(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板を構成するガラスは、SiO2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むものであり、
前記研磨砥粒は、平均粒径が10〜50nmの範囲内のコロイダルシリカであり、
前記研磨液は、酸性域に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させることにより、研磨中に生じるガラス成分を含むスラッジを分解し、
研磨後の前記ガラス基板の主表面の算術平均表面粗さRaが0.20nm以下であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
ガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板を構成するガラスは、SiO2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むものであり、
前記研磨砥粒は、平均粒径が10〜50nmの範囲内のコロイダルシリカであり、
前記研磨液は、アルカリ性に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させることにより、研磨中に生じるガラス成分を含むスラッジを分解し、
研磨後の前記ガラス基板の主表面の算術平均表面粗さRaが0.20nm以下であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記研磨液を用いてガラス基板の主表面を研磨することにより、長さ50nm以下で深さ5nm以下の微小な表面欠陥を低減することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記処理液を用いてガラス基板の主表面をリンス処理することにより、長さ50nm以下で深さ5nm以下の微小な表面欠陥を低減することを特徴とする請求項3に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記アルミニウムイオンを供給しうる物質の含有量は、0.001モル/L〜0.1モル/Lの範囲内であることを特徴とする請求項6又は7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記アルミニウムイオンを供給しうる物質は、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムから選択される少なくとも1種の物質であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記ガラス中に含まれるアルカリ土類金属の含有量は、酸化物に換算した場合、5重量%以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記ガラス基板は、熱アシスト磁気記録方式用の磁気ディスクに用いられるガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
請求項1乃至11のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在のHDDにおいては、1平方インチ当り500ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに至っており、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクに320ギガバイト程度の情報を収納することが可能になっているが、更なる高記録密度化、例えば375〜500ギガバイト、更には1テラバイトの実現が要求されるようになってきている。このような近年のHDDの大容量化の要求に伴い、基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきている。上記のような例えば375〜500ギガバイトの磁気ディスクや、熱アシスト磁気記録方式用磁気ディスク向けの次世代基板においては、メディア特性に与える基板の影響が大きくなるので、基板表面の粗さだけでなく、スクラッチ(傷)等の表面欠陥が存在しないことについても現行品からの更なる改善が求められる。
【0007】
次世代基板においてはメディア特性に与える基板の影響が大きくなるのは以下のような理由による。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい領域に信号を書き込むことや、より小さい磁性粒子の信号を拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、従来以上の低浮上量化を実現するために、DFH(Dynamic Flying Height)制御という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、磁気ヘッドの記録再生素子部の近傍に極小のヒーター等の加熱部を設けて、記録再生素子部周辺のみを媒体表面方向に向けて突き出す機能である。今後、このDFH機能によって、磁気ヘッドの素子部と媒体表面との間隙は、2nm未満と極めて小さくなると見られている。このような状況下で、基板表面の平均粗さを極めて小さくしたところで、従来問題とならなかった極く小さなスクラッチ、ピット等の表面欠陥が存在すると、スクラッチの底(谷)部分においては、媒体の磁性層と磁気ヘッドの素子部との距離が離れてしまうため、磁気信号のオーバーライト(上書き)時にエラーとなりやすいことがわかってきた。すなわち、最初に書いた磁気信号に対して、別の磁気信号をオーバーライトした際に、元の磁気信号が残ってしまう現象である。これは、高記録密度化のために、磁気ディスクの記録層材料のKu(磁気異方性)を増加させたことと、磁気ヘッドの記録・再生素子のサイズが小さくなったことで、磁気信号が記録しにくくなったことも背景として考えられる。
【0008】
ところで、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を混濁させたスラリーと研磨後のガラス基板品質とは相互関係が強く、たとえばスラリー中に含まれる研磨材の粒径をコントロールすることにより、ガラス基板の主表面の品質向上に効果があることはよく知られている。本発明者の検討によれば、スラリー中に含まれる研磨材の粒径をコントロールすることにより、例えば微細粒子の研磨材を用いることにより、基板の主表面の粗さを低減することができるが、あまり微細化すると逆に粗さが上昇したり、端面形状が悪化したり、研磨レートが低下するなどの問題が生じる。また、研磨材の微細化だけでは、例えば長さが1μm程度の大きなスクラッチ(傷)やピット等の表面欠陥については改善効果があるが、長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチについては、低減できないことを見出した。
【0009】
