(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266518
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】巻き上げ機におけるケーブルの巻き取り状態を検出するための光学システム
(51)【国際特許分類】
B66D 1/54 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
B66D1/54 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-527577(P2014-527577)
(86)(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公表番号】特表2014-529557(P2014-529557A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2012065882
(87)【国際公開番号】WO2013029990
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】11/02671
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ロラン、イヴ、マニュエル、アラン
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−026075(JP,A)
【文献】
実開平06−047851(JP,U)
【文献】
特開平07−098384(JP,A)
【文献】
特開平05−248821(JP,A)
【文献】
特開2006−250603(JP,A)
【文献】
特開平10−203787(JP,A)
【文献】
特開昭54−065957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/46,1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き上げ機において巻き取られるケーブル(11)の移動を監視するシステムであって、前記システムは、前記ケーブルから所与の距離Dだけ、前記ケーブル(11)の巻き取り領域の上流側に置かれた能動的な光学検出装置(14)と、前記ケーブル(11)の一区間上で着色された参照マーク(16)を形成するための手段とを備え、前記着色された参照マークは前記ケーブル(11)の残りの表面よりも多く反射する領域であり、前記能動的な光学検出装置(14)は前記ケーブル(11)の方向に光線(13)を放射する光源(12)を含み、前記光線は注視される瞬間に照明領域内に位置するケーブルの領域を照らし、かつ前記システムは、前記光線(13)により照らされた前記ケーブル(11)の表面によって反射された光線を受けるための手段を備え、着色された参照マークを形成するための前記手1段(11)は、前記着色された参照マーク(16)が前記光線(13)内に置かれるとき、前記ケーブルによって反射された前記光線が、検出されるのに十分な強さを示すようなやり方で前記ケーブル(11)上に位置決めされるというタイプのシステムにおいて、
前記光学検出装置(14)と前記ケーブル(11)との間に置かれ、前記光源(12)により放射される前記光線(13)及び前記ケーブル(11)の表面により反射される光波を
ガイドする光導波路(31、51)もまた備えることを特徴とするシステムであり、
記光導波路が前記ケーブル(11)の方に向けられている自由端(34、54)を有し、
記光導波路(51)の前記自由端(54)が非平面の表面を有し、
記光導波路(51)の前記自由端(54)が前記ケーブルの表面と同心の凹形表面を有することを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記光導波路が前記光源(12)にしっかりと取り付けられた固定端を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記導波路の前記自由端(34、54)と前記ケーブル(11)の間の距離が最小化されるようなやり方で、前記導波路の長さが定義される、請求項1又は2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記光導波路の長さが、前記ケーブルによってその運動の中で跳ね上げられた水が、前記導波路(51)の端部(54)と前記ケーブル(11)の表面との間の空間を満たす水の膜(55)を、前記導波路の端部と前記ケーブルの表面との間で形成し、従って前記ケーブルの表面によって反射された前記光線を、前記検出装置(14)に向けてガイドするのを促進するようなやり方で定義されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光導波路(31、51)が反射材の層で覆われた側面(32、52)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出装置(14)を前記ケーブル(11)の壁から隔てている自由距離が、前記光源(12)を前記ケーブル(11)から隔てている距離よりも実質的に小さくなるような長さ(L)を前記導波路が有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その端部に利用される物体が取付けられている、ケーブルを解き、そして巻き取るために用いられ得る、巻き上げ機又は任意の類似の装置によって、物体を配置しそして回収するための、自動システムの分野に関する。それは特に、回収用の吊りかご又は浸漬された音波探知機のような、水中へ或いは水中から様々な物体を自動的に置き、そして回収するための、例えばヘリコプターに設置された空輸の巻き上げ機の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
しかしながら巻き上げ機を自動的に使用することが望まれるとき、その使用における決定的に重要な操作は、ケーブルがほぼ完全に巻き戻され、巻き上げ機が停止されるべき瞬間を決定することにある。
【0003】
実際、巻き取りの停止が遅すぎる場合、その端部につながれている物体は、巻き上げ機を支持する基台を打撃する可能性があり、それによって、この構造物を損傷させ、この基台上で働いているオペレーターを傷つけ、更にそれ自体も損傷し得る。逆に、この巻き取りの停止が早すぎる場合、身体の傷害又は装置の損傷のリスク無しに、全体的な安全性をもって回収され得るには、基台から離れ過ぎた所に物体が位置する。
【0004】
結果的に、視認できる参照マークが通常はケーブル上に置かれ、それはケーブルが巻き上げ機へ十分に巻き取られたと考えられる瞬間を、視覚的に決めることを可能にする。視認できる参照マークは、ごく一般的には、単純にそして効果的に、ケーブル上に直接塗装された環状のマークのような、白色の参照マークから成る。
【0005】
従って、巻き上げ機の手動による使用の場合、白色の参照マークがその視野に現われるのを見ながら、ケーブルを巻き戻す時に、巻き上げ機の減速及び停止を命令する適切な瞬間を決定するのは、基台の上に位置するオペレーターである。
【0006】
同様に、部分的又は全体的に自動化された使用の場合、ケーブルの移動距離を監視する任務を負い、そして基台の近傍にあるその観察区域の範囲内で、白色ケーブルの部分の出現を検出できる光学センサーが用いられる。光学装置がこの参照マークの通過を検出するとき、それは巻き上げ機のモーターを制御する手段に対して、その巻き上げ機が僅かな遅れ以内で停められるべきである事を知らせる指示を送る。
【0007】
巻き取り端部の参照マークの出現を検出するための、光学検出システムの使用は、非常に多くの利点を提供し、その中で使用の容易さが挙げられる。実際、これは基台につながれた機械構造物上で、ケーブルの近傍において、その光線がケーブルの方に向いている光学センサーの位置決めだけを必要とする。しかしながら、例えば航空機内部に設置された基台上に搭載され、所与の物体を水中に置いて所定の時間だけ浸漬させて保ち、次にその物体を航空機の機上に素早く引き上げて戻すことを目的とする空輸巻き上げ機システムの場合、ケーブルから所与の距離に置かれ、基台にしっかりと取り付けられた巻き取り端部の光学検出システムの使用は、少なくとも2つの困難さを提起する。
【0008】
第一の困難さは、ケーブルが例えば10m/sに達する可能性のある、相当な速度で移動する間に、制約された観察領域内で、光学センサーによる白色の参照マークの検出を確実に実現することにある。実際、検出は一般に、狭い光線を放射し、反射物体による光線の反射を検出するように構成された光学センサーを用いて行われる。その結果、検出器が被検出物に近ければ近い程、一層確実になり、関係する物体は光線のより多い部分を反射する。ここで、
