(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266511
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】引き戸の取付具
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
E05D15/06 118
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-516351(P2014-516351)
(86)(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公表番号】特表2014-520223(P2014-520223A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】EP2012061979
(87)【国際公開番号】WO2012175618
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】1150588-0
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504308626
【氏名又は名称】インター イケア システムズ ベー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション ジミー
(72)【発明者】
【氏名】ノースフェル ヨハン
【審査官】
渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0170234(US,A1)
【文献】
独国実用新案第202005007687(DE,U1)
【文献】
国際公開第2010/094564(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸の戸板(D)を吊すための取付具(1)であって、前記取付具(1)は、ベースプレート(2)を戸板(D)に取り付けるための手段(8、9)を有するベースプレート(2)、前記取付具がスライド経路(P)に沿うレール(R)によって案内されることを許容するための前記ベースプレート(2)に取り付けられる支持手段(3)、および、前記ベースプレート(2)の平面に対して角度(α、β)で前記ベースプレート(2)の横方向端部から延びる部分(5b、5d)を有するシャンク(5)、を備え、
前記取付具(1)は、前記シャンク(5)に取り付けられて、前記シャンクの部分(5b、5d)の平面に対して実質的に垂直な軸(A)の周りの反リフティング装置(4)の回転移動によってアイドル位置とロック位置との間を移動可能な反リフティング装置(4)をさらに備え、
前記反リフティング装置(4)は、前記支持手段(3)から距離を置いて下方位置に配置され、前記距離は、前記反リフティング装置(4)が前記アイドル位置から前記ロック位置まで移動するときに減少し、
前記反リフティング装置(4)が前記ロック位置にあるとき、前記反リフティング装置(4)の遠位端は、前記反リフティング装置(4)の前記遠位端と前記支持手段(3)との間に前記レール(R)を収容するための鉛直方向の間隔を形成するために前記支持手段(3)より下に位置する、取付具(1)。
【請求項2】
前記角度(α、β)は、前記ベースプレート(2)の前記平面において横に延びる方向に対して45°と135°との間であり、前記ベースプレート(2)の前記平面において縦に延びる方向に対して45°と135°との間である、請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
前記支持手段(3)はローラである、請求項1または2に記載の取付具。
【請求項4】
前記ベースプレート(2)を戸板(D)に取り付けるための前記手段(8、9)は、留め具を受け入れるための少なくとも1つの貫通孔を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項5】
前記少なくとも1つの貫通孔(9)は、戸板(D)に対する前記取付具の鉛直調整を許容するための横方向の延長よりもわずかに大きい縦方向の延長を有する、請求項4に記載の取付具。
【請求項6】
戸板(D)に対する前記支持手段(3)のさらなる鉛直調整を許容するための戸板(D)の穴と係合するように構成される少なくとも1つの偏心器(8)をさらに備える、請求項4または5に記載の取付具。
【請求項7】
