(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストロボ点灯は、1回の点灯時間内の電流値が一定である点灯と、1回の点灯時間内の電流値が順次増加する点灯とが混在することを特徴とする請求項1に記載の照明用電源装置。
ストロボ点灯によって定格電圧以上のオーバードライブ電圧の印加が可能なLED照明におけるオーバードライブ電圧となるオーバードライブ電流を算出するオーバードライブ電流算出方法であって、
前記LED照明を前記定格電圧で点灯する前に、前記LED照明に探査電流を印加させて前記定格電圧を印加するのに必要な定格電流値を探査し、その定格電流値を探査した後、点灯時間が所定値に設定されて電流値が増加するストロボ点灯を繰り返して、電圧値が前記オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出することを特徴とするオーバードライブ電流算出方法。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する場合、被実装部材としてのリードフレームに半導体チップ(ダイ)を実装するダイボンディングが行なわれる。このダイボンディングには、チップを吸着するコレットを備えたダイボンダが使用される。
【0003】
このようなダイボンダは、
図12に示すように、供給部2の半導体チップ1を吸着するコレット3を有するボンディングアーム(図示省略)と、供給部2の半導体チップ1を観察する確認用カメラ(図示省略)と、ボンディング位置でリードフレーム4のアイランド部5を観察する確認用カメラ(図示省略)とを備える。
【0004】
供給部2は半導体ウエハを備え、半導体ウエハが多数の半導体チップ1に分割されている。また、コレット3を保持しているボンディングアームは搬送手段を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。
【0005】
また、このコレット3は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ1が真空吸引され、このコレット3の下端面にチップ1が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット3からチップ1が外れる。
【0006】
次にこのダイボンダを使用したダイボンディング方法を説明する。まず、供給部2の上方に配置される確認用カメラにてピックアップすべきチップ1を観察して、コレット3をこのピックアップすべきチップ1の上方に位置させた後、矢印Aのようにコレット3を下降させてこのチップ1をピックアップする。その後、矢印Bのようにコレット3を上昇させる。
【0007】
次に、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラにて、ボンディングすべきリードフレーム4のアイランド部5を観察して、コレット3を矢印C方向へ移動させて、このアイランド部5の上方に位置させた後、コレット3を矢印Dのように下降移動させて、このアイランド部5にチップ1を供給する。また、アイランド部5にチップを供給した後は、コレット3を矢印Eのように上昇させた後、矢印Fのように、ピップアップ位置の上方の待機位置に戻す。
【0008】
すなわち、コレット3を、順次、矢印A、B、C、D、E、Fのように移動させることによって、ピックアップ確認用カメラの観察に基づいて位置決めされたチップ1をコレット3でピックアップし、このチップ1をアイランド部5に実装することになる。
【0009】
このようなダイボンダにおいては、画像認識のために照明システムが用いられる(特許文献1)。また、照明システムには、近年では、通常の電球や蛍光灯に比べて、低消費電力、長寿命、発熱が少ないと優れた特性をもったLED照明が用いられる。LED照明とは発光ダイオード(LED)を使用した照明器具である。
【0010】
LED照明を点灯する場合、従来では電源として、
図13に示すように、ストロボ電源10を使用することがあった。LED照明(図例では、第1LED照明11及び第2LED照明11)をストロボ点灯する場合、制約時間内(以下tmax)であれば定格以上の電圧(オーバードライブ電圧:以下Vover)を印加することで、定格電圧(以下Vnomal)を印加するよりも明るくすることができる。
【0011】
一般的なストロボ電源は
図13のように定電圧電源であり、あるVover値を1つ決めてストロボ点灯を行っている。同じ動作を定電流電源にて行う場合、Voverが印加されるときに流れるオーバードライブ電流(以下、Iover)にて、LED照明11,12を駆動する必要がある。
【0012】
ところで、照明を変更する場合、定電圧電源であれば同じVover値を印加すればよいが、
