特許第6266408号(P6266408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266408自動二輪車のタンデムグリップ・ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266408
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】自動二輪車のタンデムグリップ・ユニット
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/28 20060101AFI20180115BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20180115BHJP
【FI】
   B62J1/28 C
   B62J99/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-71997(P2014-71997)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193308(P2015-193308A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩行
(72)【発明者】
【氏名】小久保 貴広
(72)【発明者】
【氏名】河内 薫
(72)【発明者】
【氏名】安原 英文
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−075552(JP,A)
【文献】 特開2013−248980(JP,A)
【文献】 特開2006−103647(JP,A)
【文献】 特開平04−123988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/28
B62J 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の左右両側に物品収納用のパニヤが着脱可能に取り付けられ、且つ、車体後部の上部に物品収納用のトップケースが着脱可能に取り付けられる自動二輪車における、同乗者が把持する左右一対のタンデムグリップを含むタンデムグリップ・ユニットであって、
各タンデムグリップが、車体フレームに支持される被支持部と、同乗者が把持するグリップ部と、前記パニヤが取り付けられるパニヤ取付部と、前記トップケースが取り付けられるケース取付部とが一体に形成されている型成形品であり、
各タンデムグリップは、
前後方向に長手方向を有する長尺形状の基部と、
前記基部の上方に配置された前後方向に長い上部と、
前記基部の前後端部から上方に延びて前記基部の前後端部と前記上部の前後端部とを連結する前後方向に離間した一対の連結部と、を備え、
前記基部の車体内側を向く面に、前記被支持部が形成され、
前記基部の車体外側を向く面に、前記パニヤ取付部が形成され、
前記上部における前記各連結部の間の部分が前記グリップ部を形成し、
前記上部の後端部に前記ケース取付部が形成されているタンデムグリップ・ユニット。
るタンデムグリップ・ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のタンデムグリップ・ユニットにおいて、さらに、荷掛けロープを係止するロープフックが一体に形成されているタンデムグリップ・ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタンデムグリップ・ユニットにおいて、前記被支持部は、前記基部の車体内側を向く面の前端部および後端部に設けられた第1および第2の被支持部と、前記基部の前後方向中間部に設けられた第3の被支持部とを有し、
前記第1および第2の被支持部は上下方向からボルトにより固定され、前記第3の被支持部は左右方向からボルトにより固定されているタンデムグリップ・ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のタンデムグリップ・ユニットと、
前記車体フレームの後端部に着脱自在に取り付けられて、前記車体フレームを外側方から覆うテールカバーと、を備え、
各タンデムグリップにおける前記グリップ部と前記パニヤ取付部とが、前記テールカバーから外部に露出している自動二輪車。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のタンデムグリップ・ユニットと、
各タンデムグリップに取り付けられた前記パニヤと、
一対の前記ケース取付部に取り付けられたケースステーと、
一対の前記ケースステーの間に取り付けられた支持プレートと、