特に近年のHDDの大容量化の要求に伴う基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきており、従来の改善手法によって基板表面品質の更なる向上を実現することには限界があり、特に、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチについては、従来の改善手法では改善できないことが分かった。
なお、上記特許文献3〜5に開示されている方法は、主にNiP/Al基板を対象としているものであり、ガラス基板に関しては具体的な開示はされていない。ガラス基板の研磨においては、研磨によって発生したスラッジが、コロイダルシリカ等の研磨砥粒やガラス基板を構成するガラスと成分が同じであるゆえに、上記の極めて微細なスクラッチの発生メカニズムが異なるため、上記特許文献3〜5(NiP/Alの研磨の場合)とは異なる課題がある。
【0010】
本発明はこのような従来の課題を解決すべくなされたものであって、その第1の目的は、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチのような表面欠陥を従来品より更に低減させることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、およびそれによって得られるガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、良好な研磨レートを実現できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、およびそれによって得られるガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
また、本発明の第3の目的は、研磨工程で、良好な研磨レートを維持しつつ、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチのような表面欠陥を従来品より更に低減させることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、およびそれによって得られるガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
また、その他の目的としては、基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として使用することが可能な高品質のガラス基板を低コストで製造できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、およびそれによって得られるガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、従来の成膜後の磁気ディスクの検査において、ディスク表面の極微小な凹欠陥に起因する信号消し残り欠陥が多く発生することを発見した。その原因について調査したところ、ガラス基板表面に、上記したような長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチ等の表面欠陥があることを突き止めた。その極微小な表面欠陥の発生メカニズムについても調査した結果、研磨によって発生したガラススラッジが研磨パッド上に付着して堆積し成長して、それがガラス基板表面に接触することにより発生しているものと推察された。また、上述のとおり、DFHヘッドの突き出し量が大きくなったことなどにより、このような微小欠陥による問題が顕在化してきたと考えられる。
しかも、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチについて、さらに検討した結果、特定のガラスを研磨した場合に、上記スクラッチが増えることを見出した。そして、さらに検討を進めた結果、ガラスを構成している成分のうち、アルカリ土類金属(特に、Mg、Ca)を一定量含むガラスを研磨した場合に、上記スクラッチが顕著に多いことを発見した。
【0012】
そこで、本発明者は、上記課題を解決すべく、従来は十分に検討されていなかった研磨液の特性に着目し、鋭意検討した結果、特定の組成のガラスを研磨する際に、研磨液中にアルミニウムイオンを含有させることにより、良好な研磨レートを維持しつつ、極微小なスクラッチ等の表面欠陥を従来品より更に低減させることができることを見出した。また、特にアルミナの含有量が少ないガラスの研磨加工において、その効果が顕著であることも見出した。
【0013】
すなわち、本発明は上記第1の目的を達成するために、以下の構成を有する。
(構成1)
ガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板を構成するガラスは、SiO
2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むものであり、前記研磨砥粒は、コロイダルシリカであり、前記研磨液は、酸性域に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0014】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するために以下の構成を有する。
(構成2)
ガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板を構成するガラスは、SiO
2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むものであり、前記研磨液は、アルカリ性に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0015】
また、本発明は、上記第3の目的を達成するために以下の構成を有する。
(構成3)
SiO
2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むガラスからなるガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程と、該研磨工程の後に実施され、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間にアルミニウムイオンを含有する処理液を供給することで前記ガラス基板の主表面を摺動処理するリンス工程(リンス処理)を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0016】
さらに、本発明は、以下の構成を備えていてもよい。
(構成4)
前記研磨液又は前記処理液中に、アルミニウムイオンを供給しうる物質を添加することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成5)
前記研磨液又は前記処理液に添加される前記アルミニウムイオンを供給しうる物質の含有量は、研磨液又は処理液に対して0.001モル/L〜0.1モル/Lの範囲内であることを特徴とする構成4に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0017】
(構成6)
前記アルミニウムイオンを供給しうる物質は、Al
2O
3、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムから選択される少なくとも1種の物質であることを特徴とする構成4又は5に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成7)
