特許第6266494号(P6266494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266494音声信号再生用システムおよび携帯電話の間の無線対話試験用システムと、対応する方法およびコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266494
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】音声信号再生用システムおよび携帯電話の間の無線対話試験用システムと、対応する方法およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/24 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   H04M1/24 A
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-231204(P2014-231204)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-106920(P2015-106920A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】TO2013A000974
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509329899
【氏名又は名称】マニエッティ マレリ エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アブラモ フェリーチェ
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0278041(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0130195(US,A1)
【文献】 特表2012−507898(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0064232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器と、携帯電話との間の無線対話試験用システムであって、前記音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器および前記携帯電話は、互いに近距離通信用の無線通信チャネルで通信し、
前記無線対話試験用システムは、
前記携帯電話の動作をシミュレーションする処理手段を有する、前記携帯電話のシミュレーション用モジュールを備え、前記携帯電話の前記シミュレーション用モジュールは、前記無線通信チャネルを介して前記音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器と通信する近距離無線送受信モジュールに、信号交換関係で関連しており
前記無線対話試験用システムは、
前記携帯電話の動作をシミュレーションする前記処理手段が、音声入力および出力と送受信モジュールとの間の携帯電話の部分をシミュレーションし、前記無線通信チャネルのプロトコルスタックを含む通信プロトコルをソフトウェアモジュールに組み込み、前記プロトコルスタックが、ユーザが通話を送信および受信することを可能にするHFP(ハンズフリープロファイル)をさらに有し、
前記プロトコルスタックがさらに、着信/発信、および内部のサンプルのループの両方における音声信号を、HCI(ホストコントローラインターフェース)を通じてベースバンドモジュールへおよびベースバンドモジュールから運ぶために接続されるSCOリンクを含む、
ことを特徴とする、無線対話試験用システム。
【請求項2】
前記シミュレーション用モジュールは、音声信号出力と音声信号入力とのうち少なくとも1つを有する請求項1に記載の無線対話試験用システム。
【請求項3】
前記音声信号出力と前記音声信号入力とのうち少なくとも1つに接続された、音声分析用システムを備えている請求項2に記載の無線対話試験用システム。
【請求項4】
前記無線通信チャネルはブルートゥース(登録商標)プロトコルを使用する請求項1からのいずれか一項に記載の無線対話試験用システム。
【請求項5】
前記無線通信チャネルの前記プロトコルスタックはBlueZスタックである請求項4に記載の無線対話試験用システム。
【請求項6】
前記シミュレーション用モジュールは、前記近距離無線送受信モジュールに供給される音声信号を内部で生成する請求項1に記載の無線対話試験用システム。
【請求項7】
記ユーザインターフェース機器は、ブルートゥース(登録商標)プロトコルを採用した無線通信チャネルを有する請求項1に記載の無線対話試験用システム。
【請求項8】
前記携帯電話の前記シミュレーション用モジュールは、ブルートゥース(登録商標)ハンズフリープロファイル(HFP)によるオーディオゲートウェイ、特に前記携帯電話によって表されるオーディオゲートウェイの、シミュレーションを実行する請求項1に記載の無線対話試験用システム。
【請求項9】
声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器と、携帯電話との間の対話を試験する方法であって、請求項1からのいずれか一項に記載の音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器と携帯電話との間の無線対話試験用システムによって実行される動作を備える方法。
【請求項10】
前記処理手段によって行われる、前記携帯電話の動作をシミュレーションする前記動作は、前記携帯電話への及び前記携帯電話からの着信および発信の電話通信に関して前記携帯電話の動作をシミュレーションする段階と、前記シミュレーションの結果を、前記無線通信チャネルを介して前記音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器と通信している前記近距離無線送受信モジュールに、供給する段階とを有する請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記携帯電話の動作をシミュレーションする動作は、データ伝達能力の機能をシミュレーションする段階を有する請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
