(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積層セラミック本体を約85℃において約1,000kg・f/cm2の圧力条件で等圧圧縮成形(isostatic pressing)する段階をさらに含む、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記積層セラミック本体を個別のチップ状に切断し、切断されたチップを大気雰囲気において約230℃、約60時間維持して脱バインダーを行う段階をさらに含む、請求項14に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記チップを、約1200℃において第1及び第2内部電極が酸化しないようにNi/NiO平衡酸素分圧より低い10−11から10−10atmの酸素分圧下の還元雰囲気で焼成する段階をさらに含む、請求項15に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の一つである積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(LCD、Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP、Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末機(PDA、Personal Digital Assistants)及び携帯電話などの多様な電子製品の基板に装着されて電気を充填または放電させる役割をするチップ形態のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながら、高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、多様な電子装置の部品として用いられることができる。
【0004】
上記積層セラミックキャパシタは、複数の誘電体層と、上記誘電体層の間に異なる極性を有する内部電極と、が交互に積層された構造を有することができる。
【0005】
このとき、上記誘電体層は圧電性及び電歪性を有するため、積層セラミックキャパシタに直流または交流電圧が印加されると、上記内部電極の間で圧電現象が生じて振動が発生する可能性がある。
【0006】
このような振動は、積層セラミックキャパシタの外部電極を通じて上記積層セラミックキャパシタが実装された基板に伝達され、上記基板全体が音響反射面となり、雑音となる振動音を発生させる。
【0007】
上記振動音は、人に不快感を与える20〜20,000Hz領域の可聴周波数に該当し、このように人に不快感を与える振動音をアコースティックノイズ(acoustic noise)という。
【0008】
最近、積層セラミックキャパシタにおいて、上記アコースティックノイズの度合いが品質を決定する主な要素の一つとして位置づけられている。
【0009】
また、積層セラミックキャパシタの高容量化に伴い、誘電体の機械的変形量が増加することは必要不可欠な現象であるため、これを解決するための多様な試みが行われていた。
【0010】
このうち、基板と積層セラミックキャパシタを接合するために用いられるはんだ(solder)の量を制御してアコースティックノイズを調節する方法が開示された。
【0011】
しかし、この場合、はんだの量を減らすほど基板と積層セラミックキャパシタの固着高度が低下し、また、はんだの量を減らしてもアコースティックノイズの大きな減少を期待することは困難であった。
【0012】
他の方法としては、積層セラミックキャパシタの内部構造を変化させる方法があった。
【0013】
しかし、一般に、上記積層セラミックキャパシタの内部構造を変化させる方法としては、製品のサイズまたは形態そのものを変化する場合が多かったため、適切な実装方法を別に導入せねばならないという課題が残った。
【0014】
さらに他の方法としては、積層セラミックキャパシタの実装方向を制御する方法がある。
【0015】
しかし、上記積層セラミックキャパシタの実装方向を制御する方法は、実装方向を整列する必要があるため、別に先行工程が必要になるという短所があった。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0032】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
また、本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面に示されたL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。
【0035】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの一部を切開して概略的に示した斜視図であり、
図2は
図1の積層セラミックキャパシタを垂直実装方向に回転させた後、積層セラミックキャパシタの一部を切開して概略的に示した斜視図である。
