【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 土木学会平成26年度全国大会第69回年次学術講演会講演概要集、公益社団法人土木学会(発行日:平成26年8月1日)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第4の工程では、前記テンプレート部材に予め貫通形成された充填材注入孔から前記空間内に前記充填材を注入する、請求項1又は請求項2に記載のアンカーボルトの設置方法。
前記型枠部材は、前記テンプレート部材に前記複数本のアンカーボルトが仮固定されている状態で、各アンカーボルトの埋設予定部分の前記テンプレート部材側の領域の周囲を各アンカーボルトごとに囲むことが可能である、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のアンカーボルトの設置方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態における測量定規及び基準架台の右側面図及び正面図である。
図3及び
図4は削孔用テンプレートの正面図及び右側面図である。
図5は
図3のA−A断面図である。
図6及び
図7は据付用テンプレートの正面図及び右側面図である。
図8は
図6のB−B断面図である。
図9は型枠部材の断面図であり、
図8のC−C断面に対応する。
尚、本実施形態では、既設のダム堤体の貯水池側の壁面に複数本のアンカーボルトを設置する工事を例にとって、本発明に係るアンカーボルトの設置方法を説明するが、本発明に係るアンカーボルトの設置方法の適用例はこれに限らない。
【0011】
本発明における既設の構造物の一例であるダム堤体1は、既設のコンクリートダムの堤体である。
図1に示すように、ダム堤体1の貯水池2側(上流側)の壁面3aは、下から上に向かうほど下流側に向かうように傾斜している。
図2に示すように、壁面3aには複数(図では2本)の測量定規4,4が互いに左右方向に間隔を空けて設置されている。測量定規4は、ダム堤体1の天端部近傍から壁面3aに沿って下方に延在する直方体状である。測量定規4は鋼製トラス構造である。また、測量定規4は、直線構造の精密部材である。
【0012】
測量定規4,4は、各々の少なくとも一部が、壁面3aと平行に貯水池2の水中に設置される。それゆえ、これら測量定規4,4は水中定規として機能する。また、これら測量定規4,4は、ダム堤体1の貯水池2側におけるX・Y・Z座標の基準となり得る。ここで、壁面3aのうち水中に位置する部分を壁面3として、以下説明する。また、壁面3は、本発明の「既設の構造物の表面」の一例である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、壁面3には複数(図では2本)の基準架台5,6が互いに上下方向に間隔を空けて配置される。
上側の基準架台5は、上フランジ、下フランジ、及びウェブからなる複数のH形鋼により構成されている。これらH形鋼を左右方向に直線状に連結させることで、左右方向に延在する基準架台5が形成されている。基準架台5は複数のブラケット5aを介して壁面3に取り付けられている。この基準架台5の壁面3への設置時には、測量定規4,4を用いて基準架台5の測量が行われるので、基準架台5は所望の位置に精度良く設置され得る。
【0014】
下側の基準架台6は、上フランジ、下フランジ、及びウェブからなる複数のH形鋼により構成されている。これらH形鋼を左右方向に直線状に連結させることで、左右方向に延在する基準架台6が形成されている。基準架台6は複数のブラケット6aを介して壁面3に取り付けられている。この基準架台6の壁面3への設置時には、測量定規4,4を用いて基準架台6の測量が行われるので、基準架台6は所望の位置に精度良く設置され得る。
【0015】
基準架台6については、後述する削孔用テンプレート30及び据付用テンプレート50を上載したときにガタツキが生じないように、その上面に鉄板を溶接して、専用機械により切削加工を行うことで、基準架台6の上面を平滑化している。
また、基準架台6については、上フランジ、下フランジ及びウェブにより区画される空間内に複数の補強板を配置して上フランジ、下フランジ及びウェブに溶接固定することにより、基準架台6の剛性を高めている。
尚、本実施形態では、アンカー施工の基準面である施工基面が予め設定されており、この施工基面と平行になるように、基準架台5,6が壁面3に取り付けられる。ここで、基準架台5,6が、本発明の「テンプレート基礎」に対応する。
【0016】
図3〜
図5に示すように、削孔用テンプレート30は、複数の貫通孔31を備える扁平な矩形の箱状部材32と、箱状部材32の上下方向両端部が取り付けられる矩形状の枠体33とを含んで構成されている。箱状部材32に形成されている複数の貫通孔31は、壁面3における複数の孔形成予定位置を規定する。ここで複数の貫通孔31は、壁面3における上下方向での複数の孔形成予定位置と、左右方向での複数の孔形成予定位置との少なくとも一方を規定する。
【0017】
