(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266505
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】芝用格子
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20180115BHJP
E01C 13/10 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
E01C13/08
E01C13/10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-503135(P2014-503135)
(86)(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公表番号】特表2014-511151(P2014-511151A)
(43)【公表日】2014年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2012056176
(87)【国際公開番号】WO2012136710
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2015年1月14日
(31)【優先権主張番号】00634/11
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513251946
【氏名又は名称】エルツァイハングスデパルトメント ベーエス スポルタント
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン、エリック
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03916565(US,A)
【文献】
実開平01−105604(JP,U)
【文献】
特開2010−090679(JP,A)
【文献】
特表2007−524401(JP,A)
【文献】
特開2008−136442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00−17/00
F25C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工アイス・リンクとして使用することができる氷層の季節的用途のためのデバイスを使用して、夏期営業に適した表面の上に人工アイス・リンクを作製するための方法において、前記表面が、整氷機器の使用を支持するのに十分に強固である基礎構造及び前記表面の真下に配置された伝熱媒体用ライン・ネットワークを有しており、前記表面が、基材を充填した芝用格子に根を張った芝生を含み、前記芝用格子は、分割壁により互いに離間した複数のチャンバーを含み、パイプラインが、伝熱媒体を導くために、前記分割壁の凹部内に敷設されており、前記芝生は、前記氷層の中に統合されることが可能であり、前記伝熱媒体用ライン・ネットワークが、前記芝用格子の中に通り、
前記方法は、
前記芝生を水に浸漬させるステップと、
前記水を完全に凍結させるステップと、
均一に水を与えることにより人工氷層を作製するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記芝生の前記根が、前記芝用格子が埋入された芝支持層中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
断熱層が前記芝生の下に位置する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記断熱層が発泡ガラスの砂利である、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生が機械的応力に耐える能力を増大させるための芝用格子に関する。さらに、本発明は、スポーツ・レクリエーション施設、及び例えば屋根の表面、土手など、他の形ではわずかしか使用されない、又は全く使用されない表面における芝用格子の使用に関する。さらに、本発明は、人工アイス・リンクの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書のために、以下の定義を適用するものとする。
− 芝生という用語は、根を含む草及び下生えによる、土又は基材に対する天然植物の被覆物であると理解されたい。
− 芝用格子という用語は、芝生が機械的応力に耐える能力を増大させ、又は重機、車輪などが芝生内に沈下するのを防止する、芝生内に敷設される又は敷設されているすべての構造要素を含む。
− 芝用エネルギー格子システムという用語は、熱エネルギーを供給又は取り去るために、配管システムが中に敷設され、このシステムを通して伝熱媒体を導くための芝用格子に使用される。格子システムは、植物のない表面内にも敷設することができ、その場合にはエネルギー格子システムと呼ばれる。