【0036】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、第1及び第2内部電極121、122を含む活性層115と、上部及び下部カバー層112、113と、第1及び第2外部電極131、132と、を含む。
【0037】
セラミック本体110は、複数の誘電体層111を積層してから焼成することで形成されるが、このようなセラミック本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数は本実施形態に示されるものに限定されない。
【0038】
このとき、セラミック本体110の長さと幅の差は、15%以下であることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
また、セラミック本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼結された状態で、隣接する誘電体層111間の境界が走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認できないほど一体化されていることができる。
【0040】
なお、セラミック本体110は、六面体状を有することができる。
【0041】
本実施形態では、説明の便宜のために、セラミック本体110の対向する厚さ方向の面を第1及び第2主面1、2、第1及び第2主面1、2を連結し、対向する長さ方向の面を第1及び第2端面3、4、及び第1及び第2端面3、4と直交する対向する幅方向の面を第1及び第2側面5、6と定義する。
【0042】
このようなセラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分である活性層115と、上下マージン部として活性層115の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層112、113と、を含むことができる。
【0043】
活性層115は、誘電体層111を介して複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0044】
上部及び下部カバー層112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0045】
上部及び下部カバー層112、113は、単一または二つ以上の誘電体層を活性層115の上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割をすることができる。
【0046】
また、誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含むことができるが、十分な静電容量が得られるものであれば、本発明はこれに限定されない。
【0047】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、必要に応じて、セラミック添加剤や有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などがさらに添加されることができる。
【0048】
上記セラミック添加剤は、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などであることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0049】
このとき、誘電体層111の厚さは、積層セラミックキャパシタ100の容量設計に応じて任意に変更することができ、1層の厚さが0.9μm、好ましくは0.9〜1.75μmになるように構成することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
誘電体層111の厚さが0.9μm未満の場合は、耐電圧特性が劣化する可能性があり、1.75μmを超過すると、容量具現率が基準値に比べて低く示されるおそれがある。
【0051】
本実施形態では、従来の積層セラミックキャパシタに比べて上下に隣接する内部電極の間隔を減らすことにより、同一のチップサイズにおいて相対的に少ない内部電極の積層数で同一容量を具現することができ、上部及び下部カバー層を一定の厚さに確保できることから、内部電極のクラックを防止でき、アコースティックノイズを低減させることができる。
【0052】
第1及び第2内部電極121、122は、異なる極性を有する電極で、誘電体層111の一面に所定の厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して誘電体層111の積層方向に沿って両端面に交互に露出するように形成されることができ、その間に配置された誘電体層111によって電気的に絶縁されることができる。
【0053】
第1及び第2内部電極121、122は、セラミック本体110の両端面に交互に露出する部分によって第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0054】
