(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料ジメチルスルホキシド100重量部に、水を20重量部以上、アルカリを添加した混合液を、活性炭と接触させた後、内温130℃以下で蒸留することを特徴とするジメチルスルホキシドの精製方法。
前記アルカリの添加量を、前記混合液中の活性炭表面に存在する酸性官能基に由来する酸のグラム当量に対し、0.6〜3.1倍に相当するグラム当量にすることを特徴とする請求項1記載のジメチルスルホキシドの精製方法。
【背景技術】
【0002】
ジメチルスルホキシドは、医農薬中間体の反応溶剤や合成試薬、あるいは電子材料等の特殊洗浄剤等として工業的に幅広く使用されている。なかでも米国薬局方に指定されているジメチルスルホキシドは、工業品質のジメチルスルホキシド以上に高純度で、かつ臭気が少ないことが必要とされている。
【0003】
従来、ジメチルスルホキシドの精製方法としては、一般工業品質のジメチルスルホキシドに活性炭を接触させ、次いで蒸留処理を行う精製方法(例えば特許文献1参照)、一般工業品質のジメチルスルホキシドに活性炭を接触させ、次いで一部のジメチルスルホキシドを凝固させて固液分離した後、ジメチルスルホキシドを再度溶解させる精製方法(例えば特許文献2参照)、特殊な専用設備で一般工業品質のジメチルスルホキシドを凝固させて固液分離した後でジメチルスルホキシドを再度溶解させる晶析方法(例えば特許文献3参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の精製方法では、臭気を除去することができない。臭気は、米国薬局方の規格には設定されていないものの、医薬用ジメチルスルホキシドに事実上求められている重要な要求品質である。
【0005】
特許文献2の精製方法では、ジメチルスルホキシドの晶析や溶解において専用設備が必要であり不経済である。
【0006】
特許文献3の精製方法では、ジメチルスルホキシドの融点が低いため(融点18℃)、特殊な専用設備が必要となる上、ジメチルスルホキシドの収率が15%と低く、工業的に不利である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のジメチルスルホキシドの精製方法は、米国薬局方の規格を満たし、かつその臭気を低減した高品質のジメチルスルホキシドを、経済的かつ、収率良く得る精製方法である。上述した通り、一般工業品レベルのジメチルスルホキシドを通常の方法で精製したのでは、米国薬局方の規格を満たすジメチルスルホキシドが得られたとしても臭気を除去することができなかったため医薬用途に使用することは困難であった。臭気を除去するためには、特許文献2および3に記載されたように、専用設備が必要であり、精製コストが高いものであった。
【0012】
ここで、米国薬局方(U.S.Pharmacopeia USP36、NF31、3269ページ)では品質規格のひとつに275nmの吸光度など、また、欧州薬局方(European Pharmacopeia 7.0)においても275nmの吸光度などが設定されている。一般工業品と薬局方品では275nmの吸光度の差が最も大きいため、本明細書では、薬局方規格の代表値として275nmの吸光度でジメチルスルホキシド品質を評価する。吸光度の測定は、紫外吸光光度計を使用し、幅1cmのセルを使用し、水をブランクとする。ジメチルスルホキシドは事前に窒素バブリングを30分間実施した後10分以内に測定する。
【0013】
本明細書において、ジメチルスルホキシドの臭気は、悪臭防止法等の臭気判定方法として使用されている6段階臭気強度表示法を用いる。この臭気強度表示法は、においの強さを下記に示す0〜5の6段階の判定基準で評価する方法であり、この方法に基づきジメチルスルホキシドの臭気レベルを評価することができる。
臭気強度0: 無臭
臭気強度1: やっと感知できるにおい
臭気強度2: 何のにおいか判る弱いにおい
臭気強度3: 楽に感知できるにおい
臭気強度4: 強いにおい
臭気強度5: 強烈なにおい
【0014】
ジメチルスルホキシドのにおいの嗅ぎ方としては、30mLサンプル瓶にジメチルスルホキシドを15mL入れ、室温下でサンプル瓶に鼻を近づけ、同じサンプルをパネラー3人以上で嗅ぎ、全員の判定値のうち多数の値をサンプルの臭気強度とする。
