特許第6266300号(P6266300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6266300-工作機械 図000002
  • 特許6266300-工作機械 図000003
  • 特許6266300-工作機械 図000004
  • 特許6266300-工作機械 図000005
  • 特許6266300-工作機械 図000006
  • 特許6266300-工作機械 図000007
  • 特許6266300-工作機械 図000008
  • 特許6266300-工作機械 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266300
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20180115BHJP
   G05B 19/4061 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G05B19/18 X
   G05B19/4061 M
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-221045(P2013-221045)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-82285(P2015-82285A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年8月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】矢幅 寛
(72)【発明者】
【氏名】曽我 崇明
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−055702(JP,A)
【文献】 特開2003−202909(JP,A)
【文献】 特開2010−131722(JP,A)
【文献】 特開平05−204419(JP,A)
【文献】 特開2003−058216(JP,A)
【文献】 特開平03−220604(JP,A)
【文献】 特開2006−004128(JP,A)
【文献】 特開2008−015740(JP,A)
【文献】 特開平08−263116(JP,A)
【文献】 特公昭56−029284(JP,B1)
【文献】 特開平10−039912(JP,A)
【文献】 特開2009−134542(JP,A)
【文献】 特開2010−176432(JP,A)
【文献】 特開2013−200766(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0018287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/416
G05B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の移動構造体と、該移動構造体を駆動する駆動機構部と、該駆動機構部の作動を制御する数値制御部と、前記移動構造体を移動させるために設定された操作信号であって、少なくとも移動終点が関連付けられた操作信号を入力する専用の操作キーを備え、該操作キーから前記数値制御部に前記操作信号を入力する外部入力部と、画像を表示する表示部と、該表示部における表示を制御する表示制御部と、前記外部入力部から入力される信号を処理する入力制御部とを備えた工作機械において、
前記工作機械は、更に、前記外部入力部から前記操作信号が入力されると、該操作信号を前記外部入力部から受信して、予め定められた複数の設定条件に従い、該操作信号に対応する前記移動構造体を、現在位置から該操作信号に対応した移動終点に移動させるための複数の移動経路を設定する移動経路設定部を備えるとともに、
前記表示制御部は、前記移動経路設定部によって設定された複数の移動経路に係る画像を前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記外部入力部は、更に、前記表示部に表示される複数の移動経路から1つの移動経路を選択する選択信号を入力するための選択キーを備え、
前記入力制御部は、前記外部入力部から選択信号が入力されると、選択された移動経路に係る位置データ及び実行信号を前記数値制御部に送信するように構成され、
前記数値制御部は、前記移動経路に係る位置データ及び実行信号を受信して、該移動経路に沿って前記移動構造体を移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項3】
前記移動経路設定部は、少なくとも移動時間が最短となる移動経路を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の工作機械。
【請求項4】
前記移動経路設定部は、前記設定する移動経路として、少なくとも単一の移動軸に沿った一以上の経路を連結した単軸移動経路を設定するように構成され、
前記表示制御部は、前記単軸移動経路を表示するに当たり、該単軸移動経路に係る画像、及び該単軸移動経路を構成する前記経路に対応した前記移動軸に係る画像を前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2の工作機械。
【請求項5】
前記移動構造体に係るモデルデータを少なくとも記憶したモデルデータ記憶部を更に備え、
前記表示制御部は、前記モデルデータ記憶部に記憶されたモデルデータを基に、前記移動構造体の画像を生成して前記表示部に表示するように構成されるとともに、前記移動経路設定部によって設定された移動経路に従って前記移動構造体を移動させる画像を生成して、前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの工作機械。
【請求項6】
前記移動構造体に係るモデルデータ、及び前記移動構造体の可動領域内で前記移動構造体と干渉する可能性のある他の構造体に係るモデルデータを少なくとも記憶したモデルデータ記憶部を更に備え、
前記移動経路設定部は、前記モデルデータ記憶部に記憶されたモデルデータを読み出して、前記移動構造体及び他の構造体に係るモデルを、前記移動構造体の移動前の位置関係となるように仮想空間内に配置した仮想モデルを生成した後、前記仮想空間内で、前記設定した移動経路に沿ってそれぞれ対応する前記移動構造体のモデルを移動させて、該移動構造体と干渉する構造体があるか否かを検証する処理と、干渉が生じる場合には、干渉を回避する回避経路を設定した後、設定した回避経路を辿るように該移動経路を変更する処理とを行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの工作機械。
【請求項7】
前記移動構造体に係るモデルデータ、及び前記移動構造体の可動領域内で前記移動構造体と干渉する可能性のある他の構造体に係るモデルデータを少なくとも記憶したモデルデータ記憶部を更に備え、
前記移動経路設定部は、前記モデルデータ記憶部に記憶されたモデルデータを読み出して、前記移動構造体及び他の構造体に係るモデルを、前記移動構造体の移動前の位置関係となるように仮想空間内に配置した仮想モデルを生成した後、前記仮想空間内で、前記設定した各移動経路に沿ってそれぞれ対応する前記移動構造体のモデルを移動させて、該移動構造体と干渉する構造体があるか否かを検証した後、干渉を生じない移動経路を選定するように構成され、
