(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アブレーション流体が、エタノール、フェノール、グリセロール、リドカイン、ブピバカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、グアネチジン、およびボツリヌス毒素を含む群から選択されたアブレーション流体の少なくとも1つを含む請求項1に記載のシステム。
前記貫通制限部材が、注入ニードルハンドルと、前記ガイドチューブおよび前記注入ニードルの相対的な軸方向動作を可能にするように構成されたガイドチューブハンドルと、を備え、前記注入ニードルハンドルと前記ガイドチューブハンドルとの間のギャップが、前記標的血管の血管壁への前記注入ニードルの貫通深さを同時に制限するため相互に作用するように構成された請求項1に記載のシステム。
3つまたは4つ以上の尖った注入ニードルのうちの第一の尖った注入ニードルが、3つまたは4つ以上のガイドチューブのうちの第一ガイドチューブ内をスライドするように構成され、
3つまたは4つ以上の尖った注入ニードルのうちの第二の尖った注入ニードルが、3つまたは4つ以上のガイドチューブのうちの第二ガイドチューブ内をスライドするように構成され、かつ
3つまたは4つ以上の尖った注入ニードルのうちの第三の尖った注入ニードルが、3つまたは4つ以上のガイドチューブのうちの第三ガイドチューブ内をスライドするように構成されている請求項1に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現時点で、医師は、心臓の左心房壁の肺静脈の小孔周辺にある通導組織をアブレーションする高周波(RF)カテーテルシステムを用いて心房細動(AF)患者を治療することがよくある。高周波エネルギーを用いた類似技術が、高血圧を治療する目的で、腎動脈の外壁内を走る交感神経およびその他の神経線維をアブレーションするために腎動脈内部で首尾よく使用されてきた。どちらの場合でも、これらは精巧かつ高価なカテーテルシステムであり、熱アブレーション、冷凍アブレーションの、またはその他の方法によって周囲組織の損傷を招きうる。これらのシステムの多くではまた、RF発生システムおよび冷凍アブレーション用カテーテルのための流体ハンドリングシステムを含めた、体外に設置される再利用可能な設備のための著しい設備投資を必要とする。
【0007】
生体構造の類似性から、この開示の目的上、ここで標的の壁という用語は、AFアブレーション用途でのその小孔付近の肺静脈の壁、または高血圧またはうっ血性心不全(CHF)用途での腎動脈の壁のいずれかを意味する。
【0008】
心房細動アブレーションの場合、複数の肺静脈の周辺の組織のアブレーションは、技術的に困難で非常に時間がかかることがある。1回に1つの病巣のみのアブレーションしかできないRFカテーテルを使用する場合に、特にその点があてはまる。また、心房細動アブレーションにこれらのタイプのカテーテルを使用した場合の失敗率もある。現在のアプローチの失敗は、肺静脈の小孔周囲の周辺組織での再現性のある周方向アブレーションの形成における困難さに関連する。また、現在の技術には、非常に長い透視診断法および治療時間に関連し、患者およびオペレータの両方への高レベルの放射線被爆につながる著しい安全性の問題もあり、また心房細動アブレーションでの脳卒中のリスクが高まりうる。
【0009】
また、高血圧またはうっ血性心不全の治療のために、現在の技術をRFアブレーションに使用して腎動脈の内部から交感神経の除神経を引き起こすことには、潜在的なリスクがある。腎動脈の内側から動脈の壁にRFエネルギーをかけることの短期的な合併症および長期的な後遺症は、はっきりしていない。腎動脈内部でかけられるこのタイプのエネルギーは、また経壁腎動脈損傷があると、後期再狭窄、血栓症、腎動脈狭窄、腎実質への塞栓形成、または腎動脈内部でのその他の問題につながりうる。また、特に解剖的異常や、腎動脈内部のアテローム硬化性または繊維性の病気があり、RFエネルギーの送達が不均質となる場合には、不均一または不完全な交感神経アブレーションとなることもある。これは、治療の失敗や、腎動脈の外膜面に沿って走る神経のアブレーションのための追加的かつ危険なレベルのRFエネルギーに対する必要性につながることがある。
【0010】
また、RFエネルギー送達のためのArdianシステムでは、腎交感神経線維の効率的な周方向アブレーションが許容されない。周方向のRFエネルギーが、腎動脈の内部からリングセグメントにかけられた場合(外側の外膜層にある神経を殺すためエネルギーが内膜面にかけられた場合)、これは内膜、中膜および外膜への周方向および経壁の損傷に因る腎動脈狭窄さらに高いリスクにつながりうる。最終的に、RFアブレーションを使用した「灼熱」または腎動脈の内側は、極度の苦痛を伴うことがある。こうして、RFベースの腎臓の交感神経除神経を使用した現在のアプローチには多数かつ実質的な限界がある。類似した限界は、超音波またはその他のエネルギー送達技術にもあてはまる。
【0011】
Sewardらが特許文献1および特許文献2に記載している、単一のニードルを血管壁に対して拡張させる膨張可能な弾性のバルーンを使用するBullfrog(登録商標)マイクロ注入カテーテルは、アルコールなどの化学的アブレーション溶液の注入に使用しうるが、血管の円周全体周辺のアブレーション物質の周方向の送達が描写または期待されていないため複数の適用が必要となる。Sewardにより示されている大半のニードルの数は2本で、その2本ニードル版のBullfrog(登録商標)は、腎動脈で使用するために小さなガイディングカテーテル内にフィットするよう小型化するのが困難である。1本のニードルのみを使用する場合、カテーテルの端部での任意の装置の制御された正確な回転はひいき目に見ても困難であり、その後の注入が均等に間隔が置かれない場合には危険を伴いうる。この装置ではまた、神経アブレーション薬剤の送達の正確で制御され、調節可能な深さが許容されない。この装置にはまた、使用できるニードルの長さに関する物理的制約があることがあり、したがって、特に内膜が肥厚した病気の腎動脈では、適切な深さに薬剤を注入する能力が制限される。Bullfrog(登録商標)の別の限界は、腎動脈内でのバルーンの膨張が、動脈の内膜および中膜のバルーン損傷による狭窄を誘発しうることと、内皮細胞の裸出を起こすことである。
【0012】
JacobsonおよびDavisは、特許文献3で、血管内壁への薬物注入のためのカテーテルを描写している。Jacobsonは、外方向に延び、それぞれが血管壁へのニードルの貫通を制限する柄を持つ複数のニードルの概念を含めているが、その設計は、外方向に曲がった形状に入ることができるようにその遠位端にニードルを持つチューブの回転に依存する。ニードル遠位端の近位の単距離に付随する小さなディスクについて図示された柄の設計は、柄の直径がニードルの貫通を阻止するほど十分に大きい場合、装置の直径が著しく増すように、柄の直径の少なくとも2倍分だけ装置の合計直径が増大する固定の直径を持つ。腎臓除神経または心房細動のどちらの用途についても、必要なカテーテルの長さがこうした回転の制御を困難なものとする。さらに、貫通を制限する柄には、ニードルの遠位端から固定の距離にある。血管内の特定の層を選択的に標的化したい場合や、異なる壁厚みを持つ血管の外膜を通過してボリューム(volume)のずっと奥まで貫通する必要がある場合に重要となりうる、貫通深さについての調節が組み込まれていない。Jacobsonはまた、除神経のために注入カテーテルを使用することは想定していない。最後に、Jacobsonの
図3で、拡張可能なニードルを覆うシースを図示するとき、ガイドワイヤーがなく、またシースは開いた遠位端を持ち、これが血管系を通した前進をより困難なものとしている。また、シース内に完全に回収される場合にニードルは、その柄が原因でシースの内部に引っ掛かり、押し出すことが困難な可能性がある。
【0013】
また、従来の技術では、まず注入するか、またはアブレーション溶液に、またはそれと共に注入した場合、除神経治療に伴ういくらかの苦痛を低減または除去できる、リドカインなどの麻酔薬の使用は想定されていない。
【0014】
早くも1980年には、Klineらが非特許文献2で公表したとおり、動物モデルでアルコールが腎臓除神経の提供に有効であることが示されている。一方、Klineは、「残っている一切の神経線維を破壊するために95%アルコールを血管に適用し、腎臓除神経にこの技法を使用して、我々は腎臓のNE濃度が手術の4日後に90%を超えて劣化すること(すなわち10mg/g未満の組織(<10mg/g tissue))を見出した。」と述べている。同じく、非特許文献3という論文では、Klineは再度、手術中に適用される95%アルコール溶液は、ラットでの腎動脈の周囲の神経のアブレーションに有効であると公表している。流体を複数の地点で動脈壁に注入するよう設計された、Jacobsonによるものなどの薬物送達カテーテルが1990年代以来存在しており、またアルコールが腎臓除神経のための治療の要素として有効であるが、腎動脈の周りの外層にある交感神経線維の血管周囲の周方向アブレーション用に特に設計された、腎動脈の壁厚みの可変性を収容する調節可能な貫通深さを持つ、血管内注入システムの必要性がある。
【0015】
また、従来の技術は、まず注入するか、またはアブレーション溶液にまたはそれと共に注入した場合に、除神経治療に伴ういくらかの苦痛を低減または除去できる、リドカインなどの麻酔薬の使用を想定していない。
【0016】
McGuckinは、特許文献4で、単一のニードルを出る流体の注入のための3本の拡張可能な歯を持つ腫瘍組織アブレーションカテーテルを描写している。歯は、外側に拡張して組織を貫通する。McGuckin装置は、尖った歯からの不注意によるニードルの突き刺しに対する保護が提供されていない開いた遠位端を持つ。さらに、McGuckin装置は、成形した歯が、外向きに拡張して組織を貫通できる十分な強度のものであることに依存する。こうした強度を達成するために、歯は、腎臓除神経用途での流体注入の後で引き戻すとき、失血が無視できるほど十分に小さいものであってはならない。また、血管内壁に対して歯からの注入出口の貫通の深さを確実に設定する機能しうる貫通制限機構はなく、またそうした深さについて予め設定された調節もない。肝腫瘍の治療用途で、連続的に調節可能な歯の貫通の深さは、複数の深さでの複数の注入が必要となる可能性のある場合には道理に適ってはいるが、腎臓除神経ではアブレーション流体の注入が浅すぎて腎動脈の中膜を破損したり、深すぎて腎動脈のすぐ外側または外層内にある神経を逃すことがないようにするために、深さを正確に選択できることが非常に重要である。
【0017】
最後に、Fischellらは、特許文献5、特許文献5で、拡張可能なニードルインジェクターを備えた拡張可能な血管内カテーテルを描写している。特許文献5で、Fischellsは、Jacobsonとは異なり、ヘルスケア従事者をニードル突き刺しの怪我および血液由来の病原体から保護するための尖ったニードルを完全に囲む閉じた構成を有するシースを備えた、血管内カテーテルを開示している。ところが、Fischellの出願、特許文献5、特許文献5では、肺静脈の小孔の周りの左心房の壁内へ、または腎動脈の小孔の周りの大動脈の壁内へと操作するもので、血管内部からではない設計のみが示されている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明、血管内神経アブレーションシステム(INAS)は、アブレーション流体を適用して、血管壁内またはその付近の神経組織内に、使い捨てカテーテルを用い比較的短い治療時間で、周方向の損傷を引き起こすことができ、追加的な資本設備を必要としない。INASを使用する第一の焦点は、心不整脈、高血圧およびうっ血性心不全の治療にある。1つかまたは多くとも2つの地点のアブレーションで機能するBullfrogまたはRFアブレーション装置とは異なり、本発明は、神経へのより均一な周方向の損傷を許容する一方、血管壁の内膜および中間層への損傷を最小限に抑えて、血管周囲の流体注入を提供するよう設計されている。周方向の送達という用語は、本書では、血管壁内での適切なアブレーション溶液の少なくとも3点の同時注入、または血管の外膜層(外壁)の外側にある空隙の周方向の充填として定義される。周方向の送達が描写されている特許文献3のJacobson装置とは異なり、本発明は、外向きの移動を引き起こすチューブの回転には依存しないだけでなく、貫通を制限する固定直径の柄も持たない。さらに、Jacobsonは、シース様のチューブ内で引き戻す装置のバージョンを示しているが、チューブは開放端を持ち、またJacobsonの請求項では、カテーテルの近位端から1つの内腔に流入する流体が複数のニードルを通して流出するのを許容するマニホールドを収容するための直径の増大を必要とする。本発明の好ましい実施形態は、チューブの内腔内に適合し、よってカテーテルの直径を大いに減少させ、ヒトの身体内の希望部位へのカテーテルの送達を向上させる、マニホールドを使用する。
【0019】
具体的には、小孔周囲の大動脈の壁から腎動脈へ走る交感神経線維に損傷を与え、およびそれにより高血圧などの制御および治療を改善する目的で、腎動脈の小孔の周囲かまたは腎動脈壁内の小孔の遠位の神経に関して、非常に効率がよく、また再現可能な血管周囲のアブレーションの能力のあるカテーテルシステムに対する確かな必要性がある。
【0020】
このタイプのシステムはまた、その他の現在の技術に比べて、非常に効率がよく、また再現可能な筋肉繊維の血管周囲の周方向のアブレーション、および心臓の左心房へのその小孔付近またはその地点での肺静脈の壁内での導電性が許容されることで大きな利益を持ちうる。こうしたアブレーションは、心房細動(AF)およびその他の心不整脈を妨害しうる。このアプローチのその他の潜在的な用途も発展しうる。
【0021】
本発明は、その遠位端に尖った注入ニードルを有する複数の拡張可能な注入器チューブを備えた小さな(直径2mm未満(<2mm diameter))カテーテルである。好ましい実施形態はまた、同軸の注入器チューブの通過を案内して、その遠位端付近のINASの本体周辺に周方向に並べられた尖った注入ニードルの貫通を促進する、拡張可能なガイドチューブを備える。アブレーション流体は、それぞれがその遠位端にまたはその付近に注入出口を持つ、これらのニードルの遠位端を通して注入できる。標的血管壁の組織内に、事前に設定した距離だけニードルが貫通するように、INASの一部として貫通制限部材がある。これらは、Jacobsonらの特許の柄と類似したそれぞれのニードルの遠位端に近い事前に設定した距離とすることも、貫通制限部材をINASの近位セクションに組み込むこともできる。貫通を制限することは、血管壁の穿孔の可能性を低減し、注入の深さを最適化したり、または深さが血管壁のすぐ外側の血管周囲ボリューム(volume)となるように調節するために重要である。PVRD(血管周囲腎臓除神経)についての一つの好ましい実施形態では、拡張可能なガイドチューブはまず腎動脈の内壁に対して展開され、遠位端付近に注入出口ポートを持つ尖った注入ニードルを備えた別個の同軸上で長期的に移動可能な注入器チューブ用のガイドとしての役目をする。
【0022】
理想的には、注入ニードルは、貫通が完全に腎動脈の壁を貫いた後での引き出し後に失血が全くないように、十分に小さいものであるべきである。本発明の実施形態の主な利益は、そうした小さな(25ゲージ未満)ニードルでは自己拡張式の構造がかなり壊れやすい可能性があり、血管壁の正確な貫通を確保するだけの信頼性がないことである。本発明はこの問題を2つの方法で解決する。ニードルの遠位端に近い固定の距離で取り付けられたコードまたはワイヤーの使用により貫通が制限され、また拡張可能な注入ニードルが互いに結合され、注入ニードルの一様な拡張の創出を助け、信頼性のある血管壁の貫通が促進される。ただし、好ましい実施形態は、血管内部で広がり、各注入ニードルを血管壁の貫通地点まで直接案内する、拡張可能なガイドチューブの使用である。ガイドチューブは、NITINOL(登録商標)などの記憶金属、またはポリアミドまたはウレタンなどのプラスチック材料で製造できる。ガイドチューブはまた、放射能不透過性であるか、または先端にたとえば、タンタル、金または白金バンドなどの放射線不透過性マーカーを持つべきである。ガイドチューブの理想的な構成は、血管の壁を損傷したり偶発的に貫通したりすることがないように軟性の先端を持つ、あらかじめ成型された自己拡張式のプラスチックチューブである。このプラスチックチューブの最後の0.5〜3mmは、バリウムまたはタングステンなどの放射線不透過性材料を持つ充填プラスチックで形成しうる。例えば、外側にウレタンと内側にポリアミドの2層のプラスチックチューブによりさらに良い構造を提供しうることも想定される。使用するプラスチックのデュロメーターも、外方向に曲がり拡張する部品内では硬めの材料、および同様に拡張可能なセクションに近いセクションでは柔らかめの材料と、先端の軟性材料によって異なりうる。この柔らかめの最後のセクションが、ほぼ直角の曲がり周辺でのガイディングカテーテルを通した腎動脈へのINASの送達を促進する。