図1に例証されているように、実質的に円形の断面を有するケーブルに関して、ケーブル表面の僅かな部分しかセンサーの方向に光線を反射しない可能性が高い。反射されるエネルギーはそれゆえ弱い。その結果、センサーは、残った艶消しの外観を有する着色されていない金属ケーブルよりも本質的により反射する、白色の参照マークを帯びたケーブル部分が存在しても、何も検出しない可能性がある。
【0009】
第二の困難さは、その素早い上昇のために、ケーブルはそれと共に水を引き上げ、それが検出領域において検出器とケーブルの間にある空間内へと飛び散るという事実に関係する。この水の飛散は、一方で検出器の効率低下を引き起こし、他方で検出領域における着色された参照マークの存在とは無関係に、検出領域内でまき散らされた水滴が、巻き戻し作業の最後において誤った検出を引き起こすのに十分な強さで、検出器によって放射された光線を反射し得る程度に応じて、偽の反射を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、光学検出器と共に提起される問題は、検出領域が光学的に妨げられた環境において、高速で移動する艶消しでむしろ暗色のケーブル上の白いマークの通過を、確実かつ最小限の誤検知で検出することにある。その結果、本発明の1つの目的は、この問題の解決を可能にする単純な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明の主題は、巻き上げ機において巻き取られるケーブルの移動を監視するシステムであって、ケーブルから所与の距離Dだけ、ケーブルの巻き取り領域の上流側に置かれた能動的な光学検出装置と、ケーブルの一区間上で、ケーブルにしっかりと取り付けられた強力に反射する着色された領域を形成する手段とを備え、能動的な光学検出装置はケーブルの方向に光線を放射する光源を含み、光線は注視される瞬間に照明領域内に位置するケーブルの区間を照らし、そして本システムは更に、光線により照らされたケーブルの表面によって反射された光線を受けるための手段を備え、着色された参照マークを形成するための手段は、着色された参照マークがセンサーによって放射された光線内に置かれるとき、ケーブルによって反射された光線が検出されるのに十分な強さを示すようなやり方でケーブル上に位置決めされるというタイプのシステムである。本発明によれば、本システムは光学検出装置とケーブルとの間に置かれた光導波路もまた備える。有利なことに、導波路はケーブルの方に向けられている自由端を有する。有利なことに、導波路は光源にしっかりと取り付けられた固定端を有する。有利なことに、導波路の長さは、導波路の自由端とケーブル間の距離が最小限になるようなやり方で定義される。
【0012】
特定の実施形態によれば、光導波路の自由端は非平面の表面を有する。
【0013】
別の特定の実施形態によれば、光導波路の自由端はケーブルの表面と同心の凹面を有する。
【0014】
前の実施形態の好適な形態によれば、光導波路の長さは、ケーブルによってその運動の中で跳ね上げられた水が、導波路の端部とケーブルの表面との間の空間を満たす水の膜を、導波路の端部とケーブルの表面との間で形成し、従ってケーブルの表面によって反射された光線を、検出装置に向けてガイドすることを促進するようなやり方で定義される。
【0015】
別の特定の実施形態によれば、光導波路は反射材の薄い層で覆われた側面を有する。
【0016】
本発明の特徴及び利点は、添付図に基づく以下の記述から、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が適用され得る、ケーブルの完全な巻き取りの検出を可能にする光学検出装置の略図を示す。
【
図2】巻き上げ機におけるケーブルの巻き取り状態を監視するための、光学検出装置の使用によって提起される問題の例証を可能にする略図を示す。
【
図3】単純な実施形態における、本発明によるシステム構造の略図を示す。
【
図4】
図3の実施形態の1つの動作特性を強調している図を示す。
【
図5】本発明によるシステムの好適な実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に続く記述は、特定の用途での本発明によるシステムを提示する。その目的が本発明の利点を強調することにある、この特定の用途のケースは明らかにその範囲をこの単一の用途には限定せず、本発明の範囲はとりわけ、光学検出器に面する移動物体上に置かれたマーキングの非接触検出が実現されなければならない、あらゆる用途に及ぶ。