枠体33は、左右一対の柱部材34,35と、上下一対の梁部材36,37とにより構成されている。柱部材34,35及び梁部材36,37は、各々がH形鋼により形成されている。
柱部材34,35の各々の上端部には、上方に突出する爪部34a,35aが設けられている。柱部材34,35の各々の下端部には、下方に突出する爪部34b,35bが設けられている。削孔用テンプレート30が基準架台6に上載されるときには、柱部材34,35の下端部が基準架台6の上面に当接する。それゆえ、柱部材34,35の各々の下端部には、前述のような切削加工が行われ得る。
【0018】
柱部材34,35の長手方向の長さは、基準架台5,6間の距離よりも若干短い。それゆえ、削孔用テンプレート30が基準架台6に上載されるときには、柱部材34,35の上端部と基準架台5との間に空隙が形成される。
柱部材34,35には、それぞれ、複数のブラケット34c,35cが設けられている。これらブラケット34c,35cは、ケミカルアンカーなどのアンカー38を用いて、壁面3に取り付けられる。ここで、アンカー38は、水中における削孔用テンプレート30の浮き上がりを抑制する役割がある。
【0019】
上側の梁部材36には、箱状部材32の上端部が、図示しないボルトなどの締結手段により着脱可能に取り付けられている。下側の梁部材37には、箱状部材32の下端部が、図示しないボルトなどの締結手段により着脱可能に取り付けられている。尚、
図3では、2個の箱状部材32,32が枠体33に取り付けられている状態を示しているが、枠体33に取り付けられる箱状部材32の個数はこれに限らない。すなわち、1個以上の箱状部材32が枠体33に取り付けられ得る。
【0020】
箱状部材32は、その上端部と下端部とが梁部材36,37に着脱可能に取り付けられており、上端部と下端部との間の部分が、壁面3に近づくように、下流側に張り出している。箱状部材32における上端部と下端部との間の部分は、壁面3との間に隙間を空けて、壁面3に対して平行に延びている。
【0021】
図3〜
図5は、箱状部材32に形成される複数の貫通孔31の配列パターンの一例を示している。
この例において、箱状部材32には、その上半分の領域に、12個の貫通孔31が正面視でマトリクス状(図では左右3個×上下4個)に形成されている。また、箱状部材32には、その下半分の領域に、20個の貫通孔31が正面視でマトリクス状(図では左右4個×上下5個)に形成されている。
尚、箱状部材32に形成される複数の貫通孔31の配列パターンはこれに限らない。
ここで、削孔用テンプレート30は、壁面3における複数の孔形成予定位置を規定する複数の貫通孔31を備えている。
【0022】
複数の貫通孔31の各々には、後述する削孔機40の削孔具41を挿通可能な管状部材31aが設けられている。この管状部材31aによって、削孔具41の壁面3に対する送り出しをガイドすると共に、削孔具41の削孔角度を規定することにより、孔形成予定位置を精度良く削孔することができる。
【0023】
枠体33には、左右方向に1列に並ぶ複数の貫通孔31に対して、1本のレール部材39が取り付けられている。例えば、
図3〜
図5に示す複数の貫通孔31の配列パターンでは、9本のレール部材39が枠体33に取り付けられている。
レール部材39は例えばH形鋼により形成されており、左右方向に延在している。レール部材39の左右両端部は、それぞれ、柱部材34,35の上流側端面に固定されている。
【0024】
本実施形態では、各レール部材39に、削孔機40が設けられている。すなわち、本実施形態では、複数(図では9台)の削孔機40が複数(図では9本)のレール部材39に設けられている。
削孔機40は、削孔対象物である壁面3を削孔する削孔具41と、削孔具41の回転駆動源となるモータなどを備える削孔機本体42と、レール部材39に対して摺動可能にレール部材39に取り付けられる左右方向移動部43と、左右方向移動部43の上流側端面から上流側に延びており、かつ、壁面3に対して垂直な方向に延びているレール部材44と、削孔機本体42の下部に取り付けられ、かつ、レール部材44に対して摺動可能にレール部材44に取り付けられて、削孔機本体42を壁面3に対して垂直な方向に移動可能な本体移動部45と、を含んで構成される。左右方向移動部43にはストッパー機構(図示せず)が設けられており、このストッパー機構により、左右方向移動部43のレール部材39に対する摺動を制限することができる。
【0025】
削孔機40については、削孔機本体42に設けられたモータなどを駆動源として、削孔具41を回転しながら壁面3に対して送り出すことにより、壁面3の所望の位置を削孔することができる。
尚、削孔機本体42に設けられたモータなどが油圧を動力とする場合には、当該油圧を供給するための油圧パワーユニットが陸上に配置され得る。
【0026】
また、削孔機40の削孔具41及び削孔機本体42を壁面3に対して垂直な方向及び/又は左右方向に移動させる作業については、水中の作業員(ダイバー)によって当該作業を行ってよいし、又は、陸上からの遠隔操作によって当該作業を行ってもよい。
