(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記請求項1記載の磁石フィルムを用いて、四角形の定尺裁断を四角形の縦辺又は横辺の方向を磁場配向方向に対して10〜80度又はマイナス10〜80度の範囲内で任意の傾斜を設けて裁断することで、更に磁石フィルム同士の磁気吸着力を低減したことを特徴とする請求項2記載の定尺磁石フィルム。
前記硬質磁性材料粉がフエライト系硬質磁性材料粉であり、磁性塗膜中のフエライト系硬質磁性材料粉の充填量が50〜65v%であり、磁性塗膜の厚みが40〜250μmである磁性フィルムの片面又は両面に極間1〜2.5mmの多極着磁を施したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の磁石フィルム。
前記両面に支持体を有する磁石フィルムの支持体がポリエチレンテレフタレート系合成紙で厚み40〜60μm、磁性塗膜の厚み80〜100μm、磁気吸着力0.5〜2.0g/cm2、自重480g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の磁石フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の異方性の磁石フィルムは、薄層磁石の割に磁気吸着力が強く、薄層であることから印刷加工がし易く軽量で取り扱性に優れたものと言われていたが、近時、用途拡大に伴い定尺に裁断して複数枚重ねて取り扱う時に、接触する表裏が磁気吸着力で磁着して四隅を揃えて重ねる事が困難なことなどが問題視され、解決策が強く求められるように成った。本発明はこの問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために種々検討を行った結果、定尺に裁断した磁石シート(カード)同士が重なった場合に、両者が同一極間の場合は磁極方向が重なることで、両者の表面同士、又は裏面同士、または表裏面間で磁気吸着力が生じる不都合に対して、多極着磁の極間をランダムに変えた着磁を施すこと、又、両者の磁極方向を交差することで相互の磁気吸着力が低下すること、又、多極着磁の極間をランダムに変え且つ磁極方向を交差することで更に両者の表裏間の磁気吸着力低減効果が向上すること。
【0006】
更に、それに伴い多極着磁の磁極方向をランダムに変えた着磁を施すことで磁石フィルム同士が異極との磁気吸引力で磁極に沿って斜め向きに磁気吸着した状態から、磁気吸着力に抗して端部を揃える作業で飛び出た端部をテーブル面に当てる(
図19)衝撃などによって生じる変形〜傷付きを防止する為に、磁石フィルムの両面に支持体(フィルム)を設けることの効果が大であること、及び多極着磁の極間をランダムに変えて着磁を施した場合に近傍の異極間の磁気吸引吸着による波うち変形の発生(
図15)を防止する効果が大(
図16)であり、又、それによって全体的に両者間の磁気吸着力を低減する効果があることを見出した。
【0007】
又、重ねた時に磁極方向が交差するように、四角形の定尺品の一辺が磁場配向方向に対して所定の範囲内で任意の角度で裁断をすることで、原反に所定の範囲内で任意の角度で斜めに着磁を施したものと同様になること(
図17)に着目し本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)
ポリエチレンテレフタレート系合成紙で、厚みが40〜220μmである支持体の片面に、磁性塗料である異方性フエライト系硬質磁性材料粉と粘結材である有機高分子エラストマー系ワニスを主たる成分とし、乾燥後の固型分である異方性フエライト系硬質磁性材料粉と有機高分子エラストマーと加工助剤から成る全量に対する異方性フエライト系硬質磁性材料粉の充填量が50〜65容量%のものを乾燥後の厚みが40〜250μmに成るように塗布し、異方性フエライト系硬質磁性材料粉の磁化容易軸を支持体面と平行方向に面内磁場配向し乾燥して磁性塗膜を形成して成る磁性フィルム
に、
前記の支持体と同様のフィルムを積層又は磁性フィルムの磁性塗膜同士を貼り合わせて両面に支持体を有する磁性フィルムとし
て耐波打変形吸着性及び耐角端部変形性を付与し、
その片面又は両面に磁極方向を磁場配向方向に対して、直角方向に多極着磁の各極間の距離をランダムに着磁を施したことで、取り扱い時の磁石フィルム同士の磁気吸着力を低減した磁石フィルム
であって、下記の耐波打変形吸着性試験、及び耐角端部変形性試験で評価:◎印に適合する耐波打変形吸着性
及び耐角端部変形性
に優れたことを特徴とする磁石フィルムとする。
1、耐波打変形吸着性試験方法
試験試料(100×150mm)である磁石フィルム2枚を重ねて、38〜42℃の熱風循環式恒温装置内に7日放置後の、耐波打変形吸着の有無を観察して4段階評価を行う。)
◎:波打が認められない ○:波打が殆ど認められない △:波打がやや認められる ×:波打が認められる
2、耐角端部変形性試験方法