前記シャンク(5)は、前記ベースプレート(2)に取り付けられて、前記ベースプレート(2)と実質的に平行に延びる第1の部分(5a)、および、前記ベースプレート(2)の前記平面に対して前記角度(α)で前記第1の部分(5a)から延びる第2の部分(5b)を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項8】
前記シャンク(5)は、前記ベースプレート(2)に取り付けられて、前記ベースプレート(2)と実質的に平行に延びる第1の部分(5a)、前記ベースプレート(2)の前記平面に対して前記角度(α)で前記第1の部分から延びる第2の部分(5b)、前記第2の部分から延びて、前記第1の部分と実質的に平行である第3の部分(5c)、および前記ベースプレート(2)の前記平面に対して前記角度(β)で前記第3の部分(5c)から延びる第4の部分(5d)備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項9】
前記シャンク(5)は、突起(6)を備え、前記反リフティング装置(4)は、前記アイドル位置および前記ロック位置を定めるように構成される対応する凹所(7)を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の取付具。
【請求項10】
前記凹所(7)は、前記反リフティング装置(4)の前記回転軸(A)の周りに半円形に延びて、前記ロック位置において前記突起(6)のスナップロックを提供するように構成される隆起を備える、請求項9に記載の取付具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の取付具(1)を備える戸板(D)。
【請求項12】
ガイドレール(R)および、請求項11に記載の少なくとも1つの戸板(D)を備える、引き戸システム。
【請求項13】
引き戸システムを提供する方法であって、
請求項11に記載の戸板(D)を提供するステップ、
前記戸板(D)の前記取付具(1)の前記反リフティング装置(4)を前記アイドル位置に動かすステップ、
前記戸板をガイドレール(R)上に吊すステップ、および、
前記戸板(D)の前記取付具(1)の前記反リフティング装置(4)を前記アイドル位置から、前記戸板が前記ガイドレール(R)から取り外されるのを防止するためのロック位置まで動かすステップ、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸の戸板を吊すための取付具に関する。より詳しくは、本発明は、引き戸の吊し位置からの意図しない取り外しを防止するための反リフティング装置を有する取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
引き戸は、概して、ガイドレールに沿ってスライド/ロール移動するための戸板を支持するように構成される支持車輪を備える取付具を用いて吊される。時々、取付具は、引き戸の吊し位置からの取り外しを選択的に許容するかまたは妨げるための可動ストップ部材を備える。
【0003】
この種の1つの取付具は、特許文献1に記載されている。特許文献1において、可動ストップ部材は、取付具の上端とガイドレールとの間の空間から届くことができ、引き戸のスライド方向に対して垂直方向にストップ部材を手動で押すことによってロック位置へ移動するように配置される。
【0004】
この種の解決策は、ユーザの視点から扱えるためむしろ扱いにくい。したがって、反リフティング機能性を有する改良された取付具の必要がある。
【0005】
さらに、引き戸システムは、引き戸を閉位置へと自動的に引くおよび/またはその開位置まで押された戸の衝撃を弱めるための自動閉鎖機構をしばしば備える。この目的のために、引き戸は、自動閉鎖機構と係合するための係合装置を備えていてよい。
【0006】
この種の開放/閉鎖装置の課題は、戸との係合のせいで、戸がその正常な吊し位置から意図的にまたは意図せずに持ち上げられるときに、装置が破損しやすいということである。1つ以上の上記した欠陥を緩和する取付具は、したがって、有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1388631号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、戸、ブラケットおよび/または任意の関連する柔らかく閉鎖するかまたは押して開放する装置の損壊が防止されるというような、ガイドレール上のその正常な位置からの引き戸の安全な取り外しを可能にする取付具を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、戸の取り付けおよび取り外しを容易にするためのよりユーザーフレンドリーな取付具を提供することである。
