特許第6266342号(P6266342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266342キャリアプレートおよびウインドレギュレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266342
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】キャリアプレートおよびウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20180115BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   E05F11/48 D
   E05F11/48 B
   B60J1/17 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-512488(P2013-512488)
(86)(22)【出願日】2012年4月27日
(86)【国際出願番号】JP2012061452
(87)【国際公開番号】WO2012147949
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2011-101569(P2011-101569)
(32)【優先日】2011年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 英一
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−093319(JP,A)
【文献】 特許第4230405(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルによりウインドガラスが昇降するウインドレギュレータ用のキャリアプレートであって、
前記ケーブルのケーブルエンドを取り付けるケーブルエンド取付部を備え、
前記ケーブルエンド取付部には
前記ケーブルエンドが摺接して移動する案内部と、
前記案内部により前記ケーブルエンド取付部の内側に案内された前記ケーブルエンドの移動を規制する規制面と、
前記ケーブルエンドを係止するケーブルエンド係止部と、前記ケーブルエンド近傍のケーブルを収容するケーブル収容部とを有するケーブル係合部と
前記規制面と前記ケーブルエンド係止部との間に設けられ、前記ケーブルエンドを収容可能なケーブルエンド収容部と、
を有し、
前記案内部は、
前記ケーブルエンド係止部と一体化され、
前記案内部の背面側に設けられた案内補助部と、前記ケーブルエンド取付部のケーブル軸方向の外側から内側に向って設けられ、前記キャリアプレートの背面側に面して傾斜する案内斜面と、前記案内斜面におけるケーブルエンド取付部のケーブル軸方向の外側の端部に連結された誘導部とを備え、
前記ケーブル係合部は、
スリット状の開口部と、前記案内部及び前記ケーブルエンド係止部との間の背面側に設けられたケーブル収容部とを有し、
前記ケーブル収容部は、
スリット幅が前記ケーブルの外径よりも広く、ケーブルエンドの外径より狭くなるように形成されたスリット状の開口部と、正面側の底部とを有し、
前記ケーブルの外径より広く、前記ケーブルエンドの外径より狭いスリット状に形成され、
前記ケーブルエンド収容部は、
前記規制面と前記ケーブルエンド係止部との間が前記ケーブルエンドのケーブルの軸方向に沿った長さと略同一の長さであり、背面側が前記ケーブルエンド取付部の外側に開口し、
前記キャリアプレートの前記ケーブルエンド取付部からの前記ケーブルの延在方向には、
前記ケーブル収容部に収容された前記ケーブルが前記ケーブル収容部の開口部からケーブルが脱出することを抑制する阻害部が設けられ
前記阻害部と前記案内部との間には、
前記ケーブルエンドの外径より広く開口し、前記ケーブルエンドが挿通可能なケーブル挿通孔が設けられ、
前記阻害部と前記ケーブル係合部と前記ケーブルエンド収容部との構成が、
前記ケーブルエンドが、前記ケーブル挿通に挿通されて、前記ケーブルエンド取付部のケーブルエンド収容部側である内側へ押し込まれると、前記ケーブルエンドが前記誘導部および前記案内斜面を順次摺接しつつ移動し、前記案内補助部に到達して、前記規制面に向けて案内されて前記規制面に到達すると、前記ケーブルエンドがケーブルエンド収容部に収容されるようにされた
ことを特徴とするキャリアプレート。
【請求項2】