【0023】
標的血管の内壁に対するガイドチューブの保持を促進するために、注入ニードルを含む注入器チューブの遠位部分が、ガイドチューブとおよそ同一の湾曲半径で形成されることが想定される。実際には、ガイドチューブの湾曲半径は、血管の直径とともに変化し、完全に広がらないようにチューブを制約する小さめの血管ではより大きい。こうして理想的には、注入ニードルを含む各注入器チューブの遠位部分の湾曲半径は、その最大直径でのガイドチューブの遠位部分と同一とすべきである。
【0024】
拡張可能という用語は、本明細書全体をとおして、INASカテーテルの縦軸に関連した本発明の部分の外向きの移動を描写するために使用される。これには、ガイドチューブ、注入器チューブおよび/またはニードルの外向きの動作が含まれる。この拡張は、制約された構造から解放される自己拡張構造の自己拡張によるものであることも、拡張可能な構造を縦軸から外れて押し引きするワイヤーなど、INAS内にある別の機構の遠位または近位の動作によって促される拡張であることもある。この外向きの移動を描写するために使用しうる別の用語は、偏向可能という用語である。例えば、自己拡張構造は、その制約から解放されたときに外側に偏向(deflect)し、偏向可能な構成要素の外向きの移動を引き起こす遠位方向または近位方向に移動するワイヤーの使用は、手動で偏向可能な構造である。INASの縦軸から外向きに偏向可能または拡張可能な構造を偏向または拡張するために膨張するバルーンを使用できることも想定される。
【0025】
異なる内径の血管内で機能する本発明の好ましい実施形態は、湾曲した形状を持つ注入器チューブの遠位端に、ガイドチューブおよび注入ニードルの両方を持つ。理想的には、ガイドチューブの拡張した形状は、血管内部での制約がないように設定され、装置の使用に想定された最大の血管よりもわずかに大きな拡張時の直径が達成される。ガイドチューブの形状も、INASの縦軸に対して90度±30度での遠位端を持つべきである。例えば、INASガイドチューブは、遠位端が背部100度に湾曲する場所、すなわちINASの縦軸と直交するよりもさらに10度手前に湾曲する場所で、制約のない直径9mmを持ちうる。こうして、8mm以下の動脈内で制約を受けるとき、ガイドチューブが血管の内側に噛み合う角度は、100度未満となる。例えば、直径7mmの血管内では、ガイドチューブの遠位チップは90度付近、6mmの血管では80度付近、5mmの血管では70度付近である可能性がある。5mmの血管内でさえも、注入ニードルがINASの近位端に向けて反り返る湾曲した形状であり、適切な血管壁の貫通が確保されるため、システムはなおも機能する。注入器チューブが、ガイドチューブの遠位端から拡張して血管壁を貫通するときに、近位の方向に反り返ることは、本発明の重要な特徴である。注入器チューブの遠位端での各注入ニードルの注入出口が、ガイドチューブの遠位端に近い展開位置を持つことが典型的である。例えば、ガイドチューブの遠位端を2.5mm超えた距離での注入ニードルの注入出口では、その注入出口は、1〜2mmだけガイドチューブの遠位端に近くなりうる。
【0026】
正確な深さの貫通が好ましいため、INASの近位または遠位セクションのどれかに使用するチュービングは、ガイディングカテーテルを通して腎動脈に展開する間に伸長しないように、限定的なストレッチ性を持つべきである。例えば、ステンレス鋼、L605またはNINTINOLは、INASの近位セクションにとって最適な材料でありうる。伸長低減の傾向を持つ金属補強のあるチュービングは、ガイディングカテーテル内のほぼ直角の曲がりを回って大動脈から腎動脈へと通過するためのより高い柔軟性が必要とされるINASの遠位セクションにとって最適でありうる。
【0027】
本明細書に記載のあるとおり、本発明のINASの貫通制限の機能は、特許文献3のJacobsonの設計と比較して、装置の直径を著しく減少させ、そのために腎動脈などヒトの身体内の血管内へ送達する能力を高める、以下の技術のうち一つを使用している。これらの技術には、以下が含まれる。
・ INASの遠位セクションの直径を制限するために、挿入時に折りたたみが可能な複数のニードルに取り付けられたコードまたはワイヤーの使用。
・ その近位端で軸方向に向かいニードルの側面に取り付けられた、1つ、2つ以上の短いNITINOL(登録商標)ワイヤーの使用。このワイヤーは、その遠位端が付着しないよう設計されており、またニードルにとって貫通制限部材としての役割を果たすようにニードルから離れて湾曲する記憶状態を持つ。こうしたワイヤーは、ニードルに対してしっかりと折りたたまれ、INASの遠位セクションの直径を減少させる。
・ ニードル内での2つの湾曲部の使用で、その湾曲部は貫通制限部材を形成し、またその湾曲部はINASの遠位セクションの直径を増大しないように周方向にある。
・ 好ましい実施形態には、それを通してニードルが軸方向にスライドする、外向きに湾曲したガイドチューブの使用が含まれる。この設計での貫通の制限は、INASの近位端に不可欠であり、INASの遠位セクションでの直径値を必要としない。この最後の実施形態は、貫通深さの調節が許容されるという追加的な利点を持つ。調節には、正確な深さ調節を可能にするマーキングが含まれうる。
【0028】
INASの近位端でのメカニズムによる貫通深さの調節は、医師の制御によるか、または装置製造時にのみアクセス可能であるかのいずれかとしうる。第一の場合では、PVRDを希望する部位での腎動脈の厚みを特定するために、血管内超音波の使用またはその他の撮像技術を使用しうる。次に、臨床医はそれに従い深さを調節する。臨床医によるアクセスができない場合には、深さ調節を使用して工場でINASを事前に設定すること、また複数の深さが必要とされる場合には、異なる製品コードが供給されるということも想定される。例えば、2mm、2.5mmおよび3mmといった3つの深さを利用できるようにしうる。工場での調節による深さのその他の利点は、製造されたそれぞれのINASの変動には、正確な貫通深さが提供されるようにニードル深さの最終的な工場での調節を必要としうるため、較正および高品質の製造が簡略化されることである。また、規制上の提出においては、治験中および承認を受ける際に事前に設定した深さを使用して間違った深さでの設定の潜在的エラーが制限されることも、利点である。最終的に、工場での製造および較正のための内部的な調節と、深さマーキングを用いた外部的に可能な調節の両方をINASに組み込みうることが想定される。
【0029】
遠位ニードルを備えた注入器チューブは、カテーテル本体内の注入内腔と流体連通し、これはINASの近位端の注入ポートと流体連通している。こうした注入ポートには、典型的に、アブレーション流体の供給源と結合するために使用されるルアーコネクターなどの標準的な結合装置が含まれる。
【0030】
この注入システムはまた、大動脈の外膜層、肺静脈または腎動脈で、またはそれより深い(それを超える)組織の平面またはボリューム(volume)を標的とした場合でもニードルの貫通が安全であるように、動脈壁を貫通するための非常に小さなゲージのニードル(25ゲージ未満)の使用が予想される。また、遠位ニードルは角ニードルまたはコアリングニードルとすることができ、角ニードルに関して、注入出口ポートは注入器チューブまたは遠位ニードルの側面の角ニードルの先端の近くに切り込んだ小さな注入穴(細孔)としうることが予想される。
【0031】
拡張可能な注入器チューブは、弾力性のある材料、NITINOL(登録商標)などの記憶金属から製作された自己拡張型とするか、または金属またはプラスチックで作成してその他の機械的方法で拡張可能なものとしうる。例えば、遠位注入ニードルを備えた拡張可能な脚部は、その直径がバルーンを膨張させるために使用する圧力により制御可能な、拡張可能なバルーンの外側に取り付けることができる。少なくとも2個の注入器チューブがあるべきであるが、治療する血管の直径によって3〜8のチューブがより適切でありうる。例えば、直径5mmの腎動脈では、3または4個のニードルが必要とされ、一方で直径8mmの腎動脈では6個のニードルを必要とされうる。
【0032】
INAS全体は、固定の遠位ガイドワイヤーが含まれるように設計されるか、またはガイドワイヤーの内腔がINASの長さ全体にわたるオーバー・ザ・ワイヤー構成か、またはガイドワイヤーがカテーテル本体からINASの近位端の遠位に少なくとも10cm出て、その近位セクションについてカテーテルシャフトの外側を走る迅速交換構成のどちらかで、ガイドワイヤー上を前進するよう設計される。最小の遠位直径を持つことになるため、固定ワイヤーのバージョンが好ましい。
【0033】
INASはまた、展開前に、および身体からの除去のために、遠位ニードルおよび/またはガイド用チューブを備えた自己拡張式注入チューブを制約する管状で薄壁のシースを含む。シースはまた、INASの遠位端がガイディングカテーテルまたはイントロデューサシースの近位端に挿入されるようにする。シースはまた、治療の終わりにINASを患者の身体から取り外すときに、考えられるニードル突き刺しや血液由来の病原体への暴露からオペレータを保護する役目をする。
【0034】
注入ニードル、ガイド用チューブおよび注入チューブは、透視診断法を使用してはっきりと見えるようにするために、タンタルまたはタングステンなどの放射線不透過性材料で形成するか、または金または白金などの放射線不透過性材料で被覆するか、またはマーク付けができるということも想定される。
【0035】
血管壁のその領域での電気活動の評価のための診断用電極としての役目をするよう、一つ以上の注入器ニードルをINASの近位端に電気的に結合できるということも想定される。
【0036】
2つ以上の拡張可能な脚部を電源またはRF供給源に取り付けて、電流またはRFエネルギーを標的血管の円周周辺の小孔の壁に送達して、組織および/または神経アブレーションを実施することができるということも想定される。
【0037】
この装置では、腎動脈のセグメント内での永久的な交感神経分裂(神経断裂症)を最適化するために、同時に、または順番に注入される1つまたは複数の神経アブレーション物質を利用できる。利用が可能な予想される神経毒剤には、エタノール、フェノール、グリセロール、比較的高い濃度の局所麻酔薬(たとえば、リドカイン、またはブピビカイン(bupivicaine)、テトラカイン、ベンゾカインなどといったその他の薬剤)、神経毒性を持つ抗不整脈薬、ボツリヌス毒素、ジゴキシンまたはその他の強心配糖体、グアネチジン、加熱した流体(加熱した生理食塩水、高張食塩水、低張液、KC1または加熱した神経アブレーション物質(上記に列挙したものなど)を含む)が含まれるが、これらに限定されないということも想定される。
【0038】
アブレーション物質は、高張食塩水(余分な塩分)などの高張流体、または蒸留水などの低張液としうることも想定される。これらは、神経に対して永久的な損傷の原因となり、アルコールまたは特定の神経毒と同等に適切であるか、またはそれよりもさらに適切であることがある。またこれらは、高温または低温あるいは室温で注入できる。蒸留水、低張食塩水または高張食塩水を1ml未満の注入容積で使用すると、INASの使用において1つの手順がなくなるが、これは少量のこうした流体は腎臓にとって有害ではないはずであり、そのためいくらかのアブレーション流体がカテーテルの取出し中に腎動脈に入り込むことを阻止するために、正常食塩水を用いてINASからアブレーション流体を完全に洗い流す必要がもはやなくなるからである。これは、より毒性の高いアブレーション流体を使用する場合には、2つの手順の代わりに動脈あたりの手順が1つだけとなることを意味する。
【0039】
本発明では、まず注入するか、またはアブレーション溶液に、またはそれと共に注入した場合に、除神経治療に伴ういくらかの苦痛を低減または除去できる、リドカインなどの麻酔薬の使用も想定されている。
【0040】
注入器ニードルまたは注入器チューブを前進させる前に、アブレーション薬剤の注入用に正確で正しい貫通深さを把握し設定するために、マルチスライスCTスキャン、MRI(磁気共鳴像)、血管内超音波または光干渉断層撮影法などの撮像技術を利用して、標的血管壁(たとえば、腎動脈)の厚みおよび生体構造の正確な測定ができることも想定される。INASの使用の前にIVUSを使用することは、注入が意図される正確な深さを標的とするために、特に有用でありうる。次に、好ましい実施形態における調節可能な貫通深さの特徴を使用して、この正確な深さを標的とすることができる。貫通深さの選択は、近位セクション/ハンドルを使用するか、またはそれぞれ異なる貫通深さ限度のある2〜5のバージョンを持ちうるその他の設計について適切な製品コードの選択により達成できる。
【0041】
腎臓の交感神経アブレーションによる、高血圧またはCHFの治療での使用では、本発明のINASの現在の好ましいガイドチューブの実施形態は、以下の手順で使用される。
1. たとえば、Versedおよび麻薬性鎮痛薬など、アルコール中隔アブレーションに類似した方法で患者を落ち着かせる。
2. 第一の腎動脈を、標準的な動脈アクセス方法を使用し、大腿動脈または橈骨動脈を通して配置したガイディングカテーテルに噛み合わせる。
3. 注入内腔を含めたINASのすべての内腔を生理食塩水で洗い流した後、INASの遠位端を固定の遠位ガイドワイヤーを用いてガイディングカテーテル内に前進させる。ガイディングカテーテルを通して、ガイド用チューブの遠位端がガイディングカテーテルの遠位端を超えた腎動脈内の望ましい場所に来るまで、装置を前進させる。
4. シースを引き戻し、ガイドチューブの遠位端が腎動脈の内壁に対して外向きに押すまで、拡張可能なガイドチューブが広がるようにする。これは、ガイドチューブの放射性不透過性の先端の可視化により確認できる。
5. 次に、同軸的にガイドチューブを通して放射線不透過性の注入チューブ/ニードルを前進させ、事前に設定した距離(典型的には0.5〜4mmの間であるが、約2〜3mmが好ましい)で内弾性板(IEL)を貫き、IELを超えて腎動脈の血管壁に貫通させる。理想的には、内膜および中膜の腎動脈損傷を最小限に抑えるために、非常に小さなゲージの注入ニードルを腎動脈内の2〜3mmの深さに前進させて、外膜面にまたはその深部に神経アブレーション薬剤を送達しうる。正しい深さは、INAS治療の前にCTスキャン、MRI(磁気共鳴像)、OCTまたは血管内超音波を使用して、腎動脈壁の厚みを測定して決定でき、注入器チューブ貫通の正しい初期の深さ設定をニードルを前進させる前に知ることができる。
6. エタノール(エチルアルコール)、蒸留水、高張食塩水、低張食塩水、フェノール、グリセロール、リドカイン、ブピバカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、グアネチジン、ボツリヌス毒素またはその他の適切な神経毒液など、適切な量の神経アブレーション液を注入する。これには、2つ以上の神経アブレーション液または局所麻酔剤を一緒にまたは順番に(まず局所麻酔をして不快感を減らした後でアブレーション薬剤を送達)、および/または高温流体(または蒸気)、または極端に冷たい(冷凍アブレーション)流体を血管壁および/または血管のすぐ外側のボリューム(volume)に、などの組み合わせが含まれうる。典型的な注入は0.1〜5mlである。これは、交差して標的血管の円周周辺にアブレーションリングを形成する多数のアブレーションゾーン(各注入器チューブ/ニードルに一つ)を生成するはずである。アブレーションゾーンのX線可視化ができるように、神経アブレーション薬剤前の試験注入中、または治療の注入中のいずれかに、注入に造影剤を追加することもできる。
7. アブレーション薬剤をINASの注入内腔(死腔)から完全に洗い流すために十分なだけの正常生理食塩水をINASに注入する。これにより、ニードルをINASに引き戻すときに一切のアブレーション薬剤が腎動脈に偶発的に入り込むことが阻止される。こうした偶発的な腎動脈への放出は、腎臓の損傷の原因となりうる。蒸留水、低張または高張食塩水をアブレーション流体として使用する場合には、この手順は回避しうる。
