【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1光導波路と、第2光導波路と、前記第1光導波路と前記第2光導波路との間に光学的に接続されたリング光導波路と、前記リング光導波路に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極とを備えるリング光共振器を複数備え、前記複数のリング光共振器が縦列接続されており、前記複数のリング光共振器の前記リング光導波路が互いに異なる周回長を有し、前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している光共振部と、
前記複数のリング光共振器に複数の異なる波長の入力光が入射された状態で、前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、前記複数のリング光共振器のうち光入力側から1番目のリング光共振器の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう制御部とを備えることを特徴とする光共振装置。
前記共振波長調整用電極は、前記リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、前記リング光導波路を加熱するヒータ電極であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光共振装置。
前記共振波長調整用電極は、前記リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、前記リング光導波路にキャリアを注入するキャリア注入電極であることを特徴とする、請求項1又は4に記載の光共振装置。
前記制御部は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光共振装置。
前記制御部は、前記共振波長調整制御において前記リング光共振器の共振波長を前記入力光波長に合わせたときに前記リング光共振器の順番と前記入力光波長の順番とが合っていない場合に、又は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光共振装置。
第1光導波路と、第2光導波路と、前記第1光導波路と前記第2光導波路との間に光学的に接続されたリング光導波路と、前記リング光導波路に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極とを備えるリング光共振器を複数備え、前記複数のリング光共振器が縦列接続されており、前記複数のリング光共振器の前記リング光導波路が互いに異なる周回長を有し、前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している光共振部に備えられる前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、制御部が、前記複数のリング光共振器に複数の異なる波長の入力光が入射された状態で、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、
前記制御部が、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、前記複数のリング光共振器に複数の異なる波長の入力光が入射された状態で、前記複数のリング光共振器のうち光入力側から1番目のリング光共振器の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なうことを特徴とする光共振器の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる光共振装置、光送信機及び光共振器の制御方法について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかる光共振装置、光送信機及び光共振器の制御方法について、
図1〜
図20を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態では、光共振装置として光変調装置を、光共振装置を含む光送信機として光変調装置を含む光送信機を、光共振器の制御方法として光変調器の制御方法を例に挙げて説明する。
本実施形態にかかる光送信機は、
図1に示すように、光源1と、光合波部22と、光変調部(光共振部)2と、制御部3とを備える。このうち、光変調部2と制御部3とによって、本実施形態にかかる光変調装置(光共振装置)が構成される。なお、本実施形態では、光源1及び光合波部22を含む光送信機として構成する場合を例に挙げて説明するが、光源1及び光合波部22を含まない光変調装置として構成することもでき、この場合には、光変調装置に、別に設けられた光源及び光合波部を接続すれば良い。
【0020】
ここで、光源1は、互いに異なる波長の光を出力する光源である。ここでは、この光源1は、例えば分布帰還型(Distributed Feedback:DFB)レーザや分布ブラッグ反射型(Distributed Bragg Reflector:DBR)レーザなどのレーザ光源を複数備え、各レーザ光源が互いに異なる波長のレーザ光を出力するレーザアレイ光源である。なお、レーザアレイ光源1に含まれる各レーザを、それぞれ、LD(1)、LD(2)、LD(3)、・・・、LD(N)とし、各レーザが出力するレーザ光の波長を、それぞれ、λ1、λ2、λ3、・・・、λNとし、これらの波長間隔をΔλとする。
【0021】
光合波部22は、光源1に接続されており、光源1から出力された異なる波長の光を合波する。ここでは、レーザアレイ光源1から出力された異なる波長λ1〜λNのレーザ光を合波する光合波器(Multiplexer:Mux)である。この光合波器22としては、例えば遅延マッハツェンダ干渉計(Delayed Mach-Zehnder Interferometer:DMZI)やアレイ導波路回折格子(Arrayed Waveguide Grating:AWG)等が用いられる。
【0022】
光変調部2は、光合波部22に接続されており、光合波部22から出力された、複数の異なる波長の光が合波された入力光が入力される。ここでは、レーザアレイ光源1から出力された異なる波長λ1〜λNのレーザ光(連続光)を合波し、波長分割多重化したCW(Continuous Wave)−WDM(Wavelength Division Multiplexer)入力光が入力される。なお、WDM入力光をWDM信号光ともいう。
【0023】
ここでは、光変調部2は、
図1に示すように、第1光導波路4と、第2光導波路5と、第1光導波路4と第2光導波路5との間に光学的に接続されたリング光導波路6と、リング光導波路6に設けられ、変調電気信号(変調信号)が供給される変調電極7と、リング光導波路6に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極8とを備えるリング光変調器(リング光共振器)9を複数備える。ここで、リング光変調器9の数は、複数の異なる波長の入力光の数、即ち、WDM入力光の波長数に応じた数とする。つまり、複数の異なる波長の入力光の数、即ち、WDM入力光の波長数がNである場合、N個のリング光変調器を設ける。この場合、複数のリング光変調器9を、それぞれ、Ring(1)、Ring(2)、Ring(3)、・・・、Ring(N)とする。そして、各リング光変調器9の変調電極7には、それぞれ、変調信号源20が接続されている。また、各リング光変調器9の共振波長調整用電極8には、それぞれ、図示しないヒータ電源が接続されている。
【0024】
また、これらの複数のリング光変調器9は第1光導波路4に対して光学的に縦列接続されている。また、複数のリング光変調器9のリング光導波路6は、互いに異なる周回長(円周長)を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっている(即ち、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している)。つまり、複数のリング光変調器9のそれぞれを構成する第1光導波路4同士が互いに接続されて一本の第1光導波路となり、これらの第1光導波路4に沿って、互いに異なる周回長を有する複数のリング光導波路6が、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなるように、直列に設けられ、それぞれのリング光導波路6に変調電極7及び共振波長調整用電極8が設けられている。このように、各リング光変調器9のリング光導波路6は、周回長が光入力側ほど小さく、光出力側ほど大きくなっている。ここでは、各リング光変調器9のリング光導波路6は、円形のリング形状であるため、互いに異なるリング半径を有し、リング半径が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっている。つまり、各リング光変調器9のリング光導波路6は、リング半径が光入力側ほど小さく、光出力側ほど大きくなっている。なお、光入力側は、第1光導波路4(バス光導波路)の光入力側でもあり、光出力側は、第1光導波路4(バス光導波路)の光出力側でもある。
【0025】
このように各リング光変調器9のリング光導波路6が互いに異なる周回長を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっている場合、各リング光変調器9の共振波長は互いに異なるものとなり、共振波長が光入力側から光出力側へ向けて順に長波長になる。つまり、変調電極7に変調電気信号が供給されておらず、かつ、共振波長調整用電極8に電流を供給していない状態で、各リング光変調器9の共振波長は互いに異なるものとなり、共振波長が光入力側から光出力側へ向けて順に長波長になる。なお、共振の次数は同じである。ここでは、各リング光変調器9のリング光導波路6の周回長(リング半径)は、複数のリング光変調器9の共振波長間隔がレーザアレイ光源1から出力される複数の異なる波長の入力光の波長間隔と同程度になるように、互いに異なるように設定されている。そして、最も光入力側の位置に、最も周回長が小さい(最もリング半径が小さい)リング光導波路6を有するリング光変調器9を配置し、光出力側へ向けて順番に、周回長が大きい(リング半径が大きい)リング光導波路6を有するリング光変調器9を配置している。例えば、1550nm帯で、光導波路の等価屈折率を約3.392とすると、
図2に示すように、光入力側から1番目のリング光変調器Ring(1)のリング半径をR(ここでは約8.0μm)とし、2番目〜N番目のリング光変調器Ring(2)〜Ring(N)のリング半径を、それぞれ、R+ΔR(ここでは約8.0165μm)、R+2ΔR(ここでは約8.0330μm)、・・・、R+(N−1)ΔRというように、ΔR(ここでは約0.0165μm)ずつ大きくすると、各リング光変調器9のある次数での共振波長は、それぞれ、約3.2nmずつ長波長側にシフトする。なお、リング光変調器9のある次数での共振波長の絶対値を精度良く作製することは難しいが、近接したリング光変調器間の相対的な共振波長差は、その共振波長間隔の偏差σ
ring=約0.1nm〜約0.5nm程度の精度で作製することが可能である。また、後述するように、各リング光変調器9は小型のヒータ機構を有しており、各リング光変調器9の共振波長を個別に調整することができる。
【0026】
なお、カスケード状に縦列接続された複数のリング光変調器9を、リング光変調器群ともいう。また、第1光導波路4の光源1側を入力ポートといい、光源1の反対側をスルーポートといい、第2光導波路5の光検出器21側をドロップポートという。また、第1光導波路4をバス光導波路ともいう。また、第2光導波路5をドロップポート用光導波路又はモニタ用光導波路ともいう。
【0027】
本実施形態では、光変調部2は、
図3(A)、
図3(B)に示すように、基板10上に、下部クラッド層11、コア層12、上部クラッド層13を積層した構造を備える光変調素子(光半導体素子;光素子)14として構成されている。そして、この光変調素子14が形成されている基板10上にレーザアレイ光源1が集積されている。なお、これを光集積素子ともいう。ここでは、レーザアレイ光源1は、例えばフリップチップボンディングでの結合やウェハ貼り合せ技術を利用したエバネッセント結合などを用いて第1光導波路4と光結合されている。
【0028】
具体的には、光変調部2は、シリコン基板10上に形成されたシリコン光変調素子14として構成されている。
この光変調部2としてのシリコン光変調素子14は、シリコン基板10上に、SiO
2下部クラッド層11、シリコンコア層12、SiO
2上部クラッド層13によって構成されるシリコン光導波路15を備える。例えば、基板10やコア層12を構成するシリコンは結晶シリコンである。
【0029】
そして、シリコンコア層12を直線状又はリング状にパターニングすることによって、第1光導波路4、第2光導波路5及び各リング光導波路6のそれぞれの導波路コア層として、直線状導波路コア層12A、直線状導波路コア層12B及び各リング状導波路コア層12Cが、互いに光学的に接続されるように形成されている。なお、第1光導波路4は、直線状のシリコン導波路コア層12Aを含む第1シリコン光導波路ともいう。また、第2光導波路5は、直線状のシリコン導波路コア層12Bを含む第2シリコン光導波路ともいう。また、リング光導波路6は、リング状のシリコン導波路コア層12Cを含むシリコンリング光導波路ともいう。
【0030】
ここでは、各リング光導波路6を構成するリング状導波路コア層12C(リング状シリコンコア層)は、リブ部12Xとスラブ部12Yとを有するリブ導波路構造(リブ導波路形状)となっている。
そして、各リング状導波路コア層12Cの幅方向の一方の側(
図3(B)中、右側)がn型にドーピングされたn型ドーピング領域12Nとなっており、他方の側(
図3(B)中、左側)がp型にドーピングされたp型ドーピング領域12Pとなっており、幅方向中央位置又はその近傍でn型ドーピング領域12Nとp型ドーピング領域12Pとが接合されてpn接合部12PNが形成されている。これを横方向pn構造ともいう。なお、このような構成のリング状導波路コア層12Cを用いる場合、逆バイアス時のキャリア密度変化を利用したリング光変調器となる。
【0031】
ここでは、各リング状導波路コア層12Cのn型ドーピング領域12Nのうち、リブ部12X及びその近傍の領域は、n型不純物が低濃度にドーピングされた低濃度ドーピング領域12NLとなっており、残りの領域、即ち、スラブ部12Yの一方の外側領域は、この低濃度ドーピング領域12NLよりもn型不純物が高濃度にドーピングされた高濃度ドーピング領域12NHとなっている。また、各リング状導波路コア層12Cのp型ドーピング領域12Pのうち、リブ部12X及びその近傍の領域は、p型不純物が低濃度にドーピングされた低濃度ドーピング領域12PLとなっており、残りの領域、即ち、スラブ部12Yの他方の外側領域は、この低濃度ドーピング領域12PLよりもp型不純物が高濃度にドーピングされた高濃度ドーピング領域12PHとなっている。
【0032】
そして、各リング状導波路コア層12Cのn型ドーピング領域12Nの高濃度ドーピング領域12NH上、即ち、スラブ部12Yの一方の外側領域上に、リブ部12Xに沿って、変調電極7を構成するn側電極7Aが設けられている。また、各リング状導波路コア層12Cのp型ドーピング領域12Pの高濃度ドーピング領域12PH上、即ち、スラブ部12Yの他方の外側領域上に、リブ部12Xに沿って、変調電極7を構成するp側電極7Bが設けられている。つまり、各リング状導波路コア層12Cのリブ部12Xを挟んで両側(外側及び内側)に、リブ部12Xに沿って、変調電極7を構成するn側電極7A及びp側電極7Bが設けられている。ここでは、各リング状導波路コア層12Cを構成するリング状のリブ部12Xの内側にその全周にわたってリング状にp側電極7Bが設けられており、リング状のリブ部12Xの外側に部分的にn側電極7Aが設けられている。
【0033】
このように各リング光導波路6を構成するリング状導波路コア層12Cに設けられた変調電極7に、変調電気信号を印加することで、入力された波長の光(レーザ光;入力光;連続光)の強度変調、即ち、リング光変調器9による強度変調を行なうことができるようになっている。このため、変調電極7を強度変調用電極ともいう。
また、各リング状導波路コア層12Cの上方に、共振波長調整用電極8としてのヒータ電極8Xが設けられている。つまり、各リング状導波路コア層12Cのリブ部12Xの上方の上部クラッド層13上に、リブ部12Xに沿って、即ち、リング状のリブ部12Xのほぼ全周にわたって、リング光導波路6、即ち、リング状導波路コア層12Cを加熱するヒータ電極8Xが設けられている。このヒータ電極8Xは、抵抗体(例えば金属)からなり、電流が供給されると発熱する。このため、ヒータ電極8Xに電流を供給することで、リング光導波路6、即ち、リング状導波路コア層12Cを加熱し、その屈折率を変化させることができ、これにより、リング光変調器9の共振波長を調整することができる。ここでは、ヒータ電極8Xに電流を供給すると、リング光導波路6、即ち、リング状導波路コア層12Cが加熱され、その屈折率が変化し、リング光変調器9の共振波長が長波長側へシフトするようになっている。なお、ヒータ電極8Xを、マイクロヒータ又は小型のヒータ機構ともいう。
【0034】
ここでは、
図1、