前記ガラス基板は、熱アシスト磁気記録方式用の磁気ディスクに用いられるガラス基板であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0018】
(構成8)
構成1乃至7のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記構成1とすることで上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチのような表面欠陥を大幅に低減させることができ、とりわけ基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として使用することが可能な高品質のガラス基板を低コストで製造することが可能である。
また、本発明の上記構成2とすることで、研磨レートを向上させつつ、極微小なスクラッチ等の表面欠陥を低減させることができる高品質のガラス基板を低コストで製造することが可能である。
また、本発明の上記構成3とすることで、良好な研磨レートを維持しつつ、極微小なスクラッチ等の表面欠陥を大幅に低減させることができ、とりわけ基板表面品質への要求が現行よりもさらに厳しいものとなっている次世代用の基板として使用することが可能な高品質のガラス基板を低コストで製造することが可能である。
また、本発明によって得られるガラス基板を利用し、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、粗研削工程(粗ラッピング工程)、形状加工工程、精研削工程(精ラッピング工程)、端面研磨工程、主表面研磨工程(第1研磨工程、第2研磨工程)、化学強化工程、を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。次に、この成型したガラス基板の主表面に対して寸法精度及び形状精度を向上させるための研削(ラッピング)を行う。この研削工程は、通常両面ラッピング装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
【0022】
この研削工程の終了後は、形状加工工程、端面研磨工程を経た後、高精度な平面を得るための鏡面研磨加工を行う。ガラス基板の鏡面研磨方法としては、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等の研磨パッドを用いて行うのが好適である。
【0023】
ここで、本発明における第1の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施の形態は、上記構成1にあるように、ガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板を構成するガラスは、SiO
2を主成分とし、二価成分であるアルカリ土類金属を含むものであり、前記研磨砥粒は、コロイダルシリカであり、前記研磨液は、酸性域に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させる構成である。
【0024】
上記の研磨液は、研磨材と溶媒である水の組合せであり、さらに研磨液のpHを調整するためのpH調整剤や、その他の添加剤が必要に応じて含有されている。
【0025】
本実施の形態において、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を組成するには、純水、例えば、RO水を用い、さらに上記アルミニウムイオンを供給しうる物質を添加してアルミニウムイオンを含有させた研磨液とすればよい。ここでRO水とは、RO(逆浸透圧膜)処理された純水のことである。RO処理及びDI処理(脱イオン処理)されたRO−DI水を用いると特に好ましい。RO水或いはRO−DI水は不純物、例えばアルカリ金属の含有量が極めて少ない上に、イオン含有量も少ないからである。
【0026】
また、本実施の形態の研磨工程に適用される上記研磨液は、酸性域に調整されたものが用いられる。例えば、硫酸等の酸を研磨液に添加して、酸性域(pH=1〜4の範囲)に調整される。本実施の形態において酸性域に調整された研磨液を好適に用いる理由は、生産性及び清浄性の観点からである。酸性域に調整すると、研磨レートを高くすることができ、生産性を高められるので好ましい。pHは1〜4の範囲内であることが好ましい。また、本発明者等は、本発明を適用しない、つまり、研磨液にアルミニウムイオンを添加しないで、pHが1〜4の範囲内で上記ガラス基板の研磨処理を行ったところ、pHが上記範囲外で研磨処理を行った場合に比べて、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチのような表面欠陥が非常に多かった。このため、本発明のように、研磨液にアルミニウムイオンを添加した場合には、酸性領域はもちろんのこと、特にpHが1〜4の範囲内で研磨を行った場合に上記表面欠陥を顕著に低減させることができる。
【0027】
本実施の形態では、ガラス基板を研磨する研磨工程で使用する研磨液に含まれる研磨砥粒としてコロイダルシリカを用い、この研磨液中にアルミニウムイオンを添加している。コロイダルシリカの構成成分であるSiO
2は、ガラス基板の主成分(ガラス中に50重量%以上を占める成分)であるSiO
2と同じ成分であるため、後述するように、コロイダルシリカ自体も、上記スクラッチを発生する要因となりやすい。このため、本実施の形態では、研磨液中にアルミニウムイオンを添加し、スクラッチを発生する要因を低減している。このスクラッチが発生する推定メカニズムについては後述する。
【0028】
研磨液に含有されるコロイダルシリカ研磨砥粒は、平均粒径が10〜50nmの範囲内ものを使用するのが研磨効率の点からは好ましい。特に、仕上げ鏡面研磨工程(後段の第2研磨工程)に用いる研磨液に含有される研磨砥粒は、表面粗さのいっそうの低減を図る観点から、平均粒径が10nm以上30nm未満のものを使用するのが好ましい。さらに好ましくは10〜20nmの範囲のものである。
一方で、このような粒径の小さなコロイダルシリカ砥粒を使用する場合、砥粒を介する研磨パッドとガラス基板表面との間隔が小さく(狭く)なるので、研磨によって発生したガラススラッジ(研磨屑)が研磨パッド上に付着すると、ガラス基板表面と接触し易くなるため、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチ等の発生が起こり易くなる。しかし、このような条件であっても、本実施の形態を適用することで、研磨パッド上に付着したスラッジを分解、除去することができるので、上記の粒径の小さな研磨砥粒を使用する研磨工程においても上記スクラッチを低減できる。
なお、本発明において、上記平均粒径とは、光散乱法により測定された粒度分布における粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径(以下、「累積平均粒子径(50%径)」と呼ぶ。)を言う。本発明において、累積平均粒子径(50%径)は、具体的には、粒子径・粒度分布測定装置を用いて測定して得られる値である。
