特許第6266334号(P6266334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266334
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】熱変色性筆記具及び摩擦具
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/02 20060101AFI20180115BHJP
   B43K 23/08 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B43K29/02 F
   B43K23/08 110
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-262494(P2013-262494)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-141078(P2014-141078A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-280412(P2012-280412)
(32)【優先日】2012年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】栗田 哲宏
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3173390(JP,U)
【文献】 特開2008−307741(JP,A)
【文献】 特開平8−332798(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3162814(JP,U)
【文献】 特開2011−230440(JP,A)
【文献】 特開2009−23273(JP,A)
【文献】 特開2004−17519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00− 1/12
B43K 5/00− 8/24
B43K 21/00−24/18
B43K 27/00−31/00
B43L 1/00−12/02
B43L 15/00−27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦体とを備えた熱変色性筆記具であって、前記摩擦体の頂部に取付孔を設け、前記摩擦体の取付孔内面と着脱自在に嵌合する保護部材を備え、前記摩擦体の取付孔内面に前記保護部材が嵌合した状態において、前記保護部材の頂部が前記摩擦体の頂部よりも外方に位置してなることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項2】
前記保護部材が、取付孔内面と嵌合するロッド部と、該ロッド部と連設され且つ該ロッド部の外径より大きい外径を有する頂壁とを備える請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項3】
前記保護部材が、前記頂壁と連設され且つ摩擦体の外周面を包囲する筒状の側壁を備える請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項4】
軸筒の内部に熱変色性インキを収容し、前記軸筒の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記軸筒の後端に前記摩擦体を設けた請求項1乃至3の何れかに記載の熱変色性筆記具。
【請求項5】
前記軸筒内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記軸筒に操作部を設け、前記操作部を操作することにより前記筆記体のペン先を軸筒の前端孔から出没可能に構成した請求項4記載の熱変色性筆記具。
【請求項6】
前記軸筒の前部外面及び後部外面に着脱自在に装着されるキャップを備え、前記キャップ内面に、前記キャップ内面と前記軸筒後部外面とが嵌合する後ろ差し嵌合部を設け、前記キャップ内面の後ろ差し嵌合部の内径を前記保護部材の外径より大きく形成した請求項4記載の熱変色性筆記具。
【請求項7】
軸筒の内部に熱変色性インキを収容し、前記軸筒の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記軸筒の前部外面に着脱自在に装着されるキャップを備え、前記キャップの頂部外面に前記摩擦体を設けた請求項1乃至3の何れかに記載の熱変色性筆記具。
【請求項8】
取り外された前記保護部材を前記摩擦体以外の部位に着脱自在に設けた請求項1乃至7の何れかに記載の熱変色性筆記具。
【請求項9】
熱変色性インキの像または筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該像または筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦体を備えた摩擦具であって、
前記摩擦体の頂部に取付孔を設け、前記摩擦体の取付孔内面と着脱自在に嵌合する保護部材を備え、前記摩擦体の取付孔内面に前記保護部材が嵌合した状態において、前記保護部材の頂部が前記摩擦体の頂部よりも外方に位置してなることを特徴とする摩擦具。
【請求項10】
前記保護部材が、取付孔内面と嵌合するロッド部と、該ロッド部と連設され且つ該ロッド部の外径より大きい外径を有する頂壁とを備える請求項9記載の摩擦具。
【請求項11】
前記保護部材が、前記頂壁と連設され且つ摩擦体の外周面を包囲する筒状の側壁を備える請求項10記載の摩擦具。
【請求項12】