図2に示すように、複数(ここではN個)のリング光変調器9のリング光導波路6を構成するリング状導波路コア層12Cは、互いに異なる周回長(円周長)を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、それぞれが第1光導波路4を構成する直線状導波路コア層12Aと第2光導波路5を構成する直線状導波路コア層12Bとの間にこれらに光学的に接続されるように、第1光導波路4を構成する直線状導波路コア層12Aに沿って直列に並べて配置される。
【0035】
本実施形態では、各リング光変調器9において、第1光導波路4に対してリング光導波路6を挟んで対向する側に設けられた第2光導波路5に、それぞれ、光検出器(Photo Detector:PD)21が接続されている。つまり、第2光導波路5に入力された光の出力(パワー;光強度;光強度情報)を検出する光検出器21が、第2光導波路5に接続されている。ここでは、光検出器21の数は、複数の異なる波長の入力光の数、即ち、WDM入力光の波長数に応じた数とする。つまり、複数の異なる波長の入力光の数、即ち、WDM入力光の波長数がNである場合、N個の光検出器を設ける。なお、各リング光変調器Ring(1)、Ring(2)、Ring(3)、・・・、Ring(N)に接続された各PDを、それぞれ、PD(1)、PD(2)、PD(3)、・・・、PD(N)とする。そして、後述するように、制御部3は、各光検出器21によって検出された情報に基づいて各リング光変調器9に対する共振波長調整制御を行なうようになっている。つまり、各リング光変調器9には、それぞれ、PD21が接続されており、PD21によって、入力光(レーザ光)に対して各リング光変調器9がどのような透過特性を持っているかを検出することができる。このため、PD21を制御部3に電気的に接続し、PD21によって検出された情報(モニタ情報)を制御部3へ送ることで、制御部3は、それに基づいて各リング光変調器9に対する共振波長調整制御を行なうことができる。ここで、PD21には、例えばInGaAs吸収層やGe吸収層のpin型のPDを用いれば良い。この場合、各PD21に光が入力されるとその強度に応じた光電流が発生することになる。そして、シリコン光変調素子14が形成されているシリコン基板10上にPD21を集積すれば良い。この場合、光変調部2はPD21を備えることになる。なお、PD21はシリコン光変調素子14が形成されているシリコン基板10上に集積しなくても良く、光変調部2(ここでは第2光導波路5)に接続されていれば良い。なお、光検出器21を受光器ともいう。
【0036】
制御部3は、共振波長調整制御及び変調駆動制御を行なうものである。本実施形態では、制御部3は、共振波長調整制御を行なうためにヒータ電源(又はこれを含むヒータ駆動回路)に対する制御を行なうとともに、変調駆動制御を行なうために変調信号源20(又はこれを含むドライバ回路)に対する制御を行なうようになっている。このほか、制御部3は、レーザアレイ光源1に対する制御も行なうようになっている。ここでは、制御部3は、例えば、ヒータ電源(又はこれを含むヒータ駆動回路)のON,OFFを切り替える制御及び投入電力の制御、レーザアレイ光源1に含まれる各レーザのON,OFFを切り替える制御などを行ない、さらに、光検出器21からの光強度情報(PD21から出力される光電流)を管理するようになっている。この制御部3は、例えばCPU、メモリ、記憶装置等を備えるコンピュータ(コントローラ;制御回路)である。なお、各PD(1)〜PD(N)に入力された光強度に応じて出力され、制御部3に入力されるモニタ値を、P
mon(1)〜P
mon(N)とする。
【0037】
ここでは、制御部3は、複数のリング光変調器9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して(ここでは長波長側へ調整して)複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なう。そして、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光変調器9のうち光入力側から1番目のリング光変調器Ring(1)の共振波長を調整して(ここでは長波長側へ調整して)2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring(2)〜Ring(N)の共振波長を調整して(ここでは長波長側へ調整して)1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、複数のリング光変調器9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して(ここでは長波長側へ調整して)複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なうようになっている。
【0038】
本実施形態では、制御部3は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するようになっている。
ここでは、制御部3は、レーザアレイ光源1を駆動させ、光変調部2の第1光導波路4に複数の異なる波長のレーザ光を合波したWDM入力光を入力し、各PD21の値をモニタしながら、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)から順番に、ヒータ電源(又はこれを含むヒータ駆動回路)に対する制御を行なって、各リング光変調器9の共振波長を長波長側へ調整して各レーザ光の波長に合わせる共振波長調整制御を行なう。そして、制御部3は、上述の共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電流量を取得する。ここでは、さらに、この電流量に基づいて消費電力を取得する。また、制御部3は、この消費電力(電流量)がある消費電力(ある電流量)よりも小さいか否かを判定し、ある消費電力(ある電流量)以上であると判定した場合に、インターチャンネルが発生していると判定する。そして、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、光入力側から1番目のリング光変調器Ring(1)の共振波長を長波長側へ調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring(2)〜Ring(N)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)から順番に、各リング光変調器Ring(1)〜Ring(N)の共振波長を長波長側へ調整して各レーザ光の波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう。このような制御は、例えば光送信機30の起動時(電源オン時)にその都度行なわれる。なお、ここでは、消費電力を用いて、インターチャンネルが発生しているか否かを判定するようにしているが、これに限られるものではなく、電流量を用いて、インターチャンネルが発生しているか否かを判定するようにしても良い。なお、各PD(1)〜PD(N)のモニタ値P
mon(1)〜P
mon(N)を最大化するのに要した制御電力(共振波長調整制御に要した消費電力;電力値)を、P
tune(1)〜P
tune(N)とする。
【0039】
さらに、制御部3は、各リング光変調器9の変調電極7に変調電気信号を供給するための変調駆動制御を行なうようになっている。つまり、制御部3は、上述の共振波長調整制御及び再共振波長調整制御を行なった後、変調信号源20(又はこれを含むドライバ回路)に対する制御を行なって、各リング光変調器9の変調電極7に変調電気信号を供給するための変調駆動制御を行なうようになっている。この制御部3による変調駆動制御によって、変調信号源20から各リング光変調器9の変調電極7に変調電気信号が供給されることになる。この変調駆動制御は、変調電極7に供給される変調電気信号に基づいて、リング光変調器9の透過スペクトルを高速で変化させることで、出力ポートから出力される光の強度を高速で変調するものである。
【0040】
なお、本実施形態では、共振波長調整用電極8としてのヒータ電極8X、ヒータ電源(又はこれを含むヒータ駆動回路)、制御部3の共振波長調整制御及び再共振波長調整制御を行なう機能は、リング光変調器9の共振波長を調整するための機構であるため、これらをまとめて共振波長調整機構、共振波長調整部、又は、共振波長制御回路ともいう。
ところで、上述のように、光変調部2を、複数のリング光変調器9を縦列接続し、これらのリング光導波路6が互いに異なる周回長を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっている構成にし、制御部3によって、上述の共振波長調整制御を行なった結果、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、上述の再共振波長調整制御を行なうようにしているのは、以下の理由による。
【0041】
まず、
図4に示すようなヒータを有しない1つのリング光変調器のみを備える場合のリング光変調器の動作原理について、
図4〜
図7を参照しながら説明する。
図4に示すようなリング光変調器では、変調電極に変調電気信号が供給されていない状態で、入力ポートから入力された入力光の波長がリング光変調器(リング光共振器)の共振条件(共振波長)を満たす場合、
図5(A)、
図5(B)、
図6に示すように、入力光はドロップポートへと伝搬し、入力光の波長が共振波長からずれた場合、入力光はスルーポートへと伝搬する。
【0042】
このリング光変調器の共振波長は、リング光変調器を構成するリング光導波路の光学的な円周長で決定されるため、例えば電気信号による電気光学効果によって屈折率を変化させ、この光学的な円周長を変化させることで、リング光変調器の共振波長を変化させることができる。これは、入力ポートから見たドロップポート及びスルーポートへの透過率が変化するということであり、結果として、ドロップポート及びスルーポートに現れる光強度が変化することになる。このため、リング光変調器の変調電極に変調電気信号を印加し、屈折率を変調することで、光強度変調動作が得られることになる。
【0043】
例えば、リング光変調器の変調電極への印加電圧Vが0Vのときに共振条件を満たす場合、即ち、印加電圧Vが0Vのときにリング光変調器の共振波長が入力光の波長に合う場合、
図5(A)に示すように、リング光変調器の変調電極に印加する電圧Vを0Vにすると、入力ポートから入力された入力光はドロップポートへと伝搬する。一方、
図5(B)に示すように、リング光変調器の変調電極に印加する電圧Vを−Vonにすると、リング光変調器の共振波長が入力光の波長からずれて、入力ポートから入力された入力光はスルーポートへと伝搬する。
【0044】
この場合、リング光変調器の透過特性、即ち、入力ポートから見たスルーポートへの透過率は、
図6に示すようになり、リング光変調器の変調電極への印加電圧Vが0Vのときに最小になり、印加電圧Vが−Vonのときに最大になる。なお、ここでは、印加電圧Vが−Vonのときに透過率が最大になるようにしているが、これに限られるものではなく、例えば印加できる電圧振幅に制限がある場合などには、印加電圧Vが−Vonのときに透過率が最大にならなくても良い。
【0045】
このため、例えば
図7(A)に示すような変調電気信号(入力電気信号)をリング光変調器の変調電極に入力すると、ドロップポートから出力される光のパワー(光強度)は、
図7(B)に示すようになり、スルーポートから出力される光のパワーは、
図7(C)に示すようになる。つまり、スルーポートには変調電気信号(ここでは変調電圧信号)とは反転した反転信号(光強度変調信号)が現れ、ドロップポートには変調電気信号と同じ正信号(光強度変調信号)が現れる。この場合、ドロップポートを出力ポートとして用いても良いし、スルーポートに現れる反転信号を信号処理することで、スルーポートを出力ポートとして用いても良い。
【0046】
なお、ここでは、リング光変調器の変調電極への印加電圧Vを0V、−Vonとし、リング光変調器9の変調電極7への印加電圧Vが0Vのときに共振条件を満たす、即ち、印加電圧Vが0Vのときにリング光変調器の共振波長が入力光の波長に合うようにした場合を例に挙げて説明しているため、スルーポートに反転信号が現れ、ドロップポートに正信号が現れているが、これに限られるものではない。例えば、リング光変調器の変調電極への印加電圧Vを0V、−Vonとし、リング光変調器9の変調電極7への印加電圧Vが−Vonのときに共振条件を満たす、即ち、印加電圧Vが−Vonのときにリング光変調器の共振波長が入力光の波長に合うようにした場合、又は、リング光変調器の変調電極への印加電圧Vを0V、+Vonとし、リング光変調器9の変調電極7への印加電圧Vが0Vのときに共振条件を満たす、即ち、印加電圧Vが0Vのときにリング光変調器の共振波長が入力光の波長に合うようにした場合、スルーポートに正信号が現れ、ドロップポートに反転信号が現れることになる。この場合、スルーポートを出力ポートとして用いても良いし、ドロップポートに現れる反転信号を信号処理することで、ドロップポートを出力ポートとして用いても良い。
【0047】
このように、入力光の波長、リング光変調器の共振波長、信号処理などによって、ドロップポート及びスルーポートのいずれか一方を出力ポートとして用いることができる。
このようなリング光変調器を、光導波路がシリコン導波路コア層を含むシリコン光導波路によって構成されたシリコンリング光変調器とすると、小型、高速、低消費電力といった利点が得られるが、一方で動作波長帯域が非常に狭く、入力光の波長に対してリング光変調器の共振波長を作製時に合わせこむことが非常に困難である。
【0048】
例えば、リング光変調器の共振波長は、これを構成するリング光導波路の光学的な円周長(周回長)によって決定されるが、光導波路のシリコン導波路コア層の厚さのウェハ間偏差やロット間偏差等によって等価屈折率にばらつきが生じてしまうため、結果として、リング光変調器の共振波長は、ウェハ間やロット間で最低でも約±10nm程度のズレが生じてしまう。
【0049】
このようなリング光変調器の共振波長のズレに対しては、リング光変調器にヒータ(マイクロヒータ)を設けて熱制御によって屈折率を調整する方法、あるいは、キャリア注入によるキャリアプラズマ効果によって屈折率を調整する方法によって、リング光変調器の共振波長を調整することが考えられる。なお、ヒータを設けたリング光変調器を、ヒータ装荷型リング光変調器又はマイクロヒータ装荷型リング光変調器ともいう。
【0050】
しかしながら、ヒータによる熱制御によってリング光変調器の共振波長を調整する場合(
図8参照)、リング光変調器の共振波長を長波側にしかシフトさせることができない。一方、キャリア注入によってリング光変調器の共振波長を調整する場合、リング光変調器の共振波長を短波側にしかシフトさせることができない。このため、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な波長調整量は、最大で、リング光変調器のFSR分となる(
図9参照)。
【0051】
ここで、このFSRを小さくするには、リング光変調器を構成するリング光導波路(リング状導波路コア層)の半径を大きくする必要がある。一方、リング光変調器の小型、高速、低消費電力という利点を得るためには、リング光変調器を構成するリング光導波路の半径を小さくするのが望ましい。
そして、リング光変調器の小型・高速・低消費電力といった利点が得られるように、リング光変調器を構成するリング光導波路(リング状導波路コア層)の半径を小さくすると、FSRが大きくなってしまい、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な波長調整量が大きくなってしまう。
【0052】
このように、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な波長調整量が大きいと、ヒータによる加熱及びキャリア注入のいずれの場合も、共振波長の調整に用いる電極に供給する電流量、即ち、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な電流量が大きくなってしまう。このため、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な波長調整量が大きいと、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な消費電力が大きくなってしまう。
【0053】
例えば、
図8に示すようなマイクロヒータ装荷型リング光変調器では、リング光変調器の小型、高速、低消費電力といった利点が得られるように、リング光変調器の特性を重視して、リング光変調器を構成するリング光導波路(リング状導波路コア層)の半径(リング半径)を数μm程度、最大でも約10μm程度に抑えることが望ましい。このため、リング半径を約10μm程度にすると、FSRは約11nm程度と大きくなってしまう。
【0054】
ここで、シリコン導波路コアの屈折率の温度依存性からリング光変調器の共振波長の温度依存性は約0.07nm/Kであるため、約10μmのリング半径のリング光変調器においてFSR分の波長シフトを発生させるためには、ヒータによる加熱によってリング光変調器の温度を約160度上げることが必要になる。一般にシリコン導波路コアに形成したpn接合は最大動作温度が約150度程度と言われており、それ以上の温度では漏れ電流が大きくなり正常な動作が期待できなくなる。また、信頼性の観点からもこのような高温でリング光変調器を動作させることは極めて望ましくない。また、リング光変調器の共振波長をFSR分シフトさせるのに要する消費電力は数10mW程度と無視できない大きさである。