前記表示制御部は、前記移動経路設定部によって非干渉経路として選定された移動経路に係る画像のみを前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの工作機械。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記モデルデータ記憶部に記憶された前記移動構造体に係るモデルデータを基に、前記移動構造体の画像を生成して前記表示部に表示するように構成されるとともに、前記移動経路設定部によって設定された移動経路に従って前記移動構造体を移動させる画像を生成して、前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする請求項6又は7記載の工作機械。
【請求項9】
前記表示部は、タッチパネルから構成され、
前記移動終点は、前記タッチパネルから入力される位置信号によって特定されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8記載のいずれかの工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一以上の移動構造体、この移動構造体を駆動する駆動機構部、及び駆動機構部の作動を制御する数値制御部を備えた工作機械に関し、より詳しくは、移動構造体を移動させるために設定された操作信号であって、少なくとも移動終点が関連付けられた操作信号を入力する専用の操作キーを備え、この操作キーから入力される操作信号に従って前記移動構造体を移動させるように構成された工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
移動構造体を備え、この移動構造体が数値制御される産業機械の分野では、当該移動構造体は、数値制御の下、予め定められた機械原点を基準とした位置に位置決めされる。また、NCプログラムに従って前記移動構造体を動作させる際には、通常、その動作開始位置が前記機械原点に設定されている。したがって、NCプログラムを起動する前には、その準備として、前記移動構造体を機械原点に復帰させておく必要がある。
【0003】
そして、前記移動構造体を機械原点に復帰させる手法の一つとして、従来、特開2000−137514号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。この特許文献1に開示される原点復帰方法は、NCプログラムに従って制御される産業用ロボットに関するもので、当該ロボットの所定目標位置への移動がサブプログラムによって制御されるとともに、各目標位置から前記機械原点へ復帰させるための動作プログラムが予め用意されており、ロボットの動作が或る目標位置に到達する前に途中で中断した場合には、当該ロボットを再起動する際に、まず、当該ロボットを中断した目標位置に移動させた後、当該目標位置から機械原点へ復帰させる動作プログラムを起動して、当該ロボットを機械原点に復帰させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−137514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、工作機械の場合、例えば刃物台などの移動構造体を位置決めすべき位置は加工対象物によって異なるため、極めて多様であり、上記従来のような、予め用意した動作プログラムによって機械原点に復帰させる方法を採用すると、無数の動作プログラムを用意しなければならず、現実的な対応とはならない。
【0006】
そこで、工作機械の分野では、従来、操作盤などに設けられた原点復帰キーから原点復帰の指令が入力されると、予め用意した動作プログラムによって原点復帰させるのではなく、例えば、2軸制御の場合には、前記数値制御部による制御の下、各軸を同速で駆動するといった、予め定められた設定条件に従って移動構造体を移動させ、前記機械原点に復帰させるようにしていた。
【0007】
ところが、近年では、工作機械の複合加工化が進んでおり、このような工作機械では、或る移動構造体の可動領域内にこれと干渉するような構造体が存在する、或いは当該可動領域内に他の移動構造体が存在するといった状態が通常になっている。この場合、オペレータが目視による十分な干渉確認を行わないで原点復帰操作を行うと、移動構造体と他の構造体とが干渉する、或いは移動構造体同士が干渉するといった重大な事故を引き起こしかねない。
【0008】
また、工作機械の分野では、前記機械原点に限らず、オペレータが任意の位置を指定して、当該指定位置に移動させるための指令を適宜入力することにより、前記移動構造体を当該指定位置に移動させるといったことが行われているが、この場合にも、原点復帰操作と同様、安全のより的確な確認が求められる。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、移動構造体を所定位置に移動させる際に、その安全をより的確に確認することができるように構成された工作機械の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、一以上の移動構造体と、該移動構造体を駆動する駆動機構部と、該駆動機構部の作動を制御する数値制御部と、前記移動構造体を移動させるために設定された操作信号であって、少なくとも移動終点が関連付けられた操作信号を入力する専用の操作キーを備え、該操作キーから前記数値制御部に前記操作信号を入力する外部入力部と、画像を表示する表示部と、該表示部における表示を制御する表示制御部と、前記外部入力部から入力される信号を処理する入力制御部とを備えた工作機械において、
前記工作機械は、更に、前記外部入力部から前記操作信号が入力されると、該操作信号を前記外部入力部から受信して、予め定められた設定条件に従い、該操作信号に対応する前記移動構造体を、現在位置から該操作信号に対応した移動終点に移動させるための移動経路を設定する移動経路設定部を備えるとともに、
前記表示制御部は、前記移動経路設定部によって設定された移動経路に係る画像を前記表示部に表示するように構成された工作機械に係る。
【0011】
上記構成を備えた本発明に係る工作機械によれば、前記外部入力部の操作キーが押下され、当該外部入力部から前記操作信号が入力されると、まず、前記移動経路設定部により、予め定められた設定条件に従って、当該操作信号に対応する前記移動構造体を、現在位置から該操作信号に対応した移動終点に移動させるための移動経路が設定される。そして、このようにして設定された移動経路に係る画像が、前記表示制御部によって生成され、生成された画像が前記表示部に表示される。
【0012】
斯くして、この工作機械によれば、オペレータは、前記外部入力部から操作信号を入力した後、操作対象の移動構造体が、この操作によってどのように動作するかを、表示部に表示された移動経路を示す画像を確認することで認識することができる。そして、オペレータは、この移動経路に係る画像に併せて、操作対象の移動構造体や他の構造体の位置関係を目視等によって確認することにより、当該移動構造体を安全に移動させることができるかどうかを確認することができる。
【0013】
記設定条件としては、例えば、以下の条件を例示することができる。但し、これに限定されるものではない。
1)対象の移動構造体を移動させる移動軸が複数ある場合に、各移動軸について同じ速度で移動させる。
2)対象の移動構造体を移動させる移動軸が複数ある場合に、各移動軸について、優先順位を設けて、順次移動させる。例えば、移動軸がX軸,Y軸及びZ軸の直交3軸である場合に、X軸,Y軸,Z軸の順に移動させる等。
3)対象の移動構造体を移動させる移動軸が複数ある場合に、移動距離が最短距離となるように移動させる。
【0014】
尚、この工作機械において採り得る本発明とは別の態様として、前記外部入力部は、更に、前記操作信号に応じた前記移動構造体の移動を実行させるための信号を入力する実行キーを備え、
前記入力制御部は、前記外部入力部から入力される前記操作信号及び実行信号を、前記数値制御部に送信するように構成され、