室温21〜25℃において、最初に試験試料(100×150mm)である磁石フィルム製のカード2枚を重ねて、磁極方向を360°の範囲内でカード相互の磁気吸着力が最大と成る角度(磁極方向が重なる)で表裏を磁気吸着させる。その上に順次同様にして合計10枚を重ねた不揃いのカードを、磁気吸着力に抗して揃える為に、4辺を1辺ずつテーブルの平らな面に当てて揃えることを3回繰り返した後、角端部の変形、傷付き具合を目視で観察して4段階評価を行う。
◎:変形が認められない ○:変形が殆ど認められない △:変形がやや認められる
×:変形が認められる。
【0009】
(2)前記多極着磁の各極間の距離を磁石フィルムの厚みに対して適する極間寸法を基準極間とし、該基準極間×5の寸法を1単位として、1単位毎に基準極間×0.8、0.9、1.0、1.1、1.2の寸法でなる極間が各1個存在し、その順番が連続する各単位内でランダムである着磁を施したことを特徴とする磁石フィルムとする。
【0010】
(3)
ポリエチレンテレフタレート系合成紙で、厚みが40〜220μmである支持体の片面に、磁性塗料である異方性フエライト系硬質磁性材料粉と粘結材である有機高分子エラストマー系ワニスを主たる成分とし、乾燥後の固型分である異方性フエライト系硬質磁性材料粉と有機高分子エラストマーと加工助剤から成る全量に対する異方性フエライト系硬質磁性材料紛の充填量が50〜65容量%ものを用いて乾燥後の厚みが40〜250μmに成るように塗布し、異方性フエライト系硬質磁性材料粉の磁化容易軸を支持体面と平行方向に面内磁場配向し乾燥して磁性塗膜を形成して成る磁性フィルム
に、
前記の支持体と同様のフィルムを積層又は磁性フィルムの磁性塗膜同士を貼り合わせて両面に支持体を有する磁性フィルムとし
て耐波打変形吸着性及び耐角端部変形性を付与し、
その片面又は両面に磁極方向を磁場配向方向に対して、直角方向に多極着磁の各極間の距離を
等間隔に着磁を施し、四角形の定尺裁断を四角形の縦辺又は横辺の方向を磁場配向方向に対して10〜80度又はマイナス10〜80度の範囲内で任意の傾斜を設けて裁断したことで、取り扱い時の磁石フィルム同士の磁気吸着力を低減
し、更に前記請求項1に記載の耐耐角端部変形性試験方法で評価:◎印に適合する耐角端部
変形性
の優れたことを特徴とする定尺磁石フィルムとする。
【0011】
(4)前記(1)又は(2)いずれか1項記載の磁石フィルムを用いて、四角形の定尺裁断を四角形の縦辺又は横辺の方向を磁場配向方向に対して10〜80度又はマイナス10〜80度の範囲内で任意の傾斜を設けて裁断することで、更に磁石フィルム同士の磁気吸着力を低減したことを特徴とする
前記(2)項記載の定尺磁石フィルムとする。
【0012】
(5)磁性塗膜中のフエライト系硬質磁性材料粉の充填量が50〜65v%であり、磁性塗膜の厚みが40〜250μmである磁性フィルムの片面又は両面に極間1〜2.5mmの多極着磁を施したことを特徴とする前記(1)〜(4)項いずれか1項記載の磁石フィルムとする。
【0013】
(6)前記両面に支持体を有する磁石フィルムの支持体がポリエチレンテレフタレート系合成紙で厚み40〜60μm、磁性塗膜の厚み80〜100μm、磁気吸着力0.5〜2.0g/cm
2、自重480g/m
2以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)項いずれか1項記載の磁石フィルムとする。
【0014】
(7)前記支持体の非塗布面が印刷可能又は書き消し可能面であることを特徴とする前記
(1)〜(6)項いずれか1項記載の磁石フィルムとする。
【0015】
(8)前記(1)〜(7)いずれか1項に記載の磁石フィルムを用いたことを特徴とする磁石フィルムカードとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、多極着磁を施した磁石フィルムを用いたカードなどの使用時の重ね合わせによる相互の磁気吸着力の低減策として、多極着磁の各極間の距離をランダムにすること、又は及び磁極を交差させる事による不都合を解決したものである。
【0017】
即ち、多極着磁の各極間の距離をランダムにすること、又は及び磁極を交差させる事による磁気吸着力の軽減策に於いて、両面に支持体を設けることで、磁気吸着力に抗して四隅を揃える端部衝撃や自動送り機などによる磁石フィルムの変形、傷つきが防止され、又、極間が異なる異極磁気吸引による波うち変形吸着が防止され、且つ変形吸着しないことで全体の磁気吸着力の減少効果が向上する。即ち、重ね時の相互の磁気吸着力が弱く、取り扱いが容易で、磁石フィルムの変形、傷つき防止効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を
図1〜19に基づいて説明する。
(1)
図1は、本発明の磁石フィルムAの基本構成を示す断面模式図である。(a)は支持体1の片面に磁性粉が面内配向された磁性層2を塗布成形によって形成した後、支持体と同様なフィルム11を積層して成る磁性フィルムの片面に多極着磁を施した(非着磁面に生じる弱い磁極の表示は省略)磁石フィルムAを示し、(b)は他の方法として、支持体1の片面に磁性粉が面内配向された磁性層2を形成した後、磁性面同士を張り合せて成る磁性フィルムの片面に多極着磁を施した(非着磁面に生じる弱い磁極の表示は省略)磁石フィルムA1を示す断面模式図である。