ガイドレールと、前記ガイドレールに沿って昇降する請求項1に記載のキャリアプレートと、前記キャリアプレートに係止される上昇用及び下降用ケーブルと、前記上昇用及び下降用ケーブルのいずれかを引き操作する駆動装置とを備えたウインドレギュレータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアプレート、及び、該キャリアプレートを用いた車両用ドアに適用されるウインドレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアに適用されて窓ガラスを上下させるウインドレギュレータは、一般に、前記窓ガラスが固定されるガラスホルダと、該ガラスホルダと連結されるキャリアプレートと、該キャリアプレートをガイドして昇降させるガイドレールと、キャリアプレートに一端が係止される上昇用及び下降用ケーブルと、該上昇用及び下降用ケーブルの何れかの他端を引き操作することで、キャリアプレートと共にガラスホルダに固定された窓ガラスを上下に移動させる駆動装置とを備える。
【0003】
ここで、ウインドレギュレータにて使用されるキャリアプレートとしては、特許文献1に開示するものがある。このキャリアプレートでは、上昇用及び下降用ケーブルの一端に取り付けられたケーブルエンドを夫々係止する上下の係止板と、該係止板に挟まれて隣接する開口部と、前記係止板を挟んで前記開口部と反対側にそれぞれ形成される挿入口と、前記開口部と挿入口とを連通する前記係止板に形成されるスリットと、前記係止板の上端同士を連結して前記開口部の上方を閉じる天面及び前記係止板の側縁同士を連結する側面と、前記天面、側面及び係止板によって内部に前記上昇用及び下降用ケーブルのケーブルエンドを収納する収納部とが基板に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4230405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示するキャリアプレートでは、ケーブルエンドを取り付ける作業において、夫々別の挿入口より挿入して収容部方向へ押し込んだケーブルエンドが、前記収納部に収容されずにそれを越えてしまうことがある。このような事象が発生した場合には、一方のケーブルエンドが他方のケーブルエンドに乗り上げて、キャリアプレートより抜けやすい状態となる。そのため、作業者が、ケーブルエンドが適切な位置に配置されるように修正しつつ作業を進める必要が生じる。又、ケーブルエンドがキャリアプレートより抜けることを防止するためには、抜け止め爪等を設けることも有効であるが、この場合には前記抜け止め爪等に上昇用及び下降用ケーブルを手操作で夫々引っ掛けることが必要になり、作業が煩雑になる。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ケーブルエンドの取り付け作業を容易に行うことができると共に、取り付けられたケーブルエンドが抜け難く、又、簡単な構成であるキャリアプレート、及び該キャリアプレートを用いたウインドレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のキャリアプレートは、ケーブルによりウインドガラスが昇降するウインドレギュレータ用のキャリアプレートであって、前記ケーブルのケーブルエンドを取り付けるケーブルエンド取付部を備え、前記ケーブルエンド取付部には、前記ケーブルエンドが摺接して移動する案内部と、前記案内部により前記ケーブルエンド取付部の内側に案内された前記ケーブルエンドの移動を規制する規制面と、前記ケーブルエンドを係止するケーブルエンド係止部と前記ケーブルエンド近傍のケーブルを収容するケーブル収容部とを有するケーブル係合部と、前記規制面と前記ケーブルエンド係止部との間に設けられ、前記ケーブルエンドを収容可能なケーブルエンド収容部と、を有し、前記規制面に到達した前記ケーブルエンドが前記ケーブルエンド収容部に収容される際に、前記ケーブル収容部に前記ケーブルが収容されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
(1)本発明のキャリアプレートは、そのケーブルエンド取付部にケーブルのケーブルエンドを取り付ける作業において、前記ケーブルエンドを案内部に摺接させて移動し、当該ケーブルエンド取付部の内側へ案内した際に、ケーブルエンドの動きを規制面により規制する。これにより、本キャリアプレートは、ケーブルエンドがケーブル収容部を越えて移動することを防止して、確実にケーブルエンド収容部に収容することができるので、容易にケーブルエンドの取り付け作業を行うことができる。又、本キャリアプレートでは、前記ケーブルエンド収容部に収容されてケーブルエンド係止部に係止されたケーブルエンドが、前記規制面に当接して、ケーブルエンド収容部から脱出することを抑制されるので、前記案内部、ケーブル収容部等にケーブルの抜け止め爪等を設けるなどして、ケーブルエンドの収容位置やケーブルの収容を手作業で調節する必要もない。
【0009】
(2)本発明のキャリアプレートは、案内部が摺接しているケーブルエンドを規制面に到達するように案内することにより、作業者が規制面に到達するように前記ケーブルエンドの位置を修正する必要が無い。これにより、本キャリアプレートは、ケーブルエンドの取り付け作業が、一層容易である。