前記数値制御部は、前記操作信号及び実行信号を受信して、前記移動構造体を、前記操作信号に応じた前記移動経路に沿って移動させるように構成されていても良い。
【0015】
この工作機械によれば、外部入力部の実行キーが押下され、当該外部入力部から実行信号が入力されると、この実行信号が前記操作信号とともに、前記入力制御部によって数値制御部に送信され、数値制御部による制御の下で、対応する移動構造体が、前記操作信号に応じた前記移動経路に沿って移動するように駆動される。
【0016】
かかる構成によれば、オペレータは、表示部に表示される移動経路画像に併せて、操作対象の移動構造体や他の構造体の実際の位置関係を確認して、当該移動構造体を安全に移動させることができるかどうかを確認した後、実行キーを押下することで、当該移動構造体を実際に移動させるようにすることができるので、当該移動構造体をより安全に移動させることができる。
【0017】
そして、本発明において、前記工作機械は、前記移動経路設定部が、予め定められた複数の設定条件に従って、前記移動構造体が、現在位置から操作信号に対応した移動終点に至るまでの複数の移動経路を設定するように構成され、
前記表示制御部は、前記移動経路設定部によって設定された複数の移動経路に係る画像を前記表示部に表示するように構成される。
また、本発明に係る工作機械において、前記外部入力部は、前記表示部に表示される複数の移動経路から1つの移動経路を選択する選択信号を入力するための選択キーを備え、
更に、前記入力制御部は、前記外部入力部から選択信号が入力されると、選択された移動経路に係る位置データ及び実行信号を前記数値制御部に送信するように構成され、
前記数値制御部は、前記移動経路に係る位置データ及び実行信号を受信して、該移動経路に沿って前記移動構造体を移動させるように構成されていても良い。
【0018】
この工作機械によれば、前記移動経路設定部によって、前記移動構造体を移動させる複数の移動経路が設定され、設定された複数の移動経路に係る画像が前記表示制御部によって前記表示部に表示される。そして、オペレータが、複数の移動経路から1つの移動経路を選択する選択信号を選択キーから入力すると、選択された移動経路に係る位置データ及び実行信号が前記数値制御部に送信され、この数値制御部による制御の下、当該移動経路に沿って前記移動構造体が移動する。
【0019】
このように、この工作機械によれば、オペレータは、表示される複数の移動経路の中から、例えば、より安全を重視した移動経路を選択する、或いは、より移動距離の短い移動経路を選択するというように、必要に応じて適宜選定した移動経路によって当該移動構造体を移動させることができる。
【0020】
尚、前記工作機械は、移動時間を重視した態様として、前記移動経路設定部が、少なくとも移動時間が最短となるような移動経路を設定するように構成されていても良い。
【0021】
また、前記工作機械は、その移動経路設定部が、前記設定する移動経路として、少なくとも単一の移動軸に沿った一以上の経路を連結した単軸移動経路を設定するように構成され、
前記表示制御部は、前記単軸移動経路を表示するに当たり、該単軸移動経路に係る画像、及び該単軸移動経路を構成する前記経路に対応した前記移動軸に係る画像を前記表示部に表示するように構成されていても良い。
【0022】
この工作機械によれば、単軸移動経路に係る画像と、各経路の移動軸に係る画像が表示されるので、オペレータは、操作対象の移動構造体が、どの移動軸方向にどの順に移動するかを、表示画像を一見することで容易に認識することができる。
【0023】
また、前記工作機械は、前記移動構造体に係るモデルデータを少なくとも記憶したモデルデータ記憶部を更に備え、前記表示制御部は、前記モデルデータ記憶部に記憶されたモデルデータを基に、前記移動構造体の画像を生成して前記表示部に表示するように構成されるとともに、前記移動経路設定部によって設定された移動経路に従って前記移動構造体を移動させる画像を生成して、前記表示部に表示するように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータは、設定された移動経路に沿って移動する前記移動構造体の画像を見ることで、当該移動構造体の移動状態を確認することができる。
【0024】
また、前記工作機械は、前記移動構造体に係るモデルデータ、及び前記移動構造体の可動領域内で前記移動構造体と干渉する可能性のある他の構造体に係るモデルデータを少なくとも記憶した前記モデルデータ記憶部を更に備え、
前記移動経路設定部は、前記モデルデータ記憶部に記憶されたモデルデータを読み出して、前記移動構造体及び他の構造体に係るモデルを、前記移動構造体の移動前の位置関係となるように仮想空間内に配置した仮想モデルを生成した後、前記仮想空間内で、前記設定した移動経路に沿ってそれぞれ対応する前記移動構造体のモデルを移動させて、該移動構造体と干渉する構造体があるか否かを検証する処理と、干渉が生じる場合には、干渉を回避する回避経路を設定した後、設定した回避経路を辿るように該移動経路を変更する処理とを行うように構成されていても良い。
【0025】
この工作機械によれば、前記移動経路設定部によって、移動経路が設定されるとともに、設定された移動経路に沿って移動構造体を移動させた際に、当該移動構造体と干渉する構造体があるか否かを検証する処理が実行され、干渉が生じる場合には、干渉を回避する回避経路が設定され、設定した回避経路を辿るように当該移動経路が変更されるので、操作対象の移動構造体を干渉が生じない移動経路で、安全に移動させることができる。
【0026】
また、前記工作機械は、前記移動構造体に係るモデルデータ、及び前記移動構造体の可動領域内で前記移動構造体と干渉する可能性のある他の構造体に係るモデルデータを少なくとも記憶した前記モデルデータ記憶部を更に備え、
前記移動経路設定部は、前記モデルデータ記憶部に記憶されたモデルデータを読み出して、前記移動構造体及び他の構造体に係るモデルを、前記移動構造体の移動前の位置関係となるように仮想空間内に配置した仮想モデルを生成した後、前記仮想空間内で、前記設定した各移動経路に沿ってそれぞれ対応する前記移動構造体のモデルを移動させて、該移動構造体と干渉する構造体があるか否かを検証した後、干渉を生じない移動経路を選定するように構成され、
前記表示制御部は、前記移動経路設定部によって非干渉経路として選定された移動経路に係る画像のみを前記表示部に表示するように構成されていても良い。
【0027】
この工作機械によれば、前記移動経路設定部によって、移動経路が設定されるとともに、設定された移動経路に沿って移動構造体を移動させた際に、当該移動構造体と干渉する構造体があるか否かが検証された後、干渉を生じない移動経路が選定され、選定された非干渉の移動経路に係る画像のみが前記表示部に表示されるので、操作対象の移動構造体を干渉が生じない移動経路で、安全に移動させることができる。
【0028】
また、前記干渉の有無を検証するように構成された工作機械において、前記表示制御部は、前記モデルデータ記憶部に記憶された前記移動構造体に係るモデルデータを基に、前記移動構造体の画像を生成して前記表示部に表示するように構成されるとともに、前記移動経路設定部によって設定された移動経路に従って前記移動構造体を移動させる画像を生成して、前記表示部に表示するように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータは、移動経路に沿って移動する前記移動構造体の画像を見ることで、当該移動構造体の移動状態を確認することができる。
【0029】
