特許第6266519号(P6266519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266519
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】金属およびセラミックのナノファイバー
(51)【国際特許分類】
   D01D 5/04 20060101AFI20180115BHJP
   D01F 9/08 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   D01D5/04
   D01F9/08 D
【請求項の数】23
【全頁数】104
(21)【出願番号】特願2014-528594(P2014-528594)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-531519(P2014-531519A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2012053097
(87)【国際公開番号】WO2013033367
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年8月17日
(31)【優先権主張番号】61/528,895
(32)【優先日】2011年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/636,095
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】ヨンラク・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル・エス・ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】チョ・デファン
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/054701(WO,A1)
【文献】 特開2009−235629(JP,A)
【文献】 特開2011−106050(JP,A)
【文献】 特開2011−073912(JP,A)
【文献】 特開2010−095826(JP,A)
【文献】 特表2005−520068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F1/00〜 6/96
9/00〜 9/04
D01D1/00〜13/02
D04H1/00〜18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のナノファイバーを製造する方法であって、当該方法は、流体ストックを電界紡糸することを含み、該流体ストックは、金属前駆体およびポリマーを含み、該前駆体のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも1:1であり、該流体ストックが水性であり、該流体ストックが、気体とともに同軸で電界紡糸される、方法。
【請求項2】
前記気体が空気である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体が高速の気体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも1.5:1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも2:1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1以上の前駆体が、ポリマー−前駆体の会合で前記流体ストック中に存在する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも25%の前記ポリマーが前駆体分子で飽和されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記前駆体が、少なくとも200mMの濃度で前記流体ストック中に存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体が、少なくとも250mMの濃度で前記流体ストック中に存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体が、少なくとも300mMの濃度で前記流体ストック中に存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属前駆体が、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、Sn、Al、Zr、Li、Mn、Cr、Be、Cd、Si、Ti、V、Hf、Sr、Ba、Geまたはそれらの組み合わせを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属前駆体が、1以上の金属アセテート、金属ニトレート、金属クロリド、金属メトキシドまたはそれらの組み合わせを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマーが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール酸、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルセルロース、セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記金属前駆体が、金属アセテートを含み、前記ポリマーが、ポリビニルアルコール(PVA)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
焼成ナノファイバーを調製するために、前記電界紡糸材料を焼成することを更に含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記電界紡糸材料を焼成することが、前記電界紡糸材料を少なくとも400℃まで熱的に処理すること、前記電界紡糸材料を化学的に処理すること、あるいはそれらの両方を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電界紡糸材料を焼成することが、前記電界紡糸材料を少なくとも600℃まで熱的に処理すること、前記電界紡糸材料を化学的に処理すること、あるいはそれらの両方を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電界紡糸材料を焼成することが、前記電界紡糸材料からポリマーを除去すること、および金属前駆体を金属、金属酸化物および/またはセラミックに変換することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体が、ゾルゲル前駆体ではない、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造され、金属の連続マトリクス、金属アロイ、金属酸化物またはセラミックを含む、複数のナノファイバー。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法に従って製造され、金属前駆体およびポリマーを含む、複数のナノファイバー。
【請求項22】
前記前駆体のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも1.5:1である、請求項20または21に記載の複数のナノファイバー。
【請求項23】
前記前駆体のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも2:1である、請求項20または21に記載の複数のナノファイバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2011年8月30日に出願された米国仮特許出願第61/528,895号および2012年4月20日に出願された米国仮特許出願第61/636,095号の利益を主張するものであり、これらは両方とも、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
セラミックおよび金属のナノファイバーは、高性能濾過、ケミカルセンシング、バイオメディカルエンジニアリングおよび再生可能エネルギーを含む、広範な分野での用途での可能性を有する。セラミックまたは金属ナノファイバーを製造するための以前の方法としては、ゾルゲル前駆体の電界紡糸が挙げられ、これはポリマーバインダを用いるか、またはポリマーバインダを用いないものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このゾルゲル法で製造されるナノファイバーは、低い性能および乏しいコヒーレンスなどの多くの不都合を有し、これらによって、かかるナノファイバーは、多くの用途において不適切となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要旨
本明細書中、ナノファイバーおよびナノファイバーの製造方法を提供する。いくつかの場合において、ナノファイバーは、金属、金属酸化物および/またはセラミックナノファイバーである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、高品質ナノファイバー、高性能ナノファイバー、高密着性(高コヒーレント)ナノファイバー、高連続性ナノファイバーなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、密着性(コヒーレント)であり、長く、空隙および/または欠陥が少なく、および/または金属および/またはセラミックの結晶サイズの柔軟な制御などの他の有利な特徴を有する。いくつかの場合において、ナノファイバーは、流体フィードストック中に高濃度のセラミックまたは金属の前駆体を含む流体ストックの電界紡糸によって製造される。いくつかの場合において、流体ストックは、流体ストック中で十分に混合された前駆体、または実質的に均一に分散された前駆体を更に含む。いくつかの実施形態において、この流体ストックは、少ない空隙、少ない欠陥、大きな長さ又は調節可能な長さ等を含むナノファイバーに変換される。
【0005】
本明細書中、特定の実施形態において、1以上のナノファイバーの製造方法が提供され、当該方法は、流体ストックを電界紡糸することを含み、該流体ストックは、金属前駆体(単数又は複数)およびポリマーを含み、
a.該前駆体(単数又は複数)のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも1:2であるか、
b.該流体ストックが水性であるか、
c.該前駆体(単数又は複数)が、少なくとも200mMの濃度で該流体ストック中に存在するか、あるいは、
d.それらの任意の組み合わせである。
【0006】
具体的な実施形態において、前記流体ストックは、(1)溶液、(2)実質的に均一な分散液(例えば、前記前駆体(単数又は複数)の分散液)、または(3)実質的に均質な分散液(例えば、前記前駆体(単数または複数)の均質な分散液)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記流体ストックにおける前記前駆体(単数又は複数)のポリマーに対する前記重量/重量の比は、少なくとも1:2であり(例えば、1:2を超える)、前記流体ストックは水性である。具体的な実施形態において、前記前駆体(単数又は複数)のポリマーに対する前記重量/重量の比は、少なくとも1:1である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記前駆体(単数または複数)および前記ポリマーを含む前記流体ストックを形成するために、前記流体ストックは、試薬前駆体(単数または複数)、試薬ポリマー(単数又は複数)および水を配合することにより調製され、前記試薬前駆体(単数または複数)および前記試薬ポリマー(単数または複数)が、1:2を超える重量/重量の比で配合される。具体的な実施形態において、前記試薬前駆体(単数または複数)および前記試薬ポリマー(単数または複数)は、少なくとも1:1の重量/重量の比で配合される。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記1以上の前駆体(単数または複数)は、ポリマー−前駆体の会合(又は会合物)(association)で前記流体ストック中に存在する。具体的な実施形態において、少なくとも50%の前記ポリマーが前駆体分子で飽和されている。さらなる実施形態または代替の実施形態において、少なくとも50%の前記前駆体分子がポリマーと会合している。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記前駆体(単数または複数)は、少なくとも200mM(例えば、200mMを超えて、少なくとも250mMなど)の濃度で前記流体ストック中に存在する。具体的な実施形態において、前記流体ストック中の前記前駆体(単数または複数)の濃度は、少なくとも250mMである。より具体的な実施形態において、前記流体ストック中の前記前駆体(単数または複数)の濃度は、少なくとも300mMである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記金属前駆体(単数または複数)は、1以上の金属−リガンドの錯体を含む。具体的な実施形態において、前記金属−リガンドの錯体は、前記ポリマーと会合している。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記金属前駆体は、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、Sn、Al、Zr、Li、Mn、Cr、Be、Cd、Si、Ti、V、Hf、Sr、Ba、Ge、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記金属前駆体は、遷移金属またはメタロイドを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記金属前駆体は、カルボキシレート、ニトレート、ハライド、ジケトン、アルコキシド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のリガンドを含む金属−リガンドの錯体である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記試薬前駆体、前記流体ストックの前記前駆体、またはそれらの両方は、1以上の金属アセテート、金属ニトレート、金属クロリド、金属メトキシド、またはそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール酸、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルセルロース、セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ポリマーは、(i)親水性、および(ii)水溶性または水膨潤性である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ポリマーは、熱的および/または化学的に分解可能である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ポリマーは、複数の求核部位を含むポリマーであり、前記試薬前駆体は、求電子性である。他の実施形態において、前記ポリマーは、複数の求電子性部位を含むポリマーであり、前記試薬前駆体は、求核性である。いくつかの実施形態において、前記流体ストックを電界紡糸することによって、金属前駆体とポリマーとを含む電界紡糸(された)ナノファイバー材料の形成を生じる。さらなる実施形態または代替の実施形態において、当該方法は、焼成ナノファイバーを調製するために、前記電界紡糸材料を処理(焼成)することを更に含む。具体的な実施形態において、前記電界紡糸材料の処理(焼成)は、前記電界紡糸材料を熱的に処理すること、前記電界紡糸材料を化学的に処理すること、あるいはそれらの両方を含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、当該方法は、前記電界紡糸材料から、ポリマーを除去すること(例えば、焼成によって)を更に含む。具体的な実施形態において、前記電界紡糸材料を焼成すること(例えば、不活性条件下または還元条件下)によって金属前駆体を金属に変換する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記電界紡糸材料を焼成すること(例えば、酸化条件下)によって金属前駆体を金属酸化物に変換する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記電界紡糸材料を焼成すること(例えば、酸化条件下)によって金属前駆体をセラミックに変換する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記電界紡糸材料を焼成すること(例えば、第1の酸化条件下、その後の還元条件下)によって第1の金属前駆体をセラミックに変換し、第2の金属前駆体を金属に変換する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、当該方法は、酸化条件下で前記電界紡糸材料を焼成することを含み、それによって金属前駆体を金属酸化物(例えば、セラミック金属酸化物)に変換する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、当該方法は、不活性条件下または還元条件下で、電界紡糸材料の前記ナノファイバーを焼成することを含み、それによって金属前駆体を金属に変換する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記電界紡糸材料を焼成することが、前記電界紡糸材料を少なくとも400℃の温度(例えば、少なくとも500℃または少なくとも600℃)に加熱することを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記流体ストックは、第2の流体とともに同軸で電界紡糸される。具体的な実施形態において、前記第2の流体は、気体(例えば、空気)である。他の具体的な実施形態において、前記第2の流体は、第2の金属前駆体および第2のポリマーを含む第2の流体ストックであり、ここで、前記金属前駆体および第2の金属前駆体は、同一または異なり、前記ポリマーおよび第2のポリマーは、同一または異なり、ここで、当該方法によって層状のナノファイバーが製造される(必要に応じて、気体(例えば、空気)である第3の流体で同軸で電界紡糸することを含む)。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記金属前駆体およびポリマーは、少なくとも1:2(例えば、少なくとも1:1)の重量/重量の比で(前記流体ストックまたは前駆体ナノファイバー中に)存在する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、本明細書中では、本明細書中に記載のいずれかの方法によって調製されるナノファイバーが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書中では、本明細書中に記載のいずれかの方法によって調製されるか、または調製され得るナノファイバーが提供される。具体的な実施形態において、前記ナノファイバーは、前駆体ナノファイバー、または焼成の前に調製されるか、または調製され得る電界紡糸ノファイバーである。別の具体的な実施形態において、前記ナノファイバーは、金属、金属酸化物またはセラミックであり、これらは焼成の後に調製されるか、または調製され得るナノファイバーを含む。
である。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書中では、ポリマー(例えば、有機ポリマー)および金属前駆体を含む前駆体ナノファイバーを提供する。いくつかの実施形態において、前記前駆体ナノファイバーは、高い金属前駆体ローディング(又は充填もしくは添加)(例えば、少なくとも1:2(金属前駆体:ポリマー);1:2を超える;少なくとも1:1.75;少なくとも1:1.5;少なくとも1:1;など)を有する。いくつかの実施形態において、前駆体(すなわち、電界紡糸された)ナノファイバー(例えば、本明細書中に記載のいずれかの方法に従って調製されるもの)は、少なくとも90重量%の有機ポリマーおよび金属前駆体を含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前駆体(すなわち、電界紡糸された)ナノファイバーは、少なくとも5元素重量%の金属(element wt.% metal)(例えば、少なくとも10元素重量%、または少なくとも15元素重量%の金属)を含む。
【0008】
特定の実施形態において、本明細書中では、ナノファイバーまたは複数のナノファイバーが提供され、当該ナノファイバーは、金属、金属酸化物、セラミック、またはそれらの組み合わせを含み、
a.前記ナノファイバーが、少なくとも50μm(例えば、少なくとも100μm)の長さ(例えば、平均)であるか、
b.前記ナノファイバーが、少なくとも約10(例えば、少なくとも約100)のアスペクト比(例えば、平均)を有するか、
c.前記ナノファイバーが、金属、金属酸化物、セラミックまたはその組み合わせの連続マトリクスを含むか(例えば、(例えば、平均で)前記ナノファイバーの少なくとも80%の長さ;前記ナノファイバーの少なくとも90%の長さ;または前記ナノファイバーの少なくとも95%の長さに沿って延びる連続マトリクス)、
d.前記ナノファイバーが、1m/g〜約1000m/gの平均の比表面積を有するか、あるいは、
e.これらの組み合わせ
である。
【0009】
具体的な実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(a)を有する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(b)を有する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(c)を有する。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(d)を有する。具体的な実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(a)および(b)を有する。他の具体的な実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(b)および(c)を有する。さらに他の実施形態において、前記ナノファイバーは、特徴(a)、(b)および(c)を有する。いくつかの実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも33%(w/w)(例えば、平均で)の金属、金属酸化物、セラミック、または一緒になって、それらの組み合わせを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも90元素重量%の金属を(例えば、平均で)含む金属ナノファイバーである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも90%の金属酸化物を(例えば、平均で)含み、かつ少なくとも30元素重量%の金属を(例えば、平均で)含む金属酸化物ナノファイバーである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも90%のセラミックを(例えば、平均で)含み、かつ少なくとも30元素重量%の金属を(例えば、平均で)含むセラミックナノファイバーである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも90%の金属アロイを(例えば、平均で)含み、かつ少なくとも30元素重量%の金属を(例えば、平均で)含む金属アロイナノファイバーである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、第1の材料および第2の材料を含むコンポジットナノファイバーであって、前記第1の材料が、連続マトリクス材料であり、前記第1の材料または第2の材料の一方または両方が、金属、金属酸化物、セラミックまたはそれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記第2の材料は、第2の連続マトリクス材料(例えば、前記第1および第2の連続マトリクス材料が同軸の層である)である。他の実施形態において、前記第2の材料は、前記ナノファイバーの分離したドメインを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記第1または第2の材料の一方または両方は金属を含み、前記ナノファイバーは、平均で少なくとも5元素重量%の金属(例えば、少なくとも20元素重量%の金属)(例えば、平均で)を含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記第1の材料がセラミックであり、前記第2の材料は、金属である。代替の実施形態において、前記第1の材料は金属であり、前記第2の材料は金属である。代替の実施形態において、前記第1の材料は、セラミックであり、前記第2の材料は、セラミックである。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも30元素重量%の金属を(例えば、平均で)含む。具体的な実施形態において、前記ナノファイバーは、少なくとも50元素重量%の金属を(例えば、平均で)含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記金属(前記金属、金属酸化物、セラミックなどの金属)は、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、Sn、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。具体的な実施形態において、前記金属成分は、セラミックまたは金属酸化物を含み、前記セラミックまたは金属酸化物は、Al、ZrO、Fe、CuO、NiO、ZnO、CdO、C、Ge、Si、SiO、TiO、V、VO、Fe、SnO、SnO、CoO、CoO、Co、HfO、BaTiO、SrTiOおよびBaSrTiOからなる群から選択される。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、金属−非金属のアロイを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは伝導性材料を含み、シートに成形される場合、前記伝導性材料の伝導率と比較した場合、前記ナノファイバーの伝導率が少なくとも約10%(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーがアモルファスのセラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの極限強度/直径の比が少なくとも0.075MPa/nm(例えば、平均で)であり、ヤング率/直径の比が少なくとも0.15GPa/nm(例えば、平均で)であり、破壊靭性が少なくとも0.6MPA MPa・m1/2(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、アモルファスのセラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの極限強度/直径の比が少なくとも0.15MPa/nm(例えば、平均で)であり、ヤング率/直径の比が少なくとも0.3GPa/nm(例えば、平均で)であり、破壊靭性が少なくとも0.7MPa・m1/2(例えば、平均で)である。いくつかの実施形態において、前記ナノファイバーは、結晶性セラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの極限強度/直径の比が少なくとも5MPa/nm(例えば、平均で)であり、ヤング率/直径の比が少なくとも1.5GPa/nm(例えば、平均で)である。いくつかの実施形態において、前記ナノファイバーは、結晶性セラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの極限強度/直径の比が少なくとも12.5MPa/nm(例えば、平均で)であり、ヤング率/直径の比が少なくとも4GPa/nm(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーの破壊靭性は、少なくとも1.8MPa・m1/2(例えば、平均で)である。いくつかの実施形態において、前記ナノファイバーは、金属の連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの極限強度/直径の比が少なくとも0.35MPa/nm(例えば、平均で)であり、ヤング率/直径の比が少なくとも1.1GPa/nm(例えば、平均で)である。いくつかの実施形態において、前記ナノファイバーは、金属の連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの極限強度/直径の比が少なくとも0.9MPa/nm(例えば、平均で)であり、ヤング率/直径の比が少なくとも2.9GPa/nm(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーの破壊靭性は、少なくとも3.5MPa・m1/2(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、同一のバルク材料について、log(S/m)/log(S/m)の比が少なくとも0.8(例えば、少なくとも0.9)(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーの長さは、少なくとも50ミクロン(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーの直径は、500nm以下(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーのアスペクト比は、少なくとも1000(例えば、平均で)である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、元素質量で(例えば、平均で)5%未満(例えば、3%未満、または1%未満)の炭素を含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前記ナノファイバーは、ナノファイバーの直線1mmあたり、(例えば、平均で)100未満の欠陥(例えば、50未満、10未満、または5未満の欠陥)を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の前記ナノファイバーは、センサ、バッテリ、燃料電池、ソーラーセル、ウルトラキャパシタ、触媒、膜または電極に使用される。
【0011】
本明細書中に記載されるものは、中空ナノファイバーを含むハイブリッドナノファイバー、および1以上の材料を含む多軸ナノファイバーである。本明細書中に提供されるものは、高品質ナノファイバー、および高品質ナノファイバーの製造方法であり、これらは、例えば、電気化学デバイス(例えば、バッテリおよびソーラーセル)、アドバンスドフィルトレーション、触媒などの用途に適している。いくつかの場合において、この提供されるナノファイバーおよび/または本明細書中に記載の方法によって調製されるナノファイバーは、商業的に実行可能とするのに十分に低コストで製造される。本発明の開示は、ハイブリッドおよび中空のナノファイバー、多くのタイプの用途でのナノファイバーの使用、ナノファイバーを含むデバイス、ナノファイバーを含むデバイスの使用などを包含する。
【0012】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法(又はプロセス)である。いくつかの実施形態において、当該方法は、流体ストックを電界紡糸することを含む。流体ストックは、金属および/またはセラミックの前駆体ならびにポリマーを含む。1つの実施形態において、前駆体:ポリマーの重量/重量の比は、少なくとも1:2である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、水溶性である。
【0013】
別の局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法であって、当該方法は、流体ストックを電界紡糸することを含み、流体ストックは、金属前駆体(単数または複数)およびポリマーを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、(1)溶液;(2)実質的に均一な分散液(例えば、前駆体(単数または複数)の実質的に均一な分散液);または(3)実質的に均質な分散液(例えば、前駆体(単数または複数)の実質的に均質な分散液)である。
【0014】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法であり、当該方法は、第1の流体を第2の流体とともに電界紡糸することを含み、第1または第2の流体の少なくとも一方が、水性の流体である。いくつかの実施形態において、第1および第2の流体は、同一または同様の軸で電界紡糸される。いくつかの実施形態において、第1の流体は、水、水溶性ポリマーおよび金属前駆体を含む水性の流体である。いくつかの実施形態において、第2の流体は、第2の水性の流体であり、水、水溶性ポリマーならびに第2の金属および/またはセラミックの前駆体を含み、ここで、第2の流体の水溶性ポリマーは、第1の流体の水溶性ポリマーと同一または異なる。
【0015】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法であり、当該方法は、水性の流体ストックおよび第2の流体を多軸で電界紡糸することを含む。いくつかの実施形態において、水性の流体ストックは、水、水溶性ポリマーならびに金属および/またはセラミックの前駆体を含む。いくつかの実施形態において、第2の流体は、第2の水性の流体ストックである。いくつかの実施形態において、第2の流体は、気体である。いくつかの実施形態において、第2の流体は、上記の水性の流体ストックを少なくとも部分的に囲む(又は覆う)。いくつかの実施形態において、上記の水性の流体ストックは、第2の流体を少なくとも部分的に囲む(又は覆う)。
【0016】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法であり、当該方法は、金属前駆体、セラミック前駆体またはそれらの組み合わせを含む流体ストックを電界紡糸することを含み、ここで、(a)流体ストックは、水性であるか、(b)流体ストック中における前駆体の濃度は、少なくとも200mMであるか、または(a)および(b)の両方である。
【0017】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、水溶性ポリマーをさらに含む。いくつかの実施形態において、前駆体は、水溶性ポリマーに結合する。いくつかの実施形態において、電界紡糸工程は、流体ストックを気体または第2の流体ストックとともに多軸で電界紡糸することを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、非水性溶媒を含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、テトラヒドロフラン(THF)およびポリスチレン(PS)を含む。
【0018】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーの製造方法であり、当該方法は、流体ストックを電界紡糸(された)材料に電界紡糸することを含み、この流体ストックは、ポリマーおよび前駆体を含み、この前駆体は、(i)金属前駆体、(ii)セラミック前駆体、または(iii)それらの組み合わせを含み、(a)前駆体:ポリマーの重量/重量の比は、少なくとも1:2であるか、(b)流体ストックは、(1)溶液;(2)実質的に均一な分散液;または(3)実質的に均質な分散液であるか;(c)流体ストック中における前駆体の濃度は、少なくとも200mMであるか;または(d)それらの組み合わせである。
【0019】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、水性の流体ストックである。
【0020】
いくつかの実施形態において、当該方法は、電界紡糸材料からポリマーを除去することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、当該方法は、上記前駆体の金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミックまたはそれらの組み合わせへの焼成をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、金属および/またはセラミック前駆体(単数または複数)の焼成は、不活性条件下、酸化条件下または還元条件下が好ましい。
【0023】
いくつかの実施形態において、金属は、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、SnおよびAlからなる群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態において、セラミックまたは金属酸化物は、Al、ZrO、Fe、CuO、NiO、ZnO、CdO、C、Ge、Si、SiO、TiO、V、VO、Fe、SnO、SnO、CoO、CoO、Co、HfO、BaTiO、SrTiOおよびBaSrTiOからなる群から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、共有(結合)または非共有(結合)の相互作用によって、ポリマーに会合した前駆体を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、前駆体のポリマーとの会合(association)は、流体ストックを提供し、これはその中に均一に分散した前駆体を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、ポリマーおよび前駆体は、一緒になって、約1重量%〜約20重量%の流体ストックを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、金属前駆体は、金属−リガンドの錯体を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、金属−リガンドの錯体は、金属アセテート、金属ニトレート、金属クロリド、金属アルコ−オキシドである。
【0030】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、熱分解性または化学分解性のポリマーである。
【0031】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール酸、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルセルロース、セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ポリイソシアネート、または任意のそれらの組み合わせである。
【0032】
いくつかの実施形態において、流体ストックを電界紡糸する方法(又はプロセス)は、層状のナノファイバーを製造するために、流体ストックを第2の流体ストックとともに同一または同様の軸で電界紡糸することを含む。
【0033】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、金属前駆体、セラミック前駆体またはそれらの組み合わせを含むナノファイバーであり、(a)ナノファイバーは、少なくとも1μm(例えば、少なくとも50μm)の平均の長さであるか;(b)ナノファイバーは、少なくとも約5(例えば、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000など)のアスペクト比を有するか;(c)ナノファイバーは、金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミックまたはそれらの組み合わせの連続マトリクスを含むセグメントを含むか;(d)ナノファイバーは、1m/g〜約1000m/gの比表面積を有するか、あるいは(e)それらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、少なくとも33%(w/w)の金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、金属前駆体、セラミック前駆体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、金属は、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、SnおよびAlからなる群から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態において、セラミックまたは金属酸化物は、Al、ZrO、Fe、CuO、NiO、ZnO、CdO、C、Ge、Si、SiO、TiO、V、VO、Fe、SnO、SnO、CoO、CoO、Co、HfO、BaTiO、SrTiOおよびBaSrTiOからなる群から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、伝導性材料を含み、ここで、ナノファイバーは、シートに形成される場合、伝導性材料の伝導率と比較した場合、少なくとも約10%の伝導率を有する。
【0037】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法であり、当該方法は、第1の流体ストックを第2の流体ストックとともに同一または同様の軸で電界紡糸することを含み、第1の流体ストックは水性であり、第1のポリマーを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1のポリマーは、水溶性である。
【0039】
いくつかの実施形態において、第2の流体は、水性である。
【0040】
いくつかの実施形態において、第2の流体ストックは、第2のポリマーを含み、第1および第2のポリマーは、必要に応じて、同一である。
【0041】
添付の特許請求の範囲において、本発明の新規の特徴を具体的に示す。本発明の特徴および利点のより良い理解は、例示の実施形態を示し、本発明の原理が利用される
以下の詳細な説明、および以下の添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、開示の方法およびシステムの概略を示す。
図2図2Aは、前駆体−ポリマーの結合の例示のメカニズムを示す。図2Bは、PVAにおける−OH結合の飽和へのNi前駆体ローディングの影響についてのFTIR研究を示す。
図3図3は、Ni−Ac/PVA(2:1)フィード(又は供給物)の電界紡糸からのNiナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図4図4は、Ni−Ac/PVA(2:1)フィードの電界紡糸からのNiOナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図5図5は、Cu−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのCuナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図6図6は、Cu−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのCuOナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図7図7は、Ag−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのAgナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図8図8は、Fe−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのFeナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図9図9は、Zn−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのZnOナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図10図10は、Cd−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのCdOナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図11図11は、Zr−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのZrOナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図12図12は、Pb−Ac/PVA(2:1)溶液の電界紡糸からのPbナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図13図13は、前駆体ローディングの繊維モルホロジーへの影響を示す顕微鏡写真を示す(Ni−Ac/PVA=1:2、1:1、2:1および4:1)。