このようにして、複数の削孔機40は、削孔用テンプレート30に対して移動可能に削孔用テンプレート30に設置されている。
【0027】
図6〜
図9に示すように、据付用テンプレート50は、複数(図では4個)のテンプレートユニット51a〜51dと、テンプレートユニット同士を連結するための鋼製の複数の連結部材51tとを含んで構成される。尚、据付用テンプレート50を構成するテンプレートユニットの個数については、1個以上であればよく、すなわち、前述の4個に限らない。ここで、テンプレートユニット51a〜51dの各々が、本発明の「テンプレート部材」に対応する。
【0028】
テンプレートユニット51aは、左右一対の柱部材52,53と、上流側に配置される複数(図では9本)の梁部材54と、下流側に配置される複数(図では9本)の梁部材55と、を含んで構成される。
柱部材52,53は各々がH形鋼により形成されている。柱部材52,53の各々の上端部には、上方に突出する爪部52a,53aが設けられている。柱部材52,53の各々の下端部には、下方に突出する爪部52b,53bが設けられている。テンプレートユニット51aが基準架台6に上載されるときには、柱部材52,53の下端部が基準架台6の上面に当接する。それゆえ、柱部材52,53の各々の下端部には、前述のような切削加工が行われ得る。
【0029】
柱部材52,53の長手方向の長さは、基準架台5,6間の距離よりも若干短い。それゆえ、テンプレートユニット51aが基準架台6に上載されるときには、柱部材52,53の上端部と基準架台5との間に空隙が形成される。
柱部材52,53については、左側フランジ、右側フランジ及びウェブにより区画される空間内に複数の補強板を配置して左側フランジ、右側フランジ及びウェブに溶接固定することにより、柱部材52,53の剛性を高めている。
【0030】
柱部材52,53には、それぞれ、複数のブラケット52c,53cが設けられている。これらブラケット52c,53cは、ケミカルアンカーなどのアンカー58を用いて、壁面3に取り付けられる。ここで、アンカー58は、水中におけるテンプレートユニット51aの浮き上がりを抑制する役割がある。
【0031】
梁部材54,55は、各々が、上フランジ、下フランジ、及びウェブを備えるC形鋼(溝形鋼)により形成されている。梁部材54,55は、各々の左右両端部が、柱部材52,53にそれぞれ固定されている。
梁部材54,55については、各々の下流側にウェブが位置している。また、上流側の梁部材54と下流側の梁部材55とは、壁面3に対して垂直な方向で互いに離間して相対している。そして、下流側の梁部材55のウェブ面55wは、壁面3との間に隙間が空いた状態で、壁面3に相対し得る。ここで、本実施形態では、梁部材55のウェブ面55wが上下方向にそれぞれ延長されていて延長面55w’が形成されている。また、本実施形態における梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’が、本発明の「テンプレート部材の第1の面」に対応する。尚、延長面55w’は必須ではない。
【0032】
梁部材54,55には、複数のアンカーボルト60の設置位置に対応するように(換言すれば、削孔機40を用いて壁面3に形成された複数の孔61に対応するように)、貫通孔54a,55aが形成されている。本実施形態において、テンプレートユニット51aの上半分の領域を構成し得る4本の梁部材54及び4本の梁部材55には、それぞれ、3個の貫通孔54a,55aが形成されている。また、テンプレートユニット51aの下半分の領域を構成し得る5本の梁部材54及び5本の梁部材55には、それぞれ、4個の貫通孔54a,55aが形成されている。これら貫通孔54a,55aは、壁面3に対して垂直な方向に沿って並ぶように形成されている。これら貫通孔54a,55aの内径は、アンカーボルト60の外径よりも大きく、それゆえ、これら貫通孔54a,55aにはアンカーボルト60を挿入可能である。
【0033】
アンカーボルト60は、その先端側部分がこれら貫通孔54a,55aに挿入された状態で、基端側部分が梁部材55より下流側(既設の構造物であるダム堤体1側)に突出するように、ナット62〜64及びワッシャー65,66により梁部材54,55に着脱可能に取り付けられることで(すなわち仮固定されることで)、テンプレートユニット51aに着脱可能に取り付けられる(すなわち仮固定される)。尚、アンカーボルト60の基端部には、孔61内の中心部にアンカーボルト60を位置させるためのスペーサー部材67が設けられている。
【0034】
ここで、アンカーボルト60がテンプレートユニット51aの梁部材54,55に着脱可能に取り付けられている状態で、アンカーボルト60のうち、梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’より下流側(既設の構造物であるダム堤体1側)に突出している部分が埋設予定部分60aに対応する。また、このときに、アンカーボルト60の埋設予定部分60aは、テンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’(テンプレート部材の第1の面)から突出している。