【0029】
本実施の形態では、この酸性域に調整された研磨液中にアルミニウムイオンを含有させたものを用いて研磨工程を実施する。研磨液中にアルミニウムイオンを含有させるためには、例えば硫酸アルミニウム等のAlを含み水溶液中でイオン化する物質を研磨液に添加する方法が簡易である。添加する物質は、固体でも液体でもよいが、予め水等に溶解させてアルミニウムイオンを含む液体として添加すると簡便である。このAlを含み水溶液中でイオン化する物質の他の例としては、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウムなどが好ましく挙げられる。
つまり、本実施の形態においては、研磨液中にアルミニウムイオンが存在している。
【0030】
本実施の形態を適用することにより上記スクラッチが低減できるメカニズムは定かではないが、本発明者の検討によると、以下のように推測される。
まず、上記長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチが発生するメカニズムは、以下のように推察される。
ガラス基板が研磨されることにより、スラッジ(ガラス成分)が発生する。このスラッジが、研磨パッドの表面に付着して凝集したり、研磨パッド最表層の開口部に凝集したりした場合に、この凝集物がガラス基板と接触すると、上記スクラッチよりも大きな、例えば、長さが1μm程度のスクラッチが発生すると考えられる。
【0031】
ところで、ガラス基板を構成するガラス組成としてCaおよびMg等のアルカリ土類金属成分が含有されている場合、スラッジを構成する成分としてアルカリ土類金属が含まれることになる。このアルカリ土類金属は、2価の成分であり、スラッジの主成分であるシリカと結合強度は弱いが、結合しやすい。このため形成される凝集物の強度はアルカリ土類金属が含まれていないものと比べると弱いが、凝集物の形成速度が速くなり、この凝集物が研磨パッドの開口部等に付着した場合には、結合力は弱いために、長さ50nm以下、深さ5nm以下の極めて微小なスクラッチが発生しやすくなると考えられる。そして、特に、ガラス組成のうちアルカリ土類金属の酸化物の成分が5重量%以上の場合には、上記スクラッチの発生割合が高くなると考えられる。
【0032】
また、特に上記平均粒径が10〜50nmの範囲内のコロイダルシリカを用いて研磨した場合に、スラッジの大きさは上記粒径に依存し、上記極めて微少なスクラッチが発生しやすいと考えられる。
そこで、本実施の形態のように、研磨液中にアルミニウムイオンを含有させることにより、スラッジ成分の結晶構造を脆化させる。そして、結晶構造が脆化したスラッジは、研磨液による浸食に加え、研磨工程における荷重によって分解し、研磨パッド表面から除去される。なおここでスラッジとは、主にガラススラッジが結晶化して析出した難溶性の塩(スケール)のことである。
【0033】
これによって、研磨パッド表面に付着・成長したスラッジにより発生していた極微小なスクラッチ等の表面欠陥を改善することができる。
そのため、極微小なスクラッチ等の表面欠陥を従来品より更に低減させることができる高品質の磁気ディスク用ガラス基板を低コストで製造することが可能である。なお、本発明で問題としている上記スクラッチとは、例えば幅及び長さが50nm以下、深さが5nm以下のごく微小なスクラッチ(傷)である。このような微小なスクラッチが基板表面に存在すると、磁性膜等を成膜して磁気ディスクとした場合であってもディスク表面上に欠陥として現れるため、前述のとおりオーバーライト特性に影響を与える。
【0034】
本発明においては、アルミニウムイオンの中でも、特にAl
3+イオンを研磨液に含有させることが好ましい。Al
3+イオンを研磨液に含有させることで、上述のガラススラッジが研磨パッド表面で結晶化し固化することを抑制する効果が最も発揮されやすくなる。これは、プラス側でかつ価数が大きいことに起因すると考えられる。なお、Al
3+イオン以外の例としてはAl元素を含む錯イオンなどがあるが、Al
3+イオンは元素のみであるので、錯イオンと比べて小さくスラッジの中に入り易いことも効果が高い要因と考えられる。
【0035】
本実施の形態において、前記研磨液中のAlを含み水溶液中でイオン化する物質、例えばAl
3+イオンを供給しうる物質の含有量は、0.001モル/L〜0.1モル/Lの範囲内であることが好ましい。特に、0.005モル/L〜0.05モル/Lの範囲が好ましい。
研磨液中のAl
3+イオンを供給しうる物質の含有量が、0.001モル/L未満であると、上記スクラッチの低減効果が十分に得られない。一方、研磨液中のAl
3+イオンを供給しうる物質の含有量が、0.1モル/Lを超えた場合、逆に上記スクラッチの発生頻度が悪化してしまう。この理由としては、推察であるが、過剰のAl
3+イオンが、脆化して分解したスラッジと結合してガラス基板の表面に付着し、スクラッチの原因となると考えられる。
研磨液中のアルミニウムイオンの量は、ICP発光分析で測定することができる。
【0036】
また、本実施の形態において、研磨液中の砥粒濃度は、特に制約されないが、研磨後の表面品質及び研磨レートの観点からは、10〜30重量%の範囲とすることができる。特に、10〜20重量%の範囲が好適である。研磨液中の砥粒濃度が小さい場合、砥粒を介する研磨パッドとガラス基板表面との間隔も小さく(狭く)なりやすいので、研磨によって発生したガラススラッジ(研磨屑)が研磨パッド上に付着すると、ガラス基板表面と接触し易くなり、スクラッチ等の発生が起こり易くなる。本実施の形態においては、研磨パッド上に付着したスラッジを分解、除去することができるので、特に10〜15重量%の範囲内である砥粒濃度が小さい研磨液を使用することが特に好適である。
【0037】
本実施の形態の研磨工程における研磨方法は特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板と研磨パッドとを接触させ、研磨砥粒を含む研磨液を供給しながら、研磨パッドとガラス基板とを相対的に移動させて、ガラス基板の表面を鏡面状に研磨すればよい。
例えば
図1は、ガラス基板の鏡面研磨工程に用いることができる遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。
図1に示す両面研磨装置は、太陽歯車2と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車3と、太陽歯車2及び内歯歯車3に噛み合い、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じて公転及び自転するキャリア4と、このキャリア4に保持された被研磨加工物1を挟持可能な研磨パッド7がそれぞれ貼着された上定盤5及び下定盤6と、上定盤5と下定盤6との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
【0038】
このような両面研磨装置によって、研磨加工時には、キャリア4に保持された被研磨加工物1、即ちガラス基板を上定盤5及び下定盤6とで挟持するとともに、上下定盤5,6の研磨パッド7と被研磨加工物1との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じてキャリア4が公転及び自転しながら、被研磨加工物1の上下両面が研磨加工される。