【0020】
(2)
図2は、前記
図1の磁石フィルムAの先駆体を示す断面模式図である。(a)は
図1の(a)に対応し、支持体1の片面に磁性粉が面内配向された磁性層2を塗布成形によって形成した先駆体Bを示し、(b)は
図1の(b)に対応し、支持体1の片面に目的とする磁石フィルムの磁性層の二分の一の厚みの、磁性粉が面内配向された磁性層2を塗布成形によって形成した先駆体B1を示す。この先駆体B1を支持体側から着磁を施した後、磁石面同士を張り合わせることで、両面の磁気吸着力が同等な両面着磁品が得られる。
【0021】
支持体1としては、表面に印刷可能層(印刷可能層の図示省略・以下同じ)を有する合成紙、無機粉末を含有したプラスチックフィルム、耐水紙などが挙げられ、その中でも引張弾性率3200〜4200MPa(JIS K7127)のものが好ましい。又、印刷可能層とは使用目的に適した印刷インキ受理層を意味する。
【0022】
合成紙としては、例えばユポ合成紙FEB,FGS,FPG,VJFP,VJFD等(ユポコーポレイション社製)、トヨジェットGP,MW,MT,MP等(東洋紡績社製)、ピーチコートSPUY,(日清紡社製)が挙げられ、その中でもPET系(ポリエチレンテレフタレート)の合成紙であるトヨジェットMW,MT(東洋紡績社製)、ピーチコートSEY(日清紡社製)などが好適である。
【0023】
無機粉末等を含有したプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム・クリスパーG2311,K1212、2323、K2411(日清紡社製)、半硬質塩化ビニルフィルム10P(リケンテクノス社製)等が挙げられ、耐水紙としては、エコクリスタル(新巴川製紙社製)、カレカ(三菱化学メデイア社製)などが挙げられる。
【0024】
表面に印刷可能層を有する支持体の厚みは40〜220μmが好ましく、40μm以下では磁石フィルムの端部傷付きや部分磁気吸着による波打変形の防止、形成する磁性層の色に対する隠蔽力が不足となる場合があり、220μmより厚いと磁気貼着時の磁気エアーギャップ(磁石の磁気吸着面と被着体(磁性体)面までの距離)となり磁気吸着力の低下が無視出来なくなるので好ましくない。
【0025】
インキ受理層は、合成紙は印刷方式(オフセット印刷、凸版印刷、インキジェット印刷、熱転写印刷等)に適したグレードを選べばよく、無機粉末等を含有したプラスチックフィルムは、印刷方式に適した公知のインキ受理層を塗布すればよい。
【0026】
磁性粉が面内配向された磁性層2は、異方性フエライト系硬質磁性材料粉と有機高分子エラストマーを主たる組成とし、異方性フエライト系硬質磁性材料粉としてはストロンチュウムフエライト系、バリウムフェライト系などのM型フエライトが好適である。
【0027】
磁性層の全量に対する磁性材料粉の含有量は、50〜65容量%が好ましく50容量%より少ないと得られる磁気吸着力が不足する場合があり、65容量%を超えると塗布加工性が低下するので好ましくない。
【0028】
有機高分子エラストマーとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体エラストマー、エチレンエチルアクリレートエラストマー、エチレンプロピレンエラストマー、ウレタン系エラストマーなどが挙げられ、又、希望する物性によって適宜これらの混合物及びこれらとプラストマー(プラスチック)との混合物を使用することが出来る。
【0029】
塗工液の作成は、前記有機高分子エラストマーを有機溶剤に溶解したワニス、又はエマルジョンと磁性材料粉を攪拌混合後、ビーズミルを用いて分散処理したものを使用する。
次に使用するコーターに適した粘度に粘度調整(有機溶剤に溶解したものは有機溶剤で、エマルジョンは水で希釈)を行った後、異物除去のための濾過処理を行う。
【0030】
図2で示す先駆体の磁性層の厚みは、(a)では50〜150μmが好ましく50μm未満では性能不足と成る場合があり、150μmを超えると性能過多になる他に厚みが厚くなることを避けたいので好ましくない。(b)では25〜75μmが好ましく25μm未満では性能不足と成る場合があり、75μmを超えると性能過多になる他に厚みが厚くなることを避けたいので好ましくない。
【0031】
又、先駆体の磁性層を、塗布成形後にニップ方式のプレスロールで加圧することで、平滑化、磁性層の密度向上(磁性の向上)をすることが出来る。そして先駆体に施す方が張り合わせ後に施すよりも効果的であり、又厚みバラツキ及びニップロールの加圧過多による皺入り不良を生じる可能性が少ない。
【0032】
磁性層の張り合わせ時の加圧変形による磁化磁粉のずれ動きによる磁気吸着力の低下防止(着磁を施す以前に加圧処理をすることで)となる。
加圧処理条件は、温度:60〜80°C、ニップゴムロールの硬度:ショアA55〜65°、線圧:200〜400N/cm程度が望ましい。
【0033】
(3)