【0035】
下流側の梁部材55では、壁面3の孔61内に水中不分離性モルタルや水中不分離性コンクリートなどの充填材を注入するための充填材注入管68とリターン管69とが梁部材55のウェブを貫通している。ここで、充填材注入管68は、梁部材55のウェブに予め貫通形成された充填材注入孔68aを通って、梁部材55のウェブを貫通している。
下流側の梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’には、ウェブ面55w及び延長面55w’と壁面3との間の隙間をシール可能な型枠部材70が設けられている。型枠部材70は、圧縮変形可能な材料により形成されたシート状又は板状の部材であり、例えば発泡ウレタン製のシートである。型枠部材70は、ウェブ面55w及び延長面55w’と壁面3との間に介装される前の状態で、例えばウェブ面55w及び延長面55w’と壁面3との間の距離の2倍程度の厚さを有することが好ましい。
【0036】
型枠部材70には、貫通孔55a及び孔61より大きめの小判形断面を有する貫通孔71が形成されている。尚、本実施形態では、貫通孔71の断面形状が小判形であるが、貫通孔71の断面形状はこれに限らず、例えば、円形や矩形であってもよい。
本実施形態では、1枚の型枠部材70に1個の貫通孔71が形成されており、この貫通孔71に1本のアンカーボルト60が挿通されている。
本実施形態では、テンプレートユニット51aに複数本のアンカーボルト60が仮固定されている状態で、各アンカーボルト60の埋設予定部分60aの梁部材55側の領域の周囲を各アンカーボルト60ごとに囲むことが可能なように、型枠部材70が梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’に設けられている。
【0037】
尚、本実施形態では、テンプレートユニット51aにおいて、左右方向に互いに間隔を空けて並ぶ3本のアンカーボルト60の各々に対応するように3枚の型枠部材70を設けているが、これに代えて、1枚の型枠部材を設けて、この型枠部材で3本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aの梁部材55側の領域の周囲を囲むようにしてもよい。
また、本実施形態では、型枠部材70が、貫通孔71を有するシート状部材又は板状部材により構成されているが、型枠部材70の構成はこれに限らない。例えば、型枠部材70は可撓性を有する棒状部材により形成されてもよい。この場合には、アンカーボルト60の埋設予定部分60aの梁部材55側の領域の周囲を囲むように折り曲げられた棒状部材(型枠部材70)が梁部材55のウェブ面55w及び/又は延長面55w’に取り付けられ得る。
【0038】
テンプレートユニット51b〜51dについては、テンプレートユニット51aと同様の構成であるので、その説明を省略する。
テンプレートユニット51aは、その右側にて、複数(図では4個)の連結部材51tを介して、テンプレートユニット51bの左側と連結している。テンプレートユニット51bは、その右側にて、複数(図では4個)の連結部材51tを介して、テンプレートユニット51cの左側と連結している。テンプレートユニット51cは、その右側にて、複数(図では4個)の連結部材51tを介して、テンプレートユニット51dの左側と連結している。尚、テンプレートユニット同士を連結する連結部材51tの個数については、前述の4個に限らない。また、連結部材51tは、ボルトなどの締結手段により、各テンプレートユニットに着脱可能に固定される。また、連結部材51tのうち各テンプレートユニットに当接する部分には、前述のような切削加工が行われ得る。また、各テンプレートユニットのうち連結部材51tに当接する部分には、前述のような切削加工が行われ得る。
【0039】
次に、ダム堤体1の貯水池2側の壁面3(壁面3aの水中部分)に複数本のアンカーボルト60を設置する方法について、前述の
図1〜
図9に加えて、
図10を用いて説明する。
図10はアンカーボルト60の据付工程を示す。詳しくは、
図10(A)は削孔機40を用いて壁面3に形成された孔61を示す。また、
図10(B)は、据付用テンプレート50を基準架台5,6に設置したときのアンカーボルト60の支持状態を示す。また、
図10(C)は、アンカーボルト60が壁面3に固定された状態を示す。尚、本実施形態において、据付用テンプレート50には128本(上半分の領域に48本、下半分の領域に80本)のアンカーボルト60が仮固定できる。
【0040】
ダム堤体1の貯水池2側の壁面3に複数本のアンカーボルト60を設置する方法では、まず、測量定規4,4を用いて基準架台5,6の測量を行いつつ、基準架台5,6をダム堤体1の貯水池2側の壁面3に設置する。尚、基準架台5,6には、削孔用テンプレート30及び据付用テンプレート50(特にテンプレートユニット51a)の設置予定位置が予めマーキングされている。ここで、基準架台5,6の設置には、例えば、ダム堤体1の天端に配置されたクレーン(図示せず)が用いられる。また、この基準架台5,6の設置工程が、本発明の「第6の工程」に対応しており、この工程では、後述する「第3の工程」に先立って、壁面3に基準架台5,6を設置する。