これにより、第1及び第2外部電極131、132に電圧が印加されると、対向する第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積され、このとき、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は活性層115において第1及び第2内部電極121、122が重なる領域の面積に比例するようになる。
【0055】
このとき、第1及び第2内部電極は、積層セラミックキャパシタの容量が10uF以上になるように積層することができる。
【0056】
このような第1または第2内部電極121、122の厚さは、用途に応じて決定されることができる。例えば、セラミック本体110のサイズを考慮して0.2〜1.0μmの範囲内にあるように決定されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0057】
例えば、第1または第2内部電極121、122の厚さが0.2μm未満の場合、電極連結性及び耐電圧特性が低下する可能性がある。また、第1または第2内部電極121、122の厚さが1.0μmを超過すると、活性層115とマージンの段差によってデラミネーション(delamination)が激しくなるおそれがある。
【0058】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)またはこれらの合金であることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0059】
なお、上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法やグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0060】
第1及び第2外部電極131、132は、セラミック本体110の第1及び第2端面3、4をそれぞれ覆うように形成される。
【0061】
また、第1及び第2外部電極131、132は、セラミック本体110の第1及び第2端面3、4から第1及び第2主面1、2の一部と第1及び第2側面5、6の一部まで伸びるように形成されることができる。
【0062】
このような第1及び第2外部電極131、132は、導電性金属を含む導電性ペーストによって形成されることができる。
【0063】
また、上記導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)またはこれらの合金であることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0064】
以下では、本実施形態による積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の寸法と電気的特性及びアコースティックノイズとの関係について説明する。
【0065】
図3は積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の寸法関係について説明すべく、
図1の積層セラミックキャパシタをA−A’線に沿って切断して概略的に示した断面図である。
【0066】
図3では、それぞれの上部及び下部カバー層112、113の厚さをC、活性層115の幅方向マージンをM、セラミック本体110の幅−厚さ方向の断面積をAc、活性層115の幅−厚さ方向の断面積をAaと規定する。
【0067】
ここで、活性層115の幅方向マージンMは、第1及び第2内部電極121、122が重なる部分の端部からセラミック本体110の一側面までの距離を意味する。
【0068】
一方、従来の積層セラミックキャパシタでは、誘電材料の圧電特性により、電源が印加されると、活性層にアコースティックノイズが発生した。特に、高容量の積層セラミックキャパシタでは、このような圧電特性が増加してアコースティックノイズの発生が激しくなる可能性があった。
【0069】
上記アコースティックノイズは、フィールド(field)の印加方向に発生するストレイン(strain)が主因であるため、活性層の上下側にマージン部を拡大することでアコースティックノイズを減らすことができる。
【0070】
また、アコースティックノイズは、積層セラミックキャパシタが垂直に実装されているか、それとも水平に実装されているかによってそのサイズが異なるため、積層セラミックキャパシタを基板へ実装するとき、実装方向を正確に確認してから実装する必要があり、実装方向を誤った場合にはアコースティックノイズが設計より大きく発生するという問題点もあった。
【0071】
これに対し、本実施形態では、C/Mが1.826≦C/M≦4.686、Aa/Acが0.2142≦Aa/Ac≦0.4911の範囲を満たすと、積層セラミックキャパシタを垂直実装または水平実装した両場合において発生するアコースティックノイズの差異を最小限にすることができる。即ち、積層セラミックキャパシタを垂直実装または水平実装した両場合のアコースティックノイズ値は殆ど同一である。
【0072】
上記C/Mが1.826未満の場合は、アコースティックノイズの減少効果がなく、積層セラミックキャパシタを水平実装するとき、垂直実装の場合に比べてアコースティックノイズが大きく発生する可能性がある。
【0073】