接続するべき前記音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器を探す段階と、
前記音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器とのペアリングを実行する段階と、
ハンズフリー通話の機能をシミュレーションする段階と、
電話帳を管理し、前記電話帳を前記音声信号を再生する自動車のユーザインターフェース機器に伝達する段階と、
ハイファイの音楽ファイルの音声ストリーミングを行う段階と
のうちの1または複数を実行する請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ハンズフリー通話の機能をシミュレーションする段階の前記動作は、ブルートゥース(登録商標)ハンズフリープロファイル(HFP)によるオーディオゲートウェイ、特に前記携帯電話によって表されるオーディオゲートウェイの、シミュレーションを実行する段階を有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザインターフェース機器のパフォーマンスを、特に前記音声信号の分析を通じて測定する動作をさらに実行する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項から14のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号再生用システム、特に音声信号を再生するように構成された自動車のユーザインターフェース機器と、携帯電話との間の、無線対話試験用システムに関し、上記再生用システムおよび携帯電話は近距離通信用の無線通信チャネルで通信するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年自動車分野では、運転者および搭乗者が自動車と対話することができるように設計されたシステムが使用されるようになっている。この対話とは、暖房システムまたは空調システム、あるいは搭載されたステレオシステムなどの、車両の機能との対話を想定することができる。この対話は、代わりに、携帯電話端末の管理を例えばいわゆる「ハンズフリー」モードで制御することを想定することができる。他の機能は、衛星ナビゲーションシステムとの対話に、あるいは制御ユニットまたは搭載されたコンピュータからの情報の使用に関係することもある。
【0003】
上記の目的のため自動車は、データ、例えば衛星ナビゲータでは電話番号または目的地を入力することによって、搭載されたシステムと対話することを可能にする、ヒューマン・マシン・インターフェースを装備する。
【0004】
上記インターフェースの例は、ハンドル上でのコマンドと、いかなるタイプの声の学習および認証も必要としない汎用音声認識システムとを利用可能にする、Blue&Me(商標)システムに代表される。このシステムは特に、ペアリング手順によって運転者または搭乗者の携帯電話端末と設定されるブルートゥース(登録商標)タイプの無線チャネルを通じて、ハンズフリーキットを提供する。一方上記のBlue&Me(商標)システムは、音楽プレーヤなどの他の個人用機器の使用を、これらの機器のためのコマンドを用いなくても安全なやり方で可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のシステムにとって音声信号の品質は非常に重要であり、結果として特にこの種のシステムの開発および自動車へ組み込みの際に、上記品質を検証すること、すなわちその品質を評価するべくシステムで試験を実行することが必要であるのは明らかである。
【0006】
しかしながら今日までは、上記のシステムの動作を検証するべく、近距離無線チャネルを介してインターフェースシステムに結合された携帯端末を用いて簡単に試験通信を設定することや、また携帯電話ネットワーク、例えば3GまたはGSM(登録商標)上で、第2の携帯電話端末に例えば電話を掛けることを想定した試験が利用されている。
【0007】
一方、この手順は柔軟とは言い難く、またいくつかの携帯端末の入手が必要であり、さらに電話を掛ける必要があり、結果として支出を伴うということに限って言うと高価である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、音声信号再生用装置、特に音声信号を再生するように構成された自動車のユーザインターフェース機器と、携帯端末との間の近距離無線チャネルを通じた対話試験を、安価かつ柔軟なやり方で可能にする、改良されたシステムを提供することである。本発明は、対応するコンピュータプログラム製品をさらに目的とする。
【0009】
本発明によれば、上記目的は、特に以下の請求項において想起される特性を有するシステムによって達成される。
【0010】
本発明はさらに、対応する方法並びにコンピュータプログラム製品に関し、この製品は、少なくとも1つのコンピュータのメモリに読み込み可能であり、またこの製品を少なくとも1つのコンピュータ上で実行するときに方法の段階を実行することが可能なソフトウェアコード部分を備える。
【0011】
本書においてこのようなコンピュータプログラム製品に言及する場合には、本発明に係る方法の実装を調整するべく処理システムを制御するための命令を含む、コンピュータ読み取り可能な手段に言及することに同等であると理解されたい。「少なくとも1つのコンピュータ」への言及は、本発明がモジュール型および/または分散型に実装されている可能性を強調することが明らかに意図されている。
【0012】
ここで本発明を、単に非限定的な例によって提供される添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るシステムの概略図である。
図2】本発明に係るシステムの機能を表した図である。
図3】本発明に係るシステムのさらなる機能を表した図である。
図4】本発明に係るシステム使用の様々なシナリオを示した図である。
図5】本発明に係るシステム使用の様々なシナリオを示した図である。
図6】本発明に係るシステム使用の様々なシナリオを示した図である。