また、前記工作機械は、前記表示部が、タッチパネルから構成され、前記移動終点が、前記タッチパネルから入力される位置信号によって特定されるように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータは、操作対象に係る移動構造体の移動終点を、任意に、しかも簡単に設定することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上詳述したように、本発明に係る工作機械によれば、オペレータは、前記外部入力部から操作信号を入力した後、この操作によって、操作対象の移動構造体がどのように動作するかを、表示部に表示された移動経路を示す画像を確認することで容易に認識することができ、また、この移動経路に係る画像に併せて、操作対象の移動構造体や他の構造体の実際の位置関係を目視等によって確認することにより、当該移動構造体を安全に移動させることができるかどうかを確認することができる

【0031】
また、複数の移動経路の中から移動経路を選択するようにすれば、必要に応じて適宜選定した移動経路によって当該移動構造体を移動させることができる。
【0032】
また、移動構造体の移動経路を前記単軸移動経路とする場合には、当該単軸移動経路に係る画像と、各経路の移動軸に係る画像を表示するようにすれば、オペレータは、操作対象の移動構造体が、どの移動軸方向にどの順に移動するかを、表示画像を一見することで容易に認識することができる。
【0033】
また、設定された移動経路に沿って移動構造体を移動させた場合に、干渉が生じるか否かを検証し、干渉が生じる場合には、干渉を回避する回避経路を設定して当該移動経路を変更する、或いは、干渉が生じない移動経路を選定して、この非干渉の移動経路に係る画像のみを前記表示部に表示するようにすれば、操作対象の移動構造体を干渉が生じない移動経路で、安全に移動させることができる。
【0034】
また、設定された移動経路に沿って前記移動構造体を移動させる画像を生成して、前記表示部に表示するようにすれば、オペレータは、移動経路に沿って移動する移動構造体の画像を見ることで、当該移動構造体の移動状態を確認することができる。
【0035】
また、前記移動終点を、タッチパネルから入力される位置信号によって特定するように構成すれば、オペレータは、操作対象に係る移動構造体の移動終点を、任意に、しかも簡単に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略構成を示したにブロック図である。
図2】本実施形態に係るタッチパネルに表示される表示画面を示した図面である。
図3】本実施形態に係るタッチパネルに表示される表示画面を示した図面である。
図4】本実施形態に係るタッチパネルに表示される表示画面を示した図面である。
図5】本実施形態に係るタッチパネルに表示される表示画面を示した図面である。
図6】本実施形態に係るタッチパネルに表示される表示画面を示した図面である。
図7】本発明の他の実施形態における干渉回避処理を説明するための説明図である。
図8】本発明の他の実施形態における干渉回避処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1に示すように、本例の工作機械1は、加工機構部2、制御装置20及び操作盤35から構成される。尚、図2図6は、後述するタッチパネル39の表示画面40を示した図であるが、図中の括弧書きした符号は、加工機構部2の構成物を示すものである。
【0039】
前記加工機構部2は、ベッド(図示せず)や、このベッド(図示せず)上に配設される、図2図6に示した第1主軸台10、第2主軸台13、第1刃物台16及び第2刃物台18などから構成される。前記第1主軸台10は、第1主軸11及びこの第1主軸11の軸端に配設された第1チャック12を備え、一方、前記第2主軸台13は、第2主軸14及びこの第2主軸14の軸端に配設された第2チャック15を備えており、これら第1主軸台10及び第2主軸台13は、その第1チャック12,第2チャック15が相互に対向するように、直交3軸であるX軸,Y軸及びZ軸の内、Z軸に沿って同軸上に配設されている。また、これら前記第1主軸11及び第2主軸14はそれぞれ適宜駆動モータにより、その軸中心に回転するように駆動される。
【0040】
前記第1刃物台16は、第1タレット17を備えるとともに、適宜送り機構によって前記X軸及びZ軸方向に移動するように構成され、第1タレット17は、適宜駆動モータによって、前記Z軸方向に沿った軸を中心として回転するように駆動される。また、前記第2刃物台18は、第2タレット19を備えるとともに、適宜送り機構によって前記X軸,Y軸及びZ軸方向に移動するように構成され、この第2タレット19も、適宜駆動モータによって、前記Z軸方向に沿った軸を中心として回転するように駆動される。
【0041】
尚、本例では、前記第1刃物台16、第1タレット17、第2刃物台18及び第2タレット19が移動構造体3に該当し、前記第1主軸台10、第1主軸11、第1チャック12、第2主軸台13、第2主軸14及び第2チャック15が前記移動構造体3以外の構造体に該当する。また、前記第1主軸11及び第2主軸14をそれぞれ駆動する各駆動モータ、前記第1刃物台16及び第2刃物台18をそれぞれ駆動する各送り機構、並びに、前記第1タレット17及び第2タレット19をそれぞれ駆動する各駆動モータが駆動機構部4に該当する。
【0042】
図1に示すように、前記操作盤35は、主軸操作部36、ジョグ送り操作部37、パルス送り操作部38及びタッチパネル39などを備えている。
【0043】
前記主軸操作部36は、前記第1主軸11及び第2主軸14を手動操作によって回転させるための信号を、後述する入力制御部24を介して、同じく後述する数値制御部22に入力する入力部であり、例えば、第1主軸11及び第2主軸14のうち、回転させる対象を選択する選択キーや、正逆の所定方向に回転させる駆動キーなどが含まれる。
【0044】
前記ジョグ送り操作部37は、前記第1刃物台16及び第2刃物台18をジョグ送りによって移動させるための信号を、前記入力制御部24を介して前記数値制御部22に入力する入力部であり、本例では、前記第1刃物台16及び第2刃物台18のうち、移動させる対象を選択する選択キーや、X軸+,X軸−、Y軸+,Y軸−、Z軸+,Z軸−のジョグ送り方向に係る信号及びジョグ送り信号を入力するための6個のキーなどを有する。
【0045】
前記パルス送り操作部38は、前記第1刃物台16及び第2刃物台18をパルス送りによって移動させるための信号を、前記入力制御部24を介して前記数値制御部22に入力する入力部であり、パルス信号を生成するパルスハンドルや、送り軸、即ち、X軸,Y軸及びZ軸の内から1軸を選択するキーなどを有する。また、移動対象を選択する選択キーは、前記ジョグ送り操作部37のものが兼用される。
【0046】
前記タッチパネル39は、ディスプレイ及び外部入力部として機能するもので、所定の表示領域40を有し、オペレータが当該表示領域40内を触ると、その位置に係る信号を入力信号として、前記入力制御部24に送信する処理を行う。
【0047】
尚、前記操作盤35に設けられる手動操作のためのキー,スイッチ及びパルスハンドル等の構成は、工作機械の分野では周知であり、本例においても何ら上記のものに限定されるものではない。
【0048】
前記制御装置20は、図1に示すように、数値制御部22及びプログラマブル・マシン・コントローラ(PMC)23からなる制御部21、入力制御部24、表示制御部25、モデルデータ記憶部30、表示データ記憶部31、移動経路設定部32及び経路データ記憶部33から構成される。
【0049】
前記数値制御部22は、NCプログラムに従って、前記第1主軸11及び第2主軸14の回転を制御するとともに、第1刃物台16及び第2刃物台18の移動を数値制御する。また、前記PMC23は、所定の動作プログラムに従って、前記第1チャック12、第2チャック15、第1タレット17及び第2タレット19等の作動を制御する。また、これら数値制御部22及びPMC23は、前記プログラムに従った制御の他に、前記操作盤35から入力される手動操作信号を、前記入力制御部24を介して受信し、受信した手動操作信号に応じて、前記第1主軸11及び第2主軸14の回転、第1刃物台16及び第2刃物台18の移動、並びに前記第1チャック12、第2チャック15、第1タレット17及び第2タレット19の作動等を制御する。