図3は、磁性層を塗布形成する面内配向磁場装置MMを布設したコーターMCの一例を示す側面模式図であり、巻出機7より支持体1をコンマコーターヘッドに供給して上面に塗布し、乾燥炉4の入り口に布設した面内配向磁場装置MMで磁場配向する。乾燥炉を出たところでニップロール5で加圧処理後冷却ロール6で冷却して巻取機8で先駆体B又はB1を巻取る。
【0034】
塗布は上記の他に、ブレードコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター等公知の方法で行う事が出来る。
【0035】
(4)
図4は、前記面内配向用磁場装置MMの概念模式図であり、永久磁石9を対峙させることによりM方向の磁束が得られ、この位置を通過するようにガイドロール14を設けることで、支持体1に塗布した磁性層(磁性塗料)中の磁粉が磁粉の磁化容易軸(結晶C軸方向)をM方向に揃えて配向することを示す。つまり製品の流れ方向Fと面内配向磁束方向Mと磁化容易軸方向Cが同方向となる。
【0036】
(5)
図5は、磁性層中に含まれる異方性フエライト粒子(平均粒子径1.0〜1.5μm程度)の1個10を取り上げて前記
図4の面内方向の磁束Mによって磁化容易軸Cを同方向に向けて配向されることを示す概念模式図である。
【0037】
(6)
図6は、ドライラミネーターを用いた一例を示す側面模式図であり、巻出機7より支持体と同様なフィルム1−1、又は先駆体B1を巻きだしてグラビヤコーター11で接着剤を塗布し、乾燥炉4にて乾燥後加熱ニップロール5で、巻出機7より供給される先駆体B、又はB1と張合せて冷却ロール6で冷却して得られた、この磁性フィルム(磁石フィルムの未着磁品)を巻取機8で巻き取ることを示す。
【0038】
ドライラミネートに用いる接着剤は、塗布乾燥後張り合わせ時に再加熱を行い熱再活性可能な接着剤、又は、張り合わせ時に即接着できる粘接着剤(コンタクトタイプ)が好ましい。熱再活性可能な接着剤としては、水性型ウレタン樹脂系接着剤、例えば、コニシボンドCU3(コニシボンド社製)、ハイドランHW―311(DICグラフィックス社製)、WA―374(大日精化社製)が挙げられ、溶剤型ゴム系のクロロプレン系 セメダインGF(セメダイン社製)、樹脂系のポリエステル系R820(セメダイン社製)、ポリエステル系ウレタンのクリスボン4070(DICグラフィックス社製)が挙げられる。
【0039】
又、粘接着剤(コンタクトタイプ)では、エマルジョンタイプのアクリル樹脂系のアクワテックスAP―25(中央理化工業社製)、溶剤タイプのシリル基含有特殊ポリマー スーパーX(セメダイン社製)が挙げられる。
【0040】
接着層は、1〜4μm(ドライ)程度になるように、ブレードコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター等公知の方法で接着剤を塗布乾燥したものでよい。
【0041】
加熱ニップ方式プレスロールの条件は、接着剤によって異なるが、略加熱温度:70〜90°C(粘接着剤を使用の場合は加熱不要)、 ニップゴムロールの硬度:ショアA55〜65°、線圧:100〜300N/cm程度が望ましい。
【0042】
(7)
図7は、熱ラミネーターを用いた一例を示す側面模式図であり、先駆体同士の張り合わせに接着剤を用いないで磁性層同士を熱圧着によって張合せることが出来る。
上下の巻出機7より先駆体B1を加熱ロール13にて加熱後ニップロール5で張合せて冷却ロール6をへて巻取機8で磁性フィルム(磁石フィルムの未着磁品)を巻取ることを示す。
【0043】
この場合の磁性層に用いる有機高分子エラストマーは、熱圧着性の優れるクロロスルホン化ポリエチレンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体エラストマー、エチレンエチルアクリレートエラストマーなどと有機溶剤から成るワニス又はエマルジョンを用いることが好ましい。
【0044】
加熱ニップ方式プレスロールの熱圧着条件は、磁性層の粘結材である有機高分子エラストマーの感熱性にもよるが、加熱温度:80〜90°C、 ニップゴムロールの硬度:ショアA55〜65、°線圧:200〜400N/cm程度が望ましい。
【0045】
(8)
図8は、磁性層中に含まれる異方性フエライト粉10が前記
図4の面内方向の磁束Mによって磁化容易軸Cを同方向にして配向されていることに対して、その磁粉を着磁(磁化)する為の磁束の向きを示す概念模式図である。
【0046】
(9)
図9は、公知の永久磁石型着磁ロールを用いて、片面着磁を施す一例を示す。(a)は斜視図であり(b)は側面図でありN極からS極への外部漏洩磁束MB1を生じていることを示す。磁性フィルムを該着磁ロールの約三分の一周接触通過することで着磁が施される。そして該着磁ロールの磁極方向が面内配向方向(磁性フィルムの流れ方向)に対して直角であるので着磁効率が良いものが得られる。
【0047】
(10)
図10は、公知の永久磁石型着磁ロールを2本用いて、面内方向の磁束MBを得るために着磁ロールを対向させて同極反発により得ることを示す概念模式図(側面図)であり
図8のMBに相当する。この方法により両面に同様な着磁を施すことが出来る。
【0048】