取り外された前記保護部材を前記摩擦体以外の部位に着脱自在に設けた請求項9乃至11の何れかに記載の摩擦具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変色性筆記具に関する。詳細には、本発明は、熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦体とを備えた熱変色性筆記具、及び熱変色性インキの像または筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該像または筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦体を備えた摩擦具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱変色性筆記具において、軸胴の後端やキャップの頂部に摩擦体を設ける構成が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−223302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の熱変色性筆記具は、摩擦体が常に外部に露出している。そのため、摩擦体の非使用時、ユーザーの指先が摩擦体に接触したり、あるいは熱変色性筆記具を収納体(例えば、ペンケース、ペン立て、または衣服のポケット等)に収納して保管した際に該収納体の内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面等)と摩擦体とが接触することにより、摩擦体表面に手垢や埃等が付着し、摩擦体表面が汚れ、さらにその汚れた状態の摩擦体を用いて紙面を摩擦すると、紙面が汚れる不具合があった。
【0005】
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、非使用時、摩擦体が汚れることを回避できる熱変色性筆記具及び摩擦具を提供しようとするものである。
【0006】
尚、本発明において、「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の発明は、熱変色性インキが吐出可能なペン先21と、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦体3とを備えた熱変色性筆記具であって、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合した状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方に位置してなることを要件とする。
【0008】
前記第1の発明の熱変色性筆記具1は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合した状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0009】
また、本願の第1の発明は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に嵌合(即ち直接嵌合)してなることにより、摩擦体非使用時、保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面との嵌合は、例えば、圧入嵌合、凹凸嵌合、ネジ嵌合等が挙げられる。
【0010】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の熱変色性筆記具1において、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つ該ロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることを要件とする。
【0011】
前記第2の発明の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つ該ロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記ロッド部41が嵌合された状態において、前記頂壁42が摩擦体3の頂部よりも外方に位置してなる。それにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。本発明で、前記ロッド部41の外径とは、ロッド部41の最大外径をいい、前記頂壁42の外径とは、頂壁42の最大外径をいう。前記頂壁42の外径は、前記取付孔32の開口部内径より大きく設定されることが好ましい。
【0012】
本願の第3の発明は、前記第2の発明の熱変色性筆記具1において、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることを要件とする。
【0013】
前記第3の発明の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を確実に回避でき、摩擦体3が汚れることを確実に防止できる。また、前記第3の発明の熱変色性筆記具1は、保護部材4を着脱する際に保護部材4の筒状の側壁43を把持でき、保護部材4の着脱を容易に行うことができる。
【0014】
本願の第4の発明は、前記第1乃至第3の発明の熱変色性筆記具1において、軸筒2の内部に熱変色性インキを収容し、前記軸筒2の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先21を設け、前記軸筒2の後端に前記摩擦体3を設けたことを要件とする。
【0015】
前記第4の発明の熱変色性筆記具1は、軸筒2の後端に摩擦体3を備えるため、摩擦体3を保護部材4で保護した状態でペン先21を用いて筆記することができ、摩擦体3の使用時のみ、保護部材4を摩擦体3から取り外して使用でき、非使用時の摩擦体3の汚れをできる限り回避できる。
【0016】
