(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266301
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】信頼性強化ローリング交差巻き取り手段装備ヒンジのための駆動システム
(51)【国際特許分類】
B64G 1/22 20060101AFI20180115BHJP
B64G 1/44 20060101ALI20180115BHJP
F16C 11/12 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
B64G1/22
B64G1/44 B
F16C11/12
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-222576(P2013-222576)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-84114(P2014-84114A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2016年9月9日
(31)【優先権主張番号】1202860
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ボーダス、ヤニク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェザン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】スタネク、ディディエ
【審査官】
前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−541111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/44
F16C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにほぼ平行に配置される2つの巻き取りシリンダ(1a、1b)、長手方向リンク要素を形成する巻き取り手段(3)、及び少なくとも2つのフレキシブル・トラック(2a、2b)を含むローリング・ヒンジ装置であって、前記巻き取り手段(3)が2つの前記巻き取りシリンダ(1a、1b)間に所定の距離を維持することができ、かつ、2つの前記巻き取りシリンダ(1a、1b)の周りに巻かれること、少なくとも2つの前記フレキシブル・トラックの、前記各フレキシブル・トラック(2a、2b)がそれぞれ2つの前記各巻き取りシリンダ(1a、1b)の1つに取り付けられること、少なくとも2つの前記フレキシブル・トラック(2a、2b)が、お互いに向き合うように配置され、かつ、接触点(p)をもつこと、前記巻き取り手段(3)の働きによりプレストレス力が前記接触点(P)に加わること、及び、少なくとも2つの前記フレキシブル・トラック(2a、2b)のうちの第1のフレキシブル・トラックが、前記第1のフレキシブル・トラックの全長と、前記第1のフレキシブル・トラックの側縁間との少なくとも一部に形成される少なくとも1つのスロット(323、323’)を含み、かつ、そのスロットの少なくとも1つが、少なくとも2つの前記フレキシブル・トラック間に入り込んだ異物の排出を促進するために構成される、前記第1のフレキシブル・トラック内に一定の輪郭をもつ複数のフレキシブルなビーム断面(325)を画定することを特徴とする、ローリング・ヒンジ装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記スロット(323)が前記フレキシブル・トラック(2a、2b)の全長にわたって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記スロット(323)が前記フレキシブル・トラック(2a、2b)の全長の一部にわたって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項4】
前記フレキシブル・トラック(2a、2b)が前記フレキシブル・トラック(2a、2b)の全長にわたって形成される第1の複数のスロット(323)及び前記フレキシブル・トラック(2a、2b)の全長の一部にわたって形成される第2の複数のスロット(323’)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項5】
前記ビーム断面(325)が矩形断面をもつことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項6】
前記ビーム断面(325)が円形、楕円形、台形、正方形、菱形、丸みを帯びる角をもつ正方形または矩形及び鼓胴形を含むグループに属する1つの形状の断面をもつことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項7】