図7】本発明に係るシステム使用の様々なシナリオを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
要するに本発明による解決策は、近距離通信用の無線通信チャネルを備えた携帯電話と、音声信号再生用システム、特に音声信号を再生するように構成された自動車のユーザインターフェース機器との、対話試験用システムに関し、この対話試験用システムは、上記無線通信チャネル、例えばブルートゥース(登録商標)を介して、音声信号再生用システムと通信するように構成された送受信モジュールを備え、この無線送受信モジュールは、携帯電話の動作を、特に携帯電話の入力および出力での電話通信の操作に関してシミュレーションするように構成された処理手段を含む、シミュレーション用モジュールに関連する。
【0015】
図1は、本発明に係る近距離通信用の無線通信チャネルを備えた携帯電話と音声信号再生用システムとの対話試験用システムを示している。従って参照番号100は、携帯電話のシミュレーション用モジュールを示している。携帯電話のシミュレーション用モジュール100はコンピュータ、特にポータブルコンピュータ110を含み、このコンピュータがさらに、この例ではブルートゥース(登録商標)通信チャネルである近距離無線通信チャネル300を設定するように設計された、近距離無線送受信機130を含む。
【0016】
上記のポータブルコンピュータ110は、図1においてソフトウェアモジュール120を表したブロックで示されているソフトウェアによって、携帯電話の動作をシミュレーションするようにさらに構成される。「携帯電話の動作のシミュレーション」とは、この場合、通常携帯電話のスピーカに送信され、携帯電話で受信される、電話での会話に関する信号をシミュレーションする能力を主に意味する。携帯電話のシミュレーション用モジュール100では、携帯電話のマイクおよびスピーカの代わりに夫々音声入力および音声出力が提供され、すなわち必ずしもこれに限られないが、機器に接続することが可能な物理的なまたはハードウェアの、信号コネクタが提供されることが好ましく、この音声入力および音声出力は、夫々音声信号を生成および/または受信するハードウェアまたはソフトウェアのいずれかでもよい。これに関連して、ソフトウェアモジュール120に採用されたプロトコルの詳細を図2に示す。特にソフトウェアモジュール120は、近距離ブルートゥース(登録商標)送受信機130と信号交換関係で通信するように構成され、すなわち、例えばソフトウェアモジュールは、会話中のハンズフリーモードをサポートするべく、CPUと、あるいは携帯電話の処理および管理モジュールと交換されることになるのと同じ信号を送受信機と交換する。携帯電話の動作のシミュレーションは、データ伝達能力の機能のシミュレーションをさらに含み得る。
【0017】
図1の例において、携帯電話のシミュレーション用モジュール100は、特に音声入力111、すなわちコンピュータ110の音声入力に相当する物理的コネクタと、コンピュータ110の音声出力を表した物理的コネクタに相当する音声出力112とを含み、図2でより詳細に説明するように、その信号はソフトウェアモジュール120に供給される。
【0018】
さらに図1は、参照番号200で示される自動車のユーザインターフェース機器を示している。このユーザインターフェース機器200は同様に、無線通信チャネル300、特にブルートゥース(登録商標)通信チャネルを設定するように設計された、夫々の第2の近距離無線送受信機230を有する。
【0019】
上記のユーザインターフェース機器200は、例えばBlue&Me(商標)システムであるが、夫々の無線通信チャネル300での信号の入力/出力のための単なるモジュール210と、ユーザインターフェース機器200のマイク221およびスピーカ222に通常夫々接続される、夫々の音声入力211および音声出力212とによって概略的に表されている。
【0020】
さらに図4〜7を参照して以下で示されるように、携帯電話のシミュレーション用モジュール100の音声入力すなわちポート111に関する非限定的な例として、以下の信号の1つが加えられ得る。 −例えば信号発生器を用いて外部で生成された、(例えば、正弦波トーンタイプあるいはマルチトーンタイプの)音声帯域の電気信号、 −マイクを通じて生成された音声信号/声、 −音源/音楽ソース、例えばMP3プレーヤのアナログ出力。
【0021】
ここでも非限定的な例として、音声出力すなわちポート112が接続され得るのは、 −例えば着信/発信通話の信号またはBTストリーミングの音の、パフォーマンスの測定を実行する音声分析器(図4〜7に参照番号401で示す)、 −着信通話の音声またはBTストリーミングの音を主観的に評価するための、ユーザインターフェース機器200のスピーカ、または、 −ユーザインターフェース機器200の出力での通話音声を主観的に評価するための、携帯電話のシミュレーション用モジュール100のヘッドセットである。
【0022】
従って携帯電話のシミュレーション用モジュール100は、近距離無線接続、特にブルートゥース(登録商標)を備えた携帯電話の機能を実装し、電話モジュール、例えばGSM(登録商標)や対応するSIMカードは備えていない。対応する電話の機能がシミュレーションされる。
【0023】
その結果、携帯電話のシミュレーション用モジュール100は以下の動作のうちの1または複数を実行するように構成される。 −接続するべき音声信号再生用システム、特に機器200を探すこと、 −上記システムまたは機器200とペアリングすること、 −ペアリングに続き、ハンズフリー通話の機能をシミュレーションすること、 −ペアリングに続き、場合によっては携帯電話の電話帳を管理し、これを機器200に伝達すること、 −ペアリングに続き、例えば変更可能なプレイリストに基づいて、このシステムすなわち機器200への音声ファイル(MP3、AAC、WAV、または他のフォーマット)の音声ストリーミングを行うこと。
【0024】
携帯電話のシミュレーション用モジュール100は、説明したように、電話ネットワークからおよびこれへの音声インターフェースを含み、種々の測定構成またはシナリオに基づく着信/発信の会話または声の入力/出力に対し、対応する入力111および出力112のコネクタを利用可能にする。
【0025】