図14のように、定電流電源13の場合は、LED照明(第1LED照明及び第2LED照明)によってIoverが異なる。このため、
図15のようにLED照明(第1LED照明14及び第2LED照明15)個別にIoverを設定してストロボ点灯を行う必要がある。
【0013】
ストロボ点灯を行う方法として、Ioverを固定する方法(使用するLED照明が個別の場合)、スイッチによる手動設定や通信の設定などの外部から設定する方法、LED照明を識別して自動設定する方法(例えば、特許文献2に示されるような方法)等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
Ioverを固定する方法では、LED照明を変更できず、装置設計性に劣ることになる。また、Ioverを固定する方法及び外部から設定する方法では、予めIoverの値を調べる必要がある。さらには外部から設定する方法では、Ioverの値の設定を間違えると、LED照明が損傷するおそれがある。LED照明を識別して自動設定する方法では、LED照明側に識別用の回路を必要とするため、使用できるLED照明が限定される。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みて、オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を自動で算出することができるオーバードライブ電流算出方法、及び照明用電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の照明用電源装置は、ストロボ点灯によって定格電圧以上のオーバードライブ電圧の印加が可能なLED照明と、駆動源となるコントローラとに接続される照明用電源装置であって、前記LED照明に、通常の点灯電流と、点灯時間が所定値に設定されて、電流値が増加するストロボ点灯を可能とするストロボ点灯電流との印加が可能な定電流供給手段と、前記LED照明を前記定格電圧で点灯する前に、定電流供給手段から前記照明に探査電流を印加させて前記定格電圧を印加するのに必要な電流値を探査する探査手段と、探査手段にて、前記定格電圧となる定格電流値を探査した後、前記定電流供給手段からの前記ストロボ点灯を繰り返して、電圧値が前記オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出する電流値算出手段とを備えたものである。
【0018】
本発明の照明用電源装置によれば、探査手段を介して、定格電圧の定格電流を探査することができる。また、定格電流を探査(算出)後は、ストロボ点灯を行う。この場合、LED照明に流す電流を増加させて点灯させることを繰り返す。また、LED照明にかかる電圧が変化するため、電圧を測定する。そして、その測定した電圧がオーバードライブ電圧になるまでこのストロボ点灯を継続する。この電圧がオーバードライブ電圧になったときの電流をオーバードライブ電流とする。以後、ストロボ点灯時にはオーバードライブ電流をLED照明に印加することになる。
【0019】
前記ストロボ点灯は、1回の点灯時間内の電流値が一定であっても、1回の点灯時間内の電流値が順次増加するものであっても、1回の点灯時間内の電流値が一定である点灯と、1回の点灯時間内の電流値が順次増加する点灯とが混在するものであってもよい。
【0020】
照明用電源装置を画像認識用照明に用いることができる。
【0021】
本発明のオーバードライブ電流算出方法は、ストロボ点灯によって定格電圧以上のオーバードライブ電圧の印加が可能なLED照明におけるオーバードライブ電圧となるオーバードライブ電流を算出するオーバードライブ電流算出方法であって、前記LED照明を前記定格電圧で点灯する前に、前記LED照明に探査電流を印加させて前記定格電圧を印加するのに必要な定格電流値を探査し、その定格電流値を探査した後、点灯時間が所定値に設定されて電流値が増加するストロボ点灯を繰り返して、電圧値が前記オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出するものである。
【0022】
本発明のオーバードライブ電流算出方法によれば、LED照明をその定格電圧で点灯する前に、LED照明に探査電流を印加させて定格電圧を印加するのに必要な定格電流値を探査することができる。定格電流値を探査した後、点灯時間が所定値に設定されたストロボ点灯を繰り返して、電圧値が前記オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、自動で、オーバードライブ電流を算出することができ、予めオーバードライブ電流を調べる必要がない。また、調べた電流をオーバードライブ電流として設定する必要がないので、この照明用電源装置に対する設定作業性に優れる。しかも、オーバードライブ電流の設定誤りによる照明故障を生じさせない。定格電圧が同じLED照明であれば、種々の照明装置に用いることができる。