図14図14は、ナノファイバーの空隙の実質的な欠損を示すTEM顕微鏡写真を示す(Ni−Ac/PVA=1:2、1:1、2:1および4:1)。
図15図15は、純粋なNiナノファイバーの元素分析を示す。
図16図16は、ZnO/ZrOハイブリッドナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図17図17は、Ag/ZrOハイブリッドナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図18図18は、Ni/ZrOハイブリッドナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図19図19は、Fe/ZrOハイブリッドナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図20図20は、様々な金属および金属酸化物(ZnO、Ni、AgおよびFe)を含むZrOハイブリッド(ナノコンポジット)ナノファイバーのTEM顕微鏡写真を示す。
図21図21は、Ni/Alハイブリッドナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図22図22は、CdSeアロイナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図23図23は、PbSeアロイナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図24図24は、CdSeおよびPbSeアロイナノファイバーのTEM顕微鏡写真を示す。
図25図25は、PbSeアロイナノファイバーの元素分析を示す。
図26図26は、CdTeアロイナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図27図27は、PbTeアロイナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図28図28は、Fe/FeNiアロイナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図29図29は、Fe/FeNiアロイナノファイバーのTEM顕微鏡写真を示す。
図30図30は、金属フィルムの伝導率に対して、金属ナノファイバーの電気伝導率を様々な熱処理条件で比較するグラフを示す。
図31図31は、Ni/ZrOハイブリッドナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図32図32は、Ni/ZrOハイブリッドナノファイバーのTEM顕微鏡写真を示す。
図33図33は、Ni/ZrOハイブリッドナノファイバーの元素分析を示す。
図34図34は、燃料電池での使用に適したFe/Ptナノファイバーを製造するための方法およびシステムの概略を示す。
図35図35は、リチウムイオンバッテリでの使用に適した中空SiまたはGeナノファイバーを製造するための方法およびシステムの概略ならびに中空SiまたはGe電界紡糸流体ストックの顕微鏡写真を示す。
図36図36は、フレキシブルソーラーセルでの使用に適したAl2O3/ITOハイブリッドナノファイバーを製造するための方法およびシステムの概略を示す。
図37図37は、無機ナノファイバーから作製された複数の成分を用いたソーラーセルの顕微鏡写真、X線回折プロットおよび概略を示す。
図38図38は、Niナノファイバーの電気伝導率および磁気保磁性への焼成条件の影響を比較するグラフを示す。
図39図39は、Niナノファイバーマットの軸方向および垂直方向の電気伝導率への繊維アライメント条件の影響を比較するグラフを示す。
図40図40は、典型的な電気化学デバイスのエネルギー密度および電力密度を示すRagoneプロットを示す。
図41図41は、色素増感ナノ結晶性ソーラーセルの例示の作動原理およびエネルギーレベルスキームを示す。
図42図42は、薄膜ナノ結晶/ナノワイヤハイブリッドソーラーセルの例示の作動原理を示す。
図43図43は、三軸電界紡糸の概略を示す。
図44図44は、SiO(コア)/Feを含むPI−b−PS(中間)/SiO(シース)の三軸ナノファイバーのTEM画像を示す。
図45図45は、電解質が二重層のウルトラキャパシタの断面図を示す。
図46図46は、ウルトラキャパシタの活性炭に配置されたバリウムチタネートナノファイバーの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
ナノテクノロジーは、原子および分子スケールでの事象を操作することであり、多くの様々な構造、技術および潜在的な用途を含む多様な分野である。それらのなかでも、構造の1つは、ナノファイバーであり、これは、一般に、5000nm未満の直径を有し、様々な長さを有する。高品質のナノファイバー、例えば、金属ナノファイバー、セラミックナノファイバー、ハイブリッドナノファイバーなどの必要がある。かかるナノファイバー、およびかかるナノファイバーを製造するための方法(又はプロセス)は、本明細書中に特定の実施形態で提供される。いくつかの実施形態において、本明細書中で提供されるものは、高品質ナノファイバーであり、これは、良好な構造の完全性(integrity)、少ない空隙、少ない構造の欠陥、調節可能な長さなどを有する。いくつかの実施形態において、本明細書の開示は、長く、高品質のナノファイバーを製造するための方法を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、前駆体およびポリマーを含む流体ストックを使用し、これらは、互いに相互作用するか、および/または互いに適合性であり、そうすることでポリマーが前駆体の可溶化(例えば、溶解、分散液など)を促進するようになる。1つの局面において、本明細書中に提供されるものは、ポリマーおよび前駆体を含むナノファイバー(例えば、前駆体ナノファイバー)である。別の局面において、本明細書中に提供されるものは、金属成分(例えば、金属(単一金属または金属アロイなど)、金属酸化物(金属オキシドなど)、セラミックなど)を含むナノファイバーである。具体的な局面において、本明細書中に提供されるものは、連続マトリクス金属成分ナノファイバーである。より具体的な局面において、本明細書中に提供されるものは、金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、またはそれらの組み合わせの連続マトリクスを含むセグメントを含むナノファイバーである。
【0045】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、電界紡糸された流体ストック(例えば、ポリマーおよび前駆体を含む前駆体ナノファイバー)をナノファイバーへと変換するための方法であり、ここでポリマーは除去される。いくつかの場合、この方法は、得られるナノファイバー.において、欠陥(ギャップなど)、空隙などを残す。いくつかの実施形態において、これらの欠陥は、流体ストック中の金属またはセラミックの前駆体のポリマーの量に対する割合を増加させることによって減少される。
【0046】
いくつかの実施形態において、流体ストックが均質であることを確実にすることによって、流体ストックが均質でない場合と比べて、ナノファイバー中の空隙および/または欠陥が減少する。いくつかの場合において、流体フィード(又は供給物)が電界紡糸され、かつナノファイバーに変換(又はコンバージョン)される場合、均質の流体フィードの使用によって、均質なナノファイバー.がもたらされる。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、均質な流体ストックを製造するための方法である。いくつかの実施形態において、前駆体は、前駆体をリガンドと会合させることによって可溶化される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、水溶性である。いくつかの場合において、水系(水性)の流体ストックは、他の溶媒(例えば、非水性の溶媒が有毒であるもの)に基づく流体ストックに対して利点がある。いくつかの実施形態において、水性の環境において、この方法(又はプロセス)を行うことには利点がある。
【0047】
いくつかの実施形態において、前駆体をポリマーと会合させること、例えば、前駆体とポリマーとの間の化学結合によって、前駆体とポリマーとの間の会合のない実施形態と比べて、欠陥が少なく、長く、高品質のナノファイバーが得られる。いくつかの場合において、前駆体は、比較的均質にポリマーに分配される(そうすることで、例えば、このような均質な会合を有する流体ストックの電界紡糸は、空隙および欠陥の少ないナノファイバーを与えるようになる)。この会合に加えて、いくつかの実施形態において、前駆体とポリマーとを配合する前に前駆体の均質な溶液を第1に作製することには利点がある。
【0048】
いくつかの実施形態において、高品質のナノファイバーを作製するために、前駆体の増加した割合および前駆体の均質な分布によって、複雑なジオメトリまたは有利な特徴を有するナノファイバーがもたらされる。かかるジオメトリとしては、長い中空のナノファイバーや、1以上の材料のハイブリッドであるナノファイバーが挙げられる。様々な実施形態において、これらの材料には、限定がなく、金属、セラミックまたはそれらの組み合わせである。
【0049】
(方法(又はプロセス))
本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーの製造方法である。いくつかの実施形態において、この方法は、流体ストックを電界紡糸することを含む。具体的な実施形態において、流体ストックは、金属前駆体(例えば、金属−リガンドの化合物を含む前駆体であって、これは、下流での処理に依存し、金属、金属酸化物、セラミックなどに変換され得るもの)と、ポリマーとを含む。具体的な実施形態において、金属前駆体およびポリマーは、前駆体−ポリマーの会合中に存在する。具体的な実施形態において、前駆体:ポリマーの重量/重量の比は、少なくとも1:2である。具体的な実施形態において、前駆体:ポリマーの重量/重量の比は、1:2以上である。より具体的な実施形態において、前駆体(重量):ポリマー(重量)の比は、少なくとも1:1である。さらにより具体的な実施形態において、前駆体(重量):ポリマー(重量)の比は、1:1以上である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、水溶性(例えば、水中に完全に溶解性であるか、または水中で少なくとも膨潤性である)である。具体的な実施形態において、流体ストックは、水性である(すなわち、水を含む)。特定の実施形態において、前駆体は、流体ストック中で少なくとも200mMである(例えば、前駆体の金属成分によって測定される通りである)。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、流体ストックを電界紡糸する方法であり、この流体ストックは、金属前駆体とポリマーとを含み、前駆体:ポリマーの重量/重量の比は、1:2以上(例えば、少なくとも1:1.75)である。特定の実施形態において、流体ストックは、1:2以上(例えば、少なくとも1:1.75)の重量/重量の比で前駆体とポリマーとを配合することによって調製される。具体的な実施形態において、流体ストックは、水性である。より具体的な実施形態において、金属前駆体およびポリマーは、前駆体−ポリマーの会合中の流体ストック中に存在する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の方法は、金属を可溶化するリガンドに会合(associating)または結合(binding)させることを含み、必要に応じて水性溶液中で第1の金属前駆体を生成する。いくつかの実施形態において、前駆体溶液を混合して、均質な前駆体組成物(例えば、溶液)を提供する。いくつかの実施形態において、前駆体組成物は、次いで、ポリマーの組成物(例えば、水溶性ポリマー)と配合されて、流体ストックを提供する。
【0052】
いくつかの実施形態において、この(第1の)前駆体分子は、ポリマーと会合または結合する(ここで、これらの用語は、本明細書中において互換的に使用されるべきであると理解され、会合または結合との用語を参照することによって、共有結合、金属−リガンドの錯体、イオン結合、ルイス塩基/ルイス酸の相互作用などの形成が示される)(例えば、前駆体−ポリマーの会合を提供し、ポリマー+第2の金属前駆体を提供する)。
【0053】
いくつかの実施形態において、流体ストックを混合して、均質な流体ストックを提供する。ここで、前駆体は、実質的に均等にポリマーと必要に応じて会合される(例えば、組成物の粘度の変動を測定することによって決定される)。いくつかの実施形態において、流体ストックは、次いで、電界紡糸された流体ストックへと電界紡糸される。いくつかの場合において、電界紡糸された流体ストックは、次いで、必要に応じて加熱により焼成される。いくつかの実施形態において、還元環境での加熱によって、純粋な金属ナノファイバーが得られ、酸化環境での加熱により、セラミックナノファイバーがもたらされる。
【0054】
特定の実施形態において、ポリマーは、求核性ポリマー(例えば、アルコール基を含むポリマー、例えばPVA)である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、求核性ポリマーであり、第1の前駆体(例えば、試薬前駆体(reagent precursor))は、求電子性の前駆体(例えば、金属アセテート、金属クロリドなど)である。具体的な実施形態では、前駆体−ポリマーの会合は、求核性ポリマーと、求電子性の第1の前駆体(例えば、試薬前駆体)との間の反応生成物である。
【0055】
他の実施形態において、ポリマーは、求電子性ポリマー(例えば、クロリドまたはブロミド基を含むポリマー、例えば、ポリビニルクロリド)である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、求電子性ポリマーであり、第1の前駆体(例えば、試薬前駆体)は、求核性前駆体(例えば、求核性基を有する「リガンド」を含む金属−リガンドの錯体、例えば、アルコールまたはアミン)である。具体的な実施形態において、前駆体−ポリマーの会合は、求電子性ポリマーと、求核性の第1の前駆体との間の反応生成物である。
【0056】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、高ローディングの前駆体を含む。具体的な実施形態において、流体ストックは、ポリマー、および/または前駆体とポリマーとの間の会合への高ローディングの前駆体を含む。具体的な実施形態において、ポリマーの前駆体ローディングは、少なくとも20%である(すなわち、少なくとも20%のポリマーの反応性サイト−求核性または求電子性サイトを金属化合物と会合させる。これは、または、本明細書中において、少なくとも20%の前駆体で飽和されていると説明される。)。本明細書中において議論される通り、一緒になった場合、金属前駆体によるポリマーローディングは、(i)ポリマーと金属前駆体とを含む組成物、および(ii)ポリマー−前駆体の会合を形成する。より具体的な実施形態において、ポリマーのローディングは、少なくとも35%である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーのローディングは、少なくとも50%である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーのローディングは、少なくとも75%である。ローディングは、任意の適切なメカニズム、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光測定、赤外(IR)分光測定などによって決定され得る。例えば、図2Bは、ポリマーへの前駆体の増加したローディングを示す(例えば、−OHピークの減少した強度による)。
【0057】
いくつかの場合において、均質な流体ストックの製造方法を使用して、ナノファイバー以外のジオメトリを有する構造(物)を製造する(例えば、ナノ粒子、スフィア、メッシュ、薄膜、ナノロボットパーツ(ギアなど))。ナノファイバーに関して、いくつかの実施形態において、これらの構造を少ない欠陥で作製することが望ましく、そうすることで、本明細書の開示の用途に適切となる。1つの局面において、本発明は、純粋な金属、セラミック、ハイブリッドナノ構造(スフィア、メッシュ、ギアなどを含む)を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、当該方法は、流体ストックを電界紡糸することを含む。電界紡糸のために任意の適切な方法を使用する。いくつかの場合において、上昇された温度での電界紡糸を利用する。このための例示の方法は、米国特許第7,326,043号および米国特許第7,901,610号(これらは、かかる開示について、本明細書中に援用される)に開示の通り、上昇された温度で電界紡糸するための方法を包含する。いくつかの実施形態において、上昇された温度での電界紡糸によって、この電界紡糸の方法を通して、流体ストックの均質性が改善される。いくつかの実施形態において、ガスアシスト電界紡糸(gas-assisted electrospinning)を利用する(例えば、本明細書中に記載の流体ストックから電界紡糸されたジェットを用いて共通軸での電界紡糸)。ガスアシスト電界紡糸の例示の方法は、PCT特許出願(PCT/US2011/024894(「Electrospinning apparatus and nanofibers produced therefrom」))に記載され、これは、かかる開示が、本明細書中に援用される。ガスアシストの実施形態では、ガスは、必要に応じて、空気であるか、または任意の他の適切な気体(不活性ガス、酸化ガスまたは還元ガスなど)である。いくつかの実施形態において、ガスアシストによって、当該方法の処理能力(又はスループット)が増加するか、および/またはナノファイバーの直径が減少する。いくつかの場合において、ガスアシスト電界紡糸によって、エレクトロスピナーから放出される流体ストックのジェットが加速して延長する。いくつかの実施形態において、流体ストックの内側にガス流を導入することによって、中空ナノファイバーが製造される。いくつかの実施形態において、流体ストックは、当業者に公知の任意の方法を用いて、電界紡糸される。
【0059】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、水性の流体ストック(例えば、水、水溶性ポリマーならびに金属および/またはセラミックの前駆体を含む)から製造される。いくつかの場合において、水性の流体ストックは、より安価であり、さらに環境に優しく、有機溶媒の使用を回避し、および/または特定の用途における他の利点を有する。さらに、特定の局面において、水性の流体ストックの使用によって、ポリマーおよび前駆体の両方のより高いローディングが可能となる。いくつかの場合において、前駆体のより高いローディングによって、金属、金属酸化物およびセラミックのナノファイバーが提供され、これらは、良好な構造の完全性、減少した空隙構造および/または減少した構造上の欠陥を有する。
【0060】
具体的な実施形態において、水性の流体ストックの使用は、同軸の電界紡糸と組み合わされる(共通の軸のまわりに2以上の流体を電界紡糸すること)。本明細書中に記載される通り、第2の流体を用いた同軸の電界紡糸を使用して、コーティングを付与し、中空ナノファイバーを製造し、1以上の材料を含むナノファイバーなどを製造する。様々な実施形態において、第2の流体は、水性の(第1の)流体ストックの外側(すなわち、水性の(第1の)流体ストックを少なくとも部分的に囲む(又は覆う))または内側(例えば、水性の(第1の)流体ストックによって少なくとも部分的に囲まれる(又は覆われる))のいずれかでる。いくつかの実施形態において、第2の流体は気体である(ガスアシスト電界紡糸)。本明細書中に記載される通り、いくつかの実施形態において、ガスアシストによって、当該方法の処理能力(又はスループット)が増大し、ナノファイバーの直径が減少し、および/または中空ナノファイバーを製造するために使用される。いくつかの実施形態において、ナノファイバーを製造するための方法は、水性の流体ストックおよび気体を同軸で電界紡糸することを含む。他の実施形態において、第2の流体は、本明細書中に記載のような特徴を有する第2の流体ストック(すなわち、この開示に従ってポリマーおよび前駆体を含むもの)である。いくつかの実施形態においては、この開示に従って少なくとも2つの流体ストックは、本明細書中に開示の方法に従って同軸で電界紡糸され、コアおよびその上に少なくとも1層を含むハイブリッドナノファイバーが形成される。
【0061】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを製造するための方法であり、当該方法は、第1の流体を第2の流体とともに電界紡糸することを含み、第1または第2の流体の少なくとも1つは、水性の流体である。様々な実施形態において、第1の流体および第2の流体は、任意の適切な向き(又はオリエンテーション)および/または形状で、互いに対して配置(又は位置決め)される。いくつかの実施形態において、第1の流体および第2の流体は、これらがエレクトロスピナーを出るように、互いに2つが並んでいる。いくつかの実施形態において、第1の流体または第2の流体のいずれか一方は、他方を囲む(又は被覆する)。いくつかの実施形態において、第1および第2の流体は、同一または同様の軸のまわりで電界紡糸される。
【0062】
いくつかの実施形態において、第1の流体は、水性の流体であり、水、水溶性ポリマーおよび金属および/またはセラミック前駆体を含む。いくつかの実施形態において、第2の流体は、第2の水性の流体であり、水、水溶性ポリマーおよび第2の金属および/またはセラミック前駆体を含み、第2の流体の水溶性ポリマーは、第1の流体の水溶性ポリマーと同一または異なる。
【0063】
いくつかの実施形態において、当該方法は、「同軸」で電界紡糸することを含み、「同軸」のハイブリッドナノファイバーなどを製造する。本明細書中において使用されるように、同軸とは、同中心の円筒の材料を指し、共通(同一)の中心軸を有するものである(例えば、円筒状のナノファイバーであって、コア材料が1以上のコーティングまたは円筒状の層によって囲まれている(又は覆われている)もの)。同軸のナノファイバーは、いくつかの実施形態において、中空である。材料の層の数に限定はない(すなわち、同軸は、2層を意図するものではない)。用語「同軸」および「多軸」は、互換的に使用される。多軸の電界紡糸は、共通の軸のまわりで複数の流体(例えば、複数の流体ストック(本明細書中に記載される通り)および/または1以上の気体)を電界紡糸することを指す。
【0064】
いくつかの場合において、金属前駆体の使用によって、電気伝導率が増加し、これは、電界紡糸フィラメントのより強力なホイッピングをもたらし得る。例えば、前駆体の選択によって、流体ストックの電気伝導率を増加させることによっても、いくつかの場合において、当該方法の生産性を増加させてもよい。いくつかの場合において、増加した生産性は、流体ストックの伝導率を増加させることによって達成される。特定の場合において、増加した伝導率によって、隣接する紡糸口金から出るジェットによって、さらなる斥力が引き起こされる。いくつかの場合において、この増加した斥力のために、ジェットは、早まって、互いに接触することが少ないようである。これによって、実務者が、紡糸口金を、一緒に、より近接して、間隔を開けて配置することができる。一般的には、より近接に間隔を開けて配置された紡糸口金によって、全体の生産性が増加することになる(これは1つの紡糸口金あたりの生産性が実質的に減少しない限りにおいてである)。
【0065】
本明細書中に記載される電界紡糸の方法(又はプロセス)は、流体ストックを比較的均一に分散すること、および/または流体ストックを比較的均一に分散された状態で保つことを含む(例えば、均一に分散または均質に分散される)。いくつかの実施形態において、分散液を達成または維持するために、特に流体ストックが周囲温度で固化する場合において、流体ストックを加熱する。いくつかの実施形態において、流体ストックは、かき混ぜられ、必要に応じて、加熱と組み合わされて撹拌される。かき混ぜには、撹拌、混合、超音波処理、ボルテックスなどが含まれるが、これらに限定されず、また、かき混ぜによって、実質的に均質な流体ストックが生成され、維持される。いくつかの場合において、流体ストックを電界紡糸の方法(又はプロセス)の間に連続的に撹拌する。1つの具体的な実施形態において、流体ストックは、約1時間にわたって撹拌され、均質な分散液を生成する。
【0066】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーを形成するための手順は、電界紡糸ではない。電界紡糸は、ナノファイバーを製造する方法の1つに過ぎない。他の適切な方法としては、ゾル−ゲル技術または界面重合または「迅速混合(fast mixing)」の技術(Huang, Pure Appl. Chem., Vol. 78, No. 1, pp. 15-27, 2006)が挙げられる。本発明の開示には、さらに、例えば、エレクトロスプレーによってナノスフィアを製造するための繊維以外のナノジオメトリを製造するための方法が含まれる。流体ストックの組成物およびこれを製造するための方法は、具体的なジオメトリ(すなわち、任意のジオメトリに適用可能である)およびかかるジオメトリを製造するための方法については、確かではない。
【0067】
いくつかの例において、流体ストック中のポリマーへの高ローディングの前駆体は、純粋および/または不均一のナノファイバーを得るために有益である。本明細書中に記載される通り、ポリマーが除去されるときに、前駆体のローディングが少ない場合に形成される多数の欠陥および/または空隙と比較して、少ない欠陥および/または空隙がナノファイバー中に形成される。ローディングは、流体ストック中において、または流体ストックを形成するために組み合わされて、前駆体:ポリマーの重量比として示される。前駆体:ポリマーの重量比は、任意の値であり、これによって、所定の実施形態において、適切な特性を有するナノファイバーをもたらす。いくつかの実施形態において、前駆体:ポリマーの重量比は、少なくとも1:2である。いくつかの実施形態において、重量において、ポリマーよりも多くの前駆体が存在する。いくつかの実施形態において、前駆体:ポリマーの重量比は、少なくとも1.25:1、少なくとも1.5:1、少なくとも1.75:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1である。いくつかの実施形態において、前駆体:ポリマーの重量比は、約1.25:1、約1.5:1、約1.75:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約15:1、約20:1、約30:1、約40:1、約50:1、または約100:1である。さらに他の実施形態では、前駆体:ポリマーの重量比は、約1:2〜10:1、1:1〜4:1、約2:1〜10:1、または約3:1〜8:1である。具体的な実施形態において、流体ストック中に存在するポリマーおよび前駆体が、ポリマー−前駆体の会合の形態で存在する場合、この重量比は、ポリマーおよび前駆体(例えば、第1の前駆体であり、これはポリマーと反応するものである(金属アセテートなど))の未会合、未反応の理論上の重量を比較することによって決定される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、流体ストックを調製すること、および/または前駆体をポリマーと、必要に応じて流体(例えば、水、または水を含む流体(水性の流体))と配合することによって調製される流体ストックを使用することを含み、前駆体/ポリマーの重量/重量の比は、ポリマー(例えば、前駆体と会合していないポリマー)と配合される前駆体(例えば、第1の前駆体)の量によって決定される。例えば、xグラムの前駆体(例えば、第1の前駆体)およびyグラムのポリマーを用いて流体ストックを調製する場合、前駆体/ポリマーの重量/重量の比は、x:yである(例えば、ストック中において、前駆体が最終的にポリマーと会合するか否かは関係ない)。いくつかの実施形態において、前駆体(例えば、第1の前駆体、例えばML(式中、Mは、金属であり、Lは、1以上のリガンドであり、これは本明細書中に記載される通りであり、bは、適切な数であり、例えば1〜10である))をポリマー(P)と組み合わせる際、ポリマー−前駆体の会合が形成される(例えば、P−MLb−1であり、MLb−1は、ポリマーと会合している第2の前駆体である)。このような場合のいくつかにおいて、全てまたは一部の第1の前駆体は、ポリマーと会合し、前駆体/ポリマーの重量/重量の比は、第1および第2の前駆体の合計:ポリマーの比によって決定される。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される方法(又はプロセス)は、以下の(a)および(b)を含む。
(a)第1の金属前駆体、ポリマーおよび流体(例えば、水性の流体)を組み合わせることによって、流体ストックを調製すること(第1の流体の前駆体は、少なくとも1:2の重量/重量の比でポリマーと組み合わされている)、および
(b)流体ストックを電界紡糸すること
他の実施形態において、本明細書中において提供される方法は、第1の金属前駆体、ポリマーおよび流体(例えば、水性の流体)を組み合わせることによって調製される流体ストックを電界紡糸することを含み、第1の金属前駆体は、少なくとも1:2の重量/重量の比でポリマーと組み合わされている。具体的な実施形態において、金属前駆体とポリマーとを組み合わせる際、第1の金属前駆体の少なくとも一部は、ポリマーと会合して、ポリマー−前駆体の会合を形成し、このポリマー−前駆体の会合は、ポリマーおよび第2の金属前駆体(すなわち、第1の金属前駆体の残りの成分)を含む。例えば、図2Aは、第1の前駆体であるAl(OCOCHを示し、これはポリマーと反応して、ポリマー−前駆体の会合を形成し、これは、第2の前駆体であるAl(OCOCHと会合したポリマー(ポリビニルアルコール)を含む。具体的な実施形態において、第1の前駆体:ポリマーの重量/重量の比は、1:2以上である。さらに具体的な実施形態において、第1の前駆体(重量):ポリマー(重量)の比は、少なくとも1:1である。さらにより具体的な実施形態において、第1の前駆体(重量):ポリマー(重量)の比は、1:1以上である。
【0069】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、金属および/またはセラミックの前駆体とポリマーとを含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、金属またはセラミックの前駆体と、ポリマーとを含む。いくつかの実施形態において、前駆体および/またはナノファイバーは、金属および/またはセラミックではない。本明細書中に記載される方法を使用してナノ構造を作製し、これは、いくつかの場合において(例えば、どんな材料でも)、少ない空隙または欠陥を有する。本明細書中に記載される実質的に均一な流体フィードを製造するための方法は(例えば、ポリマーに前駆体を実質的に均一に会合させることによって)、金属および/またはセラミック以外の材料に適用可能である。
【0070】
図1は、本明細書中に記載される方法の例示の概略を示す。いくつかの場合において、金属前駆体101(例えば、Ag、Al、Co、Fe、Ni、Zn、Zr、Siのアセテートなど)を含む第1の組成物は、ポリマー103(例えば、PVA、PVAc、PVEOなど)を含む第2の組成物と組み合わされて(102)、流体ストック組成物104を含む流体ストックを調製する。いくつかの場合において、ここで提供される流体ストックは、ノズル106を通して、例えばシリンジシステム105を用いて電界紡糸され、ここでノズルは、必要に応じて加熱される。特定の実施形態において、流体ストックの電界紡糸は、前駆体ナノファイバー108を生成し、これは金属前駆体およびポリマーを含み(例えば、1:2以上、最大で4:1の重量比で含み)、この前駆体ナノファイバーは、コレクタ107において回収される。次いで、前駆体ナノファイバー108の処理109(例えば、熱的および/または化学的な処理)を行って、セラミック、金属またはコンポジットのナノファイバー(例えば、純粋なセラミック、金属またはコンポジットのナノファイバー)110を製造してもよい。
【0071】
図34は、本明細書中に記載の方法の別の例示の概略を示す。いくつかの場合において、金属前駆体3401(例えば、Ag、Al、Co、Fe、Ni、Zn、Zr、Siのアセテートなど)を含む第1の組成物は、ポリマー3403(例えば、PVA、PVAc、PEOなど)を含む第2の組成物と組み合わされて(3402)、流体ストック組成物3404を含む流体ストックを調製する。いくつかの場合において、流体ストックは、複数の電界紡糸ノズル/ニードル3409を含む装置3408に提供される(3406)。特定の実施形態において、この流体ストックは、別の流体3407(これもまた装置3409に提供される)とともに電界紡糸される(例えば、エアポンプへの接続を介して)。いくつかの場合において、装置3409は、流体ストックチャンバ3410と、第2の流体チャンバ(例えば、高圧ガスチャンバ)3411とを含む。次いで、流体ストックの電界紡糸は、中央のニードルまたはノズル(例えば、長手方向の軸に沿って整列されたもの)3413から電界紡糸され得る。その間、第2の流体は、外側のニードルまたはノズル(例えば、同一の長手方向の軸に沿って整列されたもの)3412から同軸で発現される。具体的な場合において、この流体ストックノズル(ニードル)3413は、必要に応じて加熱される。いくつかの場合において、例えば、中空ナノファイバーが望まれる場合には、気体および流体ストックのチャンバおよびニードルをスイッチしてもよい(例えば、図35を参照のこと)。特定の実施形態において、流体ストックの電界紡糸は、前駆体ナノファイバー3415を生成し、これは金属前駆体およびポリマーを含み(例えば、1:2以上、最大で4:1の重量比で含み)、この前駆体ナノファイバーは、コレクタ3414で回収される。次いで、前駆体ナノファイバー3415の処理3416(例えば、熱的および/または化学的な処理)を行って、セラミック、金属またはコンポジットのナノファイバー(例えば、純粋なセラミック、金属またはコンポジットのナノファイバー)3417を製造してもよい。具体的な実施形態において、金属ナノファイバーは、金属アロイのナノファイバー(例えば白金−鉄のアロイ)3418であってもよい。
【0072】
図35は、本明細書中に記載の中空(すなわち中空コア)の金属、金属酸化物またはセラミックのナノファイバーを製造する方法の例示の概略を示す。いくつかの場合において、本明細書中に記載の装置の流体ストックチャンバ3502に流体ストックが提供される。いくつかの場合において、流体ストックチャンバは、供給端部およびノズル端部を含み、そこから、流体ストックがガスのアシストによって電界紡糸され、これは、供給端部およびノズル端部を含むガスチャンバ3501を介して提供され、このノズル端部は、流体ストックチャンバ3503のノズル端部と同軸で(すなわち、同一の長手方向の軸に実質的に沿って)配置(又は位置決め)されている。いくつかの場合において、このような様式でガスを用いた流体ストックの同軸での電界紡糸によって、中空前駆体ナノファイバー3506が製造され、これは、コレクタ3505で回収され得る。金属前駆体およびポリマーを含む中空前駆体ナノファイバーは、図35において、3506で示される。いくつかの場合において、これらの中空前駆体ナノファイバーは、次いで、処理されて(3507)(例えば、熱処理され)、中空金属ナノファイバー3508を生成する。例示の中空ナノファイバーとしては、中空のSiまたはGeのナノファイバーが挙げられる。
【0073】
図36は、本明細書中に記載の方法のさらに別の例示の概略を示し、特に層状のナノコンポジットナノファイバーを示し、これは、同軸のガスアシストの電界紡糸の方法によって製造される。いくつかの場合において、第1の流体ストック3601(例えば、金属前駆体およびポリマーを含む)は、第2の流体ストック3602(例えば、第2の金属前駆体および第2のポリマーを含み、この第2の前駆体およびポリマーは、独立して、第1のものと同一であるか、または異なるものである)および第3の流体(例えば、ガス)3603とともに電界紡糸される。流体ストックは、任意のデバイスによって、例えばシリンジ3605によって、装置に提供され得る。ガスは、任意の供給源3606(例えば、エアポンプ)から提供され得る。いくつかの実施形態において、このような装置は、複数の同軸ニードル3604を含む。例示のニードルは、断面3707によって示される通り、外側シースチューブ3608、少なくとも1つの中間チューブ3609、およびコアチューブ3610を含む。具体的な場合において、各チューブは、同軸で整列されている(すなわち、実質的に同一の軸に沿って整列されている)。特定の実施形態において、このような方法は、コアおよび層を含むナノファイバーを調製するために利用され得る。ここで、コアは、金属、金属酸化物またはセラミックを含み、層は、金属、金属酸化物またはセラミックを含む。いくつかの場合において、コアおよび層は、同一または異なる材料を含む。例示の実施形態において、コアは、アルミニウム(アルミニウム前駆体流体ストックに由来する)を含み、層は、ITO(ITO前駆体流体ストックに由来する)を含んでいてもよい。
【0074】
(前駆体ナノファイバー)
特定の実施形態において提供されるものは、ナノファイバーまたは複数(本明細書中において互換的に使用される「収集(コレクション)」)のナノファイバーであり、本明細書中に記載されるポリマーおよび金属前駆体を含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、上記に記載の方法に従って調製される。具体的な実施形態において、ポリマーおよび金属前駆体は、ポリマー−前駆体の会合の形態でナノファイバー中に存在する。いくつかの場合において、これらのナノファイバーは、本明細書中に記載の流体ストックから調製されるので、ポリマー/前駆体ナノファイバーのポリマーおよび前駆体の比は、本明細書中に記載の通りである(例えば、流体ストックについての記載)。
【0075】
いくつかの実施形態において、ナノファイバー(単数または複数)は、ポリマーおよび金属前駆体を含む。いくつかの実施形態において、ポリマーおよび金属前駆体は、任意の第1の金属前駆体およびポリマー−前駆体の会合を含み、このポリマー−前駆体の会合は、1以上の第2の金属前駆体に結合したポリマーを含む。いくつかの実施形態において、金属前駆体:ポリマーの重量比は、いくつかの実施形態において、少なくとも1:2である。他の実施形態においては、ほぼ等しい重量の前駆体およびポリマーが存在する。いくつかの実施形態において、重量において、ポリマーよりも多くの前駆体が存在する。いくつかの実施形態において、前駆体:ポリマーの重量比は、少なくとも1.25:1、少なくとも1.5:1、少なくとも1.75:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1である。いくつかの実施形態において、前駆体:ポリマーの重量比は、約1.25:1、約1.5:1、約1.75:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約15:1、約20:1、約30:1、約40:1、約50:1、または約100:1である。さらに他の実施形態では、前駆体:ポリマーの重量比は、約1:2〜10:1、1:1〜4:1、約2:1〜10:1、または約3:1〜8:1である。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される前駆体ナノファイバーは、式ML(式中、Mは、金属であり、Lは、1以上のリガンドであり、これらは本明細書中に記載されるとおりであり、bは、適切な数であり、例えば1〜10である)を有する任意の第1の金属前駆体と、式P−(MLb−1(Pは、ポリマーであり、gは、前駆体の飽和またはローディングの数であり、かかる数は、1以上である)を有するポリマー−前駆体の会合とを含む。特定の実施形態において、gは、モノマー単位またはP中に存在する反応性部位の数以下の数であると理解される(特に、1以上の反応性部位を有するモノマー単位を使用する場合)。例えば、約0.0113モル(2gのニッケルアセテート)が1gの79kDaのポリビニルアルコール(約0.0238モルのビニルアルコールモノマー残基)と完全に反応する場合、このとき、全く架橋がないとすると、ポリビニルアルコール中に存在する約47%のアルコールが反応している、gは、約884となる(0.47の反応したアルコール/ポリマー×アルコール単位/ポリマーの数(すなわち、79000(ポリマーの分子量)÷42(アルコール単位の分子量))。いくつかの場合において、ポリマー(P)の間のいくつかの架橋(例えば、金属前駆体による架橋)が存在する(例えば、P−MLb−2−Pを形成する。ML、MLb−1およびMLb−2が全て存在する場合、MLb−2残基は、第3の金属前駆体と考えられ得る。)。具体的な実施形態において、制御された条件下での第1の前駆体とポリマーとの配合によって、ポリマー間の架橋を減少させる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、20%未満の架橋である(例えば、20%未満の金属前駆体が、2以上のポリマーと会合し、および/またはポリマーの20%未満のモノマー単位が、例えば、金属前駆体を介して、別のポリマーに接続される)。いくつかの実施形態において、ポリマーは、10%未満の架橋である。具体的な実施形態において、ポリマーは、5%未満の架橋である。より具体的な実施形態において、ポリマーは、3%未満の架橋である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーは、2%未満の架橋である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーは、1%未満の架橋である。
【0077】
いくつかの実施形態において、ポリマー−前駆体の会合のポリマーは、前駆体で少なくとも20%飽和されている。具体的な実施形態において、ポリマー−前駆体の会合のポリマーは、前駆体で少なくとも35%飽和されている。より具体的な実施形態において、ポリマー−前駆体の会合のポリマーは、前駆体で少なくとも50%飽和されている。さらにより具体的な実施形態において、ポリマー−前駆体の会合のポリマーは、前駆体で少なくとも75%飽和されている。様々な実施形態において、ポリマーは、(例えば、平均で)少なくとも20%、少なくとも少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の飽和である。いくつかの場合において、ポリマーは、平均で、約50%〜100%、約70%〜100%、約90%〜100%、約50%〜90%、約60%〜80%、または約20%〜50%の飽和である。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーまたは複数のナノファイバーは、ポリマーと、(例えば、平均で)少なくとも5元素重量%の金属とを含む。特定の実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーまたは複数のナノファイバーは、ポリマーと、(例えば、平均で)少なくとも10元素重量%の金属とを含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーまたは複数のナノファイバーは、ポリマーと、(例えば、平均で)少なくとも15元素重量%の金属とを含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーまたは複数のナノファイバーは、ポリマーと、(例えば、平均で)少なくとも20元素重量%の金属とを含む。具体的な実施形態において、金属は、(例えば、平均で)少なくとも25元素重量%のナノファイバー(単数または複数)を構成する。さらにより具体的な実施形態において、金属は、(例えば、平均で)少なくとも30元素重量%のナノファイバー(単数または複数)を構成する。さらにより具体的な実施形態において、金属は、(例えば、平均で)少なくとも35元素重量%のナノファイバー(単数または複数)を構成する。より具体的な実施形態において、金属は、(例えば、平均で)少なくとも40元素重量%のナノファイバー(単数または複数)を構成する。様々な実施形態において、金属は、(例えば、平均で)少なくとも10元素重量%、少なくとも15元素重量%、少なくとも45元素重量%、少なくとも50元素重量%のナノファイバー(単数または複数)を構成する。