【0055】
この場合、複数の異なる波長の入力光を、縦列に接続された複数のリング光変調器に入力し、複数のリング光変調器の共振波長を、それぞれ、最も近い波長の入力光の波長に合わせることで、入力光の波長にリング光変調器の共振波長を合わせるのに必要な消費電力を低減することも考えられる。しかしながら、複数の異なる波長の入力光のそれぞれの波長と、複数のリング光変調器のそれぞれの共振波長とは、理想的な関係になるとは限らない。このため、一の波長の入力光とこれに隣接する他の波長の入力光との間に2つのリング光変調器の共振波長が入ってしまう、インターチャンネルが発生してしまう場合がある。
【0056】
例えば、
図10(A)に示すように、複数の異なる波長の入力光(連続光;レーザ光)を合波したCW−WDM入力光を、複数のリング光変調器が縦列に接続されたWDMバス導波路に入力し、このCW−WDM入力光に含まれるそれぞれの波長の入力光をそれぞれ別個にそれぞれのリング光変調器で変調して、WDM信号光として出力するようにWDM光送信機を構成することも考えられる。そして、このようなWDM光送信機において、
図10(B)中、矢印で示すように、複数のリング光変調器の共振波長を、それぞれ、最も近い波長の入力光の波長に合わせることで、これに必要な消費電力を低減することも考えられる。しかしながら、複数のリング光変調器の共振波長の間隔(チャンネル間隔)及びWDM入力光に含まれる複数のレーザ光の波長の間隔(チャンネル間隔)は必ずしも一定ではなく、ある程度の偏差を持ってばらついている。このため、複数の異なる波長のレーザ光のそれぞれの波長と、複数のリング光変調器のそれぞれの共振波長とが、例えば
図10(B)に示すような理想的な関係になっていれば良いが、これらの関係がずれて、例えば
図10(C)中、符号Xで示すように、一の波長の入力光とこれに隣接する他の波長の入力光との間に2つのリング光変調器の共振波長が入ってしまう、インターチャンネルが発生してしまう場合がある。
【0057】
このようなインターチャンネルは、複数の異なる波長の入力光の数(波長数)、これらの波長間隔及び偏差、複数のリング光変調器の共振波長間隔の偏差によって決まるある確率で発生する。
そして、インターチャンネルが発生してしまった場合、最も光入力側に設けられたリング光変調器から順番に、リング光変調器の共振波長を調整して入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なうと、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器の共振波長調整制御に必要な電流量、即ち、必要な消費電力が他のリング光変調器よりも大きくなってしまう。
【0058】
そこで、上述したように、
図1、
図2に示すように、光変調部2を、複数のリング光変調器9を縦列接続し、これらのリング光導波路6が互いに異なる周回長を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっている構成にし、制御部3によって、上述の共振波長調整制御を行ない、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、上述の再共振波長調整制御を行なうようにしている。これにより、複数の異なる波長の入力光を、縦列に接続された複数のリング光変調器9に入力して、必要な電流量(消費電力)を低減する場合に、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器9よりも大きくなってしまうのを抑制することができる。
【0059】
以下、より詳細に説明する。
まず、光変調部2を、複数のリング光変調器9を縦列接続し、これらのリング光導波路6が互いに異なる周回長を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっている構成にし、制御部3によって、最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に、リング光変調器9の共振波長を調整して入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なう場合、最も短波長の共振波長を持つリング光変調器、1チャンネル分長波長の共振波長を持つリング光変調器、さらに1チャンネル分長波長の共振波長を持つリング光共振器という順番で、共振波長調整制御が行なわれることになる。この場合、あるリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせると、その入力光はリング光変調器9のドロップポート側に伝搬していくことになるため、それよりも光出力側に位置するリング光変調器9には伝搬しなくなる。
【0060】
これについて、説明を簡略化するために、2つの異なる共振波長を持つリング光変調器Ring1,Ring2に2つの異なる波長λ1,λ2の入力光を入力する場合を例に挙げて、
図11〜
図13を参照しながら説明する。
ここで、
図11はリング光変調器Ring1,Ring2の共振波長を調整する前の状態を示しており、
図12は光入力側に位置するリング光変調器Ring1の共振波長を調整した後の状態を示しており、
図13はリング光変調器Ring2の共振波長を調整した後の状態を示している。
図11〜
図13において、(A)は構成図、(B)は(A)中、A点で観測されるスペクトルイメージ、(C)は(A)中、B点で観測されるスペクトルイメージ、(D)は2つの入力光波長λ1,λ2と2つのリング光変調器Ring1,Ring2の共振波長の関係を示している。
【0061】
まず、
図11(A)〜
図11(D)に示すように、リング光変調器Ring1,Ring2の共振波長を調整する前の状態では、2つのリング光変調器Ring1,Ring2の共振波長と2つの入力光波長λ1,λ2がマッチしていないため、2つの入力光はA点、B点で観測され、スルーポートから出力される。
次に、
図12(A)〜
図12(D)に示すように、光入力側に位置するリング光変調器Ring1の共振波長を調整する。つまり、リング光変調器Ring1のドロップポートに現れる光強度が最大になるようにリング光変調器Ring1の共振波長を調整する。これにより、リング光変調器Ring1の共振波長は波長λ1の入力光に合わせられることになる。この結果、波長λ1の入力光はリング光変調器Ring1のドロップポート側に伝搬していくことになる。これにより、リング光変調器Ring1よりも光出力側(即ち、スルーポート側)に位置するリング光変調器Ring2には波長λ1の入力光は伝搬しなくなる。このため、A点で観測された波長λ1の入力光は、B点では観測されなくなる。そして、波長λ2の入力光のみがスルーポートから出力されることになる。
【0062】
さらに、
図13(A)〜
図13(D)に示すように、リング光変調器Ring2の共振波長を調整する。つまり、リング光変調器Ring2のドロップポートに現れる光強度が最大になるようにリング光変調器Ring2の共振波長を調整する。このようにリング光変調器Ring2の共振波長を調整すると、上述のように、波長λ1の入力光は既にリング光変調器Ring1のドロップポート側へ伝搬しているため、リング光変調器Ring2の共振波長は、波長λ1の入力光に相当する波長を通過し、波長λ2の入力光に合わせられることになる。この結果、波長λ2の入力光はリング光変調器Ring2のドロップポート側に伝搬していくことになる。これにより、波長λ1の入力光だけでなく、波長λ2の入力光もスルーポートから出力されなくなる。なお、A点では波長λ1、λ2の入力光が観測され、B点では波長λ2の入力光が観測される。
【0063】
このように、光入力側に位置するリング光変調器9から順番に共振波長の調整を行なっていく場合、あるリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせると、その入力光はリング光変調器9のドロップポート側に伝搬していくことになるため、それよりも光出力側に位置するリング光変調器9には伝搬しなくなる。
ところで、上述のようにして共振波長調整制御を行なう場合、インターチャンネルが発生していないと、以下のようにして共振波長調整制御が行なわれることになる。
【0064】
ここでは、6つの異なる共振波長を持つリング光変調器Ring1〜Ring6に、レーザアレイ光源1に含まれる6つのレーザLD1〜LD6から出力される6つの異なる波長λ1〜λ6の入力光を含むWDM入力光を入力する場合(WDM入力光の波長数が6の場合)を例に挙げて、
図14、
図15を参照しながら説明する。
インターチャンネルが発生していない場合、6つのリング光変調器Ring1〜Ring6の共振波長のスペクトルと、6つの異なる波長の入力光のスペクトルとは、例えば
図14に示すような関係になる。
【0065】
この場合、
図14、
図15(A)〜
図15(N)に示すように、6つのリング光変調器Ring1〜Ring6のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring1から順番に、リング光変調器Ring1〜Ring6の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なうことで、各リング光変調器Ring1〜Ring6の共振波長を、それぞれ、直近かつ長波長側の入力光波長に合わせることができる。
【0066】
つまり、
図15(A)に示すように、6つのリング光変調器Ring1〜Ring6が光入力側から順番に配置されており、インターチャンネルが発生していない場合、WDM入力光のスペクトルとリング光変調器のスペクトルとの関係は、
図15(B)に示すようになる。これは共振波長調整前の状態を示している。
これに対し、まず、
図15(C)、
図15(D)に示すように、光入力側から1番目のリング光変調器Ring1(R1)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD4から出力された波長λ4の入力光に合わせられることになる。次いで、
図15(E)、
図15(F)に示すように、光入力側から2番目のリング光変調器Ring2(R2)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD5から出力された波長λ5の入力光に合わせられることになる。次いで、
図15(G)、
図15(H)に示すように、光入力側から3番目のリング光変調器Ring3(R3)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD6から出力された波長λ6の入力光に合わせられることになる。次いで、
図15(I)、
図15(J)に示すように、光入力側から4番目のリング光変調器Ring4(R4)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD1から出力された波長λ1の入力光に合わせられることになる。次いで、
図15(K)、
図15(L)に示すように、光入力側から5番目のリング光変調器Ring5(R5)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD2から出力された波長λ2の入力光に合わせられることになる。最後に、
図15(M)、
図15(N)に示すように、光入力側から6番目のリング光変調器Ring6(R6)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD3から出力された波長λ3の入力光に合わせられることになる。
【0067】
これにより、各リング光共振器Ring1〜Ring6の共振波長調整制御に要する消費電力はP
FSR/N(ここでは波長数N=6)以下とすることができる。このように、インターチャンネルが発生していない場合には、各リング光共振器Ring1〜Ring6の共振波長調整制御に要する消費電力を十分小さくすることができる。このため、再共振波長調整制御を行なわなくても良い。
【0068】
このように、インターチャンネルが発生していない場合、リング光変調器9の共振波長をFSR分シフトさせるのに要する消費電力をP
FSR、複数の異なる波長の入力光の数をN(WDM入力光の波長数がN)とすると、各リング光変調器9の共振波長調整制御に要する消費電力の期待値はP
FSR/2Nとなり、各リング光変調器9の共振波長調整制御に要する消費電力を大幅に削減することができる。例えばP
FSRが約30mW、Nが16の場合、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長調整制御に要する消費電力の期待値は約0.94mWとなる。
【0069】
なお、このようにインターチャンネルが発生していない場合、最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に共振波長調整制御を行なうと、最も短波長の共振波長をある入力光波長に合わせ、それ以降、1チャンネル分長波長側の共振波長を1チャンネル分ずれた入力光波長に順番に合わせていくことになる。
これに対し、インターチャンネルが発生していると、以下のようにして共振波長調整制御が行なわれることになる。
【0070】
ここでは、
図16に示すように、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とこれに隣接するレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合を例に挙げて説明する。
このようなインターチャンネルが発生している場合、上述のインターチャンネルが発生していない場合と同様に、
図17(A)〜
図17(N)に示すように、6つのリング光変調器Ring1〜Ring6のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring1から順番に、リング光変調器Ring1〜Ring6の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なっても、各リング光変調器Ring1〜Ring6の共振波長を、それぞれ、直近かつ長波長側の入力光波長に合わせることができない。
【0071】
つまり、
図17(A)に示すように、6つのリング光変調器Ring1〜Ring6が光入力側から順番に配置されており、インターチャンネルが発生している場合、WDM入力光のスペクトルとリング光変調器のスペクトルとの関係は、
図17(B)に示すようになる。これは共振波長調整前の状態を示している。
これに対し、まず、
図17(C)、
図17(D)に示すように、光入力側から1番目のリング光変調器Ring1(R1)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD4から出力された波長λ4の入力光に合わせられることになる。次いで、
図17(E)、
図17(F)に示すように、光入力側から2番目のリング光変調器Ring2(R2)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD5から出力された波長λ5の入力光に合わせられることになる。次いで、
図17(G)、
図17(H)に示すように、光入力側から3番目のリング光変調器Ring3(R3)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD6から出力された波長λ6の入力光に合わせられることになる。次いで、
図17(I)、
図17(J)に示すように、光入力側から4番目のリング光変調器Ring4(R4)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD2から出力された波長λ2の入力光に合わせられることになる。次いで、
図17(K)、
図17(L)に示すように、光入力側から5番目のリング光変調器Ring5(R5)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD3から出力された波長λ3の入力光に合わせられることになる。最後に、
図17(M)、
図17(N)に示すように、光入力側から6番目のリング光変調器Ring6(R6)の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせると、レーザLD1から出力された波長λ1の入力光に合わせられることになる。
【0072】
このように、リング光変調器Ring1の共振波長はレーザLD4から出力される入力光波長λ4に、リング光変調器Ring2の共振波長はレーザLD5から出力される入力光波長λ5に、リング光変調器Ring3の共振波長はレーザLD6から出力される入力光波長λ6に、それぞれ合わせられ、直近かつ長波長側の入力光波長に合わせることができる。しかしながら、リング光変調器Ring4の共振波長は、レーザLD1から出力される入力光波長λ1に合わせられずに、レーザLD2から出力される入力光波長λ2に合わせられる。この結果、リング光変調器Ring5の共振波長は、レーザLD2から出力される入力光波長λ2に合わせられずに、レーザLD3から出力される入力光波長λ3に合わせられる。そして、リング光変調器Ring6の共振波長は、レーザLD3から出力される入力光波長λ3に合わせられずに、レーザLD1から出力される入力光波長λ1に合わせられる。
【0073】
