やD60(シェル社製)、Hydrosol P150や180(ARAL社製)なども使用可能である。
【0039】
さらに、一般に炭化水素系溶剤(パラフィン系炭化水素)と呼ばれる脂肪族炭化水素の混合物も使用可能であり、例えば、NSクリーン100(JX日鉱日石エネルギー(株)製)、アイソパーG(エクソンモービル社製)、ノルパー13(エクソンモービル社製)、シェルゾールTG(シェル社製)なども使用可能である。
【0040】
これら引火点21℃以上の炭化水素(C1)は、1種を単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。上記の中でも、炭素数9〜13のアルカン及び炭素数8〜13のシクロアルカンが好ましい。
【0041】
次に、ジオール化合物誘導体(C2)の例としては、ジオール化合物の末端水酸基の一方がアルキルエーテル、他方がアルキルエステルであるもの、または、両末端がアルキルエーテルであるものが挙げられ、ジオール化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等などが挙げられる。
【0042】
より具体的には、エチレングリコール系では、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0043】
プロピレングリコール系では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0044】
ジエチレングリコール系では、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0045】
ジプロピレングリコール系では、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0046】
なお、例えば上記脂肪族炭化水素(C1)の例示列挙に含まれるオレフィン系やパラフィン系の炭化水素は、本発明で規定した範囲外の炭素数を有し、引火点が21℃未満の化合物をその一部に含む場合もあるが、そのような溶剤を用いた場合でも、溶剤(C)としての引火点が21℃未満とならず、かつ本発明の趣旨を離れない範囲であれば、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0047】
また、上記脂肪族炭化水素(C1)とジオール化合物誘導体(C2)との割合は、質量比で、30/70〜90/10の範囲内であることが好ましい。より詳細には、フッ素含有ポリマーの重合時には、30/70〜70/30が好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。重合により得られたポリマー組成物を重合後に保存する場合、その保存中の上記割合は、50/50〜90/10が好ましく、60/40〜80/20がより好ましい。ポリマー組成物を撥水撥油剤として使用する際には、上記割合は99.9/0.1〜90/10が好ましく、99.5/0.5〜95/5がより好ましい。また、ジオール化合物誘導体(C2)の含有量は、フッ素含有ポリマー100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。
【0048】
各成分の割合を上記の範囲とすることにより、撥水性及び撥油性をより向上させることができる。なお、未希釈の上記重合生成物も保存用に希釈したものも共に本発明の「ポリマー組成物」に含まれ、撥水撥油処理用に希釈した液(希釈液、加工液)は、本発明の目的とする効果が得られる限り、その濃度を問わず、本発明の「撥水撥油剤」に含まれることとする。
【0049】
次に本発明のポリマー組成物の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、上記フッ素含有モノマー(A)、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)、引火点21℃以上の炭化水素(C1)、ジオール化合物誘導体(C2)、及び重合開始剤を少なくとも混合する工程と、この混合物を40〜120℃に加熱して、フッ素含有モノマー(A)とフッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)とを少なくとも重合させる工程とを少なくとも有する。
【0050】
重合は、上記の通り、脂肪族炭化水素(C1)とジオール化合物誘導体(C2)とを質量比で、好ましくは30/70〜70/30、より好ましくは40/60〜60/40の割合で含む溶剤中で行うことにより、撥水性と撥油性がより優れるポリマー組成物が得られる。
【0051】
重合方法は、溶液重合が好ましい。重合温度は、特に限定されないが、通常は40〜120℃の範囲が好ましい。重合時間は、特に限定されないが、通常は4〜15時間程度である。重合後のポリマー組成物は、必要に応じて溶剤で希釈することができ、溶剤としては上記脂肪族炭化水素(C1)とジオール化合物誘導体(C2)が好適に用いられるが、それ以外の溶剤を混合することも可能である。
【0052】
重合開始剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。その使用量は特に限定されないが、通常は、モノマー(A)と(B)との合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。
【0053】
重合で得られたポリマー組成物は、上記フッ素含有ポリマーと溶剤(C)とを含有し、上記の通りそのまま使用することもでき、必要に応じて溶剤で希釈することもできる。その場合の溶剤としては上記脂肪族炭化水素(C1)とジオール化合物誘導体(C2)が好ましいが、それ以外の溶剤も使用可能である。
【0054】
本発明のポリマー組成物には、発明の目的に反しない範囲で、他の撥水剤、その他の撥油剤、架橋剤、防虫剤、難燃剤、防シワ剤、帯電防止剤、柔軟仕上げ剤、防腐剤、芳香剤、酸化防止剤を必要に応じ含有させることができる。
【0055】