上記のインターフェースすなわちコネクタ111および112によれば、後に図4〜7を参照して説明する音声分析器などの測定システムを通じて、特にリアルタイムで分析を実行することができる。
【0026】
携帯電話のシミュレーション用モジュール100は、以下で説明する信号処理によって実装される分析プロセスを通じて、違った音声分析の動作を実行するべく、代わりに、音声の録音またはキャプチャと内部ファイルへのその保存とを利用してもよい。述べてきたように、音声入力および出力は実際にはソフトウェアまたは仮想上のものでもよく、すなわち例えばコンピュータ110内の例えばファイル上で音声デジタル信号を受信する/発する、入力および出力でもよい。
【0027】
図2は、音声入力111および出力112と送受信モジュール130との間の携帯電話の部分をシミュレーションする、ソフトウェアモジュール120によって実装される通信プロトコルの概略図である。
【0028】
シミュレーション用モジュール100にペアリングされた機器に対する相互運用を保証するべく、このシミュレーション用モジュールはそれ自体のソフトウェアモジュール120に、一般に、BlueZと称されるブルートゥース(登録商標)のLinux(登録商標)オープンソースのソフトウェアスタックに基づくタイプの通信プロトコル150を採用し組み込む。
【0029】
特に164で示されているのは、PCMコーデックである。着信/発信の電話、および(音声ファイルに保存された)考えられる内部のサンプルのループの両方において、PCMのモノラル音声信号を上記PCMコーデックからおよびこれへと運ぶために、SCO(Synchronous Connection Oriented;同期接続型)タイプのリンク141が使用される。
【0030】
従ってこのプロトコルは、Linux(登録商標)ネイティブタイプのGUI(Graphic User Interface;グラフィックユーザインターフェース)151を想定する。
【0031】
152で示されているのは、アプリケーション環境が存在している、ブルートゥース(登録商標)スタックの最上部に位置するアプリケーション層である。この下に、実質的にOSIのプレゼンテーション層に相当する層が存在し、以下のものなどのプロトコルを含む。 −ブルートゥース(登録商標)をサポートする機器に接続することによって利用でき得るサービスを、シミュレーション用モジュール100が識別することを可能にする、SDP(Service Discovery Protocol;サービスディスカバリプロトコル)153、 −Vcardタイプのデジタル名刺データ154などバイナリデータの交換を可能にする、OBEX(OBject EXchange;オブジェクト交換)通信プロトコル155、 −アプリケーション層からのコマンド156。
【0032】
さらにRFCOMMエミュレーションプロトコル157は、より上位の層にデータを送信するためのサービスを提供する機能を有する次のL2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol;論理リンク制御および適合プロトコル)158によるデータの非同期交換のために、シリアルポートのエミュレーションを可能にする。
【0033】
この層の下でHCI(Host Controller Interface;ホストコントローラインターフェース)タイプのインターフェース159が、リンクマネージャプロトコル160に、および無線システムの機能にアクセスするための、一様なコマンドインターフェースを供給する。リンクマネージャプロトコル160は、リンクの設定、制御、および安全のために使用される。概して161で示されている無線システムは、ベースバンドプロトコル162および無線プロトコル163を含み、これらは機器間の物理的接続に関する手順を実行する機能を有する。特に、これらは送受信モジュール130によって効果的に伝送されるデータパケットを形成し、伝送エラーの補正および考えられるデータの暗号化を実装する。
【0034】
前述したSCOタイプのリンク141は、ベースバンドプロトコル162とPCMコーデック164との間で動作する。
【0035】
ブルートゥース(登録商標)スタックの構造に関し図2を参照して説明したことは、それ自体当部門の当業者には公知である。
【0036】
本発明によれば、図2を参照して説明した通信プロトコルに加え、いくつかのブルートゥース(登録商標)プロファイルの追加が想定される。
【0037】
図3に概略的に表されているのは、ブルートゥース(登録商標)プロトコルスタックのある垂直部分と見なすことができる、実装されたプロファイル170である。これらのプロファイルは、基本的な相互運用を確保し、近くの他の機器を識別して場合によっては識別された機器に接続する能力または順に識別し接続するという能力を、基本的に保証するための手順を定義する。
【0038】
これらのプロファイルは、本発明に係るシステムおよびアプリケーションのシナリオの、コマンドおよび機能の実装を可能にする。これらの実装されたプロファイルは、以下のものを含む。 −ユーザが通話を送信および受信することを可能にするHFP(Hands-Free Profile;ハンズフリープロファイル)171、 −機器間、特にシミュレーション用モジュール100とインターフェース機器200との間で電話帳オブジェクトを交換するための手順およびプロトコルを管理するPBAP(Phonebook-Access Profile;電話帳アクセスプロファイル)172、 −ステレオ音声信号の無線伝送を可能にするA2DP(Advanced Audio Distribution Profile;高度音声配信プロファイル)173、 −機器、特にペアリングされ接続された機器200でのメディアの再生の制御に必要なAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile;音声/ビデオリモート制御プロファイル)174。
【0039】
また上記追加のプロファイル171〜174は、それ自体公知のブルートゥース(登録商標)プロファイルである。
【0040】