8. INAS注入器チューブ/ニードルを、ガイドチューブ内に引き戻す。次に、ガイドチューブを引き出し、シースをガイドチューブにかぶせるように進めてシースに戻す。これにより、ガイドチューブがシースの下で尖ったニードルの周辺に完全に折りたたまれる。これで、INAS全体をガイディングカテーテルに引き戻すことができる。
9. 一部の場合では、INASを20〜90度回転させるか、または第二のリングまたはさらに決定的なアブレーションリングを生成することが必要な場合に、INASを第一の注入部位から0.2〜5cmだけ遠位または近位に移動させた後、注入を繰り返すことができる。
10. 反対側の腎動脈の組織のアブレーションに、前記の手順による同一の方法を繰り返すことができる。
11. INASをガイディングカテーテルから完全に除去する。
12. 残りすべての装置を身体から除去する。
13. AFを治療するための左心房への経食道的なアクセスにより、一つ以上の肺静脈の血管壁の組織のアブレーションにより、類似したアプローチをINASと併用できる。適応があれば、適切な診断用電気生理学カテーテルに進み、アブレーション(心房細動の場合)が成功したことを確認する。
【0042】
2つ以上のニードルを標的血管の血管壁に送達してアブレーション流体を注入するために、ニードルを備えた注入器チューブをINASの拡張可能なバルーンの外部表面に取り付けることができるということも想定される。
【0043】
本発明の主な実施形態では、交感神経アブレーションによりアルコールまたはその他の神経毒性流体を腎動脈の壁またはその深部に周方向に投与するために3つ以上のニードル注入部位を使用しているが、同一の結果を達成するためにこの概念のその他の変形を利用しうるということも想定される。あるケースでは、周方向の流体ベース(エタノールまたはその他のアブレーション流体、アブレーション流体の組み合わせ、または加熱した流体)を、膨張させた2つのバルーンの間の空隙にアブレーション流体を注入することで周方向の方法で腎動脈の「リングセグメント」に投与しうるということが想定される。こうして、近位の閉塞バルーンおよび遠位の閉塞バルーンを膨張させた後、アブレーション流体が2つのバルーンの間の空隙の間に注入されて、エタノールなどの流体が動脈壁を貫いて外膜層に至るよう、短時間滞留させて、それによりこの空隙内を走る交感神経の分裂およびアブレーションをする。滞留時間の後、空隙を生理食塩水で洗い流し、バルーンを収縮させることができる。
【0044】
同様に、バルーンの中央付近で小さめの直径を持つ単一のバルーンは、エタノールまたはその他のアブレーション流体、またはアブレーション流体の組み合わせ、または加熱した流体を、動脈壁に触れていないバルーンの中央部分にある「サドル様の」空隙に注入するときも同一の方法で機能しうる。
【0045】
別の実施形態には、アルコール、フェノール、グリセロール、リドカイン、ブピバカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、グアネチジン、ボツリヌス毒素などといった神経毒剤を含む担体で膨張するバルーンの中央部分にある、ポリマー、ヒドロゲルまたはその他の担体の周方向のバンドが含まれうるということも想定される。バルーンは、腎臓の動脈壁の内膜の表面に対抗する比較的低い圧力で膨張し、滞留時間膨張して、腎動脈の「リングセグメント」への周方向の神経毒剤の貫通が許容され、外膜面の付近またはその内部を走る交感神経線維のアブレーションが許容される。
【0046】
INASカテーテルは、標的の組織または神経のアブレーションまたは損傷をする高温流体を送達する加熱した流体、または蒸気の供給源と結合できるということも想定される。加熱した流体は、正常食塩水、高張流体、低張流体、アルコール、フェノール、リドカイン、またはその他の何らかの流体の組み合わせとしうる。生理食塩水、高張食塩水、低張食塩水、エタノール、または蒸留水またはその他の流体のニードルによる蒸気注入も、ニードル注入部位およびその周辺での標的の組織または神経の熱アブレーションを達成する目的で実行できる。
【0047】
INASでは、その遠位端に尖ったニードルを備えた非常に小直径のニードル注入チューブ(たとえば、25〜35ゲージ)を使用できるということも想定され、貫通の深さを設定するための貫通制限部材またはガイドチューブを通した注入器チューブの調節可能な深さの前進のあるガイドチューブの組み合わせを使用して、ニードルは腎動脈の外膜面または大動脈の壁まで、あるいはさらにそれを貫通して進み、交感神経が含まれる外膜層を神経毒液で「浴」することができ、一方で内膜のおよび中膜の血管壁層への損傷が最低限に抑えられる。これらの非常に小さなニードルは、動脈壁を経壁的に通過することができ、内腔から血管の外側への血液の漏れや、中膜層の損傷が最低限に抑えられる小さな穴しか動脈壁には生成されず、そのため安全である。こうして、本発明は、注入ニードルまたは注入チューブの出口が動脈壁をずっと貫いて貫通することで発生し、アブレーション流体が流れ込み、動脈の外側を一つ以上の神経アブレーション物質で「浴」することができるように、腎動脈の壁へ、腎動脈の外膜へ、または腎動脈の外膜層(外膜周囲)の深部へのいずれかの注入を持つことができる。
【0048】
別の実施形態は、膨張するバルーンの中央部分の外部表面上に2つ以上の細孔、または小さな金属製の(非常に短い)ニードル様の突起を持つことができ、これは、注入内腔と流体連通し、腎動脈の壁への注入を許容し、また神経毒剤の周方向の送達を許容する。これらの教示および実施形態の説明が与えられれば、その他の類似した技術が想定され、腎動脈交感神経アブレーションのためのバルーン拡張式の周方向のアブレーションシステムについてのこの概念に基づくその他の変形が許容されうる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態は、上記の方法で説明したとおり、の血管壁の貫通を制限する手段をINASの近位端に置いている。この実施形態では、拡張可能な遠位部分を備えた少なくとも3つのガイドチューブが、INASの長さの遠位部分に沿って走る。オプションのフラッシュ用ポートを備えたガイドチューブ制御機構がINASの近位端に取り付けられ、ガイドチューブの軸方向動作を制御する。
【0050】
各ガイドチューブにつき1つの注入チューブが含まれており、そこで注入チューブは、注入出口ポートをニードル先端またはそのすぐ近くに持つ尖った(コアリングまたは角ニードル)遠位端を持つ。注入チューブは、ガイドチューブの内側に同軸的に位置する。注入チューブの遠位端にある尖った注入ニードルの遠位端は、初期的にはガイドチューブの遠位端のすぐ近くに「留置」されている。近位の注入器チューブ制御機構は、注入チューブの近位端に取り付けられるか、または好ましい実施形態では、複数の注入器チューブに接続マニホールドを通して接続される単一の注入器チューブの近位端に取り付けられる。注入器チューブ制御機構は前進したとき、注入ニードルをガイドチューブの遠位端から出て、希望の貫通深さまで進める。INASの近位セクションにより貫通がどのように制限されるかの一例は、その遠位端で、ガイドチューブ制御機構の近位端から分離して、ニードル前進ギャップを形成する注入器チューブ制御機構を持つことである。注入器チューブ制御機構は、ニードル前進ギャップの距離を調節する手段を持ちうる。代替的に、調節は、ガイドチューブ制御機構上か、または注入器チューブハンドルとガイドチューブハンドルの間の別個の機構としうる。アブレーション流体の注入用のフィッティングはINASの近位端付近に取り付けられ、注入器チューブの注入内腔と流体連通する。
【0051】
その初期的な構成では、シースはそれを制約するガイドチューブの外側に位置する。シースの近位端はガイドチューブに関連する軸方向動作を阻止するためロックできるか、またはシースが近位または遠位方向に移動し、INASを開閉できるようにロックを解除することができるシースハンドルに取り付けられる。
【0052】
INAS近位セクションを使用するプロセスは、INAS内のそれぞれの内腔を正常食塩水で洗い流すことである。次にINASの遠位端が、ガイディングカテーテルを通して腎動脈などの血管内に進められる。次に、シース制御ハンドルが引き出されて、ガイドチューブハンドルが所定位置に保たれる。これにより、ガイドチューブの遠位部分が腎動脈などの血管の壁に対して外向きに拡張できる。オプションとして、シースが引き出された後、ガイドチューブハンドルを使用してガイドチューブをわずかに前方に押して、血管壁に対してしっかりと噛み合うよう確保できる。次に、尖った注入ニードルを持つ注入チューブの遠位端を血管壁の内側と接しているガイドチューブの遠位端の外に押すために、注入器チューブハンドルを前進させることができる。ニードルは、血管壁の中膜に貫通する。前進ギャップに応じて、血管壁へのニードルの貫通は制限できる。これにより、注入出口ポートの数および位置に応じて、ニードルの注入出口ポートを通した、中膜、外膜、外膜(外膜周囲)の外側への、またはこれらの任意の組み合わせへの選択的な注入が許容される。ニードルが血管壁内にまたはそれを通して適切に配置された後、エタノールなどのアブレーション流体の供給源が注入チューブハンドル内のフィッティングに取り付けられ、流体が注入器チューブの内側の内腔を通して、注入出口ポートを通って組織に注入される。
【0053】
注入が完了した後、注入チューブハンドルは引き戻され、ニードルはガイドチューブの遠位部分に格納される。次に、シース制御ハンドルが進められ、ガイドチューブが折りたたまれ、INASを閉じる。次に、シース制御ハンドルがロックされて、INASが不注意に開くことが阻止される。次に、INASがガイディングカテーテル上に引き戻され、その他の腎動脈について同一の治療を繰り返すことができる。
【0054】
一つの好ましい実施形態では、INASの近位セクションは、シース制御機構、ガイドチューブ制御機構および注入器チューブ制御機構を含む1つのハンドルを持つ。この好ましい実施形態は2つの移動セクションを持つ。第一の移動セクションは、シースをガイドチューブに対して移動させるシース制御機構に取り付けられ、第二の移動セクションは、ガイドチューブに対して注入器チューブを移動させる。これらの移動セクションのそれぞれは、理想的には移動を阻止するロック機構も持つ。さらに、ガイドチューブが展開され外向きに拡張しない限りニードルを進めることができないようにした2つの移動セクション間での連動と、ニードルがすでにガイドチューブの近くに後退していない限りシースが閉じないようにする第二の連動とがあるということが想定される。ロック/ロック解除機構は、押してロック解除し、離してロックするボタンか、または一つの方向に捩じってロックし、別の方向でロック解除する回転リングかのいずれかとしうる。
【0055】
好ましい実施形態では、以下のとおり、押しボタン機構が使用される。シース制御機構が取り付けられた第一の移動セクションにあるボタンを押す。これにより、ガイドチューブ制御機構に対するその移動のロックが解除される。この第一の移動セクションを、ハンドルの残りの部分を固定したまま近位に引く。これにより、シースがガイドチューブに対して近位の方向に引かれ、腎動脈の内側に対するガイドチューブの外向きの拡張が許容される。ボタンを離すと、シース制御機構をシース開いた位置でガイドチューブ制御機構にロックされ、注入器チューブ制御機構が前進しないようにした連動が解除される。
【0056】
注入器チューブ制御機構に取り付けられた第二の移動セクションのボタンを押して、ガイドチューブ制御機構に対する注入器チューブ制御機構の移動のロックを解除する。注入器チューブ制御機構を進めて、尖ったニードルを持つ注入器チューブを、ガイドチューブの遠位端を通して血管の壁に押す。ボタンを放して、注入器チューブ制御機構をガイドチューブ制御機構にロックする。この構成では、連動によってニードルが展開されている間、第一の移動セクションは、シースをガイドチューブに対して進めることができなくなる。アブレーション物質の注入と生理食塩水によるINASの洗い流しの後、2つの手順を逆の順序で行う。第二の移動セクションにあるボタンをここで押すと、注入器チューブおよびニードルがガイドチューブに近位方向に格納される。ボタンを放すと、ガイドチューブ制御機構に対して注入器チューブ制御機構がロックされ、シースが閉じないようにされていた連動が解除される。
【0057】
ここで第一の移動セクションにあるボタンを押すことができるようになり、ガイドチューブ制御機構に対して遠位方向に進んだシース制御機構がINASを閉じ、ガイドチューブがここでシースの下に再び格納される。
【0058】
別の実施形態では、第二の移動セクションはガイドチューブ制御機構に取り付けられ、また注入器チューブ制御機構は第三の移動セクションである。ここで、第二の移動セクションは、ガイドチューブ制御機構からの注入器チューブ制御機構のロック解除のみを行い、注入器チューブ制御機構は遠位方向に押されて、尖った注入ニードルを持つ注入器チューブを進めるものである。
【0059】
ボタンについて上記で説明したが、制御機構の相対的な移動のロックおよびロック解除をするために回転されるリングも想定されている。
【0060】
カテーテルの特定部分の放射線不透過性は、INASの使用にとって非常に重要である。理想的には、INASの遠位端での固定ガイドワイヤーは、放射線不透過である。また、シースの遠位端に、シースの遠位端とともに閉じるINASの遠位チップ(閉鎖筋)の近位部分上に、各ガイドチューブの端に、および各注入チューブ/ニードルの遠位端または長さ全体に、一つ以上の放射線不透過マーカーがある。タングステン、タンタル、金または白金の金属リングを使用でき、またバリウムまたはタングステンなどの高密度の材料の充填物とともに成形した放射性不透過性プラスチックを使用することもできる。注入ニードルは、放射性不透過性金属でメッキしたニードルまたはニードル先端を持つことができ、あるいはコアリングニードルの場合、ニードルの遠位端に尖った放射性不透過性のプラグを使用できる。放射線不透過ワイヤーを注入ニードルの内部に配置して、放射線不透過性を高めることができるということも想定される。例えば、ニードル内腔よりも小さい直径の白金または金のワイヤーを、各ニードルの内腔の内側に固定することもできる。
【0061】
こうして、INASの展開において、シースおよび遠位チップ上のマーカーは分離して、シースの格納を示す。ガイドチューブのマーク付きの端は、それらが分離され、血管の内側に接していることをはっきりと示す。注入チューブ/ニードルは前進すると、ガイドチューブの遠位端を超えてはっきりと血管の内腔の深部に延びているものとして見えるようになるが、これは、ガイディングカテーテルを使用した造影剤注入で見ることができる。INASの遠位部分に対して90度で実施された透視診断法は、中央から以下のマーカーの外側にはっきりと示されることが想定される。
・ シースの遠位端をマークする放射性不透過性リング
・ ガイドチューブの端部の放射線不透過性マーカーの外側
・ 血管壁を貫き各ガイドチューブの遠位チップを超えて延びる注入ニードルの遠位部分の外側
【0062】
8個のガイドチューブの内側には、1〜8個の数の注入器チューブ/ニードルが想定されるが、周方向の組織アブレーションについては2、3または4個の管が最適である可能性が高い。
【0063】
本発明のINASの別の重要な特徴は、INASの内部容積つまり「死腔」を減少させ、カテーテルから希望する組織に出されるアブレーション流体を洗い流すために必要な生理食塩水を最小限に抑える設計である。1ml未満のエタノールなどのアブレーション流体がPVRDの実施に必要であることが予想される。死腔は1ml未満であるべきで、さらには0.5ml未満であることがよく、また理想的には0.2ml未満である。一定の設計の特徴では、死腔は0.1ml未満に減少できることが考えられている。こうした特徴には、INAS用の流体注入に使用される内側チューブに小直径の内径が0.5mm未満のハイポチューブを使用すること(ハイポチューブの容積、したがってをINASの死腔を減少させるためにハイポチューブ/内側チューブの全長内に配置されたワイヤーなどの容積占有構造を含む)、および/またはINASの近位端に、小さい0.5mm未満の内径および短い2cm未満の長さを持つことで低容積を持たせた近位注入ポートおよび/または注入マニホールドを設計することが含まれる。INASの注入内腔の内側の死腔を減少させるために想定されている1つの技法は、一つ以上の内腔内にワイヤーを持たせて、容積を占有させることである。