又、着磁は公知の高圧パルス電流発生装置とワンターン着磁ヨークより成る着磁方法によっても着磁出来るが、磁性フィルムが薄物で極間が小なる場合は永久磁石型着磁ロール方式の方が好適である。
【0049】
多極着磁は、極間0.5〜3mmの多極着磁を施すのが好ましいが、極間1mm以下では着磁ヨーク又は、着磁ロールの製作が困難であり、3mm以上では薄層磁石に適する極間の範囲(効率の良い着磁)を逸脱するので好ましくない。
【0050】
(11)
図11は、本発明の磁石フィルムに施された着磁極間をランダムに着磁した状態を示す上面図である。
【0051】
(12)
図12は、従来の磁石フィルムの着磁(磁極が等間隔)を示す断面模式図であり、nは非着磁面のN極を示し、sは非着磁面のS極を示し、Nは着磁面のN極を示し、Sは着磁面のS極を示しているが、その各々の磁石極間(d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9)は均一である。
【0052】
(13)
図13は、従来の磁石フィルム同士が非着磁面と着磁面でN極の中心線とs極の中心線、S極の中心線とn極の中心線が合致して磁気吸着している状態を示したものである。
このように、従来の磁石フィルムの多極着磁は、夫々の極間距離が均一であるために、磁石フィルム同士が非着磁面と着磁面又は、着磁面と着磁面が接した場合に異極吸引によってS−n、N−s間又はS−N、N−S間で磁気吸着をするので、場合によっては不都合である。
【0053】
(14)その現象を阻害するためには、夫々の極間距離を不均一とさせれば対峙するN−Sの位置が極の中心線上に来ないため磁気吸引を阻害することができる。
図14(a)は、本発明の磁石フィルムA2,A2同士が非着磁面と着磁面でN極の中心線とs極の中心線、S極の中心線とn極の中心線が合致していない状態を示したものである。
この状態では著しく吸着力が低下するので不都合を生じる心配が無い。
又、
図14(b)、磁石フィルムA2,A2同士が着磁面同士でN極の中心線とS極の中心線、S極の中心線とN極の中心線が合致していない状態を示したものである。
この状態においても、著しく吸着力が低下するので不都合を生じる心配が無い。
【0054】
磁石フィルムの極間は、厚みに対して適する極間寸法を基準極間として、この基準極間×(4〜6)の寸法を1単位として、1単位毎に基準極間×0.8、0.9、1.0、1.1、1.2の極間の範囲内で4〜6個の磁極を存在させ、その順番が連続する各単位内でランダムである多極着磁とすることが好ましく、より好ましくは基準極間×5の寸法を1単位として、1単位毎に基準極間×0.8、0.9、1.0、1.1、1.2の極間を各1個、計5個存在させ、その順番が連続する各単位内でランダムである多極着磁とすることである。例えば基準極間2mmの場合は、単位の寸法が10mmであり、その中に1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.2mm、2.4mmの極間が各1個存在し、その順番がランダムであり、連続する各単位内の順番がランダムである多極着磁である。具体例を示せば、1単位を「 」で表わすと、「1.6mm、2.0mm、2.4mm、1.8mm、2.2mm」「2.0mm、2.4mm、1.8mm、2.2mm」・・・の如く各単位内の磁極の順番をランダムにすることになる。
【0055】
1単位が基準極間×4の場合は、基準極間×0.8、0.9、1.1、1.2の極間を各1個、計4個存在させ、基準極間×6の場合は、基準極間×0.8、0.9、1.1、1.2の極間を各1個と基準極間×1.0、の極間を2個の計6個存在させれば良い。
又、1単位が基準極間×4の寸法より小さいと極間をランダムにする自由度が少なくなり、1単位が基準極間×6の寸法より大きいと同寸法の極間が多くなり極間のランダム性の低下を招くので好ましくない。
尚、磁極間の寸法は、基準極間×(0.8〜1.2)とすることが、厚みに対して適する極間の範囲を逸脱しないので好ましい。
【0056】
磁極間ランダム方式は、従来公知の永久磁石を用いた多極着磁ロールの形式で、各極間を特定することで実施できるので、長尺(巻物)原反を連続して着磁することが出来る利点がある。そして、幅広の長尺の着磁済原反から磁性カードを裁断する際に、まず原反の横方向に磁性カードの縦寸法で帯状に裁断し、次いで磁気カードの横寸法で裁断すればよい。この場合、最初の端部の捨て代を、標準磁極間寸法の10倍程度の寸法範囲内でランダムに切り捨ててから開始することで、各帯状に裁断したものから製作した磁性カードの磁極パターンが他のカードの磁極パターンと一致すること(吸着力低減効果が生じない組み合わせ)は殆ど生じない。
【0057】
(15)
図15は、表面(片面)に支持体を設けた磁石フィルムA4−1同士の表面と裏面を重ねた場合に生じた波うち部分吸着を示す概念模式断面図である。(両者の磁気吸着に直接関与しない反対側の磁極の記載省略)
表面(片面)のみに支持体を設けた可撓性磁石フィルム(粘結材を有機高分子エラストマーとする)は、場合によっては温度、時間、によって略対峙する異極との磁気吸引力によって波打ち変形して部分磁気吸着を生じる不都合がある。