本願の第5の発明は、前記第4の発明の熱変色性筆記具1において、前記軸筒2内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先21を設け、前記軸筒2に操作部22を設け、前記操作部22を操作することにより前記筆記体のペン先21を軸筒2の前端孔から出没可能に構成したことを要件とする。
【0017】
前記第5の発明の熱変色性筆記具1は、非使用時の摩擦体3の汚れをできる限り回避できる出没式の熱変色性筆記具1が得られる。
【0018】
本願の第6の発明は、前記第4の発明の熱変色性筆記具1において、前記軸筒2の前部外面及び後部外面に着脱自在に装着されるキャップ5を備え、前記キャップ5内面に、前記キャップ5内面と前記軸筒2後部外面とが嵌合する後ろ差し嵌合部51を設け、前記キャップ5内面の後ろ差し嵌合部51の内径を前記保護部材4の外径より大きく形成したことを要件とする。
【0019】
前記第6の発明の熱変色性筆記具1は、前記キャップ5の後ろ差し嵌合部51の内径を前記保護部材4の外径より大きく形成したことにより、キャップ5を軸筒2後部に装着する際(即ちキャップ後ろ差し時)、保護部材4がキャップ5の後ろ差しを阻害せず、スムーズなキャップ装着が可能となる。本発明で保護部材4の外径とは、保護部材4の最大外径をいう。
【0020】
本願の第7の発明は、前記第1乃至第3の発明の熱変色性筆記具1において、軸筒2の内部に熱変色性インキを収容し、前記軸筒2の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先21を設け、前記軸筒2の前部外面に着脱自在に装着されるキャップ5を備え、前記キャップ5の頂部外面に前記摩擦体3を設けたことを要件とする。
【0021】
前記第7の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ5の頂部外面に摩擦体3を備えるため、キャップ5をペン先側から取り外して、摩擦体3を保護部材4で覆った状態でペン先21による筆記することができ、摩擦体3の使用時のみ、保護部材4を摩擦体3から取り外して使用でき、非使用時の摩擦体3の汚れをできる限り回避できる。
【0022】
本願の第8の発明は、前記第1乃至第7の発明の熱変色性筆記具1において、取り外された前記保護部材4を前記摩擦体以外の部位に着脱自在に設けたことを要件とする。
【0023】
前記第8の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦体側から取り外された保護部材4の紛失を防ぐことができる。なお、前記摩擦体以外の部位は、例えば、軸筒、キャップ、操作部、クリップ等が挙げられる。
【0024】
本願の第9の発明は、熱変色性インキの像または筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該像または筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦体3を備えた摩擦具であって、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合した状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方に位置してなることを要件とする。
【0025】
前記第9の発明の摩擦具6は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合した状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0026】
また、本願の第9の発明の摩擦具6は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に嵌合(直接嵌合)してなることにより、摩擦体非使用時、筒状の保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面との嵌合は、例えば、圧入嵌合、凹凸嵌合、ネジ嵌合等が挙げられる。
【0027】
本願の第10の発明は、前記第9の発明の摩擦具6において、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つ該ロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることを要件とする。
【0028】
前記第10の発明の摩擦具6は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つ該ロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記ロッド部41が嵌合された状態において、前記頂壁42が摩擦体3の頂部よりも外方に位置してなる。それにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。本発明で、前記ロッド部41の外径とは、ロッド部41の最大外径をいい、前記頂壁42の外径とは、頂壁42の最大外径をいう。前記頂壁42の外径は、前記取付孔32の開口部内径より大きく設定されることが好ましい。
【0029】
本願の第11の発明は、前記第10の発明の摩擦具6において、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることを要件とする。
【0030】
前記第11の発明の摩擦具6は、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を確実に回避でき、摩擦体3が汚れることを確実に防止できる。また、前記第11の発明の摩擦具6は、保護部材4を着脱する際に保護部材4の筒状の側壁43を把持でき、保護部材4の着脱を容易に行うことができる。
【0031】