なお、加える荷重は、95〜135g/cm
2の範囲内が好適である。
上記荷重が、95g/cm
2よりも低いと、ガラス基板の加工性(研磨速度)が低下するために好ましくない。また、135g/cm
2よりも高い場合には、上記スクラッチの発生が増加するため好ましくない。
【0039】
特に仕上げ鏡面研磨用の研磨パッドとしては、軟質ポリッシャの研磨パッド(スウェードパッド)であることが好ましい。研磨パッドの硬度はアスカーC硬度で、60以上90以下とすることが好適である。研磨パッドのガラス基板との当接面は、発泡ポアが開口した発泡樹脂、取り分け発泡ポリウレタンとすることが好ましい。このようにして研磨を行うと、ガラス基板の表面を平滑な鏡面状に研磨することができる。
【0040】
通常、鏡面研磨工程は、前記のようにラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程と、この第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、ガラス基板主表面の表面粗さを平滑な鏡面に仕上げる第2研磨工程の2段階を経て行われることが一般的である(但し、3段階以上の多段階研磨を行うこともある)が、この場合、少なくとも後段の第2研磨工程は、本実施の形態による研磨工程を適用することが好適である。
【0041】
また、本発明においては、ガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、SiO
2を主成分とし、かつ、アルカリ土類金属を含むものである。ここで、アルカリ土類金属の酸化物とは、MgO、CaO、SrO、Ba
Oのことである。ガラスを構成するアルカリ土類金属の割合(酸化物に換算したときの割合)としては、要求されるガラスの特性に応じて異なるが、5重量%以上である場合について、本発明(上記構成1)を適用することがより好ましい。アルカリ土類金属の酸化物の割合が5重量%以上のガラスを用いる場合には、アルカリ土類金属の酸化物の割合が5重量よりも少ないガラスの場合と比べて、上記した理由により、上記のような微細なスクラッチが多くなるが、本発明(上記構成1)を適用することにより、上記スクラッチの発生を顕著に抑制できる。とりわけ、アルカリ土類金属の酸化物のうち、ガラスに含まれるMgOとCaOとの合計量が5重量%以上の場合には、本発明(上記構成1)を適用することにより、上記スクラッチの発生を効果的に抑制できる。
【0042】
また、本発明においては、ガラスとして、アルカリ土類金属を含むアルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。このようなガラスを用いたガラス基板は表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また加工後の強度が良好である。また、化学強化によってさらに強度を上げることもできる。
また、上記ガラスは、結晶化ガラスであってもよく、アモルファスガラスであってもよい。アモルファスガラスとすることで、ガラス基板としたときの主表面の表面粗さをより一層下げることができる。
このようなアルミノシリケートガラスとしては、アルカリ土類金属の酸化物が5重量%以上であって、SiO
2が58重量%以上75重量%以下、Al
2O
3が5重量%以上23重量%以下、Li
2Oが3重量%以上10重量%以下、Na
2Oが4重量%以上13重量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いることができる。さらに、例えば、アルカリ土類金属の酸化物が5重量%以上であって、SiO
2 を62重量%以上75重量%以下、Al
2O
3を5重量%以上15重量%以下、Li
2 Oを4重量%以上10重量%以下、Na
2 Oを4重量%以上12重量%以下、ZrO
2を5.5重量%以上15重量%以下、主成分として含有するとともに、Na
2O/ZrO
2 の重量比が0.5以上2.0以下、Al
2O
3 /ZrO
2 の重量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとすることができる。
【0043】
また、次世代基板(例えば熱アシスト磁気記録方式に適用される磁気ディスクに用いられる基板)の特性として耐熱性を求められる場合もある。この場合の耐熱性ガラスとしては、例えば、アルカリ土類金属の酸化物が5重量%以上であって、以下はモル%表示にて、SiO
2を50〜75%、Al
2O
3を0〜6%、BaOを0〜2%、Li
2Oを0〜3%、ZnOを0〜5%、Na
2OおよびK
2Oを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO
2、TiO
2、La
2O
3、Y
2O
3、Yb
2O
3、Ta
2O
5、Nb
2O
5およびHfO
2を合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al
2O
3/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスを好ましく用いることができる。
【0044】
本発明においては、上記鏡面研磨加工後(上記研磨処理後)のガラス基板の表面は、算術平均表面粗さRaが0.20nm以下、特に0.15nm以下である鏡面とされることが好ましい。更に、最大粗さRmaxが2.0nm以下である鏡面とされることが好ましい。なお、本発明においてRa、Rmaxというときは、日本工業規格(JIS)B0601に準拠して算出される粗さのことである。特に、ガラス基板の表面粗さが上記したように、Raが0.20nm以下の場合に、本実施の形態にかかる研磨処理を行うことが好ましい。これは、表面粗さが上記範囲よりも高い場合には、粗さが高いために、上記スクラッチが問題とならない場合があるためである。換言すると、本発明は、ガラス基板の表面を上記範囲とした場合に、顕著に現れる課題を解決するものである。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を256×256ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
【0045】
本発明においては、鏡面研磨加工工程の前または後に、化学強化処理を施すことが好ましい。化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上400度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス基板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス基板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス基板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス基板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化処理されたガラス基板は耐衝撃性に優れているので、例えばモバイル用途のHDDに搭載するのに特に好ましい。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸を好ましく用いることができる。