【0079】
いくつかの実施形態において、電界紡糸された前駆体ナノファイバーは、金属前駆体およびポリマーを含み、ここで、金属前駆体およびポリマーは、一緒にすると、ナノファイバーの全質量の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%を構成する。具体的な実施形態において、ポリマーは、有機ポリマーである。
【0080】
いくつかの場合において、金属前駆体の前駆体は、また、必要に応じて、溶媒和されてもよい(例えば、流体ストックの流体媒体が水である場合、水和されてもよい)。本明細書中に開示されるものは、このような溶媒を考慮すること意図することを理解すべきである。
【0081】
(ナノファイバー処理)
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される方法は、電界紡糸された流体ストック(例えば、ポリマーおよび前駆体を含む前駆体ナノファイバー、例えば、本明細書中に記載される任意の前駆体ナノファイバー)を処理するための1以上の方法(又はプロセス)を含む(例えば、これらの実施形態において、さらに処理することであって、この処理を上記にて説明される電界紡糸の方法と組み合わせる)。具体的な実施形態において、このさらなる処理は、前駆体ナノファイバー(ポリマーおよび前駆体を含む電界紡糸されたナノファイバー)を金属、金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)またはセラミックのナノファイバーに変換することを含む。
【0082】
本明細書中において、1つまたは全てのこれらの処理方法を「焼成(またはか焼)」と総称する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される金属、金属酸化物またはセラミックのナノファイバー(例えば、例として、純粋な金属および/またはセラミックのナノファイバー)を製造するために、本明細書中に記載の方法は、電界紡糸された流体ストック(すなわち、前駆体ナノファイバー)からポリマーを除去することを含む。いくつかの実施形態において、前駆体ナノファイバーの処理(焼成)には、ポリマーを除くこと(例えば、必要に応じて、熱的にまたは化学的にポリマーを除去すること)が含まれる。いくつかの実施形態において、ポリマーの除去によって、ナノファイバーにおいて、空隙および/または欠陥を形成する。いくつかの場合において、流体ストック中のポリマーの量を減少させること、および/または空隙または欠陥の減少およびナノファイバーの長さおよび性能の増加をもたらす処理(焼成)の手順を用いることを開示することが目的である。いくつかの場合において、ポリマーは、実質的に変性されていない状態で除去される。いくつかの場合において、ポリマーは、任意の適切な手段によって分解される(例えば、熱によって分解され、蒸発され、昇華される)。いくつかの場合において、ポリマーは、化学的な手段によって除去される(例えば、ポリマーを可溶化することによって、またはポリマーを化学的に分解することによって除去される)。いくつかの実施形態において、ポリマーは、強酸または強塩基によって化学的に分解される。いくつかの実施形態において、焼成には、リガンド(これは、必要に応じて、前駆体の成分である)の除去が含まれる。さまざまな実施形態において、リガンドは、全体的に分解または除去され、熱または化学品などによって除去される。
【0083】
いくつかの実施形態において、処理(焼成)の方法(又はプロセス)もまた、前駆体(単数または複数)を金属(例えば、単一の金属、または金属のアロイ)、金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)、および/またはセラミックに変換することを含む。このような変換は、また、用語「焼成」によって本明細書中に包含されることが意図される。例示の焼成は、ポリマーならびに金属および/またはセラミックの前駆体を含む前駆体ナノファイバーの金属および/またはセラミックのナノファイバーへの変換である。いくつかの実施形態において、前駆体の金属(単数または複数)、金属酸化物(単数または複数)および/またはセラミック(単数または複数)への変換は、ポリマーの除去と同時に起こる。いくつかの実施形態において、前駆体の変換およびポリマーの除去は、異なる時間で起こる。さまざまな実施形態において、ポリマーの除去および前駆体の変換は、同一の条件下、あるいは異なる条件下で起こる。
【0084】
いくつかの実施形態において、処理(焼成)は、気体の環境で行われる。いくつかの実施形態において(例えば、酸化反応が進行することを望まない場合)、気体の環境は不活性である(すなわち、非反応性の気体からなる)。いくつかの実施形態において、処理(焼成)は、不活性雰囲気(例えば、希ガス)の下で行われる。希ガスとしては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)またはその混合物が挙げられる。具体的な実施形態において、希ガスは、アルゴンであるか、またはアルゴンを含む。他の具体的な実施形態において、不活性ガスは、窒素(N)ガスであるか、または窒素(N)ガスを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、電界紡糸された流体ストックの処理は、その化学的な処理を含む。具体的な実施形態において、化学処理は、酸化条件下での処理を含む。いくつかの実施形態において、酸化処理は、酸素を含む気体(例えば、空気)で電界紡糸された流体ストックを処理することを含む。いくつかの実施形態において、酸化処理は、また、熱処理を含む。特定の場合において、化学反応は、焼成、必要に応じて酸化反応の際に起こる。いくつかの場合において、酸化は、金属前駆体を金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)またはセラミックナノファイバーに変換させる。いくつかの実施形態において、酸化反応は、酸素が豊富な環境(空気など)で行われる。1つの具体的な例(例えば、ナノファイバーがセラミックナノファイバーである場合)において、焼成は、約2時間にわたって約600℃で空気中にて行われる。
【0086】
別の具体的な実施形態において、化学的な処理は、還元条件下での処理を含む。還元は、電子の獲得(ゲイン)であり、これは、酸化とは反対の反応である。いくつかの場合において(例えば、純粋な金属のナノファイバーの製造においてなど)、還元の環境が採用される。ここで、たとえば、還元の環境は、金属前駆体の金属酸化物への変換を抑制または最小化する(および/または、酸化が行われた場合、金属酸化物が、金属に還元されて戻されてもよい)。いくつかの実施形態において、還元環境には、減圧下でMgなどの金属が含まれる。いくつかの実施形態において、還元環境は、水素ガス(H)を含む。具体的な実施形態において、還元環境は、不活性ガスおよび水素ガスの混合物である。いくつかの実施形態において、還元環境の強さは、様々な割合で不活性ガスとHをブレンドすることによって、変更される。本発明の開示は、水素−窒素の混合物などを包含する。いくつかの実施形態において、還元環境は、任意の環境であり、ここで、酸化は、抑制または最小化される(例えば、環境は、実質的に酸素がない)。1つの具体的な場合において、処理(焼成)は、純粋な金属ナノファイバーを製造するために、アルゴンおよび水素の混合物のもと、約2時間にわたって、約800℃で行われる。
【0087】
いくつかの実施形態において、処理(焼成)は、液体の環境で行われる。いくつかの実施形態において、この液体の環境は水性である。他の実施形態において、この液体の環境には、水以外のさまざまな溶媒(例えば、有機溶媒)が含まれる。いくつかの実施形態において、この液体の環境は、酸化、還元、または不活性の条件を含む。例示の液体系の還元環境は、溶液NaBHである。例示の酸化溶液は、過酸化水素Hを含む。いくつかの実施形態において、焼成は、触媒を使用する(すなわち、気相で行われるか、または液相で行われる)。
【0088】
焼成は、任意の適切な量の時間で任意の適切な温度で行われる。いくつかの場合において、焼成温度が高いほど、より小さな直径のナノファイバーが生成される。いくつかの場合において、低温および/または短い時間によって、アモルファスの金属また金属酸化物中で小さな結晶のドメインが形成され得るが、その一方で、高温の焼成によって、純粋な金属または純粋な金属酸化物の結晶を有するナノファイバーがもたらされ得る。特定の場合、結晶の寸法は、電気伝導率または磁気特性に影響を与え得る。いくつかの場合において、磁気的に活性な金属または金属酸化物の低温での焼成によって、超常磁性のナノファイバーが製造され得る。いくつかの場合において、高温での焼成によって、電気伝導率が増加した金属ナノファイバーが製造され得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、焼成は、約100℃、約150℃、約200℃、約300℃、約400℃、約500℃、約600℃、約700℃、約800℃、約900℃、約1000℃、約1500℃、約2000℃などで行われる。いくつかの実施形態において、焼成は、少なくとも100℃、少なくとも150℃、少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、少なくとも500℃、少なくとも600℃、少なくとも700℃、少なくとも800℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1500℃、少なくとも2000℃などの温度で行われる。いくつかの実施形態において、焼成は、最大で100℃、最大で150℃、最大で200℃、最大で300℃、最大で400℃、最大で500℃、最大で600℃、最大で700℃、最大で800℃、最大で900℃、最大で1000℃、最大で1500℃、最大で2000℃などの温度で行われる。いくつかの実施形態において、焼成は、約300℃〜800℃、約400℃〜700℃、約500℃〜900℃、約700℃〜900℃、約800℃〜1200℃などの温度で行われる。具体的な実施形態において、焼成は、300℃〜1200℃で行われる。より具体的な実施形態において、焼成は、400℃〜1000℃で行われる。さらにより具体的な実施形態において、焼成は、500℃〜900℃で行われる。いくつかの具体的な実施形態において、焼成は、600℃で行われる。他の具体的な実施形態において、焼成は、800℃で行われる。
【0090】
いくつかの実施形態において、焼成は、一定の温度で行われる。いくつかの実施形態において、温度は、経時的に変化する。いくつかの実施形態において、温度は、第1の温度(例えば、電界紡糸の方法の温度、必要に応じて、室温)から第2の温度まで増加する。いくつかの実施形態において、焼成は、次いで、第2の温度で所定の時間で進行する。いくつかの実施形態において、温度は、連続して変化する。焼成の間、温度の増加の速度は、特定の場合において、変化する。増加の任意の適切な速度は許され、それによって、所望の特性のナノファイバーが得られる。特定の実施形態において、温度増加の速度は、約0.1℃/分、約0.3℃/分、約0.5℃/分、約0.7℃/分、約1.0℃/分、約1.5℃/分、約2℃/分、約2.5℃/分、約3℃/分、約4℃/分、約5℃/分、約10℃/分、約20℃/分などである。特定の実施形態において、温度増加の速度は、少なくとも約0.1℃/分、少なくとも約0.3℃/分、少なくとも約0.5℃/分、少なくとも約0.7℃/分、少なくとも約1.0℃/分、少なくとも約1.5℃/分、少なくとも約2℃/分、少なくとも約2.5℃/分、少なくとも約3℃/分、少なくとも約4℃/分、少なくとも約5℃/分、少なくとも約10℃/分、少なくとも約20℃/分などである。いくつかの実施形態において、温度増加の速度は、最大で約0.1℃/分、最大で約0.3℃/分、最大で約0.5℃/分、最大で約0.7℃/分、最大で約1.0℃/分、最大で約1.5℃/分、最大で約2℃/分、最大で約2.5℃/分、最大で約3℃/分、最大で約4℃/分、最大で約5℃/分、最大で約10℃/分、最大で約20℃/分などである。さらに他の実施形態において、温度増加の速度は、約0.1℃/分〜0.5℃/分、約0.5℃/分〜2℃/分、約2℃/分〜10℃/分、約0.1℃/分〜2℃/分などである。
【0091】
焼成は、任意の適切な量の時間で行われる(例えば、所望の特性を有するナノファイバーに至る必要があるように)。いくつかの実施形態において、焼成の時間および温度は、互いに関連する。例えば、より高温の温度の選択によって、所定の特性を有するナノファイバーを製造するのに必要な時間の量が減少する。逆もまた然りであるが、焼成の時間の増加によって、必要な温度が減少し、これは、例えばナノファイバーが温度に敏感な材料を含む場合において、利点がある。いくつかの実施形態において、焼成は、約5分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約8時間、約12時間、約1日、約2日などで行われる。いくつかの実施形態において、焼成は、少なくとも5分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日などで行われる。いくつかの実施形態において、焼成は、最大で5分、最大で15分、最大で30分、最大で1時間、最大で2時間、最大で3時間、最大で4時間、最大で8時間、最大で12時間、最大で1日、最大で2日などで行われる。さらに他の実施形態では、焼成は、約10分〜60分、約1時間〜約5時間、約5時間〜1日などで行われる。
【0092】
いくつかの場合、前駆体ナノファイバーの焼成によって、所望のナノファイバーが得られる(例えば、純粋な金属または純粋なセラミックナノファイバー)。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、純粋な金属またはセラミックを基本的に含む(すなわち、必要に応じて少量の他の材料を含む)。いくつかの実施形態において、他の材料は、残りのポリマー、残りの炭素質の材料(例えば、分解されたリガンドおよび/またはポリマー)、少量の酸素(例えば、ナノファイバーが「純粋な金属」である場合、金属酸化物の形成におけるもの)または流体ストックの他の成分である。
【0093】
1つの局面において、当該方法は、高収率を有する(例えば、これは、前駆体が高価である実施形態において望まれる)。収率は、ナノファイバーの前駆体分子の分子数(例えば、モルで)を、その最終形態(例えば、金属、金属酸化物、セラミック)に返還されて、ナノファイバー中に取り込まれる前駆体分子の分子数(例えば、モルで)と比較することによって、定量され得る。換言すると、収率は、流体ストックにおいて前駆体分子の数(すなわち、y×前駆体分子の数であって、前駆体分子が、そのなかに1以上の金属原子(すなわち、y金属原子)を有する場合)をナノファイバー(単数または複数)中の金属原子の数で除算して求めることによって計算され得る(すなわち、流体ストック中の金属原子/ナノファイバー(単数または複数)中の金属原子)。いくつかの場合において、ポリマーへの前駆体のより高いローディンングによって、より高い収率が得られ得る。例えば、1つの試験のローディングにおいて、前駆体:ポリマーが4:1の比であると、80%の収率が得られる。いくつかの実施形態において、ナノファイバー中の金属原子は、流体ストック中の前駆体分子の数(例えば、モルで)の約10%、約20%、約30%、約33%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、または約100%である。いくつかの実施形態において、ナノファイバー中の金属原子は、流体ストック中の前駆体分子のモルの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも33%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。いくつかの実施形態において、ナノファイバー中の前駆体分子のモルは、流体ストック中の前駆体分子のモルの約10%〜約40%、約20%〜約50%、または約50%〜約100%である。
【0094】
(流体ストック)
本明細書中に記載されるものは、流体ストック、特定の特徴を有する流体ストック、本明細書中に開示される方法に従って調製される流体ストック、本明細書中に開示される方法によって調製することができる流体ストック、本明細書中に開示される前駆体を含む流体ストック、本明細書中に開示されるポリマーを含む流体ストック、ならびに本明細書中に開示される方法およびシステムに適している流体ストックである。また、本開示は、当該流体ストックを用いるための方法などを含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書中の方法において提供または使用される組成物(例えば、電界紡糸流体ストックとして使用されるもの)は、金属前駆体およびポリマーを含む。いくつかの実施形態において、金属前駆体は、ポリマーとともに、1:2以上の重量/重量の比で存在する。具体的な実施形態において、金属前駆体は、ポリマーとともに、1:1以上の重量/重量の比で存在する。他の実施形態において、前駆体:ポリマーの重量比は、この開示を通して記載される通りである。特定の実施形態において、流体ストックは、さらに水を含む(すなわち、流体ストックが水性である)。いくつかの実施形態において、金属前駆体は、少なくとも200mMの濃度で存在する。他の実施形態において、前駆体は、本明細書中に記載の任意の適切な量で存在する。様々な実施形態において、流体ストックは、実質的に均一および/または均質な分散液もしくは溶液(例えば、粘度の偏差、UV吸光度などによって測定される通りである)を含む。
【0096】
具体的な実施形態において、流体ストックは、少なくとも2つの異なる金属前駆体を含む。より具体的な実施形態において、少なくとも2つの異なる金属前駆体は、異なる金属を含む。特定の実施形態において、少なくとも2つの異なる金属前駆体の使用によって、本明細書中に記載の方法に従う電界紡糸および処理の後にアロイまたはコンポジットのナノファイバーが提供される。
【0097】
具体的な実施形態において、流体ストックの金属前駆体は、少なくとも部分的に、ポリマー前駆体の会合の形態である。より具体的な実施形態において、金属前駆体は、部分的に、ポリマー前駆体の会合の形態(例えば、本明細書中に記載される通り、P−(MLb−1)であり、部分的にはポリマーと会合していない形態(例えば、本明細書中に記載される通り、ML)である。具体的な実施形態において、流体ストック中に存在する前駆体は、少なくとも80%がポリマーと会合している。より具体的な実施形態において、流体ストック中に存在する前駆体は、少なくとも90%がポリマーと会合している。さらにより具体的な実施形態では、流体ストック中に存在する前駆体は、少なくとも95%がポリマーと会合している。他の具体的な実施形態では、流体ストック中に存在する前駆体は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも98%、または少なくとも99%がポリマーと会合している。いくつかの場合において、ポリマー(P)間のいくつかの架橋(例えば金属前駆体による架橋)が存在する(例えば、P−MLb−2−Pを形成し、これは、「会合」した形態であると考えられる)。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される流体ストックのポリマーは、20%未満の架橋である(例えば、20%未満の金属前駆体が2以上のポリマーと会合するか、および/またはポリマーの20%未満のモノマー単位が、他のポリマーに、例えば金属前駆体を介して、接続される)。いくつかの実施形態において、ポリマーは、10%未満の架橋である。具体的な実施形態において、ポリマーは、5%未満の架橋である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーは、3%未満の架橋である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーは、2%未満の架橋である。さらにより具体的な実施形態において、ポリマーは、1%未満の架橋である。
【0098】
いくつかの場合において、ポリマーの量に対する前駆体の量の増加、および/または流体ストックにおいて比較的に均一な前駆体の分布によって、前駆体の量がさらに少ないか、または流体ストックが均一でないナノファイバーに対して、減少した空隙および/またはより少ない欠陥のナノファイバーが製造される。
【0099】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、溶液、必要に応じて水性の溶液である。いくつかの実施形態において、ポリマーは水溶性であり、前駆体は、リガンドと会合することによって可溶化される。いくつかの実施形態において、1以上の成分は、完全に溶解されず、流体ストックは、分散液である。いくつかの場合において、流体ストックは、均一または均質(例えば、流体ストックは、溶液であっても、分散液であってもよい)である。いくつかの実施形態において、流体ストックの均質性および/または均一性は、流体ストックの粘度の標準偏差を測定することによって決定される。特定の実施形態において、流体ストックのフラクションの粘度は、全体としての流体ストックの粘度から、5%未満、10%未満、20%未満、または任意の適切な量だけ逸脱して、本明細書中に記載されるナノファイバーを有効に製造する。
【0100】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、例えば、かき混ぜによって、均一または均質に維持される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、例えば、流体ストックを加熱および/またはかき混ぜることによって、流体ストックの均一性を維持することを更に含む。かき混ぜる方法には、非限定的な例によって、混合、撹拌、振とう、超音波処理、またはそれ以外にも、流体ストック中において1以上の相の形成を抑制または遅延させるためにエネルギーを注入することが含まれる。これらの方法または均等物のいずれかが、さまざまな実施形態で用いられる。いくつかの実施形態において、流体ストックは、連続してかき混ぜられる。いくつかの実施形態において、流体ストックをかき混ぜて、均一な分散液または溶液を形成し、これは、次いで、流体ストック(例えば、分散液または溶液)が、均一性および/または均質性を損なう前に、電界紡糸工程において使用される(例えば、これは、その前に、1以上の相に分割される)。例示の相は、水相および油相であり、すなわち水相および例えばポリマーまたは前駆体を含む相(例えば、固体/沈殿物の相)である。
【0101】
いくつかの実施形態において、均一な流体ストックは、前駆体の溶液または前駆体の均一な分散液を第1にかき混ぜることによって作製される。いくつかの実施形態において、流体ストックは、第1の分散液中に前駆体を均一に分散させて、その後、第1の分散液を第2の分散液(例えば、これはポリマーを含む)と合わせることによって作製される。前駆体溶液または均一な分散液は、いくつかの実施形態において、連続してかき混ぜられ、必要に応じて混合され、その間にポリマー分散液と合わされて流体ストックを作製する。
【0102】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、水性の流体ストックであるか、および/または水中に溶解したポリマーを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックの連続相は水である(例えば、流体ストックが分散液である場合)。いくつかの実施形態において、溶媒は水である(例えば、流体ストックが溶液である場合)。様々な実施形態において、前駆体の溶液または分散液は、水性であり、ポリマーの溶液または分散液は、水性であるか、あるいは、溶液または分散液の両方が水性である。
【0103】
いくつかの実施形態において、流体ストックは加熱され(例えば、必要に応じて、かき混ぜと組み合わされて)、実質的に均一または実質的に均質な分散液または溶液を形成する。いくつかの実施形態において、流体ストックは、第1の分散液中に前駆体を均一に分散させて、その後、第1の分散液を第2の分散液(例えば、これは、ポリマーを含む)と合わせることによって作製される。いくつかの実施形態において、第1の分散液は、必要に応じてかき混ぜと組み合わせて、加熱される。
【0104】
いくつかの実施形態において、流体ストック中のポリマー濃度は、ポリマーの平均分子量に関する(例えば、それに比例する)。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量が約1,000,000原子質量単位である場合、ポリマーは、流体ストックの1重量%で存在する。別の例において、ポリマーの分子量が約50,000原子質量単位である場合、ポリマーは、流体ストックの20重量%で存在する。一般に、ポリマーの分子量が高いほど、流体ストックにおいて、ポリマーの必要な濃度は低くなり、高品質の金属および/またはセラミックのナノファイバーが達成される。
【0105】
流体ストックは、任意の適切な量のポリマーを含む。流体ストック中のポリマーの重量パーセンテージは、ポリマー単独の重量パーセントとして示されるか、あるいは前駆体と会合したポリマーの合わされた重量パーセントとして示される。いくつかの実施形態において、流体ストックは、約10重量%がポリマーまたは前駆体と会合したポリマーである。他の実施形態では、流体ストックは、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約12重量%、約14重量%、約16重量%、約18重量%、約20重量%、約30重量%、または約40重量%のポリマーまたは前駆体と会合したポリマーを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%のポリマーまたは前駆体と会合したポリマーを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、最大で約0.5重量%、最大で約1重量%、最大で約2重量%、最大で約3重量%、最大で約4重量%、最大で約5重量%、最大で約6重量%、最大で約7重量%、最大で約8重量%、最大で約9重量%、最大で約10重量%、最大で約12重量%、最大で約14重量%、最大で約16重量%、最大で約18重量%、最大で約20重量%、最大で約30重量%、または最大で約40重量%のポリマーまたは前駆体と会合したポリマーを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、約1重量%〜約20重量%のポリマーまたは前駆体と会合したポリマーを含む。いくつかの実施形態において、流体ストックは、約1重量%、〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、または約15重量%〜約20重量%のポリマーまたは前駆体と会合したポリマーを含む。
【0106】
特定の実施形態において、流体ストック中のポリマー濃度は、モノマー残基の濃度で決定される。換言すると、ポリマーの濃度は、ストック中に存在するポリマーの繰り返し単位の濃度に基づいて決定される。例えば、ポリビニルアルコールのポリマー濃度は、流体ストック中に存在する(−CHCHOH−)の濃度に基づいて測定され得る。いくつかの実施形態において、流体ストック中のポリマーのモノマー残基(すなわち、繰り返し単位)の濃度は、少なくとも100mMである。具体的な実施形態において、流体ストック中のポリマーのモノマー残基(すなわち、繰り返し単位)の濃度は、少なくとも200mMである。より具体的な実施形態において、流体ストック中のポリマーのモノマーの残基(すなわち、繰り返し単位)の濃度は、少なくとも400mMである。さらにより具体的な実施形態において、流体ストック中のポリマーのモノマーの残基(すなわち、繰り返し単位)の濃度は、少なくとも500mMである。少なくとも5mM、少なくとも100mM、少なくとも150mM、少なくとも200mM、少なくとも250mM、少なくとも300mM、少なくとも350mM、少なくとも400mM、少なくとも500mM、少なくとも700mM、少なくとも900mM、少なくとも1.2M、少なくとも1.5M、少なくとも2M、少なくとも5Mなどにおいてである。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度は、5mM〜5M、200mM〜1M、100mM〜700mMなどである。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度:流体ストック中のモノマーの残基は、少なくとも1:4である。具体的な実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度:流体ストック中のモノマーの残基は、少なくとも1:3である。より具体的な実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度:流体ストック中のモノマーの残基は、少なくとも1:2である。さらにより具体的な実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度:流体ストック中のモノマーの残基は、少なくとも1:1.2である。さらにより具体的な実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度:流体ストック中のモノマーの残基は、約1:1(例えば、5%以内)である。他の実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度:流体ストック中のモノマーの残基は、少なくとも1:10、少なくとも1:8、少なくとも1:6、少なくとも1:1.5、少なくとも1:3.5、少なくとも1:2.5、または任意の適切な比である。
【0107】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、前駆体およびポリマーを含み、ここで、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも5元素重量%は、金属である。特定の実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも10元素重量%は、金属である。具体的な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも15元素重量%は、金属である。より具体的な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも20元素重量%は、金属である。具体的な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも25元素重量%は、金属である。さらにより具体的な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも30元素重量%は、金属である。さらにより具体的な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも35元素重量%は金属である。より具体的な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも40元素重量%は、金属である。様々な実施形態において、前駆体およびポリマーの全質量の少なくとも10元素重量%、少なくとも15元素重量%、少なくとも45元素重量%、少なくとも50元素重量%は、金属である。
【0108】
1つの局面において、流体ストック中の前駆体の濃度は高い。濃度は、任意の適切な濃度である。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度は、約5mM、約10mM、約20mM、約40mM、約60mM、約80mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約500mM、約700mM、約900mM、約1.2M、約1.5M、約2M、約5Mなどである。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度は、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも40mM、少なくとも60mM、少なくとも80mM、少なくとも100mM、少なくとも150mM、少なくとも200mM、少なくとも250mM、少なくとも300mM、少なくとも350mM、少なくとも400mM、少なくとも500mM、少なくとも700mM、少なくとも900mM、少なくとも1.2M、少なくとも1.5M、少なくとも2M、少なくとも5Mなどである。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度は、最大で5mM、最大で10mM、最大で20mM、最大で40mM、最大で60mM、最大で80mM、最大で100mM、最大で150mM、最大で200mM、最大で250mM、最大で300mM、最大で350mM、最大で400mM、最大で500mM、最大で700mM、最大で900mM、最大で1.2M、最大で1.5M、最大で2M、最大で5Mなどである。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の濃度は、5mM〜5mM、20mM〜1M、100mM〜700mM、100mM〜300mMなどである。
【0109】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、以下の(i)、(ii)および(iii)によって調製される。
(i)第1の組成物を形成するために、第1の流体(例えば、水、または別の水性媒体)に前駆体を溶解または分散させること
(ii)第2の組成物を形成するために、第2の流体(例えば、水、または別の水性媒体)にポリマーを溶解または分散させること
(iii)流体ストックを形成するために第1および第2の組成物の少なくとも一部を合わせること
【0110】
(前駆体)
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属前駆体は、本明細書中に記載される流体ストック中に存在していてもよく、本明細書中に記載される前駆体ナノファイバー中に存在していてもよく、本明細書中に記載される電界紡糸の方法(又はプロセス)などにおいて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、前駆体は、金属、セラミック、または金属酸化物(金属酸化物セラミックなど)に変換可能な任意の分子(単数または複数)である。多くの場合において、金属前駆体は、前駆体(例えば、前駆体/ポリマーのナノファイバー中に存在する前駆体)の処理の際、必要に応じて、金属(例えば、単一の金属、金属アロイ)、金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)またはセラミック(例えば、金属酸化物またはそれ以外)へと変換される。いくつかの実施形態において、前駆体は、ポリマーと会合する分子(単数または複数)(本明細書中に記載されるものなど)である。いくつかの実施形態において、前駆体は、ポリマーに沿って、または流体ストック内で実質的に均一に分布する分子(単数または複数)である。いくつかの実施形態において、流体ストック中の前駆体の増加した重量比ならびに流体ストックにおける前駆体の均一な分布によって、少ない空隙および/または欠陥を有する高品質のナノファイバーが得られる(例えば、重量比がさらに低いか、あるいは流体ストックが均一でないナノファイバーと比較する場合)。
【0111】
本明細書中において記載されるものは、前駆体であり、前駆体は特定の特徴を有し、前駆体は、本明細書中に開示される方法に従って調製され、前駆体は、本明細書中に開示される方法によって調製可能であり、前駆体は、本明細書中に開示されるリガンドを含み、前駆体は、本明細書中に開示される金属を含み、そして前駆体は、本明細書中に開示される方法およびシステムに適しているものである。また、本明細書中に開示されるものは、ナノファイバーを製造するために前駆体を使用する方法であり、ナノファイバーが(前駆体ナノファイバー)を含むこと、および/または前駆体(例えば、金属、金属酸化物、セラミックを含むナノファイバー)によって調製されることなどを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、前駆体は、少なくとも1つのリガンドと会合する化合物を含む金属である。特定の実施形態において、金属−リガンドの会合(これは、本明細書中、「金属−リガンドの錯体」と互換可能で使用される)は、任意の適切な種類の結合または相互作用によって会合する。具体的な実施形態において、金属−リガンドの会合(金属−リガンドの錯体)における金属とリガンドとの間の相互作用は、イオン結合(例えば、カチオン金属−アニオンリガンドの塩)、共有結合、金属−リガンドの錯体(例えば、リガンドと金属との間の配位錯体)などである。いくつかの場合、本明細書中に記載される前駆体は、他のリガンドの代わりに、または他のリガンドに加えて、ポリマーと会合する(このような化合物は、金属−リガンドの会合であったと考えられることが意図される(さらなるリガンドは、存在しても存在しなくてもよい))。
【0113】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される前駆体は、リガンドと会合し、ポリマーと全く会合しない金属化合物(例えば、MLであり、式中、本明細書中に記載される通り、Mは金属であり、Lは、1以上のリガンドであり、bは、適切な数であり、例えば、少なくとも1の数、例えば1〜10である);ポリマーと会合し、必要に応じて、リガンドと会合する金属化合物(例えば、P−MLb−1であり、MLb−1は、ポリマー(P)と会合する第2の前駆体である;b>1の場合、リガンドを有する;1以上のポリマーと会合し、必要に応じてリガンドと会合する金属化合(例えば、P−MLb−2−Pであり、b>2の場合、リガンドを有する)である。
【0114】
いくつかの実施形態において、前駆体は、ナノファイバーと必要に応じて金属とを含む材料と実質的に同一の分子である。いくつかの実施形態において、前駆体は、ナノファイバーを含む材料に変換可能である。前駆体は、本明細書中に開示される焼成の手順を行うことによって変換される。例えば、いくつかの実施形態において、リガンドとの錯体である金属前駆体は、酸化条件および熱を用いることによって、金属酸化物ナノファイバーへと変換される。別の例において、リガンドとの錯体である金属の前駆体は、還元条件での焼成および熱によって、金属ナノファイバーに変換される。さらに別の例において、リガンドとの錯体である金属の前駆体は、不活性条件での焼成および熱によって、金属ナノファイバーに変換される。他の実施形態において、これらの方法は、熱なしで行われてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態において、純粋な金属またはセラミックナノファイバーは、魅力的な特性(高い伝導率など)を有し、例えば、バッテリ、ウルトラキャパシタ、ソーラーセルなどのデバイスにおいて使用される。また、いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、表面積/容量の比が高いことから、触媒の分野においても有用である。いくつかの実施形態において、前駆体は、金属を含む。様々な場合において、金属は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ポスト遷移金属、タンタニド、またはアクチニドである。遷移金属としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、ラザホジウム(Rf)、ドブニウム(Db)、シーボーギウム(Sg)、ボーリウム(Bh)、およびハッシウム(Hs)が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)が挙げられる。アルカリ土類金属としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、およびラジウム(Ra)が挙げられる。ポスト−遷移金属としては、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、およびビスマス(Bi)が挙げられる。タンタニドとしては、周期表の原子番号57〜71の元素が挙げられる。アクチニドとしては、周期表の原子番号89〜103の元素が挙げられる。さらに、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)およびポロニウム(Po)が、本発明の開示の目的にあう金属であると考えられる。いくつかの実施形態において、シリコンが、シリコンナノファイバーを製造するために、本明細書中に記載される方法において使用される。具体的な実施形態において、前駆体の金属は、遷移金属である。いくつかの具体的な実施形態において、前駆体の金属は、シリコンである。他の具体的な実施形態において、前駆体の金属は、シリコンではない。さらなる実施形態または代替の実施形態において、前駆体の金属は、アルミニウムである。他の具体的な実施形態において、前駆体の金属は、アルミニウムではない。いくつかの実施形態において、前駆体は、少なくとも2つの異なる金属を含む。
【0116】
具体的な実施形態において、金属は、アルカリ金属である。他の具体的な実施形態において、金属は、アルカリ土類金属である。さらに他の実施形態において、金属は、遷移金属である。さらに具体的な実施形態において、金属は、第IV周期の遷移金属である。他の具体的な実施形態において、金属は、第V周期の遷移金属である。いくつかの実施形態において、金属は、XIII族の金属である。特定の実施形態において、金属は、XIV族の金属である。特定の実施形態において、金属は、メタロイドである。具体的な実施形態において、金属は、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、パラジウム、銀、カドミウム、スズ、バリウム、ハフニウム、タングステン、鉛などである。
【0117】
具体的な実施形態において、前駆体は、少なくとも2つの前駆体(すなわち、少なくとも第1および第2の前駆体)を含み、各前駆体は、他の前駆体と比べて、異なる金属を含む具体的な実施形態において、少なくとも1つの金属は、シリコンである。他の具体的な実施形態において、少なくとも1つの金属はアルミニウムである。さらに他の実施形態において、少なくとも1つの金属は、ジルコニウムである。いくつかの実施形態において、第1の前駆体の金属は、シリコン、アルミニウムまたはジルコニウムであり、第2の前駆体の金属は、シリコン、アルミニウムまたはジルコニウムではない。
【0118】