本願の第12の発明は、前記第9乃至第11の発明の摩擦具6において、取り外された前記保護部材4を前記摩擦体以外の部位に着脱自在に設けたことを要件とする。
【0032】
前記第12の発明の摩擦具6は、摩擦体側から取り外された保護部材4の紛失を防ぐことができる。
【0033】
本発明において、前記摩擦体3を構成する弾性材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものではなく、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなる。本発明において、前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)から構成されることが好ましい。
【0034】
本発明において、前記熱変色性インキは、加熱により変色または消色するタイプが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の熱変色性筆記具は、非使用時、摩擦体が汚れることを回避できる。
【0036】
本発明の摩擦具は、非使用時、摩擦体が汚れることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1の実施の形態の熱変色性筆記具の非使用時を示す一部縦断面図である。
図2図1の熱変色性筆記具の筆記使用時及び摩擦体使用時を示す一部縦断面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態の熱変色性筆記具の非使用時を示す一部縦断面図である。
図4図3の熱変色性筆記具の筆記使用時及び摩擦体使用時を示す一部縦断面図である。
図5図3の熱変色性筆記具のキャップ後ろ差し時を示す一部縦断面図である。
図6】本発明の第3の実施の形態の熱変色性筆記具の非使用時を示す一部縦断面図である。
図7図6の摩擦体使用時を示す縦断面図である。
図8】本発明の摩擦体と保護部材の第1の構成を示す一部縦断面図である。
図9】本発明の摩擦体と保護部材の第2の構成を示す一部縦断面図である。
図10】本発明の摩擦体と保護部材の第3の構成を示す一部縦断面図である。
図11】本発明の摩擦体と保護部材の第4の構成を示す一部縦断面図である。
図12】本発明の第4の実施の形態の摩擦具の非使用時を示す一部縦断面図である。
図13図12の摩擦具の使用時を示す一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<第1の実施の形態の熱変色性筆記具>
図1乃至図3、及び図8に本発明の第1の実施の形態の熱変色性筆記具1を示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、出没式の熱変色性筆記具である。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、前記軸筒2内に前後方向に移動可能に収容される筆記体(図示せず)と、前記筆記体のペン先21を軸筒2の前端孔より出没させる操作部22と、前記軸筒2の後端に設けた摩擦体3と、前記摩擦体3に着脱自在に装着される保護部材4とからなる。前記筆記体の内部には熱変色性インキを収容され、筆記体の前端には、前記熱変色性インキが吐出可能なペン先21が設けられる。
【0039】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記軸筒2の後部側壁より前後方向に移動可能な操作部22(クリップ)を径方向外方に突設させ、前記操作部22を前方にスライド操作することにより前記筆記体のペン先21を軸筒2の前端孔から出没可能とする出没機構(サイドスライド式の出没機構)を備える。
【0040】
前記出没機構は、これ以外にも、軸筒後端に設けた操作部を前方に押圧することによりペン先が出没する後端ノック式、軸筒側壁外面より突出する操作部を径方向内方に押圧することによりペン先が出没するサイドノック式、軸筒後部の操作部を回転操作することによりペン先が出没する回転式等が挙げられる。
【0041】
前記軸筒2の後端には、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる摩擦体3が固着され、前記摩擦体3が軸筒2後端より後方に突出される。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。
【0042】
前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42と、該頂壁42に連設され且つ前記ロッド部41を包囲する筒状の側壁43とからなる一端が開口された有底筒状体(例えば有底円筒体)である。前記保護部材4のスムーズな着脱を得るために、前記筒状の側壁43と摩擦体3とは非接触状態が維持されることが好ましいが、両者は僅かに接触してもよい。前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に圧入嵌合される。前記嵌合構造は、圧入嵌合以外に、例えば、凹凸嵌合(図10)、ネジ嵌合(図11)等を採用することができる。
【0043】
前記摩擦体3の内方(即ち摩擦体3の突出方向と反対側)には、段部8が形成され、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4のロッド部41外面を嵌合させた際、前記段部8と前記保護部材4の側壁43端部または前記段部8と前記保護部材4の側壁43内面とが当接される。前記段部8は、軸筒2または摩擦体3に形成される。
【0044】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合された状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0045】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に直接嵌合してなることにより、摩擦体非使用時、保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。