【0050】
前記入力制御部24は、前記操作盤35から入力される信号を処理する処理部であり、上述したように、前記主軸操作部36、ジョグ送り操作部37及びパルス送り操作部38から入力される信号を前記数値制御部22に送信する処理を行う。
【0051】
また、入力制御部24は、前記タッチパネル39から入力される位置信号を受信し、前記表示制御部25から得られるデータを参照して、入力された位置信号に対応した指令信号を、必要に応じて、前記数値制御部22、移動経路設定部32、表示制御部25に送信する処理を行う。
【0052】
例えば、図2図6に示した画面では、前記表示領域40内に画像表示領域41及びソフトキー表示領域42が設定され、ソフトキー表示領域42には、ソフトキーとして、「第1刃物台」キー43、「第2刃物台」キー44、「原点復帰」キー45、「X軸原点」キー46、「Y軸原点」キー47、「Z軸原点」キー48、「移動位置指定」キー49、「Aルート選択」キー50、「Bルート選択」キー51、「Cルート選択」キー52及び「実行」キー53が表示される。尚、図2図6に示した画面は、第1刃物台16及び第2刃物台18のいずれかを択一的に原点に復帰、又は指定位置に移動させるための操作画面である。
【0053】
そして、本例では、オペレータが、「第1刃物台」キー43又は「第2刃物台」キー44を押下すると、その位置信号が前記入力制御部24に入力され、入力制御部24は、前記表示制御部25(より具体的には後述する画面表示部29)から得られるデータを参照し、この位置信号が第1刃物台16又は第2刃物台18を選択する信号であることを認識して、選択された刃物台に係る信号を前記数値制御部22,移動経路設定部32及び表示制御部25(より具体的には画面表示部29)に送信する処理を行う。
【0054】
同様にして、入力制御部24は、「原点復帰」キー45、「X軸原点」キー46、「Y軸原点」キー47又は「Z軸原点」キー48が押下されると、これに対応する「原点復帰信号」、「X軸原点復帰信号」、「Y軸原点復帰信号」又は「Z軸原点復帰信号」を前記数値制御部22,移動経路設定部32及び画面表示部29に送信し、また、「実行」キー53が押下されると、「実行指令」を数値制御部22及び画面表示部29に送信する。尚、X軸原点位置、Y軸原点位置及びZ軸原点位置に係る位置データは、それぞれパラメータとして、前記数値制御部22に記憶されている。
【0055】
また、入力制御部24は、前記「Aルート選択」キー50、「Bルート選択」キー51又は「Cルート選択」キー52が押下されると、これを「Aルート選択信号」、「Bルート選択信号」又は「Cルート選択信号」と認識するとともに、前記経路データ記憶部33から対応するルートの位置データを読み出して、この位置データと「実行信号」とを前記数値制御部22に送信するとともに、認識したルート選択信号を画面表示部29に送信する処理を行う。
【0056】
更に、入力制御部24は、「移動位置指定」キー49が押下されると、これを「移動位置指定信号」であると認識するとともに、更に、前記タッチパネル39の画像表示領域41から位置信号が入力されると、この位置信号及び前記「移動位置指定信号」を前記移動経路設定部32に送信するとともに、「移動位置指定信号」を画面表示部29に送信する処理を行う。
【0057】
前記モデルデータ記憶部30は、加工機構部2を構成する移動構造体3及びこの移動構造体3の可動領域内で当該移動構造体3と干渉する可能性のある他の構造体の3次元モデルに係るデータを記憶する機能部であり、本例では、第1主軸台10,第1主軸11,第1チャック12,第2主軸台13,第2主軸14,第2チャック15,第1刃物台16,第1タレット17,第2刃物台18及び第2タレット19に係る3次元モデルデータが予め格納されている。
【0058】
前記表示データ記憶部31は、前記タッチパネル39の表示領域40内に表示する画面に係るデータや、画面内に表やソフトキーなどを表示するためのデータを記憶する機能部であり、これらのデータが、適宜、予め格納されている。尚、表示画面に係るデータとしては、例えば、前記加工機構部2を構成する構造体のモデル画像を表示する画像表示画面、ソフトキーを表示するソフトキー表示画面、NCプログラムを表示する画面、前記第1主軸11及び第2主軸14の回転数を表示する画面(主軸回転数表示画面)、前記第1刃物台16及び第2刃物台18の現在位置を表示する画面(移動体現在位置表示画面)などが例示され、従来公知の様々な表示画面が含まれる。
【0059】
また、前記経路データ記憶部33は、前記移動経路設定部32によって設定された移動経路に係るデータを記憶する機能部である。
【0060】
前記表示制御部25は、図1に示すように、表示画面切替部26,画像生成部27,画像表示部28及び画面表示部29からなる。
【0061】
前記画像生成部27は、前記モデルデータ記憶部30に格納された3次元モデルデータを読み出して、前記各構造体に係る3次元モデルを適宜3次元空間(即ち、数値制御部22で設定された3次元空間と同じ座標軸の仮想の3次元空間)内に配置した3次元モデルを生成する。本例では、前記移動構造体3以外の構造体、即ち、前記第1主軸台10,第1主軸11,第1チャック12,第2主軸台13,第2主軸14及び第2チャック15に係る3次元モデルを、実際と同じ配置となるように、前記3次元空間内に配置するとともに、前記第1刃物台16及び第2刃物台18に係る位置信号を前記数値制御部22から受信して、受信した位置関係となるように、移動構造体3たる前記第1刃物台16,第1タレット17,第2刃物台18及び第2タレット19を前記3次元空間内に配置した3次元モデル画像を生成する。
【0062】
尚、前記操作盤35のジョグ送り操作部37又はパルス送り操作部38から入力される手動操作信号(ジョグ送り信号又はパルス送り信号)、又は自動運転により、前記数値制御部22による制御の下で、移動構造体3たる前記第1刃物台16や第2刃物台18が移動する場合には、前記画像生成部27は、予め定められた時間間隔で前記数値制御部22からこれらの位置信号を受信して、受信した位置関係となるように、前記第1刃物台16,第1タレット17,第2刃物台18及び第2タレット19を配置した3次元モデル画像を逐次生成する。
【0063】
また、画像生成部27は、前記移動経路設定部32によって、前記移動経路が設定されている場合には、設定された移動経路に係る位置データを含む情報を当該移動経路設定部32から受信して、当該移動経路を示す画像を生成する。
【0064】
前記表示画面切替部32は、前記表示データ記憶部38に格納されたデータを参照して、前記タッチパネル39の表示領域40内に表示する画面を設定する処理部であり、例えば、図2図6に示した前記画像表示画面41及びソフトキー表示画面42の他、NCプログラム表示画面、主軸回転数表示画面、移動体現在位置表示画面などを、適宜択一的に、又はこれらを選択的に組み合わせた画面を設定することができるようになっている。尚、表示画面の切り替えは、例えば、前記タッチパネル39に表示されたソフトキーによって行うことができ、表示画面切替部26は、ソフトキーによって選択された表示画面に切り替える。
【0065】