− 夏期営業という用語は、暦による季節とは無関係に、スポーツ・レクリエーション施設を氷のない状態で使用する場合に使われ、一方、冬期営業という用語は、同じ施設を人工アイス・リンクとして使用する場合に使われる。
− レクリエーション施設という用語は、公的部門及び民間部門におけるスポーツ競技場及び運動場、休息する(lying down)ための区域などを含む。
− 伝熱媒体という用語は、熱を引き出すための冷媒も含む。
【0003】
現況技術では、夏期営業だけでなく、冬期営業にも使用される施設が知られている。これに関連して、夏期営業のための表面は、一般的に硬い表面、例えばポリウレタン(PU)結合珪砂の表面であり、夏期営業の間、マット又はストリップの形態の人工芝生で覆われる。冬期営業のために氷構造体内に人工芝生を統合することは、すでに知られている。
【0004】
こうした既知の施設では、冷媒用の配管システムを有する層が表面の下に位置し、この冷媒は、通常の冷熱発生器によってアイス・リンクの作製に必要な温度まで冷却され、配管システムにポンプ注入される。この層の下には、例えば冷蔵層、断熱層、支持層などのさらなる機能層が存在する。
【0005】
これら既知の施設は、上面又は人工芝生が、スイミング・プールの周りで休息するための区域など、多くの使用に適していないという欠点を有する。
【0006】
天然芝生区域の上に人工アイス・リンクを設置することも、すでに知られている。この目的のために、冷却剤ラインを収容し、準備された区域に広げられる輸送可能なモジュールから構成される移動人工アイス・リンクが、一般的に使用される。天然芝生を保護するための方策が必要である場合がある。この解決策は、例えば、夏期の間のモジュールの輸送や保管など、多数の面で複雑である。
【0007】
芝用格子と呼ばれるもの、例えば、ハニカム形状の六角形の格子チャンバーを有する、Savuna GmbH社からの製品「Rasenwabe nach Ing. Prestele」[Prestele技師による芝用ハニカム体]も知られている。他のチャンバー形状、例えば正方形のチャンバー形状もまた知られている。これらは、好ましくは、同時に補強材と共に設置することによって、使用区域の未舗装部、例えば消防自動車の車道又は駐車区域、並びにキャンプ場などのレクリエーション施設などのために使用される。
【0008】
表面を冷却又は温めるためのパイプライン・システム、特にアイススケート・リンクを作製するためのパイプライン・システムも、パイプが格子形状要素内に敷設されるEP770733から知られている。格子要素が砂で充填された後、スケート・リンクの構造体内に統合することができる人工芝生が敷設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP770733
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、統合した配管を有する芝用格子の使用の区域及びその機能的利用を発展させるという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この課題は、独立請求項の特徴部分によって達成される。
【0012】
以下において、本発明の好ましい例示的実施例を添付の図面を使用して説明する。これら添付の図面は、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】伝熱媒体用ラインを有する芝用格子要素の上面図である。
【
図2】スポーツ・レクリエーション施設の基本的な層構造体の概略断面図である。
【
図3】夏期営業における施設の層構造体の3次元概略図である。
【
図4】冬期営業における施設の層構造体の3次元概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示される芝用格子6は、例示のみの目的で、半分を六角形のチャンバーで、半分を正方形のチャンバーで示される。芝用格子6は、伝熱媒体が充填されたパイプライン7用支持部として働き、即ち、伝熱媒体は、パイプライン7を通って流れる。このために、パイプライン用に形成された格子パターンで、格子チャンバーの垂直な分割壁に凹部が設けられ、この凹部の中にパイプラインが敷設される。これらの凹部は、分割壁内の穴であり、パイプの外径よりもわずかに大きい内径を有する。或いは、凹部は、分割壁の上縁のくぼみであってもよく、ここで、くぼみは、狭まった部分を有するように構成することができ、それを通してパイプが圧入され係合される。
【0015】
7cmのチャンバーコーナー寸法を有する六角形格子の場合、パイプラインが、約5.5cm離間され、パイプラインが基材充填体(substrate fill)によって完全に覆われるほどの深さで格子内に配置される。当然ながら、使用を意図する区域に応じて、他の格子パターンの寸法も可能である。例えば、金属若しくはプラスチックなどの既知の材料又はこれらの材料から作製された複合パイプが、ライン用に使用される。12〜25mmの内径を有するパイプが、ほとんどの用途に実用的であることが判明している。