【0041】
次に、陸上にて、削孔用テンプレート30に複数の削孔機40を設置する。この削孔機40の設置工程では、削孔用テンプレート30を水中に吊り下げるに先立って、複数の削孔機40を削孔用テンプレート30に対して移動可能に削孔用テンプレート30に設置する。ここで、例えば縦方向に互いに離間する9列の孔61を削孔する場合には9台の削孔機40を削孔用テンプレート30に設置することが好ましい。
【0042】
次に、前述のクレーンなどを用いて、削孔用テンプレート30を貯水池2の水中に吊り下げて、削孔用テンプレート30を壁面3に近接させる。この工程では、水中に吊り下げられた削孔用テンプレート30を、基準架台5,6に設置することにより、壁面3に対する削孔用テンプレート30の位置決めを行う。この位置決めでは、基準架台5,6に予めマーキングされた設置予定位置が基準となる。このときに、柱部材34,35の下端部は基準架台6に当接する。また、柱部材34,35の爪部34a,34b,35a,35bは、それぞれ、対応する基準架台5,6に当接し、これにより、爪部34a,34b,35a,35bが、削孔用テンプレート30とダム堤体1(既設構造物)との離隔を保持するストッパーとして機能する。
【0043】
次に、アンカー38を用いて、削孔用テンプレート30を壁面3に固定することで、削孔用テンプレート30の浮き上がりを抑制する。
次に、削孔用テンプレート30の複数の貫通孔31によって規定された壁面3の複数の孔形成予定位置を、複数の削孔機40を用いて削孔することにより、壁面3に複数の孔61を形成する(
図10(A)参照)。この孔61は、アンカーボルト60の設置用の孔である。
次に、削孔用テンプレート30を基準架台5,6及び壁面3から脱離して、前述のクレーンなどを用いて陸上まで移動させるか、又は、別の設置予定位置まで移動させる。
【0044】
次に、陸上にて、テンプレートユニット51aの上半分の領域を構成し得る4本の梁部材54及び4本の梁部材55を貫通するように、これら梁部材54,55に12本のアンカーボルト60を着脱可能に固定すると共に、複数のスペーサー部材67、複数の充填材注入管68、複数のリターン管69、及び、複数の型枠部材70を設置する。ここで、この工程は、本発明の第1の工程及び第2の工程を含んでいる。第1の工程では、複数本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aがテンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’(テンプレート部材の第1の面)から突出するように、各アンカーボルト60をテンプレートユニット51aに仮固定する。第2の工程では、テンプレートユニット51aに複数本のアンカーボルト60が仮固定されている状態で、少なくとも1本のアンカーボルト60ごとに(本実施形態では1本のアンカーボルト60ごとに)、その埋設予定部分60aの梁部材55側の領域の周囲を囲むことが可能なように、テンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’(テンプレート部材の第1の面)に型枠部材70を設ける。これら第1の工程及び第2の工程については、テンプレートユニット51b〜51dに関しても同様である。従って、テンプレートユニット51b〜51dからなる据付用テンプレート50については、その上半分の領域を構成し得る16本の梁部材54及び16本の梁部材55に48本のアンカーボルト60が着脱可能に固定される。
尚、第1の工程と第2の工程との実施順序については、第1の工程の後に第2の工程を実施してもよく、又は、第2の工程の後に第1の工程を実施してもよい。
【0045】
次に、前述のクレーンなどを用いて、テンプレートユニット51aを貯水池2の水中に吊り下げて、テンプレートユニット51aを壁面3に近接させる。この工程では、水中に吊り下げられたテンプレートユニット51aを、基準架台5,6に設置することにより、壁面3に対するテンプレートユニット51aの位置決めを行う。この位置決めでは、基準架台5,6に予めマーキングされた設置予定位置が基準となる。このときに、柱部材52,53の下端部は基準架台6に当接する。また、柱部材52,53の爪部52a,52b,53a,53bは、それぞれ、対応する基準架台5,6に当接し、これにより、爪部52a,52b,53a,53bが、テンプレートユニット51aのダム堤体1(既設構造物)への接近や移動を制限するストッパーとして機能する。
【0046】