前記スロット(323、323’)が前記フレキシブル・トラック(2a、2b)の側縁にほぼ平行であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項8】
前記スロット(323、323’)が前記フレキシブル・トラック(2a、2b)の側縁と一定の角度を形成することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のローリング・ヒンジ装置。
【請求項9】
少なくとも1つの第1展開突出部及び1つの第2展開突出部を含み、請求項1〜8のいずれか一項に記載のローリング・ヒンジ装置も含むことを特徴とする人工衛星のための展開システムであって、前記展開突出部は、巻き取りシリンダ(1a、1b)及びフレキシブル・トラック(2a、2b)により形成される各アセンブリに取り付けられる、人工衛星のための展開システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成要素の駆動システムに関する。それは、特に、例えばアンテナまたは太陽電池など、宇宙突出部を展開する機構の分野に応用される。
【背景技術】
【0002】
上述の駆動システムにおいては、構成要素例えば取付用品は、一般的にヒンジの周りにお互いに移動できるように取り付けられる。このようなシステムは、従って数列のヒンジを含んでいる。これらのヒンジは、一般的にトーション・スプリング、らせんスプリングまたは大工継ぎ手タイプの駆動構成要素を使用し、突出部の完全な展開を確保するために抵抗トルクに対抗すること及び発生されるトルクに関して必要な余裕を保証することを可能にしている。
【0003】
これに関連して、既知の駆動構成要素は、過駆動を伴う変動駆動トルクを発生し、この過駆動により展開終了時に衝撃がもたらされる。
【0004】
この衝撃は、かなり激しくなり、展開終了時における宇宙突出部の損傷及び宇宙船の操縦を妨げる漂遊トルクを生ずることがある。この問題を軽減するために、展開構造は、展開において発生する行程端衝撃に耐えるように寸法を決定し、かつ、強化することができるが、この解決方法は、不十分であり、かつ、特に完成構造の重量増加をもたらす。
【0005】
一部の開発において、抵抗トルクを殆どゼロにする展開機構が考案された。例えば仏国特許出願第2635077号明細書において記述されているヒンジ列のような機構は、わずかな駆動電力しか要求しないという長所をもち、かつ、行程端衝撃の発生を最小化する。特に重量及び体積に関して上記の機構に対して行われた強化から他の機構が生まれている。1つのかかる展開機構が仏国特許出願第0605653号明細書において開示されている。
【0006】
上述の仏国特許出願第2635077号明細書及び同第0605653号明細書において記述されているもののような既知の機構の角度展開機能は、180°に限定されている。更に、それらの全体的運動は、それらの構造のために、非常に不規則な駆動トルクを発生する。最後に、既知展開機構の展開速度は、すでに説明したように、前記展開速度が調整されないために、行程端におけるエネルギーの復活、従って衝撃をもたらす。
【0007】
これらの欠点を是正するために、引用仏国特許出願第2968234号明細書において公開された特許出願において記述されているトルク制御式の駆動装置が提案された。かかる装置は、殆どゼロの抵抗トルクをもつことを可能とする。この装置は、すでにシステムに存在するローリング・フレキシブル・トラックを利用して駆動することに基づいている。特定の形状をフレキシブル・トラックに与えることにより、巻き取り用のフレキシブル・ブレードあるいは平たいケーブルなどの巻き取り手段の交差点からのフレキシブル・トラック相互間の接触点のずれを可能とする。上記の巻き取り手段は、フレキシブル・トラックとともに取付用品を形成し、システムの種々の構成要素が結合される2つのほぼ平行な巻き取りシリンダ間にリンク要素を形成している。この方法により、上述の接触点と交差点間の距離に依存するトルクによりフレキシブル・トラックの相互回転、従って取付用品の相互回転が引き起こされる。リンク要素を形成する巻き取り手段間の「交差点」は、長手方向の軸即ち取付用品の回転の軸にほぼ平行であり、かつ、2つの巻き取り手段を同時に通過する軸として広い意味に解釈するべきである。
【0008】