前記支持プレートに支持された前記トップケースと、を備えた自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部の左右両側に物品収納用のパニヤが着脱可能に取り付けられ、且つ、車体後部の上部に物品収納用のトップケースが着脱可能に取り付けられる自動二輪車に装着されて、同乗者が把持する左右一対のタンデムグリップを含むタンデムグリップ・ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の後部の同乗者シートの下方に、同乗者が把持する左右一対のタンデムグリップを設けたものがある。タンデムグリップは、一般に、車体フレームの後部に支持される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−122790号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車体後部の左右両側に着脱可能に取り付けられた物品収納用のパニヤや、車体後部の上部に着脱可能に取り付けられた物品収納用のトップケースを備えた自動二輪車では、このようなパニヤやトップケースも車体フレームの後部に支持される。そのため車体フレームの後部の構造が複雑化する。
【0005】
本発明は、自動二輪車の車体フレームの後部構造を複雑化することなく、パニヤやトップケースを取り付けることができるタンデムグリップ・ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のタンデムグリップ・ユニットは、車体後部の左右両側に物品収納用のパニヤが着脱可能に取り付けられ、且つ、車体後部の上部に物品収納用のトップケースが着脱可能に取り付けられる自動二輪車における、同乗者が把持する左右一対のタンデムグリップを含むタンデムグリップ・ユニットであって、各タンデムグリップが、車体フレームに支持される被支持部と、同乗者が把持するグリップ部と、前記パニヤが取り付けられるパニヤ取付部と、前記トップケースが取り付けられるケース取付部とが一体に形成されている型成形品である。
【0007】
上記構成によれば、左右のタンデムグリップの各々が、車体フレームに支持される被支持部と、同乗者が把持するグリップ部と、パニヤが取り付けられるパニヤ取付部と、トップケースが取り付けられるケース取付部とが一体に形成されているので、車体フレームの後部構造を複雑化することなく、パニヤやトップケースを取り付けることができる。また、被支持部、グリップ部、パニヤ取付部およびケース取付部を一体に形成することで、部品点数を低減できるうえに、タンデムグリップ・ユニットが大形化して剛性が向上する。その結果、パニヤおよびトップケースを安定して支持できる。
【0008】
本発明において、さらに、荷掛けロープを係止するロープフックが一体に形成されていることが好ましい。この構成によれば、ロープフックも型成形により一体に形成されているので、さらに部品点数を削減できる。また、大形のタンデムグリップ・ユニットにより荷掛け具および荷物を安定して支持できる。
【0009】
本発明において、各タンデムグリップは、前後方向に長手方向を有する長尺形状の基部と、前記基部の上方に配置された前後方向に長い上部と、前記基部の前後端部から上方に延びて前記基部の前後端部と前記上部の前後端部とを連結する前後方向に離間した一対の連結部とを備え、前記基部の車体内側を向く面に前記被支持部が形成され、前記基部の車体外側を向く面に、前記パニヤ取付部が形成され、前記上部における前記各連結部の間の部分が前記グリップ部を形成し、前記上部の後端部に前記ケース取付部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、グリップ部の下方で一対の連結部の間に空間が形成される。この空間により、同乗者がグリップ部を把持し易くなるとともに、タンデムグリップ・ユニットが軽量化される。
【0010】
前記基部に被支持部が形成される場合、前記被支持部は、前記基部の車体内側を向く面の前端部および後端部に設けられた第1および第2の被支持部と、前記基部の前後方向中間部に設けられた第3の被支持部とを有し、前記第1および第2の被支持部は上下方向からボルトにより固定され、前記第3の被支持部は左右方向からボルトにより固定されていることが好ましい。この構成によれば、タンデムグリップ・ユニットの車体フレームへの取付方向を左右方向および上下方向とすることで、多機種の自動二輪車に適用可能となる。
【0011】
本発明に係る自動二輪車は、本発明のタンデムグリップ・ユニットと、前記車体フレームの後端部に着脱自在に取り付けられて、前記車体フレームを外側方から覆うテールカバーとを備え、各タンデムグリップにおける前記グリップ部と前記パニヤ取付部とが、前記テールカバーから外部に露出し、それ以外の部分が前記テールカバーに外側方から覆われている。
【0012】