【0064】
ガイドチューブの実施形態は、失血の可能性を最小限に抑える小直径のニードルの使用を許容するよう功を奏するが、以下を含むその他の設計も想定されている。
・ 成形されたチューブ/ニードルが適切に外側に曲がり血管壁を貫通できるように高い放射線不透過性および/または構造強度を提供する、取り外し可能スタイラスを備えた小直径の注入器チューブ/ニードル
・ より大きな直径のあらかじめ成型されたプラスチックまたは金属製の注入器チューブの遠位端に挿入された小直径のニードル
【0065】
こうして、本発明のINASの1つの目的は、小孔付近の肺静脈の血管壁へ、または一つ以上の肺静脈の周りの左心房組織へのアブレーション流体の1回またはそれ以上の注入によって心房細動の治療に使用できる、経皮的に送達されるカテーテルを持つことである。
【0066】
本発明のINASの別の目的は、腎動脈の血管壁にまたはその深部に、または腎動脈の小孔の周囲の大動脈の壁に、アブレーション流体を1回または複数回注入することによって、高血圧の治療のために使用できる経皮的に送達するカテーテルを持つことである。
【0067】
本発明のINASの別の目的は、腎動脈の中膜を含む内層への損傷を低減または阻止するために、腎動脈の外層への、またはそれを超えた、アブレーション流体の注入を促進することである。
【0068】
本発明のINASの別の目的は、0.2ml未満、および理想的には0.1ml未満の限定的な死腔を持つ設計を持つことである。
【0069】
本発明の別の目的は、体内に挿入する前にカテーテルを正常食塩水で充填した後で、ニードルの展開後に、アブレーション流体(例えばエタノール)の第一の注入を行った後、すべてのアブレーション流体を正常食塩水または腎臓に対して無毒性の類似した流体を使用してカテーテルの外に洗い流す第二の手順がそれに続く、腎臓除神経のための2つの注入手順方法を持つことである。INASは閉じ、その他の腎動脈について同一の2つの注入手順が使用される。
【0070】
本発明のさらに別の目的は、選択するアブレーション流体として、蒸留水、高張流体または低張流体を利用することである。これによって、アブレーション流体の注入が、腎動脈あたり1回の注入(1手順)に低減でき、治療が短縮される。
【0071】
本発明のINASのさらに別の目的は、多数の周方向に拡張可能な注入器チューブを備えており、各チューブが、その遠位端に注入出口を持つニードルを持ち、標的血管壁への、または血管壁を超える空隙へのアブレーション流体の送達が許容される、経皮的に送達されるカテーテルを持つことである。
【0072】
本発明のさらに別の目的は、各注入器ニードルの遠位端のすぐ近くに取り付けられた柔軟性のある貫通制限部材または手段、または血管壁への、またはそれを少し貫通したニードル貫通の深さを制限する比較的鈍い先端のガイド用チューブを持つことである。
【0073】
本発明のさらに別の目的は、遠位チップと共に、INASの開いた位置および閉じた位置を提供するシースを持つことである。閉じた位置では、尖ったニードルを完全に閉じるようにシースと遠位チップが接しており、一方開いた位置では、血管壁への、またはその深部へのアブレーション流体の注入のためにニードルを外方向に拡張できる。
【0074】
本発明のなおも別の目的は、加熱または冷却した正常食塩水と共に、またはエタノールなどの本来的なアブレーション流体の効力を高めるためなど、加熱または冷却したアブレーション流体を組織アブレーションの供給源として使用することである。
【0075】
本発明のINASのなおも別の目的は、一つ以上の注入器ニードルに、標的血管壁の電気活動を測定するための診断用電極の役目を果たさせることである。
【0076】
本発明のなおも別の目的は、対応する拡張可能なガイド用チューブ内をスライドして移動し、その遠位端に尖ったニードルを備えた注入器チューブの標的血管壁への、および/またはそれを貫いた通路の、安全かつ制御され、調節可能な深さが許容され、外膜のまたは動脈の外膜周囲層での制御された神経の化学アブレーションが許容され、前記動脈の内膜のおよび中膜の損傷が最小限に抑えられる、同軸で案内される多数の注入器チューブを使用することである。
【0077】
本発明のなおも別の目的は、除神経治療に伴う何らかの苦痛を阻止または低減するために、アブレーション流体の注入前または注入中に麻酔薬の注入を提供することである。
【0078】
本発明のなおも別の目的は、INASの配置、開閉および使用を助ける以下の放射線不透過性マーカーのうち一つ以上を含めることである。これらには以下が含まれる。
・ シースの遠位端をマークする放射性不透過性リング
・ ガイドチューブの端部の放射線不透過性マーカーで、バリウムまたはタングステンなどの放射線不透過性賦形剤を持つ金属バンドまたはプラスチックのいずれか
・ 注入ニードルの遠位部分にある放射線不透過性マーカー
・ 注入器チューブおよび/または注入ニードルの内腔内の放射性不透過性ワイヤー
・ 放射線不透過性マーカーまたは固定ガイドワイヤーの外層
【0079】
本発明のこれらそしてその他の目的および利点は、添付した図面を含めた本発明の詳細な説明を読むことにより、当業者にとって明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、その遠位端に先端28を持つ固定ガイドワイヤー25を備えた、本発明の血管神経アブレーションシステム(INAS)10の遠位部分の軸方向断面図である。
図1は、その完全に開いた位置でのINAS10であるが、尖った注入ニードル19を形成した遠位端を持つ自己拡張式注入器チューブ15がその最大直径に開いた状態を示す。コード13を注入器チューブ15に付着する接着剤14付きの柔軟コード13は、ニードル19の遠位チップが、血管壁内に最大距離Lよりも深く貫通するのを阻止する貫通制限部材としての役目をする。注入器チューブは、任意の弾力性のある材料から作成でき、好ましい材料はNITINOL(登録商標)である。管が同一の目的を達成するための自己拡張式である場合、別個のバネまたは膨張するバルーンを、注入器チューブの内部に配置できる。バルーンは、システムの直径を大きくする一方、ニードルを大きな力で血管壁内に押す。
【0082】
放射線不透過性マーカー27を持つシース12は、注入器チューブ15が完全に拡張できるよう引き戻されたその位置で
図1に示されている。INAS10のこの実施形態では4個の注入器チューブ15があるが、少なければ2個、多ければ12個が想定される。距離Lは0.2〜2mmとすることができ、最適には約lmmである。
【0083】
INAS10の遠位セクション20は、遠位ワイヤー25、テーパー付きの柔軟性のあるチップ26、放射性不透過性のマーカー24およびシース嵌め込み部分22を含み、これはヒトの体内にある血管内の組織のアブレーションにINAS10を使用した後で、INAS10の遠位部分がシース12に正しく引き戻されることを保証する。2個の放射線不透過性マーカー27および24が互いに横並びのときには、INAS10は完全に閉じている。これにより、透視診断中の視覚的表示が提供される。
【0084】
注入器チューブ15の近位端は、外側チューブ16およびコードワイヤー11の遠位端の内側に取り付けられたマニホールド17により保持される。外側チューブ16の近位端は、INAS10の近位端に続くハイポチューブ18に取り付けられる。ハイポチューブ18は、典型的に316ステンレス鋼などの金属で製造され、また外側チューブ16は、腎動脈の血管形成術またはステント留置に使用されるものなど、典型的なガイディングカテーテルでの湾曲部周辺でINASが簡単に前進および格納できるだけの十分な柔軟性を持つよう、プラスチックまたは金属補強プラスチックで製造される。外側チューブ16は、典型的に5〜30cmの長さであるが、INAS10をハイポチューブ18なしで、近位端に対して走るプラスチックまたは金属補強プラスチックの外側チューブ16のみで設計できるということも想定される。
【0085】
コードワイヤー11は、ハイポチューブ18の内側に接合点23で取り付けられる。この取付けは、例えば、接着剤による手段、溶接またはろう付けが考えられる。スポット溶接は好ましい方法である。このように、固定ワイヤー25を支持するコードワイヤー11は、INAS10から簡単に取り外すことはできない。ハイポチューブ18の内側の注入器の内腔21は、それぞれの拡張可能チューブ15の注入器チューブ内腔29と流体連通した外側チューブ16の内腔に接続され、アブレーション物質または溶液がINAS10の近位端からハイポチューブ18を通り、外側チューブ16を通り、拡張可能な注入器チューブ15を通り、尖った注入器ニードル19から出て血管壁に入るように流れることができる。
【0086】
図2は、その閉じた位置にある、INAS10´の遠位部分の概略図であり、ヒトの身体内への送達用に、またはヒトの身体から除去する際に注入器ニードル19を覆うように構成されている。INAS10´は、先端28、コードワイヤー11、外側チューブ16およびシース12を持つ固定ワイヤー25を含む。この構成では、2つの放射線不透過性マーカー27および24が互いに隣接し、シース12が完全に遠位位置に進められている。この設計で非常に重要であるのは、閉じた位置では、尖ったニードル19はテーパー付きの先端26の近位部分上で閉じているシース12により完全に包まれることである。
【0087】
図3は、その遠位端に先端28を持つ固定ガイドワイヤー25を備え、その完全に開いた位置にある、本発明の血管内神経アブレーションシステム(INAS)10の、遠位部分の概略図である。
図3は、その完全に開いた位置でのINAS10であるが、尖った注入ニードル19を形成した遠位端を持つ自己拡張式注入器チューブ15がその最大直径に開いた状態を示す。コード13を注入器チューブ15に付着する接着剤14付きの柔軟コード13は、ニードル19の遠位チップが、血管壁内に
図1および3に示す最大距離Lよりも深く貫通するのを阻止する貫通制限部材としての役目をする。
【0088】
放射線不透過性マーカー27を持つシース12は、注入器チューブ15が完全に拡張できるよう引き戻されたその位置で
図3に示されている。INASのこの実施形態では4個の注入器チューブ15がある。INAS10の遠位セクション20は、固定遠位ワイヤー25、テーパー付きの柔軟性のあるチップ26、放射性不透過性のマーカー24およびシース嵌め込み部分22を含み、ヒトの身体の血管内の組織のアブレーションにINAS10を使用した後、遠位部分が適切にシース12に引き戻されることを保証する。また、
図3に示すのは、注入内腔21およびコードワイヤー11を持つ外側チューブ16である。
【0089】
図4は、
図1〜3のINAS10の固定ワイヤーの実施形態の近位端の軸方向断面図である。
図1にも示しているが、注入内腔21のあるハイポチューブ18は、その近位端に取り付けられた内腔36のあるルアーフィッティング35を持ち、溶液のアブレーション物質の原料がルアーフィッティング35の内腔36を通して、ハイポチューブ18の内腔21に注入され、その後で
図1〜3の注入ニードル19を出るようになっている。シース12の近位端は、ハンドル36、内部ハブ33、ワッシャー39およびOリング43を持つチューヒー・ボースト継手30の遠位端に取り付けられる。ハンドル36がネジによって内部ハブ33上に締め付けられると、Oリングは圧縮し、チューヒー・ボースト継手30をハイポチューブ18に対して封着する。内腔34のあるルアーフィッティング32を持つサイドチューブ31は、シース12の内部とハイポチューブ18の間の内腔38が、INAS10をヒトの身体内に挿入する前に生理食塩水で洗い流せるように設計されている。体内に挿入する前に、チューヒー・ボースト継手30は、
図2に示すとおり、シース12がその最も遠位の位置にあり、INAS10´が閉じた状態でハイポチューブ18に取り付けられる。INAS10´の遠位端が腎動脈の一つに適切に配置されると、ルアーフィッティング35が所定位置に保持されている間に、チューヒー・ボースト継手は緩められ、ハンドル36は近位の方向に引かれる。これにより、INAS10が開き、
図1の注入器チューブ15が、血管内で外向きに拡張できるようになる。
【0090】
図5Aは、
図2の閉じたINAS10´の遠位部分の概略図であり、まずガイディングカテーテルから出て、大動脈の小孔のすぐ遠位の腎動脈に進められている。INAS10´は、ガイディングカテーテル80の遠位端の遠位にあるマーカーバンド24まで進められる。最適な距離である遠位5〜15mmが最適であるが、腎動脈の幾何学形状や腎動脈の小孔へのガイディングカテーテル80の貫通距離に応じて、これよりも短い距離や長い距離が可能である。
【0091】
図5Bは、閉じたINAS10´´の遠位部分の概略図であり、拡張可能チューブ15が小孔のすぐ遠位の腎動脈の壁に対して大動脈内に開くように、シース12が引き戻されている。この位置で、注入ニードルの遠位端が血管壁の内部に噛み合う角度Aは80度未満とすべきで、理想的には40〜60度であることが好ましい。この角度が大きすぎると、注入チューブは尖ったニードルを血管壁に押し込む代わりに後方に曲がることがある。この角度が小さすぎると、ニードルは適切に貫通しないことがあり、血管壁の内部に沿って遠位にスライドすることがある。シース12が引き戻され、拡張可能な注入器チューブ15をもはや束縛しないようになった後、INAS10´´は、遠位方向に押され、注入ニードル19が腎動脈の壁内に貫通するとき、注入器チューブ15はその外向きの拡張を続けることができる。コード13がニードル19の貫通を制限する腎動脈の壁に噛み合うと、貫通は停止する。代替的に、この「コード」は注入器チューブ15に固定できるように取り付けられ、(より硬い)金属製の貫通制限部材を提供するNITINOL(登録商標)ワイヤー構造で置き換えることもできる。
【0092】
図5Cは、
図3の完全に開いたINAS10の遠位部分の概略図であり、ニードル19は、アブレーション物質の血管壁への注入ができるように腎動脈の壁に完全に埋め込まれている。
図5Cは、コード13を完全に拡張した状態で示しているが、腎動脈の壁に噛み合いニードル19の貫通を制限するとき、最大直径よりもわずかに小さい直径であることが一般的である。好ましくは、治療のために選択したINAS10システムの最大直径は、腎動脈の内径よりも少なくとも2〜4mm大きくすべきである。例えば、希望のアブレーション部位での腎動脈の直径が5mmであるときには、最大直径が7〜9mmのINAS10が選択されるべきである。
図5Cの構成で、アブレーション物質は、ニードル19を通して腎動脈の壁に注入される。好ましいアブレーション物質は、エチルアルコール(エタノール)で、これは、組織、特に心血管系の神経組織のアブレーションに伝統的に使用されてきた。フェノール、グリセロール、局所麻酔剤(リドカインなど)、グアネチジンまたはその他の細胞毒性および/または神経毒剤といったその他の薬剤も可能性のある注入物として予想される。
【0093】
図5Dは、閉じたINAS10´´の遠位部分の概略図であり、その遠位部分は、その他の腎動脈でのその後の使用、または体外への除去のいずれかのために、シース12に引き戻されてINAS10´´を閉じている。斜線部分はアブレーションを施した領域100を示し、この場所の腎動脈壁の組織がアブレーションを受けたことになる。ニードルの貫通深さが、より深く(たとえば2.5〜3mm)設定されている場合、アブレーションゾーンは、
図5Dに示すものよりも深く(主に外膜)なることがあり、腎動脈壁の内膜および中膜の層に対する損傷は少なくなる。
【0094】
図5Eは、
図2の閉じたINAS10´の遠位部分の概略図であり、その他の腎動脈でのその後の使用、または体外への除去のいずれかのために、INASの遠位部分がシース12内へ引き戻されて閉じた後の状態である。
【0095】
INAS10のこの実施形態では、高血圧のための使用方法は、以下の手順のとおりである。
1. 無菌領域内で滅菌済みINAS10をそのパッケージから取出し、外側チューブ12とハイポチューブ18の間の内腔38を生理食塩水で洗い流す。
2. シース12を、INAS10´がその閉じた位置になるまで進める。
3. チューヒー・ボースト継手30を
図4のハイポチューブ18にロックする。
4. 一般にイントロデューサシースの挿入によって、大腿動脈を経由して大動脈にアクセスする。
5.
図5A〜5Eのガイディングカテーテル80または成形した遠位端を持つガイディングシースを使用して、大動脈を通して第一標的の腎動脈を噛み合わせる。これは、必要に応じて造影剤注入で確認できる。
6.