【0046】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。
【0047】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を確実に回避でき、摩擦体3が汚れることを確実に防止できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、保護部材4を着脱する際に保護部材4の筒状の側壁43を把持でき、保護部材4の着脱が容易に行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2の後端に摩擦体3を備えるため、摩擦体3を保護部材4で覆った状態でペン先21による筆記することができ、摩擦体3の使用時のみ、保護部材4を摩擦体3から取り外して使用でき、非使用時の摩擦体3の汚れをできる限り回避できる。
【0049】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、摩擦体3より取り外された保護部材4を摩擦体以外の部位(例えば、軸筒、操作部)に着脱自在に設けられる。本実施の形態では、具体的には、軸筒2の側壁に摩擦体係止部23を設け、該摩擦体係止部23に、摩擦体使用時、一時的に摩擦体3が係止される。それにより、摩擦体3から取り外された保護部材4の紛失を防ぐことができる。前記摩擦体係止部23は、ロッド部41が嵌合可能な係止孔を備える。また、前記摩擦体係止部23は、保護部材4が有底筒状体からなる場合、保護部材4の側壁43内に収容可能な突出壁部を備える。
【0050】
<第2の実施の形態の熱変色性筆記具>
図3乃至図5、及び図8に本発明の第2の実施の形態の熱変色性筆記具1を示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、キャップ式の熱変色性筆記具である。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、熱変色性インキを内部に収容した軸筒2と、前記軸筒2の前端に設けられ、前記熱変色性インキが吐出可能なペン先21と、前記軸筒2の後端に設けられた摩擦体3と、前記軸筒2のペン先側に着脱自在に装着されるキャップ5と、前記摩擦体3に着脱自在に装着される保護部材4とからなる。
【0051】
前記軸筒2の後端には、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる摩擦体3が固着され、前記摩擦体3が軸筒2後端より後方に突出される。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。
【0052】
前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42と、該頂壁42に連設され且つ前記ロッド部41を包囲する筒状の側壁43とからなる一端が開口された有底筒状体(例えば有底円筒体)である。前記保護部材4のスムーズな着脱を得るために、前記筒状の側壁43と摩擦体3とは非接触状態が維持されることが好ましいが、両者は僅かに接触してもよい。前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に圧入嵌合される。前記嵌合構造は、圧入嵌合以外に、例えば、凹凸嵌合(図10)、ネジ嵌合(図11)等を採用することができる。
【0053】
前記摩擦体3の内方(即ち摩擦体3の突出方向と反対側)には、段部8が形成され、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4のロッド部41外面を嵌合させた際、前記段部8と前記保護部材4の側壁43端部または前記段部8と前記保護部材4の側壁43内面とが当接される。前記段部8は、軸筒2または摩擦体3に形成される。
【0054】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合された状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0055】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に直接嵌合してなることにより、摩擦体非使用時、保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。
【0056】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。
【0057】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を確実に回避でき、摩擦体3が汚れることを確実に防止できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、保護部材4を着脱する際に保護部材4の筒状の側壁43を把持でき、保護部材4の着脱が容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2の後端に摩擦体3を備えるため、摩擦体3を保護部材4で覆った状態でペン先21による筆記することができ、摩擦体3の使用時のみ、保護部材4を摩擦体3から取り外して使用でき、非使用時の摩擦体3の汚れをできる限り回避できる。