【0058】
(16)
図16は、本発明の両面に支持体を設けた磁石フィルムA2同士の表面と裏面を重ねた場合の、波うち部分吸着を生じない弱い磁気吸着状態を示す概念模式断面図である。(両者の磁気吸着に直接関与しない反対側の磁極の記載省略)
両面に支持体を有することで適度の可撓性を有し且つ略対峙する異極との磁気吸引力に抗して波打ち部分吸着を生じない弱い磁気吸着状態を発現維持する。又、磁石フィルムの表面同士を重ねた場合も同様である。
【0059】
(17)
図17は、本発明の定尺磁石フィルムを、磁場配向方向に対して傾斜を設けて裁断したことを示す上面模式図である。
磁場配向方向(製造流れ方向)に、面内磁場配向をした異方性磁石フィルムの着磁は、多極着磁の磁極の方向を磁場配向方向(製造流れ方向)に対して直角の方向にすることが必須条件であり、当然、定尺磁石フィルムの1辺に対して傾斜を設けて着磁を施すために、着磁ヨークの極方向に対して、未着磁の定尺磁石フィルムの1辺を傾斜するように着磁機に供給しても正常な着磁を施すことは出来ない。
【0060】
そこで本発明のものは、多極着磁の磁極の方向を磁場配向方向(製造流れ方向)に対して直角の方向に着磁を施した磁石シートを用いて、傾斜を設けて裁断することで得ることを示している。
【0061】
図18は、傾斜着磁された磁石フィルムを用いて作製された磁性カードを使って、非着磁面と着磁面を重ねた場合の吸着力低減を説明する模式図を表わしたものであり、
図18(a)は平面図、
図18(b)は最小単位の拡大図を示している。
これらの図に表わされるように、磁性カードの非着磁面には傾斜角度Eでなる磁極s,nが形成されており、その面に対して異なる傾斜角度Fで着磁された磁性カードを載せると、Gで表わされる交差角度で重なることになる。
ちなみに、現在の図面は、傾斜角度Eが30°(非着磁面)、傾斜角度Fが60°(着磁面)であり、交差角度Gは30°となっている。
【0062】
そして、この状態における磁気吸着状況は、
図18(b)に示されるように、傾斜着磁の一対の磁極同士、即ち、N極、S極、n極、s極が交差することにより四つの同一形状・面積のブロック「V(N,n同極反撥)、W(S,s同極反撥)、Y(N,s異極吸引)、Z(S,n異極吸引)」が形成され、反撥するブロック2個と異極吸引するブロック2個となるので磁気吸着力は略相殺され、磁性カード同士は、
図18(a)で示されるように、この関係が多数構成されているので、同様に磁気吸着力は略相殺(磁気吸着力低減)される。
【0063】
なお、この作用効果は、交差角度Gが0、或いは極めて小さくない限り奏することができるため、その条件の範囲であれば、傾斜角度E、傾斜角度Fは、上記数値以外でも実施可能であることはいうまでもない。また、この現象及び作用効果は、着磁面同士を重ねた場合でも同様に生ずるものである。
【0064】
以下実施例を用いて、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0065】
(1)先駆体の作成
1)支持体:ポリエステル系合成紙クリスパーK2311(東洋紡績社製)38μm厚×930mm幅にインキ受理層NS600X(高松油脂社製)をコンマコーターを用いて塗布した総厚50μmの合成紙を使用する。
【0066】
2)磁性層の形成
2)−1塗工液の配合
エチレン・酢酸ビニル共重体 商品名:エバフレックスEW−40LX(VA41%)三井・デュポンポリケミカル社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・・・・・70重量部
エチレン・酢酸ビニル共重体 商品名:エバフレックスV−5772ET(VA33%)三井・デュポンポリケミカル社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・・・・30重量部
異方性ストロンチュウムフエライト粉・磁場配向型(OP−71)DOWAエフテック社製〔硬質磁性材料〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800重量部
メチルエチルケトン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・240重量部
トルエン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・730重量部
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 88.9重量%(60.3容量%)〕
【0067】
2)−2塗工液の作成
前記配合に従って、攪拌機(ディスパー;剪断型 羽径200mm)に有機溶剤とエラストマーを投入し攪拌溶解後、次いで異方性ストロンチュウムフエライト粉を投入し混合攪拌したものを、サンドミル(ビーズ;1.25mm、ディスク;平型、周速12m/s)にて分散処理を行う。
【0068】
2)−3磁石層のコーティング
コーティングの直前に攪拌機で攪拌・粘度調整を行った後、支持体の片面にコンマコーターを用いて塗布厚90μm(ドライ)に塗布し乾燥炉の手前に布施した公知の磁場反発型磁場配向装置(