図2のINASの遠位端10をその閉じた位置で、ガイディングカテーテル80の近位端に入れる。一般に、失血を制約するためにチューヒー・ボースト継手がガイディングカテーテル80の遠位端に取り付けられる。
7. 閉じたINAS10は、開いたチューヒー・ボースト継手を通してガイディングカテーテル80に押し込むことができる。
8. INAS10を、ガイディングカテーテルを通して、
図5Aに示すとおり、マーカーバンド24が腎動脈内でガイディングカテーテルの遠位端の遠位に来るまで進める。
9. ルアーフィッティング35およびINAS10の近位端のハイポチューブ18を固定しながら、シース12を近位の方向に引き戻す。これにより、
図5Bに示すとおり、腎動脈の壁に対する注入器チューブ15の拡張が許容される。
10. チューヒー・ボースト継手30をハイポチューブ18にロックする。
11. ガイディングカテーテル80の近位端にあるチューヒー・ボースト継手を緩めた状態で、自己拡張式注入器チューブ15が引き続き外向きに拡張するとき、シース12およびハイポチューブ18を一緒にロックされた状態で進め尖ったニードル19を腎動脈の壁に押し込むか、またはそれを貫通する。注入器チューブ15は、貫通制限部材13が腎動脈の壁に噛み合ったときに貫通を停止し、したがって希望の深さへのニードル19の貫通を制限する。
12. 腎動脈の壁に注入されるアブレーション流体を供給する、注入器または注入システムを
図4のルアーフィッティング35に取り付ける。
13. 適切な量のエタノール(エチルアルコール)またはその他の適切な細胞毒性流体、または神経アブレーション液の組み合わせ、または加熱した流体または蒸気(たとえば、90〜95度の加熱した生理食塩水)を注入器または注入システムから内腔36を通して、ニードル19から腎動脈の壁に注入する。典型的な注入は、0.3〜5mlである。これにより、
図5Dおよび5Eに示すアブレーションを施した領域に示すとおり、アブレーションを施した組織の環状体が腎動脈の円周周辺に形成する、多数の交差するボリューム(volumes)のアブレーション(各ニードルに1つ)が生成される。造影剤および/またはリドカインなどの麻酔薬を、アブレーション流体の前またはそれと同時に注入することもできる。注入チューブ/ニードルの格納の前に神経アブレーション液を死腔から洗い流すために、生理食塩水を使用することができる。
14. チューヒー・ボースト継手30を緩め、およびチューヒー・ボースト継手30およびシース12を固定しながら、ニードル19のある拡張可能チューブ15がシース12の遠位端に完全に引き戻され、マーカーバンド27および25が互いに横並びになるまで、ルアー35をハイポチューブ18と共に近位の方向に引く。これは
図5Dおよび5Eに示す。
15. 一部の場合では、INAS10を再び腎動脈内に進め、20〜90度回転させてから、注入を繰り返してさらに決定的な量のアブレーションを施してもよい。これは、INAS10が4個未満の注入器チューブしか備えておらず、本書で示す4個の注入器チューブが必要でない場合に有利である。
16. 手順8〜15に従う同一の方法を、同一の治療中にその他の腎動脈の周辺組織のアブレーションをするために繰り返すことができる。
17. INAS10をその閉じた位置でガイディングカテーテルから取り外す。閉じた位置にあることでニードル19は囲まれ、ヘルスケア従事者を害したり、血液由来の病原体を暴露することができない。
18. 残りすべての装置を体外に取り出す。
【0096】
心房細動を治療するために、肺静脈の一つの壁である標的血管の壁のある左心房の中隔を通して挿入されたガイディングカテーテルを通して、類似したアプローチをINAS10と併用できる。
【0097】
図6は、別個のガイドワイヤー60上を送達される本発明の血管神経アブレーションシステム(INAS)40の別の実施形態の遠位部分の軸方向断面図である。
図6は、その完全に開いた位置でのINAS40であるが、尖った注入ニードル49を形成した遠位端を持つ自己拡張式注入器チューブ45がその最大直径に開いた状態を示す。柔軟コード43は、注入器チューブ45を接続し、ニードル49の遠位チップが、血管壁内に最大距離Dよりも深く貫通するのを阻止する貫通制限部材としての役目をする。
図1のコード13とは異なり、コード43は、各注入器チューブ45の側面にある穴57を通して遠位端から距離Dだけ送り込まれる。穴に封をして、注入中に血管壁へのアブレーション物質または溶液の漏れを阻止するために、1滴の接着剤(非表示)を使用できる。
【0098】
シース42は、注入器チューブ45の完全な拡張が許容されるよう引き戻された位置で表示されている。INAS40のこの実施形態では4個の注入器チューブ45があるが、少なければ2個、多ければ12個が想定される。距離Dは0.2〜2mmとすることができ、最適には約0.5〜lmmである。
【0099】
注入器チューブ45の近位端は、外側チューブ46および内側チューブ48のの遠位端の内側に取り付けられたマニホールド47により保持される。注入内腔51は、マニホールド47に近い、内側チューブ48と外側チューブ46の間に位置する。注入内腔51を通して注入されたアブレーション材料は、注入器チューブ45の近位端に流れ込んだ後、注入ニードル49から出て、一つ以上の血管層および/または血管壁のすぐ外側のボリューム(volume)の組織に流れ込む。
【0100】
内側チューブ48の遠位セクションに同軸的に取り付けられたINAS40の遠位セクション50は、テーパー付きの柔軟性のあるチップ56、放射性不透過性のマーカー55およびシース嵌め込み部分54を含み、これはヒトの体内にある血管内の組織のアブレーションにINAS40を使用した後でINAS40の遠位部分がシース42に正しく引き戻されることを保証する。ガイドワイヤー60は、内側チューブ48の内部に位置するガイドワイヤー内腔41の内部で軸方向に前進および格納ができる。INAS40は、オーバー・ザ・ワイヤーまたは迅速交換装置のどちらかで構成ができる。オーバー・ザ・ワイヤーの場合、内側チューブ48の内部のガイドワイヤー内腔41は、
図7に示すとおり、INAS40の近位端までにわたって走る。迅速交換構成が使用される場合には、ガイドワイヤーはINAS40から出て、INAS40の長さの一部についてINAS40の外側の外を走る。迅速交換が使用される場合には、シース42がINAS40の残りの部分に対して長期的に移動できるように、シース42内にスロットが必要となる。迅速交換構成の近位端は、
図4の固定ワイヤーINAS10のそれと同一である。ガイドワイヤーは典型的に少なくとも最も近位の10cmについてINAS40の本体の外側を走り、好ましい実施形態では、ガイドワイヤーは、INAS40の遠位端から5〜15cmの間で、外側チューブ46およびシース42の側面を通して外に出る。
【0101】
図7は、
図6のINAS40のオーバー・ザ・ワイヤー実施形態の近位端70の軸方向断面図である。内側チューブ48は、その近位端に取り付けられたルアーフィッティング78を持つ。ガイドワイヤー60は、内側チューブ48の内側のガイドワイヤー内腔41を通して進めることができる。外側チューブ46の近位端は、内側チューブ48に対して封着されているハブ79に取り付けられ、内側チューブ48と外側チューブ46の間の注入内腔51を形成している。内腔76のあるサイドチューブ74は、ハブ79にサイドチューブ74の近位端に取り付けられたルアーフィッティング75で接続されている。注入器またはその他の注入装置をルアーフィッティング75に取り付けて、アブレーション物質または溶液を、内腔76を通して注入内腔51へ、
図6の注入器チューブ45へ、注入ニードル49の端部から出て血管壁に注入することができる。シース42の近位端は、シース42を外側チューブ46の上で同軸的にスライドして、
図6のINAS40を開閉するハンドルの役目をするハブ77に接続される。内腔73のあるサイドチューブ72は、ハブ77内に接続される。ルアーフィッティング71がサイドチューブ72の近位端に取り付けられており、INAS40をヒトの身体内に導入する前に、シース42と外側チューブ46の間の内腔62を生理食塩水で洗い流すことができる。ここで示すハブ77はプラスチック部材であるが、シース42の遠位端がその最も遠位の位置に留まり、注入ニードル49を保護し、またヘルスケア従事者がニードル突き刺しの負傷に晒されないように保護されるよう、挿入および体外への除去時にシース42を外側チューブ46上の所定位置にロックできるため、
図4のチューヒー・ボースト継手30などのチューヒー・ボースト継手をここで使用できることが想定される。
【0102】
図8は、ヒトの身体内の組織をアブレーションするために、注入用に事前に設定した温度まで加熱したアブレーション流体を
図1〜5CのINAS10を通して供給するために使用される、使い捨て注入器90の軸方向断面である。注入器90には、流体貯蔵量99を持つ注入器104と、典型的には標準栓(非表示)に取り付けられているメスのルアーフィッティング93とが含まれ、この栓は、
図1〜4のINAS10の近位端で、オスのルアーフィッティング35に結合する。栓は、注入器90またはINAS10に備えるか、またはそのどちらかと一体化して供給しうることも想定される。注入器104は、断熱材96が充填されたケース95内に含められた加熱コイル94により取り囲まれている。加熱コイル94の電源は、電池ケース97に格納された正端子91および負端子92を持つ電池98をその源とする。ハンドル102および遠位封着ガスケット103のある移動可能なプランジャー101を使用して、容積99の加熱したアブレーション流体がルアーフィッティング93を通して、
図4のINAS10の注入器内腔21内に注入され、そこで、
図5Cに示すとおり、
図1および3の注入器ニードル19を通して、組織に流れ出る。注入器90には、注入器104内のアブレーション流体がいつ希望の温度になったかをユーザーに知らせる温度ディスプレーまたは一つ以上のLEDを備えた閉ループエレクトロニクスを含めうる。注入器90は、単一の事前に設定した温度で、または複数の温度に調節可能なものとして製造できる。
図8は、手動の注入プランジャー101を示すが、プランジャーを押す流体ポンプまたは機械的なシステムを注入器90に組み込むことができるということも想定される。組織のアブレーションに加熱した流体を使用することは、正常食塩水などの通常は良性の物質を熱によって組織のアブレーションが起こる温度まで加熱することによるか、あるいは室温または体温で通常アブレーション能力のあるアルコールなどの流体のアブレーション能力を向上するよう作用することによるかのいずれかで効果的である。
【0103】
図9は、内腔111および遠位端119を持つ注入ニードル110の近位セクションの軸方向断面図であり、取り付けられた軸方向の記憶金属ワイヤー貫通制限部材114および116とそれぞれの近位部分112および113を示している。これらの近位部分112および113は、ニードル110が
図1〜4のシース12の内側から放出されるとき、ワイヤー114および116の遠位部分は、
図9に示すとおりそれらの記憶状態を想定し、ニードルの先端119の貫通をおよそ事前に設定した距離L2に制限する部材を形成するように、ニードルの外側115に取り付けられる(接着、溶接またはろう付け)。大抵の動脈は、類似した厚みを持つため、距離L2を設定して、ニードル内腔111を通して注入されるアブレーション流体が適切な量の組織内に確実に現れるようにすることができる。適切な量の選択は、注入は動脈の中膜、動脈の外膜または動脈の外膜の外側に設定ができるように、異なる値L2により設定ができる。
図9には、2本のワイヤー114および116を示すが、1本のワイヤーでも貫通を制限するために機能し、または3本以上のワイヤーを使用することもできる。理想的には、ワイヤーは、シース12が引き戻されニードルが展開される前のワイヤー114および116が
図1〜4の閉じたINAS10の直径を増大させる場所の内側または外側ではなく、ニードルの側面の周方向にニードル115の外側に取り付けられている。
【0104】
超冷却したアブレーション流体を
図1〜4のINASに送達するよう設計された注入器もこの用途に適していることも想定される。
【0105】
本発明の重要な様相は、血管壁に対するアブレーション流体の周方向の送達である。一つ以上の注入出口ポイントからのこうした送達は、神経組織を周方向に正しい深さで攻撃して効力を確保し、また理想的には内膜層および中膜層の健常かつ正常な細胞構造への損傷を最小限に抑えなければならない。周方向の送達は、上述したとおり、3つの異なる方法で処理ができる。
1. 血管の円周周辺の3つ以上のポイントでの血管壁への注入。
2. 血管壁の外側の空隙への注入−これは単一のニードル/出口ポイントにより達成することができるが、ニードルを格納するにしたがい血管壁が再び塞がるように、ニードルを小さく保つことができるように、少なくとも2つの出口ポイントで実施することが最適である。
3. 内側に注入して環状の空隙を充填させ、アブレーション流体を周方向に血管の内側表面に送達する。
【0106】
図10は、その遠位端に先端228を持つ固定ガイドワイヤー225を備え、その完全に開いた位置にある、本発明の血管内神経アブレーションシステム(INAS)200の遠位部分のさらに別の実施形態の概略図である。
図10は、その完全に開いた位置でのINAS200であるが、尖った注入ニードル219を形成した遠位端を持つ自己拡張式注入器チューブ215がその最大直径に開いた状態を示す。この実施形態では、注入器チューブ215はそれぞれ、周方向に長さL4を持つ二重の曲げまたはキンク214を持つ。キンク214は、ニードル219の遠位チップが、血管壁内へ最大距離L3を超えて貫通しないよう阻止する貫通制限部材の役目をする。
【0107】
放射線不透過性マーカー227を持つシース212は、注入器チューブ215が完全に拡張できるよう引き戻されたその位置で
図10に示されている。INASのこの実施形態では3個の注入器チューブ215がある。INAS200の遠位セクション220は、固定遠位ワイヤー225、テーパー付きの柔軟性のあるチップ226、放射性不透過性のマーカー224およびシース嵌め込み部分222を含み、ヒトの身体内の血管内の組織のアブレーションにINAS200を使用した後、遠位部分が適切にシース212に引き戻されることを保証する。また、
図10に示すのは、注入内腔221およびコードワイヤー211を持つ外側チューブ216である。
図10のINAS200は、貫通制限部材としてキンク(二重曲げ)214を使用することを違いとするが、
図1〜5EのINAS10と同一の方法で使用できる。キンク214は、注入器チューブに取り付けられた
図1〜5Eの貫通リミッターと比較して、注入器チューブ215に組み込まれている。キンク214の追加は、注入ニードル219を形成する尖った端部を持つそれぞれの注入器チューブ215を形成するために使用される記憶金属(たとえば、NITINOL(登録商標))チュービングの形状に二重曲げをセットするだけの問題であるはずである。この実施形態では、注入器チューブ自体が標的血管壁への貫通を制限する。記憶をセットするためのNITINOL(登録商標)チュービングの成形および熱処理のプロセスは、周知のとおりである。
【0108】
本発明は、ヒトの身体内の組織のアブレーションのためのINASの使用を考察してきた。また、任意の流体または薬物の血管内注入についても利点がある。貫通の深さを制限する能力により、任意の流体を選択的に血管の中膜、外膜または外膜の外側に注入することができる。
図10の二重曲げ貫通制限部材概念の使用は、ヒト組織への事前に設定した距離での流体注入が要求されるあらゆる用途に適用しうることも想定される。
【0109】
周方向の送達という用語は、ここでは、血管壁内で周方向に間隔をおいた少なくとも3点の同時注入、または血管の外膜層(外壁)の外側にある空隙の周方向の充填として定義される。
【0110】
図11は、拡張可能な遠位部分を持つ4つのガイドチューブ315内でスライドが可能な4つの注入器チューブ316を持つ、その閉じた位置にある、本発明のINAS300の別の実施形態の軸方向断面である。尖ったニードル319を持つ注入器チューブ316は、各注入器チューブ316の遠位端付近に注入出口ポート317を持つ。遠位放射線不透過性マーカーバンド327を持つシース312は、同軸の注入器チューブ316を持つガイドチューブ315を包む。注入器チューブ316は、注入内腔321を持つ。それぞれのガイドチューブ329の遠位端は、ガイドチューブ315が展開時に外向きに拡張するとき、血管壁に対してほぼ平行となる表面が提供されるよう漸減している。長さL5を持つガイドチューブ315の遠位部分は拡張された記憶形状にセットされ、また
図11に示すとおり、拡張を阻止するシース312により制約されている。4つのガイドチューブ315は、距離L5を超えては、コードワイヤー311に取り付けまたは結合がなされていない。距離L5の近位で、ガイドチューブ315は、コードワイヤー311に取り付けまたは結合がなされ、
図13に示す好ましい実施形態では、コードワイヤー311および4つのガイドチューブ315が、プラスチックシリンダー305に埋め込まれている。
【0111】
INAS300の遠位端は、ワイヤーラップ外部325、コードワイヤー311および先端328を持つ遠位の成形可能な固定ガイドワイヤー320に取り付けられたテーパー付きセクション326を持つ。テーパー付きセクション326は、アブレーション流体を血管壁に注入するためにINAS300を展開した後で、近位セクション323上でシース312の閉じを促進するための、放射線不透過性マーカー324および近位テーパー323を含む。
【0112】
図12は、シース312内部に同軸的に位置するガイドチューブ315を示す、
図11のINAS300の領域S12の拡大図である。尖ったニードル319、内腔321および注入出口ポート327を持つ注入器チューブ316の遠位部分は、テーパー付き遠位端329を持つガイドチューブ315の遠位部分の内部に同軸的に位置する。全部または一部のニードル319または注入器チューブ全体は、タンタル、白金または金などの放射線不透過性材料で製造しうる。ニードルの端部は、金などの放射線不透過性材料で被覆またはメッキを施したり、または先端を角ニードルに尖らせる前に、白金インサートを注入チューブの遠位チップ内に配置することができるも想定される。また、テーパー付きセクション326のコードワイヤー311および近位セクション323が示されている。ガイドチューブ315の遠位端329を含む遠位部分は、金などの放射線不透過性材料で製造、被覆またはメッキできることも想定される。
【0113】
図13は、
図11のINAS300のS13−S13での周方向断面であり、コードワイヤー31の外側に取り付けられた4つのガイドチューブ315をはっきりと示す。注入内腔321を持つ注入器チューブ316は、ガイドチューブ315の内部に同軸的に位置する。注入チューブ316は、ガイドチューブ315の内腔内部では軸方向に自由にスライドする。注入チューブ316は、NITINOL(登録商標)から形成して、およびガイドチューブ315の湾曲した遠位形状に並行に予め成形し、ガイドチューブ315内での注入器チューブ316の同軸的動作を向上させることもできる。ガイドチューブ315、注入チューブ316およびコードワイヤー311は、これらの部分上を自由にスライドするシース312内に同軸的に位置する。また、ガイドチューブ315およびコードワイヤー311を、より適切に部品をまとめて保持するためにプラスチック305に埋め込む方法、または溶接、ろう付け、接着剤の使用により結合する方法についても示されている。プラスチック305の使用により、それに対してシース312の近位部分を封じることができる円筒型表面も許容され、装置の使用の開始前に、生理食塩水でシース312の内部とプラスチック305の外部との間の空隙を洗い流すことができる。
【0114】
図14は、注入チューブ316と共に完全に開いた構成にある、INAS300´の拡張した遠位部分の軸方向断面であり、ガイドチューブ315の遠位端を超えて進んだ状態で示されている。注入器チューブ316の遠位端は、注入出口ポート317を持つ尖ったニードル319を持つ。
【0115】
この構成で、シース312は引き戻されており、ガイドチューブ315が外向きに開くことができる。ガイドチューブ315は典型的にNITINOL(登録商標)などの記憶金属から製造される。注入器チューブ316は、外科手術用の316ステンレス鋼などの任意の金属から製造でき、またはNITINOL(登録商標)、またはタンタルまたは白金などの放射能不透過性金属から製造することもできる。要素315および316が放射線不透過金属から製造されていない場合、注入器チューブ316およびガイドチューブ315の遠位部分を一般的にチューブの遠位端でまたはその付近で、金などの放射線不透過材料で被覆するか、または放射線不透過性材料片を注入器チューブの遠位端で尖ったニードル319を形成または配置するために使用することが想定される。直径L6は、完全に開いたガイドチューブ315の記憶構成を示す。腎動脈の使用では、L6は典型的に3〜10mmであり、1つのサイズのみが作成される場合、7mmを超える腎動脈はほとんどないため、8mmが最適な構成である。また、
図14では、ガイドチューブ315の遠位端329は、完全に開いた構成で、INAS300´の縦軸と並行であることを示す。INAS300´の遠位部分は、先端328、外層325およびコードワイヤー311を持つ固定ガイドワイヤー320に取り付けられたテーパー付きセクション326を持つ。
【0116】
図15は、
図14の領域S15の拡大図であり、注入器チューブ316の遠位端は、内腔321および遠位ニードル319がガイドチューブ315の遠位端329を超えて完全に進んだ状態で示されている。また
図15には、内弾性板(IEL)、中膜、外弾性板(EEL)および外膜を持つ動脈壁が示されている。
図14は、注入出口ポート317が外膜の中心に配置されることを示す。
【0117】
本発明のINAS300の重要な特徴の一つは、以下のどれも達成できるように、注入出口ポートを通した注入の貫通深さが、調節可能なことである。
1. 中膜への注入
2. それぞれ注入出口穴の一つへの位置決めによる中膜および外膜への注入
3.