この構成によれば、テールカバーにより、タンデムグリップ・ユニットの一部、例えば被支持部を隠すことができる。これにより、車体後部の外観が向上するうえに、被支持部が、露出する意匠部分とならないので、タンデムグリップ・ユニットの製造コストを低減できる。また、テールカバーは着脱自在であるので、被支持部を意匠部品として形成し、テールカバーを取り外すモデルとすることも可能となる。これにより、設計の自由度が向上する。
【0013】
本発明に係る他の自動二輪車は、本発明のタンデムグリップ・ユニットと、各タンデムグリップに取り付けられた前記パニヤと、一対の前記ケース取付部に取り付けられたケースステーと、一対の前記ケースステーの間に取り付けられた支持プレートと前記支持プレートに支持された前記トップケースとを備えている。これにより、自動二輪車の車体フレームの後部構造を複雑化することなく、パニヤやトップケースを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタンデムグリップ・ユニットによれば、左右のタンデムグリップの各々が、車体フレームに支持される被支持部と、同乗者が把持するグリップ部と、パニヤが取り付けられるパニヤ取付部と、トップケースが取り付けられるケース取付部とが一体に形成されているので、車体フレームの後部構造を複雑化することなく、パニヤやトップケースを取り付けることができる。また、被支持部、グリップ部、パニヤ取付部およびケース取付部を一体に形成することで、部品点数を低減できるうえに、タンデムグリップ・ユニットが大形化して剛性が向上する。その結果、パニヤおよびトップケースを安定して支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るタンデムグリップ・ユニットを備えた自動二輪車の後部を示す側面図である。
図2】同タンデムグリップ・ユニットを車体フレームに取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図2の平面図である。
図4図3の平面図にテールカバーを取り付けた平面図である。
図5図4の平面図にケースステーを取り付けた平面図である。
図6図5の平面図に支持プレートを取り付けた平面図である。
図7】同自動二輪車の後部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。この明細書中の左右方向は、自動二輪車に乗車したライダーから見た左右を言う。図1は本発明の一実施形態に係るタンデムグリップ・ユニットを備えた自動二輪車の後部の側面図である。この自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を構成するメインフレーム1と、メインフレーム1の後部に連結されて車体フレームFRの後半部を構成するリヤフレーム2とを有している。メインフレーム1の前端部に図示しないフロントフォークを介して前輪が支持されている。
【0017】
メインフレーム1の後端下部には、スイングアームブラケット4が設けられ、このスイングアームブラケット4に、前端部のピポット軸6を介してスイングアーム8が上下揺動自在に支持されている。スイングアーム8の後端部には、後輪10が支持されている。メインフレーム1の中央下部にはエンジンEが支持されており、このエンジンEにより後輪10を駆動する。エンジンEは例えば並列多気筒4サイクルエンジンである。
【0018】
前記リヤフレーム2にライダー用シート12と同乗者用シート14とが支持されている。ライダー用シート14の下方に、メインフレーム1とスイングアーム8との間に連結されたほぼ前後方向向きの1本の後輪懸架装置16が配置されている。リヤフレーム2におけるライダー用シート12の下方には、ライダーの足乗せである第1フットステップ18が配置され、その後方には、同乗者用の足乗せである第2フットステップ19を支持するステップステー20が取り付けられている。両フットステップ18,19およびステップステー20は左右一対設けられている。
【0019】
リヤフレーム2における同乗者用シート14の下方には、同乗者が把持する左右一対のタンデムグリップ22を含むタンデムグリップ・ユニット24が取り付けられている。車体後部の左右両側に物品収納用のパニヤ26が配置され、タンデムグリップ・ユニット24を介してリヤフレーム2に着脱可能に取り付けられている。車体後端の上部に物品収納用のトップケース28が配置され、タンデムグリップ・ユニット24を介してリヤフレーム2に着脱可能に取り付けられている。トップケース28は、後述のケースステー70および支持プレート72を介してタンデムグリップ・ユニット24に取り付けられている。さらに、リヤフレーム2の後端部に、リヤフレーム2を外側方から覆う樹脂製のテールカバー30が支持されている。
【0020】