ここで、この工程は、本発明の「第3の工程」を含んでいる。第3の工程では、テンプレートユニット51aを貯水池2の水中に吊り下げて、テンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’(テンプレート部材の第1の面)を壁面3に近接させつつ、複数本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aを壁面3の少なくとも1個の孔61(本実施形態では複数の孔61)に挿入すると共に、型枠部材70を孔61の口元の周囲を囲うように壁面3に当接させる。また、第3の工程では、テンプレートユニット51aが型枠部材70を壁面3側に押圧することにより、型枠部材70が圧縮変形する。尚、第3の工程は第1の工程の後に実施されることが良好である。更に好ましくは、第3の工程は第2の工程の後に実施される。
【0047】
次に、アンカー58を用いて、テンプレートユニット51aを壁面3に固定することで、テンプレートユニット51aの浮き上がりを抑制する。
次に、テンプレートユニット51aの右側に複数の連結部材51tを着脱可能に連結する。
次に、テンプレートユニット51bをテンプレートユニット51aと同様に基準架台5,6に設置する。ここにおいて、テンプレートユニット51aの右側に連結された複数の連結部材51tにテンプレートユニット51bの左側を当接させて相互に着脱可能に連結することで、テンプレートユニット51bの位置決めが行われる。
【0048】
次に、アンカー58を用いて、テンプレートユニット51bを壁面3に固定することで、テンプレートユニット51bの浮き上がりを抑制する。
次に、テンプレートユニット51bの右側に複数の連結部材51tを着脱可能に連結する。
【0049】
テンプレートユニット51bとテンプレートユニット51cとの連結、及び、テンプレートユニット51cとテンプレートユニット51dとの連結についても、前述のテンプレートユニット51aとテンプレートユニット51bとの連結と同様であるので、その説明を省略する。
このようにして、基準架台5,6に、据付用テンプレート50が設置される。
【0050】
据付用テンプレート50が基準架台5,6に設置されているときに、据付用テンプレート50の上半分の領域に相対する壁面3の48個の孔61には、各々の内部に、アンカーボルト60の埋設予定部分60aと、充填材注入管68の注入口側部分とが位置している(
図10(B)参照)。また、少なくとも据付用テンプレート50の梁部材55のウェブ面55wと型枠部材70の貫通孔71の内面と孔61の内面とによって、空間75が区画される。ここにおいて、型枠部材70の貫通孔71の内面は孔61の口元の周囲を囲む。
【0051】
次に、水中不分離性モルタルや水中不分離性コンクリートなどの充填材を、充填材注入管68(充填材注入孔68a)を介して、前述の空間75内に注入する。この工程は、本発明の「第4の工程」に対応する。この充填材の注入は、空間75内に充填材が完全に充填されて、リターン管69から充填材が排出されるまで続けられる。そして、空間75内への充填材の充填が完了し、空間75内の充填材が硬化した後に、据付用テンプレート50へのアンカーボルト60の仮固定を解除する。また、充填材注入管68の埋設部分と非埋設部分との境界部分をカッタなどで切断する。そして、前述のクレーンなどを用いて、型枠部材70が取り付けられたテンプレートユニット51d,51c,51b,51aをこの順に吊り上げて、これらテンプレートユニットを陸上に移動させる。ここで、この工程は本発明の「第5の工程」を含んでおり、第5の工程では、据付用テンプレート50及び型枠部材70を壁面3から分離する。これにより、硬化した充填材のうち、ウェブ面55wに当接していた面が、アンカー基面88となる(
図10(C)参照)。ここで、アンカー基面88とは、アンカーボルト60を用いて壁面3に固定される被固定物が接触する面である。本実施形態では、複数のアンカー基面88を形成することができる。また、複数のアンカー基面88間の相対的な精度を1個の据付用テンプレート50を利用することで確保することができる。また、複数のアンカー基面88に被固定物を接触させることで、壁面3に対する被固定物の位置決めを容易に行うことができる。
尚、第4の工程は第1の工程、第2の工程、及び第3の工程の後に実施されることが好ましい。
【0052】
このようにして、据付用テンプレート50の上半分の領域に相対する壁面3の領域に48本のアンカーボルト60を据付けた後に、これと同様に、据付用テンプレート50の下半分の領域に相対する壁面3の領域にも、80本のアンカーボルト60を据え付ける。
以上のようにして、ダム堤体1の貯水池2側の壁面3(壁面3aの水中部分)に複数本のアンカーボルト60が設置される。また、ダム堤体1の貯水池2側の壁面3(壁面3aの水中部分)に複数のアンカー基面88が形成される。
【0053】
図11は、基準架台5,6に削孔用テンプレート30及び据付用テンプレート50が設置された状態を示す。
基準架台5,6の長手方向の長さ(左右方向の長さ)は、削孔用テンプレート30の幅(左右方向の長さ)よりも大きい。また、基準架台5,6の長手方向の長さ(左右方向の長さ)は、据付用テンプレート50の幅(左右方向の長さ)よりも大きい。
【0054】