具体的な実施形態において、金属前駆体は、金属−リガンドの会合(錯体)(例えば、配位錯体)であり、各金属前駆体は、1以上のリガンド(単数または複数)と会合(錯体化)する金属原子(単数または複数)を含む)(例えば、1〜10、2〜9、または任意の適切な数のリガンド)。具体的な実施形態において、本明細書中に記載される前駆体は、少なくとも2つの異なる種類のリガンド(例えば、少なくとも1つのアセテートおよび少なくとも1つのハライド)を含む。いくつかの実施形態において、前駆体は、金属カルボキシレート(例えば、−OCOCHまたは別の−OCOR基、式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールなど)である。具体的な実施形態において、前駆体は、リチウムアセテート、ベリリウムアセテート、ナトリウムアセテート、マグネシウムアセテート、アルミニウムアセテート、シリコンアセテート、カリウムアセテート、カルシウムアセテート、チタニウムアセテート、バナジウムアセテート、クロムアセテート、マンガンアセテート、鉄アセテート、コバルトアセテート、ニッケルアセテート、銅アセテート、亜鉛アセテート、ガリウムアセテート、ゲルマニウムアセテート、ジルコニウムアセテート、パラジウムアセテート、銀アセテート、カドミウムアセテート、スズアセテート、バリウムアセテート、ハフニウムアセテート、タングステンアセテート、鉛アセテートなどである。特定の実施形態において、前駆体は、金属ニトレートである。具体的な実施形態において、前駆体は、リチウムニトレート、ベリリウムニトレート、ナトリウムニトレート、マグネシウムニトレート、アルミニウムニトレート、シリコンニトレート、カリウムニトレート、カルシウムニトレート、チタンニトレート、バナジウムニトレート、クロムニトレート、マンガンニトレート、鉄ニトレート、コバルトニトレート、ニッケルニトレート、銅ニトレート、亜鉛ニトレート、ガリウムニトレート、ゲルマニウムニトレート、ジルコニウムニトレート、パラジウムニトレート、銀ニトレート、カドミウムニトレート、スズニトレート、バリウムニトレート、ハフニウムニトレート、タングステンニトレート、鉛ニトレートなどである。いくつかの実施形態において、前駆体は、金属アルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシド、イソプロピルオキシド、t−ブチルオキシドなど)である。具体的な実施形態において、前駆体は、リチウムアルコキシド、ベリリウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、カリウムアルコキシド、カルシウムアルコキシド、チタンアルコキシド、バナジウムアルコキシド、クロムアルコキシド、マンガンアルコキシド、鉄アルコキシド、コバルトアルコキシド、ニッケルアルコキシド、銅アルコキシド、亜鉛アルコキシド、ガリウムアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、パラジウムアルコキシド、銀アルコキシド、カドミウムアルコキシド、スズアルコキシド、バリウムアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、タングステンアルコキシド、鉛アルコキシドなどである。いくつかの実施形態において、前駆体は、金属ハライド(例えば、クロリド、ブロミドなど)である。具体的な実施形態において、前駆体は、リチウムハライド、ベリリウムハライド、ナトリウムハライド、マグネシウムハライド、アルミニウムハライド、シリコンハライド、カリウムハライド、カルシウムハライド、チタンハライド、バナジウムハライド、クロムハライド、マンガンハライド、鉄ハライド、コバルトハライド、ニッケルハライド、銅ハライド、亜鉛ハライド、ガリウムハライド、ゲルマニウムハライド、ジルコニウムハライド、パラジウムハライド、銀ハライド、カドミウムハライド、スズハライド、バリウムハライド、ハフニウムハライド、タングステンハライド、などである。特定の実施形態において、前駆体は、ジケトン(例えば、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなど)である。具体的な実施形態において、前駆体は、リチウムジケトン、ベリリウムジケトン、ナトリウムジケトン、マグネシウムジケトン、アルミニウムジケトン、シリコンジケトン、カリウムジケトン、カルシウムジケトン、チタンジケトン、バナジウムジケトン、クロムジケトン、マンガンジケトン、鉄ジケトン、コバルトジケトン、ニッケルジケトン、銅ジケトン、亜鉛ジケトン、ガリウムジケトン、ゲルマニウムジケトン、ジルコニウムジケトン、パラジウムジケトン、銀ジケトン、カドミウムジケトン、スズジケトン、バリウムジケトン、ハフニウムジケトン、タングステンジケトン、鉛ジケトンなどである。
【0119】
いくつかの実施形態において、前駆体は、前駆体の混合物または組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、金属前駆体の混合物を使用して、金属アロイナノファイバーを形成する。いくつかの実施形態において、金属アロイナノファイバーは、金属のアロイである前駆体から作製される。例示の金属のアロイには、CdSe、CdTe、PbSe、PbTe、FeNi(パームアロイ)、Fe−Pt金属間化合物、Pt−Pb、Pt−Pd、Pt−Bi、Pd−Cu、およびPd−Hfが挙げられる。
【0120】
(リガンド)
本明細書中に記載される通り、本発明で使用される金属前駆体は、概して、金属を含み、これは、リガンドと会合する。リガンドは、任意の適切な方法(例えば、イオン(結合)、共有(結合)、配位(結合)、錯体、接合(又はコンジュゲーション)または任意の他の適切な会合で金属と会合する。
【0121】
いくつかの実施形態において、前駆体分子は、流体ストックにおいて、高い溶解度を有していない(例えば、必要に応じて、水性の流体ストックにおいて、高い溶解度を有していない)。いくつかの場合において、乏しい溶解度の前駆体によって、(a)流体ストック中における前駆体の増加した重量比、および(b)流体ストック中における前駆体の実質的に均一な分布を達成することが困難となり得る。いくつかの実施形態において、前駆体は、可溶化される。いくつかの実施形態において、前駆体分子は、金属原子を含み、これは、溶媒和する分子と会合する(すなわち、リガンドであり、これによって、流体の媒体(例えば、水)における金属前駆体の溶解度および/または分散性が改善される。いくつかの実施形態において、第1の前駆体は、流体(例えば、水)に添加され得るが、流体中に第2の前駆体を形成する(例えば、流体ストックのポリマーとの溶媒和物および/または会合物)。必要に応じて、溶媒和する分子は、ポリマーのモノマーに実質的に同様である(例えば、リガンドは、アセテートであり、ポリマーは、ポリビニルアセテートである)。いくつかの実施形態(例えば、ポリマーが流体ストックに可溶性である場合)、前駆体の溶解度および均一な分布が、溶媒和する分子を前駆体およびポリマーの両方に会合させることによって達成される。
【0122】
いくつかの実施形態において、溶媒和する分子は、リガンドである。リガンドは、必要に応じて水溶液中、必要に応じて流体ストック中において、金属の可溶化、または金属の分散性の向上に適切である。本明細書の開示は、第1の溶液中において、前駆体の第1の可溶化または分布によるより均一な流体ストックの達成を含む。いくつかの実施形態において、溶媒和する分子またはリガンドによって、また、第1の流体(例えば、分散液または溶液)(すなわち、これは、少なくとも1つの第2の溶液と混合されて、流体ストックを形成するもの)において、前駆体の溶解度または分散性が向上する。
【0123】
いくつかの実施形態は、金属をリガンドと会合させることによって前駆体を可溶化すること、必要に応じて金属をリガンドと錯体化することを含む。いくつかの実施形態において、前駆体は、本明細書中において述べられる通り、金属−リガンドの会合を含む(例えば、錯体)。いくつかの場合において、リガンドは、本明細書中において、金属と会合する「分子」と呼ばれる。金属と、リガンドまたは分子との間の会合は、必要に応じて、化学結合(例えば、共有結合)、イオン結合、接合(またはコンジュゲーション)または配位錯体である。いくつかの実施形態において、前駆体は、金属−リガンドの錯体である。
【0124】
溶媒和する分子またはリガンドと、前駆体との間の会合は、任意の物理的、化学的または化学の分野で公知の電磁気的な力である。会合の例は、化学結合である。結合の例は、共有結合、非共有結合、イオン結合、水素結合などである。会合の更なる例は、親水性の相互作用および疎水性の相互作用である。当業者は、多くの他の種類の相互作用または会合を知っていて、これらが用いられ得る(例えば、前駆体と、溶媒和する分子またはリガンドとの間のルイス酸−ルイス塩基の相互作用)。この実施形態において、リガンドは、概して、「ルイス塩基」であり、これは、ルイス酸と共有する電子対を供給するものであることを意味する。
【0125】
いくつかの実施形態において、会合は、金属−リガンドの配位錯体である。また、金属−リガンドの配位錯体は、「金属錯体」または「キレーション錯体」としても知られている。これらの錯体は、概して、中心原子またはイオン(通常は金属性である)を含み、分子またはアニオンの包囲アレイに結合し、これは、同様に、リガンドまたは錯化剤としても知られている。そもそも、金属を含む大半の化合物は、配位錯体から構成される。金属とリガンドとの間の会合は、様々な実施形態において、強いか弱い。
【0126】
1金属原子あたり任意の適切な数のリガンドが存在する(例えば、必要に応じて、溶媒和するのに適した数、すなわち金属の溶解度または分散性を増加させる数)。1金属原子あたりのリガンドの数は、「配位数」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、配位数は、2〜9である(ML化合物では、配位数はbである)。タンタニドおよびアクチニドについて、リガンドの大きな数は、異常ではない。様々な実施形態において、結合の数は、金属イオンおよびリガンドの寸法、電荷および電子の配置に依存する。金属イオンは、1以上の配位数を有していてもよい(例えば、金属の配位状態に依存する)。
【0127】
いくつかの例において、各金属原子については、少なくとも2つのリガンド分子が存在する。他の例において、1つの金属原子あたり少なくとも3つのリガンドが存在する。いくつかの実施形態において、前駆体は、リガンドで本質的に飽和されている。より多くのリガンドを金属に連続して処理することによって、および分析化学の当業者に公知の任意の適切な方法によって錯体化されるリガンドの量を決定することによって、前駆体がリガンドで本質的に飽和されているかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態において、より長い時間を連続して待つこと、および分析化学の当業者に公知の任意の適切な方法によって錯体化されるリガンドの量を決定することによって、前駆体がリガンドで本質的に飽和されているかどうかを決定する。いくつかの場合において、連続してより多くの量のリガンドで、または連続してより長い時間で、リガンドがもはや金属前駆体と錯体化しない場合、前駆体が実質的に飽和されることが決定され得る。
【0128】
1つの例において、リガンドはアセテートである。いくつかの実施形態において、前駆体分子は、金属アセテートであり、ポリマーは、ポリビニルアセテートである。別の実施形態において、前駆体分子は、金属アセテートであり、ポリマーは、ポリビニルアルコールである。
【0129】
当業者に公知の多くのリガンドが存在し、これらのいずれもが利用される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される前駆体は、1以上のリガンドを含み、リガンドは、ケトン、ジケトン(例えば、1,3−ジケトン、例えば、ROCCHR’COR基であって、式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールであり、R’は、RまたはHである)、カルボキシレート(例えば、アセテートまたは−OCOR基であって、式中、各Rは,独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールである)、ハライド、ニトレート、アミン(例えば、NR’であって、式中、各R’’は、独立して、RまたはHであり、あるいは2つのR’’が、一緒になって、ヘテロ環またはヘテロアリールを形成する)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。更なる例は、ヨージド、ブロミド、スルフィド(例えば、−SR)、チオシアネート、クロリド、ニトレート、アジド、フルオリド、ヒドロキシド、オキサレート、水、ニトライト(例えば、RN)、イソチオシアネート、アセトニトリル、ピリジン、アンモニア、エチレンジアミン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ニトライト、トリフェニルホスフェート、シアニド、一酸化酸素、またはアルコオキシドを含む。いくつかの例において、前駆体は、金属錯体である(例えば、金属アセテート、金属ハライド(例えば、金属クロリド)、金属ニトレート、または金属アルコオキシド(例えば、メトキシドまたはエトキシド)である。
【0130】
様々な実施形態において、金属および/またはセラミックの前駆体は、リガンドと会合(錯体化)した金属原子である。例示の金属および/またはセラミックの前駆体としては、ニッケルアセテート、銅アセテート、鉄アセテート、ニッケルニトレート、銅ニトレート、鉄アルコオキシドなどが挙げられる。
【0131】
また、本明細書の開示は、リガンドの組み合わせの使用を含む。1つの例において、第1のリガンドは、増加した溶解度を前駆体に与え、その一方で、第2のリガンドは、好ましくは、ポリマーと会合する。
【0132】
(ポリマー)
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるポリマー(例えば、方法(又はプロセス)、前駆体ナノファイバー、流体ストックなどにおいて)は、複数の反応性部位を含むポリマー(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー)である。特定の実施形態において、反応性部位は、求核性(すなわち、求核性ポリマー)または求電子性(すなわち、求電子性ポリマー)である。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される求核性ポリマーは、複数のアルコール基(例えば、ポリビニルアルコール−PVA−またはセルロース)、エーテル基(例えば、ポリエチレンオキシド−PEO−またはポリビニルエーテル−PVE)および/またはアミン基(例えば、ポリビニルピリジン、((ジ/モノ)アルキルアミノ)アルキルアルクアクリレートなど)を含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、ポリマーを含む流体ストックおよび/またはポリマーを含む流体ストックを電界紡糸することを含む方法である。本明細書中に記載される方法は、必要に応じて、水性の流体ストックを利用する。いくつかの用途において、例えば、有機溶媒に関連する潜在的な健康上、環境上または安全上の問題を回避したい場合、水系の方法が望ましい。本明細書中に記載されるように、いくつかの実施形態において、均質な流体ストックを電界紡糸することに利点がある。いくつかの実施形態において、流体ストックは、均質である(例えば、水溶性ポリマーを含むもの)。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物および方法において使用されるポリマーは、親水性ポリマーであり、これには、水溶性および水膨潤性のポリマーが含まれる。いくつかの局面において、ポリマーは、水に可溶性であり、これは、水中で溶液を形成することを意味する。他の実施形態において、ポリマーは、水中に膨潤性であり、これは、ポリマーに水を添加したときにポリマーの容量が限界まで増加することを意味する。水溶性または水膨潤性のポリマーは、概して、少なくともいくらか親水性である。本発明の方法に適切な例示のポリマーとしては、ポリビニルアルコール(「PVA」)、ポリビニルアセテート(「PVAc」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール酸、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)、エチルセルロース、セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ポリイソシアネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリマーは、生物学的な材料から単離される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、スターチ、キトサン、キサンタン、寒天、ガーガムなどである。
【0135】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、ナノファイバーを電界紡糸するために、適切な伸長粘度を流体ストックに与える。いくつかの実施形態において、低いせん断粘度によって、玉状のナノファイバーがもたらされる。1つの局面において、流体フィードにおける前駆体の均一な分布は、適切に高い伸長粘度を維持するのに役立つ。
【0136】
粘度は、せん断応力または引張応力のいずれかによって変形されている流体の抵抗の測定(値)である。粘度は、ポアズの単位で測定される。様々な実施形態において、ポリマーまたは流体ストックの粘度は、会合した前駆体あり、または会合した前駆体なしで測定される。ポリマーまたは流体ストックは、任意の適切な伸長粘度を有する。いくつかの実施形態において、ポリマーまたは流体ストックの伸長粘度は、約10ポアズ、50ポアズ、約100ポアズ、約200ポアズ、約300ポアズ、約400ポアズ、約500ポアズ、約600ポアズ、約800ポアズ、約1000ポアズ、約1500ポアズ、約2000ポアズ、約2500ポアズ、約3000ポアズ、約5000ポアズなどである。いくつかの実施形態において、ポリマーまたは流体ストックの伸長粘度は、少なくとも50ポアズ、少なくとも100ポアズ、少なくとも200ポアズ、少なくとも300ポアズ、少なくとも400ポアズ、少なくとも500ポアズ、少なくとも600ポアズ、少なくとも800ポアズ、少なくとも1000ポアズ、少なくとも1500ポアズ、少なくとも2000ポアズ、少なくとも2500ポアズ、少なくとも3000ポアズ、少なくとも5000ポアズなどである。いくつかの実施形態において、ポリマーまたは流体ストックの伸長粘度は、最大で50ポアズ、最大で100ポアズ、最大で200ポアズ、最大で300ポアズ、最大で400ポアズ、最大で500ポアズ、最大で600ポアズ、最大で800ポアズ、最大で1000ポアズ、最大で1500ポアズ、最大で2000ポアズ、最大で2500ポアズ、最大で3000ポアズ、最大で5000ポアズなどである。いくつかの実施形態において、ポリマーまたは流体ストックの伸長粘度は、約100〜3000ポアズ、または約1000〜5000ポアズなどである。
【0137】
分子量は、ポリマーを含むモノマーの質量および重合の程度に関連する。いくつかの実施形態において、分子量は、粘度に影響を与える因子である。ポリマーは、任意の適切な分子量を有する。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、少なくとも20,000原子質量単位(「amu」)、少なくとも50,000amu、少なくとも100,000amu、少なくとも200,000amu、少なくとも300,000amu、少なくとも400,000amu、少なくとも500,000amu、少なくとも700,000amu、または少なくとも1,000,000amuなどである。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、最大で20,000amu、最大で50,000amu、最大で100,000amu、最大で200,000amu、最大で300,000amu、最大で400,000amu、最大で500,000amu、最大で700,000amu、または最大で1,000,000amuなどである。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約20,000amu、約50,000amu、約100,000amu、約200,000amu、約300,000amu、約400,000amu、約500,000amu、約700,000amu、または約1,000,000amuなどである。さらに他の実施形態において、ポリマーの分子量は、約50,000amu〜約1,00,000amu、約100,000amu〜約500,000amu、約200,000amu〜約400,000amu、または約500,000amu〜約1,00,000amuなどである。
【0138】
多分散指数(「PDI」)は、所定のポリマーサンプル中の分子の質量の分布の測定(値)である。PDIは、重量平均分子量を数平均分子量で除算したものであり、これは、ポリマーサイエンスの当業者に公知の式によって計算される。ポリマーは、任意の適切な多分散指数を有する。いくつかの実施形態において、ポリマーの多分散指数は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20などである。いくつかの実施形態において、ポリマーの多分散指数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20などである。いくつかの実施形態において、ポリマーの多分散指数は、最大で1、最大で2、最大で3、最大で4、最大で5、最大で6、最大で7、最大で8、最大で9、最大で10、最大で15、最大で20などである。いくつかの実施形態において、ポリマーの多分散指数は、約1〜約10、約2〜約5などである。
【0139】
本明細書の開示は、ポリマーを含み、ポリマーは、本明細書中に開示される特徴を有するポリマーを含み、本明細書中に開示される方法に従って調製されるポリマーを含み、本明細書中に開示される方法によって調製することができるポリマーを含み、本明細書中に開示される前駆体を含むポリマーを含み、そして、本明細書中に開示される方法およびシステムに適したポリマーを含む。また、本発明の開示は、かかるポリマーを使用するための方法などを含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、ポリマーの混合物または組み合わせを含む。例えば、いくつかの実施形態において、第1のポリマーは、第1の前駆体に結合し、第2のポリマーは、第2の前駆体に結合する(例えば、前駆体ナノファイバーの処理の後にコンポジットナノファイバーを形成する)。別の実施形態において、第1のポリマーは、多くの量の前駆体と会合し、第2のポリマーを選択し、電界紡糸されるときに、高品質のナノファイバーを形成する(例えば、伸長粘度)。いくつかの実施形態において、流体ストックは、高い前駆体ローディングポリマーおよび高度に紡糸可能なポリマーを含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、流体ストックは、コポリマーを含み、これはブロックコポリマーを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーは、少なくとも1つのビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、エチレンオキシド、ジメチルアクリルアミドおよび/またはポリアクリルアミドブロックを含む。いくつかの実施形態において、コポリマーの様々なブロックは、様々な前駆体と会合する。1つの例において、第1のポリマーブロックは、ニッケル前駆体と会合し、第2のポリマーブロックは、鉄前駆体と会合する(例えば、これらの各ポリマーの会合のブロックの分布に対応して、鉄のナノドメインが散在したニッケルのナノドメインを有する前駆体ナノファイバーの処理の後にコンポジットナノファイバーを形成する)。いくつかの実施形態において、このようなナノファイバーは、ニッケル−鉄アロイナノファイバーとは異なる特性を有する(すなわち、ニッケルおよび鉄が分子レベルで実質的に均一に混合される)。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、第1の材料および第2の材料を含むナノコンポジットのナノファイバーである。具体的な実施形態において、第1の材料は、連続マトリクス材料である。さらなる実施形態または代替の実施形態において、第2の材料によって、ナノファイバーの別個の分離したドメインが作製される(例えば、ナノファイバーの表面において)。いくつかの実施形態において、第1の材料は、セラミックまたは金属酸化物である(例えば、連続マトリクスを形成する)。特定の実施形態において、第2の材料は、金属である。
【0142】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、電界紡糸の後にナノファイバーから除去される(例えば、本明細書中に開示される焼成の方法による)。いくつかの実施形態において、焼成によって、ポリマーは分解する。いくつかの実施形態において、流体ストックは、分解性ポリマーを含む(例えば、本明細書中に開示される焼成の方法によって除去が可能なポリマー)。ポリマーは、必要に応じて、分解されるか、あるいは任意の適切な手段(熱分解、化学分解、昇華、蒸発などが挙げられるが、これらに限定されない)によって除去される。いくつかの実施形態において、より小さな分子量のポリマーは、蒸発または昇華によって、より簡単に除去される。
【0143】
(ポリマー−前駆体の会合)
いくつかの実施形態において、前駆体をポリマーと会合させることによって、流体ストック中において少なくとも1つの高い割合の前駆体および流体ストック中において前駆体の均一な分布が達成される。いくつかの場合において、この会合によって、ナノファイバーにおける空隙または欠陥の量が減少する。いくつかの実施形態において、前駆体をポリマーと会合させることによって、流体ストック中の1以上の前駆体およびポリマーの溶解度が増加する。本明細書の開示は、ポリマーと会合した前駆体を含み、前駆体をポリマーと会合させるための方法を含む。
【0144】
いくつかの場合において、ポリマーの部位(例えば、ヒドロキシル、アミン、エーテルなど)は、前駆体のリガンドを移動または置換させてもよい(すなわち、第1の前駆体を第2の前駆体に変換させること)。他の場合において、ポリマーの部位は、直接、リガンドと反応してもよい(例えば、ポリマーの求核性基は、リガンドの求電子性基と反応してもよいか、あるいは逆もまた然りである)。図2Aは、1つのメカニズムを示し、これによって、ポリマーは、前駆体と会合してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態において、前駆体は、流体ストック中でポリマーと会合する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、前駆体のポリマーとの会合を利用して流体ストックを提供する。ここで、前駆体は、流体ストック中で均一に分散される。様々な実施形態において、流体ストックは、溶液または実質的に均一な分散液のままである(例えば、一部では、流体ストックにおいて、前駆体がポリマーと会合するからである)。様々な実施形態において、この会合は、前駆体とポリマーとの間の物理的、化学的、または電磁気的な力である。会合の例は、化学結合である。結合の例は、共有結合、非共有結合、イオン結合、水素結合などである。会合のさらなる例は、親水性の相互作用および疎水性の相互作用である。他の種類の適切な相互作用または会合は、前駆体とポリマーとの間でのルイス酸−ルイス塩基の相互作用である。いくつかの実施形態において、会合は、金属リガンド錯体である。
【0146】
いくつかの実施形態において、ポリマー鎖に沿うモノマーによって、前駆体が会合する部位が提供される。いくつかの実施形態において、これらの部位は、化学基であり、これには、ヒドロキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、エステル、アミン、カルボキシアミン、イミン、ニトレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、基は、炭化水素、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リンなどを含む。当業者は、化学基について、よく知っている。また、化学基は、「官能基」としても知られている。いくつかの実施形態において、前駆体は、化学結合によって、ポリマーの化学基と会合する。
【0147】
いくつかの局面において、ポリマーは、複数の部分を含む。いくつかの実施形態において、これらの部分は、化学基であり、必要に応じて、ポリマー鎖に沿って結合するモノマーの化学基である。いくつかの実施形態において、この部分は、前駆体と錯体化するか、または前駆体と結合し、金属を含む。いくつかの実施形態において、この部分は、金属−リガンドの前駆体のリガンドを移動させる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリマー分子1つあたり、平均で少なくとも100個の官能基、化学基、または部分を含み、これらは、前駆体と会合可能である(例えば、必要に応じて、金属前駆体と会合可能である)。
【0148】
1つの例において、前駆体は、鉄アセテート(金属−リガンドの錯体)であり、ポリマーは、ポリビニルアルコールである。この例において、この部分または官能基は、アルコール基である。ポリマーは、その骨格に沿って複数のアルコール基を有し、これらは鉄アセテートとの会合に適している。この例において、アセテートは、アルコール基に結合するか(一方で、まだ鉄と錯体化している)、あるいはアルコール基が、アセテートリガンドを移動させて、直接、鉄と会合するかのいずれかである。
【0149】
いくつかの実施形態において、ポリマーに会合するか、またはポリマーにローディングされる前駆体の量は多い。いくつかの実施形態において、より多くのローディングは、ポリマー中の官能基の数に関連する(これは、一部では、ポリマーの分子量および官能基の濃度に依存する)。いくつかの場合において、より多くの官能基によって、前駆体には、より多くの部位が提供されて会合し、それによって、より多くの前駆体のローディングが可能となる。
【0150】
いくつかの場合において、ポリマーと会合する前駆体の量は、少なくとも部分的に前駆体1つあたりのリガンドの数によって決定される。いくつかの実施形態において、金属1つあたり、より多くのリガンドによって、ポリマーの官能基と会合するリガンドの可能性が増加する。1つの例において、前駆体において、アルミニウム1つあたり、3つのアセテートリガンドが存在する。
【0151】
いくつかの実施形態において、ポリマーが前駆体分子で本質的に飽和されていて、これは、実施的に、もはや前駆体がポリマーとは会合しないことを意味する。いくつかの実施形態において、飽和は、過剰の前駆体をポリマーに添加し、前駆体からポリマーを分離し、ポリマーに結合している前駆体の量がどれくらいであるかを決定することによって決定される。前駆体の量は、分析化学の分野で公知の任意の適切な技術を用いて測定される。いくつかの場合において、分離の後、当業者は、会合していない前駆体の量、ポリマーと会合した前駆体の量、または会合していない前駆体の量とポリマーと会合した前駆体の量の両方を決定する。この性質の試験は、漸次、流体ストックにより多くの前駆体を添加し、もはや前駆体がポリマーに結合せず、前駆体が過剰量で存在し、ポリマーが飽和していることを示すまで行われる。いくつかの場合において、測定は、漸次、前駆体とポリマーとの間の接触が長い時間の期間にわたって行われるほど、より長い時間において、もはや前駆体がポリマーと会合せずに、ポリマーが前駆体で飽和されていることを確かめる。飽和を決定するための別の適切な方法は、会合の化学量論を計算することである。例えば、いくつかの場合において、流体ストック中のポリマーの化学基のモル数と、これらの官能基と会合する前駆体分子のモル数とを比較する。1つの前駆体が1つの化学基と会合する場合、前駆体のモル数が、化学基のモル数と実質的に等しい場合、ポリマーは飽和である。
【0152】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、任意の適切なレベルにまで、前駆体で飽和される。いくつかの場合、ポリマーの様々なサンプルは、前駆体の飽和のレベルの分布を有する。個々のポリマーのサンプルは、従って、前駆体の飽和の平均を超えるか、それよりも小さくなる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、前駆体によって平均で100%未満の飽和である。例えば、ポリマーは、平均で、少なくとも20%、少なくとも少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の飽和である。いくつかの場合、ポリマーは、平均で、約50%〜100%、約70%〜100%、約90%〜100%、約50%〜90%、約60%〜80%、約20%〜50%の飽和である。
【0153】
この開示の目的のために、ポリマータイプとの記載(例えば、PVA)は、前駆体と会合しない場合、ならびに前駆体と会合する場合、このようなポリマーを含むことが意図されることが理解されるべきである(ポリマーが前駆体と会合する上記の場合において、ポリマーは、反応/会合の後に残るポリマーの残基を指す)。例えば、PVAが前駆体MLと組み合わされる場合、PVAとの記載は、P−OHタイプの会合していないポリマー(部分的または完全にイオン化された形態を含む)、および会合したP−O−MLb−1タイプ(ここで、「PVA」との記載は、P−O部分を指し、MLb−1は、MLの排除またはMLの添加で存在し得る前駆体を指し、ML前駆体がPVAにローディングされるか、またはPVAと会合する程度に依存する)の記載を含む。
【0154】
(ナノファイバー)
本明細書中の特定の実施形態中に提供されるものは、ナノファイバーであり、例えば、本明細書中に開示される任意の1以上の特徴を有するナノファイバー、本明細書中に開示される方法に従って調製されるナノファイバー、および本明細書中に記載される方法によって調製可能なナノファイバーである。また、本明細書中において提供されるものは、ナノファイバーを使用するための方法、ナノファイバーを含むデバイスなどである。
【0155】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーの欠陥および/または空隙は少ない。いくつかの場合において、ナノファイバーの空隙および欠陥は、ナノファイバーの破断、直径がとても小さくて容易に破断するようなナノファイバーの領域(例えば、直径が、平均のナノファイバーの直径の10%未満または5%未満の領域)、ナノファイバー材料が異常なモルホロジーを有するナノファイバーの領域(例えば、実質的にアモルファスのナノファイバーにおける結晶性のドメイン−このような結晶性のドメインは、ナノファイバーの破砕および脆性を増加させ得る)などを含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの直線1mmあたり、約1、約5、約10、約50、約100などの欠陥が存在する。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの直線1mmあたり、最大で約1、最大で約5、最大で約10、最大で約50、最大で約100などの欠陥が存在する。他の実施形態において、ナノファイバーの欠陥および/または空隙はさらに少なく、ここで、ナノファイバーにおける欠陥および/または空隙の数は、開示の方法によって製造されていないナノファイバー(例えば、少ないローディングの前駆体)との比較である。
【0156】
(金属ナノファイバー)
本明細書中において様々な実施形態において提供されるものは、純粋な金属のナノファイバー、金属を含むナノファイバー、または実質的に金属から構成されるナノファイバーである。純粋な金属のナノファイバーは、金属の任意の適切な割合の組成を有する。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で、約99.99%、約99.95%、約99.9%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%などの金属を含む。いくつかの実施形態において、金属ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.95%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%などの金属を含む。他の実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%の金属を含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で少なくとも80%の金属を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で少なくとも90%の金属を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で少なくとも95%の金属を含む。
【0157】
特定の実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、結晶性金属の連続マトリクスを含む。いくつかの場合において、結晶性金属の連続マトリクスは、欠陥が少ないか、または欠陥を全く含まず、金属ナノファイバーの改善された性能を備える(例えば、向上した電気伝導率)。
【0158】
いくつかの実施形態において、金属ナノファイバーは、単一の金属を含む。他の実施形態において、金属ナノファイバーは、2以上の金属を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、金属ナノファイバーであり、これは2以上の金属を含み、かかる金属はアロイの形態である。他の実施形態において、本明細書中において提供されるものは、金属ナノファイバーであり、これは2以上の金属を含み、かかる金属はコンポジットの形態である(例えば、層状のハイブリッドナノファイバー、別個の金属セグメントを有するコンポジット、連続マトリクスを形成する第1の金属およびナノファイバー内で分離されたドメイン中に存在する第2の金属を有するコンポジットなど)。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で10%未満の炭素を含む。特定の実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で7%未満の炭素を含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で5%未満の炭素を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で3%未満の炭素を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で1%未満の炭素を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で5%未満の酸素を含む。特定の実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で3%未満の酸素を含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で2%未満の酸素を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で2%未満の酸素を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で0.5%未満の酸素を含む。
【0160】
図15は、本明細書中の方法に従って調製されたニッケルナノファイバーの元素分析を示す。ナノファイバーの明るい領域および暗い領域(各パネルAおよびB)において、ナノファイバーは、高いニッケル含有量を有することが観察される。ニッケル:酸素:炭素の元素の比は、暗い領域では約64:1:0.25、明るい領域では62:5:0.1であった。
【0161】
金属は、任意の金属であり、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ポスト遷移金属、タンタニドまたはアクチニドが挙げられる。適切な遷移金属としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、ラザホージウム(Rf)、ドブニウム(Db)、シーボーギウム(Sg)、ボーリウム(Bh)およびハッシウム(Hs)が挙げられる。適切なアルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)が挙げられる。適切なアルカリ土類金属としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)が挙げられる。適切なポスト遷移金属としては、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)およびビスマス(Bi)が挙げられる。適切なタンタニドとしては、周期表の原子番号57〜71の元素が挙げられる。適切なアクチニドとしては、周期表の原子番号89〜103の元素が挙げられる。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)およびポロニウム(Po)またはシリコン(Si)が挙げられる。比限定的な例によって、金属ナノファイバーを製造するための特定の方法は、本明細書中に開示され、必要に応じて、還元条件下での焼成を含む。
【0162】
具体的な実施形態において、ナノファイバーは、アルカリ金属を含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、ナノファイバーは、アルカリ土類金属を含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、遷移金属を含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、第IV周期の遷移金属を含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、第V周期の遷移金属を含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、XIII族の金属を含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、XIV族の金属を含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、メタロイドを含む。具体的な実施形態において、ナノファイバーは、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、パラジウム、銀、カドミウム、スズ、バリウム、ハフニウム、タングステン、鉛、それらの組み合わせなどを含む。具体的な実施形態において、ナノファイバーは、シリコンを含む。
【0163】
図3、5、7、8、12、22、23、26、27および28は、前駆体および金属ナノファイバーを示し、これらは、本明細書中において提供されるか、および/または本明細書中に記載される方法に従って調製されるようなものである。図3は、500〜700nmの平均直径を有するニッケル前駆体ナノファイバー301と、ニッケル前駆体ナノファイバー301から、アルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される400〜500nmの平均直径を有するニッケルナノファイバー302とを示す。図3は、また、ニッケルナノファイバー302の結晶X線回折パターン303を示す。図5は、600〜800nmの平均直径を有する銅前駆体ナノファイバー501と、銅前駆体ナノファイバー501からアルゴン/水素の混合物中で2時間で800℃での処理の後に調製される300〜500nmの平均直径を有する銅ナノファイバー502とを示す。図5は、また、銅ナノファイバー502の結晶X線回折パターン503を示す。図7は、900〜1200nmの平均直径を有する銀前駆体ナノファイバー701と、銀前駆体ナノファイバー701から空気中で2時間で600℃での処理の後に調製される600〜800nmの平均直径を有する銀ナノファイバー702とを示す。図7は、また、銀ナノファイバー702の結晶X線回折パターン703を示す。図8は、300〜600nmの平均直径を有する鉄前駆体ナノファイバー801と、鉄前駆体ナノファイバー801からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される200〜500nmの平均直径を有する鉄ナノファイバー802とを示す。図8は、また、鉄ナノファイバー802の結晶X線回折パターン803を示す。図12は、500〜1100nmの平均直径を有する鉛前駆体ナノファイバー1201と、鉛前駆体ナノファイバー1201からアルゴン/水素の混合物中で2時間で600℃での処理の後に調製される250〜700nmの平均直径を有する鉛ナノファイバー1202とを示す。図12は、また、鉛ナノファイバー1202の結晶X線回折パターン1203を示す。図13は、ニッケル前駆体ナノファイバー(パネルB)およびニッケルナノファイバー(パネルD)を示す。流体ストック中に合わされるニッケルアセテートとPVAとの重量/重量の比に基づく前駆体ローディング(パネルA)に依存して、様々な直径の前駆体ナノファイバー(パネルC)および金属ナノファイバー(パネルE)が得られた。図14は、また、ニッケルアセテートとPVAとから調製された流体ストックから調製されたニッケルナノファイバーを示す(パネルAは、ポリマー/前駆体の重量/重量の比に基づくローディングを示す)。図15は、本明細書の開示に従って調製された金属ナノファイバーの元素分析を示す。図22および23は、本明細書の開示に従って調製される金属アロイナノファイバーを示す。図22は、300〜1000nmの平均直径を有するカドミウム−セレン前駆体ナノファイバー2201と、カドミウム−セレン前駆体ナノファイバー2201からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される500〜700nmの平均直径を有するカドミウム−セレンアロイナノファイバー2202とを示す。図22は、また、カドミウム−セレンアロイナノファイバー2202の結晶X線回折パターン2203を示す。図23は、700〜1300nmの平均直径を有する鉛−セレン前駆体ナノファイバー2301と、鉛−セレン前駆体ナノファイバー2301からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される600〜900nmの平均直径を有する鉛−セレンアロイナノファイバー2302とを示す。図23は、また、鉛−セレンアロイナノファイバー2302の結晶X線回折パターン2303を示す。図24は、カドミウム−セレンおよび鉛−セレンのアロイナノファイバーのさらに拡大した図を示し、図25は、鉛−セレンアロイナノファイバーの元素分析を示す。図26は、500〜900nmの平均直径を有するカドミウム−テルル前駆体ナノファイバー2601と、カドミウム−テルル前駆体ナノファイバー2601からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される300〜650nmの平均直径を有するカドミウム−テルルアロイナノファイバー2602とを示す。図26は、また、カドミウム−テルルアロイナノファイバー2602の結晶X線回折パターン2603を示す。図27は、400〜700nmの平均直径を有する鉛−テルル前駆体ナノファイバー2701と、鉛−テルル前駆体ナノファイバー2701からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される300〜550nmの平均直径を有する鉛−テルルアロイナノファイバー2702とを示す。図27は、また、鉛−テルルアロイナノファイバー2702の結晶X線回折パターン2703を示す。図28は、600〜1000nmの平均直径を有する鉄−ニッケル前駆体ナノファイバー2801と、鉄−ニッケル前駆体ナノファイバー2801からアルゴン/水素の混合物中で2時間で600℃での処理の後に調製される200〜750nmの平均直径を有する鉄−ニッケルアロイナノファイバー2802とを示す。図28は、また、鉄−ニッケルアロイナノファイバー2802の結晶X線回折パターン2803を示す。図29は、酸化鉄/鉄−ニッケルのTEM画像を示す。