特に、携帯電話のシミュレーション用モジュール100に組み込まれたハンズフリープロトコル171は、例えばブルートゥース(登録商標)ヘッドセット/イヤーセット、あるいは自動車用ハンズフリーシステム、例えばナビゲータなど、任意のハンズフリーシステムとの接続および対話を可能にする。任意のハンズフリーシステムは、HFP対応プロファイルをサポートし、被試験システムが電話のように挙動して全ての電話機能、着信/発信音声の伝達機構、および携帯電話/スマートフォンの典型的な機能をアクティブにするようにさせることができ、またシミュレーション用モジュール100のおかげで、(例えば、被試験機器での診断コマンドを介して、またはその手動制御インターフェースを通じて)シミュレータ自体に介入することなく、そのハンズフリーシステムにアクセスすることができる。
【0041】
実際のブルートゥースフォンの場合のように、全ての機能は、(例えば、シミュレータのグラフィックインターフェースに実装されたメニューおよびコマンドを介して)被試験ハンズフリーシステムに介入することなく、シミュレーション用モジュール100自体からアクティブにすることができる。
【0042】
ハンズフリープロトコルに関するブルートゥース(登録商標)の仕様によれば、電話シミュレータ100は実際の携帯電話のように、オーディオゲートウェイ(AG)として動作し音声入力および出力の機能を実装するハンズフリープロファイル171で構成される。
【0043】
被試験機器、特に以下の例でより十分に説明するように、オーディオゲートウェイすなわちシミュレーション用モジュール100にペアリングされたユーザインターフェース機器200は、代わりにハンズフリー(HF)ユニットのロールを有し、リモート音声入力および出力の機構を実装する。
【0044】
シリアルポートのエミュレーションは、ブルートゥーススタックに実装されたRFCOMMエミュレーションプロトコル157によって提供され、ハンズフリーユニットすなわちユーザインターフェース機器200から、オーディオゲートウェイすなわちシミュレーション用モジュール100へと、ユーザデータ、モデム制御用信号、および対応するATコマンド(モデムの通信に使用されるASCII文字列であり、「AT」に1または複数のコマンドと改行文字が続くことによって形成される)を運ぶために使用される。ATコマンドはシミュレータによって分析され、その応答がブルートゥースシリアルポートへの接続を介してハンズフリーユニットに送信される。
【0045】
HFP171により、シミュレーション用モジュール100は以下の動作の1または複数を実行するように構成され、ここではアプリケーション層によって管理されるHFPシミュレーションの上記動作、好適には全てのこれらの動作を実行するように構成される。 接続を操作すること、 電話の状態で情報を提供すること、 HFユニットとの音声接続を設定し、HFユニットとの音声接続を解除し、コーデックを設定すること、 着信音声電話を受けて応えること、 着信音声電話を拒否すること、 通話を終えること、 通話中、HFユニットに接続して音声信号を伝達すること、 HFユニットから供給された電話番号または最後に掛かってきた番号に電話を掛けること、 コーデックをネゴシエートすること。
【0046】
シミュレーション用モジュール100でのソフトウェアコーデック、そのネゴシエーションおよび接続に関し、オーディオゲートウェイとして動作するこのシミュレーション用モジュール100は、PCM符号化を実装し、コーデックネゴシエーションの特性をサポートし、音声接続がAGによって設定されるときにコーデックの接続の手順を設定することができる。
【0047】
代わりに、音声接続を設定しコーデックネゴシエーションの特性をサポートするのがハンズフリーユニット、特にユーザインターフェース機器200である場合、シミュレーション用モジュール100をアクティブにするのはハンズフリーユニット自体であり、このハンズフリーユニットはシミュレータ100自体に実装されたコーデックで、SCOタイプのリンク141のチャネル上で音声接続を設定することができる。
【0048】
ハンズフリーユニットとオーディオゲートウェイとの間、すなわち機器200とシミュレーション用モジュール100との間の音声接続は、いかなる場合も、既存のサービスレベル接続と上記機器間またはモジュール間のRFCOMMを介したデータ通信リンクとに常に関連する。
【0049】
シミュレータ100(AG)および機器200(HF)の接続のための手順およびコマンドは、Bluetooth(登録商標) Special Interest Groupのウェブサイトwww. bluetooth.orgの、特にセクション4.11.1, 4.11.2で入手可能なBluetooth(登録商標) Hands Free Profile 1.6, May 10, 2011, V16r00において見出すことができる。
【0050】
図4は、本発明に係るシステムの使用に関する第1のシナリオを示す。携帯電話のシミュレーション用モジュール100およびインターフェース機器200に加え、本例では音声分析器401に相当する、測定システムの使用が想定される。上記第1のシナリオにおいて、シミュレーション用モジュール100の音声入力111、本例では3mmのジャックプラグコネクタは、音声分析器401で生成された音声帯域のアナログ電気信号ASG、例えば既に述べたように1kHzのシングルトーン信号またはマルチトーン信号を受信する。この接続は音声ケーブル、好適には不平衡ケーブルおよびシールドケーブルを介して行われる。受信された電気信号ASGに基づいて、携帯電話のシミュレーション用モジュール100は、携帯電話のアンテナを通じて受信された音響信号など、携帯電話の入力での声または音をシミュレーションし、これをブルートゥース(登録商標)タイプの無線送受信機130を通じてユーザインターフェース機器200の対応する送受信機230に送信する。その後このユーザインターフェース機器200は、それ自体の音声出力212を通じて、例えば対応する受信電気信号ASRでアナログ音声を音声分析器401に送信し、従ってこの音声分析器は生成信号ASGと受信信号ASRとの比較に基づいて、例えば信号レベル、信号対ノイズ比、歪み、または、周波数応答およびコヒーレンスの測定などの測定を実行することができる。前述したように、生成音声電気信号ASGが例えばシングルトーン信号、マルチトーン信号、またはさらに音声信号など、種々の形をとり得ることを考えると、多くの異なるタイプの測定が行われ得ることは明らかである。これらの測定は、特にインターフェース機器200で受信された着信音声または音声信号を参照して、被試験機器、すなわちインターフェース機器200の動作の特徴付けおよび診断を可能にする。