【0046】
本発明においては、上記化学強化処理後に行う研磨工程において、研磨液にアルミニウムイオンを含有させることが特に好ましい。化学強化処理によってガラス基板の表層に圧縮応力層が形成されるので、パッド表面のガラススラッジの結晶と接触した場合にスクラッチ等の表面欠陥を発生させる可能性が低くすることができる。すなわち、アルミニウムイオンによるガラススラッジの結晶の脆化効果と、ガラス基板表層の圧縮応力層の相乗効果によって、スクラッチ等の表面欠陥が発生する可能性を低くすることができる。
【0047】
また、本発明は、以上の磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法についても提供する。本発明において磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁性層を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば,Cr系合金など立方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面に沿って配向させることができる。この場合、面内磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。また、例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
【0048】
また、磁性層の上に、保護層、潤滑層をこの順に形成するとよい。保護層としてはアモルファスの水素化炭素系保護層が好適である。例えばプラズマCVD法により保護層を形成することができる。また、潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の末端に官能基を有する潤滑剤を用いることができる。取り分け、極性官能基として水酸基を末端に備えるパーフルオロポリエーテル化合物を主成分とすることが好ましい。潤滑層はディップ法により塗布形成することができる。
本発明によって得られるガラス基板を利用することにより、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
【0049】
次に、本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施形態で既に説明したものについては説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態は、上記構成2にあるように、ガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板を構成するガラスは、SiO
2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むものであり、前記研磨液は、アルカリ性に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させる構成である。
【0050】
本実施の形態は、特に鏡面研磨工程の前段(例えば上記第1研磨工程)に適用することが好適である。
本実施の形態の研磨工程に適用される上記研磨液は、アルカリ性に調整されたものが用いられる。例えば、水酸化ナトリウムを研磨液に添加して、アルカリ性(pH=8〜12の範囲)に調整される。本実施の形態においてアルカリ性に調整された研磨液を好適に用いる理由は、研磨レート向上の観点からである。
【0051】
本実施の形態において使用される研磨砥粒としては、例えば酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウムなどが好ましく用いられる。
研磨液に含有される研磨砥粒は、平均粒径が0.5μm〜1.5μm程度のものを使用するのが研磨効率及び表面品質の点からは好ましい。
【0052】
本実施の形態では、このアルカリ性に調整された研磨液中にアルミニウムイオンを含有させたものを用いて研磨工程を実施する。研磨液中にアルミニウムイオンを含有させるためには、例えば硫酸アルミニウムのAl元素を含み水溶液中でイオン化する物質を研磨液に添加する方法が簡易である。添加する物質は、固体でも液体でもよいが、予め水等に溶解させてアルミニウムイオンを含む液体として添加すると簡便である。このAlを含み水溶液中でイオン化する物質の他の例としては、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウムなどが好ましく挙げられる。
また、アルミナ(Al
2O
3)は通常は水に難溶性であるが、研磨加工のような高荷重の条件下では局所的に高温・高圧環境下となるため一部が溶出してAlイオンを供給する。また、Al
2O
3を研磨液に添加する場合は、研磨剤よりも小さい粒径のものを使用することで、ガラス基板の主表面にスクラッチが発生することを防止することができる。アルミナは、第1研磨工程においては好適である。
【0053】
また、研磨液中にリン系添加剤(分散剤)を添加することが好ましい。リン系添加剤としては、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、オルソリン酸ナトリウム等が挙げられる。このリン酸系添加剤は、研磨液中に添加したアルミニウムイオンが難溶性の水酸化アルミニウムを形成して析出することを抑制する作用を有すると考えられる。上記リン系添加剤の添加量としては、研磨液に対して0.001〜5重量%の範囲が好ましい。
【0054】
本実施の形態において、研磨液中のアルミニウムイオンを供給しうる物質の含有量は、前述の第1の実施の形態の場合と同様である。
また、本実施の形態において、研磨砥粒濃度、研磨方法などについても、前述の第1の実施の形態の場合と同様である。
【0055】
本実施の形態においても、研磨液中にアルミニウムイオンを含有させることにより、スラッジ成分(ガラス成分)の結晶構造を脆化させ、そして、結晶構造が脆化したスラッジは、研磨液による浸食に加え、研磨工程における荷重によって分解し、研磨パッド表面から除去される。これによって、従来の遊離砥粒を用いた研磨加工の課題となっていた研磨パッド表面に付着・成長したスラッジにより発生していた極微小なスクラッチ等の表面欠陥や、研磨レートの低下を改善することができる。とりわけ、本実施の形態においては研磨レートの改善効果が大きい。
【0056】
次に、本発明における第3の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施形態および第2の実施形態とで既に説明したものについては説明を省略する。
本発明の第3の実施の形態は、上記構成3にあるように、SiO