前記画面表示部29は、前記表示画面切替部26によって設定される表示画面の内、前記画像表示画面41以外の領域について、当該領域内に画面表示する処理部であり、例えば、所定の表示領域にソフトキーを表示し、或いは、前記数値制御部22からNCプログラムに係るデータを受信して、当該NCプログラムを表示するといった処理や、この他に、前記数値制御部22から前記第1主軸11及び第2主軸14の回転数に係るデータを受信して、当該回転数を表示し、また、前記数値制御部22から前記第1刃物台16及び第2刃物台18の現在位置に係るデータを受信して、これらの現在位置を表示するといった処理を行う。また、前記入力制御部24からソフトキーが押下された信号(当該ソフトキーに対応した指令信号)が入力されると、対応するソフトキーの表示を白黒反転する処理を行う。
【0066】
また、前記画像表示部28は、前記画像生成部27によって生成された3次元モデル画像、及び移動経路に係る画像を前記タッチパネル39の画像表示領域41に表示する処理を行う。尚、図2図6において、符号60は第1主軸台10の画像、符号61は第1主軸11の画像、符号62は第1チャック12の画像、符号63は第2主軸台13の画像、符号64は第2主軸14の画像、符号65は第2チャック15の画像である。また、符号66は第1刃物台16の画像、符号67は第1タレット17の画像、符号68は第2刃物台18の画像、符号69は第2タレット19の画像である。また、図2図6において、各符号及びその引き出し線は画像を構成しない。
【0067】
前記移動経路設定部32は、前記入力制御部24から、第1刃物台16又は第2刃物台18を選択する信号、並びに、「原点復帰信号」,「X軸原点復帰信号」,「Y軸原点復帰信号」,「Z軸原点復帰信号」,又は「移動位置指定信号」及び位置信号を受信すると、これに対応する、以下の、a)原点復帰経路設定処理、b)X軸原点復帰経路設定処理、c)Y軸原点復帰経路設定処理、d)Z軸原点復帰経路設定処理、e)指定点移動経路設定処理のいずれかの処理を行う。
【0068】
a)原点復帰経路設定処理
この処理は、前記入力制御部24から「原点復帰信号」を受信した場合に行う処理であり、同じく前記入力制御部24から入力される、前記第1刃物台16又は第2刃物台18を選択する信号に従い、選択された刃物台(以下、「選択刃物台」という)について、当該選択刃物台を機械原点に復帰させるための複数の経路を設定する処理である。
【0069】
具体的には、移動経路設定部32は、まず、前記数値制御部22から、予め設定された機械原点に係る位置データと、選択刃物台の現在位置に係る位置データとを受信し、同じく予め設定された設定条件に従って、選択刃物台を現在位置から機械原点に移動させる複数の移動経路を設定する。尚、設定条件としては、例えば、以下の条件を例示することができるが、これに限られるものではない。
1)最短距離ルート
2)各軸等速移動
3)軸優先順序:X軸→Y軸→Z軸
4)軸優先順序:X軸→Z軸→Y軸
5)軸優先順序:Y軸→X軸→Z軸
6)軸優先順序:Y軸→Z軸→X軸
7)軸優先順序:Z軸→X軸→Y軸
8)軸優先順序:Z軸→Y軸→X軸
【0070】
次に、移動経路設定部32は、設定した各移動経路について、干渉を生じるか否かの検証を行い、干渉を生じる場合には、干渉を回避する経路を設定する。具体的には、まず、前記モデルデータ記憶部30に格納された各3次元モデルデータを読み出して、前記移動構造体3以外の構造体、即ち、前記第1主軸台10,第1主軸11,第1チャック12,第2主軸台13,第2主軸14及び第2チャック15に係る3次元モデルを、実際と同じ配置となるように、3次元空間内に配置するとともに、前記第1刃物台16及び第2刃物台18に係る位置信号を前記数値制御部22から受信して、受信した位置関係となるように、移動構造体3たる前記第1刃物台16,第1タレット17,第2刃物台18及び第2タレット19を前記3次元空間内に配置した3次元モデルを生成する。尚、この3次元空間は、前記画像生成部27における仮想3次元空間と同じものである。
【0071】
次に、設定された各移動経路に従って、選択刃物台及びこれに付随する構造体の3次元モデルを移動させて、干渉が生じるか否かのシミュレーションをそれぞれ行い、干渉が生じない移動経路のみを移動可能な経路として選定し、選定した移動経路に係る情報を前記画像生成部27に送信するとともに、前記経路データ記憶部33に格納する。尚、前記移動経路情報としては、各移動経路のルート名に係る情報、即ち、図2に示した例では、「Aルート」、「Bルート」、「Cルート」の別、及び各移動経路における移動ベクトルの始点及び終点に係る位置データ、即ち、図2に示した例では、Aルートの位置P,P,P及びPに係る位置データ、Bルートの位置P及びPに係る位置データ、Cルートの位置P,P,P及びPに係る位置データが含まれる。
【0072】
b)X軸原点復帰経路設定処理
この処理は、前記入力制御部24から「X軸原点復帰信号」を受信した場合に行う処理であり、選択刃物台をX軸について設定された機械原点に復帰させる経路を設定する処理である。具体的には、前記数値制御部22から、X軸について設定された機械原点に係る位置データと、選択刃物台の現在位置に係る位置データとを受信し、受信した各位置データをもって、選択刃物台を現在位置からX軸機械原点に移動させる移動経路として設定し、設定した移動経路情報を前記画像生成部27に送信する。尚、図3において、X軸について設定された機械原点位置はP2Xである。
【0073】
c)Y軸原点復帰経路設定処理
この処理は、前記入力制御部24から「Y軸原点復帰信号」を受信した場合に行う処理であり、選択刃物台をY軸について設定された機械原点に復帰させる経路を設定する処理である。具体的には、前記数値制御部22から、Y軸について設定された機械原点に係る位置データと、選択刃物台の現在位置に係る位置データとを受信し、受信した各位置データをもって、選択刃物台を現在位置からY軸機械原点に移動させる移動経路として設定し、設定した移動経路情報を前記画像生成部27に送信する。尚、図4において、Y軸について設定された機械原点位置はP2Yである。
【0074】
d)Z軸原点復帰経路設定処理
この処理は、前記入力制御部24から「Z軸原点復帰信号」を受信した場合に行う処理であり、選択刃物台をZ軸について設定された機械原点に復帰させる経路を設定する処理である。具体的には、前記数値制御部22から、Z軸について設定された機械原点に係る位置データと、選択刃物台の現在位置に係る位置データとを受信し、受信した各位置データをもって、選択刃物台を現在位置からZ軸機械原点に移動させる移動経路として設定し、設定した移動経路情報を前記画像生成部27に送信する。尚、図5において、Z軸について設定された機械原点位置はP2Zである。
【0075】
e)指定点移動経路設定処理
この処理は、前記入力制御部24から「移動位置指定信号」及び指定された位置信号を受信した場合に行う処理であり、選択刃物台を指定位置に移動させる複数の経路を設定した移動経路情報を前記画像生成部27に送信するとともに、前記経路データ記憶部33に格納する。尚、移動経路を設定する際の設定手法は、上述した「原点復帰経路設定処理」と同様である。また、図6において、P’が指定位置であり、AルートはP→P’→P’→P’、BルートはP→P’、CルートはP→P’→P’→P’である。
【0076】
以上の構成を備えた本例の工作機械1によれば、前記表示画面切替部32によって設定された画面が前記操作盤35のタッチパネル39上に表示され、前記表示領域40の内、画像表示領域41以外の部分については、前記画面表示部29によって、適宜画面が表示され、画像表示領域41については、前記画像生成部27によって生成された画像が前記画像表示部28により表示される。そして、オペレータは、ソフトキー表示領域42に表示されたソフトキーを押下することにより、以下の操作を行うことができる。
【0077】
a)原点復帰操作