【0059】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記軸筒2の前部外面及び後部外面に着脱自在に装着されるキャップ5を備え、前記キャップ5内面に、前記キャップ5内面と前記軸筒2後部外面とが嵌合する後ろ差し嵌合部51を設け、前記キャップ5内面の後ろ差し嵌合部51の内径を前記保護部材4の外径より大きく形成した。それにより、キャップ5を軸筒2後部に装着する際(即ちキャップ後ろ差し時)、保護部材4がキャップ5の後ろ差しを阻害せず、スムーズなキャップ装着が可能となる。
【0060】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、摩擦体3より取り外された保護部材4を摩擦体以外の部位(例えば、軸筒、キャップ、クリップ)に着脱自在に設けられる。本実施の形態では、具体的には、キャップ5の頂部に摩擦体係止部53を設け、該摩擦体係止部53に、摩擦体使用時、一時的に摩擦体3が係止される。それにより、摩擦体3からり取り外された保護部材4の紛失を防ぐことができる。前記摩擦体係止部53は、ロッド部41が嵌合可能な係止孔を備える。また、前記摩擦体係止部53は、保護部材4が有底筒状体からなる場合、保護部材4の側壁43内に収容可能な突出壁部を備える。
【0061】
<第3の実施の形態の熱変色性筆記具>
図6乃至図8に本発明の第3の実施の形態の熱変色性筆記具1を示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、キャップ式の熱変色性筆記具である。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、熱変色性インキを内部に収容した軸筒2と、前記軸筒2の前端に設けられ、前記熱変色性インキが吐出可能なペン先21と、前記軸筒2のペン先側に装着可能なキャップ5と、前記キャップ5の頂部に固着された、前記摩擦体3に着脱自在に装着される保護部材4とからなる。
【0062】
前記キャップ5の頂部には、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる摩擦体3がキャップ5頂部の摩擦体保持部52に固着され、前記摩擦体3が摩擦体保持部52より外方に突出される。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。
【0063】
前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42と、該頂壁42に連設され且つ前記ロッド部41を包囲する筒状の側壁43とからなる一端が開口された有底筒状体(例えば有底円筒体)である。前記保護部材4のスムーズな着脱を得るために、前記筒状の側壁43と摩擦体3とは非接触状態が維持されることが好ましいが、両者は僅かに接触してもよい。前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に圧入嵌合される。前記嵌合構造は、圧入嵌合以外に、例えば、凹凸嵌合(図10)、ネジ嵌合(図11)を採用することができる。
【0064】
前記摩擦体3の内方(即ち摩擦体3の突出方向と反対側)には、段部8が形成され、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4のロッド部41外面を嵌合させた際、前記段部8と前記保護部材4の側壁43端部または前記段部8と前記保護部材4の側壁43内面とが当接される。前記段部8は、軸筒2または摩擦体3に形成される。
【0065】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合された状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0066】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に直接嵌合してなることにより、摩擦体非使用時、保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。
【0067】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。
【0068】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を確実に回避でき、摩擦体3が汚れることを確実に防止できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、保護部材4を着脱する際に保護部材4の筒状の側壁43を把持でき、保護部材4の着脱が容易に行うことができる。
【0069】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、キャップ5の頂部外面に摩擦体3を備えるため、キャップ5をペン先側から取り外して、摩擦体3を保護部材4で覆った状態でペン先21による筆記することができ、摩擦体3の使用時のみ、保護部材4を摩擦体3から取り外して使用でき、非使用時の摩擦体3の汚れをできる限り回避できる。
【0070】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、摩擦体3より取り外された保護部材4を摩擦体以外の部位(例えば、軸筒、キャップ、クリップ)に着脱自在に設けられる。本実施の形態では、具体的には、軸筒2の後端に摩擦体係止部23を設け、該摩擦体係止部23に、摩擦体使用時、一時的に摩擦体3が係止される。それにより、摩擦体3から取り外された保護部材4の紛失を防ぐことができる。前記摩擦体係止部23は、ロッド部41が嵌合可能な係止孔を備える。また、前記摩擦体係止部23は、保護部材4が有底筒状体からなる場合、保護部材4の側壁43内に収容可能な突出壁部を備える。
【0071】
<第4の実施の形態の摩擦具>
図12図13、及び図8に本発明の第4の実施の形態の摩擦具6を示す。