つまり、
図16に示すように、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生していると、リング光変調器Ring3の共振波長もリング光変調器Ring4の共振波長も、レーザLD1から出力される入力光波長λ1に合わせられない。この結果、リング光変調器Ring6の共振波長が、レーザLD1から出力される入力光波長λ1に合わせられることになる。つまり、リング光変調器Ring6では、最初にドロップポートに現れる光強度が最大になるように共振波長を調整すると、リング光変調器Ring6の共振波長は、レーザLD1から出力される入力光波長λ1に合わせられることになる。
【0074】
この場合、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器Ring6の共振波長調整制御に必要な電流量、即ち、必要な消費電力が他のリング光変調器よりも大きくなってしまう。例えば、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器Ring6の共振波長調整制御に必要な消費電力は、4×P
FSR/6となり、他のリング光変調器よりも大きくなってしまう。
【0075】
このようにインターチャンネルが発生していると、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9にしわ寄せがきてしまい、1チャンネルだけ非常に大きな消費電力を要することとなる。この場合、そのリング光変調器9だけ集中的に加熱されることになるため、系全体の信頼性を著しく悪化させることとなる。
そこで、インターチャンネルが発生しているか否かを判定し、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、上述の再共振波長調整制御を行なうようにしている。
【0076】
まず、本実施形態では、上述のように、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9にしわ寄せがきて、その調整制御に要する消費電力が他のチャンネルよりも大きくなるため、ある閾値(例えばP
FSR/N×1.5等)を設定して、それ以上であるか否かを判定することで、インターチャンネルが発生しているか否かを判定するようにしている。つまり、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に要した消費電力(電流量)がある消費電力(ある電流量)よりも小さいか否かを判定し、ある消費電力(ある電流量)以上であると判定した場合に、インターチャンネルが発生していると判定するようにしている。
【0077】
そして、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光変調器9のうち光入力側から1番目のリング光変調器Ring(1)の共振波長を長波長側へ調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring(2)〜Ring(N)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なうようになっている。
【0078】
ここで、例えば、6つの異なる共振波長を持つリング光変調器Ring1〜Ring6に、レーザアレイ光源1に含まれる6つのレーザLD1〜LD6から出力される6つの異なる波長λ1〜λ6の入力光を含むWDM入力光を入力する場合であって、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合を例に挙げて、
図18、
図19を参照しながら説明する。
【0079】
この場合、
図19(A)に示すように、6つのリング光変調器Ring1〜Ring6が光入力側から順番に配置されており、インターチャンネルが発生して、WDM入力光のスペクトルとリング光変調器のスペクトルとの関係は、
図19(B)に示すようになる。これは共振波長調整前の状態を示している。
これに対し、まず、
図19(C)、
図19(D)に示すように、光入力側から1番目のリング光変調器Ring1(R1)の共振波長を長波長側へ調整して2番目に一致した入力光波長に合わせると、レーザLD5から出力された波長λ5の入力光に合わせられることになる。
【0080】
次いで、
図19(E)、
図19(F)に示すように、光入力側から2番目のリング光変調器Ring2(R2)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせると、レーザLD6から出力された波長λ6の入力光に合わせられることになる。次いで、
図19(G)、
図19(H)に示すように、光入力側から3番目のリング光変調器Ring3(R3)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせると、レーザLD1から出力された波長λ1の入力光に合わせられることになる。次いで、
図19(I)、
図19(J)に示すように、光入力側から4番目のリング光変調器Ring4(R4)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせると、レーザLD2から出力された波長λ2の入力光に合わせられることになる。次いで、
図19(K)、
図19(L)に示すように、光入力側から5番目のリング光変調器Ring5(R5)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせると、レーザLD3から出力された波長λ3の入力光に合わせられることになる。最後に、
図19(M)、
図19(N)に示すように、光入力側から6番目のリング光変調器Ring6(R6)の共振波長を長波長側へ調整して1番目に一致した入力光波長に合わせると、レーザLD4から出力された波長λ4の入力光に合わせられることになる。
【0081】
このように、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、
図18に示すように、まず、光入力側から1番目のリング光変調器Ring1の共振波長を長波長側へ調整し、光検出器21でモニタされる光強度のピークで2番目に現れるものに合わせこむ。これにより、リング光変調器Ring1の共振波長が、レーザLD4から出力される入力光波長λ4ではなく、レーザLD5から出力される入力光波長λ5に合わせこまれることになる。
【0082】
その後、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring2〜Ring6の共振波長を順番に長波長側へ調整し、光検出器21でモニタされる光強度のピークで1番目に現れるものに合わせこむ。これにより、リング光変調器Ring2の共振波長がレーザLD6から出力される入力光波長λ6に、リング光変調器Ring3の共振波長がレーザLD1から出力される入力光波長λ1に、リング光変調器Ring4の共振波長がレーザLD2から出力される入力光波長λ2に、リング光変調器Ring5の共振波長がレーザLD3から出力される入力光波長λ3に、リング光変調器Ring6の共振波長がレーザLD4から出力される入力光波長λ4に合わせこまれることになる。
【0083】
このように、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring2〜Ring6については、単純に1番目に現れるピークに合わせこむことで、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring2〜Ring6の共振波長を入力光波長に合わせこむことができる。これは、光入力側に設けられたリング光変調器から順番に、リング光変調器の共振波長を入力光波長に合わせると、その入力光はリング光変調器のドロップポート側に伝搬していくことになるため、それよりも光出力側に位置するリング光変調器には伝搬しなくなるためである。
【0084】
例えば、複数の異なる波長の入力光の数が16(WDM入力光の波長数が16)で、その波長間隔が約3.2nmで、その偏差σ
LDが約0.1nmで、複数のリング光変調器9の共振波長間隔の偏差σ
ringが約0.1nmである場合、約15%の確率でインターチャンネルが発生する。このような高確率でインターチャンネルが発生したとしても、上述の再共振波長調整制御を行なうことで、全てのリング光変調器9の共振波長を各入力光波長(WDM入力光チャンネル)に適切に割り当てることができる。そして、各リング光変調器9を各入力光波長に割り当てたときに、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長調整制御に要する消費電力の期待値は約1.08mWであり、上述のインターチャンネルが発生していない場合の消費電力の期待値である約0.94mWと比較しても約15%程度の増分であり、共振波長調整制御に要する消費電力を十分に低く保つことができる。
【0085】
このように、インターチャンネルが発生していると判定した場合に再共振波長調整制御を行なうことで、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御の波長制御量、即ち、共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器9よりも大きくなってしまうのを抑制することができる。
次に、本実施形態にかかる光送信機(光変調装置;光共振装置)に備えられる制御部3による制御(光変調器の制御方法;光共振器の制御方法)について説明する。
【0086】
本実施形態では、制御部3は、共振波長調整制御を行なった後、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、再共振波長調整制御を行なうようになっている。
つまり、制御部3は、まず、上述のように構成される光送信機30(光変調装置;光共振装置)の光変調部(光共振部)2に備えられる複数のリング光変調器9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なう。
【0087】
そして、制御部3は、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光変調器9のうち光入力側から1番目のリング光変調器9の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光変調器9の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、複数のリング光変調器9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう。
【0088】
特に、制御部3は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に要した電流量(消費電力)がある電流量(ある消費電力)以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するのが好ましい。
また、複数のリング光共振器9は、リング光導波路6の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、制御部3は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器9のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることが好ましい。
【0089】
以下、
図20を参照しながら具体的に説明する。
なお、この制御は、例えば光送信機の起動時(電源オン時)にその都度行なわれ、光送信機(光変調装置)が初期化される。
まず、制御部3は、最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に共振波長調整制御を行なっていくシーケンス(
図20中、符号Xで示す)を実行する。
【0090】
つまり、制御部3は、まず、レーザアレイ光源1に含まれる全てのレーザLD(1)〜LD(N)を、所定の電流値にて、ONにする(ステップS10)。
次に、制御部3は、x=1とし(ステップS20)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)の共振波長調整用電極8(ヒータ電極8X)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(1)の共振波長を調整する(ステップS30)。ここで、リング光変調器Ring(1)に接続されている光検出器PD(1)は、リング光変調器Ring(1)の共振波長の変化に応じてモニタ値P
mon(1)を制御部3へ出力する。このため、制御部3は、このモニタ値P
mon(1)が最大になるようにリング光変調器Ring(1)に供給する電流量(電力;ヒータ電力)を調整する。ここでは、リング光変調器Ring(1)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(1)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(1)が最大になったら、リング光変調器Ring(1)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(1)の共振波長は、光検出器PD(1)でモニタされる光強度のピークで1番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0091】
その後、x=Nであるかを判定し(ステップS40)、x=Nでない場合はx=x+1とし(ステップS50)、ステップS30へ戻り、x=Nであると判定するまで、同様の処理を繰り返す。つまり、上述の最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)の共振波長調整制御と同様に、光入力側から2番目〜N番目のリング光変調器Ring(2)〜Ring(N)の共振波長調整制御を順番に行なう。
【0092】
そして、x=Nであると判定したら、即ち、最後のリング光変調器であるN番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御が完了したら、このシーケンス(
図20中、符号Xで示す)を終了し、次のシーケンス(
図20中、符号Yで示す)へ進む。
次に、制御部3は、インターチャンネル判定シーケンス(
図20中、符号Yで示す)を実行する。つまり、制御部3は、縦列接続された全てのリング光変調器9の共振波長が、各入力光波長に対して、適切に対応しているかどうか、即ち、インターチャンネルが発生しているかどうかをチェックするシーケンスを実行する。
【0093】
つまり、上述のステップS40でx=Nであると判定したら、制御部3は、最後に共振波長調整制御を行なったN番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−th(例えばP
FSR/N×1.5等)よりも小さいか否かを判定する(ステップS60)。
この判定の結果、N番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−thよりも小さいと判定した場合は、インターチャンネルが発生していないと判定し、制御を終了する。この場合、上述のようにして、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)から順番に、リング光変調器の共振波長を長波長側へ調整して入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なうことで、全てのリング光変調器Ring(1)〜Ring(N)の共振波長が、それぞれ、直近かつ長波長側の入力光波長に合わせこまれることになる。これにより、各リング光共振器Ring(1)〜Ring(N)の共振波長調整制御に要する消費電力を十分小さくすることができるため、後述の再共振波長調整制御は行なわずに、制御を終了する。
【0094】
一方、N番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−th以上であると判定した場合は、インターチャンネルが発生していると判定し、このシーケンス(
図20中、符号Yで示す)を終了し、次の再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図20中、符号Zで示す)へ進む。
そして、上述のインターチャンネル判定シーケンス(
図20中、符号Yで示す)を実行した結果、インターチャンネルが発生していると判定した場合、制御部3は、再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図20中、符号Zで示す)を実行する。
【0095】
つまり、上述のステップS60で、N番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−th以上であると判定した場合、制御部3は、再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図20中、符号Zで示す)を実行する。
ここでは、制御部3は、まず、全てのリング光変調器9の制御状態をオフにする(ステップS70)。つまり、各リング光変調器Ring(1)〜Ring(N)は、共振波長調整制御が行なわれ、電力値P
tune(1)〜P