2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むガラスからなるガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨工程と、該研磨工程の後に実施され、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間にアルミニウムイオンを含有する処理液を供給することで前記ガラス基板の主表面を摺動処理するリンス処理を含む構成とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
【0057】
本実施の形態は、第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、ガラス基板主表面の表面粗さを平滑な鏡面に仕上げる第2研磨工程の後に、第2研磨工程で使用した研磨装置と同じ研磨装置を用いて、ガラス基板と前記研磨パッドとの間に、砥粒を含まない或いは砥粒濃度の第2研磨工程と比べて少ない処理液(リンス液)を供給することで前記ガラス基板の主表面を処理するリンス処理に適用することが好適である。
このリンス処理をすることによって、第2研磨工程後に主表面に付着し残留している砥粒(コロイダルシリカの砥粒)の数を減らすことができ、最終的に磁気ディスク用ガラス基板の品質を高めることができる。
【0058】
上記の砥粒を含まない或いは砥粒濃度の少ない処理液を用いて実施するリンス処理においては、研磨パッドとガラス基板表面との間に砥粒が介在しない、或いは介在したとしても少ない。このため、前段の例えば上記第2研磨工程において、研磨パッドに付着していたスラッジが存在する場合、このスラッジがリンス処理において、ガラス基板表面に接触して上記スクラッチ等の表面欠陥を発生させる可能性が高い。
そこで、本実施の形態のように、アルミニウムイオンを含有する処理液を用いてリンス処理を実施することにより、スラッジ成分(ガラス成分)の結晶構造を脆化させ、そして、結晶構造が脆化したスラッジは、リンス処理における荷重によって分解し、研磨パッド表面から除去される。これによって、従来の遊離砥粒を用いた研磨加工の課題となっていた研磨パッド表面に付着・成長したスラッジにより発生していた極微小なスクラッチ等の表面欠陥や、研磨レートの低下を改善することができる。
【0059】
本実施の形態のリンス処理に適用される上記処理液は、特に限定されるものではないが、ほぼ中性の水溶液が用いられる。例えば、純水、特にRO水を用いることが好適である。また、酸性の処理液を用いてもよい。なお、直前の研磨工程と研磨液の液性を合わせると、研磨工程からリンス処理への切り替えの時に液性の変化により発生する研磨砥粒の凝集等を防止することができるのでより好ましい。このため、例えば、上記リンス処理前に行われる研磨工程において研磨液のpHを1〜4の範囲内で研磨を行った場合、その後のリンス処理におけるリンス液のpHは1〜4の範囲内であることが好ましい。つまり、同一研磨装置で行う、リンス処理前の研磨処理とリンス処理とを、同じ液性、特に同じpHで行うことがより好ましい。
上記処理液には、砥粒を全く含まない、或いはコロイダルシリカ等の砥粒を3重量%以下、好ましくは1重量%以下の濃度で含有する。処理液に砥粒を含有する場合、平均粒径が10nm以上30nm未満のものを使用するのが好ましい。さらに好ましくは10〜20nm程度のものを使用するのが好ましい。
【0060】
処理液中にアルミニウムイオンを含有させるためには、例えば硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウムイオンを供給しうる物質を添加することが好ましく挙げられる。
本実施の形態においても、特にAl
3+イオンを処理液に含有させることが好ましい。Al
3+イオンを処理液に含有させることで、上述のガラススラッジが研磨パッド表面で結晶化し固化することを抑制する効果が最も発揮されやすくなる。
本実施の形態において、処理液中の例えばAl
3+イオンを供給しうる物質の含有量は、前述の第1の実施の形態の場合と同様である。
【0061】
また、本実施の形態では、同一の研磨装置を用いて行うリンス処理前の研磨処理において、研磨液としてアルミニウムイオンを添加したコロイダルシリカを用いて研磨を行い、その後のリンス処理において、アルミニウムイオンを添加した処理液を用いてリンス処理を行ってもよい。このとき、上記研磨液中に含まれるアルミニウムイオンの量よりも少ない量のアルミニウムイオンを処理液に添加することが好ましい。リンス処理において処理液に添加されるアルミニウムイオンの添加量が、研磨処理において研磨液に添加されるアルミニウムイオンの添加量と同等または多い場合には、リンス処理後にガラス基板表面に付着する不純物(コロイダルシリカまたはスラッジ)が多くなるため好ましくない。
【0062】
つまり、本実施の形態では、SiO
2を主成分とし、二価のアルカリ土類金属を含むガラスからなるガラス基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給することで前記ガラス基板の主表面を、上記定盤を備えた研磨装置で研磨する研磨工程と、該研磨工程の後に同一の研磨装置を用いて実施され、前記ガラス基板と前記研磨パッドとの間にアルミニウムイオンを含有する処理液を供給することで前記ガラス基板の主表面を摺動処理するリンス処理を含み、前記研磨砥粒は、コロイダルシリカであり、前記研磨液は、酸性域に調整されたものであり、かつアルミニウムイオンを含有させたものであり、前記処理液に含まれるアルミニウムイオンの含有割合は、研磨液に含まれるアルミニウムイオンの含有割合よりも少ない構成としてもよい。また、処理液に含まれるアルミニウムイオンの含有割合は、研磨液に含まれるアルミニウムイオンの含有割合に対して1/10以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0063】
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例1および比較例1は、上記構成1に対する実施例、比較例である。
(実施例1)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
【0064】
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、アルカリ土類金属の酸化物を5重量%以上含有し、SiO
2:62〜75重量%、ZrO
2:5.5〜15重量%、Al
2O
3:5〜15重量%、Li
2O:4〜10重量%、Na
2O:4〜12重量%を含有する(合計100重量%)化学強化用ガラスを使用した。
【0065】
次いで、このガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用いて行った。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)精ラッピング工程
この精ラッピング工程は両面ラッピング装置を用いた。
(4)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面の粗さを、Raで0.3nm程度に研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