【0024】
ストロボ点灯として、種々のパターンを選択でき、安定してオーバードライブ電流を算出することができる。
【0025】
本発明の照明用電源装置を画像認識用照明に用いれば、画像認識のための最適な照度でもって被画像認識物に対して照明することができ、高精度の画像認識が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明の実施の形態を
図1〜
図11に基づいて説明する。
【0028】
図1に本発明の第1実施形態にかかる照明用電源装置を使用した照明システムの簡略全体ブロック図を示し、この照明システムは、例えば、
図2等に示す被照明装置であるダイボンダの画像確認用に用いられる。ダイボンダは、リードフレーム24に半導体チップ(ダイ)21を実装するダイボンディングを行うものである。
【0029】
このようなダイボンダは、供給部22の半導体チップ(ダイ)21を吸着するコレット23を有するボンディングアーム30と、供給部22の半導体チップ21を観察する確認用カメラ26と、ボンディング位置でリードフレーム24のアイランド部25を観察する確認用カメラ32とを備える。
【0030】
供給部22は、ウエハ支持装置27に載置支持された半導体ウエハ28を備えるものである。半導体ウエハ28は多数の半導体チップ21に分割されている。また、コレット23はコレットホルダ29に連結され、このコレット23とコレットホルダ29等でボンディングアーム30が構成される。そして、このボンディングアーム30は搬送手段31を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。搬送手段31は、ボンディングアーム30をX、Y、θ及びZ方向に駆動させることができる。
【0031】
また、このコレット23は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ21が真空吸引され、このコレット23の下端面にチップ21が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット23からチップ21が外れる。
【0032】
次に、このダイボンダを使用したダイボンディング方法を説明する。まず、供給部22の上方に配置される確認用カメラ26にてピックアップすべきチップ21を観察して、コレット23をこのピックアップすべきチップ21の上方に位置させた後、このコレット23を下降させてこのチップ21をピックアップする。
【0033】
また、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラ32にて、ボンディングすべきリードフレーム24のアイランド部25を観察して、矢印A1に示すように、このアイランド部25上にコレット23を移動させ、その後コレット23を下降させてアイランド部25にチップ21を供給する。
【0034】
ピックアップ位置での確認用カメラ26での観察の際、及びボンディング位置での確認用カメラ32での観察の際において、観察部位を照明する照明システムが必要となる。このために、
図1に示すようなコントローラ41(以下、上位コントローラ41という)と、本発明の照明用電源装置42(以下、電源装置という)と、LED照明43から構成される照明システムを用いる。
【0035】
電源装置42は、
図1に示すように、上位コントローラ41と、複数個の照明43とに接続される。本実施形態では、照明43を夫々所定電圧(例えば12V)にて駆動されるLED照明としており、以下、照明43をLED照明43という。上位コントローラ41は、例えばパーソナルコンピュータにて構成されている。
【0036】
電源装置42は、CPU(中央処理装置)45と、複数の定電流駆動回路46と、複数の電圧測定回路47と、複数のADC(アナログ-デジタル変換回路)48とを備える。この場合、一つのLED照明43に対して、電流を印加するために定電流供給回路(定電流供給手段)50が形成される。すなわち、各定電流供給回路50は、CPU45と、定電流駆動回路46と、電圧測定回路47と、ADC48等で構成される。定電流供給回路50は、CPU45からの指示で定電流駆動回路46にて所定の電流値をLED照明43に印加する。なお、上位コントローラ41とCPU45とは通信ポート51を介して接続されている。
【0037】
このCPU45には、LED照明43を所定電圧(12V)で点灯する前に、LED照明43に探査電流を印加して12Vを印加するのに必要な電流値を探査する探査手段52が設けられている。すなわち、探査手段52は、微小電流値(例えば10mA)の探査電流を印加するように指示すると、定電流供給回路50の定電流駆動回路46が10mAの電流値をLED照明43に印加する。電圧測定手段47がこのときの出力電圧を測定し、探査手段52に送信する。探査手段52は、LED照明43に12V印加されるまで(つまり、電圧測定手段47による電圧測定値が12Vとなるまで)、電流値を順次増加しつつ、LED照明43に12Vが印加されるまで探査電流を印加する。そして、LED照明43に12V印加されると、探査手段52は、そのときの電流値をLED照明43の点灯に必要な点灯電流として、その点灯電流を印加してLED照明43を点灯させる。これにより、LED43照明は12Vで点灯し続ける。