tune(N)が供給された状態でロックされているため、これらをオフにして、リセットする。
【0096】
次に、制御部3は、x=1とし(ステップS80)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)の共振波長調整用電極(ヒータ電極)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(1)の共振波長を調整する(ステップS90)。ここでは、制御部3は、モニタ値P
mon(1)が2度最大になるまでリング光変調器Ring(1)に供給する電流量(ヒータ電力)を調整する。つまり、リング光変調器Ring(1)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(1)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(1)が、一度目の最大値(ピーク)を過ぎ、二度目の最大値(ピーク)になったら、リング光変調器Ring(1)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(1)の共振波長は、光検出器PD(1)でモニタされる光強度のピークで2番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0097】
次に、制御部3は、x=x+1とし(ステップS100)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、光入力側から2番目に設けられたリング光変調器Ring(2)の共振波長調整用電極(ヒータ電極)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(2)の共振波長を調整する(ステップS110)。ここでは、制御部3は、モニタ値P
mon(2)が最大になるようにリング光変調器Ring(2)に供給する電流量(電力;ヒータ電力)を調整する。つまり、リング光変調器Ring(2)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(2)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(2)が最大になったら、リング光変調器Ring(2)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(2)の共振波長は、光検出器PD(2)でモニタされる光強度のピークで1番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0098】
その後、x=Nであるかを判定し(ステップS120)、x=Nでない場合はx=x+1とし(ステップS130)、ステップ110へ戻り、x=Nであると判定するまで、同様の処理を繰り返す。つまり、上述の光入力側から2番目に設けられたリング光変調器Ring(2)の共振波長調整制御と同様に、光入力側から3番目〜N番目のリング光変調器Ring(3)〜Ring(N)の共振波長調整制御を順番に行なう。
【0099】
そして、x=Nであると判定したら、即ち、最後のリング光変調器であるN番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御が完了したら、このシーケンス(
図20中、符号Zで示す)を終了し、制御を終了する。
このような制御を行なうことで、インターチャンネルが発生しているか否かを判定でき、さらに、インターチャンネルが発生している場合に上述の再共振波長調整制御を行なうことで、全てのリング光変調器9の共振波長を、低い消費電力で、各入力光波長(WDM入力光チャンネル)に適切に割り当てることが可能となる。このように、インターチャンネルが発生していると判定した場合に再共振波長調整制御を行なうことで、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器よりも大きくなってしまうのを抑制することができる。
【0100】
したがって、本実施形態にかかる光変調装置(光共振装置)、光送信機及び光変調器(光共振器)の制御方法によれば、複数の異なる波長の入力光を、縦列に接続された複数のリング光変調器(リング光共振器)に入力して、必要な電流量(消費電力)を低減する場合に、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器(リング光共振器)の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器(リング光共振器)よりも大きくなってしまうのを抑制することができるという利点がある。
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる光共振装置、光送信機及び光共振器の制御方法について、
図21、
図22を参照しながら説明する。
【0101】
本実施形態では、光共振装置として光変調装置を、光共振装置を含む光送信機として光変調装置を含む光送信機を、光共振器の制御方法として光変調器の制御方法を例に挙げて説明する。
本実施形態にかかる光変調装置、光送信機及び光変調器の制御方法は、上述の第1実施形態のものに対し、インターチャンネルが発生しているか否かの判定方法が異なる。
【0102】
つまり、上述の第1実施形態では、制御部3は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器の共振波長調整制御に要した電流量(消費電力)がある電流量(ある消費電力)以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するようになっている。
これに対し、本実施形態では、制御部3は、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っていない場合に、又は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に要した電流量(消費電力)がある電流量(ある消費電力)以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するようになっている。
【0103】
本実施形態において、このようにしているのは、以下の理由による。
つまり、上述の第1実施形態のように、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に要する電流量(消費電力)がある電流量(ある消費電力)以上であると判定した場合にインターチャンネルが発生していると判定するたけでは、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に要する電流量(消費電力)が、複数のリング光変調器9の共振波長間隔の分散、複数の異なる波長の入力光の波長間隔(WDM入力光の波長間隔)の分散に依存するため、分散が大きい製造環境や分散が正しく推定できない状態では正しく判定できないおそれがあり、歩留まりや品質に影響を及ぼすおそれがある。
【0104】
ここで、インターチャンネルが発生していない場合(
図14参照)、各リング光変調器9の共振波長は各入力光波長に順番に合わせられていくことになる。例えば、
図14に示すように、光入力側から1番目に位置するリング光変調器Ring1の共振波長が、レーザLD4から出力される入力光波長λ4に合わせられると、2番目に位置する1チャンネル分長波長側のリング光変調器Ring2の共振波長は、1チャンネル分長波長側のレーザLD5から出力される入力光波長λ5に合わせられる。また、3番目に位置する1チャンネル分長波長側のリング光変調器Ring3の共振波長は、1チャンネル分長波長側の最も長波長のレーザLD6から出力される入力光波長λ6に合わせられる。また、4番目に位置する1チャンネル分長波長側のリング光変調器Ring4の共振波長は、最も短波長のレーザLD1から出力される入力光波長λ1に合わせられる。また、5番目に位置する1チャンネル分長波長側のリング光変調器Ring5の共振波長は、1チャンネル分長波長側のレーザLD2から出力される入力光波長λ2に合わせられる。そして、6番目に位置する1チャンネル分長波長側のリング光変調器Ring6の共振波長は、1チャンネル分長波長側のレーザLD3から出力される入力光波長λ3に合わせられる。このように、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合うことになる。
【0105】
このため、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っていない場合、インターチャンネルが発生していることになる。
そこで、本実施形態では、上述の第1実施形態のインターチャンネルが発生しているか否かの判定に加え、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っていないと判定した場合にも、インターチャンネルが発生していると判定するようにしている。これにより、より厳密にインターチャンネルが発生しているか否かを判定することが可能となる。なお、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っているか否かは、リング光変調器9の次数と入力光波長の次数が合っているか否かである。
【0106】
以下、
図21を参照しながら具体的に説明する。
なお、本実施形態では、最も光入力側に設けられたリング光変調器から順番に共振波長調整制御を行なっていくシーケンス(
図21中、符号Xで示す)に、インターチャンネル判定シーケンス(
図21中、符号Yで示す)に含まれる追加のインターチャンネル判定シーケンスが組み込まれることになる。
【0107】
まず、制御部3は、最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に共振波長調整制御を行なっていくシーケンス、及び、追加のインターチャンネル判定シーケンスを実行する(
図21中、符号Xで示す)。
つまり、制御部3は、まず、レーザアレイ光源1に含まれる全てのレーザLD(1)〜LD(N)を、所定の電流値にて、ONにする(ステップA10)。
【0108】
次に、制御部3は、x=1とし(ステップA20)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)の共振波長調整用電極(ヒータ電極)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(1)の共振波長を調整する(ステップA30)。ここで、リング光変調器Ring(1)に接続されている光検出器PD(1)は、リング光変調器Ring(1)の共振波長の変化に応じてモニタ値P
mon(1)を制御部3へ出力する。このため、制御部3は、このモニタ値P
mon(1)が最大になるようにリング光変調器Ring(1)に供給する電流量(電力;ヒータ電力)を調整する。ここでは、リング光変調器Ring(1)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(1)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(1)が最大になったら、リング光変調器Ring(1)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(1)の共振波長は、光検出器PD(1)でモニタされる光強度のピークで1番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0109】
次に、制御部3は、y=1とし(ステップA40)、レーザLD(1)をオフにし(ステップA50)、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−th(例えば暗電流の値+α程度の値)よりも小さくなったか否かを判定する(ステップA60)。
ここで、リング光変調器Ring(1)の共振波長がレーザLD(1)からの入力光の波長に合わせこまれていると、レーザLD(1)からの入力光は、リング光変調器Ring(1)に引き込まれ、光検出器PD(1)に入力されることになる。このため、レーザLD(1)をオフにした場合に、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−thよりも小さくなれば、即ち、暗電流程度の値まで減少すれば、レーザLD(1)からの入力光が、リング光変調器Ring(1)に引き込まれ、光検出器PD(1)に入力されていることになる。つまり、リング光変調器Ring(1)の共振波長は、レーザLD(1)からの入力光の波長に合わせこまれていることになる。
【0110】
この判定の結果、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−thよりも小さくなっていないと判定した場合は、y=y+1とし(ステップA70)、ステップA50へ戻り、レーザLD(2)をオフにし、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−th(例えば暗電流の値+α程度の値)よりも小さくなったか否かを判定する(ステップA60)。以降、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−thよりも小さくなっていると判定するまで、同様の処理を繰り返す。
【0111】
そして、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−thよりも小さくなっていると判定した場合、そのときにオフにしたレーザLD(y)からの入力光が、リング光変調器Ring(1)に引き込まれ、光検出器PD(1)に入力されていることになる。つまり、リング光変調器Ring(1)の共振波長は、そのときにオフにしたレーザLD(y)からの入力光の波長に合わせこまれていることになる。
【0112】
このように、リング光変調器Ring(1)の共振波長が合わせこまれている入力光波長、即ち、その波長の入力光を出力しているレーザ(入力光波長又はレーザの次数)を特定することができる。つまり、リング光変調器Ring(1)とレーザとの対応関係を特定することができる。
例えば、
図16に示すように、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合、光入力側から1番目に位置するリング光変調器Ring1の共振波長は、レーザLD4から出力される入力光波長λ4に合わせこまれ、リング光変調器Ring1の共振波長が合わせこまれている入力光波長は、レーザLD4から出力される入力光波長λ4であると特定されることになる。
【0113】
次に、ステップA60で、モニタ値P
mon(1)が閾値P
mon−thよりも小さくなっていると判定した場合、x=x+1(この段階ではx=2)とし(ステップA80)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、光入力側から2番目に設けられたリング光変調器Ring(2)の共振波長調整用電極(ヒータ電極)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(2)の共振波長を調整する(ステップA90)。ここで、リング光変調器Ring(2)に接続されている光検出器PD(2)は、リング光変調器Ring(2)の共振波長の変化に応じてモニタ値P
mon(2)を制御部3へ出力する。このため、制御部3は、このモニタ値P
mon(2)が最大になるようにリング光変調器Ring(2)に供給する電流量(電力;ヒータ電力)を調整する。ここでは、リング光変調器Ring(2)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(2)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(2)が最大になったら、リング光変調器Ring(2)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(2)の共振波長は、光検出器PD(2)でモニタされる光強度のピークで1番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0114】
例えば、
図16に示すように、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合、光入力側から2番目に位置するリング光変調器Ring2の共振波長は、レーザLD5から出力される入力光波長λ5に合わせこまれることになる。
【0115】
次に、制御部3は、y=y+1とし(ステップA100)、yがNよりも大きいかを判定し(ステップA110)、yがNよりも大きいと判定した場合には、y=y−Nとして(ステップA120)、ステップA130へ進む。一方、yがN以下であると判定した場合には、そのまま、ステップA130へ進む。そして、ステップA130で、制御部3は、レーザLD(y)をオフにする。
【0116】
例えば、
図16に示すように、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合であって、上述のように、リング光変調器Ring1の共振波長が合わせこまれている入力光波長は、レーザLD4から出力される入力光波長λ4であると特定された場合、y=4になっているため、ステップA100で、y=5とする。また、この場合、Nは6であるため、ステップA110で、yがNよりも大きくないと判定され、レーザLD5をオフにする。