【0010】
(3)本発明のキャリアプレートは、案内部が傾斜していることで、それに摺接するケーブルエンドを規制面に誘導し易く、よって、ケーブルエンドの取り付け作業を一層容易に行うことができる。
【0011】
(4)本発明のキャリアプレートは、案内部とケーブルエンド係止部とが一体化されているので、構成が簡単で、コンパクトなものとすることができる。又、本キャリアプレートは、このことにより、ケーブルエンド係止部の厚さを確保し易くなるので、該ケーブルエンド係止部の強度を容易に確保できる。
【0012】
(5)本発明のキャリアプレートは、ケーブルエンド収容部のケーブル軸方向における長さがケーブルエンドのケーブル軸方向の長さと略同一であることにより、ケーブルエンド収容部にケーブルエンドを収容した際に、該ケーブルエンドのケーブル軸方向の可動範囲が小さくずれ難い。これにより、本キャリアプレートは、ケーブルエンドがケーブルエンド収容部より脱出することを一層抑制できる。
【0013】
(6)本発明のキャリアプレートは、ケーブルエンド取付部にケーブルエンドが取り付けられた状態において、ケーブルの延在方向における前記ケーブルエンド取付部の近傍に阻害部が設けられており、この阻害部がスリット状のケーブル収容部の開口部からケーブルが脱出することを抑制する。これにより、本キャリアプレートは、ケーブルがケーブル収容部から脱出することによる、ケーブルエンドのケーブルエンド収容部からの脱出を抑制できる。
【0014】
(7)本発明のウインドレギュレータは、上記本発明のキャリアプレートを有することで、上昇用及び下降用ケーブルの取り付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のウインドレギュレータの正面図。
図2】本発明のキャリアプレートの正面図。
図3】本発明キャリアプレートの背面図。
図4図3におけるA−A拡大断面図。
図5】ケーブル及びケーブルエンドの拡大正面図。
図6】ケーブルエンドのキャリアプレートへの取り付け順を説明する拡大断面図。
図7】ケーブルエンドのキャリアプレートへの取り付け順を説明する拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明のウインドレギュレータ1は、図外の車両用ドアのインナパネルやモジュールパネル(モジュールキャリア)に固定して使用されるものであり、図1に示すように、本発明のキャリアプレート2を備えている。本ウインドレギュレータ1は、窓ガラスが固定された図外のガラスホルダを連結している前記キャリアプレート2の他、該キャリアプレート2をガイドして昇降させるガイドレール3と、該ガイドレール3の上端及び下端に設けられる方向転換用部材4,5と、該方向転換用部材4,5とアウターチューブ6,7を介して接続される駆動装置8とを備える。又、本ウインドレギュレータ1では、図5(a)に示す上昇用ケーブル9については、方向転換用部材4に掛け回されてその先端に設けたケーブルエンド9aがキャリアプレート2に取り付けられ、アウターチューブ6内を通って他端を駆動装置8内の図外のドラムに接続されており、更に、図5(b)に示す下降用ケーブル10については、方向転換用部材5に掛け回されてその先端に設けたケーブルエンド10aがキャリアプレート2に取り付けられ、アウターチューブ7内を通って他端を駆動装置8内の前記図外のドラムに接続されている。
【0017】
ウインドレギュレータ1は、上記の構成をとることによって、前記駆動装置8が備えるモータ11を動作させることで前記図外のドラムを回転駆動して、上昇用ケーブル9をドラムに巻き取ることで引き操作すると共に下降用ケーブル10をドラムより一端側へ送り出すことにより前記図外のガラスを上昇させ、又、上昇用ケーブル9を一端側へ送り出すと共に下降用ケーブル10をドラムに巻き取ることで引き操作することによりガラスを下降させるものである。
【0018】
ウインドレギュレータ1は、前記キャリアプレート2の構成に特徴があり、それ以外の構成については公知のものを採用してもよい。従って、以下では、キャリアプレート2の構成を中心に説明する。
【0019】
前記キャリアプレート2は、樹脂材料により構成されており、図2,3に示すように、左右の端部付近に設けられて、前記図外のガラスホルダとの連結に使用される貫通孔12a,12bと、該貫通孔12a,12bより中央寄りの正面側に設けられて、図1に示す前記ガイドレール3との移動可能な係合に使用される係合部13a,13b,13cと、中央部付近に上下に延び、且つ、背面側へ開口して設けられて、図5(a),(b)に示すケーブルエンド9a,10aが取り付けられると共に、該ケーブルエンド9a,10a近傍の上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10が収容されるケーブルエンド取付部14と、該ケーブルエンド取付部14に収容された上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の抜けを阻害する阻害部15とを備える。