【0016】
芝用格子は、通常、パネルの形態で利用可能であり、芝生を補強することが意図される全区域にわたって敷設することができる。パネルのサイズは、様々であってよく、数平方メートルほどの大きさに達してもよい。特定の用途では、パイプがすでに内部に敷設されたロールの形態の材料も適している。
【0017】
配管に関して、広げられる格子内に長いパイプ材料のいずれかを導入することができる。或いは、パネルが、パネルを敷設するときに一緒に接合されるパイプ部分をすでに備えていてもよい。この目的ために、パイプ部品の端部は、適切な差し込み式接続部又はねじ型接続部を備える。
【0018】
格子パネルを敷設し、パイプラインを接続して1つ又は複数の回路を形成した後、芝用格子には、格子の分割壁及び配管が覆われる高さまで基材が充填される。完成した施設では、芝生は、この基材に本質的に根を張り、基材は、格子のチャンバーの中及び上に位置し、パイプラインを囲んで覆う。
【0019】
芝用格子の中を通るパイプラインは、伝熱媒体で充填され、即ち、伝熱媒体はパイプラインを流れる。この目的で、例えば水、冷却剤などの異なる流体が可能である。
【0020】
芝用格子及びパイプラインから構成されるシステムは、多くの様々な方法で使用することができる。好ましい使用は、夏期の間はスポーツ及びレクリエーション向けに使用することができ、冬期営業のためのアイス・リンク内に統合することができる施設を構築するための使用である。
【0021】
しかし、芝用格子及びパイプラインから構成されるシステムを使用して、既知の解決策とは対照的に、天然芝生が冬期営業のための氷構造体に統合される。そのような施設の構造体が、
図2に断面図で示され、
図3及び
図4に斜視図で示されており、ここでもまた、芝用格子のための2つの異なるチャンバーの形状が示される。
【0022】
図2に断面図で、
図3に斜視図で示されるように、施設の層構造体は、構造体のために存在し準備されている建築用土1の上に位置する。建築用土の透水性に応じて、建築用土中に通常の様式で排水ラインを設けることが必要である場合がある。建築用土から熱を遮断するために、断熱層3が建築用土に付加され、この層は、ジオテキスタイルから構成された層2によって建築用土の表面から分離される。断熱層の厚さは、現在の例示的実施例では約30cmになる。発泡ガラスの砂利が、断熱層用材料として実用的であることが判明している。しかし、他の断熱材料を使用することもでき、層の厚さを変更することもできる。ジオテキスタイルの層4によって再度分離された断熱層3の上方には、例えば20cmの厚さの、DIN 18035に従った、即ち、適切な保水能力及び同時に透水性を有する芝生支持層5が存在する。それに応じて、芝支持層は、草及び下生えの集約的な根の形成を可能にして促進する基材を構成する。
【0023】
芝生支持層の上側領域では、上記した種類の芝用格子6が芝支持層内に埋入される。本用途では、芝支持層は、例えば、芝用格子の上縁部を約2cm越えて延在する。芝用格子6の上には、草及び下生えから構成される植生8が展開する。
【0024】
図3に示される冬期営業のための構造体において、この構造体は、植生8までは夏期営業のために説明した構造体と同一である。冬期営業の準備をするために、植生は、均一に、好ましくは数ミリメートルまで刈り込まれる。さらに、パイプラインを伝熱媒体で充填し、冷熱発生器に接続する。その後、基材を、例えば散水により水に浸漬し、伝熱媒体により、熱を引き抜いた結果として芝生と共に完全に凍結させる。さらに、例えば透水性PEから構成される不透光膜9で芝生を覆う。氷層が、水を均一に加えることによりこの膜の上に作製され、この層が人工アイス・リンクを形成する。好ましくは、氷層は、少なくとも3cm、好ましくは5〜8cmの厚さを有する。膜9は、好ましくは白色であり、必要ならばホッケー・リンクのマーキングなどを設ける。
【0025】
冬期営業のためのこの構造体により、整氷機器を支持するのに十分に強固であるアイス・リンクが得られる。芝生を完全に凍結させることにより(それは寒冷環境での自然条件に対応する)、一方で強度が支持され、他方で芝生が保護される。
【0026】
冬期営業中の製氷及び氷面整備の間、冷熱発生器が、暖房の目的で他の場所に使用できる熱を生成する。
【0027】
冬期営業の終了後、短時間内に製氷を終わらせ、その後芝生の成長を促進させるために、芝生面を伝熱媒体によって温めることができる。
【0028】
芝生は、数カ月にわたって凍結状態で生存し、氷が除去された後、再び成長することがわかっている。夏期を意図した使用にとって、この成長が遅すぎる場合には、播種を再び行ってもよい。
【0029】
この解決策の著しい利点は、夏期営業中は、天然芝生が、人工芝生とは対照的に心地よいもの、例えば休息するための草地として知覚されることにある。さらに、天然芝生は、人工芝生又は硬い表面とは対照的に、周囲の局所気候にプラスの効果を有し、天然芝生の光合成のために環境に有益であり、すぐ近辺に一日の酸素必要量を供給することができる。