【0015】
本発明のジメチルスルホキシドの精製方法が処理対象にするジメチルスルホキシド(以下、「原料ジメチルスルホキシド」という。)としては、その原料、製造方法および生産国を制限するものではないが、好ましくは一般工業品レベルのジメチルスルホキシドであるとよい。また原料ジメチルスルホキシドの純度は、特に制限されるものではないが、好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.9〜100.0重量%であるとよい。このような純度の原料ジメチルスルホキシドを使用することにより、不純物の含有量が少なく米国薬局方の規格を満たし、かつ臭気がない高品質のジメチルスルホキシドを得ることができる。なお本明細書において、ジメチルスルホキシドの純度は、米国薬局方(USP36−NF31、3269ページ)に基づく方法でガスクロマトグラフにより測定するものとする。なお原料ジメチルスルホキシドには、ジメチルスルホキシドと蒸留で分離可能であれば、ジメチルスルホキシド以外の化合物を含んでいてもよい。
【0016】
本発明のジメチルスルホキシドの精製方法は、原料ジメチルスルホキシド100重量部に水を20重量部以上、およびアルカリを添加した混合液を調製し、得られた混合液を活性炭と接触させる。原料ジメチルスルホキシドを、水およびアルカリの存在下で活性炭と接触させることにより、原料ジメチルスルホキシド中の微量不純物を活性炭に吸着させることができ、活性炭の表面に存在するカルボキシ基、ラクトン基やフェノール性ヒドロキシ基によるジメチルスルホキシドの劣化を抑制することができる。
【0017】
本発明の精製方法において、水が存在することにより、原料ジメチルスルホキシド中に微量含まれる不純物を除去しやすくなり、とりわけ臭気を大幅に低減することができる。原料ジメチルスルホキシドに水を添加しない場合や、水以外の溶媒を添加した場合には、ジメチルスルホキシドの吸光度を小さくすることおよび臭気を低減することができない。
【0018】
原料ジメチルスルホキシドに添加する水としては、一般的に入手可能な水であれば良く、例えば水道水、工業用水、純水、スチーム凝縮水、蒸留水、イオン交換水、超純水等を例示することができる。
【0019】
原料ジメチルスルホキシドへの水の混合量は、原料ジメチルスルホキシド100重量部に対し20重量部以上、好ましくは25重量部以上にする。水の混合量が、20重量部より少ないと臭気改善効果を十分に得ることができない。水の混合量の上限は、生産効率の観点から好ましくは500重量部くらいにすることができる。水の混合量は、好ましくは20〜500重量部、より好ましくは20〜300重量部、さらに好ましくは25〜200重量部、とりわけ好ましくは25〜100重量部にするとよい。
【0020】
上述したように、原料ジメチルスルホキシドを水の存在下、活性炭と接触させた後、蒸留することにより得られたジメチルスルホキシドは、米国薬局方の規格を満たし、かつ臭気が低減されている。しかし、医農薬中間体の反応溶剤や合成試薬として加熱処理が施されると、楽に感知できる臭気が発生したり、不明不純物が生成したりすることがある。本発明の精製方法では、アルカリを添加することにより、活性炭の表面に存在するカルボキシ基、ラクトン基やフェノール性ヒドロキシ基などに代表される酸性官能基よるジメチルスルホキシドの劣化を抑制することができる。アルカリを添加しない場合やアルカリの代わりに酸を添加した場合は、ジメチルスルホキシドを加熱促進試験したとき、ジメチルスルホキシドの臭気の増加および不明不純物の生成を抑制することができない。
【0021】
原料ジメチルスルホキシドに添加するアルカリとしては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩がよく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を例示することができ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0022】