【0164】
(セラミックおよび金属酸化物のナノファイバー)
本明細書中の様々な実施形態で提供されるものは、純粋なセラミックナノファイバー、セラミックを含むナノファイバー、または実質的にセラミックから構成されるナノファイバーである。いくつかの実施形態において、セラミックナノファイバーは、質量で、約99.99%、約99.95%、約99.9%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%などのセラミックを含む。いくつかの実施形態において、セラミックナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.95%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%などのセラミックを含む。他の実施形態では、本明細書中において提供されるセラミックナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%のセラミックを含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるセラミックナノファイバーは、質量で少なくとも80%のセラミックを含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるセラミックナノファイバーは、質量で少なくとも90%のセラミックを含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるセラミックナノファイバーは、質量で少なくとも95%のセラミックを含む。
【0165】
本明細書中の様々な実施形態において提供されるものは、純粋な金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミックを含む)ナノファイバー、セラミックを含むナノファイバー、または実質的にセラミックから構成されるナノファイバーである。いくつかの実施形態において、金属酸化物ナノファイバーは、質量で、約99.9%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%などのセラミックを含む。いくつかの実施形態において、金属酸化物ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも約少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%などの金属酸化物を含む。他の実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%の金属酸化物を含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で少なくとも80%の金属酸化物を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で、少なくとも90%の金属酸化物を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で少なくとも95%の金属酸化物を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で少なくとも80%の金属および酸素を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で少なくとも90%の金属および酸素を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で少なくとも95%の金属および酸素を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属酸化物ナノファイバーは、質量で少なくとも98%金属および酸素を含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で10%未満の炭素を含む。特定の実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で7%未満の炭素を含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で5%未満の炭素を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で3%未満の炭素を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーは、質量で1%未満の炭素を含む。
【0167】
具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーのセラミックは、金属酸化物である。例示のセラミックまたは金属酸化物としては、Al、ZrO、Fe、CuO、NiO、ZnO、CdO、SiO、TiO、V、VO、Fe、SnO、SnO、CoO、CoO、Co、HfO、BaTiO、SrTiOおよびBaSrTiOが挙げられるが、これらに限定されない。セラミック(および/または金属酸化物)ナノファイバーを製造する方法は、本明細書中に開示され、必要に応じて、酸化条件下での焼成を含む。
【0168】
金属酸化物またはセラミックの金属は、任意の金属であり、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ポスト−遷移金属、ランタニドまたはアクチニドが挙げられる。適切な遷移金属としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクニチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、スズ(Hg)、ラザホージウム(Rf)、ダブニウム(Db)、シーボーギウム(Sg)、ボーリウム(Bh)およびハッシウム(Hs)が挙げられる。適切なアルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)が挙げられる。適切なアルカリ土類金属としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)が挙げられる。適切なポスト遷移金属としては、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、およびビスマス(Bi)が挙げられる。適切なランタニドとしては、周期表の原子数57〜71の元素が挙げられる。適切なアクチニドとしては、周期表の原子数89〜103の元素が挙げられる。いくつかの実施形態において、金属酸化物の金属は、メタロイド(ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)およびポロニウム(Po)またはシリコン(Si)など)である。非限定的な例によって、セラミックまたは金属酸化物ナノファイバーを製造するための特定の方法は、本明細書中に開示され、必要に応じて、酸化条件下での焼成を含む。
【0169】
具体的な実施形態において、ナノファイバーは、アルカリ金属の酸化物またはアルカリ金属を含むセラミックを含む。さらなる実施形態または代替の実施形態において、ナノファイバーは、アルカリ土類金属の酸化物またはアルカリ土類金属を含むセラミックを含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、遷移金属を含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、第IV周期の遷移金属の酸化物または第IV周期の遷移金属を含むセラミックを含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、第V周期の遷移金属の酸化物または第V周期の遷移金属を含むセラミックを含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、XIII族の金属の酸化物またはXIII族の金属を含むセラミックを含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、XIV族の金属の酸化物またはXIV族の金属を含むセラミックを含む。特定の実施形態において、ナノファイバーは、メタロイドの酸化物またはメタロイドを含むセラミックを含む。具体的な実施形態において、ナノファイバーは、アルミニウム、シリコン、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、カドミウム、スズ、バリウム、ハフニウム、タングステン、鉛、それらの組み合わせなどの酸化物またはこれらを含むセラミックを含む。具体的な実施形態において、酸化物は、シリコン、ジルコニウムまたはアルミニウムの酸化物ではない。いくつかの実施形態において、酸化物は、シリコン、ジルコニウムまたはアルミニウムの酸化物であり、例えば、コンポジット材料(例えば、層状ハイブリッドナノファイバー、別個のセグメントを有するコンポジット、連続マトリクスを形成する第1の材料と、ナノファイバー内の分離したドメイン中に存在する第2の材料とを有するコンポジット−例えば、ここで、酸化物は、マトリクス材料などである)において、追加の材料(例えば、金属、金属アロイなど)をさらに含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、セラミックおよび金属酸化物ナノファイバーは、単一の金属種(タイプ)を含む。他の実施形態において、セラミックおよび金属酸化物ナノファイバーは、2以上の金属種を含む(例えば、BaTiO、SrTiO、BaSrTiO(例えば、Ba0.55Sr0.45TiO)など)。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、セラミックおよび金属酸化物のナノファイバーであり、これは、多金属酸化物をともに形成するか、あるいは整列したアロイ型の結晶格子で、2以上の金属種を含む。他の実施形態において、コンポジット(例えば、層状のハイブリッドナノファイバー、別個の酸化物セグメントを有するコンポジット、連続マトリクスを形成する第1の材料と、ナノファイバー内の分離されたドメイン中に存在する第2の材料とを有するコンポジットなど)などでは、2以上の金属種が、アモルファスの混合物中で別個の酸化物材料を形成する。
【0171】
図4、6、9、10および11は、本明細書中において提供されるか、および/または本明細書中に記載される方法に従って調製されるような金属前駆体および金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)のナノファイバーを示す。図4は、500〜700nmの平均直径を有するニッケル前駆体ナノファイバー401と、ニッケル前駆体ナノファイバー401から空気中で2時間で600℃での処理の後に調製される300〜500nmの平均直径を有する酸化ニッケルナノファイバー402とを示す。図4は、また、酸化ニッケルナノファイバー402の結晶X線回折パターン403を示す。図6は、600〜800nmの平均直径を有する銅前駆体ナノファイバー601と、銅前駆体ナノファイバー601から空気中で2時間で600℃での処理の後に調製される200〜600nmの平均直径を有する酸化銅ナノファイバー602とを示す。図6は、また、酸化銅ナノファイバー602の結晶X線回折パターン603を示す。図9は、500〜1000nmの平均直径を有する亜鉛前駆体ナノファイバー901と、亜鉛前駆体ナノファイバー901から空気中で2時間で600℃での処理の後に調製される400〜700nmの平均直径を有する酸化亜鉛ナノファイバー902とを示す。図9は、また、酸化亜鉛ナノファイバー902の結晶X線回折パターン903を示す。図10は、800〜1200nmの平均直径を有するカドミウム前駆体ナノファイバー1001と、カドミウム前駆体ナノファイバー1001から空気中で2時間で800℃での処理の後に調製される600〜900nmの平均直径を有する酸化カドミウムナノファイバー1002とを示す。図10は、また、酸化カドミウムナノファイバー1002の結晶X線回折パターン1003を示す。図11は、800〜1000nmの平均直径を有するジルコニウム前駆体ナノファイバー1101と、ジルコニウム前駆体ナノファイバー1101から空気中で2時間で800℃での処理の後に調製される300〜600nmの平均直径を有するジルコニアナノファイバー1102とを示す。図11は、また、ジルコニアナノファイバー1102の結晶X線回折パターン1103を示す。
【0172】
(アロイナノファイバー)
本明細書中の様々な実施形態において提供されるものは、純粋な金属アロイナノファイバー、金属アロイを含むナノファイバー、または実質的に金属アロイから構成されるナノファイバーである。金属アロイは、任意の適切な金属アロイであり、これは、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ポスト−遷移金属、ランタニドまたはアクチニド、さらにゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)およびポロニウム(Po)およびシリコン(Si)を含む。いくつかの実施形態において、アロイは、金属−金属のアロイである。他の実施形態において、アロイは、金属−非金属のアロイである。特定の実施形態において、金属−金属のアロイは、本明細書中に記載される本明細書中に記載される方法(又はプロセス)において、流体ストック中において、第1の金属前駆体、第2の金属前駆体および任意の更なる金属前駆体を利用することによって(例えば、少なくとも2つの金属前駆体を均一に分散させることによって)調製される(ここで、第1および第2の金属前駆体は様々な金属を含む)。いくつかの実施形態において、金属−非金属のアロイは、本明細書中に記載される本明細書中に記載される方法において、流体ストック中において、金属前駆体および非金属ストック(例えば、非金属材料の粉末)を利用することによって(例えば、流体ストック中において、金属前駆体および非金属ストックを均一に分散させることによって)調製される(ここで、第1および第2の金属前駆体は様々な金属を含む)。
【0173】
様々な実施形態において、金属アロイは、必要に応じて、金属ナノファイバーについて上記で述べた任意の金属を含む(述べられる金属アロイナノファイバーは、この開示の目的において、金属ナノファイバーの範囲内であると考えられるからである)。さらに、金属−非金属のアロイでは、任意の適切な非金属材料(例えば、ホウ素、炭素、リン、硫黄、セレンなど)を利用してもよい。例えば、図25は、本明細書中において提供される開示に従って調製される鉛−セレンの金属−非金属のアロイを示す。
【0174】
本明細書中の様々な実施形態において提供されるものは、金属アロイナノファイバー、金属アロイを含むナノファイバー、または実質的に金属アロイから構成されるナノファイバーである。いくつかの実施形態において、金属アロイナノファイバーは、質量で、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%などの金属アロイを含む。いくつかの実施形態において、金属アロイナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%などのセラミックを含む。他の実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%の金属アロイを含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量で少なくとも80%の金属アロイを含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量で少なくとも90%の金属アロイを含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量で少なくとも95%の金属アロイを含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、金属ナノファイバーについて本明細書中で述べた通り、金属アロイナノファイバーは、少ない量の炭素および/または酸素を含む。金属−非金属のアロイが金属−炭素のアロイである特定の実施形態において、質量(例えば、元素質量)で、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%の金属および炭素を含む。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量で少なくとも80%の金属および炭素を含む。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量で少なくとも90%の金属および炭素を含む。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属アロイナノファイバーは、質量で少なくとも95%の金属および炭素を含む。
【0176】
例示の金属アロイは、CdSe、CdTe、PbSe、PbTe、FeNi(パームアロイ)、Fe−Pt金属間化合物、Pt−Pb、Pt−Pd、Pt−Bi、Pd−Cu、およびPd−Hfを含むが、これらに限定されない。金属アロイナノファイバーを製造するための方法は、本明細書中に開示され、必要に応じて、アロイの金属前駆体の混合物を含む流体ストックを電界紡糸すること、および還元条件下で焼成することを含む。例えば、CdSeアロイナノファイバーは、カドミウムアセテートおよびセレンアセテートの混合物を含む流体ストックを電界紡糸し、その後、還元条件下で焼成することによって製造される。
【0177】
1つの局面において、金属、セラミックまたはアロイのナノファイバーに加えて、実質的に任意の材料のナノファイバーは、本明細書中に記載される方法を用いて製造される(例えば、実質的に均一に分散された適切な前駆体から、および高い割合の流体ストックにおいて、金属が交換可能である限りにおいて)。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、カルシウムホスフェート(CA−P)ナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書の開示の方法によって、高品質のCA−Pナノファイバーが製造され、必要に応じて、ここで、ナノファイバーは、平均で少なくとも50μmの長さである。
【0178】
いくつかの実施形態において、本明細書の開示の方法は、他の方法と組み合わされて、さらにより多くの実施形態が製造される。例えば、ナノファイバーは、その合成後にさらなる変更を受ける。例えば、米国特許出願第12/439,398号に開示される通り、骨および歯の細胞を培養するため、あるいは骨、歯または歯周病および欠陥を処理するためのインプラントとして、生物学的に機能する添加剤をカルシウムホスフェートナノファイバーに添加する。
【0179】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、表面修飾される。例えば、酵素がナノファイバーの表面に固定されて、生物学的な触媒を形成する。別の例において、半導体産業からのドーピングプロセスを用いて、不純物を純粋な半導体ナノファイバーに導入する(例えば、その電気特性の調節を目的とする)。
【0180】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、金属の連続マトリクス、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、またはそれらの組み合わせを含むセグメントを含むナノファイバーである。いくつかの場合において、連続マトリクスは、セグメントの一方の端部から、セグメントの他方の端部まで、伝導性である。いくつかの場合において、連続マトリクスによって、金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、またはそれらの組み合わせの単一の一体化された容量(ボリューム)が規定される。いくつかの場合において、金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、またはそれらの組み合わせは、連続マトリクスの全ての長さに沿って、金属、金属酸化物、金属アロイ、セラミック、またはそれらの混合物と接触する。1つのセグメントまたは複数のセグメントは、任意の適切な割合のナノファイバーを含み、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%などのナノファイバーの長さを含む。いくつかの実施形態において、セグメント(単数または複数)は、最大で5%、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%、最大で95%などのナノファイバーの長さを含む。いくつかの実施形態において、セグメント(単数または複数)は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%などのナノファイバーの長さを含む。具体的な実施形態において、本明細書中に記載される連続マトリクスは、ナノファイバーの質量の半分未満を含むが、連続マトリクスを形成し、これはナノファイバーの長さに沿って延在する。いくつかの場合において、連続マトリクスは、ナノファイバーの少なくとも50%の長さに沿って延在する(例えば、ナノファイバーの個体数の平均である)。具体的な場合において、連続マトリクスは、ナノファイバー(単数または複数)の少なくとも70%の長さ(例えば、平均での長さ)に沿って延在する。より具体的な場合において、連続マトリクスは、ナノファイバー(単数または複数)の少なくとも80%の長さ(例えば、平均での長さ)に沿って延在する。さらにより具体的な実施形態において、連続マトリクスは、ナノファイバー(単数または複数)の少なくとも90%の長さ(例えば、平均での長さ)に沿って延在する。さらにより具体的な実施形態において、連続マトリクスは、ナノファイバー(単数または複数)の少なくとも95%の長さ(例えば、平均での長さ)に沿って延在する。
【0181】
(コンポジットおよびハイブリッドのナノファイバー)
ナノファイバーを製造するための従来の方法(例えば、ゾル−ゲル法)は、概して、中実のモノリスの円柱以外の任意の形態となるのに十分に高い品質のナノファイバーは製造しない。いくつかの場合において、本明細書中に開示される方法を用いることによって、ナノファイバーにおける空隙および欠陥の数および寸法は、実質的に減少され、それによって、より複雑なジオメトリ(中空ナノファイバー、および1以上の材料から作製されるコンポジットまたはハイブリッドのナノファイバーなど)が可能となる。いくつかの場合において、ハイブリッドまたは中空のナノファイバーは、適切に長く、連続している(すなわち、高品質である)。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、第1の材料および第2の材料を含むコンポジットナノファイバーである。いくつかの実施形態において、第1および第2の材料の少なくとも一方または両方が金属または金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)を含む。
【0183】
特定の実施形態において、第1の材料は、ナノファイバーの連続マトリクスを形成する。具体的な実施形態において、第1の材料は、金属、セラミック、または炭素である。より具体的な実施形態において、第1の材料は、金属または炭素であり、第2の材料は、金属、金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)またはセラミックである。いくつかの実施形態において、第1の材料は、セラミックであり、第2の材料は、金属、金属酸化物またはセラミックである。具体的な実施形態において、第1の材料は、セラミックであり、第2の材料は、金属である。
【0184】
いくつかの実施形態において、第1の材料は、連続マトリクスを形成し、第2の材料は、ナノファイバー内に分離したドメインを形成する。他の実施形態において、第1および第2の材料の両方が、ナノファイバー内において連続マトリクスを形成する(例えば、層状のハイブリッドナノファイバーであり、同軸の電界紡糸で形成される層状のハイブリッドナノファイバーなど−層状の同軸のハイブリッドナノファイバー)。他の実施形態において、第1および第2の材料は、ナノファイバーの様々な(例えば、交互の)セグメント(すなわち、ナノファイバーの長さに沿う交互のセグメント)を形成する。
【0185】
本明細書中に記載されるものは、ハイブリッドナノファイバーを製造するための方法、ハイブリッドナノファイバーを使用するための方法、ハイブリッドナノファイバーを含むデバイス、およびハイブリッドナノファイバーそのものである。本明細書中に記載される通り、ハイブリッドナノファイバーは、例えば、フレキシブルソーラーセルにおいて有用である。「ハイブリッド」は、「コンポジット」と互換可能に使用され、そしてナノファイバーが少なくとも2つの材料を含むことを意味する。かかる材料は、ナノファイバーの上または中の別個の場所に見出される。このような場所は、任意の適切なジオメトリの問題で配置される。
【0186】
1つの例示のジオメトリは、様々な材料から作製される様々な環状のリングまたは層を有する繊維(又はファイバー)である。いくつかの実施形態において各層は同軸である。いくつかの実施形態において、同軸のハイブリッドナノファイバーは、本明細書中に記載される方法によって製造される(例えば、少なくとも2つの層を含み、その一方は、ナノファイバーのコアを形成してもよく、他方は、少なくとも部分的にコアを囲む(又は覆う)層を形成する)。いくつかの実施形態において、紡糸口金を変更して、第2の流体ストックを含む第2の導管によって囲まれた第1の流体ストックを含む第1の導管を含むようにする(図35)。いくつかの場合において、かかる導管から、流体ストックを引くか、または押し出す。このような構成によって、第1の流体ストックを囲む第2の流体ストックによる環状の流体ジェットが生成される。いくつかの実施形態において、ジェットは、乾燥し、次いで焼成されるので、第1および第2の流体ストックは、実質的には混合せず、そうすることで、ナノファイバーにおいて、様々な材料に変換される。
【0187】
ハイブリッドナノファイバー(例えば、同軸のナノファイバーを含む)のいくつかの実施形態において、様々な層は、任意の適切な材料である。いくつかの実施形態において、同軸の層は、その構成が他に明確に示されていない限り、任意の方法が参照される。例えば、2つの同軸の層から構成されるナノファイバーについて、第1の層は、第2の層を囲んで(又は覆って)もよく、第2の層は、第1の層を囲んで(又は覆って)もよい。いくつかの実施形態において、第1の同軸の層は、セラミックを含む。いくつかの実施形態において、第2の同軸の層は、セラミックを含む。いくつかの実施形態において、第1の同軸の層は、金属を含む。いくつかの実施形態において、第2の同軸の層は、金属を含む。様々な実施形態において、ハイブリッドナノファイバーは、金属−オン−金属、セラミック−オン−金属、セラミック−オン−セラミック、または金属−オン−セラミックである。いくつかの実施形態において、ハイブリッドナノファイバーは、少なくとも3つの成分を有し、あらゆる種類の材料をあらゆる種類の組み合わせで任意に一体化したものを含む。
【0188】
様々な実施形態において、コンポジットナノファイバーは、本明細書中に記載されるとおり、金属、金属酸化物および/またはセラミックを含む。このようなコンポジットナノファイバーにおいて使用される金属、金属酸化物および/またはセラミックは、任意のこのような金属、金属酸化物またはセラミックを含み、これらは、金属(例えば、単一の金属またはアロイ)、金属酸化物(例えば、金属酸化物セラミック)およびセラミックナノファイバーについて本明細書中に記載されるものである。いくつかの実施形態において、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、Sn、Alなどの金属は、Al、ZrO、Fe、CuO、NiO、ZnO、CdO、SiO、TiO、V、VO、Fe、SnO、SnO、CoO、CoO、Co、HfO、BaTiO、SrTiO、BaSrTiOなどのセラミックでハイブリッド化(又はハイブリダイズ)される。いくつかの実施形態において、第1の同軸層は、NiまたはFeを含む。いくつかの実施形態において、第2の同軸層は、Al、ZrO、SiOまたはTiOを含む。1つの実施形態において、第1の同軸層は、Niを含み、第2の同軸層は、ZrOを含む。1つの実施形態において、第1の同軸層は、Alを含み、第2の同軸層は、ITOを含む。別の実施形態において、第1の同軸層は、ZrOを含み、第2の同軸層は、ZnOを含む。
【0189】
また、同軸の繊維の以外の複雑なジオメトリを本明細書中において説明する。例えば、1つの配置において、第1および第2の材料は、ナノファイバーの長さの様々な部分に沿って配置される。いくつかの実施形態において、このようなナノファイバーは、電界紡糸の方法(又はプロセス)において、第1の材料を含む第1の流体ストックと、第2の材料を含む第2の流体ストックとの間で、流体ストックを交互にすることによって製造される。このような実施形態において、焼成の際にナノファイバーが製造され、これによって、ナノファイバーの長さに沿って、第1の材料と第2の材料との間で交互になる。第1および第2の材料は、任意の適切な材料であり、セラミックおよび金属を含む。
【0190】
様々な実施形態において、コンポジットナノファイバーは、金属−金属ハイブリッド、金属−セラミックハイブリッドなどを含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、金属およびセラミックの両方のハイブリッドである。特定の実施形態において、ナノファイバーの金属およびセラミック成分の全質量の質量パーセンテージは、添加され(片方または両方が存在する程度にまで添加され)、ナノファイバーの約99.99%、約99.95%、約99.9%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%などを含む。他の実施形態において、ナノファイバーの金属およびセラミック成分の合計は、ナノファイバーの少なくとも約99.99%、少なくとも約99.95%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%などである。他の実施形態において、金属およびセラミック成分の全質量(片方または両方が存在する程度にまで)としては、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%などが挙げられる。いくつかの場合において、これらの金属/セラミックのより少ない含有量のコンポジットナノファイバーは、金属でもセラミックでもない連続マトリクスを含むナノファイバーが存在する。
【0191】
図16〜21および31〜33は、本明細書中において提供されるか、および/または本明細書中に記載される方法に従って調製されるような金属前駆体および金属のコンポジット/ハイブリッドナノファイバーを示す。図16は、600〜1000nmの平均直径を有するジルコニウム−亜鉛の前駆体ナノファイバー1601(すなわち、ジルコニウム前駆体、亜鉛前駆体およびポリマーを含むナノファイバー)と、前駆体ナノファイバー1601がらアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される300〜600nmの平均直径を有するジルコニア−酸化亜鉛のコンポジットナノファイバー1602とを示す。図16は、また、コンポジットナノファイバー1602のジルコニア1603および酸化亜鉛1604についての結晶X線回折ピークを示す。図17は、700〜900nmの平均直径を有するジルコニウム−銀の前駆体ナノファイバー1701と、前駆体ナノファイバー1701からアルゴン/水素の混合物中で2時間で800℃での処理の後に調製される400〜700nmの平均直径を有するジルコニア−銀コンポジットナノファイバー1702とを示す。図17は、また、コンポジットナノファイバー1702のジルコニア1703および銀1704についての結晶X線回折ピークを示す。図18は、800〜1200nmの平均直径を有するジルコニウム−ニッケルの前駆体ナノファイバー1801と、前駆体ナノファイバー1801からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される600〜800nmの平均直径を有するジルコニア−ニッケルコンポジットナノファイバー1802とを示す。図18は、また、コンポジットナノファイバー1802のジルコニア1803およびニッケル1804の結晶X線回折ピークを示す。図19は、600〜1000nmの平均直径を有するジルコニウム−鉄の前駆体ナノファイバー1901と、前駆体ナノファイバー1901からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される400〜700nmの平均直径を有するジルコニア−鉄コンポジットナノファイバー1902とを示す。図19は、また、コンポジットナノファイバー1902のジルコニア1903および鉄1904についての結晶X線回折ピークを示す。図20は、さらに、このようなナノコンポジットのTEM画像を示す。図21は、400〜1100nmの平均直径を有するアルミニウム−ニッケルの前駆体ナノファイバー2101と、前駆体ナノファイバー2101からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される150〜700nmの平均直径を有するアルミナ−ニッケルコンポジットナノファイバー2102とを示す。図21は、また、コンポジットナノファイバー2102のニッケル2103の結晶X線回折ピークを示す(アモルファスのアルミナのピークはない)。図31は、450〜700nmの平均直径を有するジルコニウム−ニッケルの前駆体ナノファイバー3101(ニッケル前駆体+ポリマーのコア、ジルコニウム前駆体+ポリマーのシース)と、前駆体ナノファイバー3101からアルゴン中で2時間で600℃での処理の後に調製される300〜550nmの平均直径を有するジルコニア−ニッケルの層状コンポジットナノファイバー3102とを示す。図31は、また、層状(すなわち、同軸)のコンポジットナノファイバー3102(ニッケル金属のコアおよびジルコニアのシース)のジルコニアおよびニッケル3103の結晶X線回折ピークを示す。図32は、同軸/層状の層状ニッケル/ジルコニアナノファイバーのTEM画像を示し、図33は、同軸/層状の層状ニッケル/ジルコニアナノファイバーの元素分析を示す。図33のパネルAは、ニッケル層(コア)の外側に酸化ジルコニウム層を含むハイブリッドナノファイバーを示す。図33のパネルBは、高い含有量のジルコニウムおよび酸素(ニッケルおよび炭素に対して)(それぞれ、約18:32:4:2の比)を示す。
【0192】
(中空ナノファイバー)
本明細書の開示は、中空ナノファイバーを製造するための方法、中空ナノファイバーを使用するための方法、中空ナノファイバーを含むデバイス、中空ナノファイバーそのものを含む。本明細書中に記載の通り、中空ナノファイバーは、いくつかの場合において、リチウムイオンバリアにおいて有用である。
【0193】
いくつかの実施形態において、中空ナノファイバーは、紡糸口金を用いて製造され、これは、第2の流体を含む第2の導管によって囲まれる(又は覆われる)第1の流体を含む第1の導管を含む。いくつかの場合において、第1の流体は、任意の流体であり、これは、ナノファイバーの一体となる部分とはならない(例えば、気体)。いくつかの実施形態において、第1の流体は不活性である。
【0194】
いくつかの実施形態において、第1の流体は、気体であり、必要に応じて、空気である。いくつかの場合において、PCT特許出願PCT/US2011/024894(「Electrospinning apparatus and nanofibers producedtherefrom」)において開示されるようなガスアシスト電界紡糸技術において記載されるような内側の環状の流体として気体を使用することは確実に利点がある。いくつかの実施形態において、このガスのジェットによって、エレクトロスピナーから出る流体ストックの流れ(又はストリーム)が加速され、伸長され、より細い繊維をもたらす。いくつかの場合において、本明細書中に開示される方法によって、より細いナノファイバー(例えば、ガスアシスト法を使用する場合)や、欠陥の少ないナノファイバー(例えば、そして、それ故、高品質)がもたらされる。
【0195】
いくつかの実施形態において、第1(不活性)の流体は液体であり、必要に応じて、例えば、鉱物油である。外側の流体ストックが水性である実施形態において、鉱物油のコアは、電界紡糸される流体ストックとは混合しない。いくつかの実施形態において、鉱物油のコアは、続く焼成によって除去され、中空ナノファイバーをもたらす。
【0196】
いくつかの実施形態において、中空ナノファイバーは、不活性の内側の環状の流体なしで製造される。例えば、同軸のハイブリッドナノファイバーが製造され、次いで、その内側の環状の材料が除去され、中空ナノファイバーをもたらす。内側の材料は、任意の適切な技術(溶解、昇華、蒸発、分解、エッチング、または中空ナノファイバーをもたらすその均等のものが挙げられる)によって除去される。
【0197】
ナノファイバーの中空コアは、任意の適切な直径を有する。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの所定の集合は、様々な直径の中空コアを有する繊維が分布したナノファイバーを含む。いくつかの実施形態において、単一のナノファイバーの中空コアの直径は、その長さに沿って変動する。いくつかの実施形態において、ある個体数の繊維または一部の繊維を有する特定の繊維は、平均の内側の直径を超えるか、またはそれよりも小さくなる。いくつかの実施形態において、中空コアの直径は、平均で、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約15nm、約20nm、約40nm、約60nm、約80nm、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nmなどである。いくつかの実施形態において、中空コアの直径は、平均で、最大で約1nm、最大で約2nm、最大で約3nm、最大で約4nm、最大で約5nm、最大で約6nm、最大で約7nm、最大で約8nm、最大で約9nm、最大で約10nm、最大で約15nm、最大で約20nm、最大で約40nm、最大で約60nm、最大で約80nm、最大で約100nm、最大で約200nm、最大で約300nm、最大で約400nm、最大で約500nmなどである。いくつかの実施形態において、中空コアの直径は、平均で、少なくとも約1nm、少なくとも約2nm、少なくとも約3nm、少なくとも約4nm、少なくとも約5nm、少なくとも約6nm、少なくとも約7nm、少なくとも約8nm、少なくとも約9nm、少なくとも約10nm、少なくとも約15nm、最大で少なくとも20nm、少なくとも約40nm、少なくとも約60nm、少なくとも約80nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約500nmなどである。いくつかの実施形態において、中空コアの直径は、平均で、約1nm〜10nm、約5nm〜20nm、約5nm〜10nm、約10nm〜50nm、約20nm〜50nm、約1nm〜50nm、約100nm〜500nmなどである。
【0198】
(ナノファイバーの特性)
1つの局面において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、ユニークな組成のものであり、従前、全く記載されていないものである。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、特定の新規の特性を有するナノファイバーである。様々な実施形態において、これらのナノファイバーは、特定の寸法、アスペクト比、比表面積、特性、伝導率、可撓性などを有し、これらは、これまで達成できたものを超越している。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、ナノファイバーを含むデバイスに改良をもたらす。例えば、本明細書中に記載される金属ナノファイバーは、いくつかの場合においてシートに形成される場合、材料の少なくとも70%の電気伝導率の電気伝導率を有する。いくつかの実施形態において、高い伝導率は、この新規の金属ナノファイバーに基づくソーラーセルの機能を向上させる。
【0199】
いくつかの実施形態において、特定の用途では、より小さな直径のナノファイバー(例えば、本明細書中に記載される方法を実施することによって、品質を犠牲にすることなく達成されるもの)が好まれる。例えば、ガスアシスト電界紡糸の技術を利用して、細いナノファイバーを生成する(すなわち、エレクトロスピナーから放出される流体ストックのジェットストリームを加速させることによって生成する)。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの直径は、焼成(必要に応じて収縮する)の際に変化する。1つの実施形態において、銅ナノファイバーは、電界紡糸のときには、直径が600〜800nmであり、焼成の後には、300〜500nmであった。いくつかの実施形態において、前駆体のポリマーへのローディングは、ナノファイバーの直径に影響を与える。いくつかの実施形態において、前駆体のローディングが高いほど、より細いナノファイバーが得られる(例えば、ナノファイバーへと変換される前駆体材料がより多く存在するからである)。ナノファイバーの直径を測定するための方法としては、顕微鏡観察、必要に応じて透過型電子顕微鏡観察(「TEM」)または走査電子顕微鏡観察(「SEM」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0200】
様々な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、ナノファイバーまたは任意の適切な直径を有するナノファイバーを製造するための方法(又はプロセス)である。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの所定の集合は、様々な直径の繊維の分布を有するナノファイバーを含む。いくつかの実施形態において、単一のナノファイバーは、その長さに沿って変化する直径を有する。いくつかの実施形態において、