図4参照)を通して面内配向(
図5)を行った後、乾燥炉(50〜100°C×10分)を通して乾燥後冷却することで先駆体を作成する。
(2)他の片面に他の支持体を積層
【0069】
グラビヤコーターヘッド、乾燥炉、ニップロール(加熱ロールとゴムロール)より成る公知のドライラミネーターを用いて、他の片面に他の支持体を下記の条件で積層する。(
図3)
支持体の裏面に接着剤(ハイドランHW−311/DICグラフィックス社製)を塗布、塗布厚:1〜3μm(ドライ)、熱活性温度:80〜90°C、ニップロールのゴムロールの硬度:60、線圧:約120N/cmとする。
【0070】
(3)着磁
公知の永久磁石型着磁ロール(Y)2本を用いた形式(
図10)で、磁極の方向が磁石シートの面内配向方向(製造流れ方向)に対して直角で、多極着磁の極間2.0mmピッチを基準としたランダムの両面着磁を施したて、両面に支持体を有する磁石フィルムを得る。即ち、従来公知のる永久磁石型着磁ロールは、組み込む永久磁石の厚みを2.0mm均一とするのに対して、本発明を実施する着磁ロールは、組み込む永久磁石の厚みを、1単位の寸法が10mmで、その中に1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.2mm、2.4mmの極間が各1個存在し、その順番が連続する各単位内でランダムであるように組み込んだ着磁ロールを用いて着磁を施す。
【実施例2】
【0071】
先駆体の磁性層の厚みを45μmとし、接着剤を用いて磁性性層同士を張合せる以外は実施例1同様にする。
(1)磁性性層同士意の張合せ
グラビヤコーターヘッド、乾燥炉、ニップロール(加熱ロールとゴムロール)より成る公知のドライラミネーターを用いて、下記の条件で積層する。(
図3参照)
一方の先駆体の磁性層面に、接着剤(ハイドランHW−311/DICグラフィックス社製)を塗布、塗布厚:1〜3μm(ドライ)、熱活性温度:80〜90°C、ニップロールのゴムロールの硬度:60、線圧:約120N/cmとする。
【0072】
(2)応用例(ポストカードの作成)
縦480mm×横930mmに断裁して、縦150mm×横100mmのはがきを横9列×縦3段の27枚に対して、片面に郵便はがきの宛名面を印刷(郵便はがき、郵便番号枠、切手貼付枠の印刷)及び、他の片面に風景画をインキジェット印刷にて印刷を施し、縦150mm×横100mmのはがきを裁断する。
【実施例3】
【0073】
支持体をPET系合成紙クリスパーK2323(東洋紡社製)75μm厚にインキ受理層NS600X(高松油脂社製)を塗布して総厚100μm、磁性層の厚みを130μmとする以外は実施例2と同様にする。(以下、ポストカードの作成はしない)
【実施例4】
【0074】
片面着磁(
図9)で極間を等間隔にすること、磁極方向の傾斜を設けるために、傾斜して裁断(
図17)する他は実施例2と同様にする。
裁断は、傾斜角度30°のものと、60°のものを作成する(重ね磁気吸着力測定時の交差角が30°となる)。
【実施例5】
【0075】
極間を等間隔(1mm)とし、磁極方向の傾斜を設けるための傾斜裁断を変えた他は実施例2と同様にする。
裁断は、傾斜角度60°のものと、30°のものを作成する(重ね磁気吸着力測定時の交差角が90°となる)。
【実施例6】
【0076】
極間を実施例1と同様にしてランダムにする他は、実施例4と同様にして傾斜裁断した磁石フィルム。
【実施例7】
【0077】
支持体をPP系合成紙SPUY115VSIP100μm厚(日清紡社製)とし、磁性層の厚みを130μm(磁性面張合せ)、ランダム着磁(標準極間を2.5mmP)とする他は実施例5と同様にする。
ランダム着磁は、1単位の寸法が12.50mmで、その中に2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3.00mmの極間が各1個存在し、その順番が連続する各単位内でランダムであるように組み込んだ着磁ロールを用いて着磁を施す。
【0078】
(比較例1)
実施例1と同様にして、支持体の片面に磁性層を形成し、他の片面に支持体を設けないで、極間が等間隔(2mmP)の両面
着磁を施した磁石フィルム。
【0079】
(比較例2)
実施例1と同様にして、支持体の片面に磁性層を形成し、他の片面に支持体を設けないで、標準極間2.0mmのランダム着磁を施した磁石フィルム。
【0080】
(比較例3)
実施例1と同様にして、支持体の片面に磁性層を形成し、他の片面に支持体を設けないで、極間が等間隔(2mmP)の着磁を施した磁石フィルムを用いて、傾斜裁断した磁石フィルム(傾斜角度30°と60°、重ね磁気吸着力測定時の交差角30°となる)。
【0081】
(比較例4)
実施例1と同様にして、支持体の片面に磁性層を形成し、他の片面に支持体を設けないで、標準極間2.0mmのランダム着磁を施した磁石フィルムを用いて、傾斜裁断した磁石フィルム(傾斜角度30°と60°、重ね磁気吸着力測定時の交差角30°となる)。
【0082】
(比較例5)