【0038】
ところで、この電源装置の定電流供給手段50は、通常の点灯電流と、ストロボ点灯電流をLED照明に印加することが可能である。ストロボ点灯とは、例えば、
図5に示すように、点灯と消灯とを繰りかえすものであり、短時間であるが定格電圧(定格電流)を越えたオーバードライブ電圧(オーバードライブ電流)での点灯が可能である。このため、通常よりも高い光量を得ることができる。ここで、定格電圧とは、定格によって示された電圧であって、そのLED照明を安全に使用しうる電圧の限度をいい、定格電流とは、定格によって示された電流であって、そのLED照明を安全に使用しうる電流の限度をいう。オーバードライブ電圧は、定格電圧よりも高い電圧であって、この電圧の印加でも制約時間内であれば、LED照明が損傷しない電圧であり、オーバードライブ電流は、定格電流よりも大きい電流であって、この電流の印加でも制約時間内であれば、LED照明が損傷しない電流である。定格電圧をVnomalと呼び、オーバードライブ電圧をVoverと呼び、定格電流をInomalと呼び、オーバードライブ電圧をIoverと呼ぶ。
【0039】
このため、ストロボ点灯では、
図5に示すように、点灯時に、制約時間(tmax)(所定値)を設け、所定値であるこの制約時間(tmax)の点灯後には、一定時間消灯させる必要がある。例えば、定格電圧を12Vとし、オーバードライブ電圧を18Vとし、制約時間(tmax)を1msecとし、消灯させつ一定時間を10msecとすることができる。ストロボ点灯を行うためには、前記CPU45には、制約時間及び一定時間消灯を制御するカウンタ手段63が設けられている。
【0040】
また、前記CPU45には、電圧値が前記オーバードライブ電圧となるときのオーバードライブ電流を算出する電流値算出手段62を設けている。
【0041】
次に、
図1に示す電源装置の使用方法を
図3に示すフローチャート図及び
図4にタイムチャート図に基づいて説明する。この場合、LED照明43の定格電圧を12Vとし、オーバードライブ電圧を18Vとする。
【0042】
まず、定電圧電源と、LED照明43及び上位コントローラ41との接続を解除した後(ステップS1)、本発明の電源装置42と、LED照明43及び上位コントローラ41とを接続し(ステップS2)、照明システムを構成する。このとき、上位コントローラ41は、所定電圧(12V)が得られる電流値を探査する必要はない。
【0043】
本照明システムの主電源を投入し、探査手段52は、微小電流値(例えば10mA)の探査電流をLED照明43に印加するように指示する(ステップS3)と、定電流供給回路50の定電流駆動回路46が10mAの電流値の探査電流をLED照明43に印加して、LED照明43を点灯させる。電圧測定手段47がこのときの出力電圧を測定し(ステップS4)、探査手段52に送信する。
【0044】
このとき、探査手段52は、出力電圧が12Vよりも小さいか否かを判断する(ステップS5)。12Vよりも小さければ、探査手段52は、LED照明43に12Vが印加されるまで(つまり、電圧測定手段47による電圧測定値が12Vとなるまで)、電流値を増加し(ステップS6)、LED照明43に12V印加されるまでステップS4からステップS6を繰り返して探査電流を印加する。
【0045】
LED照明43の印加電圧が12V(定格電圧)になると(ステップS5)、探査手段52は、そのときの電流値をLED照明43の点灯に必要な点灯電流として(ステップS7)、その後は、その点灯電流を印加してLED照明を12Vで点灯させる。このとき、点灯電流は、定格電流であって、定電流供給手段50にて印加される。
【0046】
すなわち、
図4に示すように、LED照明43への印加電流を徐々に増加させて定格電流(Inomal)となるまでのInomal算出工程(範囲H1)が終了する。その後は、ストロボ点灯を行いながら検出電圧Vがオーバードライブ電圧(Vover)になるまで電流を増加させる。
【0047】
すなわち、
図3において、ステップS7からステップS8へ移行して、ストロボ点灯を開始する。その後は、ステップS9へ移行してオーバードライブ電圧(Vover)になったか否かを判断し、なっていなければ、ステップS11に移行してストロボ点灯を継続する。すなわち、オーバードライブ電圧(Vover)になるまで、ストロボ点灯を継続する。具体的には、電流値を増加させて、ストロボ点灯を継続させ、電圧値を測定することになる。ステップS9でオーバードライブ電圧(Vover)になっていれば、その電圧時の電流をオーバードライブ電流(Iover)とする(ステップS10)。