【0051】
図5に示されているのは第2のシナリオであり、ここでは代わりに、音声分析器401により供給される生成音声電気信号ASGはインターフェース機器200の音声入力211に送信され、一方受信音声電気信号ASRはシミュレーション用モジュール100の音声出力112で受信される。生成音声電気信号ASGは、特に図4を参照して既に前述したものに相当する形をとることができ、同様に対応する測定を音声分析器401で行うことができる。これらの測定は、特に上記インターフェース機器200からの出力での発信音声または音声信号を参照して、被試験機器、すなわちインターフェース機器200の動作の特徴付けおよび診断を可能にする。
【0052】
図6で表されているのは第3のシナリオであり、ここでは代わりに、音声分析器401により供給される生成音声電気信号ASGはシミュレーション用モジュール100の音声入力111に送信され、一方受信音声電気信号ASRはシミュレーション用モジュール100自体の音声出力112で受信される。インターフェース機器200の音声入力211はマイク221に接続され、これに対し夫々の音声出力212はスピーカ222に接続される。このようにして生成音声電気信号ASGは、シミュレーション用モジュール100、無線接続300、および機器200を通ってスピーカ222に到達し、またマイク221と適切にペアリングされてこのマイクで集められ、さらに無線接続300へと戻されてシミュレーション用モジュール100で受信音声電気信号ASRに変換され、最終的に音声分析器401で受信される。生成音声電気信号ASGは、特に図4を参照して既に前述したものに相当する形をとることができ、同様に対応する測定を音声分析器401で行うことができる。上記測定は、特に上記機器上でループを生成している機器200の入力および出力での音声信号に関して、被試験機器、すなわちインターフェース機器200の動作の特徴付けおよび診断を可能にする。
【0053】
図7で表されているのは第4のシナリオであり、ここでは代わりに、音声分析器401により供給される生成音声電気信号ASGは機器200の音声入力211に送信され、一方受信音声電気信号ASRは機器200自体の音声出力212で受信される。シミュレーション用モジュール100の音声入力111および音声出力は、入力インピーダンスおよび出力インピーダンスに配慮して適切に接続される。このシナリオは図6のシナリオに対応するが、シミュレーション用モジュール100エンドでループが実装されている。図6および7のシナリオは、特に、夫々のエンドでのエコーの試験に有用である。
【0054】
グラフィックインターフェース151を介して、ユーザは種々のシナリオに従ってシミュレーション用モジュール100を設定することができ、またそのパラメータを変化させることもできる。
【0055】
例えばグラフィックインターフェース151は、シミュレーション用モジュール100を介して起動するブルートゥース(登録商標)サービスを選択するための選択手段を、例えば意図的に提供された画面に含んでもよく、そのサービスは例えば以下のものから選択される。 −機器のサーチ、 −機器とのペアリング、 −ブルートゥース(登録商標)ストリーミングサービスプロファイル(A2DP)、 −音楽プレイリストの管理、 −ハンズフリーサービスプロファイル(HFP)、 −電話帳の管理、 −電話を掛けてきたユーザの声/音声(遠方の声)のシミュレーションと電話での「着信音」信号(呼び出し音)とに使用されるファイルの管理、 −信号処理を介した音声分析。
【0056】
ハンズフリーサービスプロファイル(HFP)は、アップルのiPhone(登録商標)またはアンドロイドの電話「アプリケーション」と類似した、電話に応える、掛ける、および切るためのコンソールに加え、音声ファイルと音声ファイルのキャプチャ、シミュレーション用モジュール100の入力111からの電話と音声ファイルのキャプチャ、音声ファイルからの電話と被試験機器すなわちインターフェース機器200へと送信された音声から、電話シミュレーション機能を選択する可能性を有する。
【0057】
従って、シミュレーション用モジュール100は電話帯域の入力/出力音声試験(音声の生成および分析)を実行することができ、このとき図4〜7のシナリオに従って、音声が加えられ、また受信される。HFP171を用いて多数の構成を得ることができる。入力と出力とが分かれた分析では、対応する音声信号を被試験ユーザインターフェース機器200に加え、シミュレータ100に適用された音声分析器401で受信してもよい。代わりに、音声をシミュレータに加え、被試験機器200に適用された音声分析器401で受信する。被試験機器の入力および出力でオーディオ用カプラを使用し、被試験機器エンドのループバックを用いて、シミュレータ100で音声信号を加えかつ受信することもできる。音源は、外部音声発生器によって、あるいはシミュレータ100によるストリーミングの音声ファイルとして、提供され、分析は外部音声分析器またはシミュレータ自体によって提供される。分析される被試験機器の要素は、以下、すなわち音声入力、音声出力、PCBのオーディオパス、D/AおよびA/D変換器、コーデック符号化、コーデック復号、FPGAコードを介して行われるデジタルフィルタリング動作、ブルートゥースチップセット、およびソフトウェアアプリケーションのうちの1または複数を含み得る。1または複数の測定、例えば音声の、レベル、周波数、歪み、信号対ノイズ比、FFT、および品質知覚評価の、測定が行われる。
【0058】
シミュレーション用モジュール100は、SCO/音声による内部ループバックを用いて類似したやり方で動作して同じ要素を分析することができ、この場合被試験機器で音声を加え、また受信し、一方シミュレータモジュール200はソフトウェアレベルで音声のループバックを実行する。音源は、外部音声発生器により提供され、分析は外部音声分析器により提供される。シミュレータエンドのループバックは、HCIタイプのインターフェース159の制御用コマンドを用いて管理される。
【0059】