ある個体数の繊維または繊維の一部を有する特定の繊維は、その平均の直径よりも大きいか、またはそれよりも小さくなる。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの直径は、平均で、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約130nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nm、約1000nm、約1500nm、約2000nmなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの直径は、平均で、最大で20nm、最大で30nm、最大で40nm、最大で50nm、最大で60nm、最大で70nm、最大で80nm、最大で90nm、最大で100nm、最大で130nm、最大で150nm、最大で200nm、最大で250nm、最大で300nm、最大で400nm、最大で500nm、最大で600nm、最大で700nm、最大で800nm、最大で900nm、最大で1000nm、最大で1500nm、最大で2000nmなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの直径は、平均で、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも130nm、少なくとも150nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、少なくとも800nm、少なくとも900nm、少なくとも1000nm、少なくとも1500nm、少なくとも2000nmなどである。さらに他の実施形態では、ナノファイバーの直径は、平均で、約50nm〜約300nm、約50nm〜約150nm、約100nm〜約400nm、約100nm〜約200nm、約500nm〜約800nm、約60nm〜約900nmなどである。具体的な実施形態において、ナノファイバー(例えば、本明細書中に記載される金属、金属酸化物、セラミックおよび/またはコンポジットのナノファイバー)の直径(例えば、平均直径)は、1500nm未満である。より具体的な実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバー(例えば、金属、金属酸化物、セラミックおよび/またはコンポジットのナノファイバー)の直径(例えば、平均直径)は、100nm〜1000nmである。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバー(例えば、金属/金属酸化物/セラミックを含むもの)の直径(例えば、平均直径)は、500nm未満である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバー(例えば、金属/金属酸化物/セラミックを含むもの)の直径(例えば、平均直径)は、400nm未満である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバー(例えば、金属/金属酸化物/セラミックを含むもの)の直径(例えば、平均直径)は、200nm〜500nmである。他の具体的な実施形態において、本明細書中に記載される前駆体ナノファイバーの直径(例えば、平均直径)は、2000nm未満である。より具体的な実施形態において、本明細書中に記載される前駆体ナノファイバーの直径(例えば、平均で)は、300nm〜1500nmである。
【0201】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーは長い。いくつかの場合において、本明細書の開示の方法によって、長いナノファイバーが製造される(例えば、前駆体の高ローディングおよび均一の分布によって、高度に「連続」または「コヒーレント」であるナノファイバーが形成されるからであり、これは、これらの欠陥が少ないことを意味する)。いくつかの実施形態において、このような高品質のナノファイバーは、統計学的により長いらしい。なぜなら、任意の具体的な長さに沿って欠陥が存在する可能性が減少するからであり、この長さは、ナノファイバーの端部を規定するのに十分に厳しいものである。ナノファイバーの長さを測定するための方法としては、顕微鏡観察、必要に応じて透過型電子顕微鏡観察(「TEM」)または走査電子顕微鏡観察(「SEM」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
ナノファイバーは、任意の適切な長さを有する。いくつかの場合において、ナノファイバー所定の集合は、様々な長さの繊維の分布を有するナノファイバーを含む。いくつかの実施形態において、ある個体数を有する特定の繊維は、平均の長さを超えるか、それよりも小さくなる。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの平均の長さは、約20μm、約50μm、約100μm、約500μm、約1,000μm、約5,000μm、約10,000μm、約50,000μm、約100,000μm、約500,000μmなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの平均の長さは、少なくとも約20μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約500μm、少なくとも約1,000μm、少なくとも約5,000μm、少なくとも約10,000μm、少なくとも約50,000μm、少なくとも約100,000μm、少なくとも約500,000μmなどである。
【0203】
「アスペクト比」は、ナノファイバーの長さをその直径で除算したものである。いくつかの場合において、アスペクト比は、ナノファイバーのコヒーレンスの量を定めるための有用な計量であり、アスペクト比が高くなることは、ナノファイバーまたはある個体数のナノファイバーの空隙または欠陥が少なくなることを示す。いくつかの実施形態において、アスペクト比は、単一のナノファイバーについて言及する。いくつかの実施形態において、アスペクト比は、複数のナノファイバーについて言及し、単一の平均の値として報告される(すなわち、アスペクト比は、サンプルのナノファーバーの平均の長さを、その平均の直径で除算したものである)。いくつかの場合において、直径および/または長さは、顕微鏡観察によって測定される。ナノファイバーは、任意の適切なアスペクト比を有する。いくつかの実施形態において、ナノファイバーのアスペクト比は、約5、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約1010、約1011、約1012などである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーのアスペクト比は、少なくとも約5、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012などである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、実質的に無限の長さを有し、実質的に無限のアスペクト比を有する。具体的な実施形態において、本明細書中に提供されるナノファイバーのアスペクト比(例えば、平均のアスペクト比)は、少なくとも100である。さらに具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーのアスペクト比(例えば、平均のアスペクト比)は、少なくとも1,000(例えば、少なくとも5,000)である。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーのアスペクト比(例えば、平均のアスペクト比)は、少なくとも10,000である。
【0204】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーの表面積は大きい。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、触媒として使用され、ここで、ナノファイバーの表面で反応が進行する。これらの触媒の実施形態において、大きな表面積によって、製造設備の寸法が減少するか、および/または触媒に必要な高価な材料の量が減少する。
【0205】
「比表面積」は、繊維(又は複数の繊維の平均)の1質量または1容量あたりの表面積である。さまざまな場合において、比表面積は、単一のナノファイバーに基づいて、あるいはナノファイバーの集合に基づいて計算され、単一の平均の値として報告される。質量を測定するための技術は、当業者に公知である。いくつかの場合において、表面積は、サンプル中のナノファイバーの直径および長さを測定し、円筒の表面積の式(すなわち、2×π×ナノファイバーの半径×(ナノファイバーの長さと、ナノファイバーの半径との合計))に代入することによって計算される。いくつかの場合において、表面積は、物理的または化学的な方法によって、例えばBrunauer−EmmettおよびTeller(BET)の方法(ここで、不活性ガスの物理吸着と脱離との間の差が利用される)によって測定される。いくつかの実施形態において、表面積は、ナノファイバー上の具体的な化学基を滴定して、その表面上の基の数を概算することによって測定され、これは、予め決定した滴定曲線によって、この表面積と相関するものである。化学の当業者は、滴定方法をよく知っている。
【0206】
ナノファイバーは、任意の適切な比表面積を有する。いくつかの実施形態において、比表面積は、約0.1m/g、約0.5m/g、約1.0m/g、約5m/g、約10m/g、約40m/g、約60m/g、約80m/g、約100m/g、約200m/g、約400m/g、約600m/g、約800m/g、約1,000m/g、約1,500m/g、約2,000m/gなどである。いくつかの実施形態において、比表面積は、少なくとも0.1m/g、少なくとも0.5m/g、少なくとも1.0m/g、少なくとも5m/g、少なくとも10m/g、少なくとも40m/g、少なくとも60m/g、少なくとも80m/g、少なくとも100m/g、少なくとも200m/g、少なくとも400m/g、少なくとも600m/g、少なくとも800m/g、少なくとも1,000m/g、少なくとも1,500m/g、少なくとも2,000m/gなどである。いくつかの実施形態において、比表面積は、約0.1m/g〜1m/g、約1m/g〜1,000m/g、約10m/g〜100m/g、約600m/g〜2,000m/g、約10m/g〜1,000m/g、約100m/g〜600m/g、約300m/g〜500m/gなどである。
【0207】
いくつかの場合において、本明細書中に開示の方法(例えば、高ローディングの均一に分布した前駆体を使用することを含む方法)によって、孔の数および寸法は減少する。多孔度は、また、「空隙率」とも呼ばれ、これは、材料中の空隙の空間の測定(値)である。いくつかの実施形態において、多孔度は、全容量(ボリューム)にわたる空隙の容量(ボリューム)の率(フラクション)であり、0%〜100%のパーセンテージとして報告される。様々な実施形態において、多孔度は、流体ストックにおける前駆体のローディングおよび分布、焼成条件などを含む多くの因子に依存する。
【0208】
多孔度を測定し、または概算するための方法としては、顕微鏡観察を含む。方法としては、また、第1にナノファイバーのサンプルの表面積を任意の直接的または間接的な方法によって測定すること、次いで、測定した表面積を、サンプルのナノファイバーの平均の長さおよび直径を有する理想的な円筒の表面積と比較することを含む。いくつかの実施形態において、測定した表面積と、期待される表面積との間の差を容量(ボリューム)に変換し、次いで、球の形状または平均の直径を有する円筒の形状の孔を仮定することによって、体積分率に変換する。いくつかの実施形態において、多孔度は、孔にしみ込む流体中にナノファイバーを含浸させることによって測定される。このような実施形態において、多孔度は、ナノファイバーおよび流体の合計の容量を、ナノファイバーの直径および長さを有する理想的な多孔質でない円筒の集合の浸漬から得られるであろう容量と比較することによって概算される。空隙率は、これらの容量の間の差であり、これは、空隙容量を理想的な円筒の容量で除算することによって、多孔度に変換される。
【0209】
ナノファイバーは、任意の適切な多孔度を有する。いくつかの実施形態において、多孔度は、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%などである。いくつかの実施形態において、多孔度は、最大で1%、最大で2%、最大で4%、最大で6%、最大で8%、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%などである。いくつかの実施形態において、多孔度は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%などである。いくつかの実施形態において、多孔度は、約1%〜10%、約10%〜50%、約20%〜30%、約30%〜70%、約1%〜50%、約5%〜20%などである。
【0210】
特定の実施形態において、本明細書中において提供されるナノファイバーは、他のナノ粒子と比べて、向上した性能を有する。いくつかの場合において、本明細書中に記載されるナノファイバー(および/またはそれらのコンポジット材料)のヤング率、破壊靭性、極限強度、電気伝導率、熱伝導率、可撓性および/または他の特徴は、同一の材料の他のナノ構造において、および/または同一の材料からのバルク/シートにおいて改善される。表1は、本明細書中において提供される特定のナノファイバーの物理的な特性、および同様の構造を有するバルクの材料の物理的な特性を示す。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、セラミックまたは金属酸化物のナノファイバー(あるいはセラミックおよび/または金属酸化物の連続マトリクスを有するナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるセラミックのレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均のヤング率を有する(特に、列1または2は、アモルファスのセラミックについて、列3は、結晶性セラミックについて、列4または5は、金属酸化物についてである)。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、セラミックまたは金属酸化物のナノファイバー(あるいはセラミックおよび/または金属酸化物の連続マトリクスを有するナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均の破壊靭性を有する(特に、列1または2は、アモルファスのセラミックについて、列3は、結晶性セラミックについて、列4または5は、金属酸化物についてである)。特定の実施形態において、本明細書中において提供されるものは、セラミックまたは金属酸化物のナノファイバー(あるいは、セラミックおよび/または金属酸化物の連続マトリクスを有するナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均の極限強度を有する(特に、列1または2は、アモルファスのセラミックについて、列3は、結晶性セラミックについて、列4または5は、金属酸化物についてである)。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、金属ナノファイバー(あるいは、金属の連続マトリクスを有するナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるセラミックのレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均のヤング率を有する(特に、列6、7または8)。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、金属ナノファイバー(あるいは金属の連続マトリクスのナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均の破壊靭性を有する(具体的には、列6、7または8である)。特定の実施形態において、本明細書中において提供されるものは、金属のナノファイバー(あるいは、金属の連続マトリクスを有するナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均の極限強度を有する(具体的には、列6、7または8)。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、金属ナノファイバー(あるいは、金属の連続マトリクスを有するナノファイバー)であり、これらは、少なくとも表1に示されるレベル(または、少なくとも90%のレベル)の平均の電気伝導率を有する(具体的には、列6、7または8)。
【0211】
【表1】
【0212】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、他のナノ構造またはバルク形態での同様の材料に対して、向上したヤング率を有する。いくつかの場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.1GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。特定の実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.13GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。具体的な場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.15GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。より具体的な場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.18GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。さらにより具体的な場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.2GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。さらにより具体的な場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.25GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。具体的な場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.3GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。いくつかの場合において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.05GPa/nmまたは少なくとも0.5GPa/nmの平均値または中央値のナノファイバーのヤング率/直径の比を有するナノファイバーである。
【0213】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.15GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含むアモルファスのセラミックナノファイバー(例えば、本明細書中に記載される通り、純粋なアモルファスのセラミックのナノファイバー、またはアモルファスのセラミックの連続マトリクスを含むナノファイバー)である。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.2GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.3GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.35GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.05MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.075MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.1MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.15MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.2MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.075MPa/nmの平均の極限強度/直径の比および少なくとも0.15GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.15MPa/nmの平均の極限強度/直径の比および少なくとも0.3GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含むアモルファスのセラミックのナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.5MPa・m1/2の破壊靭性を有するアモルファスのセラミックのナノファイバーである。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.6MPa・m1/2の破壊靭性を有するアモルファスのセラミックのナノファイバーである。さらに具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.7MPa・m1/2の破壊靭性を有するアモルファスのセラミックのナノファイバーである。
【0214】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも1GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバー(例えば、本明細書中に記載される通り、純粋な結晶性セラミックのナノファイバー、または結晶性セラミックの連続マトリクスを含むナノファイバー)である。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも1.5GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも2GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも3GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも4GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも3MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも5MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも7.5MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも10MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも12.5MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも5MPa/nmの平均の極限強度/直径の比および少なくとも1.5GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも12.5MPa/nmの平均の極限強度/直径の比および少なくとも4GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む結晶性セラミックのナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも1.5MPa・m1/2の平均の破壊靭性を有する結晶性セラミックのナノファイバーである。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも1.8MPa・m1/2の平均の破壊靭性を有する結晶性セラミックナノファイバーである。いくつかの具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも2.1MPa・m1/2の平均の破壊靭性を有する結晶性セラミックのナノファイバーである。
【0215】
いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.8GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバー(例えば、本明細書中に記載される通り、純粋な金属ナノファイバー、または金属の連続マトリクスを含むナノファイバー)である。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも1.1GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも1.5GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも2GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバーである。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも2.9GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.2MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む金属のナノファイバーである。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.35MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む金属のナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.5MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む金属のナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.7MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む金属のナノファイバーである。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.9MPa/nmの平均の極限強度/直径の比を含む金属のナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.35MPa/nmの平均の極限強度/直径の比および少なくとも1.1GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバーである。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも0.9MPa/nmの平均の極限強度/直径の比および少なくとも2.9GPa/nmの平均のヤング率/直径の比を含む金属のナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも3MPa・m1/2の平均の破壊靭性を有する金属のナノファイバーである。具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも3.5MPa・m1/2の平均の破壊靭性を有する金属のナノファイバーである。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供されるものは、少なくとも4.1MPa・m1/2の平均の破壊靭性を有する金属のナノファイバーである。いくつかの実施形態において、本明細書中において提供される金属のナノファイバーの平均の電気伝導率は、同一のバルクの材料について、少なくとも0.75のlog(S/m)/log(S/m)の比(すなわち、金属ナノファイバーの長さに沿う電気伝導率のlogを、同一のバルクの金属の電気伝導率のlogで除算した比)を有する。具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属のナノファイバーの平均の電気伝導率は、同一のバルクの材料について、少なくとも0.85のlog(S/m)/log(S/m)の比を有する。より具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーの平均の電気伝導率は、同一のバルクの材料について、少なくとも0.9のlog(S/m)/log(S/m)の比を有する。さらにより具体的な実施形態において、本明細書中において提供される金属ナノファイバーの平均の電気伝導率は、同一のバルクの材料について、少なくとも0.95のlog(S/m)/log(S/m)の比を有する。
【0216】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーの用途は、高い伝導率を有するナノファイバーから利益が得られる。いくつかの場合において、ナノファイバーを通過する電子の移動を必要とするエネルギー発生用途(例えば、バッテリの電極)において、高い電気伝導率が望ましい。いくつかの実施形態において、欠陥の数および寸法が減少した長くて連続したナノファイバーは、より高い伝導率を有する。
【0217】
様々な実施形態において、文脈が他を明確に示していない限り、伝導率は、「熱伝導率」、「電気伝導率」のいずれか、あるいは熱伝導率および電気伝導率の両方を意味する。電気伝導率は、材料の電流を伝導する能力の測定(値)である。電気伝導率は、長さあたりのジーメンス数の単位(例えば、S/cm)で測定される。伝導率の逆数は、抵抗率である。電気抵抗率は、材料がどのくらい強く電流の流れに対向するかの測定(値)であり、オームメートルの単位(オームm)で報告される。いくつかの場合において、熱伝導率は、メートルケルビンあたりのワット数の単位(W/m/K)で報告される。熱伝導率は、その逆数である。単位を調べることによって、その値が電気伝導率であるか、熱伝導率であるかが示される。
【0218】
1つの局面において、ナノファイバーは、伝導率(例えば、電気伝導率または熱伝導率)を有し、これは、このナノファイバーが作製される材料の薄いシートと比較される。例えば、銅のナノファイバーは、銅の薄いシートと比較される。ナノファイバーは、任意の適切な伝導率を有する。なぜなら、あるパーセンテージの伝導率の材料がシートに形成されるからである。いくつかの実施形態において、伝導率は、ナノファイバーの集合の様々な部分にわたって、または様々な方向に沿って可変である。様々な実施形態において、伝導率は、平均値、または測定の特定の条件または方向に特異的な値(すなわち、異方性の材料の場合)のいずれかで報告される。
【0219】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーの伝導率は、シートに形成される場合の材料の伝導率と比較した場合、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%である。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの伝導率は、シートに形成される場合の材料の伝導率と比較した場合、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの伝導率は、シートに形成される場合の材料の伝導率と比較した場合、最大で約5%、最大で約10%、最大で約20%、最大で約30%、最大で約40%、最大で約50%、最大で約60%、最大で約70%、最大で約80%、最大で約90%、最大で約95%、最大で約100%である。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの伝導率は、シートに形成される場合の材料の伝導率と比較した場合、約5%〜10%、約10%〜20%、約20%〜30%、約30%〜40%、約40%〜50%、約50%〜60%、約60%〜70%、約70%〜80%、約80%〜90%、約90%〜95%、約95%〜100%である。
【0220】
いくつかの場合において、伝導率は、シートに変形される場合、材料の伝導率を参照することなく報告される。例えば、いくつかの実施形態において、電気伝導率は、相対的な基準ではなく、絶対的なものとして報告される。電気伝導率は、当業者に公知の任意の適切な方法によって測定される。例えば、いくつかの実施形態において、伝導率は、第1に、抵抗を測定し、その逆数を計算することによって測定される。1つの場合において、試験されるナノファイバーのサンプルを電圧源に接続し、このサンプルを通過する電流およびサンプルにかかる電圧を測定する。いくつかの場合、抵抗値は、オームの法則から計算される(すなわち、R=E/I(式中、Rは、抵抗(Ω)であり、Eは,電圧(V)であり、Iは、電流(A)である))。抵抗があると、抵抗率を計算することができる。抵抗率は、因子(ファクター)であり、これは、サンプルの長さで乗算され、その断面積で除算されて、抵抗値を与えるものである。伝導率は、この抵抗率の逆数である。
【0221】
ナノファイバーは、任意の適切な電気伝導率を有する。様々な実施形態において、電気伝導率は、特定の条件において、平均値として、あるいはナノファイバーサンプルの具体的な方向に沿って測定される。いくつかの実施形態において、伝導率は、約1S/cm、約10S/cm、約100S/cm、約10S/cm、約10S/cm、約10S/cm、約10S/cm、約10S/cm、約10S/cmなどである。いくつかの実施形態において、伝導率は、少なくとも1S/cm、少なくとも10S/cm、少なくとも100S/cm、少なくとも10S/cm、少なくとも10S/cm、少なくとも10S/cm、少なくとも10S/cm、少なくとも10S/cm、少なくとも10S/cmなどである。いくつかの実施形態において、伝導率は、最大で1S/cm、最大で10S/cm、最大で100S/cm、最大で10S/cm、最大で10S/cm、最大で10S/cm、最大で10S/cm、最大で10S/cm、最大で10S/cmなどである。いくつかの実施形態において、伝導率は、約1S/cm〜10S/cm、約10S/cm〜100S/cm、約100S/cm〜1,000S/cm、約1,000S/cm〜10S/cm、約10S/cm〜10S/cm、約10S/cm〜10S/cm、約10S/cm〜10S/cm、約10S/cm〜10S/cm、約10S/cm〜10S/cmなどである。
【0222】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のナノファイバーまたはナノファイバーの集合は、可撓性(フレキシブル)である。いくつかの場合において、フレキシブルナノファイバーは、フレキシブルソーラーパネルの製造における用途など用途において利点がある。いくつかの場合において、可撓性(フレキシビリティ)は、ヤング率によって定量され、これは、応力−ひずみ曲線の傾斜の最初の直線部分である。ヤング率は、メガパスカル(MPa)などの圧力の単位を有する。いくつかの実施形態において、可撓性は、材料の様々な方向に沿って異なるので、特定の方向に関して報告されてもよく、あるいは平均値として報告される。
【0223】
1つの局面において、可撓性は、焼成温度によって、少なくとも部分的に決定される。1つの例において、焼成温度が約200℃である場合、ヤング率は、少なくとも100MPaである。いくつかの場合、焼成温度が低いほど、ナノファイバー中のアモルファスの金属またはセラミックの顕著に高いフラクションをもたらし、これによって、より高い可撓性がもたらされる。
【0224】
ナノファイバーは、任意の適切な可撓性を有する。いくつかの実施形態において、ナノファイバーのヤング率は、約10MPa、約20MPa、約40MPa、約60MPa、約80MPa、約100MPa、約150MPa、約200MPa、約250MPa、約300MPa、約400MPa、約1,000MPaなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーのヤング率は、少なくとも約10MPa、少なくとも約20MPa、少なくとも約40MPa、少なくとも約60MPa、少なくとも約80MPa、少なくとも約100MPa、少なくとも約150MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約250MPa、少なくとも約300MPa、少なくとも約400MPa、少なくとも約1,000MPaなどである。
【0225】
(ナノファイバーマット)
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載のナノファイバーは、集合されるか、あるいは任意の適切な構造(例えば、所望の用途に適した構造)に形成される。構造としては、球、円錐、円筒、板、螺旋、多角形などが挙げられるが、これらに限定されない。用語を簡単にするために、ナノファイバーの全ての可能な形状または集合は、本明細書中において「マット」と呼ばれる。様々な実施形態において、ナノファイバーのマットは、1種のナノファイバーまたは少なくとも2種のナノファイバーを含む。
【0226】
いくつかの実施形態において、コヒーレントのナノファイバーによって、所望の特性を有するマット(例えば、脆性の低いナノファイバーのマット)がもたらされる。いくつかの場合において、これらの望ましい特性は、成分ナノファイバーの特性から得られるか、および/またはナノファイバーがマットに形成される方法に依存する。いくつかの実施形態において、本明細書の開示は、ナノファイバーのマットを含む。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、本明細書の開示のナノファイバーによって形成されるナノファイバーのマットである。また、本明細書中に記載されるものは、本明細書に開示のいずれかの方法によって調製されるか、または本明細書の開示のいずれかによって調製され得るナノファイバーのマットである。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーのマットを調製するための方法、必要に応じて電界紡糸の方法(又はプロセス)を用いる方法である。
【0227】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、それらが製造されるとき(例えば、紡糸口金に対して、回収プレートを移動させること(すなわち、3−Dプリンティング)によって製造されるとき)、所定のジオメトリで回収(又は集合)される。様々な実施形態において、ナノファイバーは、回収の後(必要に応じて、焼成の前)に所定のジオメトリに形成されるか、あるいは焼成の後に所定のジオメトリに形成される。いくつかの場合において、ナノファイバーのマットは、ナノファイバーを含み、これは、回収される様式で(例えば、垂直格子を有するメッシュ上に)配置される。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、ランダムに配置される。様々な実施形態において、マットは、様々な種類の様々な繊維を含む任意のレベルのディテールでパターン化されるか、様々な他のナノファイバーと接触して、様々な方向に配置されるか、あるいは様々な他のナノファイバーから絶縁されるかなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、架橋されるか、および/または表面修飾される。
【0228】
いくつかのナノファイバーのマットにおいて、ナノファイバーの表面は、化学製品の物質移動のための広い表面積を示す。かかるナノファイバーは、例えば、触媒として特に適用可能である。いくつかの実施形態において、ナノファイバーの表面は、ナノファイバーのマットにおけるプロトンまたは電子の物質移動のための広い表面積を示す。かかるナノファイバーは、例えば、電極として、特に適用可能である。
【0229】
いくつかの場合において、本明細書中において提供されるナノファイバーは、ナノファイバーのマットに形成される。いくつかの場合において、ナノファイバーのマットの使用によって、特定のナノファイバーの性能の特徴の改善が提供される。例えば、図39は、Niナノファイバーマットの軸方向および垂直方向での電気伝導率への繊維整列状態の影響を比較するグラフを示す。
【0230】
(ナノファイバーのマットの特性)
いくつかの場合において、ナノファイバーのマットは、それが構成されるナノファイバーと同じ特性を実質的に有する。例えば、同様の多孔度、同様の比表面積、同様の比伝導率など。いくつかの場合において、ナノファイバーのマットは、それが構成されるナノファイバーとは異なる特性を有する。例えば、異なる多孔度、異なる比表面積、異なる伝導率など。様々な実施形態において、マットの特性は、個々のナノファイバーの特性以上であるかまたは未満のいずれかである。
【0231】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーのマットは、「等方性」であるか、または等方性の特性を有する(例えば、これは、ナノファイバーマットが、材料の全ての配向において、および材料の全ての方向に沿って、同一または実質的に同様の特性を有することを意味する)。いくつかの実施形態において、マットは、「異方性」である(例えば、これは、マットが、材料の様々な配向において、または材料の様々な方向に沿って、様々な性質を有することを意味する)。いくつかの実施形態において、異方性の性質は、マット中のナノファイバーの配向を制御することによって形成される。例えば、ナノファイバーの方向が均一に制御される1つの実施形態において、軸の方向(ナノファイバーの方向)と、垂直方向との間で、銅ナノファイバーの電気伝導率が約100倍異なっていた。
【0232】
マットが異方性である実施形態において、所定の特性は、第2の配向または方向において、第1の配向または方向と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約80%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%などで異なる。いくつかの実施形態において、所定の特性は、第2の方向または配向において、第1の方向または配向よりも約10倍、約20倍、約50倍、約100倍、約200倍、約500倍、約1,000倍、約10,000倍などで高い。
【0233】
いくつかの実施形態において、所定の特性は、第2の配向または方向において、第1の配向または方向と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%などで異なる。いくつかの実施形態において、所定の特性は、第2の方向または配向において、第1の方向または配向で、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1,000倍、少なくとも約10,000倍などで高い。
【0234】
いくつかの実施形態において、所定の特性は、第2の配向または方向において、第1の配向または方向と比較して、最大で約5%、最大で約10%、最大で約15%、最大で約20%、最大で約30%、最大で約40%、最大で約50%、最大で約60%、最大で約80%、最大で約100%、最大で約150%、最大で約200%、最大で約300%、最大で約400%、最大で約500%などで異なる。いくつかの実施形態において、所定の特性は、第2の方向または配向において、第1の方向または配向よりも最大で約10倍、最大で約20倍、最大で約50倍、最大で約100倍、最大で約200倍、最大で約500倍、最大で約1,000倍、最大で約10,000倍などで高い。
【0235】
いくつかの実施形態において、マットは、第1の方向に伝導率を有し、第2の方向に伝導率を有し、ここで、第1の方向の伝導率は、第2の方向よりも、少なくとも100倍高い。いくつかの実施形態において、マットは、第1または第2の方向のいずれかにおいて、少なくとも1.0S/cmの伝導率を有する。
【0236】
いくつかの場合において、例えば、濾過の用途において、ナノファイバーマットの多孔度が考慮される。例えば、特定の直径の粒子を除去するためには、マットが、いくつかの場合において、除去される最も小さな粒子の直径よりも小さな孔(又はポア)を有することが望ましい。
【0237】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーマットの多孔度は、マットを構成するナノファイバーの多孔度よりも大きい。いくつかの実施形態において、マットの多孔度は、ナノファイバーストランドと、ナノファイバー自体内の孔との間の空間の組み合わせである。いくつかの場合において、顕微鏡観察を使用して多孔度を概算する。いくつかの場合において、その外表面によって規定される第1の容量を有するナノファイバーマットの多孔度は、第2の容量を有する流体中にナノファイバーマットを浸漬させることによって測定される。流体+浸漬したナノファイバーマットの容量によって、第3の容量を規定する。第4の容量は、第3の容量から第2の容量を引算することによって得られる。多孔度は、1−(第4の容量/第1の容量の比)である。いくつかの実施形態において、多孔度は、パーセンテージとして示される。