上述の装置において、異物がローリング・フレキシブル・トラック間にはさまった場合に、ヒンジの全面的故障をもたらす可能性をもつ問題が発生することがある。これらの異物は、装置を囲む宇宙空間または装置自体から到来する可能性がある。これらの異物は、例えば、遊離したシステムの一部または部品腐食現象により生じた残留物であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、特に、上述の欠点を軽減することである。従って、本発明により、少なくとも2つのローリング・フレキシブル・トラックを含む駆動装置を提案する。これらのトラックは、異物の存在する場合における故障危険を低減し、かつ、異物の排出を有利に促進するように巧妙に構成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より具体的には、本発明の主題は、2つのほぼ平行な巻き取りシリンダ、長手方向リンク要素を形成する巻き取り手段、及び少なくとも2つのフレキシブル・トラックを含むローリング・ヒンジ装置である。この巻き取り手段は、巻き取りシリンダ間に所定の距離を維持することができ、かつ、巻き取りシリンダの周りに巻かれる。各フレキシブル・トラックは、各巻き取りシリンダに取り付けられる。両フレキシブル・トラックは、お互いに向き合うように配置され、接触点をもつ。巻き取り手段の働きによりフレキシブル・トラックの前記接触点にプレストレス力が働く。少なくとも1つのフレキシブル・トラックは、その全長の少なくとも一部分に形成された少なくとも1つのスロットを含む。前記スロットは、所定の輪郭をもつ複数のフレキシブルビーム断面を画定する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、前記の少なくとも1つのスロットは、フレキシブル・トラックの全長にわたって形成することができる。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、前記の少なくとも1つのスロットは、フレキシブル・トラックの全長の一部分にわたって形成することができる。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、フレキシブル・トラックは、フレキシブル・トラックの全長にわたって形成された第1の複数のスロット及びフレキシブル・トラックの一部分にわたって形成された第2の複数のスロットを含むことができる。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、前記ビーム断面は、矩形断面をもつことができる。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、前記ビーム断面は、円形、楕円形、台形、正方形、菱形、角に丸みをもつ正方形または矩形形、及び鼓胴形のグループに属する1つの形状の断面をもつことができる。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、スロットは、フレキシブル・トラックの側縁にほぼ平行とすることができる。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、スロットは、フレキシブル・トラックの側縁に対し一定の角度をもつことができる。
【0018】
本発明のもう1つの主題は、少なくとも1つの第1展開突出部及び1つの第2展開突出部を含み、かつ、記述した実施形態のいずれか1つによるローリング・ヒンジ装置も含む人工衛星のための展開システムである。これらの展開突出部は、巻き取りシリンダ及びフレキシブル・トラックにより形成される各アセンブリに取り付けられる。
【0019】
本発明のその他の特徴及び長所は、以下の添付図面を参照してこれから行う説明により明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】先行技術による既知の駆動トルク式ローリング・ヒンジ・システムの図であり、畳み込まれている状態及び展開されている状態を示している。
【
図2】異物が存在するときのローリング・ヒンジ・システムを要約的に示す図である。
【
図3A】本発明の種々の例示実施形態による駆動システムにおける種々の代替フレキシブル・トラック構成を示す透視図である。
【
図3B】本発明の種々の例示実施形態による駆動システムにおける種々の代替フレキシブル・トラック構成を示す透視図である。
【
図3C】本発明の種々の例示実施形態による駆動システムにおける種々の代替フレキシブル・トラック構成を示す透視図である。
【
図4】本発明の種々の例示実施形態によるフレキシブルなビーム断面の種々の代替輪郭を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、上述の仏国特許出願第2968234号明細書において記述されている駆動トルク式ローリング・ヒンジ・システムを示す図である。駆動トルク式ローリング・ヒンジ・システムは、フレキシブル・ブレード、または、例えばケーブルなどのその他の適切な要素のような巻き取り手段3により所定の位置に支持されているほぼ平行な巻き取りシリンダ1a、1bを含む。巻き取り手段3は、巻き取りシリンダ1a、1bの周りに8の字状に巻かれている。個別に見ると、各巻き取り手段は、特に、交差点Cで交差する直線部分3aまたは3bを含んでいる。各直線部分3a、3bは、巻き取りシリンダ1a、1bのそれぞれの周りに巻かれている巻き取り手段の部分により延長されている。巻き取り手段は、交差点Cにおいて交差している。
【0022】