【0019】
記述されている特定の用途のケースは、ヘリコプターに搭載された基台上に設置されている巻き上げ機のケーブルの完全な巻き取りの検出に関し、この巻き上げ機は、例えば音波探知機型の検出システムとなることを目的とする。
【0020】
図1及び2は先行技術から知られている装置の構造及び動作原理を例証し、これらの装置の欠点を強調している。
【0021】
作業中に、巻き上げ機のケーブルに取り付けられている物体は、ヘリコプターから海に降ろされ、それに取り付けられたままで所与の深さまで浸漬され、一方でヘリコプターは浸漬場所の真上で静止飛行を保つ。次に使用後、ヘリコプターが出来る限り最短の遅れの内に、その静止位置を離れることが出来るように、本システムは出来るだけ早くヘリコプターの機上に引き上げて戻される。
【0022】
特に引き上げ作業の間に、引き上げられている物体が、それに対して物体の機上回収の最終局面が実施され得る計画された位置に到着したという事実を、「目視」以外でオペレーターに通知できる手段を持つことが有用である。最終局面は主として、物体をケーブルから取り外し、それを適切な保管位置に置くか、又はそれが単に巻き上げ機の基台の上に置かれ、使われない時に巻き上げ機に固定されたままになる場合に、物体の運動をしっかり留めるか、或いは物体がケーブルの端部に懸架された位置で保持される場合に、それを完全にしっかりと固定させるために、物体をヘリコプターの機上にゆっくりと引き上げるように、ケーブルをゆっくりと巻き取ることにある。
【0023】
これは、物体の引き上げが主に高速で行われる一方で、それは物体が基台に近付くとき、ずっと遅く行われる必要があるためである。この領域において、物体の引き上げは、巻き上げ機を支持している基台との突然の衝突のあらゆる危険性を避けるため、瞬間的に停止できるべきであり、衝突は物体又は巻き上げ機、さらにヘリコプター自体もまた損傷させ得る。一定の取扱い操作が時々必要となるこの最終引き上げ局面の間、ケーブルの巻き取りは一般に手動で制御される。
【0024】
このため、
図1によって概略的に例示しているように、一般に巻き上げ機のブームの下に、その下降の最初の部分においてケーブル11のガイドを確実にするために構成される機械構造物18が設置され、その上には光学検出装置14が搭載されている。光線13を放射する光源12及び、放射された光線により照らされる物体によって反射される光線を検出する手段を備えた光学検出装置14は、光線13の寸法によって範囲を定められる領域にわたってケーブル11を照らすように、その光線13をケーブル11の方向に放射するような方法で一般的に構成され、配置される。
図1の例において、機械構造物18はケーブル11の挿入を可能にする、(図示されていない)側面開口を持ち得る円筒形の溝15を備え、この円筒形の溝15は、ケーブルに出来る限り近い位置でその構造物上に取り付けられている、光学検出装置14によって放射された光線13の通過を許容するのに十分な開口17を備え、そして放射された光線14がこの開口17を目指すようなやり方で方向付けられている。しかしながら、本発明との関連で、構造物18は、ケーブルをその移動の最初の部分においてガイドし、そして或る範囲を定められた領域(すなわち区間)にわたってケーブルを照らすことを可能にする、如何なる手段も含むことができる。
【0025】
そのような装置は一般に、反射された出力の差の検出によって、その表面がケーブルの残りの部分よりも多く反射するようにされた、ケーブル11の区間16を検出することを目的とする。このために、この区間16の表面は、例えば白色塗料で覆われることができ、ケーブルの残りの表面は必然的に鋼のグレー色となる。
【0026】
言い換えれば、本システムはケーブルの或る区間に着色された参照マークを形成するための手段を含む。着色された参照マークは、ケーブルの残りの表面よりも多く反射する領域である。この領域が、ケーブルのその区間の表面領域である。
【0027】
この特定の区間16は理論的に、物体(すなわち荷重)がそこに掛けられているケーブルの自由端の近傍に位置する。従って、物体の引き上げの間、放射された光線の反射がより多くなるように、巻き上げ機へのケーブル11の巻き取りは、必然的にケーブルの区間16を、検出装置14からの光線13によって照らされる領域内へと運び、そこで、ケーブル11の巻き取りが殆ど完了したこと、及び物体の回収の最終局面、すなわちケーブル11の巻き戻しが減速された速度で行われるべき局面が開始されなければならないことの決定が可能である。