図15に示すとおりの外膜への注入
4. 外膜および外膜の外側にあるボリューム(volume)の両方への注入
5. 外膜の外側にあるボリュームのみへの注入
【0118】
具体的には、ニードル319の先端がガイドチューブ315の端部329を超えて延びる距離L7は、INAS300の近位端で装置を使用して調節が可能である。
【0119】
図16は、
図11〜15のINAS300の近位端の軸方向断面である。3つのハンドル、近位注入ハンドル330、中央ガイドチューブハンドル340および遠位シース制御ハンドル350により、シース312、ガイドチューブ315および注入器チューブ316の相対的な軸方向の移動が許容される。
図16に示す位置では、シース制御ハンドル350は、その最も近位の位置にあり、これはシース312が完全に近位の方向に引き戻されていることを示し、これにより、
図14に示すとおり、ガイドチューブ315を外向きに拡張できる。注入ハンドル330とガイドチューブハンドル340との間の距離L8を持つギャップは、注入ハンドル330の近位部分333に対して移動が可能なネジ山335付きのネジ調節部品334を使用して調節ができる。ギャップL8が設定されると、注入器チューブ316のニードル319および注入出口ポート317の、標的血管壁への貫通が制限される。理想的には、開業医がギャップL8を設定し、それにより貫通距離を調節できるように、近位注入ハンドル330の近位部分333に目盛を付けることができる。アクセスチューブ336を持つルアーフィッティング338は、アブレーション流体のハンドル中央内腔332への注入のポートであり、これは、注入器チューブ316の内腔321と流体連通している。
【0120】
中央ガイドチューブハンドル340は、外側部分342と、コードワイヤー311の遠位部分を外側部分342に封着する封着部材344とを含み、それを通して4つの注入器チューブ316がガイドチューブ315の近位端にスライドして入ることができる4つの穴を提供する。アクセスチューブ346を持つルアーフィッティング348は、ガイドチューブ347の穴を通した注入器チューブ316とガイドチューブ315の間の空隙へのアクセスを提供する。
【0121】
遠位シース制御ハンドル350は、ルアーフィッティング358のあるシース312の外側に取り付けられた遠位部分354と、シース312の下にある内腔へのアクセスを提供して、治療の開始前に生理食塩水でそれを洗い流せるようにするサイドチューブ356とを含む。また、ハンドル350も、近位部分352と、近位部分352を遠位部分354にねじ込むことにより圧縮して、ガイドチューブ315に対するシース312の位置をロックする弾性ワッシャー359とを持つ。
【0122】
図17は、
図16の領域S17の拡大図であり、内腔331を持つサイドチューブ336に取り付けられた近位ルアーフィッティング338を備えた注入ハンドル330を示す。近位部分333は、サイドチューブ336の外側に封着され、また4つの注入器チューブ316の外側に対して封着する。この封着は、接着剤による、または成形による、またはチューブ336および316へ近位部品の形成によることができる。サイドチューブ336の内腔331は、近位部分333の中央内腔332と流体連通し、これは、注入器チューブ316の内腔321と流体連通する。こうして、ルアー338を通して注入されたアブレーション流体は、注入器チューブ316の内腔321に流れ込み、
図15に示す注入出口ポート317を通して標的血管壁の組織またはその付近の組織内に現れる。両方の近位部分333にあるねじ山335と注入ハンドル330のネジ調節部品334により、
図16のギャップL8の調節ができる。ギャップL8を設定すると、注入器チューブ316のニードル319および注入出口ポート317の標的血管壁への貫通が制限される。開業医がギャップL8を設定し、それにより貫通距離を調節できるように、近位注入ハンドル330の近位部分333に目盛を付けることができる。
【0123】
図18は、
図16の領域S18の拡大図であり、中央ガイドチューブハンドル340およびシース制御ハンドル350を示す。
【0124】
中央ガイドチューブハンドル340は、外側部分342と、ガイドチューブ315の遠位部分およびコードワイヤー311を外側部分342に取り付ける封着部材344とを含む。外側部分342は、ガイドチューブ315およびコードワイヤー311が埋め込まれるプラスチック305に対して封着される。プラスチック305の近位端の近くのアクセスチューブ346のあるルアーフィッティング348(
図15で表示)は、ガイドチューブ315の穴347を通して、注入器チューブ316とガイドチューブ315の間の空隙へのアクセスを提供する。
【0125】
遠位シース制御ハンドル350は、ルアーフィッティング358(
図15に表示)のあるシース312の外側に取り付けられた遠位部分354と、シース312とプラスチック305との間の内腔へのアクセスを提供して、治療の開始前に生理食塩水でそれが洗い流されるようにするサイドチューブ356とを含む。また、ハンドル350も、近位部分352と、近位部分352を遠位部分354にねじ込むことにより圧縮して、プラスチック305上でのシース312の位置をロックする弾性ワッシャー359とを持つ。
図11に示すとおり、このINAS300が閉じた状態でロックされた位置で、INAS300は、
図11のマーカーバンド324のある遠位端が腎動脈内に来るまで、身体内に進められる。次に、近位部分352は緩められ、中央ガイドチューブハンドル340を固定しながら、シース制御ハンドル350を遠位方向に引くことができるようになる。シース制御ハンドル近位部品352の近位端が、
図18に示すとおり、ガイドチューブハンドル340の外側部分342の遠位端に接するとき、シース312は完全に格納し、標的血管壁に対してガイドチューブ315の拡張ができることが想定される。
【0126】
INAS300を用いた腎臓除神経の完全な治療は以下のとおりである。
1. 無菌領域内で滅菌済みINAS300をそのパッケージから取り出し、注入器チューブの注入内腔321、シース312とプラスチック305の間の空隙、および注入器チューブ316およびガイドチューブ315を生理食塩水で洗い流す。
2. 一般にイントロデューサシースの挿入によって、大腿動脈を経由して大動脈にアクセスする。
3.
図5A〜5Eのガイディングカテーテル80または成形した遠位端を持つガイディングシースを使用して、大動脈を通して第一標的の腎動脈を噛み合わせる。これは、必要に応じて造影剤注入で確認できる。
4.
図11のINASの遠位端300をその閉じた位置で、ガイディングカテーテルの近位端に入れる。一般に、失血を制約するためにチューヒー・ボースト継手がガイディングカテーテル80の遠位端に取り付けられる。
5. 閉じたINAS300は次に、開いたチューヒー・ボースト継手を通してガイディングカテーテルに押し込まれる。
6. ガイディングカテーテルを通して、マーカーバンド324が腎動脈内でガイディングカテーテルの遠位端の遠位に来るまでINAS300を進める。
7. ガイドチューブハンドル340を固定しながら、シース312を近位の方向に引き戻す。これにより、
図15に示すとおり、腎動脈の壁に対する注入器チューブ315の拡張が許容される。
8. シース制御ハンドル350をプラスチック305にロックする。
9. ガイディングカテーテルの近位端にあるチューヒー・ボースト継手をシース312にロックする。
10. ガイドチューブハンドル340を進めて、ガイドチューブ315の遠位端329が腎動脈壁と適切に接触し、腎動脈壁の長軸に対してより直角に近い角度を指し示すように外向きに広がるようにする。
11. ガイドチューブハンドル340を固定しながら、注入ハンドル330をその遠位端がガイドチューブ制御ハンドル340の近位端に接触するまで進める。これにより、ニードル319は、ガイドチューブ315の遠位端329を通して、2つのハンドル330および340の接触により制限される適切な貫通まで標的血管の壁内に進むことになる。
12. 腎動脈壁に注入されるアブレーション流体を供給する注入器または注入システムを、ルアーフィッティング338に取り付ける。アブレーション流体の前に、リドカインなどの麻酔薬および/または造影剤を注入して、治療に伴う苦痛の阻止や低減、および/またはニードルが正しい位置にあることの確認をすることができる。麻酔薬または造影剤を、アブレーション流体と混合できることも考慮されている。
13. 適切な量のアブレーション流体を、注入器または注入システムから注入器チューブの内腔321を通して、注入出口ポート317から出し、腎動脈の壁内へ、および/またはその外側へ注入する。典型的な注入は1〜10mlである。これにより、
図5Dおよび5Eに示すアブレーションを施した領域に示すとおり、アブレーションを施した組織の環状体が腎動脈の円周周辺に形成する、多数の交差するボリューム(volumes)のアブレーション(各ニードルに1つ)が生成される。
14. ガイドチューブハンドル340を固定しながら、注入ハンドル330を近位の方向に引き、ニードル319をガイドチューブ315に引き戻す。
15. プラスチック305からシース制御ハンドル350のロックを解除し、ガイドチューブ制御ハンドル340を固定しながら、ガイドチューブ315が完全にシース312の遠位端に折りたたまれて戻り、マーカーバンド327および324が互いに横並びになり、
図11に示すとおりINAS300がその閉じた位置にあることを示すまで、シース制御ハンドル350を遠位方向に進める。
16. 同一の治療中にその他の腎動脈の周辺の組織のアブレーションをするために、手順6〜15に従う同一の方法を繰り返すことができる。
17. INAS300をその閉じた位置でガイディングカテーテルから取り外す。閉じた位置にあることで、ニードル319はシース312の内部にあるガイドチューブ315内部に二重に囲まれているため、尖ったニードル319がヘルスケア従事者を害したり血液由来の病原体に暴露することができない。
18. 残りすべての装置を体外に取り出す。
【0127】
心房細動を治療するために、肺静脈の一つの壁である標的血管壁のある左心房の中隔を通して挿入されたガイディングカテーテルを通して、類似したアプローチをINAS300と併用できる。
【0128】
図19は、
図16のINAS300の近位部分と比較した設計を簡略化した、INAS400の代替的実施形態の近位部分の軸方向断面である。INAS400は、
図11〜15のINAS300と同一の遠位部分設計を使用している。3つのハンドル、近位注入ハンドル430、中央ガイドチューブハンドル440および遠位シース制御ハンドル450により、シース312、ミドルチューブ415および注入内腔421のある内側チューブ416の相対的な軸方向の移動が許容される。
図19に示す位置では、シース制御ハンドル450は、その最も近位の位置にあり、これはシース312が完全に近位の方向に引き戻されていることを示す。この位置において、
図11〜18のINAS300の場合と同様に、
図14に示すとおり、これによりガイドチューブ315の遠位部分が外向きに拡張するようになる。
【0129】
注入ハンドル430とガイドチューブハンドル440との間の距離L9を持つギャップは、注入ハンドル430の近位部分433に対して移動が可能なネジ山435付きのネジ調節部品434を使用して調節ができる。ネジ調節部品434の近位端は、注入器チューブ316のニードル319および注入出口ポート317の標的血管壁への貫通を距離L9に制限する貫通制限部材である。理想的には、開業医がギャップL9を設定し、それにより貫通距離を調節できるように、近位注入ハンドル430の近位部分433に目盛を付けることができる。内腔421を持つ中央のチューブ416は、近位注入ハンドル430の近位部品433に封着されている。アクセスチューブ436を持つルアーフィッティング438は、アブレーション流体のハンドル中央内腔432への注入ポートである。ルアーフィッティング438の内腔439は、アクセスチューブ436の内腔437と流体連通し、これは、内側チューブ416の注入内腔421と流体連通している。内側チューブ416は典型的には金属ハイパーチューブであるが、プラスチックチューブまたは編組みした、またはらせん状のワイヤ補強付きのプラスチックチューブも考慮されている。
【0130】
ミドルチューブ415に取り付けられ、その軸方向の動作を制御する中央ガイドチューブハンドル440は、遠位部分442にねじ込むことができる近位部分444を含む。遠位部分442にねじ込んだとき、近位部分444はワッシャー445を圧縮し、ハンドル440がミドルチューブ415にロックできるようになる。これは、サイドチューブ446を持つルアーフィッティング448が内側チューブ416とミドルチューブ415の間の空隙を生理食塩水で洗い流すために使用できるときに、使用準備時にも必要である。
【0131】
シース312に取り付けられ、その軸方向の動作を制御する遠位シース制御ハンドル450は、遠位部分452にねじ込むことができる近位部分454を含む。遠位部分452にねじ込んだとき、近位部分454はワッシャー455を圧縮し、ハンドル450がシース312にロックできるようになる。これは、サイドチューブ456を持つルアーフィッティング458がミドルチューブ415とシース312の間の空隙を生理食塩水で洗い流すために使用できるときに、使用準備時にも必要である。
【0132】
図20は、
図19のINAS400の近位部分を
図11〜15のINAS300の遠位部分に接続する中央移行部分460の軸方向断面である。中央移行部分460の近位端は、
図19に示すINAS400のハンドル部分の遠位端に位置する同一の3つの同心のチューブを含む。具体的には、推移部分460の近位端は、注入内腔421を持つ内側チューブ416、ミドルチューブ415およびシース312を含む。内側チューブ416の遠位端には、マニホールド410が挿入され、これが内側チューブ416を4つの注入器チューブ316に封着し、内側チューブ416の内腔421が、4つの注入器チューブ316の内腔321と流体連通するようになる。さらに、その結果、内側チューブ416の軸方向動作は、4つの注入器チューブ316の軸方向動作に変換される。
【0133】
ミドルチューブ415は、プラスチック部材405の内側を封着し、これがまた、ガイドチューブ315およびコードワイヤー311に封着させる。ミドルチューブ415の軸方向動作は、4つのガイドチューブ315の軸方向動作に変換される。シース312は、
図11〜15のINAS300の遠位部分にあるものと、同一のシースである。
【0134】
図21は、
図20の中央遷移セクション460のS21−S21での周方向断面である。遠位方向を見ると、断面に、3つの同心のチューブ、シース312、ミドルチューブ415および内側チューブ416が見える。内側チューブの内側には、マニホールド410の近位端と、4つの注入器チューブ316の近位端が見える。マニホールド410が4つの注入器チューブ316を内側チューブ416に封着し、注入器チューブ316の内腔321が内側チューブ416の内腔421内に開くことがはっきりとわかる。
【0135】
図22は、
図20の中央遷移セクション460のS22−S22での周方向断面である。遠位方向を見ると、断面に、シース312およびミドルチューブ415が見える。ミドルチューブ415は、プラスチック部材405の遠位部分内に封着されている。また、4つのガイドチューブ315およびコードワイヤー411の近位端が見える。また、4つの注入器チューブ316が、ガイドチューブ315の近位端に入ることも示されている。
【0136】
図23は、
図20の中央遷移セクション460のS23−S23での周方向断面である。この断面は、4つのガイドチューブ315およびコードワイヤー311を封着し、まとめて取り付けるシース312およびプラスチック部材405(
図13では305)を示した
図13に示す周方向の断面と同一である。注入器チューブ316は、4つのガイドチューブ315の内部に同心円状に位置する。こうして、
図20〜23は、
図19の簡略化された近位端が、
図11〜15のINAS300遠位部分にどのように接続されているかをはっきりと示している。
【0137】
図24は、その内腔内に展開時にニードルの可視化を提供する放射性不透過性ワイヤー518を持つコアリングニードル519を備えた注入器チューブ516を持つ、INAS500の代替的実施形態の近位端の軸方向断面である。放射性不透過性ワイヤー518は典型的には、注入器チューブ516の近位端を超えて延び、そこでINAS500の構造に取り付けられる。好ましい構成では、放射性不透過性ワイヤー518を単純に注入器チューブ516の内腔内に持つ一方で、接着剤またはろう付けを使用して、放射性不透過性ワイヤーを注入器チューブの内側に固定的に取り付けることができることも想定される。こうした取付けが使用される場合には、放射性不透過性ワイヤーは、注入チューブ516よりも短くすることができ、最も遠位の部分に配置される。