【0020】
前記ケーブルエンド取付部14は、図2〜4に示すように、図5(a),(b)に示す上昇用ケーブル9のケーブルエンド9a及び下降用ケーブル10のケーブルエンド10aを挿通するために正面側の両側に夫々設けられたケーブル挿通孔16と、該ケーブル挿通孔16より挿入された前記ケーブルエンド9a,10aが摺接して移動する案内部17と、該案内部17より当該ケーブルエンド取付部14の内側に案内されたケーブルエンド9a,10aのそれぞれの挿通方向への移動を規制する平板の両側面からなる規制面18とを備える。更に、ケーブルエンド取付部14は、ケーブル係合部19とケーブルエンド収容部20とを備える。前記ケーブル係合部19は、ケーブルエンド9a,10aの戻り方向への移動を係止するケーブルエンド係止部19a、及びケーブルエンド9a,10a近傍の上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10を収容するケーブル収容部19bより構成される。前記ケーブルエンド収容部20は、前記規制面18と前記ケーブル係止部19aとの間に設けられてケーブルエンド9a,10aを収容可能とされている。
【0021】
尚、ケーブルエンド取付部14は、図1に示すように、同図の上方側から上昇用ケーブル9のケーブルエンド9aの挿通を受け入れ、下方側より下降用ケーブル10のケーブルエンド10aの挿通を受け入れることができるようにするために、図3図4に特によく表れるように、上記ケーブル挿通孔16、案内部17、規制面18、ケーブル係合部19及びケーブルエンド収容部20が夫々設けられ、それらは互いに相対向するように配置されている。
【0022】
前記ケーブル挿通孔16は、図4に特によく表れるように、開放されている正面側より背面側に向けて開口しており、図5(a),(b)に示す前記ケーブルエンド9a,10aを挿通できるように該ケーブルエンド9a,10aの外径より広く開口している。当該ケーブルエンド9a,10aは、球状、六角形柱状、その他の形状であってもよい。
【0023】
前記案内部17は、図3,4に示すように、背面側に向けて開口している前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19bを挟んで両側に設けられ、案内部17の上側であって中央側に上方拡がりとなるように形成するように設けられた案内補助部17bを備え、更に、ケーブルエンド取付部14のケーブル軸方向の外側から内側に向かって設けられ、キャリアプレート2の正面側から背面側に向けて傾斜する案内斜面部17aを備え、また、該案内斜面部17aのケーブルエンド取付部14のケーブル軸方向の外側の端部に連結され、該案内斜面部17aと比べて傾斜が緩い誘導部17cとを備える。
【0024】
前記ケーブル係合部19のケーブルエンド係止部19aは、図3,4に特によく表れるように、前記ケーブル収容部19bを挟んで両側に設けられ、前記ケーブルエンド収容部20を挟んで前記規制面18と対向するように配置されている。このケーブルエンド係止部19aは、前記案内部17と一体化されている。
【0025】
前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19bは、図4に特によく表れるように、その両側に設けられている前記案内部17及び前記ケーブルエンド係止部19aとの間の背面側に設けられ、スリット幅が前記上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の外径より広く、ケーブルエンド9a,10aの外径より狭くなるように形成されているスリット状の開口部19cを有している。このケーブル収容部19bは、そのケーブルエンド取付部14のケーブルエンド収容部側である内側の端部が前記ケーブルエンド収容部20に、外側端及び背面側が前記ケーブル挿通孔16に、夫々空間的に連通している。
【0026】
前記ケーブルエンド収容部20は、図4に示すように、前記規制面18とケーブルエンド係止部19aとの間が、ケーブルエンド9a,10aの上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の軸方向に沿った長さと略同一に構成されている。又、図4におけるケーブルエンド収容部20の背面側は、ケーブルエンド取付部14の図4における背面側の外側へ開放されている。
【0027】