図11に示すように、本実施形態よれば、基準架台5,6の第1の部分81に削孔用テンプレート30を設置した状態で複数の削孔機40を用いて壁面3に複数の孔61を形成した後に、前述のクレーンなどを用いて、削孔用テンプレート30を基準架台5,6の第1の部分81から第2の部分82まで移動させて第2の部分82に削孔用テンプレート30を設置して、複数の削孔機40を用いて壁面3に複数の孔61を形成することができる。これにより、基準架台5,6に削孔用テンプレート30を複数回設置して、壁面3に複数の孔61を形成することができるので、壁面3に多数の孔61を効率良く、かつ、精度良く形成することができる。
【0055】
また、削孔用テンプレート30の幅は据付用テンプレート50の幅よりも小さく、削孔用テンプレート30の幅はテンプレートユニット51a〜51dの幅よりも大きい。削孔用テンプレート30と据付用テンプレート50として大きさ、構造、重量等が異なるテンプレートをその必要精度に合わせて使用することで、クレーンの能力に制限される条件の下で効率的な施工が可能となる。
【0056】
本実施形態によれば、既設の構造物(例えばダム堤体1)の表面(壁面3)に複数本のアンカーボルト60を設置する方法として、複数本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aがテンプレート部材(テンプレートユニット51a)の第1の面(梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’)から突出するように、各アンカーボルト60をテンプレートユニット51aに仮固定する第1の工程と、テンプレートユニット51aに複数本のアンカーボルト60が仮固定されている状態で、少なくとも1本のアンカーボルト60ごとに、その埋設予定部分60aのテンプレートユニット51a側の領域の周囲を囲むことが可能なように、テンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’に型枠部材70を設ける第2の工程と、テンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’を壁面3に近接させつつ、複数本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aを壁面3の少なくとも1個の孔61に挿入すると共に、型枠部材70を壁面3に当接させて、型枠部材70によって孔61の口元の周囲を囲う第3の工程と、少なくともテンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55wと型枠部材70の貫通孔71の内面と孔61の内面とによって区画される空間75内に充填材を注入する第4の工程と、充填材の硬化後に前記仮固定を解除して、テンプレートユニット51a及び型枠部材70をダム堤体1から分離する第5の工程と、を含む。これにより、各アンカーボルト60の周囲にて硬化した充填材のうちテンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55wに当接していた部分が被固定物との接触面になり得るので、この接触面に被固定物を接触させることで、既設のダム堤体1の壁面3に対する被固定物の位置決めを容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、既設の構造物(例えばダム堤体1)の表面(壁面3)に複数本のアンカーボルト60を設置する方法として、前記第3の工程に先立って、壁面3にテンプレート基礎(基準架台5,6)を設置する第6の工程を更に含む。前記第3の工程では、テンプレートユニット51aを基準架台5,6に設置することにより、壁面3に対するテンプレートユニット51aの位置決めを行う。これにより、基準架台5,6を基準として、テンプレートユニット51aを所望の位置に精度良く設置することができるので、壁面3の複数の孔61の各々にアンカーボルト60を精度良く挿入することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、前記第4の工程では、テンプレートユニット51aの梁部材55に予め貫通形成された充填材注入孔68aから空間75内に充填材を注入する。これにより、簡素な構成で充填材を空間75内に注入することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、型枠部材70は、テンプレートユニット51aに複数本のアンカーボルト60が仮固定されている状態で、各アンカーボルト60の埋設予定部分60aのテンプレートユニット51a側の領域の周囲を各アンカーボルト60ごとに囲むことが可能である。これにより、複数本のアンカーボルト60の各々に対して、個別にアンカー基面88を壁面3に形成することができる。従って、充填材の注入量及び注入作業を低減できる。
【0060】
また、本実施形態によれば、壁面3は水中に位置し、前記第1の工程及び前記第2の工程は陸上で実施され、前記第3の工程では、テンプレートユニット51aを水中に吊り下げて、テンプレートユニット51aの梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’を壁面3に近接させる。これにより、テンプレートユニット51aに複数本のアンカーボルト60を仮固定する作業や型枠部材70を設置する作業を水中で行う必要がなく、ひいては、水中の作業員(ダイバー)の作業負荷を軽減することができる。