【0010】
本発明のまださらなる目的は、より用途が広い取付具を提供して、したがって、引き戸システムの構成要素の個数を削減することである。
【0011】
このおよび他の目的は、添付の請求の範囲による取付具、戸板、引き戸システムおよび方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、引き戸の戸板を吊すための取付具は、提供される。前記取付具は、ベースプレートを戸板に取り付けるための手段を有するベースプレート、取付具がスライド経路に沿うレールによって案内されることを許容するためのベースプレートに取り付けられる支持手段、および、ベースプレートの平面に対してある角度でベースプレートの横方向端部から延びる部分を有するシャンク、を備える。前記取付具は、シャンクに取り付けられて、シャンクの部分の平面に対して実質的に垂直な軸の周りの反リフティング装置の回転移動によってアイドル位置とロック位置との間を移動可能な反リフティング装置をさらに備える。
【0013】
回転軸がブラケットのスライド経路と平行であるので、反リフティング装置に作用する自動閉鎖装置からの力は、反リフティング装置の回転を生じさせない。
【0014】
さらに、反リフティング装置がベースプレートから実質的に垂直にベースプレートの横方向縁部から延びるので、反リフティング装置をアイドル位置とロック位置との間で届いて、見て、動かすことは、容易である。また、反リフティング装置および付随する装置(例えば、自動閉鎖装置または押し開き装置)が、戸が持ち上げられる前に分離されることを、人は、より容易に制御することができる。これは、今度は、付随する装置およびブラケットに対する損壊の危険を下げる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による取付具を備える戸板は、提供される。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、ガイドレールおよび、本発明の第2の態様による少なくとも1つの戸板を備える引き戸システムは、提供される。
【0017】
前記ガイドレールは、自動閉鎖装置が反リフティング装置とそのロック位置において係合可能で、しかしそのアイドル位置においてそうでないように配置される自動閉鎖装置を備えてよい。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、引き戸システムを提供する方法は、提供される。方法は、本発明の第2の態様による戸板を提供するステップ、戸板の取付具の反リフティング装置をアイドル位置に動かすステップ、戸板をガイドレール上に吊すステップ、および、戸板の取付具の反リフティング装置をアイドル位置から、戸板がガイドレールから取り外されるのを防止するためのロック位置まで動かすステップ、を含む。
【0019】
第1の態様の利点は、第2、第3、第4の態様にも適用できる。
【0020】
本発明の実施形態は、添付図面を参照してここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による取付具の斜視図を示す。
【
図5】
図5は、さらなる実施形態による取付具の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図4を参照して、引き戸の戸板の取付具1は、示される。取付具1は、戸板DをガイドレールR上にスライド可能に吊すために適している。取付具1は、戸板Dに取り付けられるように構成されるベースプレート2を含む。取付具1は、支持車輪3をさらに備える。そしてそれは、ベースプレート2が実質的に延びる平面の標準に対してまたはそれを通って垂直な回転軸を有する。支持車輪3は、ベースプレート2の上部に配置される。支持車輪3は、他の支持手段(例えば、支持ローラまたは、ベースプレート2と実質的に平行に延びるスライド面を有する部材のような他の好適な支持スライダ)によって交換されてよい。そして、前記スライド面は、スライド面がガイドレールRと接触しているときに、戸板DがガイドレールRに沿って気持ちよくスライドするのを許容する摩擦を有する。したがって、支持手段3は、取付具1を前記レールR上にスライド可能に支持するように構成される。