本実施の形態の摩擦具6は、本体7と、前記本体7の一端に設けた摩擦体3と、前記摩擦体3に着脱自在に嵌合される保護部材4とからなる。
【0072】
前記本体7の一端には、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる摩擦体3が固着され、前記摩擦体3が本体7の一端より外方に突出される。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。前記本体7の形状は、柱状、筒状、棒状等、把持可能であれば、何れであってもよい。
【0073】
前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42と、該頂壁42に連設され且つ前記ロッド部41を包囲する筒状の側壁43とからなる一端が開口された有底筒状体(例えば有底円筒体)である。前記保護部材4のスムーズな着脱を得るために、前記筒状の側壁43と摩擦体3とは非接触状態が維持されることが好ましいが、両者は僅かに接触してもよい。前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に圧入嵌合される。前記嵌合構造は、圧入嵌合以外に、例えば、凹凸嵌合(図10)、ネジ嵌合(図11)等を採用することができる。
【0074】
前記摩擦体3の内方(即ち摩擦体3の突出方向と反対側)には、段部8が形成され、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4のロッド部41外面を嵌合させた際、前記段部8と前記保護部材4の側壁43端部または前記段部8と前記保護部材4の側壁43内面とが当接される。前記段部8は、本体7または摩擦体3に形成される。
【0075】
本実施の形態の摩擦具6は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合された状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0076】
また、本実施の形態の摩擦具6は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に直接嵌合してなることにより、摩擦体非使用時、保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。
【0077】
また、本実施の形態の摩擦具6は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。
【0078】
また、本実施の形態の摩擦具6は、前記保護部材4が、前記頂壁42と連設され且つ摩擦体3の外周面を包囲する筒状の側壁43を備えることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を確実に回避でき、摩擦体3が汚れることを確実に防止できる。また、本実施の形態の摩擦具は、保護部材4を着脱する際に保護部材4の筒状の側壁43を把持でき、保護部材4の着脱が容易に行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態の摩擦具6は、摩擦体3より取り外された保護部材4を摩擦体以外の部位(例えば、本体の他端、本体の側壁)に着脱自在に設けられる。本実施の形態では、具体的には、本体7の他端に摩擦体係止部71を設け、該摩擦体係止部71に、摩擦体使用時、一時的に摩擦体3が係止される。それにより、摩擦体3から取り外された保護部材4の紛失を防ぐことができる。前記摩擦体係止部71は、ロッド部41が嵌合可能な係止孔を備える。また、前記摩擦体係止部73は、保護部材4が有底筒状体からなる場合、保護部材4の側壁43内に収容可能な突出壁部を備える。
【0080】
尚、本発明の摩擦具6は、熱変色性筆記具を兼ねず、本体7内に熱変色性インキを備えないとともに、本体7の端部に熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えない。
【0081】
<摩擦体と保護部材の第2の構成>
図9に摩擦体3と保護部材4の他の構成(第2の構成)を示す。
本構成は、本発明の第1、第2、第3の実施の形態の熱変色性筆記具1、及び第4の実施の形態の摩擦具6に採用される。
摩擦体3は、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。
【0082】
保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42(円板状頂壁)とからなる。前記頂壁42の外径は、ロッド部41より大きい外径を有するとともに摩擦体3の外径より大きく形成される。前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合される。前記嵌合構造は、圧入嵌合以外に、例えば、凹凸嵌合(図10)、ネジ嵌合(図11)等を採用することができる。
【0083】
本構成を採用した熱変色性筆記具1及び摩擦具6は、前記摩擦体3の頂部に取付孔32を設け、前記摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合する保護部材4を備え、前記摩擦体3の取付孔32内面に前記保護部材4が嵌合された状態において、前記保護部材4の頂部が前記摩擦体3の頂部よりも外方(即ち摩擦体突出方向外方)に位置してなることにより、摩擦体非使用時、ユーザーの指先との接触や、摩擦体3と収容体内面(例えば、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面)との接触を回避でき、摩擦体3に手垢や埃等が付着すること(即ち摩擦体が汚れること)を防止できる。
【0084】