【0117】
次に、制御部3は、モニタ値P
mon(2)が閾値P
mon−th(例えば暗電流の値+α程度の値)よりも小さくなったか否かを判定する(ステップA140)。
この判定の結果、モニタ値P
mon(2)が閾値P
mon−thよりも小さくなったと判定した場合は、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っており、インターチャンネルが発生していないと判定し、さらに、x=Nであるかを判定し(ステップA150)、x=Nでない場合は、ステップA80へ戻り、x=x+1とし、x=Nであると判定されるまで、同様の処理を繰り返す。つまり、上述の光入力側から2番目に設けられたリング光変調器Ring(2)の共振波長調整制御及び追加のインターチャンネル発生判定と同様に、光入力側から3番目〜N番目のリング光変調器Ring(3)〜Ring(N)の共振波長調整制御及び追加のインターチャンネル発生判定を順番に行なう。
【0118】
一方、上述の判定の結果、モニタ値P
mon(2)が閾値P
mon−thよりも小さくなっていないと判定した場合は、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っておらず、インターチャンネルが発生していると判定し、このシーケンス(
図21中、符号Xで示す)を終了し、次の再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図21中、符号Zで示す)へ進む。
【0119】
例えば、
図16に示すように、レーザLD1から出力される波長λ1の入力光とレーザLD2から出力される波長λ2の入力光との間に2つのリング光変調器Ring4,Ring5の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合、光入力側から2番目に位置するリング光変調器Ring2の共振波長が、レーザLD5から出力される入力光波長λ5に合わせこまれていると、ステップA140で、モニタ値P
mon(2)が閾値P
mon−thよりも小さくなったと判定し、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っており、インターチャンネルが発生していないと判定する。そして、この段階ではxは2である。また、この場合Nは6であるため、ステップA150で、x=Nでないとし、ステップA80へ戻り、x=3とし、リング光変調器Ring3の共振波長を調整する(ステップA90)。この結果、光入力側から3番目に位置するリング光変調器Ring3の共振波長は、レーザLD6から出力される入力光波長λ6に合わせこまれることになる。このため、ステップA140で、モニタ値P
mon(3)が閾値P
mon−thよりも小さくなったと判定し、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っており、インターチャンネルが発生していないと判定する。そして、この段階ではxは3である。また、この場合Nは6であるため、ステップA150で、x=Nでないとし、ステップA80へ戻り、x=4とし、リング光変調器Ring4の共振波長を調整する(ステップA90)。この結果、光入力側から4番目に位置するリング光変調器Ring4の共振波長は、レーザLD2から出力される入力光波長λ2に合わせこまれることになる。この段階では、ステップA100で、y=7となり、Nは6であるため、ステップA110で、yがNよりも大きいと判定され、ステップA120で、y=y−Nによってy=1とし、リング光変調器9の順番に合っている順番の入力光波長を出力するレーザLD1をオフにする。この場合、ステップA140で、モニタ値P
mon(4)が閾値P
mon−thよりも小さくなっていないと判定し、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っておらず、インターチャンネルが発生していると判定し、このシーケンス(
図21中、符号Xで示す)を終了し、次の再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図21中、符号Zで示す)へ進む。つまり、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っていないと判定したら、インターチャンネルが発生していると判定し、次の再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図21中、符号Zで示す)へ進む。このように、各リング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせるたびにレーザをオン/オフして、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っているか(即ち、リング光変調器9と入力光波長との対応関係が合っているか崩れているか)を確認することで、より厳密にインターチャンネルが発生しているか否かを判定することが可能となる。
【0120】
ところで、上述のように、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っているか否かによってインターチャンネルが発生しているか否かを判定する場合、最後に共振波長調整制御を行なうリング光変調器9の共振波長がずれて、インターチャンネルが発生している場合であっても、インターチャンネルが発生していないと判定されることになる。
例えば
図22に示すように、最後に共振波長調整制御を行なうリング光変調器9の共振波長がずれて、インターチャンネルが発生している場合、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っていないと判定されず、インターチャンネルが発生していないと判定されることになる。
【0121】
つまり、例えば
図22に示すように、レーザLD3から出力される波長λ3の入力光とレーザLD4から出力される波長λ4の入力光との間に2つのリング光変調器Ring1,Ring6の共振波長が入ってしまい、インターチャンネルが発生している場合、光入力側から2番目以降のリング光変調器Ring2〜Ring6の共振波長は、それぞれの順番に対応するレーザLD5〜LD3から出力される入力光波長に合わせこまれるため、全てのリング光変調器Ring2〜Ring6において、ステップA140で、モニタ値P
mon(x)が閾値P
mon−thよりも小さくなったと判定し、リング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っており、インターチャンネルが発生していないと判定することになる。この結果、ステップA150でx=Nであると判定することになる。
【0122】
この場合、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器9よりも大きくなってしまう。
そこで、本実施形態では、上述の第1実施形態の場合と同様に、上述のステップA150でx=Nであると判定したら、制御部3は、最後に共振波長調整制御を行なったN番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−th(例えば(N−1)×P
FSR/N等)よりも小さいか否かを判定するようにしている(ステップA160)。なお、本実施形態の場合、上述の第1実施形態の場合と異なる閾値P
tune−thを用いることができる。例えば、(N−1)×P
FSR/Nという非常に大きな値を用いることもできる。これは、例えば
図22で示すような場合にインターチャンネルが発生しているか否かを判定できれば良いからである。このように非常に大きな値を閾値として用いることで、環境に左右されずに高い判定精度が得られることになる。
【0123】
この判定の結果、N番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−thよりも小さいと判定した場合は、インターチャンネルが発生していないと判定し、制御を終了する。
一方、N番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御に要した電力値P
tune(N)が閾値P
tune−th以上であると判定した場合は、インターチャンネルが発生していると判定し、このシーケンス(
図21中、符号Yで示す)を終了し、次の再共振波長調整制御を行なうシーケンス(
図21中、符号Zで示す)へ進む。
【0124】
このように、本実施形態では、インターチャンネルが発生しているか否かを、基本的には、リング光変調器9の共振波長と入力光波長との対応関係から判定し、さらに、最後に共振波長調整制御を行なうリング光変調器9の共振波長がずれて、インターチャンネルが発生しているか否かも判定するようにしている。つまり、上述の第1実施形態のインターチャンネルが発生しているか否かの判定に加え、共振波長調整制御においてリング光変調器9の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光変調器9の順番と入力光波長の順番とが合っていないと判定した場合にも、インターチャンネルが発生していると判定するようにしている。
【0125】
そして、上述のステップA140又はA160での判定の結果、インターチャンネルが発生していると判定した場合、制御部3は、上述の第1実施形態の場合と同様に、再共振波長調整制御を行なうシーケンスを実行する。
つまり、制御部3は、まず、全てのリング光変調器9の制御状態をオフにする(ステップA170)。つまり、各リング光変調器Ring(1)〜Ring(N)は、共振波長調整制御が行なわれ、電力値P
tune(1)〜P
tune(N)が供給された状態でロックされているため、これらをオフにして、リセットする。
【0126】
次に、制御部3は、x=1とし(ステップA180)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、最も光入力側に設けられたリング光変調器Ring(1)の共振波長調整用電極(ヒータ電極)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(1)の共振波長を調整する(ステップA190)。ここでは、制御部3は、モニタ値P
mon(1)が2度最大になるまでリング光変調器Ring(1)に供給する電流量(ヒータ電力)を調整する。つまり、リング光変調器Ring(1)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(1)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(1)が、一度目の最大値(ピーク)を過ぎ、二度目の最大値(ピーク)になったら、リング光変調器Ring(1)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(1)の共振波長は、光検出器PD(1)でモニタされる光強度のピークで2番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0127】
次に、制御部3は、x=x+1とし(ステップA200)、ヒータ電源に電力を投入して、ヒータ電源から、光入力側から2番目に設けられたリング光変調器Ring(2)の共振波長調整用電極(ヒータ電極)に、電流を供給して、リング光変調器Ring(2)の共振波長を調整する(ステップA210)。ここでは、制御部3は、モニタ値P
mon(2)が最大になるようにリング光変調器Ring(2)に供給する電流量(電力;ヒータ電力)を調整する。つまり、リング光変調器Ring(2)に供給する電流量(ヒータ電力)を徐々に大きくしていき、リング光変調器Ring(2)の共振波長を徐々に長波長側へシフトさせ、モニタ値P
mon(2)が最大になったら、リング光変調器Ring(2)の共振波長調整制御を完了し、ロックする。この場合、リング光変調器Ring(2)の共振波長は、光検出器PD(2)でモニタされる光強度のピークで1番目に現れるものに合わせこまれることになる。
【0128】
その後、x=Nであるかを判定し(ステップA220)、x=Nでない場合はx=x+1とし(ステップA230)、ステップA210へ戻り、x=Nであると判定するまで、同様の処理を繰り返す。つまり、上述の光入力側から2番目に設けられたリング光変調器Ring(2)の共振波長調整制御と同様に、光入力側から3番目〜N番目のリング光変調器Ring(3)〜Ring(N)の共振波長調整制御を順番に行なう。
【0129】
そして、x=Nであると判定したら、即ち、最後のリング光変調器であるN番目のリング光変調器Ring(N)の共振波長調整制御が完了したら、このシーケンス(
図21中、符号Zで示す)を終了し、制御を終了する。
このような制御を行なうことで、より厳密にインターチャンネルが発生しているか否かを判定でき、さらに、インターチャンネルが発生している場合に上述の再共振波長調整制御を行なうことで、全てのリング光変調器9の共振波長を、低い消費電力で、各入力光波長(WDM入力光チャンネル)に適切に割り当てることが可能となる。このように、インターチャンネルが発生していると判定した場合に再共振波長調整制御を行なうことで、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器9よりも大きくなってしまうのを抑制することができる。
【0130】
したがって、本実施形態にかかる光変調装置(光共振装置)、光送信機及び光変調器(光共振器)の制御方法によれば、複数の異なる波長の入力光を、縦列に接続された複数のリング光変調器(リング光共振器)に入力して、必要な電流量(消費電力)を低減する場合に、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器(リング光共振器)の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器(リング光共振器)よりも大きくなってしまうのを抑制することができるという利点がある。
[第3実施形態]
まず、第3実施形態にかかる光共振装置、光送信機及び光共振器の制御方法について、
図23〜
図25を参照しながら説明する。
【0131】
本実施形態では、光共振装置として光変調装置を、光共振装置を含む光送信機として光変調装置を含む光送信機を、光共振器の制御方法として光変調器の制御方法を例に挙げて説明する。
本実施形態にかかる光変調装置、光送信機及び光変調器の制御方法は、上述の第1実施形態のものに対し、リング光変調器9の共振波長の調整方法が異なる。つまり、上述の第1実施形態のものは、ヒータによる加熱によってリング光変調器9の共振波長を調整するのに対し、本実施形態のものは、キャリア注入によってリング光変調器9の共振波長を調整する点が異なる。
【0132】
この場合、上述の第1実施形態と本実施形態とでは、複数のリング光共振器9は、リング光導波路の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化しており、制御部は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる点で共通する一方、上述の第1実施形態では、複数のリング光共振器9は、リング光導波路の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、制御部は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせるのに対し、本実施形態では、複数のリング光共振器は、リング光導波路の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっており、制御部は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を短波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる点で異なる。
【0133】
このため、上述の第1実施形態では、共振波長調整用電極8として、リング光導波路6を加熱するヒータ電極8Xを設けているのに対し、本実施形態では、
図23〜
図25に示すように、共振波長調整用電極8として、リング光変調器9の共振波長を調整するために電流が供給され、リング光導波路6にキャリアを注入するキャリア注入電極8Yを設けている。
【0134】
そして、キャリア注入電極8Yに電流を供給することで、リング光導波路6の内部に形成された異なる導電型の接合部12PNにキャリアを注入し、その屈折率を変化させることができ、これにより、リング光変調器9の共振波長を調整することができる。ここでは、キャリア注入電極8Yに電流を供給すると、リング光導波路6の内部に形成されたpn接合部12PNにキャリアが注入され、キャリアプラズマ効果によって、その屈折率が変化し、リング光変調器9の共振波長が短波長側へシフトするようになっている。なお、キャリア注入はpn接合部12PNに対して順方向へバイアスすることによって行なわれる。
【0135】
このようなキャリア注入による屈折率変化は、ヒータによる屈折率変化に比べ、電力効率に優れるため、入力光の波長とリング光変調器9の共振波長との整合に要する電力を更に低減する効果が期待できる。一方、キャリア注入に伴う光損失の増加があるため、入力光の受ける損失が増加する。また、リング光変調器9の変調領域の一部をキャリア注入による共振波長調整用領域として用いるため、変調領域が小さくなり、変調効率としては低下する。このため、上述の第1実施形態のものと比較すると、同等な変調信号振幅に対して動的消光比は低くなる。