【0238】
ナノファイバーマットは、任意の適切な多孔度を有する。いくつかの実施形態において、多孔度は、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%などである。いくつかの実施形態において、多孔度は、最大で1%、最大で2%、最大で4%、最大で6%、最大で8%、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%などである。いくつかの実施形態において、多孔度は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%などである。いくつかの実施形態において、多孔度は、約1%〜10%、約10%〜50%、約20%〜30%、約30%〜70%、約1%〜50%、約5%〜20%などである。
【0239】
いくつかの場合において、多孔度は、長さの単位を有する。多孔の大きさ(porous length)は、ナノファイバーストランドのある点と、別のナノファイバーストランドの最も近い点との間の距離である。いくつかの場合において、この多孔の大きさよりも大きな寸法を有する物は、一般に、このマットを通過することができない。いくつかの場合において、多孔の大きさは、特定のサイズの粒子がナノファイバーマットを通過するまで、ナノファイバーマットに複数の直径の粒子を当てることによって測定され、これによって、ナノファイバーマットが、上記粒子の直径にほぼ等しい多孔の大きさを有することが示される。
【0240】
ナノファイバーマットの孔(ポア)は、任意の適切なサイズを有する。いくつかの実施形態において、孔は、その最大の寸法において、約0.1ミクロン、約0.2ミクロン、約0.5ミクロン、約0.7ミクロン、約1ミクロン、約2ミクロン、約4ミクロン、約6ミクロン、約8ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約70ミクロン、約100ミクロン、約200ミクロンなどである。いくつかの実施形態において、孔は、その最大の寸法で、最大で約0.1ミクロン、最大で約0.2ミクロン、最大で約0.5ミクロン、最大で約0.7ミクロン、最大で約1ミクロン、最大で約2ミクロン、最大で約4ミクロン、最大で約6ミクロン、最大で約8ミクロン、最大で約10ミクロン、最大で約15ミクロン、最大で約20ミクロン、最大で約30ミクロン、最大で約40ミクロン、最大で約50ミクロン、最大で約70ミクロン、最大で約100ミクロン、最大で約200ミクロンなどである。他の実施形態において、孔は、その最大の寸法で、少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約0.2ミクロン、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約0.7ミクロン、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約4ミクロン、少なくとも約6ミクロン、少なくとも約8ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約15ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約30ミクロン、少なくとも約40ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約70ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約200ミクロンなどである。いくつかの実施形態において、孔は、その最大の寸法において、約0.5ミクロン〜50ミクロン、約1ミクロン〜10ミクロン、約10ミクロン〜50ミクロン、約0.1ミクロン〜5ミクロン、約2ミクロン〜10ミクロン、約40ミクロン〜100ミクロンなどである。
【0241】
いくつかの場合、ナノファイバーマットの密度は、特定の用途において考慮する別の特徴である。いくつかの場合において、流体ストック中におけるポリマーの濃度は、マットの密度に影響を与える(例えば、可能性として、ポリマーの量が減少するほど、より密なマットが得られる。なぜなら、例えば、焼成でポリマーが除去される場合、より少ない数の空隙が形成されるからである)。1つの例において、マットの密度は、少なくとも約1g/mであった。ここで、ポリマーは、流体ストック中において、約30%未満であった。
【0242】
ナノファイバーマットは、任意の適切な密度を有する。いくつかの実施形態において、マットの密度は、約0.01g/cm、約0.05g/cm、約0.1g/cm、約0.2g/cm、約0.4g/cm、約0.8g/cm、約1g/cm、約5g/cm、約10g/cmなどである。いくつかの実施形態において、マットの密度は、少なくとも約0.01g/cm、少なくとも約0.05g/cm、少なくとも約0.1g/cm、少なくとも約0.2g/cm、少なくとも約0.4g/cm、少なくとも約0.8g/cm、少なくとも約1g/cm、少なくとも約5g/cm、少なくとも約10g/cmなどである。いくつかの実施形態において、マットの密度は、最大で約0.01g/cm、最大で約0.05g/cm、最大で約0.1g/cm、最大で約0.2g/cm、最大で約0.4g/cm、最大で約0.8g/cm、最大で約1g/cm、最大で約5g/cm、最大で約10g/cmなどである。いくつかの実施形態において、マットの密度は、約0.01g/cm〜0.05g/cm、約0.05g/cm〜0.3g/cm、約0.1g/cm〜1g/cm、約1g/cm〜5g/cmなどである。
【0243】
マットは、面積または容量あたり、任意の適切な数のストランドを有する。いくつかの場合において、顕微鏡観察を使用して、面積あたり、または容量あたりのストランドの数を決定する。いくつかの実施形態において、マットは、1mあたり、または1mmあたり、約5ストランド、約10ストランド、約50ストランド、約100ストランド、約150ストランド、約250ストランド、約500ストランド、約1,000ストランド、約5,000ストランド、約50,000ストランドなどを含む。いくつかの実施形態において、マットは、1mあたり、または1mmあたり、少なくとも約5ストランド、少なくとも約10ストランド、少なくとも約50ストランド、約100ストランド、少なくとも約150ストランド、少なくとも約250ストランド、少なくとも約500ストランド、少なくとも約1,000ストランド、少なくとも約5,000ストランド、少なくとも約50,000ストランドなどを含む。いくつかの実施形態において、マットは、1mあたり、または1mmあたり、約5ストランド〜50ストランド、約50ストランド〜500ストランド、約500ストランド〜5,000ストランド、約5,000ストランド〜50,000ストランドなどを含む。
【0244】
いくつかの場合において、ナノファイバーの結晶ドメインのサイズは、ナノファイバーまたはナノファイバーマットの特性に影響を与える(例えば、磁気強度および電気伝導率が挙げられる)。いくつかの場合において、焼成条件は、結晶化ドメインに影響を与える。いくつかの実施形態において、焼成条件を制御することによって、ナノファイバーまたはナノファイバーマットの特性を制御してもよい。1つの例において、図38は、Niナノファイバーを用いて焼成条件を調整することによって、5倍異なる磁気強度が得られたこと、および10000倍異なる電気伝導率が得られたことを示す。本明細書中に記載されるものは、特定のサイズの結晶ドメインを有するナノファイバーまたはナノファイバーマットである。また、本明細書の開示は、調整可能な特性を有するナノファイバーまたはナノファイバーマット、ならびにナノファイバーまたはナノファイバーマットの特性を調整するための方法を含む(例えば、磁気特性または伝導率特性が挙げられる)。
【0245】
いくつかの実施形態では、ナノファイバーにおいて、複数の結晶ドメインが存在する。いくつかの実施形態において、ドメインは、金属酸化物ドメインである。様々な実施形態において、かかるドメインは、様々なサイズ(又は寸法)、例えば、約1nm、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約40nm、約50nm、約70nm、約90nmなどを有する。いくつかの実施形態において、ドメインは、サイズが、少なくとも約1nm、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、少なくとも約15nm、少なくとも約20nm、少なくとも約25nm、少なくとも約30nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約70nm、少なくとも約90nmなどである。いくつかの実施形態において、ドメインは、サイズが、最大で約1nm、最大で約5nm、最大で約10nm、最大で約15nm、最大で約20nm、最大で約25nm、最大で約30nm、最大で約40nm、最大で約50nm、最大で約70nm、最大で約90nmなどである。いくつかの実施形態において、ドメインのサイズは、約1nm〜100nm、約20nm〜30nm、約1nm〜20nm、約30nm〜90nm、約40nm〜70nm、約15nm〜40nmなどである。
【0246】
1つの局面において、ナノファイバーおよび/またはナノファイバーマットは、磁性である。強磁性材料の保磁性(保磁場または保磁力とも呼ばれる)は、サンプルの磁化が行われて飽和になった後、この材料の磁化をゼロに減少させるのに付与される必要な磁場の強度である。保磁性は、通常、エルステッド(Oe)またはA/mの単位で測定される。
【0247】
いくつかの実施形態において、ナノファイバーマットは、任意の適切な磁気保磁性を有する。いくつかの実施形態において、ナノファイバーマットの磁気保磁性は、約10Oe、約20Oe、約40Oe、約60Oe、約80Oe、約100Oe、約125Oe、約150Oe、約175Oe、約200Oe、約250Oe、約300Oe、約350Oe、約400Oe、約500Oe、約1,000Oeなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーマットの磁気保磁性は、少なくとも約10Oe、少なくとも約20Oe、少なくとも約40Oe、少なくとも約60Oe、少なくとも約80Oe、少なくとも約100Oe、少なくとも約125Oe、少なくとも約150Oe、少なくとも約175Oe、少なくとも約200Oe、少なくとも約250Oe、少なくとも約300Oe、少なくとも約350Oe、少なくとも約400Oe、少なくとも約500Oe、少なくとも約1,000Oeなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーナットの磁気保磁性は、最大で約10Oe、最大で約20Oe、最大で約40Oe、最大で約60Oe、最大で約80Oe、最大で約100Oe、最大で約125Oe、最大で約150Oe、最大で約175Oe、最大で約200Oe、最大で約250Oe、最大で約300Oe、最大で約350Oe、最大で約400Oe、最大で約500Oe、最大で約1,000Oeなどである。いくつかの実施形態において、ナノファイバーマットの磁気保磁性は、約50Oe〜200Oe、約100Oe〜300Oe、約200Oe〜500Oe、約300Oe〜1,000Oe、約10Oe〜100Oe、約175Oe〜300Oe、約200Oe〜250Oeなどである。
【0248】
1つの局面において、ナノファイバーおよび/またはナノファイバーマットは、常磁性または超常磁性である。常磁性は、極度に付与された磁場の存在化で起こる磁気作用の形態である。超常磁性は、低強磁性またはフェリ磁性のナノ粒子またはナノファイバーに現われる磁気作用の形態である。いくつかの場合(例えば、十分に小さなナノ粒子またはナノファイバーの場合)では、磁化は、温度の影響下で、方向をランダムにフリップする。2回のフリップ間の時間をニール緩和時間と呼ぶ。外部の磁場がない場合、ナノ粒子の磁化を測定するために使用される時間がニール緩和時間よりもかなり長い場合、その磁化は、平均で、ゼロであるようである。すなわち、これらは、超常磁性の状態にあると言われる。この状態において、外部の磁場は、常磁性体と同様に、ナノ粒子またはナノファイバーを磁化することができる。
【0249】
(システム)
いくつかの実施形態において、ナノファイバーを製造するためにシステムのいくつかのコンポーネントが相互作用する。限定なく、これらは、電界紡糸装置および電界紡糸された流体ストックまたはナノファイバーを回収するためのモジュールを含む。これら2つのコンポーネントは、電圧差によって、関連づけられ、そうすることで、エレクトロスピナーから出る流体ストックの細いジェットは引っ張られて、回収モジュール上に堆積するようになる。いくつかの実施形態において、システムの電界紡糸コンポーネントは、ガスアシストエレクトロスピナー(gas-assisted electrospinner)である。流体ストックのジェットを加速させるために使用されるガスは、必要に応じて空気である。
【0250】
いくつかの実施形態において、システムは、流体ストックも含む。他のものと一緒に、流体ストックは、ナノファイバーを製造するために、エレクトロスピナーと相互作用する。いくつかの実施形態において、流体ストックは、伸長粘度を有し、これにより、流体ストックのジェットが、帯電した液滴からの噴出が可能となる。いくつかの実施形態において、流体ストックは、ポリマーおよび前駆体のシステムであり、これらは互いに相互作用して、少なくとも部分的に流体ストックの紡糸性およびナノファイバーの特性を決定する。
【0251】
いくつかの実施形態において、システムは、ナノファイバーを焼成するための装置(例えば、ヒータまたはガスチャンバ)も含む。いくつかの場合において、ガスは、システムの一部であり、ここで、ガスは、必要に応じて空気、水素、窒素、不活性ガスなどである。
【0252】
(電気化学デバイス)
電気化学デバイスとして、特に、燃料電池、バッテリ、キャパシタおよびウルトラキャパシタが挙げられる。いくつかの場合において、ソーラーセルは、電気化学デバイスである。いくつかの場合において、他の電気化学デバイスは、本明細書中に列挙されるカテゴリ内にフィットしない。様々な実施形態において、電気化学デバイスは、広範なエネルギー密度および出力密度(又は電力密度)を有し、これらは、Ragoneチャート(図40)に図表でまとめられる。エネルギー密度は、ワット・時間/キログラム(W・h/kg)の単位または均等のもので報告され、これは、所定のサイズのデバイス(質量または容量)で貯蔵された有用なエネルギーの量の測定(値)である。出力密度は、ワット/キログラム(W/kg)の単位または均等のもので報告され、これは、どのくらい迅速にエネルギーが利用され得るかの測定(値)である。いくつかの場合において、燃料電池は、高いエネルギー密度を有するが、出力密度は低い。いくつかの場合において、キャパシタは、高い電力密度を有するが、エネルギー密度は低い。いくつかの場合において、バッテリおよびウルトラキャパシタは、キャパシタと燃料電池との間のエネルギー密度および出力密度を有する。
【0253】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、電気化学デバイスでのナノファイバーの使用である。例えば、これらは、燃料電池またはバッテリの電極として使用される(ここで、例えば、これらは、高い伝導率および表面積などの有益な特性を有し得る)。いくつかの実施形態において、これらは、ウルトラキャパシタの誘電層として利用される。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む電気化学デバイスを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む電気化学デバイスを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含む電気化学デバイスを含む。いくつかの局面において、この開示は、また、ナノファイバーを含む電気化学デバイスを製造するための方法およびナノファイバーを含む電気化学デバイスを使用するための方法も含む。
【0254】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーを含むデバイスが造られる。いくつかの実施形態において、このようなデバイスは、かかるデバイスのコンポーネントをナノファイバーと置換すること(例えば、このようにデバイスの機能を改善すること)によって作製されるが、デバイスの全体の構成および設計は実質的に維持される。いくつかの実施形態において、ナノファイバーを含むデバイスの構成および全体の設計は、燃料電池、バッテリ、ウルトラキャパシタなどとは顕著に異なる。
【0255】
いくつかの場合において、高エネルギー密度および高出力密度の両方を有する電気化学デバイスを有するか、または作製すること、例えば電気自動車にエネルギーを与えること(長い運行範囲(すなわち、エネルギー密度)を有することと、急速に充電できて加速し得ること(すなわち、高い出力密度)の両方)が望ましい。電気化学デバイスは、任意の適切なエネルギー密度および出力密度を有する。出力密度が少なくとも約100W/kgであるいくつかの実施形態において、エネルギー密度は、少なくとも約10W・h/kg、少なくとも約50W・h/kg、少なくとも約100W・h/kg、少なくとも約500W・h/kg、少なくとも約1,000W・h/kg、少なくとも約5,000W・h/kgなどである。出力密度が少なくとも約500W/kgであるいくつかの実施形態において、エネルギー密度は、少なくとも約10W・h/kg、少なくとも約50W・h/kg、少なくとも約100W・h/kg、少なくとも約500W・h/kg、少なくとも約1,000W・h/kg、少なくとも約5,000W・h/kgなどである。出力密度が少なくとも約1,000W/kgであるいくつかの実施形態において、エネルギー密度は、少なくとも約10W・h/kg、少なくとも約50W・h/kg、少なくとも約100W・h/kg、少なくとも約500W・h/kg、少なくとも約1,000W・h/kg、少なくとも約5,000W・h/kgなどである。出力密度が少なくとも約5,000W/kgであるいくつかの実施形態において、エネルギー密度は、少なくとも約10W・h/kg、少なくとも約50W・h/kg、少なくとも約100W・h/kg、少なくとも約500W・h/kg、少なくとも約1,000W・h/kg、少なくとも約5,000W・h/kgなどである。出力密度が少なくとも約10,000W/kgであるいくつかの実施形態において、エネルギー密度は、少なくとも約10W・h/kg、少なくとも約50W・h/kg、少なくとも約100W・h/kg、少なくとも約500W・h/kg、少なくとも約1,000W・h/kg、少なくとも約5,000W・h/kgなどである。
【0256】
(燃料電池)
燃料電池は、電気化学セルであり、これは化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。いくつかの場合において、燃料供給(物)と酸化剤との間の反応から、電気が発生する。いくつかの実施形態において、反応物がセルに流入し、反応生成物が、そこから流出する。このとき、電解質がその中に残存する。いくつかの実施形態において、燃料電池は、外部の供給源からの反応物(又は反応原系)(すなわち、これは補充される)を消費する電気化学セルバッテリとは異なる。
【0257】
いくつかの実施形態において、燃料電池は、3つのセグメントから作製され、これらは、一緒にサンドイッチ構造となる(アノード、電解質およびカソード)。いくつかの実施形態において、2つの化学反応が、3つの異なるセグメントの界面で生じる。いくつかの実施形態において、2つの反応の正味の結果は、燃料が消費され、水または二酸化炭素が生成され、電流が形成されることである(例えば、これは、電気デバイスに電力を供給するために使用することができ、通常は、ロードと呼ばれる)。燃料と酸化体(又はオキシダント)との多くの組み合わせが可能である。いくつかの実施形態において、水素燃料電池は、その燃料として水素を使用し、その酸化体として酸素(例えば、空気の形態)を使用する。他の可能な燃料としては、炭化水素およびアルコールが挙げられる。他の可能な酸化体としては、塩素および二酸化塩素が挙げられる。
【0258】
いくつかの実施形態において、アノードにおいて、触媒が燃料(例えば、水素)を酸化し、この燃料を正に帯電したイオンと負に帯電した電子とに変換する。いくつかの実施形態において、電解質は、イオンはこれを通過し得るが、電子は通過しないように具体的に設計された物質である。いくつかの場合において、遊離した電子は、ワイヤを通過して移動し、電流を形成する。いくつかの場合において、イオンは、電解質を通って、カソードに移動する。いくつかの実施形態において、カソードに到達すると、イオンは、電子と再結合し、これら2つが第3の化学物質(例えば、酸素)と反応して、水または二酸化炭素を形成する。
【0259】
いくつかの実施形態において、燃料電池は、他の電源よりも高いエネルギー変換効率を有する(なぜなら、例えば、これは、化学エネルギーを直接的に電気に変換するからである)。いくつかの実施形態において、燃料電池は、汚染を生じない(例えば、燃料として水素を使用する場合)か、あるいは燃焼と比較して、汚染が少ない(例えば、燃料として炭化水素を使用する場合)。いくつかの実施形態において、燃料電池は、迅速に作動し、騒音汚染が減少する。いくつかの実施形態において、燃料電池は、連続的に作動して、燃料が供給される限り、電気を発生する。いくつかの場合において、燃料電池は、携帯電子デバイス、自動車および定置用発電を含む用途において使用される。
【0260】
いくつかのプロトン交換膜燃料電池において、アノードで水素を酸化するための触媒は、炭素に担持された白金である。この有名な使用にもかかわらず、このPt/Cアノード系は、いくつかの場合において、特定の欠点を示す。第1に、炭素の使用は、概して、いくつかの実施形態において、電極の腐食をもたらす。第2に、白金は高価な触媒である。いくつかの場合において、本明細書中に記載される燃料電池は、ナノファイバーに基づく電極を含む(例えば、炭素による腐食を抑制し、高価なPtのローディングが減少する)。1つの実施形態において、ナノファイバーは、金属間のFe−Ptを含む。
【0261】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、燃料電池におけるナノファイバーの使用である。例えば、これらは、電極として、必要に応じてアノードまたはカソードとして使用される。様々な局面において、本明細書中に記載されるものは、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む燃料電池、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む燃料電池であり、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含む燃料電池が挙げられる。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む燃料電池を製造するための方法およびナノファイバーを含む燃料電池を使用するための方法である。
【0262】
様々な実施形態において、ナノファイバーは、任意の適切な材料を含み、鉄(Fe)、白金(Pt)、または任意のそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、純粋な金属のナノファイバーまたは金属アロイのナノファイバーであり、任意のハイブリッドまたは中空のジオメトリを含む。いくつかの実施形態において、原子は、特定の配置(又はアレンジメント)(例えば、面心の正方晶の構造が挙げられる)を有する。様々な実施形態において、燃料電池のナノファイバー中のFe:Ptの原子の比は、例えば、約1Fe:5Pt、または約4Fe:5Ptである。いくつかの実施形態において、FeおよびPtの原子は、実質的に均一に互いの間に分布される(すなわち、ナノファイバーは、PtまたはFeの凝集体は含まない。いくつかの実施形態において、Fe−Ptの面心正方晶の構造の形成を行って、酸素の減少を促進し、最小のPtローディングでの耐久性を高める。いくつかの場合、任意の面心正方晶構造は、また、Ptの接続性を提供する。
【0263】
いくつかの場合、Pt/Cの燃料電池は、Pt粒子をCと混合して、この混合物の蒸着によって電極を形成する。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーおよび電極は、燃料電池のコストを(例えば、少ない白金を使用することによって)顕著に減少させる。いくつかの実施形態において、ガスアシスト電界紡糸の手順は、蒸着よりも安価で迅速な方法(又はプロセス)である。
【0264】
いくつかの実施形態において、燃料電池は、アノードを含み、このアノードは、ナノファイバーを含む。いくつかの実施形態において、減少した量の白金が好ましい(例えば、コストのため)。アノードは、任意の適切な量の白金を有する(白金を含まなくてもよい)。いくつかの実施形態において、アノードは、質量%で、約5%Pt、約10%Pt、約15%Pt、約20%Pt、約25%Pt、約30%Pt、約40%Pt、約50%Pt、約70%Ptなどを有する。いくつかの実施形態において、アノードは、質量%で、最大で約5%Pt、最大で約10%Pt、最大で約15%Pt、最大で約20%Pt、最大で約25%Pt、最大で約30%Pt、最大で約40%Pt、最大で約50%Pt、最大で約70%Ptなどを有する。いくつかの実施形態において、燃料電池は、従前のPt/C燃料電池よりも少なくとも10倍少ない、または少なくとも30倍少ないPtを有する。いくつかの実施形態において、従前のPt/C燃料電池と比較して、カソードの腐食の量が減少される。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、燃料電池における腐食を減少または実質的に排除する。いくつかの実施形態において、減少した腐食(例えば、スタートアップまたはシャットダウンの際)によって、燃料電池の性能が向上する。1つの局面において、本明細書中に記載される燃料電池は、実質的に炭素なしで構成される。1つの局面において、本明細書中に記載される燃料電池は、アノードにおいて、実質的に炭素なしで構成される。
【0265】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される燃料電池は、高い電流密度を有する。電流密度は、任意の適切な値である。いくつかの実施形態において、電流密度は、約−0.01mA/cm、約−0.02mA/cm、約−0.04mA/cm、約−0.06mA/cm、約−0.08mA/cm、約−0.1mA/cm、約−0.3mA/cmなどである。いくつかの実施形態において、電流密度は、少なくとも約−0.01mA/cm、少なくとも約−0.02mA/cm、少なくとも約−0.04mA/cm、少なくとも約−0.06mA/cm、少なくとも約−0.08mA/cm、少なくとも約−0.1mA/cm、少なくとも約−0.3mA/cmなどである。いくつかの実施形態において、電流密度は、従前のPt/C燃料電池よりも約4倍大きい。
【0266】
いくつかの実施形態において、燃料電池は、増加した反応安定性を有する。いくつかの場合において、反応安定性は、CVサイクルの数として報告される。サイクリックボルタンメトリ(又はCV)は、動電位の電気化学の測定の一種である。いくつかのサイクリックボルタンメトリの実験において、作用電極の電位は、時間に対して、直線的に上昇する(例えば、リニアスウィープボルタンメトリのように)。いくつかの場合において、サイクリックボルタンメトリは、リニアスウィープボルタンメトリよりもさらに1工程多い実験を採用する(これは、設定した電位に到達したときに終了する)。サイクリックボルタンメトリが、設定した電位に到達したとき、作用電極の電位のランプが反対になる。いくつかの実施形態において、この反転は、1回の実験の間に複数回起こる。いくつかの実施形態において、作動電極における電流を、印加した電圧に対してプロットして、サイクリックボルタンモグラムの記録を得る。いくつかの場合において、サイクリックボルタンメトリを使用して、溶液中の分析物の電気化学的特性を研究する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される燃料電池は、従前のPt/C燃料電池よりも、約1.5倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約10倍以上などのCVサイクルを有する。
【0267】
1つの局面において、燃料電池は、従前のPt/C燃料電池よりも、顕著に薄い。いくつかの場合において、減少した厚みによって、より多くの燃料電池を所定の容量内に充填することができ、これによって、全体の性能が増加し、および/またはコストが減少する。燃料電池は、任意の適切な厚みを有する。いくつかの実施形態において、燃料電池の厚みは、その最も短い寸法に沿って測定する場合、約0.2mm、約0.5mm、約0.7mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、約5mmなどである。いくつかの実施形態において、燃料電池の厚みは、その最も短い寸法に沿って測定する場合、最大で約0.2mm、最大で約0.5mm、最大で約0.7mm、最大で約1mm、最大で約1.5mm、最大で約2mm、最大で約5mmなどである。
【0268】
(バッテリ)
いくつかの場合において、バッテリは、電気化学セルから構成され、これらは、連続して接続されるか、および/または平行して接続され、必要な電圧および容量を提供する。いくつかの場合において、各セルは、正の電極および負の電極から構成され(両方が、化学反応を提供する)、これらは電解質の溶液によって分離され、これによって、2つの電極の間でイオンが移動することが可能となる。これらの電極が外部から接続されると、化学反応が、両方の電極で並んで進行する(すなわち、これによって、電子を放出し、電流を使用することが可能となる)。いくつかの場合において、バッテリが送達することのできる電気エネルギーの量(典型的には、重量の単位あたりで示され(例えば、W・h/kgまたはmW・h/g))は、セルの電位(V)および容量(A・h/kg)の関数であり、これは、この系の化学に直接的に関連する。
【0269】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むバッテリである。例えば、ナノファイバーを電極、必要に応じてアノードまたはカソードに使用する。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、本明細書中に記載されるようなナノファイバーを含むバッテリであり、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含むバッテリが挙げられ、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含むバッテリが挙げられる。いくつかの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むバッテリを製造するための方法およびナノファイバーを含むバッテリを使用するための方法である。
【0270】
本明細書の開示は、全てのタイプのバッテリを含む。いくつかの実施形態において、バッテリは、再充電可能なリチウムバッテリである。様々な実施形態において、ナノファイバー、アノード、およびカソードは、任意の適切な金属である。再充電が可能なリチウムバッテリの実施形態では、例えば、シリコンまたはゲルマニウムがアノード材料として使用される(例えば、これらの材料は、低い放電の電位および高い理論の充電容量(それぞれ、約4,200mA・h/gおよび1,600mA・h/g)を有するからである(黒鉛状炭素のもの(373mA・h/g)との比較))。1つの実施形態において、ナノファイバーは、SiまたはGeナノファイバーである。いくつかの実施形態において、アノードは、SiまたはGeのナノファイバーを含む。
【0271】
いくつかの場合において、シリコンのアノードは、用途が限定される。なぜなら、シリコンの容量が、リチウムの挿入(又はインサーション)および抽出(又はエクストラクション)の際に変化するからであり、これによって、破砕および容量の低下が生じる。いくつかの場合において、中空のナノファイバーは、破砕することなく、容量の変化に対応することができる。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、中空である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるバッテリは、中空のSiまたはGe(あるいはSi/Geの組み合わせ)のナノファイバーを含む。
【0272】
いくつかの実施形態において、中空のSiおよび/またはGeのナノファイバーは、水系の多軸電界紡糸によって製造される。様々な実施形態において、ナノファイバーは、純粋なSiO、およびそのV、ZrO、TiO、Fe、Ni、およびFeを含む炭素とのハイブリッドを含む。いくつかの実施形態において、純粋なセラミックのナノファイバー(例えば、SiO、Al、およびZrOなど)は、それらの前駆体を含む水性ポリマー溶液の電界紡糸、続く熱処理によって製造される。
【0273】
中空のSiまたはGeのナノファイバー(例えば、リチウムイオンバッテリのアノード用)は、任意の適切な方法で製造される。1つの実施形態において、鉱油および水性ポリマー溶液をSiまたはGe前駆体とともに同軸で電界紡糸(それぞれ、コアおよびシース層として)し、続いて、鉱物コアを除去して、中空の構造を形成する。1つの実施形態において、ガスアシスト同軸電界紡糸を用いて(例えば、ここでは、コアとして空気の流れを使用し)、紡糸の間に中空の構造を形成する(例えば、より高い出力(スループット)のために、シース層ジェットの前駆体溶液を引っ張る)。
【0274】
還元の任意の適切な方法を用いる(例えば、中空のSiまたはGeの前駆体ナノファイバーの電界紡糸の後)。いくつかの実施形態において、熱処理および/または化学的な還元を適用して、純粋な中空のSiまたはGeのナノファイバーを得る。いくつかの場合において、リチウムイオンバッテリ用途のリチウムの挿入および抽出の際の容量の膨張の程度を評価する。
【0275】
本明細書中に記載されるナノファイバーは、任意の適切な量の容量の膨張を有する。いくつかの実施形態において、容量の膨張は、約100%、約200%、約300%、約400%、約600%、約800%などである。いくつかの実施形態において、容量の膨張は、最大で約100%、最大で約200%、最大で約300%、最大で約400%、最大で約600%、最大で約800%などである。
【0276】
本明細書中に記載されるバッテリは、任意の適切な再充電効率を有する。いくつかの実施形態において、再充電効率は、約500mAh/g、約800mAh/g、約1,200mAh/g、約1,600mAh/g、約2,000mAh/g、約3,000mAh/g、約5,000mAh/g、約10,000mAh/gなどである。いくつかの実施形態において、再充電効率は、少なくとも約500mAh/g、少なくとも約800mAh/g、少なくとも約1,200mAh/g、少なくとも約1,600mAh/g、少なくとも約2,000mAh/g、少なくとも約3,000mAh/g、少なくとも約5,000mAh/g、少なくとも約10,000mAh/gなどである。
【0277】
(ウルトラキャパシタ)
従来のキャパシタにおいて、エネルギーは、概して、一方の金属プレートからチャージキャリア(典型的には、電子)を除去し、もう一方の金属プレートにこのチャージキャリアを配置することによって保存される。いくつかの場合において、このチャージの分離によって、2つのプレートの間で電位が生じ、これは、外部の回路で利用される。いくつかの場合において、保存される全エネルギーは、保存されたチャージ(又は電荷)の量およびこれらのプレートの間の電位の両方とともに増加する。いくつかの場合において、電圧1単位あたりに保存されるチャージの量は、プレートのサイズ、距離、および材料の特性ならびにプレート間の材料(誘電性の材料)の関数であり、このとき、プレート間の電位は、誘電性の材料の破壊によって制限される。いくつかの場合において、誘電性の材料によって、キャパシタの電圧が制御される。いくつかの場合において、この誘電性の材料を変化させることによって、所定のサイズのキャパシタについて、より高いエネルギー密度がもたらされる。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、キャパシタにおけるナノファイバーの使用である。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含むキャパシタを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含むキャパシタを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含むキャパシタを含む。いくつかの局面において、この開示は、また、ナノファイバーを含むキャパシタを製造するための方法およびナノファイバーを含むキャパシタを使用するための方法を含む。
【0278】
また、電気二重層キャパシタ(EDLC)、スーパーキャパシタ、スーパーコンデンサ、シュード(疑似)キャパシタまたは電気化学二重層キャパシタとしても知られているウルトラキャパシタは、比較的に高いエネルギー密度を有する電気化学のキャパシタである。いくつかの場合において、エネルギー密度は、従来の電解キャパシタと比較して、数百倍のオーダーで大きい。いくつかの場合において、ウルトラキャパシタは、バッテリまたは燃料電池と比較して、より高い出力密度を有する。
【0279】
いくつかの場合において、ウルトラキャパシタは、従来の誘電性材料を有していない。いくつかの場合において、ウルトラキャパシタは、2つの物質(必要に応じて同一の物質)の層である「プレート」を使用し、これらは、挿入物質によって分離された2つの別個のプレートではない。いくつかの場合において、この「電気二重層」によって、層の物理的な小さな分離(例えばナノメートルのオーダーでの分離)にもかかわらず、チャージの分離がもたらされる。いくつかの場合において、ウルトラキャパシタの誘電性材料の嵩高い層がなくなることによって、かなり大きな表面積のプレートを所定のサイズに充填することが可能となり、それによって、キャパシタと比較して、より大きなキャパシタンスが得られる。
【0280】
様々な実施形態において、任意のコンポーネントのウルトラキャパシタは、ナノファイバー(例えば、多孔質の炭素/BaTiO/セパレータ)を含む。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、水系のガスアシスト電界紡糸の方法(又はプロセス)から製造される。いくつかの実施形態において、誘電二重奏は、ナノファイバーを含む。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むウルトラキャパシタである。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含むウルトラキャパシタを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含むウルトラキャパシタを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含むウルトラキャパシタを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むウルトラキャパシタを製造するための方法およびナノファイバーを含むウルトラキャパシタを使用するための方法である。
【0281】
いくつかの実施形態において、ウルトラキャパシタは、誘電層とともに多孔質炭素電極を含む。いくつかの実施形態において、多孔質炭素電極は、ナノファイバーから形成される。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、炭素電極上に配置される。様々な実施形態において、ナノファイバーは、適切な誘電率を有する任意の材料を含む。非限定的な例は、StTiO、BaTiO、SrBaTiO、それらの混合物、およびそれらの組み合わせである。様々な実施形態において、ナノファイバーは、任意の適切なジオメトリであり、ハイブリッドまたは中空のナノファイバーが挙げられる。
【0282】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるものは、ウルトラキャパシタにおける使用に適したナノファイバーを製造するための方法(又はプロセス)である。1つの局面において、この方法は、流体ストックを電界紡糸することを含み、ここで、流体ストックは、ポリマーに結合される前駆体分子を含む。いくつかの実施形態において、前駆体分子は、Ba、St、Ti、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、紡糸されたナノファイバーを熱的に処理することを含む。
【0283】
いくつかの実施形態において、ウルトラキャパシタは、電解質と電極(例えば、活性炭の電極)との間の界面において、誘電ナノファイバーの薄層を含む。いくつかの場合において、このナノファイバーの層によって、増加したキャパシタンスが得られる。キャパシタンス密度は、1立方センチメートルあたりのファラド(F/cm)の単位または均等のもので報告される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるウルトラキャパシタのキャパシタンス密度は、約10F/cm、約20F/cm、約50F/cm、約100F/cm、約200F/cm、約500F/cm、約1,000F/cmなどである。いくつかの実施形態において、ウルトラキャパシタのキャパシタンス密度は、少なくとも約10F/cm、少なくとも約20F/cm、少なくとも約50F/cm、少なくとも約100F/cm、少なくとも約200F/cm、少なくとも約500F/cm、少なくとも約1,000F/cmなどである。
【0284】
図45は、電解質4501、セパレータ4502および活性炭電極4503を含む電解二重層ウルトラキャパシタの断面図を示す。
【0285】
図46は、ウルトラキャパシタ(電解質Cを有する)の活性炭Aに配置されたチタン酸バリウムのナノファイバーBの断面図を示す。
【0286】
(ソーラーセル)
いくつかの場合において、ソーラーセル(又は太陽電池)(光起電力セルまたは光電セルとも呼ばれる)は、固体状態の電気デバイスであり、これは、光起電力効果によって、光のエネルギーを直接的に電気に変換するものである。いくつかの場合において、セルのアセンブリを使用して、モジュール(例えば、ソーラーパネル)を作製し、これを使用して、太陽光からのエネルギーを捕捉する。
【0287】
光起電技術は、光から電気を生成する光起電力セルの使用に関連する技術の分野である(ただし、これは、太陽光からの電気の生成を指すために、しばしば具体的に使用されるものである)。いくつかの場合において、光起電力デバイスは、様々な伝導メカニズムの2つの材料の界面でのチャージが分離するという概念に基づく。いくつかの場合において、光起電力デバイスは、固体状態の接合型デバイスであり、通常は、シリコンから作製される(例えば、経験および半導体産業から得られる材料の入手可能性から利益を得る)。しかし、他の設計および材料を利用することができる。
【0288】
様々な実施形態において、任意のコンポーネントのソーラーセル(例えば、薄膜ソーラーセル)は、ナノファイバーを含む。例示のコンポーネントとしては、アノード、n−層、活性層、p−層およびカソードが挙げられる。いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、本明細書中に記載される水系のガスアシスト電界紡糸の方法(又はプロセス)によって製造される。いくつかの実施形態において、n−層、活性層およびp−層は、ナノファイバーを含む。1つの局面において、本明細書の開示は、ソーラーセル中のナノファイバーの使用を含む。本明細書の開示は、本発明のナノファイバーを含むソーラーセルを含み、本発明の方法によって製造されるナノファイバーを含むソーラーセルを含み、本発明のシステムによって製造されるナノファイバーを含む薄膜のソーラーセルを含む。また、この開示は、ナノファイバーを含むソーラーセルを製造するための方法およびナノファイバーを含むソーラーセルを使用するための方法を含む。
【0289】
1つの実施形態において、カソードは、ナノファイバー(例えば、アルミニウム)を含む。様々な実施形態において、任意の適切な材料をカソードとして使用し、これは、純粋な金属のナノファイバー(金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、銅(Co)および/またはカルシウム(Ca)など)を含む。