従って、前述したことに基づいて、シミュレーション用モジュール100はHFP171、すなわちブルートゥース(登録商標)の仕様によるハンズフリープロファイルに従って、オーディオゲートウェイのシミュレーションを実行するように構成される。シミュレーション用モジュール100は、携帯電話によって表されるオーディオゲートウェイの全体的なエミュレーションのために、ブルートゥーススタックとHFPとを介して構成される。
【0060】
シミュレーション用モジュール100は、HFP機器との接続のシンプルな設定に追加されたさらなる機能を実行して、音声を伝達し、かつこれを分析するために、HFP171を用いて構成され、すなわちこのシミュレーション用モジュールは、上で参照したHFPシミュレーションの動作のうち1または複数を実行するように構成される。
【0061】
音声分析に関し、説明したシステムは外部音声分析器を用いて、あるいはシミュレーション用モジュール100内部の信号/データ処理を用いて、音声分析を行うことを可能にする。シミュレーション用モジュール100が備えている入力/出力音声インターフェースの直接の利用可能性と通話の直接の管理が、ITU−T推奨に従って行われる知覚測定(PESQ)をさらに可能にし、その比較アルゴリズムが、入力での声/音声、すなわち送信される声/音声(基準の声/音声)と、出力での声/音声、すなわちブルートゥースチャネルおよびハンズフリー機器のパスを通り過ぎた後に戻ってきた声/音声(劣化した声/音声)に適用される。
【0062】
シミュレータ内の音声の操作および音声ループを閉じることは、シミュレータ100のブルートゥーススタックに存在しているSCOチャネルとHCI層とを用いて直接行われる。
【0063】
ブルートゥース(登録商標)ストリーミングサービスプロファイル(A2DP)は、起動されるとき、再生、停止、一時停止、次、前、ジャンプ、1曲リピート、全曲リピートなどの、音声の再生およびオーディオプレーヤで典型的な曲の選択のためのコマンドを含む、対応する画面を想定してもよく、これらのコマンドは、無線接続300でストリーミングが行われる例えばMP3フォーマットの楽曲を再生するのに有用である。
【0064】
プレイリストの管理は、楽曲のリストを閲覧およびアップデートするための、ブルートゥース(登録商標)ストリーミングプロファイルにプレイリストを追加するための、プレイリストから曲を削除するための、およびプレイリストを消去するためのコマンドを含む。
【0065】
プレイリストは、楽曲が保存されているファイルの有効パスを通じてメディアプレーヤの管理のためのデータベースに(論理リンクを介して)論理的に接続されているため、これらのファイルはシミュレーション用モジュール100、すなわちコンピュータ110に存在することが好ましい。しかしながら、これらのファイルはUSBインターフェースを介してシミュレーション用モジュール100に接続された、USBペンまたは外部ハードディスクに位置しているものでもよく、そのファイルのパスはメディアプレーヤのデータベースに論理的にリンクされ得る。
【0066】
従ってこの場合、20Hzから20kHzまでの帯域のステレオ音声ストリーミングで、音源として(MP3ファイル)音声ストリームをシミュレータ100内部で使用し、音声ストリームはコンピュータのUSBポートを通じて読み込むことができ、プレイリストを用いて管理することができる。被試験機器、例えば機器200に接続された、外部音声分析器、例えば音声分析器401によって、信号分析が提供される。分析される被試験機器の要素は、オーディオDSP、HiFiステレオアンプ、ブルートゥースチップセット、およびソフトウェアアプリケーションである。レベル、周波数、歪み、信号対ノイズ比、およびFFTの測定が行われる。
【0067】
グラフィックインターフェースは、生成音声電気信号ASGの代わりに音声信号を選択する機能をさらに想定し、この音声信号は、代わりにシミュレーション用モジュール100のファイル内に存在する。既に述べた信号、すなわち種々の周波数の正弦波信号に加え、(線形または対数周波数掃引を含む)周波数掃引信号、無音区間、ボイスタイプのサンプル、DTMF(Dual Tone Multi-Frequency;デュアルトーンマルチ周波数)信号、および一般に、当然であるが、PCMタイプ(.wav、.raw)の音声ファイルに入力可能な、またはグラフィックインターフェース151のアプリケーションによって実行時に生成され得る、任意の他のタイプの信号を、さらに送信してもよい。
【0068】
電話帳の管理は、電話帳自体の連絡先の閲覧およびアップデートに加え、機器200への電話帳データの伝達に関する情報用コンテナとして使用されるXMLファイルに、新たなVcardファイルの連絡先を追加する/リンクさせることを可能にする。
【0069】
電話を掛けてきたユーザの声/音声(遠方の声)のシミュレーションに使用されるファイルの管理の機能は、発信電話で使用する音声のタイプとシミュレーションされる着信音信号を、欧州の国々、米国、および英国などの種々の国の標準的なものの中から選択することを可能にする。
【0070】
組み込まれた信号処理による音声分析の機能は、機器200からきてシミュレーション用モジュール100内にファイルとして格納された音声信号を、好適にはリアルタイム分析のために使用される音声分析器401に送信する代わりに、このシミュレーション用モジュール内で処理することによって音声分析を実行する可能性を想定している。既に述べたように、この場合、基本的には上記の音声信号はシミュレーション用モジュール100内のソフトウェアまたは仮想入力に供給される。この目的のためグラフィックインターフェース151は、分析によって検出されたパラメータ、例えば周波数、振幅、信号対ノイズ比、高調波歪み、チャネル数、サンプリング周波数、分解能、および信号タイプ、並びに時間・周波数領域での信号のグラフ表現(FFT)などを再生する、分析画面をさらに想定し得る。
【0071】
さらに分析の全データを、シミュレーション用モジュール100自体の対応するログファイルに保存する。
【0072】
従って、ここで説明した解決策の利点は、前述の説明からはっきりと明らかになる。
【0073】
有利なことに、本発明に係るシステムは、音声信号再生用システム、特に音声信号を再生するように構成された自動車のユーザインターフェース機器と、携帯端末との間の対話の試験を、近距離無線チャネルを通じて安価かつ柔軟なやり方で可能にする。実際に、電話の通話の部分をシミュレーションするシミュレーション用モジュールを使用すると、ハンズフリーの試験通話のコストを節約すること、また通常の携帯電話を使用した場合よりもはるかに柔軟かつ繰返し可能なやり方で試験を構成することが可能になる。