取付具1はまた、シャンク5を介してベースプレート2に取り付けられる反リフティング装置4を備える。シャンク5は、ベースプレート2の平面に対して垂直で、かつ支持車輪3の回転軸に対して平行な平面において延びる。そうすると、取付具が前記ガイドレールR上に配置されるときに、シャンクは、ガイドレールRの長手方向軸に対して横方向に、かつ鉛直平面において延びる。反リフティング装置4は、次いで、シャンク5の遠位端に配置されるピボットアームである。ピボットアームは、シャンク5と同じ平面において旋回可能である。ピボットアームは、ピボットアームの近位の領域でシャンク5の遠位の領域に接続している。そうすると、ピボットアームの遠位の領域は、ガイドレールRに関して異なる位置へと鉛直面(そして、ガイドレールRの長手方向軸に関して横方向の面)において回転してよい。
【0023】
ベースプレート2は、ネジまたは他の適切な留め具を受け入れるための非円形の形状を有する4つの貫通孔9を含む。そしてその貫通孔9は、ネジの直径に対応する幅、および幅よりもわずかに大きい高さを有する。貫通孔9の非円形の形状は、戸板Dに対する取付具の鉛直調整を提供する。貫通孔9の個数は、4以外(例えば2、3または5)でもよい。
【0024】
さらに、ベースプレート2は、戸板Dの穴によって受け入れられるように構成される偏心器8を備える。偏心器は、戸板Dに対する取付具のさらなる鉛直調整の性能を提供する。
【0025】
あるいは、ベースプレート2は、接着剤によって戸板Dに取り付けられるのに適した表面を有する裏側を備えていてよい。裏側の表面は、粗くてよく、または、取付具に対する接着剤の接合特性を改善するためのプライマを備えていてよい。戸板Dがもろい材料(例えばガラス)でできている場合、この実施形態は、特に有利である。
【0026】
反リフティング装置4は、アイドル位置とロック位置との間の移動のためのシャンク5を介して、ベースプレート2に取り付けられる。アイドル位置において、レールRからの取付具1の取り外しは、許可される、ロック位置において、レールRからの取付具1の取り外しは、防止される。この機能性は、反リフティング装置4のピボットアームのせいで達成される。ピボットアームがアイドル位置からロック位置までシャンク5の平面において上向きに回転するとき、反リフティング装置4とガイドレールRの下部との間の距離は、減少する。そうすると、反リフティング装置4がそのロック位置にあるときに、戸板Dは、傾けられなくてよく、ガイドレールRから取り外されなくてよい。
【0027】
ベースプレート2から実質的に垂直にベースプレート2の横方向の側から延びるシャンク5によって、反リフティング装置4は、ベースプレート2に取り付けられる。さらに、取付具1が戸板Dに取り付けられるときに、反リフティング装置4が取付具1のスライド経路Pに対して実質的に平行な軸Aの周りに回転可能であるように、反リフティング装置4およびシャンク5は、配置される。
【0028】
シャンク5は、ベースプレート2に取り付けられる第1の部分5aを有する。シャンク5の第1の部分5aは、ベースプレート2の平面と平行に延びる。好ましくは、シャンク5の第1の部分5aは、ベースプレート2と戸板Dとの間に形成される空間において第1の部分5aが保持されるように、ベースプレート2の溝に差し込まれる。第2の部分5bは、ベースプレートの平面に対して角度αで、好ましくは、ベースプレート2の平面の縦方向に対して45°〜135°の範囲内で、かつベースプレート2の平面の横方向に対して45°〜135°の範囲内で、第1の部分5aから延びる。より好ましくは、角度αは、ベースプレート2の平面の縦方向に対して90°で、かつベースプレート2の平面の横方向に対して90°である。第2の部分5bは、さらに、取付具1が配置されるガイドレールRの長手方向軸に対して横方向に延びる。したがって、シャンク5は、L字形状を有する。反リフティング装置4(例えばピボット)は、第2の部分5bの遠位の領域でシャンク5に取り付けられる。
【0029】
図1、
図3に示すように、シャンク5および反リフティング装置4は、それぞれ、突起6および対応する凹所7を備える。そしてそれは、前記アイドル位置とロック位置との間におけるシャンク5と反リフティング装置4との間の相対的な移動を制限するように構成される。前記突起6を提供するためのピンまたは鋲は、シャンク5に取り付けられる。そして、凹所7は、反リフティング装置4の回転軸Aの周りに半円形状の凹所の形で反リフティング装置4に設けられる。前記閉位置において突起6のスナップロックを提供するための隆起または瘤(図示せず)は、凹所7の縁部に設けられる。