原点復帰操作は、図2に表される操作によって実行される。即ち、まず、オペレータが、図2に示すように、第2刃物台18を操作対象として移動させるべく、「第2刃物台」キー44を押下すると、この位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が第2刃物台18を選択する信号であることを認識した後、当該選択信号を前記移動経路設定部32及び画面表示部29に送信する。そして、画面表示部29は、この選択信号を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「第2刃物台」キー44の画像を白黒反転させる。
【0078】
次に、オペレータが、「原点復帰」キー45を押下すると、この位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が「原点復帰信号」であることを認識した後、当該「原点復帰信号」を前記移動経路設定部32及び画面表示部29に送信する。そして、画面表示部29は、この「原点復帰信号」を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「原点復帰」キー45の画像を白黒反転させる。
【0079】
一方、前記移動経路設定部32は、入力制御部24から「原点復帰信号」を受信した後、前記原点復帰経路設定処理を実行して、選択刃物台を機械原点に復帰させる複数の経路を設定し、設定した移動経路情報を画像生成部27に送信する。
【0080】
前記画像生成部27は、前記移動経路設定部32から受信した各移動経路情報を基に、各移動経路を示す画像と、そのルート名及び移動軸に係る文字情報とを生成し、生成された移動経路画像と文字情報とが、前記画像表示部28の処理により、前記画像表示領域41に既に表示されているモデル画像に重畳して表示される。尚、図2では、Aルート、Bルート及びCルートの3つの移動経路が表示されているが、これは説明の都合上、ルートの相違が分かり易いように、3つのルートにしたものであり、これに限定される趣旨ではなく、当然のことながら、前記移動経路設定部32で設定された全ての移動経路を表示することができる。
【0081】
ついで、オペレータが、例えば、図2に示すように、Cルートを選択すべく、「Cルート選択」キー52を押下すると、その位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が「Cルート選択信号」であることを認識した後、当該「Cルート選択信号」を前記画面表示部29に送信するとともに、前記経路データ記憶部33に格納された経路データからCルートに係る位置データを読み出して、この位置データと「実行信号」とを前記数値制御部22に送信する。そして、画面表示部29は、このCルート選択信号を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「Cルート選択」キー52の画像を白黒反転させる。一方、数値制御部22は、位置データ及び「実行信号」を受信すると、選択された刃物台(第1刃物台16又は第2刃物台18)を受信した位置に移動させる。
【0082】
b)X軸原点復帰操作
X軸原点復帰操作は、図3に表される操作によって実行される。即ち、まず、オペレータが、例えば、第2刃物台18を操作対象として移動させるべく、「第2刃物台」キー44を押下すると、上記と同様に、入力制御部24を介して選択信号が移動経路設定部32及び画面表示部29に送信され、画面表示部29は、この選択信号を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記第2刃物台キー44の画像を白黒反転させる。
【0083】
次に、オペレータが、「X軸原点」キー46を押下すると、この位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が「X軸原点復帰信号」であることを認識した後、当該「X軸原点復帰信号」を前記移動経路設定部32及び画面表示部29に送信する。そして、画面表示部29は、この「X軸原点復帰信号」を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「X軸原点」キー46の画像を白黒反転させる。
【0084】
一方、前記移動経路設定部32は、入力制御部24から「X軸原点復帰信号」を受信した後、前記数値制御部22から、X軸について設定された機械原点に係る位置データと、選択刃物台の現在位置に係る位置データとを受信し、受信した各位置データをもって、選択刃物台を現在位置からX軸機械原点に移動させる移動経路として設定し、設定した移動経路情報を画像生成部27に送信する。
【0085】
そして、前記画像生成部27は、前記移動経路設定部32から受信した移動経路情報を基に、当該移動経路を示す画像と、その移動軸に係る文字情報とを生成し、生成した移動経路画像及び文字情報が、画像表示部28の処理により、前記画像表示領域41に既に表示されているモデル画像に重畳して表示される。
【0086】
ついで、オペレータが、「実行」キー53を押下すると、その位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が「実行信号」であることを認識した後、当該「実行信号」を前記数値制御部22及び画面表示部29に送信する。そして、画面表示部29は、この「実行信号」を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「実行」キー53の画像を白黒反転させる。一方、数値制御部22は、「実行信号」を受信すると、選択された刃物台をX軸原点に移動させる。
【0087】
c)Y軸原点復帰操作
Y軸原点復帰操作は、図4に表される操作によって実行される。尚、このY軸原点復帰操作は、上記X軸原点復帰操作とほぼ同様であるので、その概要のみを説明する。このY軸原点復帰操作では、オペレータが、例えば、「第2刃物台」キー44を押下して、操作対象の刃物台として第2刃物台18を選択し、これをY軸原点に復帰させるべく「Y軸原点」キー47を押下すると、タッチパネル39の画像表示領域41にその移動経路画像と移動軸に係る文字情報とが表示され、ついで、オペレータが「実行」キー53を押下すると、数値制御部22による制御の下で、第2刃物台18がY軸原点に移動する。
【0088】
d)Z軸原点復帰操作
Z軸原点復帰操作は、図5に表される操作によって実行される。尚、このZ軸原点復帰操作も、上記X軸原点復帰操作とほぼ同様であるので、その概要のみを説明する。このZ軸原点復帰操作では、オペレータが、例えば、「第2刃物台」キー44を押下して、操作対象の刃物台として第2刃物台18を選択し、これをZ軸原点に復帰させるべくZ軸原点キー48を押下すると、タッチパネル39の画像表示領域41にその移動経路画像と移動軸に係る文字情報とが表示され、ついで、オペレータが「実行」キー53を押下すると、数値制御部22による制御の下で、第2刃物台18がZ軸原点に移動する。
【0089】
e)指定点移動操作
指定点移動操作は、図6に表される操作によって実行される。まず、上記と同様にして、オペレータが、例えば、第2刃物台18を操作対象として移動させるべく、「第2刃物台」キー44を押下すると、刃物台の選択信号が入力制御部24を介して移動経路設定部32及び画面表示部29に送信され、画面表示部29は、この選択信号を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記第2刃物台キー44の画像を白黒反転させる。
【0090】
次に、オペレータが、「移動位置指定」キー49を押下すると、この位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が「移動位置指定信号」であることを認識した後、当該「移動位置指定信号」を移動経路設定部32及び画面表示部29に送信する。そして、画面表示部29は、この「移動位置指定信号」を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「移動位置指定」キー49の画像を白黒反転させる。