【0074】
本発明に係るシステムは、さらに音声分析ツールを用いて容易にインターフェースすることを可能にし、種々の測定のシナリオをすぐに採用することができ、これにより音声信号再生用システムと携帯電話との間の無線通信チャネルを介した様々な態様の対話の試験が可能になる。
【0075】
本発明に係るシステムは、ある特定のモデルの携帯電話およびその特定の特性に縛られることなく、ブルートゥース(登録商標)近距離通信チャネルを備えた機器の開発、検証、および分析に有利に使用することができる。
【0076】
さらに有利なことに、移動体通信ネットワークから外れることで、電話ネットワーク自体によって導入される可能性のある障害(例えば、伝送におけるエラーおよびエコー、GSM(登録商標)信号の誤った切断)の影響をさらに除外することができ、その結果、近距離のローカル無線通信、特にブルートゥース(登録商標)と、コーデック/オーディオパスのみが音声分析を受けることになる。
【0077】
さらに本発明に係るシステムは、機能するべく、代わりに携帯電話のようなネットワーク、特にGSM(登録商標)への接続を必要とすることは想定しておらず、この特性により、実際のGSM(登録商標)ネットワークで典型的な摂動、障害、エコー、および機能不全を構成し得るものからこのシステムが完全に外れている限り、シミュレータを試験ツールとする考えはより一層独特なものになる。
【0078】
本発明に係るシステムは、例えば自動車用ハンズフリーシステムなどのこれがインストールされる環境に拘わらず、またそういった環境を必要とせず、スタンドアロンモードのブルートゥースシステムの設計、検証、および分析の要件を満たす。上記システムにおいて最も重要なことは、例えばアプリケーションおよびコーデックの観点からのソフトウェア、およびハードウェアの、補正およびジャストインタイム設計(PCBのレイアウト、A/DおよびD/A変換器、DSPで行われるPCMから/へのサンプルレートおよびフォーマットの変換、FPGAを用いて提供されるデジタルフィルタリング、使用されるブルートゥースチップセットのパフォーマンス)と、並びに開発段階に続く組み込まれたシステムでの特徴付け/分析(ソフトウェアのバグおよび/またはハードウェアコンポーネントの問題の修正)と、工場に戻ってきたシステム(顧客保証でカバーされ、典型的には研究室においてスタンドアロンモードで分析される)の故障分析プロセスでのトラブルシューティングである。電気的音声インターフェースの直接の利用可能性(あるいは、コンピュータに事前に読み込まれ、測定自体と同期化され得る、音声ストリーミングファイルを用いる可能性)と、発信および着信の両方の音声通話の設定の可能性は、現在施行されている国際標準、例えばITU−T/PESQに従った知覚測定に必要な試験音声の生成を可能にする(およびこの生成の本質的な基盤を構成する)。このとき、対応する推奨により定義され測定で使用されるアルゴリズムのアプリケーションは、単に、シミュレーション用モジュールを用いて、被試験システムを構成する全てのハードウェア/ソフトウェア要素を全体的にシミュレーションするという事実のために実装され得る。これに対し、これらの要素はシミュレーション用モジュールを使用しなければ実際の市販の電話を用いる以外にアクティブにすることができなかったであろうが、しかし市販の電話は、上記電気的インターフェースを利用することができず、またいかなる場合でも特定のモデル/製造者と、特に、試験手順に介入する、通話に使用される実際のGSM(登録商標)ネットワークとに縛られることになる。
【0079】
本書で説明したシステムは、プロファイルA2DPおよびAVRCPをさらに実装し、従ってステレオプレーヤでも同じ試験を実行する目的のために、データを送信しコマンドをシミュレーションすることが可能になり、この場合もステレオプレーヤは、ハードウェアコンポーネント(特にオーディオDSP)とソフトウェアとを含んでいる。
【0080】
当然のことであるが、本発明の原理の権利を損なうことなく、構造の詳細および実施形態は、本書で単に例として説明および図示したことに対し、それにより本発明の範囲から逸脱しなければ幅広く変化させることができる。
【0081】
試験される音声信号再生用システムは、車両のハンズフリーシステムで音声信号を再生するように構成された、自動車のユーザインターフェース機器であることが好ましい。本発明に係るシステムは、一方で、類似した特徴を示す他のシステム、例えばハンズフリー通話用の組み込まれたマイクを装備しているブルートゥース(登録商標)スピーカ、およびマイクを備えたブルートゥース(登録商標)ヘッドセットを試験するために使用することができる。
【0082】
前述したように、本発明に係るシステムは、音声信号に関する対話、携帯電話の対応する機能のシミュレーションだけでなく、前述した電話帳の伝達などOBEXプロトコルを介してデータを伝達する能力も、さらにはOBEXに基づきFTP、MAP、OPPなどの他のブルートゥース(登録商標)プロファイルを加えることによって、office/電子メールタイプのサービスの設定と自動車のインターフェース機器を含めたユーザインターフェース機器に高頻度で関連するメッセージおよび画像の送信とを可能にする機能も、試験することができる。
【0083】
本発明に係るシステムは、好適には、ブルートゥース(登録商標)標準を使用する近距離無線チャネルに適用され得る。一方、UWB(超広帯域)、Zigbee(登録商標)、またはWi−Fiなどの他の近距離無線チャネルと関連付けて使用することもできる。
【0084】
携帯電話のシミュレーション用モジュール100は、例えばブルートゥース(登録商標)インターフェースを備えたポータブルコンピュータなどの処理手段に含まれる近距離無線送受信モジュールに、信号交換関係で関連付けてもよいし、あるいは外部の機器に関連付けてもよい。すなわち、例えばブルートゥース(登録商標)ペンまたはドングルが、ポータブルコンピュータに挿入される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7