また、上記C/Mが4.686を超過すると、誘電体層のマージンが狭すぎて積層体を一つのチップに切断する過程で切断不良が発生する可能性が高くなる。
【0074】
なお、上記Aa/Ac値が0.2142未満の場合は、容量が設計要求値に比べて不足し、上記Aa/Ac値が0.4911を超過すると、水平実装と垂直実装のアコースティックノイズ比が1.1を超過してアコースティックノイズが異なるという問題点があり得る。
【0075】
したがって、積層セラミックキャパシタが1.826≦C/M≦4.686及び0.2142≦Aa/Ac≦0.4911の範囲を満たす場合、容量を確保しながら、チップの実装方向性をなくして積層セラミックキャパシタが基板に間違った方向に実装されてアコースティックノイズが大きく発生することを防止でき、積層体を一つのチップに切断する過程で切断不良を発生するおそれを防止することができる。
【0077】
図4は
図1の積層セラミックキャパシタが基板に実装された形状を示した斜視図であり、
図5は
図2の積層セラミックキャパシタが基板に実装された形状を示した断面図である。
【0078】
図4及び
図5を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100の実装基板200は、積層セラミックキャパシタ100の第1及び第2内部電極121、122が実装面に対して水平または垂直に実装される基板210と、基板210の上面に離れるように形成された第1及び第2電極パッド221、222と、を含む。
【0079】
このとき、積層セラミックキャパシタ100は、下部カバー層113が基板210に向かって配置され、第1及び第2外部電極131、132がそれぞれ第1及び第2電極パッド221、222上に接触されるように位置した状態で、はんだ231、232によって基板210と電気的に連結されることができる。
【0080】
上記のように積層セラミックキャパシタ100が基板210に実装された状態で、電圧が印加されると、アコースティックノイズが発生するようになる。
【0081】
このとき、第1及び第2電極パッド221、222のサイズは、積層セラミックキャパシタ100の第1及び第2外部電極131、132と第1及び第2電極パッド221、222を連結するはんだ230の量を決定する指標になり得る。また、このようなはんだ230の量によってアコースティックノイズのサイズが調節されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0082】
一般に、積層セラミックキャパシタ100において、アコースティックノイズが発生する理由は、積層セラミックキャパシタ100に電界が印加されると、誘電体層111の逆圧電特性によって積層セラミックキャパシタ100の活性層で電界を受けた誘電物質が物理的な変形を起こして積層セラミックキャパシタ100の表面上に変位を発生させるためである。
【0083】
このとき、積層セラミックキャパシタ100の表面に変位が発生するのは、誘電体層111の変形によって発生する力により上部またはカバー層112、113が変形されるためであると判断される。
【0084】
即ち、上部または下部カバー層112、113が曲がると理解されてもよい。また、このような上部または下部カバー層112、113の変形量は、(上部または下部カバー層の長さ/上部または下部カバー層の厚さ)
3に比例するようになる。
【0085】
したがって、積層セラミックキャパシタ100は、規格化されたサイズを有することから、積層セラミックキャパシタ100そのものの変形量を抑えてアコースティックノイズを減らすためには、上部または下部カバー層112、113の厚さを増加させることができる。
【0086】
一方、上記電界による誘電体層111の変形は、ポアソン効果(Poisson Effect)による厚さ方向の変形にとどまらず、幅方向の変形ももたらす。
【0087】
このとき、発生する変形量は、(セラミック本体の長さT/活性層の幅方向マージンM)
3に比例するようになる。
【0088】
一般に、積層セラミックキャパシタ100において厚さ方向の変位が幅方向の変位に比べて大きく発生するため、垂直実装型のアコースティックノイズが水平実装型のアコースティックノイズに比べてさらに低減されることができる。
【0089】
図6は本実施形態による積層セラミックキャパシタを
図4及び
図5のように実装基板に実装した後、それぞれのアコースティックノイズを測定してから比較した示したグラフである。
【0090】
図6を参照すると、積層セラミックキャパシタの長さ×幅が1.6mm×0.8mmである実施例1の場合、垂直実装型ではアコースティックノイズが約38dB、水平実装型ではアコースティックノイズが40dBであった。
【0091】
また、積層セラミックキャパシタの長さ×幅が1.0mm×0.5mmである実施例2の場合、垂直実装型ではアコースティックノイズが約31dB、水平実装型ではアコースティックノイズが約34dBであった。
【0092】
したがって、実装方向に関係なく同一水準のアコースティックノイズを具現するためには、一般の積層セラミックキャパシタに比べて上部及び下部カバー層の厚さをさらに厚く形成する必要がある。但し、上記上部及び下部カバー層の厚さが厚くなりすぎると、むしろ幅方向の変位が厚さ方向の変位に比べて大きくなるため適正範囲にする必要がある。