前記阻害部15は、図4に示すように、前記ケーブルエンド収容部20にケーブルエンド9a,10aが収容されている状態において、上昇用ケーブル9,下降用ケーブル10の延在方向における前記ケーブルエンド取付部14の外側近傍に設けられている。この阻害部15は、前記ケーブル収容部19bに収容されたケーブル9、10に対し、前記ケーブル収容部19bの底側と反対側に設けられているが、前記開口部から前記ケーブルが脱出することを阻害するものであれば、これに限定されず突起状等に形成してもよい。
【0028】
次に、以上の構成からなる本発明のキャリアプレート2のケーブルエンド取付部14に、上昇用ケーブル9のケーブルエンド9aを取り付ける手順を図6及び図7に基づいて説明する。
【0029】
まず、図6(a)に示すように、上昇用ケーブル9を手で持ちながら前記ケーブル挿通孔16の開放されている正面側より背面側に向けて、ケーブルエンド9aを挿入する。これにより、ケーブルエンド9aは、その先端部分がまず前記案内部17の誘導部17cに当接する。
【0030】
次に、図6(b)に示すように、上昇用ケーブル9を前記ケーブルエンド取付部14のケーブルエンド収容部側である内側へ更に押し込むと、上昇用ケーブル9が前記案内部17の誘導部17c、案内斜面部17aを順次摺接しつつ移動する。
【0031】
次に、図6(c)に示すように、上昇用ケーブル9を前記ケーブルエンド取付部14の内側へ更に押し込むと、ケーブルエンド9aが、対向して設けられている前記案内補助部17bに到達して、それに摺接しつつ移動する。この際、前記案内補助部17bは、前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19bを挟んで対向してその横断面が略V字の谷状となっている。これにより、ケーブルエンド9aは、前記案内補助部17bの略V字形の谷間に押し込まれて進むことにより、前記規制面18に向けて案内される。
【0032】
次に、図7(a)に示すように、上昇用ケーブル9を前記ケーブルエンド取付部14の内側へと更に押し込むと、ケーブルエンド9aが前記規制面18に到達する。これにより、ケーブルエンド9aは、前記案内補助部17bの谷間から落下して、図7(b)に示すように、前記ケーブルエンド収容部20に収容される。
【0033】
ここで、前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19bは、上昇用ケーブル9の外径より広く、ケーブルエンド9aの外径より狭いスリット状に形成されているので、ケーブルエンド9a近傍が落下することで上昇用ケーブル9を収容することとなる。又、前記ケーブル収容部19bの内側に形成されている前記ケーブルエンド係止部19aは、ケーブルエンド9aの戻り方向への移動を係止する。
【0034】
以上の手順により、本発明のキャリアプレート2では、そのケーブルエンド取付部14へ、上昇用ケーブル9のケーブルエンド9aを取り付けることができる。尚、本発明のキャリアプレート2では、上記同様の手順により、ケーブルエンド取付部14へ、下降用ケーブル10のケーブルエンド10aを取り付けることができる。
【0035】
以上、説明した本発明のキャリアプレート2は、そのケーブルエンド取付部14に上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の一端に取り付けられたケーブルエンド9a,10aを取り付ける作業において、該ケーブルエンド9a,10aを前記案内部17の誘導部17c、案内斜面部17a、案内補助部17bに順次摺接させて移動し、当該ケーブルエンド取付部14の内側のケーブルエンド収容部側へ案内した際に、前記規制面18によりケーブルエンド9a,10aの動きを規制する。これにより、本発明のキャリアプレート2では、ケーブルエンド9a,10aが、前記ケーブルエンド収容部20を超えて移動することが防止されて、確実に当該ケーブルエンド収容部20に収容できるので、容易に本作業を行うことができる。
【0036】
又、本発明のキャリアプレート2では、上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の張力が緩んだ際に、前記ケーブルエンド収容部20に収容されたケーブルエンド9a,10aが、前記規制面18に当接して、ケーブルエンド収容部20より脱出することを抑制されるので、前記案内部17や前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19b等に上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の抜け止め爪等の機構を設ける必要が無い。
【0037】