【0066】
(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したものとし、荷重100g/cm
2、研磨取代を30μmとした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
【0067】
(6)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
【0068】
(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(アスカーC硬度で75の発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカ(平均粒径(D50)30nm)を分散したRO水とし、硫酸アルミニウムを0.01モル/Lの含有量で添加して溶かしたものを使用した。研磨液のpHは2となるように調整した。そして、荷重100g/cm
2、研磨取代を5μmとした。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
【0069】
上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=1.43nm、Ra=0.13nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。また、そのガラス基板の表面を目視及び光学式表面分析装置で測定し、見つかった欠陥をSEM及びAFMで分析したところ、鏡面状であり、突起や傷等の表面欠陥(長さ50nm以下、深さ5nm以下の微小なスクラッチ)の数は10個未満であった。
また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
こうして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
【0070】
(比較例1)
上記実施例1の第2研磨工程において、研磨液中に上記硫酸アルミニウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして第2研磨工程を行った。そして、第2研磨工程以外は実施例1と同様とした。
上記工程を経て得られたガラス基板の表面を上記と同様に光学式表面分析装置で分析したところ、長さ50nm以下、深さ5nm以下の微小なスクラッチが20個以上発見された。
【0071】
(研磨液中のアルミニウムイオンの含有割合の影響:参考例1〜参考例9)
次に、研磨液中に含まれるアルミニウムイオンの含有割合を変えた場合におけるスクラッチの影響を調べた。実施例1の第2研磨工程において、研磨荷重を120g/cm
2、研磨取代を2μmとし、研磨液中に含まれるアルミニウムイオンの含有量を、それそれ、0.002モル/L(参考例1)、0.006モル/L(参考例2)、0.05モル/L(参考例3)、0.07モル/L(参考例4)、0.1モル/L(参考例5)、0.2モル/L(参考例6)、0.5モル/L(参考例7)、1モル/L(参考例8)、10モル/L(参考例9)に調整して第2研磨を行った。そして、上記工程を経て得られたガラス基板の表面を上記と同様に光学式表面分析装置で分析したところ、長さが30nm以下であると判定された欠陥(付着異物も含む)をカウントしたところ、それぞれ、10個(参考例1)、5個(参考例2)、8個(参考例3)、13個(参考例4)、14個(参考例5)、26個(参考例6)、30個(参考例7)、100個以上(参考例8)、150個以上(参考例9)であった。特に参考例8と9は、上記スクラッチよりも異物の付着が多かった。なお、参考例1〜参考例5については、参考例8、9と同様の異物の付着は確認されなかった。
【0072】
以下の実施例2は、上記構成2に対する実施例である。
(実施例2)
上記実施例1の第1研磨工程を以下のようにして行った。
研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、硫酸アルミニウムを0.01モル/Lの含有量で溶かしたものを使用した。研磨液のpHは10となるように調整した。荷重100g/cm
2、研磨取代を30μmとした。
また、第2研磨工程については、上記実施例1の研磨液中に上記硫酸アルミニウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして第2研磨工程を行った。そして、第1研磨工程および第2研磨工程以外は実施例1と同様とした。
【0073】
上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=1.51nm、Ra=0.14nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。一方、第一研磨工程の研磨レートについては比較例1と比べて約20%増加した。
【0074】
以下の実施例3、4は、上記構成3に対する実施例である。
(実施例3)
上記実施例1の第2研磨工程の後に、同じ両面研磨装置をそのまま用いて以下のリンス工程を行った。
研磨パッドとガラス基板との間に供給する処理液としてはコロイダルシリカ(平均粒径20nm)を1重量%以下で分散したRO水とし、硫酸アルミニウムを0.01モル/Lの含有量で添加して溶かしたものを使用した。処理液のpHは2となる様に調整した。荷重100g/cm
2、処理時間5分とした。上記リンス工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
このリンス工程以外は実施例1と同様とした。
【0075】
上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=1.19nm、Ra=0.11nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。また、そのガラス基板の表面を上記と同様に光学式表面分析装置(OSA)等で分析したところ、鏡面状であり、突起や傷等の表面欠陥の数は10個未満であった。
【0076】
(実施例4)
上記実施例1の第2研磨工程の後に、同じ両面研磨装置をそのまま用いて、実施例3のリンス処理の処理液に砥粒を添加しなかった以外は、実施例3と同様にしてリンス処理を行った。このリンス処理以外は実施例1と同様である。
上記処理を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=1.15nm、Ra=0.09nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。また、そのガラス基板の表面を上記と同様に光学式表面分析装置で分析したところ突起や傷等の表面欠陥の数は5個未満であった。また、主表面上に残存した研磨砥粒の数について実施例3と比較した結果、実施例4の方が半分以下であった。
【0077】
(磁気ディスクの製造)
上記実施例1〜4で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、DFH制御機構を搭載したヘッドを用いて所定のオーバーライト特性試験を行ったが、特にオーバーライト障害も無く、良好な結果が得られた。