【0061】
尚、本実施形態において、基準架台5,6の測量では、測量定規4,4を用いているが、これに加えて、又は、これに代えて、いわゆる下げ振り測量を用いてもよい。
また、本実施形態では、
図10(C)に示すように、充填材注入管68の一部を孔61内に埋設しているが、空間75内への充填材の注入時に充填材注入管68を孔61内から引き抜きながら、充填材を空間75内に注入する場合には、充填材注入管68の一部を孔61内に埋設しなくてもよい。
【0062】
図12は、本発明の第2実施形態における型枠部材70’の断面図である。尚、
図12は、前述の
図8のC−C断面に対応している。また、
図12ではスペーサー部材67及び充填材注入管68の図示を省略している。
前述の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0063】
本実施形態では、壁面3のうち1本の梁部材55に相対する部分に4個の孔61が形成されている。これら4個の孔61は、2つのグループ61g,61gに分けられている。
4個の孔61には、それぞれ、1本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aが挿入されている。それゆえ、4本のアンカーボルト60は、前述の2つのグループ61g,61gに対応して、2つのアンカーボルトグループ60g,60gに分けられている。ここで、4本のアンカーボルト60は、テンプレートユニット51aの梁部材55に仮固定されている。すなわち、2つのアンカーボルトグループ60g,60gは、テンプレートユニット51aの梁部材55に仮固定されている。
【0064】
本実施形態では、前述の型枠部材70の代わりとして、型枠部材70’を用いている。型枠部材70’には1個の貫通孔71’が形成されている。貫通孔71’は、2個の貫通孔55aを囲むように、また、1つのグループ61aを構成する2個の孔61の口元の周囲を囲むように、小判形の断面を有している。尚、本実施形態では、貫通孔71’の断面形状が小判形であるが、貫通孔71’の断面形状はこれに限らず、例えば、円形や矩形であってもよい。
尚、本実施形態では、型枠部材70’が、貫通孔71’を有するシート状部材又は板状部材により構成されているが、型枠部材70’の構成はこれに限らない。例えば、型枠部材70’は可撓性を有する棒状部材により形成されてもよい。この場合には、1つのアンカーボルトグループ60gの埋設予定部分60aの梁部材55側の領域の周囲を囲むように折り曲げられた棒状部材(型枠部材70’)が梁部材55のウェブ面55w及び/又は延長面55w’に取り付けられ得る。また、この棒状部材は、1つのグループ61aを構成する2個の孔61の口元の周囲を囲み得る。
【0065】
特に本実施形態によれば、型枠部材70’は、複数のアンカーボルトグループ60g,60gがテンプレートユニット51aの梁部材55に仮固定されている状態で、各アンカーボルトグループ60gの埋設予定部分61aのテンプレートユニット51a側の領域の周囲を各アンカーボルトグループ61aごとに囲むことが可能である。これにより、アンカーボルトグループ61ごとのアンカー基面88を壁面3に形成することができる。
【0066】
図13は、本発明の第3実施形態における型枠部材70’の断面図である。尚、
図13は、前述の
図8のC−C断面に対応している。また、
図13ではスペーサー部材67及び充填材注入管68の図示を省略している。
前述の第2実施形態と異なる点について説明する。
【0067】
前述の第2実施形態では、壁面3の1個の孔61に1本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aが挿入されているが、本実施形態では、壁面3の1個の孔61’に2本のアンカーボルト60の埋設予定部分60aが挿入されている。すなわち、本実施形態では、壁面3の孔61’ごとに、1つのアンカーボルトクループ60gの埋設予定部分60aが挿入されている。このように複数本のアンカーボルト30を壁面3に設置する場合であっても、壁面3に複数のアンカー基面88を形成することができる。
【0068】
前述の第1〜第3実施形態では、複数本のアンカーボルト60が設置され、かつ、複数のアンカー基面88が形成される既設の構造物の表面の一例として、既設のダム堤体1の貯水池2側の水中の壁面3を挙げて説明した。しかしながら、複数本のアンカーボルト60が設置され、かつ、複数のアンカー基面88が形成される既設の構造物の表面はこれに限らない。例えば
図14に示すように、コンクリート製の既設の構造物100の上面101に、複数本のアンカーボルト60が設置され、かつ、複数のアンカー基面88が形成されてもよい。この場合においても、本発明に係るアンカーボルトの設置方法を用いることができる。
【0069】
また、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。