支持体をPET系合成紙クリスパーK2323(東洋紡社製)75μm厚に、インキ受理層NS600X(高松油脂社製)を塗布して総厚100μmとし、他の片面に支持体を設けない他は、実施例7と同様にした磁性フィルム。
【0083】
次に、性能試験方法等について説明する。
1、磁気吸着力測定方法(磁石フィルムと軟鉄板との垂直方向磁気吸着力)
該測定方法は、標準的な磁気吸着力の測定方法であり、磁石フィルム単体の磁気吸着力の性能を知る事ができる。
平滑なプラスチック板の上面に1辺が約60mmの正方形の平滑な2mm厚の軟鉄板を両面テープを用いて貼着する。一方、背面中央に引掛けを設けた1辺が50mmの正方形の平滑なプラスチック板に、1辺が40mmの正方形の試験試料を両面テープを用いて貼着する。そして両者を磁気吸着させて垂直方向に引き離すに要する力を、プラスチック板背面の引掛けにバネ秤を引っ掛けて測定して磁気吸着力(g/cm
2)を算出する。(
図20参照)
【0084】
2、重ね引張剪断磁気吸着力測定方法
平滑なプラスチック板の上面に1辺が約60mmの正方形の試験試料を両面テープを用いて貼着する。一方、側面中央に引掛けを設けた1辺が50mmの正方形のプラスチック板に両面テープを用いて他の試験試料を貼着する。そして両者を磁気吸着させて水平方向に引き離すに要する力を、プラスチック板側面の引掛けにバネ秤を引っ掛けて測定して引張剪断磁気吸着力(g/cm
2)を算出する。(
図21参照)
【0085】
3、耐波打変形吸着性試験方法
試験試料(100×150mm)である磁石フィルム製のカード2枚を重ねて、38〜42℃の熱風循環式恒温装置内に7日放置後の、耐波打変形吸着の有無を観察して4段階評価を行う。(
図15参照)
◎:波打が認められない ○:波打が殆ど認められない △:波打がやや認められる ×:波打が認められる
【0086】
4、耐角端部変形性試験方法
室温21〜25℃において、最初に試験試料(100×150mm)である磁石フィルム製のカード2枚を重ねて、磁極方向を360°の範囲内でカード相互の磁気吸着力が最大と成る角度(磁極方向が重なる)で表裏を磁気吸着させる。その上に順次同様にして合計10枚を重ねた不揃いのカードを、磁気吸着力に抗して揃える為に、4辺を1辺ずつテーブルの平らな面に当てて揃えることを3回繰り返した後、角端部の変形、傷付き具合を目視で観察して4段階評価を行う。(
図19参照)
◎:変形が認められない ○:変形が殆ど認められない △:変形がやや認められる
×:変形が認められる。
【0087】
5、作業性試験方法
試験試料(100×150mm)である磁石フィルム製のカード50枚を、テーブル上に散乱させた後、十枚ずつ四隅を揃える作業を行い、4段階の評価を行う。
◎:優れる ○:良い △:やや劣る ×:劣る
【0088】
次に試験結果について説明する。
各実施例、比較例について各試験を行い主な構成と試験結果を表にまとめた。
表1は本発明の実施例、表2は比較例についてまとめたものである。
【表1】
【表2】
【0089】
1、実施例1と比較例1から分かるように、実施例1は支持体が両面にあり極間がランダムであるので重ね磁気吸着力(剪断引張磁気吸着力)の低減効果が大きく又、耐波打吸着性、耐角部変形性が優れるので作業性も優れる。それにたいして比較例1は極間が等間隔であるので重ね磁気吸着力が大きく耐角端部変形性と作業性が劣る。
【0090】
2、実施例2と比較例2から分かるように、実施例2は支持体が両面にあり極間がランダムであるので重ね磁気吸着力(剪断引張磁気吸着力)の低減効果が大きく又、耐波打吸着性、耐角部変形性が優れるので作業性も優れる。それにたいして比較例2は支持体が片面のみであるので耐波打吸着性、耐角部変形性が劣るので作業性も劣る。
3、実施例3も実施例2と同様に優れる。
【0091】
4、実施例4と比較例3から分かるように、実施例4は支持体が両面にあり磁極を交差させることにより、重ね磁気吸着力(剪断引張磁気吸着力)の低減効果が大きく又、耐波打吸着性、耐角部変形性が優れるので作業性も優れる。それにたいして比較例3は支持体が片面のみであるので耐角部変形性が劣り、作業に注意を要するので作業性も劣る。
5、実施例5も実施例4と同様に優れる。
【0092】
6、実施例6と比較例4から分かるように、実施例6は支持体が両面にあり極間をランダムに且つ磁極を交差させることにより、重ね磁気吸着力(剪断引張磁気吸着力)の低減効果が大きく又、耐波打吸着性、耐角部変形性が優れるので作業性も優れる。それに対して比較例4は支持体が片面であるので耐角端部変形性が劣るので作業に注意を要するので作業性も劣る。又、実施例7と比較例5についても同様である。
【0093】
7、これらの結果からも分かるように、本発明の支持体を両面に有する効果が大きいことが分かる。又、本発明の面内配向した磁石フィルムの流れ方向に対して、傾斜を設けて定尺裁断することで(実施例4〜7、比較例3〜5)、重ね磁気吸着力(剪断引張磁気吸着力)の低減効果が得られることも分かる。
【0094】
8、その他、実施例2の応用例で作成した郵便はがきについて、スチールロッカーに磁気貼着して着脱の実用性を調べた。その結果は着脱容易で風景画の貼着は好感をもてるものであった。