【0138】
この実施形態では、注入出口ポート517は、コアリングニードル519の遠位端にある。この構成で、シース512は引き戻されており、ガイドチューブ515が外向きに拡張できる。この実施形態でのガイドチューブ515は、拡張した湾曲形状に予め形成した1層または2層のプラスチックで製造される。注入器チューブ516は、外科手術用316ステンレス鋼、NITINOL(登録商標)または放射性不透過性金属(タンタルまたは白金など)といった任意の金属で製造しうる。この実施形態では、各ガイドチューブ516の遠位部分は、ガイドチューブと一体で形成された放射性不透過性セクション522を持ち、典型的に、バリウムまたはタングステン充填ウレタンなどの放射性不透過性プラスチックで製造される。また、
図24では、ガイドチューブ515の遠位端529は、直径L10で完全に開いた構成で、INAS500の縦軸と並行であることを示す。腎動脈の使用では、L10は典型的に3〜10mmであり、1つのサイズのみが作成される場合、直径7mmを超える腎動脈はほとんどないため、8mmが最適な構成である。
【0139】
ガイドチューブの遠位端529が腎動脈の内部に対してできるだけ近くに平坦に接触することが重要であるが、これは、鋭角すぎる場合にはニードル519が動脈壁を適切に突き通さないことがあるためである。また、プラスチックをガイドチューブ515に使用するとき、湾曲した形状に形成するものの、シース内に長時間引き戻していると、形状がいくらか直線的になりうることが判明している。この理由から、INAS500は、ガイドチューブがシース内で直線の形状となる時間が短縮されるように、その開いた構成でパッケージされることが想定される。
【0140】
また、ガイドチューブ516の初期形状は、
図14および24で示した90度を超えて反り返る、完全に開いた位置で実際の形状となる端部529を持つことが提案される。例えば、初期角度が完全に開いたINAS500が形成される位置である直径8mmで135度の場合には、直径7mmでは角度は120度、6mmでは105度、5mmでは90度、4mmでは75度、3mmでは60度としうる。こうして、ニードル519は、直径3〜7mmの間の血管について60〜120度で血管壁に噛み合う。こうして、この例では、
図24は、直径5mmの血管内でのINAS500の形状となる。
【0141】
INAS500の遠位部分は、先端528付きの固定ガイドワイヤー520に取り付けられたテーパー付きセクション526を持ち、外層525およびコードワイヤー511を持つ。遠位放射線不透過性マーカー513を持つシース512の遠位端も示している。セクションS26の拡大図を
図26に示す。
【0142】
図25Aは、
図24の領域S25の拡大図であり、注入器チューブ516の遠位端は、内腔521および遠位ニードル519がガイドチューブ515の遠位端529を超えて完全に進んだ状態で示されている。放射性不透過性ワイヤー518が、注入器チューブ516の内腔521内にはっきりと示されている。注入器チューブ516は、典型的には25ゲージのニードルよりも小さく、理想的には直径0.015インチ未満で、内腔521は少なくとも直径0.008インチである。こうして、放射性不透過性ワイヤー518は、注入を妨げないように内腔521の直径よりも十分に小さいが、それでも透視診断法下で見える十分に大きな直径でなければならない。こうして、理想的な直径0.002インチ〜0.006インチが、直径0.004インチ〜0.005インチで機能することが理想的である。注入器チューブ516のための好ましい外径および内径は、内腔521が0.008インチ〜0.010インチの間のとき0.012インチ〜0.014インチである。
【0143】
さらに、ガイドチューブ515が、内部プラスチック層527、外側プラスチック層531および放射線不透過性マーカー522と共に表示されている。放射線不透過性マーカー522は、ここでは外側プラスチック層531の端部から遠位の内部プラスチック層527上に成形されたものが表示されている。放射線不透過性マーカー522の長さは少なくとも0.5mmとすべきで、1〜2mmが好ましい。例えば、内部プラスチック層527は、テフロン(登録商標)(Teflon)またはポリイミドとしうるが、その一方で外層531は、ウレタンまたはテコタン(Tecothane)などの比較的柔らかいプラスチックとしうる。理想的には、ガイドチューブ515の遠位端529は、展開時に接触するときの血管壁の貫通のリスクを低減するために十分に軟らかい。金、白金またはタンタル製の金属バンドも、ガイドチューブ515の遠位端のマーク付けに使用しうることも想定される。ガイドチューブ516全体が透視診断下で見えるように、外層531および放射線不透過性マーカー522を同一としうることも想定される。
【0144】
INAS500全体内部の容積量を最小限にすることは重要であるため、放射性不透過性ワイヤー518を使用することでも注入器チューブ516内の死腔が減少し、理想的な容量は、0.2ml未満である。これにより、INAS500を生理食塩水で洗い流してから開始される、PVRDのための時間短縮した注入方法が促進される。
【0145】
INASにあるすべての注入内腔内部の死腔を減少するために想定されている一つの技法は、内腔の内部に、内腔521の内部のワイヤー518のようなワイヤーを容積を占めるように持たせることである。同様に、内腔421内の容積を占めるように
図20の内側チューブ416の内腔421にワイヤーを挿入することができる。
【0146】
いったん、ニードルが腎動脈壁を貫いた所定の位置になると、適量のアブレーション流体が注入される。次に、十分な生理食塩水が注入され、すべてのアブレーション流体がINAS500から完全に洗い流される。INAS500は閉じ、第2の腎動脈が同一の方法で治療される。次に、INAS500が体外に取り出される。注入器チューブ516の遠位部分の湾曲半径R1は、ガイドチューブ515湾曲半径R2とほぼ等しくすべきである。こうすることで、ニードル519が血管壁を突き刺しているとき、ガイドチューブ515が近位方向に移動(後退)することが阻止される。こうして、RlおよびR2はそれぞれ2mm以内とすべきである。湾曲の半径が著しく異なる場合には、湾曲半径RlはR2よりも小さいべきであることも想定される。
【0147】
実際には、各ガイドチューブ515の遠位部分の湾曲半径は、血管の直径とともに変化し、完全に広がらないようにガイドチューブ515を制約する小さめの血管ではより大きい。こうして理想的には、注入ニードル519を含む各注入器チューブ516の遠位部分の湾曲半径は、ガイドチューブ515がその最大直径に拡張した時のガイドチューブ515の近位部分とほぼ同一とすべきである。
【0148】
ニードル519は、ガイドチューブ515の遠位端529を超えた距離L11だけ延びる。この距離は典型的に2〜4mmであり、INAS500の距離L11が工場で事前設定されるものと想定すると、好ましい距離は2.5、3.0および3.5mmである。
【0149】
図25Bは、
図24のINAS500の遠位セクションS25の代替的実施形態である。
図25Bは、注入出口517および放射性不透過性ワイヤー518を持つ注入器ニードル519を備えた注入器チューブ516についての
図25Aと同一の構造を持つ。
図25Aとの違いは、ガイドチューブ515用の放射線不透過性マーカーの手段である。
図25Bでは、ガイドチューブ515は、遠位端529のある内層527および外層531を持つ。金属放射線不透過性マーカーバンド505は、ガイドチューブ515の外側の遠位端529の近くに取り付けられる。ガイドチューブ515の遠位端を示す金属バンド505と、注入ニードル519のある注入器チューブ516の延長を示す放射性不透過性ワイヤー518と組み合わせは、アブレーション流体が注入される前に、注入出口517が適切に位置していることを確認するために、INAS500の主要部分の可視化のための素晴らしい組み合わせを提供する。
【0150】
図26は、押しボタン532および542により起動されるロック機構を持つ、INAS500の近位セクション540(またはハンドル)の実施形態の概略図である。具体的には、ボタン532は押されたとき、ガイドチューブ制御シリンダー533に対するシース制御シリンダー535の動作のロックを解除する。シース制御シリンダー535は、遷移セクション538によりシース512に取り付けられる。ガイドチューブ制御シリンダー533は、
図28のミドルチューブ505に取り付けられ、これがさらに、
図24、25および28のガイドチューブ515と結合される。シース制御シリンダー535は、シース512の近位距離での引き戻しを制限するために使用されるノッチ531を含む。
【0151】
ボタン542は押されたとき、ガイドチューブ制御シリンダー533に対するニードル制御シリンダー545の動作のロックを解除する。
【0152】
ハンドル540は、2つのフラッシングポートを持つ。典型的にルアーフィッティングを持つポート534は、キャップ536付きで表示されている。ポート534は、
図28に示すシース512とミドルチューブ505の間の空隙507と、シース512とガイドチューブ515の間の空隙を生理食塩水で洗い流すために使用される。典型的にルアーフィッティングを持つポート544は、キャップ546付きで表示されている。ポート544は、ミドルチューブ505と内側チューブ506の間の空隙507を生理食塩水で洗い流すために使用される。典型的にルアーフィッティングを持つポート554は、キャップ556付きで表示されている。ポート554は、
図28の内腔521へのアブレーション流体の注入を許容し、これは、注入器チューブ516の内腔と流体連通している。
【0153】
ハンドル540はまた、一つの方向に回転させると、注入ニードル519がガイドチューブ515の端を超えて延びる距離が減るギャップ調節シリンダー548も含む。別の方向にシリンダー548を回転させると、注入ニードル519がガイドチューブ515の遠位端529を超えて延びる距離が長くなる。ギャップ調節シリンダーは、達成される距離を表示するハンドル540上のマーキングにより、INAS500のユーザーがアクセス可能としうることが想定される。一つの好ましい実施形態では、ギャップ調節シリンダー548は、適切に較正された
図25の距離L11が各INAS500の製造および検査の時点で工場で事前設定したものであることを確認するために、INAS500の組立および検査の時点でのみアクセスが可能である。この距離L11を較正する能力は、製造中の良好な歩留まりにとって非常に大切である。言い換えれば、内側チューブ506およびミドルチューブ505など、INAS500の構成要素の相対的長さに数ミリメートルの変化があっても、距離L11は、ギャップ調節シリンダー548を使用して正確に調節ができる。この好ましい実施形態において、INAS500は、
図25に示す事前に設定した距離L11に従い、ラベル付けされる。例えば、INAS500は、3つの異なる距離L11、2.5mm、3mmおよび3.5mmを持つように構成しうる。止めネジまたはその他の機構(非表示)を含めて、較正後にギャップ調節シリンダー548を希望の距離設定にロックすることも想定される。ギャップ調節シリンダー548をここでは表示しているが、移動シリンダーなどのその他のメカニズムも距離L11を調節するために使用できることが想定される。
【0154】
PVRDのためにINAS500を操作するハンドル540の機能には、以下の手順が含まれる。
1. INAS500の内部のボリューム(volumes)すべてを、正常食塩水でポート534、544および554を通して洗い流す。
2. 事前に配置したガイディングカテーテルを通してINAS500を挿入し、INAS 500の遠位部分を患者の1つの腎動脈内の望ましい場所に位置付ける。
3. ボタン532を押し、ガイドチューブ制御シリンダー533にロックされているニードル制御シリンダー545を保持しながら、シース制御シリンダー535をノッチ531がポート544にかかるまで近位方向に引き、シース512の引き戻しを制限する。
4. シース制御シリンダー535のガイドチューブ制御シリンダー533に対する相対的動作を再びロックするボタン532を放す。
5. ガイドチューブ制御シリンダー533に対する注入ニードル制御シリンダー545の相対的な動作を解除するボタン542を押し、この時点でガイドチューブ制御シリンダー533にロックされているシース制御シリンダー535を保持しながら、貫通制限機構が動作を停止し、ガイドチューブ515の遠位端529に対する事前に設定したニードル519の深さL11まで、遠位端549のあるニードル制御シリンダー545を進める。これを行うには、1)ニードル制御シリンダー545の遠位端549を、それがガイドチューブフラッシュポート544にかかるまで前方に押す方法と、または2)
図26に示すとおり、内部ギャップ547をニードル制御シリンダー545内部のギャップ調節シリンダー548の近位端に対して閉じる方法との2つの方法がある。
6. ガイドチューブ制御シリンダー533に対する注入ニードル制御シリンダー545の動作を再びロックするボタン542を放す。
7. この位置で、注入器または注入器(非表示)付きのマニホールドをポート554に取り付けることができ、希望する量のアブレーション流体が注入される。例えば、0.2mlのエタノールを注入することができる。INAS500のニードル519の位置を確認することが好ましい場合、血管造影を実行して、腎動脈の長さを見ることができ、同心円状に、シース512の遠位端の放射性不透過性リング513および524、およびテーパー付き遠位端520、ガイドチューブ522上にあり、腎動脈の壁内および血管周囲空隙内に延びる、放射線不透過性マーキング、内部の放射性不透過性ワイヤー518を持つ注入器チューブ516の遠位部分が見えることになる。これは、腎動脈への造影剤の注入と共に、またはそれなしで実行できる。
8. 次に、正常生理食塩水の入った注入器をポート554に取り付け、アブレーション流体注入器と取り換える。理想的には、死腔の合計容積よりもわずかに多めの生理食塩水が注入され、アブレーション流体がINAS500内に残らないようにする。例えば、INAS500の死腔が0.1mlの場合には、アブレーション流体がすべて組織の適切な血管周囲ボリューム(volume)に送達されるように、0.12〜0.15mlの生理食塩水が適量である。
9. ボタン542を押し、シース制御シリンダー535を保持しながら、注入ニードル519が完全に引き戻されてガイドチューブ515内に入るまで、ニードル制御シリンダー545を近位方向に引き戻す。注入ニードル519が完全に格納するように、注入ニードル制御シリンダー545が適切な位置に達した時、クリック音または止まりが発生することが想定される。
10. ボタン542を放して、注入ニードル制御シリンダー545のガイドチューブ制御シリンダー533への動作をロックする。
11. ボタン532を押して、この時点で注入ニードル制御シリンダー545にロックされているガイドチューブ制御シリンダー533に対するシース制御シリンダー535の相対的な動作を解放する。
12. 注入ニードル制御シリンダー545を固定しながら、シース制御シリンダー535を遠位方向に進める。これにより、INAS500が閉じ、ガイドチューブ515がシース512の中に折りたたまれる。
13. INAS500をガイディングカテーテルに引き出して戻す。
14. ガイディングカテーテルを、その他の腎動脈に移動させる。
15. その他の腎動脈について手順3〜13を繰り返す。
16. INAS500を体外に取り出す。
【0155】
上述のとおり、ボタン532および542は、押したときに制御シリンダーの動作を解除し、放したときにロックをするが、下記のとおりの連動も可能であることが想定される。
1. 第一の連動では、シース制御シリンダー535がその最も遠位の位置にあるときにのみ、注入ニードル制御シリンダー545のロックが解除されるが、この位置で、シース512は引き戻され、およびガイドチューブ515は完全に展開される。
2. 第二の連動では、注入ニードル制御シリンダー545がその最も遠位の位置にあるときにのみ、シース制御シリンダー535のロックが解除され、この位置で、ニードル519は、ガイドチューブ515内に格納する。
【0156】
上述のボタン532および542と制御機構の組み合わせは、INAS500の使用を簡単かつ間違えようのないものとすべきである。基本的には、ボタン532を押して、シース512を引き戻すと、ガイドチューブ515が解除されて外向きに拡張され、その後でボタン542を押し、ニードル519を前方に進めて腎動脈壁を貫通させる。注入が実行された後、逆の操作は、ボタン542を押してニードル519を格納させた後、ボタン532を押して、シース512を前方に押し、ガイドチューブ515を折りたたみ、INAS500を閉じることで行われる。
【0157】