フレキシブル・トラック2a、2bは、それぞれ、巻き取りシリンダ1a、1bのそれぞれに円形断面により接続されている。フレキシブル・トラック2a、2bは、相互に向かい合い、かつ、相互に接触するように配置されている。巻き取りシリンダ1a、1b及び関連フレキシブル・トラック2a、2bからなるアセンブリが取付用品12a、12bを形成している。巻き取り手段3は、フレキシブル・トラック2a、2b間の接触点Pに加わるプレストレス力を引き起こす。巻き取りシリンダ1a、1b及びフレキシブル・トラックの基本的に円形の形状のために、フレキシブル・トラック2a、2b間の接触点P及び巻き取り手段3の交差点Cは、2つの巻き取りシリンダ1a、1bの2つの回転軸を通過する平面に垂直な平面上に整列される。太陽電池などの突出部は、各巻き取りシリンダ/フレキシブル・トラック・アセンブリ1a−2a/1b−2bに取り付けることができる。
【0023】
フレキシブル・トラック2a、2bは、らせん形状のフレキシブル・トラックから構成することができる。フレキシブル・トラック2a、2bの輪郭は、複数のらせん部分及び/または複数の円形輪郭の部分により形成することもできる。特定のらせん形状は、フレキシブル・トラックの2a、2bの接触点Pを巻き取り手段3の交差点Cからずらすことを可能にする。接触点P及び交差点Cは、巻き取りシリンダ1a、1bの回転軸に平行な同一軸上に位置していない。接触点Pから交差点Cに対する距離Dだけのこのずれは、巻き取り手段3により引き起こされ、接触点Pに加えられるプレストレス力のずれをもたらす。このために、接触点Pと交差点Cの間にトルクRが生じ、それがフレキシブル・トラック2a、2b及び巻き取りシリンダ1a、1bを含む取付用品12a、12bの回転を引き起こす。取付用品12a、12bの相互回転は、フレキシブル・トラック2a、2bのらせん形状のために、フレキシブル・トラック2a、2bの変形、より具体的には接触点におけるたわみの変化をもたらす。このとき、巻き取りシリンダ1a、1b間の中心相互間距離の方は一定値を保つのに対し、閉鎖姿勢Fにおける中心相互距離の長さEは開放姿勢Oにおける中心相互距離の長さE’に等しくなる。
【0024】
トルクRは、らせんの形状及びフレキシブル・トラック2a、2bの物理的特性、特にその弾力性及び剛性に対して採用する選択手段により調節することができる。フレキシブル・トラック2a、2bに加わるトルクRを増大するために、大きな開口角をもつらせんを用いることにより接触点Pの交差点Cからのずれを増大すること、または剛性の高いフレキシブル・トラックを使用することにより接触点Pに働く力を増大することができる。接触点Pに働く力を増大するために、フレキシブル・トラック2a、2bのたわみを増大することも可能である。
【0025】
展開段階中一定であるトルクRを作成するために、アルキメデスらせん形状が好ましいであろう。
【0026】
駆動トルクRは、ヒンジに対して外部の要素により引き起こされる一定の変動摩擦トルクを補償するために適合させることもできる。これらの要素は、一般的に2つの太陽電池パネル間で電気を運ぶ電気ケーブルの束であろう。従って、展開の全期間中殆ど一定である駆動余裕を得ることができる。従って駆動要求を厳密に必要な値に調節することができる。
【0027】
より一般的には、本発明は、少なくとも2つのフレキシブル・トラックを含むローリング・ヒンジ・システムに、それらの形状に関係なく、更に、巻き取り手段の構成に関係なく、応用することができる。従って、
図2により示されており、これから説明する例は、巻き取りシリンダの周りに配置される円形フレキシブル・トラック及び関連巻き取り手段を含んでいる。
【0028】
図2は、異物の存在する場合のローリング・ヒンジ装置をより具体的かつ要約的に説明している。
【0029】
図2により示されているローリング・ヒンジ装置は、
図1により上記において説明したより具体的な例の場合と同様な2つの巻き取りシリンダ1a、1bならびにフレキシブル・トラック2a、2b及びリンク手段3を含んでいる。
【0030】
異物20がトラック2a、2bの間に入り込むことがある。その場合、異物20は、駆動装置の運動中、フレキシブル・トラック2a、2bの間に更に深く噛み合うようになり、その結果、過度の抵抗トルクの一因となることによりヒンジ装置の正しい働きを妨げる可能性がある。この場合、トラック2a、2bの損傷、またはヒンジ装置の全面的故障に至ることもある。
【0031】
本発明は、フレキシブル・トラックを使用すること、及びフレキシブル・トラックに加えられるプレロードを分散するようにフレキシブル・トラックを分割することを提案することにより、かかる危険を低減することを可能にする。この目的のために、本発明は、複数のビーム断面によりローリング・フレキシブル・トラックを形成し、それらにプレロードを分散できるようにすることを提案する。
【0032】