【0091】
ついで、オペレータが、前記タッチパネル39の画像表示領域41の任意の位置を押下すると、その位置信号が入力制御部24を介して、移動経路設定部32に入力される。尚、画像生成部27は、少なくとも視点が異なる(好ましくは、視点が直交する)2つの3次元モデル画像を生成し、前記画面表示部29は、画像生成部27によって生成された2つ3次元モデル画像を、同時にタッチパネル39の画像表示領域41に表示する、若しくは時間を前後して前記画像表示領域41に表示するように構成される。そして、オペレータは、この2つの3次元モデル画像上で所望の位置を押下することによって位置を指定する。ついで、移動経路設定部32は、入力された少なくとも2つの位置信号によって特定される位置が、画像生成部27によって設定された3次元空間内のどの位置に対応するかを、当該画像生成部27における設定データを基に認識する。そして、移動経路設定部32は、認識した指定位置に選択刃物台を移動させる複数の経路を、前記「原点復帰経路設定処理」と同様にして設定し、設定した移動経路情報を画像生成部27に送信するとともに、前記経路データ記憶部33に格納する。
【0092】
前記画像生成部27は、前記移動経路設定部32から受信した各移動経路情報を基に、各移動経路を示す画像と、そのルート名と移動軸に係る文字情報を生成し、生成された移動経路画像と文字情報とが、画像表示部28の処理により、前記画像表示領域41に既に表示されたモデル画像に重畳して表示される。尚、図6において、白色の矢印で示した点が、指定位置である。
【0093】
ついで、オペレータが、例えば、図6に示すように、Bルートを選択すべく、「Bルート選択」キー51を押下すると、その位置信号が前記入力制御部24に送信され、入力制御部24は当該位置信号が「Bルート選択信号」であることを認識した後、当該「Bルート選択信号」を前記画面表示部29に送信するとともに、前記経路データ記憶部33に格納された経路データからBルートに係る位置データを読み出して、この位置データと「実行信号」とを前記数値制御部22に送信する。そして、画面表示部29は、この「Bルート選択信号」を受信して、ソフトキー表示領域42に表示される前記「Bルート選択」キー52の画像を白黒反転させる。一方、数値制御部22は、位置データ及び「実行信号」を受信すると、選択された刃物台を受信した位置に移動させる。
【0094】
以上詳述したように、本例に係る工作機械1によれば、選択刃物台を機械原点に復帰させる、又は任意の指定点に移動させる際に、その移動経路に係る画像が、タッチパネル39の画像表示領域41に、各構造体のモデル画像に重畳して表示されるので、オペレータは、当該操作によって、選択刃物台がどのように動作するかを、前記移動経路画像を確認することで容易に認識することができる。そして、オペレータは、この移動経路画像に併せて、選択刃物台や他の構造体の位置関係を目視等によって確認することにより、当該選択刃物台を安全に移動させることができるかどうかを確認することができる。
【0095】
また、オペレータは、上記のようにして、表示された移動経路画像に併せて、選択刃物台や他の構造体の位置関係を確認することによって、当該選択刃物台を安全に移動させることができるかどうかを確認した後、「実行」キー又はルート選択キーを押下することによって、当該選択刃物台を実際に移動させるようにすることができるので、より安全に選択刃物台を移動させることができる。
【0096】
また、前記移動経路設定部32により、前記選択刃物台を移動させる複数の移動経路が設定され、設定された複数の移動経路に係る画像が前記画像表示領域41に表示され、複数の移動経路から1つの移動経路を選択することができるので、オペレータは、例えば、より安全を重視した移動経路を選択する、或いは、より移動距離の短い移動経路を選択するというように、必要に応じた移動経路を適宜選定することができる。
【0097】
また、本例の工作機械1では、前記移動経路設定部32によって、各移動経路について干渉が生じるか否かが検証された後、干渉を生じない移動経路のみが選定され、前記画像表示領域41には、選定された非干渉の移動経路に係る画像のみが選択可能な移動経路として表示されるので、操作対象の選択刃物台を干渉が生じない安全な移動経路で移動させることができる。
【0098】
また、本例の工作機械1では、選択刃物台を移動させる終点を、タッチパネル39の画像表示領域41上から指定することができるので、オペレータは、選択刃物台を移動させる位置を、任意に、しかも簡単に設定することができる。
【0099】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0100】
例えば、上例では、前記移動経路設定部32を、各移動経路について干渉が生じるか否かを検証した後、干渉が生じない移動経路を選定するように構成したが、これに限られるものではなく、前記移動経路設定部32は、各移動経路について干渉が生じるか否かを検証した後、干渉が生じる移動経路について、干渉を回避する回避経路を設定し、設定した回避経路を辿るように当該移動経路を変更するように構成されていても良い。
【0101】
例えば、図7は、図2に示した移動経路Bルートを平面的に示した図であるが、同図7に示すように、第2刃物台18をP→P→Pの順に移動させたときに、PからPに移動する途中で、第2刃物台18が第2主軸台13に干渉する。この場合、移動経路設定部32は、図8に示すように、この干渉を回避するための移動経路、即ち、例えば、P→P→P→P→Pの順に移動する経路を算出して、当該Bルートに係る移動経路をこの回避可能な移動経路に変更する。
【0102】
このようにすれば、操作対象の移動構造体を干渉が生じない移動経路で、安全に移動させることができる。尚、当然のことながら、回避経路の算出手法は、干渉回避ができればどのようなものでも良く、図8に示した例に限定されるものではない。
【0103】
また、前記画像生成部27は、操作対象の移動構造体に係る3次元モデル画像を、前記移動経路設定部32によって設定された移動経路に沿って移動させた画像を、所定の時間間隔で生成し、前記画像表示部28は、生成された画像を前記画像表示部41に逐次表示するように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータは、移動経路に沿って移動する前記移動構造体の画像を見ることで、当該移動構造体が移動する状態を確認することができる。
【0104】
また、上例では、前記移動経路設定部32は、原点復帰の移動経路を設定する際に、前記数値制御部22において設定された設定条件とは異なる設定条件で、移動経路を設定するように構成されているが、これに限られるものではなく、前記数値制御部22における設定条件と同じ設定条件によって、前記移動経路を設定するように構成されていても良い。
【0105】
また、上例では、操作対象の刃物台を選択する選択キーをソフトキーとして設定し、当該選択キーをジョグ送り操作部37に設けられた選択キーとは別個に設けたが、これに限るものではなく、ジョグ送り操作部37に設けられた選択キーを兼用する構成としても良い。
【符号の説明】
【0106】
1 工作機械
2 加工機構部
3 移動構造体
4 駆動機構部
20 制御装置
22 数値制御部
24 入力制御部
25 表示制御部
27 画像生成部
28 画像表示部
29 画面表示部
30 モデルデータ記憶部
31 表示データ記憶部
32 移動経路設定部
33 経路データ記憶部
35 操作盤
39 タッチパネル
40 表示領域
41 画像表示領域
42 ソフトキー表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8