上記本発明のポリマー組成物を、撥水撥油剤として使用する際には、必要に応じて溶剤で希釈し、その際の溶剤も上記溶剤(C)が好ましく、脂肪族炭化水素(C1)がより好ましい。すなわち、上記の通り、脂肪族炭化水素(C1)とジオール化合物誘導体(C2)との割合が、質量比で、好ましくは99.9/0.1〜90/10、より好ましくは99.5/0.5〜95/5となるように脂肪族炭化水素(C1)を加えて希釈液とする。撥水撥油処理の対象が例えば繊維の場合は、希釈液に浸漬して、マングルなどで絞り、さらに加熱処理する方法を用いることができる。あるいはスプレー等で塗布して、加熱処理する方法も用いることができる。
【0056】
本発明の撥水撥油剤による処理対象は繊維に限定されず、皮革、石材、木材、紙、ガラス、プラスチック、金属、電子基板等を含む種々の物品に使用することができる、処理対象に応じた付与方法を適宜選択すればよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「部」又は「%」とあるのは特に指定しない限り、質量基準とする。
【0058】
(使用原料)
・フッ素含有モノマー(A)
(A−1)パーフルオロブチルエチルメタクリレート(Rf=C
4F
9、X=C
2H
4、Y=CH
3)
(A−2)パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート(Rf=C
6F
13、X=C
2H
4、Y=CH
3)
【0059】
・フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)
(B−1)シクロヘキシルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名:ビスコート#155)
(B−2)イソボルニルアクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートIB−XA)
(B−3)ステアリルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルS)
(B−4)イソデシルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルID)
(B−5)2−エチルヘキシルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルEH)
(B−6)ベンジルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルBZ)
(B−7)ジエチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステルDE)
【0060】
・引火点21℃以上の炭化水素(C1)
(C1−1)ナフテン系溶剤(エクソンモービル社製、商品名:エクソール D40、引火点47℃)
(C1−2)ナフテン系溶剤(エクソンモービル社製、商品名:エクソール D60、引火点68℃)
(C1−3)炭化水素系溶剤(JX日鉱日石エネルギー(株)製、商品名:NSクリーン100、引火点53℃)
【0061】
・ジオール化合物誘導体(C2)
(C2−1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート((株)クラレ製、商品名:PGM−AC)
(C2−2)プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート((株)クラレ製、商品名:PE−AC)
(C2−3)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート((株)ダイセル製、商品名:BMGAC)
【0062】
[実施例1〜10]
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流管を備えた反応容器に、表1に記載の割合でフッ素モノマー(A)、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリレートモノマー(B)及び溶剤(C)を加え、窒素置換を行った。続いて、t−ブチルパーオキシピバレート(日油(株)製、商品名:パーブチルPV)を、上記モノマー(A)及び(B)の合計量100質量部に対して3質量部となるように加え、65℃で8時間反応させた。得られた反応物(フッ素含有ポリマー組成物)を、反応に用いたものと同じ引火点21℃以上の脂肪族炭化水素(C1)で希釈して、固形分15質量%の本発明のポリマー組成物を得た。
【0063】
[比較例1〜3]
表1に記載の使用原料や配合量とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、フッ素含有ポリマー組成物を得た。
【0064】
<評価方法>
外観:上記固形分15質量%に希釈したフッ素含有ポリマー組成物、及びこれを反応に用いたものと同じ引火点21℃以上の炭化水素(C1)で20倍に希釈した希釈液について、濁りの有無を目視にて確認した。
【0065】
安定性:上記固形分15質量%に希釈したフッ素含有ポリマー組成物を−5℃で24時間静置し、液の分離の有無を確認した。
【0066】
撥水性:上記固形分15質量%に希釈したフッ素含有ポリマー組成物を反応に用いたものと同じ引火点21℃以上の炭化水素(C1)で20倍に希釈して加工液を調整した。また、30cm×30cmに裁断した布(アクリル布、綿布、ポリエステル布、絹布及びウール布)をα−オレフィンスルホン酸ソーダ(ライオン(株)製、商品名:リポランLB440)の0.05%水溶液で洗浄し、大量の水で十分にすすいだあと、12時間風乾することにより、試験布を作製した。この試験布を加工液300mLに5分間浸漬した後、脱液機((株)コクサン製、商品名:遠心分離機 H−120A)で60秒間脱液処理を行い、さらに12時間風乾することにより、加工布を作製した。この加工布を用いて、JIS L 1092に準じて撥水度試験(スプレー試験)を行った。結果を表1に示す。
【0067】
撥油性:撥水性と同様に作製した試験布を用いて、AATCC 118法に準じて撥油試験を行った。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示された結果から、(C2)ジオール化合物誘導体を使用した実施例の組成物は、これを使用しない比較例の組成物と比較して、いずれも撥水撥油性付与効果が顕著に優れることが分かる。