【0030】
別の利点は、例えば、樹木を含めて、公園の自由な形態の草地に特に魅力のある氷層を構築できるように、公園施設に組み合わせて使用し、公園施設に構築できるということにある。
【0031】
夏期営業及び冬期営業のために同じ施設を用いる利点に加えて、他の利点がある。太陽エネルギーを収集するために、異なる方法で施設を使用することができる。夏期営業において、入射する太陽熱を取り去るための伝熱媒体を冷熱発生器及び熱交換器と組み合わせて利用することによって、収集したエネルギーを使用して例えばシャワーの水、さらにはスイミング・プールを温めることができる。
【0032】
或いは、パイプライン・ネットワークを夏期営業の間に水で充填し、直接スイミング・プールに接続して、回路を形成することができ、回路の中では、芝生の中に通るパイプシステムの一部が、熱収集のために働く。
【0033】
芝用格子及び配管から構成されるシステムのそのようなさらに好ましい使用は、スポーツ競技場、特にサッカー場、及びスポーツスタジアム又はサッカースタジアムにおいてシステムを使用することにある。芝用エネルギー格子システムの使用により、芝生のわずか約3〜7cm下にある芝支持層の最上層に芝暖房を実装することが可能である。この芝用エネルギー格子システムを、競技や整備を損なうことなくスポーツスタジアムに実装することができる。最上面の通気又は整備は、スパイク・ローラー又はスプリング・タイン・ウィーダー・ハロー(spring−tine weeder harrow)により実施される。
【0034】
表面への近さのために、芝暖房のこの解決策は、現在知られているすべての他の芝暖房システムよりもかなり少ないエネルギーしか芝暖房に要しないという大きな利点を有する。今日の天然芝生用芝暖房システムは、標準寸法として、及び整備技術の理由で、常に少なくとも25から30cmの深さにあり、したがって芝を霜及び凍結から保護するのにかなりより多くのエネルギーを要する。概算的に見積もって、芝支持層1センチメートル当たり、1°の熱損失が生じることが想定される。したがって、芝用エネルギー格子システムを使用することにより、芝は、数分の1のエネルギーしか要しない。何故なら、霜のない競技場にするためのエネルギーは、5〜7cmの深さから上方にだけ放出されればよいからである。
【0035】
さらに、運動競技場内に据え付けた芝用エネルギー格子システムを使用することにより、試合のない時期、即ち、スポーツ競技場又はスタジアムが、芝用スポーツのために使用されない時期の間、ホッケー又は他の使用のための氷面を運動競技場の天然芝生の上に作製することができる。
【0036】
イベント及び興行のために、芝支持層に損傷を与えることなく最大40トンの重機及びトラックで芝面上を走行することが可能である。しかし、コンサートの間、芝は、巻き取り式の人工芝生と置き換えるか、巻き取り式の人工芝生で強化する必要がある可能性がある。芝支持層の中及び上において、さらなる水平化作業は、不要である。
【0037】
エネルギー格子システムのさらに好ましい使用は、他の形では使用されない、又は他の形では少なくとも集約的に使用されない区域において、即ち、好ましくは屋根面、土手などにおいて、太陽熱の収集器として使用することである。同様に、能動ヒートポンプを用いてシステムを稼働させることができ、それによって、平屋根及び土手の上で年間を通じてエネルギーが生成される。このエネルギーの生成は、直接的な太陽の影響により行うか、周囲温度だけを用いて行われる。このために必要とされるヒートポンプの動力は、一世帯の住宅用に設計するか、又は、全集落若しくは工業地帯の動力必要量のために設計することができる。これに関連して、このように利用される表面は、植物が植えられることが可能であるか、又は、好ましくは、熱放射を吸収するのに特に効率的である材料、例えば、2〜8mmの好ましい粒径を有する玄武岩の砂利又は何か同様のものなど、黒ずんだ粒状体で覆われることが可能である。また、このことにより、太陽からの直接的なUV照射の結果として、プラスチックが急速に劣化することが防止される。水平方向の空気流による熱損失を低減し、同時に、魅力のある外観を得るために、植生を有するストリップ形状の区域で、植物が植えられていない区域を、規則的な間隔に遮ることが実用的であることが判明している。土手上で使用するとき、据え付けられたエネルギー格子システムは、同時に決壊を防止する機能も十分に果たす。屋根の植栽用に使用するとき、また、部分的に土手などのために使用するとき、例えばDIN 4095に従った、より少ない保水能力を有する材料が、基材として使用されることが好ましい。
【0038】
好ましくは南向きの、道路及び線路に沿った利用されていない巨大な土手区域(それは、太陽光発電要素又は従来の太陽熱収集器によるエネルギー収集に適していない。その理由は、その要素又は収集器の機械的感度に起因する。)を考慮すると、エネルギー格子システムによる利用によりエネルギー収集の大きな可能性が存在する。