図2は、リヤフレーム2に取り付けたタンデムグリップ・ユニット24を前方斜め上方から見た斜視図で、図3はその平面図である。リヤフレーム2は、左右一対のリヤフレーム片2aの後端部とその前方部とに、両リヤフレーム片2a,2aを連結する後端クロスメンバ2bおよび中間クロスメンバ2cが接合されている。タンデムグリップ・ユニット24の左右のタンデムグリップ22,22は左右対称形状である。本実施形態では、各タンデムグリップ22は、アルミダイキャスト製である。
【0021】
図2に示すように、各タンデムグリップ22は、リヤフレーム2に支持される被支持部32と、同乗者が把持するグリップ部34と、パニヤ26(図1)が取り付けられるパニヤ取付部36と、トップケース28(図1)が取り付けられるケース取付部38と、荷掛けロープを係止するロープフック40が一体に形成された型成形品である。
【0022】
詳細には、各タンデムグリップ22は、前後方向に長手方向を有する長尺形状の基部42と、基部42の上方に配置された前後方向に長い上部44と、基部42の前後端部から上方に延びて基部42の前後端部と上部44の前後端部とを連結する前後方向に離間した一対の連結部46とを有している。つまり、タンデムグリップ22には、基部42、上部44および前後の連結部46,46で囲まれた、左右方向に貫通する空間69が形成されている。
【0023】
基部42の車体内側を向く面に前記被支持部32が形成されている。被支持部32は、基部42の車体内側を向く面の前端部および後端部に設けられた第1および第2の被支持部分48,50と、基部42の前後方向中間部に設けられた第3の被支持部分52とを有している。第1および第2の被支持部分48,50は上下方向からボルト54により固定され、第3の被支持部分52は左右方向からボルト56により固定されている。
【0024】
詳細には、第1の被支持部分48は、図3に示すように、基部42の車体内側を向く面の前端部から車体内側に突出する第1取付片48からなり、この第1取付片48に上方を向く貫通孔48aが形成されている。第2の被支持部分50は、基部42の車体内側を向く面の後端部から車体内側に突出する第2取付片50からなり、この第2取付片50に上方を向く貫通孔50aが形成されている。第3の被支持部分52は、基部42の前後方向中間部に設けたボスからなり、このボス52に左右方向を向いたボルト挿通孔52aが形成されている。
【0025】
図2に示すように、基部42の車体外側を向く面に、前記パニヤ取付部36が形成されている。パニヤ取付部36は、基部42の車体外側を向く面の前端部および後端部に設けられ、車体内側へ凹入した有底の凹所からなる。パニヤ取付部36は、パニヤ26(図1)の被取付部の構造に合わせて構成されるもので、本実施形態の構造に限定されない。
【0026】
タンデムグリップ22の上部44における前後の連結部46,46の間の部分が前記グリップ部34を構成している。上部44の後端部に、前記ケース取付部38が形成されている。ケース取付部38は、上部44の後端部の内側面から車体内側に延びるボス38からなり、本実施形態では、前後方向に並んで2つ設けられている。各ボス38に、車体内側を向くねじ孔38aが形成されている。ロープフック40は、基部42の前端部と後端部に設けられ、基部42の下面から下方に突出する突状体40からなる。
【0027】
図4は、図3に前記テールカバー30を装着した平面図である。テールカバー30は、車体フレームFRの後端部を覆い前方に開いたU字形のカバー後部58と、U字形のカバー後部58の2つの枝部に連結されて前後方向に延びる左右一対のカバー側部60,60とを有している。明瞭化のために、テールカバー30にはクロスした陰線が付されている。カバー後部58と各カバー側部60,60は、樹脂の型成形品であり、図7に示すボルト62により連結されている。詳細には、各カバー側部60,60は、前後方向に並んだ2か所でカバー後部58に連結されている。
【0028】
カバー後部58はリヤフレーム2の後端部の上方を覆い、カバー側部60はリヤフレーム2およびタンデムグリップ22の被支持部32の外側方を覆っている。つまり、タンデムグリップ22におけるグリップ部34、パニヤ取付部36およびロープフック40が、テールカバー30から外部に露出している。
【0029】
図4のテールカバー30のカバー後部58は、その基端部の前縁から前方に突出する後部取付片64を有している。後部取付片64は左右方向に並んで2つ設けられ、各後部取付片64に上下方向を向くボルト挿通孔64aが形成されている。各カバー側部60における前後方向中間部に、車体内側に突出する中間部取付片66が形成され、この中間部取付片66に上下方向を向くボルト挿通孔66aが形成されている。さらに、各カバー側部60の前端部に、左右方向を向くボルト挿通孔68が形成されている。
【0030】
図5は、図4の平面図に前記ケースステー70を取り付けた状態を示す。図5に示すように、ケースステー70は左右一対設けられており、両ケースステー70,70は左右対称形状である。左右のケースステー70,70は、左右のタンデムグリップ22のケース取付部38,38にそれぞれ取り付けられる。ケースステー70は、前後方向に延びるアルミニウム製の長尺状部材であり、前半部を構成する車体取付部76と、後半部を構成するケース支持部78とを有している。