【0136】
上述の第1実施形態のような構成と本第3実施形態のような構成のどちらの構成がより好ましいかは、レーザ光源1の性能、求められるシステムの消費電力、送信系の光リンク内のロス、受信系の構成や特性等によって異なるため、使用環境、要求性能等を勘案し、より有利な方式を選択することが望ましい。
この場合、
図24(A)、
図24(B)に示すように、変調電極7を構成するp側電極7B及びn側電極7Aを、上述の第1実施形態のものよりも短くし、これらに隣接して、キャリア注入電極8Yを構成するp側電極8B及びn側電極8Aを設ければ良い。つまり、上述の第1実施形態のものにおいて変調電極7が設けられていた変調領域の一部を、キャリア注入電極8Yを設けた共振波長調整用領域(共振波長制御用領域)として用いれば良い。なお、
図24(B)は、
図24(A)のB−B′線に沿う断面図であり、
図24(A)のA−A′線に沿う断面図は、
図3(B)においてヒータ電極8Xを備えない構造となっている。
【0137】
ここでは、各リング状導波路コア層12Cのn型ドーピング領域12Nの高濃度ドーピング領域12NH上、即ち、スラブ部12Yの一方の外側領域上に、リブ部12Xに沿って、変調電極7を構成するn側電極7Aを設けるとともに、キャリア注入電極8Yを構成するn側電極8Aを設けている。また、各リング状導波路コア層12Cのp型ドーピング領域12Pの高濃度ドーピング領域12PH上、即ち、スラブ部12Yの他方の外側領域上に、リブ部12Xに沿って、変調電極7を構成するp側電極7Bを設けるとともに、キャリア注入電極8Yを構成するp側電極8Bを設けている。つまり、各リング状導波路コア層12Cのリブ部12Xを挟んで両側(外側及び内側)に、リブ部12Xに沿って、変調電極7を構成するn側電極7A及びp側電極7Bを設けるとともに、キャリア注入電極8Yを構成するn側電極8A及びp側電極8Bを設けている。ここでは、各リング状導波路コア層12Cを構成するリング状のリブ部12Xの内側に部分的に変調電極7を構成するp側電極7B及びキャリア注入電極8Yを構成するp側電極8Bを設け、リング状のリブ部12Xの外側に部分的に変調電極7を構成するn側電極7A及びキャリア注入電極8Yを構成するn側電極8Aを設けている。
【0138】
また、制御部3は、共振波長調整制御を行なうためにキャリア注入用電源(又はこれを含むキャリア注入用回路)に対する制御を行なうとともに、変調駆動制御を行なうために変調信号源20(又はこれを含むドライバ回路)に対する制御を行なうようにすれば良い。
特に、本実施形態では、キャリア注入によってリング光変調器9の共振波長を調整するため、リング光変調器9の共振波長を調整して(ここでは短波長側へ調整して)入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なうことになる。
【0139】
このため、光変調部(光共振部)2に備えられる複数のリング光変調器(リング光共振器)9のリング光導波路6は、互いに異なる周回長(円周長)を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっている(即ち、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している)。つまり、第1光導波路4に沿って、互いに異なる周回長を有する複数のリング光導波路6が、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなるように、直列に設けられ、それぞれのリング光導波路6に変調電極7及び共振波長調整用電極8が設けられている。このように、各リング光変調器9のリング光導波路6は、周回長が光入力側ほど大きく、光出力側ほど小さくなっている。ここでは、各リング光変調器9のリング光導波路6は、円形のリング形状であるため、互いに異なるリング半径を有し、リング半径が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっている。つまり、各リング光変調器9のリング光導波路6は、リング半径が光入力側ほど大きく、光出力側ほど小さくなっている。
【0140】
このように各リング光変調器9のリング光導波路6が互いに異なる周回長を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっている場合、各リング光変調器9の共振波長は互いに異なるものとなり、共振波長が光入力側から光出力側へ向けて順に短波長になる。つまり、変調電極7に変調電気信号が供給されておらず、かつ、共振波長調整用電極8に電流を供給していない状態で、各リング光変調器9の共振波長は互いに異なるものとなり、共振波長が光入力側から光出力側へ向けて順に短波長になる。なお、共振の次数は同じである。ここでは、各リング光変調器9のリング光導波路6の周回長(リング半径)は、複数のリング光変調器9の共振波長間隔がレーザアレイ光源1から出力される複数の異なる波長の入力光の波長間隔と同程度になるように、互いに異なるように設定されている。そして、最も光入力側の位置に、最も周回長が大きい(最もリング半径が大きい)リング光導波路6を有するリング光変調器9を配置し、光出力側へ向けて順番に、周回長が小さい(リング半径が小さい)リング光導波路6を有するリング光変調器9を配置している。例えば、
図25に示すように、光入力側から1番目のリング光変調器Ring(1)のリング半径をRとし、2番目〜N番目のリング光変調器Ring(2)〜Ring(N)のリング半径を、それぞれ、R−ΔR、R−2ΔR、・・・、R−(N−1)ΔRというように、ΔRずつ小さくすると、各リング光変調器9のある次数での共振波長は、それぞれ、ある波長分ずつ短波長側にシフトする。
【0141】
また、制御部3は、複数のリング光変調器9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して(ここでは短波長側へ調整して)複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光変調器9のうち光入力側から1番目のリング光変調器9の共振波長を調整して(ここでは短波長側へ調整して)2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光変調器9の共振波長を調整して(ここでは短波長側へ調整して)1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、複数のリング光変調器9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して(ここでは短波長側へ調整して)複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なうようにする。
【0142】
次に、本実施形態にかかる光送信機(光変調装置;光共振装置)に備えられる制御部3による制御(光共振器の制御方法;光変調器の制御方法)について説明する。
本実施形態では、制御部3は、共振波長調整制御を行なった後、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、再共振波長調整制御を行なうようになっている。
つまり、制御部3は、まず、上述のように構成される光送信機(光変調装置;光共振装置)の光変調部(光共振部)2に備えられる複数のリング光変調器(リング光共振器)9のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器9から順番に、複数のリング光変調器9のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なう。
【0143】
そして、制御部3は、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光変調器のうち光入力側から1番目のリング光変調器の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光変調器の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、複数のリング光変調器のうち最も光入力側に設けられたリング光変調器から順番に、複数のリング光変調器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう。
【0144】
特に、制御部3は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器9の共振波長調整制御に要した電流量(消費電力)がある電流量(ある消費電力)以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するのが好ましい。
また、複数のリング光共振器9は、リング光導波路6の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっており、制御部3は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器9のそれぞれの共振波長を短波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることが好ましい。
【0145】
なお、本実施形態では、上述の第1実施形態のものに対し、波長制御方向が反転しているが、バス光導波路4に対するリング光変調器9の配置も反転させているため、実質的に制御アルゴリズムは上述の第1実施形態のものと等しい。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様である。
したがって、本実施形態にかかる光変調装置(光共振装置)、光送信機及び光変調器(光共振器)の制御方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、複数の異なる波長の入力光を、縦列に接続された複数のリング光変調器(リング光共振器)に入力して、必要な電流量(消費電力)を低減する場合に、最後に共振波長調整制御を行なったリング光変調器(リング光共振器)の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光変調器(リング光共振器)よりも大きくなってしまうのを抑制することができるという利点がある。
【0146】
なお、本実施形態では、上述の第1実施形態の変形例として構成しているが、これに限られるものではなく、上述の第2実施形態の変形例として構成することもできる。つまり、上述の第2実施形態のものに、本実施形態のものを適用することもできる。
[第4実施形態]
まず、第4実施形態にかかる光共振装置及び光共振器の制御方法について、
図26を参照しながら説明する。
【0147】
本実施形態では、光共振装置として光分波装置を、光共振器の制御方法として光分波器の制御方法を例に挙げて説明する。
上述の第1実施形態では、本発明を、光変調装置、光送信機及び光変調器の制御方法に適用しているのに対し、本実施形態では、本発明を、光分波装置及び光分波器の制御方法に適用している点が異なる。
【0148】
この場合、上述の第1実施形態におけるリング光変調器をリング光共振器に読み替え、光変調部を光分波部と読み替え、光変調装置を光分波装置と読み替え、光変調器の制御方法を光分波器の制御方法と読み替えれば良い。
また、
図26に示すように、光分波装置100として用いる場合、変調電極や変調信号源などは不要となる。また、光分波装置100として用いる場合、この光分波装置100に入力されたWDM入力光(WDM信号光;複数の異なる波長の入力光)は、各リング光共振器90で各波長の光に分波され、それぞれ、第2光導波路50(ドロップポート用光導波路)を導波して出力されることになる。このため、各第2光導波路50を出力側まで延ばし、それぞれの第2光導波路50に、例えば方向性結合器70などを介して、分波された光の一部が導波する光導波路71(モニタ用光導波路)を接続し、この光導波路71に光検出器210(PD)を接続すれば良い。そして、各光検出器210からの情報に基づいて、上述の第1実施形態の場合と同様に、各リング光共振器90の共振波長をWDM入力光に含まれる複数の異なる波長の入力光波長に合わせる共振波長調整制御や再共振波長調整制御を行なうようにすれば良い。これにより、インターチャンネルが発生している場合に再共振波長調整制御を行なうことで、全てのリング光共振器90の共振波長を、低い消費電力で、各入力光波長(WDM入力光チャンネル)に適切に割り当てることが可能となる。
【0149】
このため、本実施形態にかかる光分波装置100は、第1光導波路40と、第2光導波路50と、第1光導波路40と第2光導波路50との間に光学的に接続されたリング光導波路60と、リング光導波路60に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極80(ここではヒータ電極80X)とを備えるリング光共振器90を複数備え、複数のリング光共振器90が縦列接続されており、複数のリング光共振器90のリング光導波路60が互いに異なる周回長を有し、周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している光分波部(光共振部)200を備える。
【0150】
また、本光分波装置100は、複数のリング光共振器90のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器90から順番に、複数のリング光共振器90のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光共振器90のうち光入力側から1番目のリング光共振器90の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器90の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、複数のリング光共振器90のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器90から順番に、複数のリング光共振器90のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう制御部300と備える。
【0151】
特に、複数のリング光共振器90は、リング光導波路60の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、制御部300は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器90のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることが好ましい。
また、共振波長調整用電極80は、リング光共振器90の共振波長を調整するために電流が供給され、リング光導波路60を加熱するヒータ電極80Xであることが好ましい。
【0152】
また、制御部300は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光共振器90の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するのが好ましい。
また、複数のリング光共振器90のそれぞれの第1光導波路又は第2光導波路に接続された光検出器210を備えるものとし、制御部300が、光検出器210によって検出された情報に基づいて共振波長調整制御及び再共振波長調整制御を行なうようにするのが好ましい。
【0153】
次に、本実施形態にかかる光分波装置(光共振装置)に備えられる制御部3による制御(光分波器の制御方法;光共振器の制御方法)について説明する。
本実施形態では、制御部300は、共振波長調整制御を行なった後、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、再共振波長調整制御を行なうようになっている。
つまり、制御部300は、まず、上述のように構成される光分波装置(光共振装置)100の光分波部(光共振部)200に備えられる複数のリング光共振器90のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器90から順番に、複数のリング光共振器90のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行なう。
【0154】
そして、制御部300は、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、複数のリング光共振器90のうち光入力側から1番目のリング光共振器90の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器90の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、複数のリング光共振器90のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器90から順番に、複数のリング光共振器90のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう。
【0155】