また、本構成を採用した熱変色性筆記具1及び摩擦具6は、前記保護部材4と前記摩擦体3の取付孔32内面とが着脱自在に直接嵌合してなることにより、摩擦体非使用時、保護部材4と、低摩耗性の弾性材料からなる摩擦体3の取付孔32内面との安定した嵌合状態を維持でき、保護部材4が摩擦体3から不用意に脱落することを防止できる。
【0085】
また、本構成を採用した熱変色性筆記具1及び摩擦具6は、前記保護部材4が、取付孔32内面と嵌合するロッド部41と、該ロッド部41と連設され且つロッド部41の外径より大きい外径を有する頂壁42とを備えることにより、保護部材4を着脱する際に保護部材4の頂壁42を把持でき、保護部材4の着脱が容易となり、しかも、保護部材4の頂壁42により摩擦体3の頂部の汚れを一層防止できる。
【0086】
<摩擦体と保護部材の第3の構成>
図10に摩擦体3と保護部材4の他の構成(第3の構成)を示す。
本構成は、図8の構成の変形例である。
本構成は、本発明の第1、第2、第3の実施の形態の熱変色性筆記具1、及び第4の実施の形態の摩擦具6に採用される。
摩擦体3は、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。前記取付孔32の内面には、内向突起32aが形成される。
【0087】
前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42と、該頂壁42に連設され且つ前記ロッド部41を包囲する筒状の側壁43とからなる一端が開口された有底筒状体(例えば有底円筒体)である。前記ロッド部41の外面に外向突起41aが形成される。取付孔32内面にロッド部41外面を嵌合させた際、前記外向突起41aと前記内向突起32aとが乗り越え係止される。即ち、取付孔32内面とロッド部41外面とが凹凸嵌合される。即ち、前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合される。前記保護部材4のスムーズな着脱を得るために、前記筒状の側壁43と摩擦体3とは非接触状態が維持されることが好ましいが、両者は僅かに接触してもよい。
【0088】
前記摩擦体3の内方(即ち摩擦体3の突出方向と反対側)には、段部8が形成され、前記摩擦体3の取付孔32に前記保護部材4のロッド部41を嵌合させた際、前記段部8と前記保護部材4の側壁43端部または前記段部8と前記保護部材4の側壁43内面とが当接される。前記段部8は、熱変色性筆記具1の場合は、軸筒2または摩擦体3に形成され、摩擦具6の場合、本体7または摩擦体3に形成される。
【0089】
本構成を採用した熱変色性筆記具1及び摩擦具6は、第1乃至第3の実施の形態の熱変色性筆記具1及び第4の実施の形態の摩擦具6と同様の作用効果を奏する。
【0090】
<摩擦体と保護部材の第4の構成>
図11に摩擦体3と保護部材4の他の構成(第4の構成)を示す。
本構成は、図8の構成の変形例である。
本構成は、本発明の第1、第2、第3の実施の形態の熱変色性筆記具1、及び第4の実施の形態の摩擦具6に採用される。
摩擦体3は、低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂、シリコーン樹脂)よりなる。前記摩擦体3の頂壁外面は平面状となり、摩擦体3の側壁外面はストレート状(直円筒状)またはテーパ状となり、前記摩擦体3の頂壁と摩擦体3の側壁との間は、凸曲面状外面により接続される。前記頂壁の平面状外面、及び前記頂壁と摩擦体3の側壁との間の凸曲面状外面が、紙面上の熱変色性インキの筆跡を摩擦する摩擦部31となる。前記摩擦体3の頂壁の中心部には取付孔32が設けられる。前記取付孔32の内面には、メネジ部32bが形成される。
【0091】
前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)からなる。前記保護部材4は、ロッド部41と、該ロッド部41と連設される頂壁42と、該頂壁42に連設され且つ前記ロッド部41を包囲する筒状の側壁43とからなる一端が開口された有底筒状体(例えば有底円筒体)である。前記ロッド部41の外面にオネジ部41bが形成される。取付孔32内面にロッド部41外面を嵌合させた際、前記オネジ部41bと前記メネジ部32bとが螺合される。即ち、取付孔32内面とロッド部41外面とがネジ嵌合される。即ち、前記保護部材4のロッド部41の外面が、摩擦体3の取付孔32内面と着脱自在に嵌合される。前記保護部材4のスムーズな着脱を得るために、前記筒状の側壁43と摩擦体3とは非接触状態が維持されることが好ましいが、両者は僅かに接触してもよい。
【0092】
前記摩擦体3の内方(即ち摩擦体3の突出方向と反対側)には、段部8が形成され、前記摩擦体3の取付孔32に前記保護部材4のロッド部41を嵌合させた際、前記段部8と前記保護部材4の側壁43端部または前記段部8と前記保護部材4の側壁43内面とが当接される。前記段部8は、熱変色性筆記具1の場合は、軸筒2または摩擦体3に形成され、摩擦具6の場合、本体7または摩擦体3に形成される。
【0093】
本構成を採用した熱変色性筆記具1及び摩擦具6は、第1乃至第3の実施の形態の熱変色性筆記具1及び第4の実施の形態の摩擦具6と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0094】
1 熱変色性筆記具
2 軸筒
21 ペン先
22 操作部
23 摩擦体係止部
3 摩擦体
31 摩擦部
32 取付孔
32a 内向突起
32b メネジ部
4 保護部材
41 ロッド部
41a 外向突起
41b オネジ部
42 頂壁
43 側壁
5 キャップ
51 後ろ差し嵌合部
52 摩擦体保持部
53 摩擦体係止部
6 摩擦具
7 本体
71 摩擦体係止部
8 段部
図1
図2
図3
図4
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