【0094】
本発明の実施例及び比較例による積層セラミックキャパシタは以下のように製作された。
【0095】
まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数のセラミックグリーンシートを設けた。
【0096】
次に、上記セラミックグリーンシート上にスクリーンなどを用いて導電性ペーストを塗布し、上記セラミックグリーンシートの両端面に交互に露出するように第1または第2内部電極を形成した。
【0097】
その後、上記セラミックグリーンシートを上記第1及び第2内部電極が交互に配置されるように複数個積層して積層体を製作した。
【0098】
このとき、上記第1及び第2内部電極が形成されていないセラミックグリーンシートを上記積層体の上面及び下面にそれぞれ積層して上部及び下部カバー層を形成した。
【0099】
続いて、上記上部及び下部カバー層が形成された積層体を約85℃において約1,000kg・f/cm
2の圧力条件で等圧圧縮成形(isostatic pressing)した。
【0100】
その後、圧着されたセラミック積層体を個別のチップ状に切断し、切断されたチップを大気雰囲気において約230℃、約60時間維持して脱バインダーを行った。
【0101】
次いで、約1200℃において第1及び第2内部電極が酸化しないようにNi/NiO平衡酸素分圧より低い10
−11から10
−10atmの酸素分圧下の還元雰囲気で焼成してセラミック本体を製作した。
【0102】
ここで、製造工程上の条件は一つの例示に過ぎず、本発明の積層セラミックキャパシタを製造する細部条件は場合によって多様に変更される。
【0103】
このとき、焼成後の上記セラミック本体110の長さ×幅×厚さ(L×W×T)は、約2.0mm×1.2mm×1.2mmであった。
【0104】
次に、上記セラミック本体の第1及び第2端面に第1及び第2外部電極をそれぞれ形成する工程を経て積層セラミックキャパシタを完成させた。
【0105】
ここで、上記積層セラミックキャパシタの長さ×幅×厚さの製作公差は±0.1mm内の範囲に設定し、これを満たす場合、実装しようとする基板に垂直または水平に実装した。
【0106】
下記実験に用いられた積層セラミックキャパシタは同一の活性層を有しており、上部または下部カバー層の厚さ及びセラミック本体の幅方向マージンのみを調節してからアコースティックノイズを測定した。
【0107】
このとき、アコースティックノイズは、誘電特性に起因する値であるため、実験に用いられる積層セラミックキャパシタの誘電容量はすべて約10uFの値を有するようにし、少なくとも10.3uFを超過しないように調節した。
【0108】
下記表1では、HNは積層セラミックキャパシタが基板に水平実装された場合のアコースティックノイズ値、VNは積層セラミックキャパシタが基板に垂直実装された場合のアコースティックノイズ値をそれぞれ示す。
【0110】
上記表1を参照すると、C/M値の範囲が1.826〜4.686である試料8、15〜22、28〜31、34〜40及び47〜52において、積層セラミックキャパシタが水平実装された場合のアコースティックノイズHNと積層セラミックキャパシタが垂直実装された場合のアコースティックノイズVNの比HN/VNは0.9〜1.1の範囲とわずかであることが確認できた。
【0111】
したがって、水平または垂直の実装方向に関係なく、積層セラミックキャパシタの一定のアコースティックノイズを具現するための上記C/Mの値は、1.826≦C/M≦4.686の範囲であることが分かる。
【0112】
また、上記CM値が1.826≦C/M≦4.686の範囲を満たすと、セラミック本体の幅Wと厚さTの差が15%以下であることが確認できた。
【0113】
一方、活性層の幅方向マージンMのサイズが90μm未満である試料32〜55では切断不良が確認できた。
【0114】
したがって、製品の切断不良を防止できる活性層の幅方向マージンMは、90μm以上であることが分かる。
【0115】
また、カバー層の厚さCを過度に増加させた試料17〜23、31、39〜45及び53〜55では、完成されたチップのサイズが大きくなりすぎて規格化された積層セラミックキャパシタのサイズを満たせないことが分かる。
【0116】
下記表2は、セラミック本体の幅−厚さ方向の断面積Acと活性層において第1及び第2内部電極が厚さ方向に重なる部分の幅−厚さ方向の断面積Aaの比Aa/Acを示したものである。
【0117】
上記Aa/Acは、積層セラミックキャパシタのセラミック本体の幅方向中心部から厚さ方向に切開した断面を走査電子顕微鏡で撮った写真を基準にそれぞれの寸法を測定して得られたものである。
【0119】
上記表2を参照すると、すべての試料で耐電圧は殆ど類似しており、Aa/Ac値の範囲が0.2142〜0.4911である試料4〜10では容量具現率が100%以上、水平実装垂直実装のアコースティックノイズが類似していることが確認できた。
【0120】