原料ジメチルスルホキシドへのアルカリの添加量は、原料ジメチルスルホキシドに接触させる活性炭の表面に存在する酸性官能基に由来する酸の量、すなわち混合液中の活性炭表面に存在する酸性官能基に起因する酸量(グラム当量)に対して、0.6〜3.1倍に相当するグラム当量、好ましくは1.0〜2.0倍に相当するグラム当量にする。また、混合液中の活性炭表面に存在する酸性官能基に起因する酸量(グラム当量)は、活性炭表面に存在する酸性官能基の濃度および活性炭の添加量から求めることができる。
【0023】
活性炭表面に存在する酸性官能基の濃度の定量方法は一般によく知られている。具体的には、活性炭を1g測り採り、0.1グラム当量/L水酸化ナトリウムを50mL加えて48時間恒温槽にて振とうする。振とう後、ろ過したろ液に未反応のアルカリ試薬を0.1グラム当量/L塩酸で滴定してアルカリ消費量を算出することにより、活性炭1g当たりの表面に存在する酸性官能基の量(グラム当量/g)を求めることができる。
【0024】
本発明において、使用する活性炭は、特に制限されるものではなく、粉末炭、粒状炭、繊維状炭のいずれでも良い。好ましくは粉末活性炭がよい。また活性炭の賦活方法は、主に薬品賦活法と水蒸気賦活法の2種類があり、好ましくは水蒸気賦活した活性炭がよい。薬品賦活した活性炭は、賦活時の薬品等がわずかに残存しており、薬品等の影響で満足な精製効果が得られない虞がある。
【0025】
原料ジメチルスルホキシドに接触させる活性炭の量は、原料ジメチルスルホキシド100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であるとよい。活性炭の添加量が0.1重量部より少ないと蒸留して取得したジメチルスルホキシドの臭気改善効果と吸光度改善効果を十分に得ることができない。また、活性炭の添加量の上限は、好ましくは20.0重量部、より好ましくは10.0重量部、さらに好ましくは5.0重量部である。活性炭の添加量が20.0重量部を超えると流動性とろ過性が悪化し、工業的に不利である。
【0026】
原料ジメチルスルホキシドを水およびアルカリを含む混合液を、活性炭と接触させる方法は、通常用いられる方法で行うことができる。活性炭の全量を原料ジメチルスルホキシド、水およびアルカリの混合液に一度に添加してもよいし、逐次、分割して添加してもよい。また混合液を適宜攪拌しながら活性炭を添加してもよい。さらに原料ジメチルスルホキシドに水およびアルカリを添加し混合液を調製した後、直ちに活性炭を添加してもよいし、時間をおいてから活性炭を添加してもよい。また、原料ジメチルスルホキシドに、水、アルカリおよび活性炭を同時に添加してもよいし、水に原料ジメチルスルホキシド、アルカリおよび活性炭を同時に添加してもよい。また、活性炭を充填したカラムに原料ジメチルスルホキシド、水およびアルカリの混合液を通液してもよい。
【0027】
原料ジメチルスルホキシド、水およびアルカリの混合液と活性炭を接触させる温度は、特に制限されるものではないが、好ましくは80℃以下、より好ましくは0〜40℃にするとよい。80℃より高い温度で接触させると活性炭への不純物吸着能力が低下し、吸光度および臭気の改善効果が低下する。0℃よりも低い温度で接触させる場合には、原料ジメチルスルホキシド、水およびアルカリを含む混合液を調製した後、混合液を冷却する必要があるため、経済的に非効率である。
【0028】
また原料ジメチルスルホキシド、水およびアルカリの混合液を、活性炭と接触させる時間は、特に制限されるものではないが、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であるとよい。このような時間で原料ジメチルスルホキシドを活性炭と接触させることにより、臭気改善効果および吸光度改善効果を確実に得ることができる。また、原料ジメチルスルホキシド、水およびアルカリの混合液に活性炭を含ませて攪拌することにより、原料ジメチルスルホキシドを活性炭に効率的に接触させることができる。
【0029】
本発明では、原料ジメチルスルホキシドを水およびアルカリの存在下で、活性炭と接触させた工程の後、活性炭を固液分離し、ジメチルスルホキシド、水およびアルカリを含む混合液を蒸留することにより、水およびアルカリを除去してジメチルスルホキシドを精製することができる。
【0030】