【0030】
突起は、それがさらなる移動を防止する凹所の端部に到達するまで、凹所の中を移動することができる。これは、部分間の相対的な移動を制御する簡単な方法を提供する。
【0031】
半円形状は、突起の回転移動経路に対応する。そして、これにより、凹所が設けられる部分の改良された強度を提供するためにより多くの材料が凹所の周りに利用できるように、凹所の大きさは、減少することができる。また、半円形の凹所の2つの端部は、凹所内での突起のさらなる移動を防止するための別個のストッパを提供する。また、スナップロックが凹所の選択部分で(例えば端部で)達成されるように、隆起は、前記凹所内での突起の動きをわずかに妨げる。設けられるスナップロックは、例えば振動により、アイドル位置とロック位置との間で反リフティング装置を動かすユーザに触覚フィードバックを与えて、そして、反リフティング装置の偶然の移動も防止する。
【0032】
さらなる実施形態によれば、取付具1は、
図5〜
図8に示される。ここで、すべての参照番号は、
図1〜
図4に示されるそれらの構造の構成要素と同じである。その結果、ベースプレートおよび反リフティング装置を含む取付具は、
図1〜
図4に関して以前に記載されたそれらの構成要素と同じ特性をすべて共有する。しかしながら、ベースプレートは、後述するようにU字形状のベースプレートである。
【0033】
さらに、シャンク5は、4つの部分5a〜5dを含む。反リフティング装置4は、シャンク5の第4の部分5dに取り付けられる。第4の部分5dは、部分5a〜5dの中で最も遠位の部分である。第1の部分5aおよび第2の部分5bは、以前に記載されたものと同じ構造特性を有する。しかしながら、第3の部分5cは、第2の部分5bに遠位に取り付けられて、第1の部分5aと平行な平面において、かつ取付具1がガイドレールR上に配置されるときに鉛直面において延びる。それ故、第3の部分5cは、垂直な角度で第2の部分5bに接続している。第1、第2、第3の部分5a〜5cは、次いで、U字形状を形成する。第4の部分5dは、さらに、角度βで第3の部分5cの遠位端に接続して、第3の部分5cから外へ第2の部分5bと平行な平面において延びる。それ故、
図5〜
図8に示されるシャンク5は、反リフティング装置4が取付具1からより大きい距離に配置されることを提供する。
【0034】
第3の部分5cは、部分5a、5c間に空間を提供するために好ましくは第1の部分5と平行に配置される。しかしながら、角度αおよびβ(第2の部分5bと第4の部分5dとが接続される)は、取付具の異なる実施形態にしたがって変化してよい。例えば、αは80°でよく、一方、βは100°でよい。
【0035】
対応して、ローラ3は、ベースプレート2の延長を介して、ベースプレート2から同程度の距離に設けられる。この実施形態において、ベースプレート2は、U字形状である。ベースプレート2は、U字形状の近位の脚部で戸板D2に接続している。一方、ローラ3は、U字形状の遠位の脚部でベースプレート2に接続している。ローラ3は、さらに、ベースプレート2の遠位の脚部の戸板D2から外向きに面する側に接続している。
【0036】
図5〜
図8に示される取付具1は、
図1〜
図4に示すような取付具1によって好ましくは吊される内側の戸板Dの外側に、スライドする戸板D2を吊すことができる。
【0037】
それ故、4つの部分のシャンク5を設けることによって、内側の戸板Dは、ベースプレート2とシャンク5の第3の部分5cとの間の距離によって形成される空間を、そして、U字形状のベースプレートの脚部間に形成される空間を占有することができる。
【0038】
ベースプレート2は、シートメタルの部品でよい。シャンク5は、2本の鋲によってベースプレート2に取り付けられるシートメタルの部品でもよい。他の実施態様において、シャンク5は、曲がったシートメタル上の1つの部品の形においてベースプレート2とともに統合して作られてよい。ベースプレート2およびシャンク5のその他の材料(例えば、高分子材料または異なる合成材料)は、考慮されてもよい。
【0039】
反リフティング装置4は、射出成形プラスチックの部品でよい。但し、その他の材料および製造方法は、他の実施形態にしたがって用いられてよい。反リフティング装置4が高分子材料で作られるときに、アイドル位置およびロック位置の静電気は、強められてよい。なぜなら、以前に上記されているように、高分子材料は、アイドル位置とロック位置との間のスナップ機能を許容するからである。