【0031】
図7に示すように、ケースステー70の車体取付部76は、左右方向を向いたボルト挿通孔76aが形成されている。ボルト挿通孔76aは、図2のボス(ケース取付部)38のねじ孔38aに対応した位置に設けられ、前後方向に並んで2つ設けられている。
【0032】
図5に示すように、ケースステー70のケース支持部78は、上下方向を向くねじ孔78aが形成されている。ねじ孔78aは、前後方向に並んで2つ設けられている。ケースステー70のケース支持部78の上面に、板金からなる台座74が配置されている。
【0033】
台座74は、左右両側部で左右のケース支持部78に支持される。台座74における左右両側部にボルト挿通孔81が形成されている。ボルト挿通孔81は、ケース支持部78のねじ孔78aに対応する位置に形成され、前後方向に並んで2つ設けられている。台座74はボルト挿通孔81に挿通されねじ孔78aにねじ込んだボルト80によりケース支持部78に連結されている。台座74における左右方向の中間部には、前後方向に延びるスリット80aが形成されている。スリット80aは、前後方向に並んで2つ形成されている。
【0034】
平面図である図6は、図5の台座74に前記支持プレート72を取り付けた状態を示す。支持プレート72は、樹脂製で、平面視でほぼ矩形の板状部材である。支持プレート72は、台座74の上に配置され、台座74を介してケースステー70に支持されている。
【0035】
図6に示すように、支持プレート72の左右方向の中間部に、上下方向を向く貫通孔72aが形成されている。貫通孔72aは、台座74のスリット80aに対応した位置に形成され、前後方向に並んで2つ設けられている。支持プレート72の上面の前部における左右両側部に、トップケース28(図1)の前部が係合される第1係合部82,82が形成され、支持プレート72の上面の後部における左右方向中間部に、トップケース28(図1)の後部が係合される第2係合部84が形成されている。
【0036】
図7に示すように、各第1係合部82は、上方に突出した係合突起からなり、第2係合部84は前方斜め上方を向いた係合孔84aを有している。公知の形状である第1および第2係合部82,84を介して、図1のトップケース28が支持プレート72に係合して支持される。
【0037】
つぎに、図1のタンデムグリップ・ユニット24、パニヤ26、トップケース28およびテールカバー30のリヤフレーム2への取付方法を説明する。まず、リヤフレーム2にタンデムグリップ・ユニット24を取り付ける。
【0038】
具体的には、図2に示すように、リヤフレーム2における中間クロスメンバ2cの前方に第1ボス86が設けられ、且つ、リヤフレーム2における後端クロスメンバ2bの前方近傍に第2ボス88が設けられている。第1ボス86に、タンデムグリップ・ユニット24の第1の被支持部分48を重ね、第2ボス88に第2の被支持部分50を重ねる。この状態で、図3に示すボルト54を上方から第1の被支持部分48の貫通孔48aに挿通し、第1ボス86に設けられたねじ孔(図示せず)に締め付ける。同様に、ボルト54を上方から第2の被支持部分50の貫通孔50aに挿通し、第2ボス88に設けられたねじ孔(図示せず)に締め付ける。
【0039】
さらに、第3の被支持部(ボス)52のボルト挿通孔52aに、車体外側(左右方向)からボルト56を挿通し、リヤフレーム2に設けた第3ボス90のねじ孔(図示せず)に締め付ける。以上により、タンデムグリップ・ユニット24がリヤフレーム2に支持される。
【0040】
つぎに、図4のテールカバー30をリヤフレーム2に取り付ける。具体的には、テールカバー30を後方から差し込んで、リヤフレーム2の後端の後端クロスメンバ2bに設けられた取付片94(図3)に、テールカバー30の後部取付片64を重ねる。この状態で、ボルト96を上方から後部取付片64のボルト挿通孔64aに挿通し、リヤフレーム2の取付片94に設けられたねじ孔94a(図3)にねじ込む。
【0041】
つづいて、リヤフレーム2に設けられた取付突起98(図2)に、テールカバー30の中間部取付片66を重ねる。この状態で、ボルト100を上方から中間部取付片66のボルト挿通孔66aに挿通し、リヤフレーム2の取付突起98に設けたねじ孔98a(図2)に締め付ける。さらに、テールカバー30の前端のボルト挿通孔68に、車体外側からボルト104を挿通し、リヤフレーム2の取付ブラケット102に設けたねじ孔(図示せず)に締め付ける。以上により、テールカバー30がリヤフレーム2に支持される。
【0042】
つぎに、図5のケースステー70および台座74をタンデムグリップ・ユニット24のボス(ケース取付部)38に取り付ける。具体的には、図7のボルト106を車体内側からケースステー70のボルト挿通孔76aに挿通し、ボス38のねじ孔38aに締め付ける。これにより、ケースステー70がタンデムグリップ・ユニット24に取り付けられる。