【0028】
先行技術から知られている、そのような配置は単純さという利点を提供する。実際、その実施は既存の機械構造物18上への光学検出器14の配置と、ケーブル11の或る区間16への適切に決定された反射するマーキングの配置しか必要としない。しかしながら、それは特に、海中の一定の深さまで浸漬することが意図され、その浸漬がケーブルの浸漬を伴う物体を下降及び上昇させるために用いられる巻き上げ機の場合に、その動作を時に不確かにするという一定の制限を示す。
【0029】
そのような状況において、ケーブルの素早い引き上げは、ケーブルの表面から近い所において、その巻き戻しの間に水から離れる場面でケーブルによって跳ね上げられた水の膜から生じる、細かい水滴から成る不明瞭な領域の形成をもたらす。ケーブルの近傍にこのように存在する水滴は、光線13の透過をケーブルの表面に向けて変化させ、放射された光線の反射を装置14の検出器の方向に変化させる影響を有する。
【0030】
この現象の結果は、それゆえ浮遊状態の水滴による光線13の反射に起因する偽の検出に帰着し得るが、偽の反射はケーブルの照らされた領域が、反射するようにされた領域16であるか無いかに関わらず無差別に生じる。これらの偽の反射は時々、ケーブル11の巻き取り速度が余りに早期に制限されることを発生させ、それによって関係する領域からのヘリコプターの出発を遅延させる。
【0031】
この現象の結果はまた、適切な時点における検出の欠如を構成する可能性があり、放射された光線、又は検出の目的で反射するようにされたケーブルの領域16によって反射された光線はその媒体によって拡散させられ、その結果として検出器に戻されず、従って検出されない。これは巻き戻しの最後に、速い巻き取り速度が維持されることに反映され、それは物体の回収の最終局面が正しく進行することを妨げる可能性があり、そして組立品に対して損傷を引き起こし得る。
【0032】
この不明瞭な領域の存在は、光学検出システムが、当業者にとって明らかな光学的有効性の理由で一般的にケーブルに出来る限り近く位置決めされるため、ますますこの光学検出システムに対して有害である。
図2(A−Aを通る水平面における断面図)に例証されているように、この現象は検出器と、その検出器によって照らされるケーブルの表面との間の、光波の伝播における観点から妨害される可能性の高い、幅Dの空間21の存在となって現われる。
【0033】
光波の伝播を変化させ得る領域の存在によって引き起こされるこの問題を解決するため、本発明による検出装置は、それに検出装置14とケーブル11との間で光波の最適な伝播を確保出来るようにする手段を加えている。本発明によれば、これらの手段は検出装置14とケーブル11との間に光導波路を置くことにある。この光導波路は、ケーブルと検出装置との間で伝播する光波が光導波路内で伝播するようなやり方で、有利に配置される。言い換えれば、導波路はケーブルと検出装置との間(両方向の伝播:ケーブルから検出装置へ、そして逆の場合も同じ)で伝播する光波をガイドする。
【0034】
有利なことに、導波路は本発明による装置の幾つかの実施形態を示す本文内で、以下に記述されているように最適なやり方で構成され、配置される。
【0035】
図3は、その最も単純な構成(AAを通る水平面内の断面図)における、本発明による装置の略図を示す。これは、前述したように、光線13を放射する光源12を含む光学検出器14と、考えられている例において光線13により照らされたケーブル11の区間である照らされた物体によって、光源の方向に反射された信号を検出する手段とを備える。本装置はここで、光源12によって照らされるように配置された、光導波路31によって有利に補完され、その長さLはケーブルの壁面から本装置を隔てている自由距離が、ケーブルから実際の光源12を隔てている距離Dよりも実質的に小さい値dまで低減されるようなものである。従って、その中で検出装置とケーブルとの間の光波の伝播が、ケーブルの素早い引き上げによって生じる水滴の存在のために妨げられるという危険にさらす空間は、有利に低減される。
【0036】