【0040】
自動閉鎖装置(図示せず)は、取付具1との係合のためにガイドレールRにさらに取り付けられてよい。この文脈において、ばね付勢の留め金を有する自動閉鎖装置は、当業者に知られた形である。そしてそのばね付勢は、隆起を閉鎖位置に引き込むために留め金と隆起との間の相互作用に際して解放される。これにより、取付具1は、その横に位置する反リフティング装置4がまた自動閉鎖装置の係合する適切な係合部を提供するという点で、有利である。取付具1が自動閉鎖装置と結合されるときに、取付具1と自動閉鎖装置との間の係合を容易にするために、反リフティング装置4の遠位端は、隆起10の形の留め金部材を備えてよい。さらに、反リフティング装置4がそのアイドル位置とそのロック位置との間を前記軸Aの周りに回転するように構成されるので、自動閉鎖装置は、反リフティング装置4がそのアイドル位置にあるときに反リフティング装置4と係合することができないように配置されてよい。それ故、取付具1は、戸板Dの設置または取り外しの間、自動閉鎖装置4に対する損壊の危険を低減させる。
【0041】
隆起10は、テーパープロフィールを有する反リフティング装置4の不可欠な部分として、好ましくは設けられる。隆起10を含む反リフティング装置4の遠位部は、戸板Dが傾けられるのを防止するために作用する第1の部分、および隆起10を形成する第2の部分を有してよい。反リフティング装置4がロック位置にあるときに、反リフティング装置4の遠位部の第1の部分が、ガイドレールRと隆起10との間の縦方向距離よりもわずかに小さい縦方向距離でガイドレールRの下に配置されるように、反リフティング装置4の全長は、したがって、変化してよい。それ故、自動閉鎖装置は、正常に戸板Dを傾けさせて、しかしこの場合には遠位部の第1の部分の上昇の提供のせいで妨げられる高さを有してよい。
【0042】
引き戸システムは、それが配置される場所に分解して届けられてよい。そしてそれは、顧客に対する特定の取付け指示を必要とする。以下に、引き戸システムの取付手順は、記載される。
【0043】
第1ステップにおいて、取付具は、ベースプレートの貫通孔に挿入可能なネジによって、戸板に取り付けられる。好ましくは、ネジは、戸板に対する取付具の鉛直調整を許容するために締め付けられない。次のステップにおいて、取付具のローラをガイドレールの溝に位置決めすることによって、戸板は、ガイドレールに吊される。取付具の偏心器は、戸板をガイドレールに整列配置するために用いられる。そして、取付具を通るネジは、次いで、戸板に対する取付具の固定を提供するために締め付けられ。
【0044】
ここまでの手順の間、反リフティング装置は、そのアイドル位置(すなわち、実質的に水平配置)にある。そうすると、反リフティング装置の遠位端は、水平を指している。しかしながら、反リフティング装置とガイドレールとの間の距離は、戸板がガイドレールから取り外されるかまたは吊されないことを許容するのに十分大きい。したがって、反リフティング装置の遠位端が鉛直を指しているように、顧客は、反リフティング装置をそのロック位置(すなわち、実質的に鉛直配置)に変換することを必要とする。反リフティング装置とガイドレールとの間の距離は、したがって、減少する。そうすると、取り外すことは、もはやできない。
【0045】
戸板がガイドレールから取り外されようとする場合には、戸板が傾けられて続いてガイドレールから持ち上げ去られることができるために、反リフティング装置のそのアイドル位置への手動回転は、必要とされる。
【0046】
上の/下の、第1の/第2の、鉛直に/水平に、遠位に/近位に、などのすべての参照は、その文脈において相対的な定義として読まれなければならない。特定の実施形態が記載されたにもかかわらず、添付の請求の範囲において定義した範囲を逸脱しない範囲で、さまざまな修正が取付具になされてよいことが理解されるべきである。
【0047】
請求項において、「を備える/を含む」という用語は、他の要素またはステップの存在を排除しない。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれてよいにもかかわらず、これらは、おそらく都合よく結合されてよい。そして、異なる請求項への包含は、特徴の組合せが可能でおよび/または有利でないことを意味しない。加えて、単一の参照は、複数を排除しない。用語「1」、「1つ」、「第1」、「第2」などは、複数を排除しない。請求項の参照符号は、単に実施例の明確化としてだけ設けられて、いかなる形であれ請求項の範囲を制限するものとして解釈されない。