【0043】
つづいて、ケースステー70のケース支持部78の上面に台座74を重ね、ボルト80を上方から台座74のボルト挿通孔81に挿通し、ケースステー70のねじ孔78aに締め付ける。これにより、台座74がケースステー70に取り付けられる。
【0044】
つぎに、図6の支持プレート72を台座74に取り付ける。具体的には、台座74の上面に支持プレート72を重ねた状態で、図7に示すボルト108を上方から、図6の支持プレート72の貫通孔72aおよび台座74のスリット80a(図5)の順に挿通し、図示しないナットで締め付ける。これにより、支持プレート72が台座74を介してケースステー70に取り付けられる。
【0045】
つづいて、図1のパニヤ26およびトップケース28をタンデムグリップ・ユニット24に取り付ける。トップケース28の下部の前部に形成された凹所(図示せず)を、後方から図7に示す支持プレート72の第1係合部82に係合する。この状態で、トップケース28の下部の後部に形成された凸部(図示せず)を支持プレート72の第2係合部84に係合する。これにより、図1のトップケース28が支持プレート72に取り付けられ、タンデムグリップ・ユニット24を介してリヤフレーム2に支持される。
【0046】
さらに、パニヤ26の上部に設けられた係合突部(図示せず)を、図7のタンデムグリップ・ユニット24の凹所(パニヤ取付部)36に支持した状態で、パニヤ26の前部に設けられた係合凹部(図示せず)をステップステー20に支持する。これにより、パニヤ26がタンデムグリップ・ユニット24を介してリヤフレーム2に支持される。なお、パニヤ26の係合突部および係合凹部の構造は公知である。
【0047】
上記構成によれば、図2に示す左右のタンデムグリップ22の各々が、リヤフレーム2に支持される被支持部32と、同乗者が把持するグリップ部34と、パニヤ26が取り付けられるパニヤ取付部36と、トップケース28が取り付けられるケース取付部38とが一体に形成されている型成形品である。したがって、リヤフレーム2の構造を複雑化することなく、パニヤ26やトップケース28を取り付けることができる。また、被支持部32、グリップ部34、パニヤ取付部36およびケース取付部38を一体に形成することで、部品点数を低減できるうえに、タンデムグリップ・ユニット24が大形化して剛性が向上する。その結果、パニヤ26およびトップケース28を安定して支持できる。
【0048】
さらに、荷掛けロープを係止するロープフック40も型成形により一体に形成されているので、さらに部品点数を削減できるうえに、大形のタンデムグリップ・ユニット24により、図1に示す荷掛け具110および同乗者シート14上に載置した荷物112を安定して支持できる。
【0049】
また、グリップ部34の下方で一対の連結部46,46の間に空間69が形成されているので、同乗者がグリップ部34を把持し易くなるとともに、タンデムグリップ・ユニット24が軽量化される。
【0050】
さらに、被支持部32が、上下方向からボルト54により固定される第1および第2の被支持部分48,50と、左右方向からボルト56により固定される第3の被支持部分52とを有しているので、多機種の自動二輪車に適用可能となる。
【0051】
また、タンデムグリップ・ユニット24におけるグリップ部34とパニヤ取付部36とが、テールカバー30から外部に露出し、それ以外の部分がテールカバー30に外側方から覆われている。これにより、タンデムグリップ・ユニット24の被支持部32を隠すことができる。その結果、自動二輪車の後部の外観が向上するうえに、被支持部32が外部から見える意匠部分とならないので、タンデムグリップ・ユニット24の製造コストを低減できる。
【0052】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、タンデムグリップ・ユニット24にロープフック40が一体形成されているが、ロープフック40を別体で形成し、締結手段によりタンデムグリップ・ユニット24またはリヤフレーム2に取り付けてもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
22 タンデムグリップ
24 タンデムグリップ・ユニット
26 パニヤ
28 トップケース
30 テールカバー
32 被支持部
34 グリップ部
36 パニヤ取付部(凹所)
38 ケース取付部(ボス)
40 ロープフック
42 基部
44 上部
46 連結部
48 第1の被支持部(第1取付片)
50 第2の被支持部(第2取付片)
52 第3の被支持部(ボス)
70 ケースステー
72 支持プレート
FR 車体フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7