例えば、各フレキシブル・トラックの少なくとも一部分は、トラックの全長のすべてまたは一部の上に形成される少なくとも1つのスロットを含むことができる。このスロットは、複数のフレキシブルなビーム断面を画定することを可能にする。フレキシブル・トラックの長さは、ここでは、当該フレキシブル・トラックが巻き取りシリンダの周りに巻かれるだけの寸法を意味すると解するべきである。継続のために、フレキシブル・トラックの両側縁は、フレキシブル・トラックの長手方向にほぼ平行なフレキシブル・トラックの両縁と同様に、即ち、関連フレキシブル・トラックが取り巻いている巻き取りシリンダの長手方向軸即ち回転軸に垂直な平面に全面的に内接するように画定することができる。
【0033】
図3A〜3Cは、本発明の種々の例示実施形態によるローリング・ヒンジ・システムにおける種々の代替フレキシブル・トラック構成を示す透視図である。このように示された例において、フレキシブル・トラック32は、シリンダを形成する中心部320の周りに巻かれるらせん形状をもっているか、あるいは図示されていない巻き取りシリンダの周りに配置される。これの例は、本発明を制限するものではない。これまでに定義したフレキシブル・トラックの長手方向において、中心部320にほぼ位置しているフレキシブル・トラック32の一部分は、フレキシブル・トラック32の近位部として定義することができる。フレキシブル・トラック32は、その長手方向に遠位部321に伸び、フレキシブル・トラック32の側縁にほぼ垂直な遠位縁で終わっている。
【0034】
図3Aを参照する。フレキシブル・トラック320は、フレキシブル・トラック320の長手方向に形成される複数のスロット323を含むことができる。これらのスロットは、お互いに及びフレキシブル・トラック320の側縁にほぼ平行であり、かつ、フレキシブル・トラック320の全長にそって形成される。スロット323は、複数のビーム断面325を画定する。
【0035】
図3Bを参照する。フレキシブル・トラック320は、例えば、代案実施形態において、フレキシブル・トラック320の長手方向に形成される複数のスロット323’を含むことができる。これらのスロットは、お互いに及びフレキシブル・トラック320の側縁にほぼ平行であり、かつ、フレキシブル・トラック320の全長の一部にそって形成され、例えば、フレキシブル・トラック32の近位部から一定の距離のところから、そこからフレキシブル・トラック32の長手方向にそって離れて行くことにより、フレキシブル・トラック32の遠位縁まで伸びる。スロット323’は、複数のビーム断面325を画定する。
【0036】
図3Cを参照する。フレキシブル・トラック320は、例えば、代案実施形態において、フレキシブル・トラック320の長手方向に形成される第1の複数のスロット323’を含むことができる。これらのスロットは、お互いに及びフレキシブル・トラック320の側縁にほぼ平行であり、かつ、フレキシブル・トラック320の全長の一部にそって形成され、例えば、
図3Bを参照して上述した実施形態におけるスロットと同様に、フレキシブル・トラック32の近位部から一定の距離のところから、そこからフレキシブル・トラック32の長手方向にそって離れて行くことにより、フレキシブル・トラック32の遠位縁まで伸びる。また、フレキシブル・トラック320は、
図3Aを参照して上述した実施形態の場合と同様に、フレキシブル・トラック320の長手方向に形成される第2の複数のスロット323を含むことができる。これらのスロットは、お互いに及びフレキシブル・トラック320の側縁にほぼ平行であり、かつ、フレキシブル・トラック320の全長にそって形成される。全長に沿って形成される第2の複数のスロットのスロット323及びフレキシブル・トラック320の全長の一部に沿って形成される第1の複数のスロットのスロット323’は、入れ替えることができる。
【0037】
上述の例は、決して本発明を制限するものではない。例えば、フレキシブル・トラックの側縁に平行でないスロットも考えられる。スロットは、例えば、フレキシブル・トラックの側縁と一定の角をなし、従ってらせん形をなし、異物の排出を促進することも可能である。
【0038】
図4により示されているように、有利なことに、
図3Cを参照して前述したフレキシブル・トラックの例に基づいて、フレキシブル・トラックを形成するビーム断面は、種々の形状の断面をもつことができる。ビーム断面は、例えば、
図3A〜3Cにより示されている例のような矩形断面をもつことができる。ビーム断面は、円形または楕円形の断面、台形断面、正方形断面、正菱形または偏菱形断面、丸みのある角をもつ正方形または矩形断面、鼓胴形断面などとすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1a 巻き取りシリンダ
1b 巻き取りシリンダ
2a トラック
2b トラック
3 リンク手段
3a 直線部分
3b 直線部分
12a 取付用品
12b 取付用品
20 異物
32 トラック
320 中心部
321 遠位部
323 スロット
325 ビーム断面
C 交差点
D 距離
F 閉鎖姿勢
O 開放姿勢
P 接触点
R 駆動トルク