有利なことに光導波路は、実質的にケーブルの対称軸を目指すガイドされた光線13で、検出装置14がケーブルを照らすようなやり方で配置される。光導波路31の寸法は、さらに、ケーブル11の断面の関数として決定される。実際に、
図2及び3に例証されるように、光源12によって生成された光線13がケーブルを照らすとき、ケーブル表面の曲率のために、目指す方向の周りの狭い領域内にあるケーブルの表面を照らした光線の部分だけが、導波路31の方向に反射され、それゆえ検出器14によって受け取られる可能性が高い。より小さい入射角でケーブル11の表面を照らす光波は、検出装置14によって捕捉されることを可能にしない方向に反射される。この点で、それらは従って役に立たない。
【0037】
ケーブル11の直径Φは、従って光源12によって放射された光線13を反射する可能性が高い、その表面の有用な領域33のサイズsを定義する。本発明によれば、光導波路の寸法は、有用な領域33を全体的にカバーする領域を照らすようなやり方で定義される。
図3に例証されるように、光源12によって放射される光線13は、それゆえ有利にもこの表面上に集中する。反対に、この表面によって反射された光波は装置14の検出手段に向かって導かれる。
【0038】
図3により例証されるような1つの単純な実施形態において、光導波路は単純な平行六面体の形状であり、その端面は導波路31の主軸に直角な長方形の平坦な表面を形成する。その端面34の1つはケーブル11の凸面に対向して位置する。この構成は製作の点では有利であるが、しかしながら異なる観点から最適化され得る。
【0039】
それは特に、導波路の面34を形成している、それを通じて光源12により放射された光波が伝達される壁に対して、光源12により生成される光線の偽の反射を制限するようなやり方で最適化され得る。そのような反射はしかも、光波が結晶の平坦な表面を通るとき、この表面に関係する光波の相対的方向とは無関係に生じる。
図4によって例証されるこれらの偽の反射41は、知られているように、本装置の検出感度を低下させる影響を有する背景ノイズを形成し、導波路31の面34によって反射される光波41は、時にはケーブル11の有用な表面33によって反射される光波42と少なくとも同等の強さを有する。
【0040】
導波路31の内側におけるこれら偽の反射41を制限するため、
図5により例証される好適な実施形態において、その端面54が非平面の表面、すなわち望ましくはケーブル11の直径Φに対応する曲率半径を伴う凹面を有する導波路51が用いられる。このタイプの構成は、光源12により放射される光線13の導波路51内側の、偽の反射を大幅に制限する利点を必然的に提供する。
【0041】
端面54の別の構成が、これらの偽の反射を制限するために想定され得ることに注意すべきである。特に、この空間に凸形の外形を与えることが可能である。本発明はそれゆえ、光導波路の端面54が凹形の外形を有する1つだけの実施形態には制限されない。それでもなお、本実施形態は別の利点を提供し、1つの好適な実施形態と考えられるべきである:
−それは面54の凹形の性質のために、一定の範囲迄のみではあるが、導波路51の端面54によってカバーされる領域内で、放射された光線の反射がそれに対して生じる、ケーブル表面の有用な領域33の寸法を増やすことを可能にする。
−それは、しかも距離dが十分小さい場合、ケーブル11の引き上げの全期間を通じて、導波路51の凹形端部54とケーブル11の表面を隔てる空間内に位置する、水の膜55の存在を確立し維持することを可能にする。この水の膜55はケーブル11の表面と導波路51との間の連続性を有利に確立し、連続性は、ケーブルの有用な表面33によって反射される光波の妨害の危険性無しに、光源12によって放射される光線13による、ケーブル11の表面の正しい照明及び、最適な捕捉に有利に働く。
【0042】
また、如何なる実施形態が想定されようとも、導波路の損失を最小化するために、望ましくは薄い反射材の層を導波路31(51)の側面32(52)に適用することによって、光源12により放射される光線13及びケーブル11の表面により反射される光波をガイドすることの有効性を強化できることに注意すべきである。
【0043】
有利なことに、導波路は光源12にしっかりと取り付けられた固定端を有する。有利なことに、
図5に見られるように、この端部は装置14と接触している。有利なことに、本図に見られるように、この端部は、光源により放射され、そして装置14から出て行く全ての光波が導波路内で伝播するようなやり方で配置されている。