図27は、捩じった3本のワイヤー561A、561B、561Cで形成されたコードワイヤー561と、放射性不透過性の遠位セクション572および遠位端579を持つ非環状断面ガイドチューブ565を持つ、本発明のINAS550の別の実施形態のニードルセクションの概略図である。INAS550は、
図24のINAS500にいくらか類似している。これは、遠位放射線不透過性マーカー513を持つシース512、遠位注入ニードル569を持つ注入器チューブ566および注入出口ポート567を持っている。テーパー付きの遠位セクション580は、テーパー付きセクション576、放射線不透過性マーカー574および近位セクション573を持つ。この実施形態で非常に重要であるのは、注入ニードル569のある注入器チューブ566の持つ後方への湾曲形状である。具体的には、注入器チューブ566の湾曲半径は、ガイドチューブ565およびガイドチューブの遠位放射性不透過性セクション572の湾曲半径と一致するか、またはそれよりもわずかに小さく(よりカーブを大きく)すべきである。これにより、ニードル569が標的血管壁を貫通するときの、遠位放射性不透過性セクション572を含むガイドチューブ565の直線化が阻止される。
図27は、INAS550の完全に展開された形状を示し、ここで、注入出口ポート567の中央は、放射性不透過性セクション572のあるガイドチューブ565の遠位端579の中心から距離L12だけ近位である。L12は、0.5mm〜5mmの間とすべきである。
【0158】
図28は、
図27のシース512を持つINAS550のS28−S28での横断面の中央部分である。これは、注入器チューブ566の周囲にある非環状断面のガイドチューブ565を示す。位置S28−S28で、
図26のガイドチューブ制御シリンダー533と結合するミドルチューブ564は、
図27に示すとおり、3つのガイドチューブ565の外側と、まとめて捩られてコードワイヤー561を成す3つのワイヤー、561A、561Bおよび561Cとに固定的に取り付けられる。これは、プラスチックまたは接着剤を注入して、ミドルチューブ564の内腔内に結合性中膜555を形成することにより達成できる。
【0159】
図29は、遠位放射性不透過性セクション622を持つ環状断面のガイドチューブ615を持つ捩じったコードワイヤー611を備えた、さらに別のINAS600の実施形態の遠位部分の概略図である。
【0160】
捩じったコードワイヤー611および4つではなく3つの注入ニードルを例外として、INAS600は、
図24のINAS500にいくらか類似している。これは、遠位放射線不透過性マーカー613を持つシース612、遠位注入ニードル619を持つ注入器チューブ616および注入出口ポート617を持っている。また、注入器チューブ616内に位置し、透視診断時に可視化を助ける放射性不透過性ワイヤー618も持っている。テーパー付きの遠位セクション620は、テーパー付きセクション626、放射線不透過性マーカー624および近位セクション623を持つ。
図27および28のINAS550に類似して、この実施形態は、注入ニードル619のある注入器チューブ616の持つ後方(近位)への湾曲形状を持つ。具体的には、注入器チューブ616の湾曲半径は、ガイドチューブ615およびガイドチューブ遠位放射性不透過性セクション622の湾曲半径と一致するか、またはそれよりもわずかに小さく(よりカーブを大きく)すべきである。これにより、ニードル569が標的血管壁を貫通するときの、遠位放射性不透過性セクション622を含むガイドチューブ615の直線化が阻止される。
【0161】
より良い可視化を図るため、
図29では、シース612の近位部分およびミドルチューブ614は、INAS600の内部構造が明らかとなるように透明で示されている。具体的には、3つの環状断面ガイドチューブ615は、
図28のINAS550に類似した技法を用いて、ミドルチューブ614と結合している。また、まとめて捩じってコードワイヤー611を成している3つのワイヤーのうちの一つであるワイヤー611Aも、
図27および28に示している。
図26のニードル制御シリンダー545に接続された内側チューブ606は、
図20のマニホールド410のそれに類似したマニホールド(非表示)を使用して、3つの注入器チューブ616に内部的に取り付けられている。3つの注入器チューブ616は、3つのガイドチューブ615の近位端605に入るところが示されている。
【0162】
図30は、放射線不透過性を提供するために注入器チューブ616の長さにわたって走る、放射性不透過性ワイヤー618の近位端をはっきりと示す、INAS600の内側部分の概略図である。これらの放射性不透過性ワイヤー618は、
図24および25の放射性不透過性ワイヤー518に類似している。シース612およびミドルチューブ614を除去したこの内側部分にはっきりと見えるのは、透明である内側チューブ606、3つのガイドチューブ615、3つの注入器チューブ616、
図29のコードワイヤー611の構成要素ワイヤーのうち2つである611Aおよび611Bである。マニホールド610は、
図30では内側チューブ606の内側にあるものとして表示されている。マニホールド610の遠位部分は、近位部分を透明にして表示されている。非表示ではあるが、マニホールド610の近位の透明な部分は、
図20のマニホールド410と類似して、注入器チューブ616の近位端までずっと延びる。最後に、注入器チューブ616の近位端を出る放射性不透過性ワイヤー618は折り曲がり、注入器チューブ616の横の空隙内を遠位軸方向に逆に走る。
【0163】
図30のS31−S31での横断面である
図31に示すとおり、成形または注入によるプラスチックまたは接着剤のどちらかであるマニホールド610は、3つの注入器チューブ616および3つの放射性不透過性ワイヤー618と共に内側チューブ606の内側にまとめて封着される。全体的なカテーテル600において、内側部分だけでない。
【0164】
図32Aは、非環状ガイドチューブ715を持つINAS700の遠位部分の実施形態の概略図である。また、コードワイヤー711が示され、楕円または長円の断面でテーパーが付いている。テーパー付きの遠位セクション720は、テーパー付きセクション726、放射線不透過性マーカー724および近位セクション723を持つ。シース712の遠位端がちょうど見えている。この実施形態でのガイドチューブ715は、NITINOL(登録商標)、あるいはポリアミドなどの成形プラスチックで製造できる。ガイドチューブ715の非環状断面の利点は、遠位的に押して標的血管の内壁と噛み合うとき、注入器チューブ(非表示)のためのより確かな支持を提供することである。
【0165】
図32Bは、近位の方向に、テーパー付きの遠位セクション720の近位端のすぐ近くを表示した、
図32AのINAS700の先端概略図である。ここで、ガイドチューブ715が純粋に半径方向に外側に拡張するように方向付けられているのではなく、ガイドチューブ715はカテーテル直径に対する影響を低減する非環状断面が許容されるよう半径方向に対して90度回転されていることがわかる。コードワイヤー711は断面で、またシース712の遠位端として表示されている。
【0166】
図33は、シース制御ロック632およびニードル制御ロック642の回転により起動されるロック機構を持つINAS600の近位セクション/ハンドル640の実施形態の概略図である。具体的には、
図33に示す位置から、ルアーポート634を持つシースフラッシュチューブ636が縦方向スロット631と一直線になるまで、シース制御ロック632を反時計方向に回転させると、シース612にテーパー付きセクション638を通して取り付けられたシース制御シリンダー635の動作のロックが解除される。シース制御シリンダー635およびテーパー付きセクション638は、これによりガイドチューブ制御シリンダー633に対して近位の方向に引くことができ、
図29の構成で見られるとおりガイドチューブに対してシースを格納させることができる。いったん、シース制御シリンダー635が近位の方向まで完全に引き戻されると、シースフラッシュチューブ632がシース制御ロック632内を時計方向に延びる周方向スロット633と一直線に並ぶ。この位置で、シースフラッシュチューブ636が周方向スロット633内に配置され、シース制御シリンダー635の軸方向動作が阻止されるように、シース制御ロックはさらに反時計回り方向に回転できる。シースフラッシュチューブ636がスロット633と一直線に並んだら、シース制御ロック632が自動的にロックされた位置に飛びつくように、バネをこの機構に埋め込むこともできることが想定される。
【0167】
いったん、シース612が上述のとおり近位方向に格納されると、ハンドルは、
図29の注入ニードル619を持つ注入器チューブ616を遠位方向に進めて標的血管の血管壁を貫通する準備が整う。周方向スロット643および648は、縦方向スロット641により結合される。ニードル制御シリンダー645の外側に取り付けられた止めピン647は、3つのスロット643、641および648内で、ニードル制御シリンダー645に対するガイドチューブ制御シリンダー633の相対的動作のロックおよびロック解除を追跡する。
図29の注入器チューブ616の前進を可能にするには、ニードルロックシリンダー642を時計方向に回転させて、ピン647を縦方向スロット641と揃える。この時点でニードル制御シリンダー645を遠位方向に移動でき、注入器チューブ616が遠位方向に進む。ピン647がここで周方向スロット648と揃った位置に達すると、それ以上は遠位方向に動かせなくなり、それによってニードル619の貫通が制限される。この構成で、ニードルロックシリンダー642を追加的に時計方向に回転すると、ピン647が周方向スロット648内に移動し、ここでニードル制御シリンダー645の軸方向動作がロックされる。これで注入器は、ルアーフィッティング654に取り付けることができ、適切なアブレーション流体が希望に応じて血管周囲の空隙に注入される。生理食塩水またはその他の不活性流体を追加的に注入して、INAS600の内部の死腔を洗い流し、希望の部位へのすべてのアブレーション流体の完全な送達がなされることを確保する。シース612の格納および注入器チューブ616の遠位動作の逆の操作は、ハンドル640の構成要素について、ここで逆の動作をすることによって達成することができる。
【0168】
近位セクション640は、上述の任意の手順について逆方向の回転で機能するよう、構築できるということも想定される。また、
図33の近位セクション/ハンドル640で説明したものなどの回転動作と、近位セクション/ハンドル540で示したものなどのボタンロック/ロック解除機構との組み合わせが、ここで明らかに想定されている。
【0169】
図34は、メインガイドワイヤー本体813から分離された3本のガイドチューブ815を持つ、本発明のINAS800の別の実施形態のガイドチューブ815および注入チューブ816の概略図である。各ガイドチューブ815は、一方は注入器チューブ816の通路用、もう一方はワイヤー818用の2つの内腔を持ち、これがガイドチューブ815を標的血管の血管壁の内側に対して開かせる形状記憶を提供する。ワイヤー818はまた、ガイドチューブ815の可視化のための追加的な放射線不透過性を提供することもできる。INAS800内のガイドチューブ815およびガイドチューブ本体813では、ガイドチューブ815が示された形状を形成するのに十分軟らかいプラスチック材料でワイヤー818が製造される。ガイドチューブ815それ自体に、タングステンまたはバリウムなどの放射線不透過性材料を含むことも想定される。ワイヤー818は、NITNOLなどの形状記憶合金で、またはあらかじめ成型されたバネ鋼などのバネ材料で製造できる。また、注入出口817のある尖った注入ニードル819を持つ遠位端のある注入器チューブ816に取り付けられた内側チューブ806の近位端が示されている。
【0170】
図35は、注入出口ポート917のある遠位ニードル919を備えた注入器チューブ916を持つ、本発明のINAS900のさらに別の実施形態の概略図である。INAS900もまた、ガイドチューブ915内部に平角線918を含む3つのガイドチューブ915を持つ。平角線918は形状記憶を提供し、また任意にガイドチューブ915の可視化のための放射線不透過性を提供する。平角線918は典型的には、NITINOL(登録商標)などの記憶金属またはばね鋼などのバネ材料で製造される。ガイドチューブ915は、典型的には、ガイドチューブ815が示された形状に形成するのに十分軟らかいプラスチック材料でワイヤー818が製造される。また、INASのこれまでの数多くの実施形態で示したものと機能が類似したシース912およびコードワイヤー911が示されている。ガイドチューブ915それ自体に、タングステンまたはバリウムなどの放射線不透過性材料を含むことも想定される。
【0171】
本明細書で示したそれぞれのINASの実施形態は、閉じた位置および開いた位置を持ち、閉じた位置では注入ニードルが完全に囲まれるが、システムは、特許文献4のMcGuckin装置で示されているものなど、その遠位端で開く外側のシースを用いても機能することが想定される。こうした実施形態では、ニードル刺しの負傷は、注入ニードルを近位方向にそれらが隠れるのに十分な距離だけ引き戻すことで阻止できる。近位セクションおよび/またはハンドルでの連動により、ニードルの動作をロックして、偶発的に遠位方向に移動しないよう阻止することができる。この概念は、
図1〜10のINAS設計、ならびに
図11〜35に示したガイドチューブを用いた実施形態で機能し、ここでニードルは、ガイドチューブ内で近位方向に格納され、次に、ガイドチューブは格納されてシース内に戻る。
【0172】
図36Aは、INAS950の遠位注入ニードル959を備えた、注入器チューブ956の遠位部分の別の実施形態の軸方向断面図である。INAS950のその他の構造は、
図1のINAS10と類似している。注入ニードル959は、注入出口957を持つ。スタイレット958が注入器チューブ956の内腔の内側に示されている。スタイレット958には、潜在的に、1)それに対して注入器チューブ956を硬くし、その適切な湾曲形状およびより適切な標的血管の内壁への貫通を維持する、および2)透視診断下での可視化のための追加的な放射線不透過性を提供しうるといった2つの用途がある。注入ニードル959は、鋭利ではない先端を持つことができ、またスタイラス958は、注入出口957を超えて延び、尖らせて標的血管の内壁を貫通する手段を提供できることも想定される。スタイレット958は、ニードルがいったん適切に配置された後での流れが妨げられないように、完全に除去されるか、または引き戻される。
図1のINAS10のコード13などのコードは、この設計での貫通深さを制限する手段を提供することができる。
【0173】
図36Bは、遠位注入ニードル969が注入器チューブ965の遠位端に挿入された注入器チューブ966を備えた、INAS950のプラスチック製近位チューブ965の遠位部分のさらに別の実施形態の軸方向断面図である。放射線不透過性は、注入器チューブ965上の放射線不透過性マーカーバンド962と、注入器チューブ966の内側の放射性不透過性ワイヤー968により提供される。注入ニードル969は、注入出口957を持つ。注入器チューブ965は、ウレタンまたはポリアミドまたは2つ以上のプラスチック層の組み合わせなど、あらかじめ成型されたプラスチックで製造される。注入器チューブ965の遠位端961は、ニードル969の貫通を制限する手段を提供する。注入器チューブ966は、タンタルまたはL605コバルトクロムなどの放射性不透過性金属で製造でき、あるいは注入器チューブ966は金などの放射性不透過性金属でメッキまたは被覆することもできることも想定される。それらの場合、放射性不透過性ワイヤー968の必要性はない。
【0174】
図36Cは、遠位注入ニードル979が注入器チューブ975の遠位端に挿入された注入器チューブ976を備えた、金属近位チューブ975の遠位部分のさらに別の実施形態の軸方向断面図である。放射線不透過性は、注入器チューブ975上の放射線不透過性マーカーバンド972と、注入器チューブ976の内側の放射性不透過性ワイヤー978により提供される。注入ニードル979は注入出口977を持つ。注入器チューブ975は、NITINOL(登録商標)などのあらかじめ成型された金属で製造される。注入器チューブ975の遠位端971は、ニードルの貫通979を制限する手段を提供する。
【0175】
この明細書は、組織のアブレーションに使用するためのINASの使用に焦点を当ててきたが、
図1〜33の装置および方法は、血管の特定部分または血管のすぐ外側の組織への局所的な薬物送達などを含め、任意の流体を任意の目的で注入するためのこの装置の使用に適用できることが、明らかに想定されている。
【0176】
上述の教示に照らして、様々なその他の変形、適応、および代替的な設計が当然ながら可能である。したがって、この時点で、添付した請求の範囲の範囲内で、発明は、本明細書に具体的に描写した以外の方法で実施されうることが理解されるべきである。