活性炭の固液分離は、通常行われる方法を用いることができ、例えば加圧ろ過、減圧ろ過、デカンテーション、遠心分離等を例示することができ、なかでも加圧ろ過が好ましい。ろ過に用いるフィルターは、活性炭を分離することができるものであれば特に制限されることはない。
【0031】
本発明において、固液分離されたジメチルスルホキシド、水およびアルカリを含む混合液の蒸留としては、例えば高圧蒸留、低圧蒸留、減圧蒸留、分子蒸留、単蒸留、精留、連続蒸留、回分蒸留等を例示することができ、なかでも減圧での精留が好ましい。
【0032】
本発明において、ジメチルスルホキシド、水およびアルカリを含む混合液を蒸留する際の内温は、130℃以下、好ましくは110℃以下である。内温130℃以下で蒸留することにより、ジメチルスルホキシドが分解するのを抑制し、かつ分解に起因する臭気の発生を防ぐことができる。
【0033】
また、ジメチルスルホキシドを減圧で蒸留するときの圧力は、好ましくは14.2kPa以下、より好ましくは6.7kPa以下である。減圧して蒸留することにより、ジメチルスルホキシドの分解を抑制し、臭気の増加を抑制することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
本実施例において、精製処理によって得られたジメチルスルホキシド(以下、「精製ジメチルスルホキシド」という。)、加熱促進試験によって得られたジメチルスルホキシド(以下、「加熱ジメチルスルホキシド」という。)の吸光度、臭気強度および不純物分析は、以下の方法で測定した。
【0036】
(精製ジメチルスルホキシドの吸光度の測定方法)
ジメチルスルホキシドを事前に窒素バブリングを30分間実施し、その後10分以内に、紫外吸光光度計(島津社製UV−1800)を使用し、以下の条件で275nmの吸光度を測定した。
分析装置 :紫外吸光光度計
セル :石英、幅1cm
ブランク :水
【0037】
(精製および加熱ジメチルスルホキシドの不純物分析)
以下の条件のガスクロマトグラフ(Agilent社製7890A)により分析を行い、保持時間4.3分に検出した不明不純物を測定した。
分析装置 :GC
キャリアガス :ヘリウム (カラム流量2.0mL/分)
分析カラム :RESTEK社製Stabilwax (30m×0.32mm×
0.5μm)
カラム温度 :35℃(3分)→(7℃/分)→130℃(10分)→(7℃/分)
→160℃→(15℃/分)→250℃(8分)
注入口温度 :200℃
注入量 :1μL
検出器 :FID
検出器温度 :270℃
【0038】
(精製および加熱ジメチルスルホキシドの臭気強度の測定方法)
ジメチルスルホキシドの臭気を、下記に示す6段階の臭気強度表示法に基づき3人のパネラーが官能評価した。30mLサンプル瓶に、精製ジメチルスルホキシドまたは加熱ジメチルスルホキシドを15mL入れサンプルとした。パネラー3人が同じサンプルの臭気を、室温下でサンプル瓶に鼻を近づけて嗅ぎ、下記に示す0〜5の6段階の基準で判定し、3人の判定値のうち多数の値をサンプルの臭気強度とした。
臭気強度0: 無臭
臭気強度1: やっと感知できるにおい
臭気強度2: 何のにおいか判る弱いにおい
臭気強度3: 楽に感知できるにおい
臭気強度4: 強いにおい
臭気強度5: 強烈なにおい
【0039】
(精製ジメチルスルホキシドの加熱促進試験)
本発明において、精製ジメチルスルホキシドを使用して加熱促進試験を行い、得られた加熱ジメチルスルホキシドについて、不純物分析および臭気強度を測定した。加熱促進試験は100℃で、24時間後、48時間後および72時間後の加熱ジメチルスルホキシドの臭気強度、並びに72時間後の加熱ジメチルスルホキシドの不純物分析を測定した。
【0040】
(実施例1)