特に、制御部300は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光共振器90の共振波長調整制御に要した電流量(消費電力)がある電流量(ある消費電力)以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定するのが好ましい。
また、複数のリング光共振器90は、リング光導波路の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、制御部300は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器90のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることが好ましい。
【0156】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態の場合と同様である。
したがって、本実施形態にかかる光分波装置(光共振装置)及び光分波器(光共振器)の制御方法によれば、複数の異なる波長の入力光を、縦列に接続された複数のリング光共振器に入力して、必要な電流量(消費電力)を低減する場合に、最後に共振波長調整制御を行なったリング光共振器の共振波長調整制御に必要な電流量(消費電力)が他のリング光共振器よりも大きくなってしまうのを抑制することができるという利点がある。
【0157】
なお、本実施形態では、上述の第1実施形態のものを、光分波装置及び光分波器の制御方法として用いる場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、上述の第2実施形態及び第3実施形態のものを、光分波装置及び光分波器の制御方法として用いることもできる。この場合も、上述の第2実施形態及び第3実施形態におけるリング光変調器をリング光共振器に読み替え、光変調部を光分波部と読み替え、光変調装置を光分波装置と読み替え、光変調器の制御方法を光分波器の制御方法と読み替えれば良い。
【0158】
例えば、上述の第3実施形態のものを光分波装置として用いる場合、光分波装置(光共振装置)は、複数のリング光共振器は、リング光導波路の周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっており、制御部は、共振波長調整制御及び再共振波長調整制御において、複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を短波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることになる。この場合、共振波長調整用電極は、リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、リング光導波路にキャリアを注入するキャリア注入電極であることが好ましい。なお、その他の詳細の上述の第3実施形態のものと同様である。
【0159】
また、例えば、上述の第2実施形態のものを光分波装置として用いる場合、制御部は、共振波長調整制御においてリング光共振器の共振波長を入力光波長に合わせたときにリング光共振器の順番と入力光波長の順番とが合っていない場合に、又は、共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なったリング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、インターチャンネルが発生していると判定することになる。なお、その他の詳細は上述の第2実施形態のものと同様である。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0160】
例えば、上述の各実施形態では、光共振部に備えられる光導波路を構成する導波路コア層の材料としてシリコンを用い、クラッド層の材料としてSiO
2を用いているが、これに限られるものではなく、例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe)、InP、GaAs及びこれらの混晶などの他の半導体材料、即ち、通信波長帯の信号光に対して透明な他の半導体材料を用いても良く、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0161】
また、上述の各実施形態では、基板10にシリコン基板(Si基板)を用いているが、これに限られるものではなく、例えば、石英、GaAs、InPなどの他の基板であっても良く、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
また、上述の各実施形態では、リング光共振器を、横方向pn構造を有するものとし、逆バイアス時のキャリア密度変化を用いているが、これに限られるものではなく、例えば、横方向pin構造を有するものとし、順バイアス時のキャリア密度変化を利用しても良く、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0162】
また、上述の各実施形態では、リング光共振器のリング光導波路を、円形のリング型としているが、これに限られるものではなく、第1光導波路及び第2光導波路(入出力導波路)との結合部が直線状になっているレーストラック型としても良く、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
また、上述の各実施形態では、導波路構造をリブ導波路構造としているが、これに限られるものではなく、例えば、導波路の一部又は全部をスラブ部のないチャンネル型導波路構造としても良く、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0163】
また、各リング光変調器の周回長(リング半径)や共振波長間隔、入力光波長の数(WDM入力光に含まれる波長数)や波長間隔などは、上述の各実施形態のものに限られるものではなく、適宜設定すれば良い。
また、上述の各実施形態では、光検出器を、InGaAs吸収層やGe吸収層のpin型光検出器としているが、これに限られるものではない。例えば、吸収層は、信号波長を吸収するものであれば良く、これらの材料以外にも、例えばInGaAsP等の他の材料を用いることができ、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。また、例えば、光検出器の構造についても、pin型以外の構造であっても良く、例えばAPD(Avalanche PhotoDiode)やMIM(Metal-Insulator-Metal)型などの他の構造のものであっても良く、この場合も上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0164】
以下、上述の各実施形態及び各変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
第1光導波路と、第2光導波路と、前記第1光導波路と前記第2光導波路との間に光学的に接続されたリング光導波路と、前記リング光導波路に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極とを備えるリング光共振器を複数備え、前記複数のリング光共振器が縦列接続されており、前記複数のリング光共振器の前記リング光導波路が互いに異なる周回長を有し、前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している光共振部と、
前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、前記複数のリング光共振器のうち光入力側から1番目のリング光共振器の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう制御部とを備えることを特徴とする光共振装置。
【0165】
(付記2)
前記複数のリング光共振器は、前記リング光導波路の前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、
前記制御部は、前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御において、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることを特徴とする、付記1に記載の光共振装置。
【0166】
(付記3)
前記共振波長調整用電極は、前記リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、前記リング光導波路を加熱するヒータ電極であることを特徴とする、付記1又は2に記載の光共振装置。
(付記4)
前記複数のリング光共振器は、前記リング光導波路の前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっており、
前記制御部は、前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御において、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を短波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることを特徴とする、付記1に記載の光共振装置。
【0167】
(付記5)
前記共振波長調整用電極は、前記リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、前記リング光導波路にキャリアを注入するキャリア注入電極であることを特徴とする、付記1又は4に記載の光共振装置。
(付記6)
前記制御部は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の光共振装置。
【0168】
(付記7)
前記制御部は、前記共振波長調整制御において前記リング光共振器の共振波長を前記入力光波長に合わせたときに前記リング光共振器の順番と前記入力光波長の順番とが合っていない場合に、又は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の光共振装置。
【0169】
(付記8)
前記複数のリング光共振器のそれぞれの前記第1光導波路又は前記第2光導波路に接続された光検出器を備え、
前記制御部は、前記光検出器によって検出された情報に基づいて前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御を行なうことを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の光共振装置。
【0170】
(付記9)
互いに異なる波長の光を出力する光源と、
前記光源に接続された光合波部と、
前記光合波部に接続され、第1光導波路と、第2光導波路と、前記第1光導波路と前記第2光導波路との間に光学的に接続されたリング光導波路と、前記リング光導波路に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極とを備えるリング光共振器を複数備え、前記複数のリング光共振器が縦列接続されており、前記複数のリング光共振器の前記リング光導波路が互いに異なる周回長を有し、前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している光共振部と、
前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、前記複数のリング光共振器のうち光入力側から1番目のリング光共振器の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なう制御部とを備えることを特徴とする光送信機。
【0171】
(付記10)
前記複数のリング光共振器は、前記リング光導波路の前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、
前記制御部は、前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御において、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることを特徴とする、付記9に記載の光送信機。
【0172】
(付記11)
前記共振波長調整用電極は、前記リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、前記リング光導波路を加熱するヒータ電極であることを特徴とする、付記9又は10に記載の光送信機。
(付記12)
前記複数のリング光共振器は、前記リング光導波路の前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっており、
前記制御部は、前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御において、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を短波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることを特徴とする、付記9に記載の光送信機。
【0173】
(付記13)
前記共振波長調整用電極は、前記リング光共振器の共振波長を調整するために電流が供給され、前記リング光導波路にキャリアを注入するキャリア注入電極であることを特徴とする、付記9又は12に記載の光送信機。
(付記14)
前記制御部は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、付記9〜13のいずれか1項に記載の光送信機。
【0174】
(付記15)
前記制御部は、前記共振波長調整制御において前記リング光共振器の共振波長を前記入力光波長に合わせたときに前記リング光共振器の順番と前記入力光波長の順番とが合っていない場合に、又は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、付記9〜13のいずれか1項に記載の光送信機。
【0175】
(付記16)
前記複数のリング光共振器のそれぞれの前記第1光導波路又は前記第2光導波路に接続された光検出器を備え、
前記制御部は、前記光検出器によって検出された情報に基づいて前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御を行なうことを特徴とする、付記9〜15のいずれか1項に記載の光送信機。
【0176】
(付記17)
第1光導波路と、第2光導波路と、前記第1光導波路と前記第2光導波路との間に光学的に接続されたリング光導波路と、前記リング光導波路に設けられ、共振波長を調整するための共振波長調整用電極とを備えるリング光共振器を複数備え、前記複数のリング光共振器が縦列接続されており、前記複数のリング光共振器の前記リング光導波路が互いに異なる周回長を有し、前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に変化している光共振部に備えられる前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、制御部が、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる共振波長調整制御を行ない、
前記制御部が、インターチャンネルが発生していると判定した場合に、前記複数のリング光共振器のうち光入力側から1番目のリング光共振器の共振波長を調整して2番目に一致した入力光波長に合わせ、光入力側から2番目以降のリング光共振器の共振波長を調整して1番目に一致した入力光波長に合わせることによって、前記複数のリング光共振器のうち最も光入力側に設けられたリング光共振器から順番に、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせる再共振波長調整制御を行なうことを特徴とする光共振器の制御方法。
【0177】
(付記18)
前記複数のリング光共振器は、前記リング光導波路の前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に大きくなっており、
前記制御部は、前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御において、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を長波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることを特徴とする、付記17に記載の光共振器の制御方法。
【0178】
(付記19)
前記複数のリング光共振器は、前記リング光導波路の前記周回長が光入力側から光出力側へ向けて順に小さくなっており、
前記制御部は、前記共振波長調整制御及び前記再共振波長調整制御において、前記複数のリング光共振器のそれぞれの共振波長を短波長側へ調整して複数の異なる波長の入力光のそれぞれの入力光波長に合わせることを特徴とする、付記17に記載の光共振器の制御方法。
【0179】
(付記20)
前記制御部は、前記共振波長調整制御において最後に共振波長調整制御を行なった前記リング光共振器の共振波長調整制御に要した電流量がある電流量以上である場合に、前記インターチャンネルが発生していると判定することを特徴とする、付記17〜19のいずれか1項に記載の光共振器の制御方法。