【0048】
ストロボ点灯は、具体的には、
図4の範囲H2内でのInomalの算出工程で行われることになる。Inomal算出工程終了後、一定時間を空けて、制約時間(tmax)の間、Inomalよりも所定量(例えば、10mA程度)だけ増加させた電流を印加することになる。Inomalよりも電流を増加させれば、LED照明43にかかる電圧が変化するので、このときの電圧を前記電流値算出手段62にて測定する。なお、Inomalよりも所定量(例えば、10mA程度)だけ増加させた電流を印加する工程を第1点灯ステップ71と呼ぶ。
【0049】
その後は、一定時間を空けて、制約時間(tmax)の間、第1点灯ステップ71よりも所定量(例えば、10mA程度)だけ増加させた電流を印加して、第2点灯ステップ72を行う。この第2点灯ステップ72においても電圧を測定する。
【0050】
この実施形態では、第2点灯ステップ72では、まだVoverに達しないので、第2点灯ステップ72終了後、制約時間(tmax)の間、第2点灯ステップ72よりも所定量(例えば、10mA程度)だけ増加させた電流を印加して、第2点灯ステップ73を行う。この第3点灯ステップ73においても電圧を測定する。
【0051】
この場合、第3点灯ステップ73で測定した電圧Vがオーバードライブ電圧(Vover)となり、この際の電流がオーバードライブ電流(Iover)である。このときの電圧を前記電流値算出手段62にて測定する。以後、ストロボ点灯時には、このオーバードライブ電流(Iover)を電源装置を介してこの照明システムに流して使用することができる。
【0052】
また、
図6に示すタイムチャートに示すストロボ点灯であってもよい。すなわち、
図4に示すストロボ点灯では、一つの制約時間(tmax)内では、印加する電流は一定であった。これに対して、
図6に示す第1点灯ステップ75では、電流増加を有するものである。すなわち、第1点灯ステップ75(tmax内)では、Inomalの電流を印加した後、4段階で電流を増加させている。各電流値での電圧を測定する。
【0053】
この場合、第1点灯ステップ75では、オーバードライブ電圧(Vover)に達しないので、この第1点灯ステップ75が終了した後、一定時間消灯させて、第2点灯ステップ76を行うことになる。
【0054】
この第2点灯ステップ76では、第1点灯ステップ75の最終の電流値よりも所定量(例えば、10mA程度)だけ増加させた電流を印加し、その後、さらに、所定量(例えば、10mA程度)だけ増加させた電流を印加している。
【0055】
これによって、電圧がオーバードライブ電圧(Vover)に達することになって、このオーバードライブ電圧(Vover)時の電流をオーバードライブ電流(Iover)とする。
【0056】
このように、前記照明用電源装置では、探査手段52を介して、定格電圧の定格電流を探査することができる。また、定格電流を探査(算出)後は、ストロボ点灯を行う。この場合、LED照明43に流す電流を増加させて点灯させることを繰り返す。また、LED照明43にかかる電圧が変化するため、電圧を測定する。そして、その測定した電圧がオーバードライブ電圧になるまでこのストロボ点灯を継続する。この電圧がオーバードライブ電圧になったときの電流をオーバードライブ電流とする。以後、ストロボ点灯時にはオーバードライブ電流をLED照明43に印加することになる。
【0057】
このため、本発明では、自動で、オーバードライブ電流を算出することができ、予めオーバードライブ電流を調べる必要がない。また、調べた電流をオーバードライブ電流として設定する必要がないので、この照明用電源装置に対する設定作業性に優れる。しかも、オーバードライブ電流の設定誤りによる照明故障を生じさせない。定格電圧が同じLED照明であれば、種々の照明装置に用いることができる。
【0058】
ところで、LED照明43は、一般には
図7に示すように、LED60とこれに直列に接続される制限抵抗61とからなる。これに対して、このような制限抵抗61を有さないLED照明43もある。電圧がある値に達するまで電流値を上昇させていった際に、制限抵抗61を有さないLED照明43の場合、電圧の上昇が頭打ちとなり、電流を流してしまうおそれがある。このため、LED照明43では、このような制限抵抗61を有するものか有さないものかを判断するのが好ましいといえる。この
図7の回路に流れる電流IをΔIだけ増加させて、電圧VがΔVだけ増加したとした場合、制限抵抗61の抵抗値rは、r≒ΔV/ΔIで求めることができる。
【0059】
図8はLED照明43のLED60の電流・電圧特性の一例を示している。この場合の電流I(mA)と電圧Vf(V)は次の表1の値である。また、