110mLサンプル瓶に純度99.9重量%の一般工業品質のジメチルスルホキシド(臭気強度が3)50gに、イオン交換水を50g(100重量部/ジメチルスルホキシド100重量部)、水酸化ナトリウムを0.01g(0.02重量部/ジメチルスルホキシド100重量部、0.00025グラム当量、活性炭表面に存在する酸性官能基に由来する酸のグラム当量に対し1.04倍に相当するグラム当量)添加して混合液を調製し、この混合液に粉末活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製、表面に存在する酸性官能基の酸濃度が0.00048グラム当量/g)0.5g(1.0重量部/ジメチルスルホキシド100重量部、表面に存在する酸性官能基が0.00024グラム当量)を仕込み、室温下で1時間撹拌した。その後0.45μmのフィルターに通液し活性炭を除去した。得られたろ液を、200mL丸底フラスコに移し、丸底フラスコの口にラシヒリング(長さ5mm、内径3mm、外径5mm)を10cm充填した直径3cm、高さ15cmの精留管を設置し、6.7kPaで減圧蒸留した。丸底フラスコの内温45℃から加熱を開始し、温度が107℃に到達した時点で受器を交換し、40gの精製ジメチルスルホキシドを得た。得られた精製ジメチルスルホキシドの臭気強度は1であった。また不明不純物は検出されなかった。
【0041】
次いで精製ジメチルスルホキシドを使用して100℃で加熱促進試験を行なった。得られた加熱ジメチルスルホキシド(24時間、48時間および72時間後の加熱ジメチルスルホキシド)の臭気強度は1であった。また72時間後の加熱ジメチルスルホキシドに不明不純物は検出されなかった。これらの結果を表1、3にまとめて示す。なお表1に記載の「添加物の添加量」の単位は、混合液中の活性炭表面に存在する酸性官能基に由来する酸の量に対するグラム当量、および原料ジメチルスルホキシド(DMSO)100重量部に対する重量部を併記した。また、表中のNDは1ppm以下であることを意味する。
【0042】
(実施例2〜3)
水酸化ナトリウムの添加量を表1に記載するように変更したことを除き、実施例1と同様の精製操作、加熱促進試験を行った。得られた精製および加熱ジメチルスルホキシドの品質を、表1に記載する。
【0043】
(実施例4〜7)
実施例1において、添加するアルカリの種類を、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸水素ナトリウムに変更したことを除き、実施例1と同様の精製操作、加熱促進試験を行った。得られた精製および加熱ジメチルスルホキシドの品質を、表1に記載する。
【0044】
【表1】
【0045】
(実施例8〜10、比較例1〜2)
実施例1において、イオン交換水の添加量を変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシドの品質は表1、2、3に記載の通りであった。
【0046】
(実施例11)
実施例1において、水酸化ナトリウムの添加量を0.005g(0.01重量部/ジメチルスルホキシド100重量部)に、粉末活性炭の仕込み量を0.25g(0.5重量部/ジメチルスルホキシド100重量部)に変更したことを除き、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシドの品質は表2に記載の通りであった。
【0047】
(比較例3)
実施例1において、水酸化ナトリウムを添加しなかったことを除き、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシドの品質は表2、3に記載の通りであった。比較例3で得られた精製ジメチルスルホキシドは、臭気強度は1で、不明不純物は検出されなかった。しかし、72時間後の加熱ジメチルスルホキシドは、臭気強度が3に悪化し、不明不純物が検出された。
【0048】
(比較例4)
実施例1において、アルカリの代わりに安息香酸を添加したことを除き、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシドの品質は表2、3の通りである。
【0049】
(比較例5)
実施例1において、丸底フラスコの内温45℃から加熱を開始し、温度を135℃に到達させた減圧蒸留を行ったことを除き、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシドの品質は表2、3の通りである。
【0050】
(比較例6)
実施例1において、粉末活性炭の代わりにモレキュラーシーブ0.5g(1.0重量部/ジメチルスルホキシド100重量部)を添加したことを除き、実施例1と同様の操作を行った。得られたジメチルスルホキシドの品質は表2、3の通りである。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】