上記Aa/Ac値が0.2142未満である試料11及び12では容量具現率が100%未満になるという問題点が発生した。また、上記Aa/Ac値が0.4911を超過する試料1〜3では水平実装及び垂直実装におけるアコースティックノイズの比が1.1を超過するという問題点が発生した。
【0121】
一方、積層セラミックキャパシタの静電容量は、内部電極間の距離に反比例するため、誘電体層の厚さを減少させると静電容量を増加させることができる。
【0122】
また、積層セラミックキャパシタの耐電圧特性は、内部電極間に電位差が印加されるときに発生する電場(Electric Field、E)=V/dの式を満たすため、内部電極間の距離が近くなるほど増加するようになる。
【0123】
なお、材料の固有物性である絶縁耐力(Dielectric Strength)より大きい電場が印加されると破壊(Break Down)されることから、誘電体層の厚さが減少する場合に同一電位が印加されると、印加される電場の強さが増加するようになって耐電圧特性は弱くなる。
【0124】
即ち、同一の静電容量を具現するためには、誘電体層の厚さを減少させるときに発生する劣化現象を制御できれば、静電容量密度(capacitance density)をさらに増加させることができる。
【0125】
図7は焼結前のチタン酸バリウム(BT)粉末の平均粒径及びセラミックグリーンシートの厚さによる耐電圧特性の変化を示したグラフである。
【0126】
本実施形態では120〜300nm級のBT粉末を用いることができる。
【0127】
実施例1では120nm級のBT粉末、実施例2では180nm級のBT粉末、及び実施例3では300nm級のBT粉末が適用された。
【0128】
図7によると、セラミックグリーンシートの厚さが3μm以上の領域では300nm級のBT粉末が適用された実施例3の場合に最も優れた耐電圧特性が具現できたことが分かる。
【0129】
また、セラミックグリーンシートの厚さが1.5〜3μmの領域では、180nm級のBT粉末が適用された実施例2の場合に最も優れた耐電圧特性が具現できた。
【0130】
なお、セラミックグリーンシートの厚さが1.5μm以下の領域では、120nm級のBT粉末が適用された実施例1の場合に最も優れた耐電圧特性が具現できた。
【0131】
即ち、セラミックグリーンシートの厚さ領域によって最適の耐電圧特性を具現するための最適のBT粉末のサイズが存在し、小さいサイズの粉末を用いるほど、薄いグリーンシートへの適用時の耐電圧特性の具現にさらに効果的であることが確認できた。
【0132】
小さいサイズのBT粉末が適用される場合、分散性及び膜特性を具現するために大きいサイズのBT粉末に比べてさらに多い有機物を使用せねばならなくなることから、均一なグリーンシートの物性を具現するためにはさらに多くの有機物が必要となる。
【0133】
また、小さいサイズのBT粉末の場合、グリーンシートの表面粗度(粗度、Roughness、粗さ)の具現に有利で、焼成後にグリーンシートの均一度が増加するようになるため、平均的に同一厚さを具現しても、最小厚さがさらに増加し、耐電圧特性が改善できる。
【0134】
このような微粒子のBT粉末は、例えば、水熱合成法によって製造されることができる。
【0135】
水熱合成法について説明すると、水酸化バリウム八水和物(Ba(OH)
28H
2O)と水酸化バリウムに対して約1mol%含量のテトラヒドロキシシラン(tetrahydroxy silane)を反応器に入れて窒素でパージングした後、100℃以上で攪拌してから溶かし、酸化チタン(TiO
2)ゾルも約60℃以上に加温した後、バリウム(Ba)溶液と酸化チタン(TiO
2)ゾルを急速に投入してから混合し、110℃において300rpm以上で高速攪拌を行い、これを10分間反応させ、チタン酸バリウムに全て転移させてシードを形成した後、純水を入れて混合液の濃度及びpHを約11.5pHに減らし、250℃に昇温して20時間の間チタン酸バリウムを粒成長させてBT粉末を製造する方法である。
【0136】
下記表3は誘電体層の厚さを調節して測定した積層セラミックキャパシタの容量具現率及び耐電圧特性を示したものである。
【0138】
上記表3では、誘電体層の厚さが減少すると、耐電圧が減少し、静電容量が増加することが確認できた。
【0139】
また、誘電体層の厚さが0.5μm未満に減少する試料1の場合、急激に耐電圧特性が劣化することが確認できた。
【0140】
このような急激な耐電圧特性の劣化は、BT粉末サイズが減少するにつれ、さらに薄いセラミックグリーンシートの領域に発生するようになる。
【0141】
上記表3によると、誘電体層の厚さが0.9μm以上の試料4〜7では積層数が500未満であっても耐電圧が100V以上であることが分かる。
【0142】
これに対し、誘電体層の厚さが1.75を超過する試料6及び7の場合、容量具現率が100%より低く示された。
【0143】
したがって、耐電圧及び容量具現率の基準値をともに満たす誘電体層の厚さは、0.9〜1.75μmであることが確認できる。
【0144】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。