図9はLED照明43の制限抵抗61の電流・電圧特性の一例を示している。この場合の電流I(mA)と電圧Vr(V)は次の表2の値であり、抵抗を0.1と小さくしている。これは制限抵抗61がない場合に相当する。
【0060】
【表1】
このため、
図8に示す電流・電圧特性を有すると、
図9に示す電流・電圧特性とを合成電圧は
図10に示す特性となる。すなわち、次の表3に示すように、電流I(mA)と電圧V(V)は、表1の値と表2の値との合成値となる。
【0062】
【表3】
制限抵抗61の抵抗値rが低い場合、前記所定電圧(12V)を掛けると、このLED照明43に大電流が流れ、LED60が故障するおそれがある。このため、この装置では、電圧がある値(所定電圧の12V)に達するまで、電流を上昇させた場合、制限抵抗61が入っていない場合、電圧の上昇が頭打ちとなって、電流を流し過ぎとなる。なお、小型の照明装置では、
図10の範囲Hでも故障するおそれがある。
【0063】
そこで、接続したLED照明43が制限抵抗61が入っているもの入っていないものかを判断するのが好ましい。このため、本発明では、制限抵抗61の抵抗値を前記判断手段55の判断基準に付加ためには、LED照明43に流れる電流値と、この電流値での電圧値とで、この制限抵抗61の抵抗値を求める演算手段を設ける必要がある。この演算手段として、前記演算手段62にて構成しても、また、演算手段62とは相違する別の演算主手段(図示省略)を設けてもよい。
【0064】
制限抵抗61の抵抗値を判断要素に加えた判断方法を
図11を用いて説明する。この場合、
図3のステップS3からスタートすることになる。ステップS21で、制限抵抗61の抵抗値を求める。すなわち、電流IをΔIだけ増加させて、電圧VがΔVだけ増加したとした場合において、制限抵抗61の抵抗値rは、r≒ΔV/ΔIで求めることができる。
【0065】
次に、ステップS22でこの抵抗値rが、r≒0であるか判断される。r≒0でなければ、制限抵抗61が入っていることになって、
図3のステップS3に戻ることになる。また、ステップS22でr≒0であれば、制限抵抗61が入っていないことになって、ステップS23へ移行して点灯を中止して、終了する。
【0066】
このように、制限抵抗61の抵抗値をrとしたときに、r≒0であれるか否かを判断するものでは、制限抵抗61を有さないものに対する電流の流し過ぎを防止でき、接続間違いしたLED照明43に対する損傷を有効に回避することができる。
【0067】
この場合、LED照明43において、電流Iを変化させても、LED60の順方向電圧Vfの変化は無視可能な程度に小さいという、一般的なLEDに共通した特徴を利用したことになる。このため、市場に流通している市販のLED照明に対して、改造等を付加することなく、制限抵抗61の抵抗値rを測ることができ、接続間違いによるLED照明43の損傷を防止できる。しかも、装置として複雑化やコスト高を招くことがない。
【0068】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、LED照明43の数としては、少なくとも1個あればよい。この電源装置を使用する照明システムとしては、ダイボンダに限るものではなく、照明を必要とする各種の装置に使用でき、予め設定された電圧で点灯する照明を必要とする装置に最適となる。
【0069】
また、
図8に示すLED照明43のLED60の電流・電圧特性や
図9に示すLED照明43の制限抵抗61の電流・電圧特性等は、図例のものに限るものではない。このため、
図10に示すLED60と制限抵抗61の合成電圧も図例のものに限らない。
【0070】
定格電圧、オーバードライブ電圧、制約時間(tmax)、一定時間を10msec等は、使用するLED照明に応じて種々設定できる。また、点灯ステップ内での電流値増加回数も任意に設定で、点灯ステップが複数個有する場合、各点灯ステップが同値の電流値増加を有するものであっても、複数の点灯ステップ内、任意の点灯ステップのみ同値の電流値増加を有するものであって、点灯ステップごとに、電流値増加を有する値が相違するものであってもよい。なお、一つの点灯ステップ内で、オーバードライブ電圧に達するものであれば、点灯ステップが1回であってもよい。また、各点灯ステップでの1回の電流値増加量も任意に設定でき、電流値増加量としても等ピッチに限るものではない。この場合、定格電圧近傍では、比較的大きな電流値増加量として、オーバードライブ電圧近傍では、微小な電流値増加量とするようにしてもよい。
【0071】
また、前記実施形態では、カウンタ手段63をCPU45に設けたが、この演算手段62を、CPU45の外部、さらには、CPU45が収納されているケーシングの外部に設けてもよい。なお、外部にカウンタ手段63を設ける場合、パーソナルコンピュータ(パソコン)等にて構成することができる。