又、本発明のキャリアプレート2では、前記案内部17の案内補助部17bが、前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19bを挟んで対向し、略V字形の谷間にケーブルエンド収容部が形成されるように、該ケーブル収容部19bを中央として上方拡がりとなるように形成している。この様な形状となることにより、ケーブルエンド9a,10aは、案内補助部17bに摺接してガイドされて、落下することなく前記規制面18に到達するように前記案内部17により案内されることとなる。これにより、作業者が規制面18に到達するようにケーブルエンド9a,10aの位置を手でケーブルエンド9a,10aをもって操作により修正する必要が無い。このように、本発明のキャリアプレート2は、そのケーブルエンド取付部14へのケーブルエンド9a,10aの取り付け作業が一層容易である。
【0038】
又、本発明のキャリアプレート2では、前記案内部17が、前記ケーブルエンド取付部14の外側から内側にかけて、当該キャリアプレート2の正面側から背面側に向けて傾斜している。この案内部17は、ケーブルエンド9a,10aの取り付け作業において、まずケーブルエンド9a,10aが摺接する前記誘導部17cが、その後に摺接する案内斜面部17aより緩やかな傾斜に構成されている。これにより、本発明のキャリアプレート2は、前記案内部17に摺接するケーブルエンド9a,10aを前記規制面18に誘導しやすく、よって、そのケーブルエンド取付部14へのケーブルエンド9a,10aの取り付け作業が一層容易である。
【0039】
又、本発明のキャリアプレート2は、前記案内部17及び前記ケーブル係合部19のケーブルエンド係止部19aが一体化されているので、構成が簡単で、コンパクトなものとすることができる。又、本発明のキャリアプレート2は、上記の構成により、ケーブルエンド係止部19aの上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の戻り方向の厚さを確保し易くなり、従って、上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の戻り方向へ作用する力に対してのケーブルエンド係止部19aの強度を容易に確保することができる。
【0040】
又、本発明のキャリアプレート2は、上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の軸方向における前記ケーブルエンド9a,10aの長さと、前記ケーブルエンド収容部20の長さが略同一であるので、該ケーブルエンド収容部20内におけるケーブルエンド9a,10aの前記軸方向への可動範囲が小さく構成されている。これにより、本発明のキャリアプレート2は、ケーブルエンド9a,10aがケーブルエンド収容部20内で前記軸方向にずれ難いので、ケーブルエンド9a,10aがケーブルエンド収容部20から脱出することを一層抑制することができる。
【0041】
又、本発明のキャリアプレート2は、前記ケーブル係合部19のケーブル収容部19bに収容した上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10の延在方向、且つ、前記ケーブルエンド取付部14の近傍に設けられた前記阻害部15が、背面側に開口する前記ケーブル収容部19bの開口部19cより正面側に位置し、記開口部から前記ケーブルが脱出することを阻害するようにされている。前記阻害部15により、本発明のキャリアプレート2は、前記開口部19cより脱出しようとする上昇用ケーブル9、下降用ケーブル10を阻害部15に当接させて当該脱出を抑制し、延いてはケーブルエンド9a,10aがケーブルエンド収容部20から脱出することも抑制できる。
【0042】
又、本発明のウインドレギュレータ1は、上記本発明のキャリアプレート2を用いて構成されるので、上昇用ケーブル9,下降用ケーブル10の組み付けが容易である。
【0043】
尚、本実施の形態で示したウインドレギュレータ1、キャリアプレート2は、本発明に係るウインドレギュレータ,キャリアプレートの一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るウインドレギュレータは、車両用ドアに適用することができる。又、本発明に係るキャリアプレートは、前記ウインドレギュレータに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ウインドレギュレータ
2 キャリアプレート
3 ガイドレール
8 駆動装置
9 上昇用ケーブル
9a,10a ケーブルエンド
10 下降用ケーブル
14 ケーブルエンド取付部
15 阻害部
17 案内部
17a 案内斜面部
17b 案内補助部
17c 誘導部
18 規制面
19 ケーブル係合部
19a ケーブルエンド係止部
19b ケーブル収容部
19c 開口部
20 ケーブルエンド収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7