【0290】
いくつかの場合において、n−層は、電子の移動を準備する。いくつかの実施形態において、n−層は、ZnOナノファイバーを含む。任意の適切なバンドギャップ材料をn−層として使用し、これは、任意の適切な純粋な金属酸化物(TiOなど)のナノファイバーを含む。
【0291】
1つの実施形態において、光活性層は、PbSeのナノファイバーを含む(ここで、例えば、PbSeの結晶がナノスケールのサイズである)。任意の適切なバンドギャップ材料を光活性層として使用し、これは、任意の適切なハイブリッドの材料(CdTe、CdS、PbSおよび/またはPbTeなど)のナノファイバーを含む。
【0292】
いくつかの場合において、p−層は、孔の移動を提供する。いくつかの実施形態において、p−層は、NiOナノファイバーを含む。任意の適切なバンドギャップ材料をp−層として使用し、これは、任意の適切な純粋な金属酸化物(CuInGaSeなど)のナノファイバーを含む。
【0293】
いくつかの場合において、インジウムスズオキシド(「ITO」)は、最も広範に使用される透明な伝導性の酸化物の1つである(例えば、ソーラーセルの基材として)。いくつかの場合において、ITOは、優れた電気伝導率および光学的な透明性を有する。いくつかの場合において、ITOは、薄膜として、容易に配置される。1つの実施形態において、アノードは、ITOナノファイバーを含む。いくつかの場合において、任意の適切な伝導性の透明な材料をアノードとして使用し、これは、任意の適切な純粋な無機材料(炭素など)のナノファイバーを含む。
【0294】
いくつかの実施形態において、カソードは、Alを含み、n−層は、ZnOを含み、光活性層は、PbSeを含み、p−層は、NiOを含み、アノードは、ITOを含む。いくつかの実施形態において、任意の1以上のコンポーネントがナノファイバーを含む。いくつかの場合において、ナノファイバーに基づくソーラーセルは、ナノ結晶のなかでも、各層において、良好な接続性を有し、再結合の損失が最小である。いくつかの場合において、ナノファイバーに基づくソーラーセルによって、各コンポーネントの方法(又はプロセス)において、非適合性に関連する煩雑さが排除される。
【0295】
図37は、本明細書中において提供されるナノファイバーを使用するソーラーセルデバイスの実施形態の概略を示す。
【0296】
(フレキシブルソーラーセル)
いくつかの場合において、無機の固体状態の接合型デバイスは、ナノ結晶性で伝導性のフィルム(すなわち、薄膜)に基づくセルで置換されている。いくつかの場合において、薄膜の構造によって、光起電力デバイスのコストが低下する(例えば、高価なシリコンウエハの使用を排除することによって)。いくつかの場合において、ここで、これは、半導体に対するコンタクト相を電解質、液体、ゲルまたは固体に交換することによって、固体状態の接合型デバイスから完全に逸脱することが可能であり、それによって、光−電気化学セルを形成する。いくつかの場合において、このファミリーのデバイスのプロトタイプは、色素増感ソーラーセルである(図41を参照のこと)。いくつかの場合において、色素増感ソーラーセルは、光吸収を行い、そして広いバンドギャップの半導体のナノ結晶性モルホロジーを有する光吸収材料としての増感剤の結合によるチャージの分離プロセスを行う。
【0297】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む薄膜のソーラーセルおよび光−電気化学セルである。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む薄膜ソーラーセルおよび光−電気化学セルを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む薄膜ソーラーセルおよび光−電気化学セルを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含む薄膜ソーラーセルおよび光−電気化学セルを含む。様々な局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む薄膜ソーラーセルおよび光−電気化学セルの製造方法および使用方法である。
【0298】
いくつかの場合において、薄膜ソーラーセルおよび光−電気化学セルは、可撓性(又はフレキシブル)である。いくつかの場合において、ITO(インジウムスズオキシド)は、可撓性ではない。いくつかの場合において、透明ポリマーに基づく様々なフレキシブル基板が開発されているが、これらは、電極材料の熱処理(>450℃)に十分な熱安定性を提供しないか、あるいは基板と電極との間の良好な接着を提供しない。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるものは、アルミナ(コア)およびITO(シース)の同軸のナノファイバー(例えば、フレキシブルソーラーセル用途の基板としての使用のためのもの)である。いくつかの実施形態において、アルミナ/ITOのナノファイバーは、良好な熱安定性を有し、基板と電極との間の良好な接着を有する。
【0299】
いくつかの場合において、無機材料(アルミナ、アルミナ−マグネシアおよびジルコニアなど)は、触媒用途のためのフレキシブル基板として作製されている。いくつかの実施形態において、これらの可撓性の無機材料の同軸ナノファイバーのITOシース中への挿入によって、透明性および伝導率を失うことなく、向上した可撓性が得られる。いくつかの実施形態において、このようなアルミナおよびITOの同軸のナノファイバーは、水性の紡糸によって製造される(例えば、フレキシブルソーラーセルの基板として)。いくつかの実施形態において、アルミナ/ITOのナノファイバーのカソードの造成は、2つの工程で実施される。いくつかの実施形態において、高ローディングのAl前駆体を含む水性のポリマー溶液および高ローディングのITO前駆体を含む水性のポリマー溶液は、それぞれコアおよびシース層として、同軸で電界紡糸され、続いて、熱処理により、アルミナ/ITOの同軸ナノファイバーが形成される。
【0300】
いくつかの実施形態において、高速の空気の流れをこの同軸の手順にさらなるスキン層として含ませる(すなわち、アルミナ前駆体(コア)/ITO(中間)/空気(シース)の3軸のジェット)。いくつかの実施形態において、ガスフローによって、さらに高速でナノファイバーが製造される。いくつかの実施形態において(例えば、図43に示される通り)、シリカ層によってサンドイッチ構造とされたブロックコポリマーの囲まれたアセンブリで3軸の電界紡糸を利用する。
【0301】
様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含むフレキシブルソーラーセルを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含むフレキシブルソーラーセルを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含むフレキシブルソーラーセルを含む。いくつかの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むフレキシブルソーラーセルを製造するための方法およびナノファイバーを含むフレキシブルソーラーセルを使用するための方法である。1つの局面において、本開示は、アルミナ、ITO、またはアルミナとITOとの混合物を含むナノファイバーを含む基板を含むソーラーセルを含む。
【0302】
図42は、薄膜のナノ結晶/ナノワイヤのハイブリッドソーラーセルの作動原理を示す。
【0303】
図44は、SiO(コア)/Feを含むPI−b−PS(中間)/SiO(シース)の3軸ナノファイバーのTEM画像を示す。
【0304】
(他の用途)
いくつかの場合において、純粋な金属および/またはセラミックのナノファイバーの電気化学デバイスの用途以外の他の用途が存在する(例えば、フィルタ、センサ、触媒、膜、 電極、組織再生マトリクスなど)。
【0305】
触媒作用は、触媒と呼ばれる物質の関与に起因して、化学反応の速度で変化する。いくつかの場合において、化学反応に参加する試薬と違って、触媒は、反応自体で消費されない。いくつかの場合において、触媒は、複数の化学的なトランスフォーメーションに参加する。いくつかの場合において、反応を速める触媒は、正触媒と呼ばれる。いくつかの場合において、触媒と相互作用して反応を遅くする物質を阻害剤(又はインヒビタ)(又は負触媒)と呼ぶ。いくつかの場合において、触媒の活性を増加させる物質は、促進剤(又はプロモータ)と呼ばれ、触媒を不活性化する物質を、触媒毒と呼ぶ。
【0306】
いくつかの場合において、固体状態の触媒(不均一系触媒として知られている場合もある)は、それらの表面で反応を触媒する。例示の固体状態の触媒は、金属および金属アロイである。いくつかの場合において、金属および金属アロイは、高価であり(例えば、貴金属)、反応は、表面で触媒される。いくつかの場合において、表面/質量の比が大きな触媒を使用することは利点がある(例えば、コストに対して性能を最大化する)。いくつかの場合において、長く細いナノファイバーは、表面積/質量の比が高く、従って、触媒を製造するのに望ましい材料である。
【0307】
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、触媒である。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む触媒を含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む触媒を含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含む触媒を含む。いくつかの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む触媒を製造するための方法およびナノファイバーを含む触媒を使用するための方法である。
【0308】
いくつかの場合において、水素は、燃料電池での使用に適したエネルギーキャリアである。1つの実施形態において、触媒は、コンポジットナノファイバーを含み、これは、第1の層(例えば、FeまたはNiを含む)と、第2の層(例えば、SiO、ZrOまたはAlを含む)とを含む。いくつかの実施形態において、触媒は、グルコースまたはセルロースからHを製造することができる。いくつかの実施形態において、触媒は、約60℃(例えば、約40℃から増加させる)のHの製造のために最大の温度を有する。
【0309】
いくつかの場合において、硫化水素は、有毒ガスであり、これは、いくつかの産業プロセスにおいて、汚染物質である。いくつかの場合において、硫化水素は、触媒によって除去される。いくつかの実施形態において、触媒は、コンポジットナノファイバー(例えば、ZrO上のZnOを含む)を含む。いくつかの実施形態において、触媒は、煙道ガスからHSを除去することができる。いくつかの実施形態において、触媒は、10ppmの濃度までHSを除去することができる。
【0310】
いくつかの場合において、フィルタを使用して、流体の流れ(又はストリーム)から粒子を精製する。1つの局面において、本明細書の開示はフィルタを含む。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含むフィルタを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含むフィルタを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含むフィルタを含む。様々な局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むフィルタを製造するための方法およびナノファイバーを含むフィルタを使用するための方法である。
【0311】
いくつかの実施形態において、フィルタは、ウォーターフィルタである。いくつかの実施形態において、フィルタは、エアフィルタである。いくつかの実施形態において、フィルタは、特定のサイズの粒子を除去するように設計される。
【0312】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、センサで使用される。1つの実施形態において、センサは、金属酸化物を含むナノファイバーを含む。いくつかの実施形態において、金属酸化物は、伝導性金属中に分散される。いくつかの実施形態において、分子は電流の変化によって検知される。1つの実施形態において、ナノファイバーは、Vを含み、分子は、アンモニアである。
【0313】
1つの局面において、本明細書の開示はセンサを含む。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含むセンサを含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含むセンサを含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含むセンサを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含むセンサを製造するための方法およびナノファイバーを含むセンサを使用するための方法である。
【0314】
いくつかの場合において、膜(又はメンブレン)は、一般的または選択的なバリアであり、これは、しばしば、薄いものである。いくつかの場合において、本明細書中に記載されるナノファイバーは、膜に形成される。1つの実施形態において、膜は、ナノファイバー(例えば、金属酸化物を含むSiO)を含む。いくつかの実施形態において、膜は、排水から金属イオンを除去することができる。いくつかの実施形態において、膜は、TiOを含むナノファイバーを含む。いくつかの実施形態において、膜は、有機汚染物質を分解することができる。様々な実施形態において、汚染物質は、農薬または揮発性の有機化合物である。いくつかの場合において、汚染物質の分解は、光触媒性である(すなわち、光によって触媒される)。
【0315】
1つの局面において、本明細書の開示は膜を含む。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む膜を含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む膜を含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含む膜を含む。いくつかの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む膜を製造するための方法およびナノファイバーを含む膜を使用するための方法である。
【0316】
いくつかの場合において、電極は、電気コンダクタであり、これを使用して、回路(例えば、半導体、電解質またはバキューム)の非金属部分との接触を形成する。いくつかの場合において、電極は、電気化学デバイスにおいて利用される(例えば、燃料電池、バッテリ、ウルトラキャパシタおよびソーラーセル)。1つの局面において、本明細書の開示は、電極を含む。様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む電極を含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む電極を含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノフイバーを含む電極を含む。いくつかの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む電極を製造するための方法およびナノファイバーを含む電極を使用するための方法である。
【0317】
いくつかの場合において、ナノファイバーは、医薬において使用され、組織培養における使用を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるものは、組織再生マトリクスである。例えば、ナノファイバーは、多孔質のスキャホールドを構成するために使用され、これに細胞が播種され、増殖して、このスキャホールドを満たす(例えば、それによって、組織の捕捉または置換に適した材料を製造する)。
【0318】
様々な局面において、本明細書の開示は、本明細書中に記載されるナノファイバーを含む電極を含み、本明細書中に記載される方法によって製造されるナノファイバーを含む電極を含み、本明細書中に記載されるシステムによって製造されるナノファイバーを含む電極を含む。いくつかの局面において、本明細書中に記載されるものは、ナノファイバーを含む電極を製造するための方法およびナノファイバーを含む電極を使用するための方法である。
【0319】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中に示され記載されているが、かかる実施形態は、例示のみの方法で提供されることは、当業者には明らかである。ここで、本発明から逸脱することなく、当業者には多数のバリエーション、変更および置換が見出される。本明細書中に記載される本発明の実施形態の様々な代替が本発明の実施の際に採用され得ることを理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、発明の範囲を規定することが意図され、かかる特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物は、特許請求の範囲によって包含される。
【実施例】
【0320】
<実施例>
(実施例1−酢酸ニッケルおよびPVAの流体ストックの調製)
2グラムの酢酸ニッケル(金属前駆体)を20mlの1Mの酢酸溶液中に溶解させた。この溶液を2時間にわたって撹拌して酢酸ニッケルの溶液を調製した。溶液は、均質であった。
【0321】
第2の溶液において、1gの99.7%の加水分解されたポリビニルアルコール(PVA)(平均分子量:79kDa、多分散指数:1.5)を10mlの脱イオン水中に溶解させた。このポリマー溶液を95℃の温度に加熱し、2時間撹拌して、均質溶液を調製した。
【0322】
次いで、酢酸ニッケル溶液をPVA溶液と合わせて、流体ストックを調製した。この流体ストック中に前駆体を実質的に均一に分散させるために、2時間にわたって連続的に強く撹拌しながら、ポリマー溶液に前駆体溶液を徐々に添加した。この流体フィードの前駆体:ポリマーの質量比(最初の酢酸ニッケルの質量に基づく比)は、2:1であった。
【0323】
(実施例2−酢酸ニッケルおよびPVAの流体ストックのキャラクタリゼーション)
金属前駆体のリガンドと、ポリマー骨格上の官能基との間の化学的な相互作用によって、紡糸性を失うことなく、極めて高いローディングの金属前駆体が得られた。この相互作用は、様々な比のPVA:Ni前駆体のナノファイバーについて、FT−IRの研究によって実証された。図2に実証される通り、−OH結合の大幅な減少および−CO結合の実質的な増加が高ローディングのNi前駆体(Ni:PVA=4:1)において観察された。
【0324】
(実施例3−酢酸ニッケルおよびPVAの流体ストックの電界紡糸)
ガスアシスト技術によって実施例1の流体ストックを電界紡糸した。全体のプロセスおよび装置を図1に示す。紡糸口金(内側(流体ストック)のノズルの直径:4.13×10−4m、外側(空気)の直径:1.194×10−3m)に接続されたシリンジポンプに流体ストックを充填した。ノズルと回収プレートとの間の距離を約15cmに維持して、流体ストックを0.1ml/minの速度で紡糸した。+15kVのチャージをコレクタにおいて維持した。ノズルにおける空気の速度は、100m/sであった。ノズルにおける空気および流体ストックの温度は、300Kであった。
【0325】
(実施例4−純粋なニッケルナノファイバーを製造するための酢酸ニッケルおよびPVAの流体フィードの焼成)
実施例3の電界紡糸された流体ストックを100%Arガスの雰囲気中で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後において、ナノファイバーを視覚化するために、図3に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約500〜700nm(紡糸として)、400〜500nm(焼成後)であった。焼成後のナノファイバーを特徴付けるために、X線回折測定を行った(Scintag Theta-Theta X-ray Diffractometer)。これにより、ナノファイバーは、図3に示される通り、実質的に純粋なニッケルであったことが示される。
【0326】
(実施例5−酸化ニッケルナノファイバーを製造するための酢酸ニッケルおよびPVAの流体フィードの焼成)
実施例3の電界紡糸された流体ストックを空気の雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後でナノファイバーを視覚化するために、図4に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約500〜700nm(紡糸として)および300〜500nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図4に示す通り、このナノファイバーが実質的に純粋な酸化ニッケルであったことが示される。
【0327】
(実施例6−銅ナノファイバーを製造するための酢酸銅およびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸銅およびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。電界紡糸された流体ストックを94%Arおよび6%Hのガスの雰囲気で800℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後において、このナノファイバーを視覚化するために、図5に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約600〜800nm(紡糸として)および300〜500nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図5に示される通り、ナノファイバーが実質的に純粋な銅であったことが示される。
【0328】
(実施例7−酸化銅ナノファイバーを製造するための酢酸銅およびPVAの流体フィードの焼成)
実施例6の電界紡糸された流体ストックを空気の雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後でナノファイバーを視覚化するために、図6に示される通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約600〜800nm(紡糸として)および200〜600nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図6に示される通り、ナノファイバーが実質的に純粋な酸化銅であったことが示される。
【0329】
(実施例8−銀ナノファイバーを製造するための酢酸銀およびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸銀およびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックは、実施例3の手順によって電界紡糸された。この電界紡糸された流体ストックを空気の雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後においてナノファイバーを視覚化するために、図7に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約900〜1200nm(紡糸として)および600〜800nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図7に示す通り、ナノファイバーは実質的に純粋な銀であったことが示される。
【0330】
(実施例9−鉄ナノファイバーを製造するための酢酸鉄およびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸鉄およびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。電界紡糸された流体ストックを空気の雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後でナノファイバーを視覚化するために、図8に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約300〜500nm(紡糸として)および200〜400nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図8に示す通り、ナノファイバーは実質的に純粋な鉄であったことが示される。
【0331】
(実施例10−酸化亜鉛ナノファイバーを製造するために酢酸亜鉛およびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸亜鉛およびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。この電界紡糸された流体ストックを空気の雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後においてナノファイバーを視覚化するために、図9に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約500〜1000nm(紡糸として)および400〜700nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図9に示す通り、ナノファイバーは実質的に純粋な酸化亜鉛であったことが示される。
【0332】
(実施例11−カドミウムナノファイバーを製造するための酢酸カドミウムおよびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸カドミウムおよびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。この電界紡糸された流体ストックを空気の雰囲気で800℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後においてナノファイバーを視覚化するために、図10に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約800〜1200nm(紡糸として)および600〜900nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図10に示す通り、ナノファイバーは実質的に純粋なカドミウムであったことが示される。
【0333】
(実施例12−ジルコニアナノファイバーを製造するための酢酸ジルコニウムおよびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸ジルコニウムおよびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。この電界紡糸された流体ストックを空気あるいは94%Arおよび6%Hのガスの雰囲気で800℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後においてナノファイバーを視覚化するために、図10に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約800〜1000nm(紡糸として)および300〜600nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図11に示す通り、ナノファイバーは実質的に純粋なジルコニアであったことが示される。
【0334】
(実施例13−鉛ナノファイバーを製造するための酢酸鉛およびPVAの流体フィードの焼成)
実施例1の手順に従って、酢酸鉛およびPVAの流体ストックを2:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。電界紡糸された流体ストックを94%Arおよび6%Hのガスの雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱した。焼成の前後でナノファイバーを視覚化するために、図10に示す通り、焼成の前後においてSEM画像を撮像した。ナノファイバーの直径は、約500〜1200nm(紡糸として)および250〜700nm(焼成後)であった。X線回折測定によって、図12に示す通り、ナノファイバーは実質的に純粋な鉛であったことが示される。
【0335】
(実施例14−流体フィードおよびナノファイバー)
実施例1の手順に従って、表2に従って、前駆体:ポリマーの決められたロード比(ポリマーと合わされる最初の前駆体の質量に基づく比)で流体ストックを調製する。ナノファイバーを適切な条件下で焼成により調製する。
【0336】
【表2】
【0337】
(実施例15−酢酸ニッケルのPVAへのローディングの調査)
実施例1の手順に従って、酢酸ニッケルおよびPVAの様々な流体ストックを、1:2、1:1、2:1、および4:1の前駆体:ポリマーの比で調製した。かかる流体ストックを実施例3の手順によって電界紡糸した。この点で、電界紡糸された流体ストックのSEM顕微鏡写真を4枚撮像した。次いで、電界紡糸された流体ストックを実施例4の手順によって焼成して、純粋なNiナノファイバーを調製した。この点で、焼成したナノファイバーの顕微鏡写真を4枚撮像した。図13は、前駆体のローディングが高くなるにつれて、ナノファイバーの直径が増加したことを示す。また、これは、特に前駆体のローディングが大きい場合において、連続する高品質のナノファイバーが形成されたことを示す。また、焼成したナノファイバーのTEM顕微鏡写真を撮った。図14は、ナノファイバーに空隙が存在しないことを示し、これららが密であり、密着している(コヒーレントである)ことが確認される。
【0338】
(実施例16−純粋なニッケルナノファイバーの原子組成の研究)
エネルギー分散型X線分光法(EDX)を使用して、純粋なニッケルナノファイバーの元素組成を測定した。図15は、TEM画像の暗い領域(左)および明るい領域(右)の両方について、ナノファイバーの主要部が、少量の酸素を伴うNiであることを示す。無視できる量の炭素が検出される。
【0339】
(実施例17−PbSeアロイナノファイバーの調製)
実施例1の手順に従って、酢酸鉛およびSeパウダーから、50%Pbおよび50%Seの混合物を形成した。さらに、この前駆体から、実施例1の手順に従って、PVAとともに流体ストックを調製し、実施例3の手順に従って電界紡糸した。電界紡糸された流体ストックを100%Arの雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱することによって焼成した。顕微鏡写真(図23)は、連続した金属アロイのナノファイバーを示し、TEM顕微鏡写真(図24)は、これらが密で密着している(コヒーレントである)ことを示す。
【0340】
(実施例18−PbSeアロイナノファイバーの原子組成の研究)
エネルギー分散型X線分光法(EDX)を使用して実施例17で製造されたPbSeアロイナノファイバーの元素組成を測定した。図25は、TEM画像の暗い領域(左)および明るい領域(右)の両方について、Pb:Seの組成が、比較的に等しく維持されていることを示す。無視できる量の炭素が検出される。
【0341】
(実施例19−純粋な金属のナノファイバーの電気伝導率の研究)
2ポイントプローブを使用して、3つの異なる熱処理条件によって得られた様々な純粋な金属のナノファイバーのマットの電気伝導率を測定した(不活性雰囲気下での低温(400℃)処理(処理スキーム1)、空気下および次いで不活性雰囲気下での低温処理(処理スキーム2)、不活性雰囲気下での高温(800℃)処理(処理スキーム3))。図30は、本開示の方法(処理スキーム2および3)によって調製され、焼成された純粋な金属のナノファイバーが、非常に高い伝導率(10S/m以上)を示し、シートに形成される場合、この金属の公知の伝導率とほぼ同じ伝導性であることを示す。対して、処理スキーム1を用いて、低い前駆体ローディングからの金属繊維は、かなり低い伝導率(10S/m以下)を示す。
【0342】
(実施例20−ZrO/Niのハイブリッドナノファイバーの調製)
実施例1の手順に従って、酢酸Zrの流体フィードおよび酢酸Niの流体フィードを調製した。次いで、これら2つの流体ストックを、図35に示すものと同様の紡糸口金を使用する同軸の様式で電界紡糸した。中心の導管は、酢酸Niの流体ストックを含み(図35に示すように空気ではない)、外側の導管は、ZrOの流体ストックを含んでいた。この電界紡糸の手順をガスでアシストした。この電界紡糸されたハイブリッド流体ストックを空気の雰囲気で600℃で2時間にわたって加熱し、その後、94%Arおよび6%Hのガスの雰囲気で600℃で2時間わたって加熱することで焼成した。顕微鏡写真(図31)は、連続した金属アロイナノファイバーを示し、TEM顕微鏡写真(図32)は、これらが密で密着している(コヒーレントである)ことを示す。
【0343】
(実施例21−ZrO/Niのハイブリッドナノファイバーの原子組成の研究)
エネルギー分散型X線分光法(EDX)を使用して、実施例20で製造されたZrO/Niのハイブリッドナノファイバーの元素組成を測定した。図33は、TEM画像の暗い領域(左)および明るい領域(右)が異なる組成を有することを示す。外側(右の明所)よりも、中央(左の暗所)において、より多くのニッケルが存在する。さらに、EDAXは、両方の場合において、Zr:Oの比が1:2であったことを示し、ZrOの形成を示した。
【0344】
(実施例22−燃料電池の電極)
本明細書中に開示されるものは、Fe−Ptのナノファイバーを含む燃料電池の電極である。かかるナノファイバーは、図34に記載される手順およびシステムに従って調製され得る。水溶性の酢酸Feおよび酢酸PtをPVAなどの水溶性ポリマーと混合して、実施例1に記載されるように流体ストックを調製する。この実施例において、前駆体:ポリマーの比は、4:1である。さらに、ガスアシスト電界紡糸を適合させて、出力(又はスループット)を向上させる。同軸のスキームにおいて、空気の流れ(又はフロー)をシースのジェット層に含ませることによって、ナノファイバーの生産速度を10倍以上に増加させることができることが実証された。図34に示す通り、十分な比のFe:Ptの前駆体を水性ポリマー溶液に添加し、同軸の電界紡糸において、コアジェットとして使用することによって、紡糸ドープを調製することができる。このとき、高速の空気の流れ(又はストリーム)をシース層のジェットとして使用して、前駆体溶液のコアジェットを引き伸ばす。面心正方晶構造のFe−Ptの形成を行って、酸素の減少および最小のPtローディングでの耐久性を増加させる。
【0345】
(実施例23−リチウムイオンバッテリのアノードに適した中空のSiまたはGeのナノファイバー)
図35は、リチウムイオンバッテリのアノードとしての使用に適した中空のSiまたはGeのナノファイバーを製造するのに適した装置を示す。高速の空気およびSiまたはGeの前駆体溶液が、ガスアシスト同軸電界紡糸において、コアおよびシースのジェットを形成する。
【0346】
(実施例24−フレキシブルソーラーセルにおける使用に適したAl/ITOのハイブリッドナノファイバー)
図36は、フレキシブルソーラーセルでの使用に適したAl/ITOのハイブリッドナノファイバーを製造するための方法およびシステムの概要を示す。ガスアシスト電界紡糸において、Al/ITO/空気の3軸構造を利用して、同軸のAl/ITOナノファイバーを製造する。図37は、顕微鏡写真、X線回折プロット、およびナノファイバーから作製される複数成分のソーラーセルの概要を示す。
【0347】
(実施例25−ナノファイバーのさらなる例)
1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、金属、セラミック、金属アロイ、それらの組み合わせを含む様々なナノファイバーである。1つの局面において、本明細書中に記載されるものは、金属、セラミック、金属アロイ、それらの組み合わせを含む様々なナノファイバーを製造するための方法である。例えば、図16は、ZnO/ZrOのハイブリッドのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図17は、Ag/ZrOのハイブリッドのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図18は、Ni/ZrOのハイブリッドのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図19は、Fe/ZrOのハイブリッドのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図21は、Ni/Alのハイブリッドのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図22は、CdSeアロイのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図26は、CdTeアロイのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図27は、PbTeアロイのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図28は、Fe/FeNiのアロイのナノファイバーの顕微鏡写真およびX線回折プロットを示す。
図29は、Fe/FeNiのアロイのナノファイバーのTEM顕微鏡写真を示す。
他の局面において、本明細書中の実施例に記載の方法を利用して、表1のナノファイバーを製造した。
【0348】
図20は、様々なハイブリッドナノファイバーのTEM顕微鏡写真を示す。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
1以上のナノファイバーを製造する方法であって、当該方法は、流体ストックを電界紡糸することを含み、該流体ストックは、金属前駆体およびポリマーを含み、
a.該前駆体のポリマーに対する重量/重量の比が少なくとも1:2であるか、
b.該流体ストックが水性であるか、
c.該前駆体が、少なくとも200mMの濃度で該流体ストック中に存在するか、あるいは、
d.それらの任意の組み合わせである、
方法。
(態様2)
前記流体ストックが、(1)溶液、(2)実質的に均一な分散液、または(3)実質的に均質な分散液である、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記流体ストックにおける前記前駆体:ポリマーの前記重量/重量の比が少なくとも1:2であり、前記流体ストックが水性である、態様1〜2のいずれか1項に記載の方法。
(態様4)
前記前駆体:ポリマーの前記重量/重量の比が少なくとも1:1である、態様1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(態様5)
前記前駆体および前記ポリマーを含む前記流体ストックを形成するために、前記流体ストックは、試薬前駆体、試薬ポリマーおよび水を配合することにより調製され、前記試薬前駆体および前記試薬ポリマーが、1:2を超える重量/重量の比で配合される、態様1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(態様6)
前記試薬前駆体および前記試薬ポリマーは、少なくとも1:1の重量/重量の比で配合される、態様4に記載の方法。
(態様7)
前記1以上の前駆体が、ポリマー−前駆体の会合で前記流体ストック中に存在する態様1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(態様8)
少なくとも25%の前記ポリマーが前駆体分子で飽和されている、態様6に記載の方法。
(態様9)
少なくとも25%の前記前駆体分子がポリマーと会合している、態様6または7のいずれかに記載の方法。
(態様10)
前記前駆体が、少なくとも200mMの濃度で前記流体ストック中に存在する、態様1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(態様11)
前記流体ストック中の前記前駆体の濃度が、少なくとも250mMである、態様1〜10のいずれか1項に記載の方法。
(態様12)
前記流体ストック中の前記前駆体の濃度が少なくとも300mMである、態様8に記載の方法。
(態様13)
前記金属前駆体が、1以上の金属−リガンドの錯体を含む、態様1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(態様14)
前記金属前駆体が、金属−リガンドの錯体を含み、前記金属−リガンドの錯体が前記ポリマーと会合している、態様11に記載の方法。
(態様15)
前記金属前駆体が、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、Sn、Al、Zr、Li、Mn、Cr、Be、Cd、Si、Ti、V、Hf、Sr、Ba、Geおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、態様1〜14のいずれか1項に記載の方法。
(態様16)
前記金属前駆体が、遷移金属を含む、態様1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(態様17)
前記金属前駆体がメタロイドを含む、態様1〜16のいずれか1項に記載の方法。
(態様18)
前記金属前駆体が、カルボキシレート、ニトレート、ハライド、ジケトン、アルコキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のリガンドを含む金属−リガンドの錯体である、態様1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(態様19)
前記試薬前駆体、前記流体ストックの前記前駆体、またはそれらの両方が、1以上の金属アセテート、金属ニトレート、金属クロリド、金属メトキシドまたはそれらの組み合わせを含む、態様1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(態様20)
前記ポリマーが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール酸、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルセルロース、セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせである、態様1〜19のいずれか1項に記載の方法。
(態様21)
前記ポリマーが、(i)親水性、および(ii)水溶性または水膨潤性である、態様1〜20のいずれか1項に記載の方法。
(態様22)
前記ポリマーが、熱的および/または化学的に分解可能である、態様1〜21のいずれか1項に記載の方法。
(態様23)
前記ポリマーが、複数の求核部位を含むポリマーであり、前記試薬前駆体が、求電子性である、態様1〜22のいずれか1項に記載の方法。
(態様24)
前記ポリマーが、複数の求電子性部位を含むポリマーであり、前記試薬前駆体が、求核性である、態様1〜23のいずれか1項に記載の方法。
(態様25)
前記流体ストックを電界紡糸することによって、金属前駆体とポリマーとを含む電界紡糸ナノファイバー材料の形成を生じる、態様1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(態様26)
焼成ナノファイバーを調製するために、前記電界紡糸材料を焼成することを更に含む、態様1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(態様27)
前記電界紡糸材料を焼成することが、前記電界紡糸材料を熱的に処理すること、前記電界紡糸材料を化学的に処理すること、あるいはそれらの両方を含む、態様26に記載の方法。
(態様28)
前記電界紡糸材料から、ポリマーを除去すること(例えば、焼成によって)を含む、態様1〜27のいずれか1項に記載の方法。
(態様29)
前記電界紡糸材料を焼成することによって金属前駆体を金属に変換する、態様26〜28のいずれか1項に記載の方法。
(態様30)
前記電界紡糸材料を焼成することによって金属前駆体を金属酸化物に変換する、態様26〜28のいずれか1項に記載の方法。
(態様31)
前記電界紡糸材料を焼成することによって金属前駆体をセラミックに変換する、態様26〜28のいずれか1項に記載の方法。
(態様32)
前記電界紡糸材料を焼成することによって第1の金属前駆体をセラミックに変換し、第2の金属前駆体を金属に変換する、態様26〜28のいずれか1項に記載の方法。
(態様33)
酸化条件下で前記電界紡糸材料を焼成することを含み、それによって金属前駆体を金属酸化物(例えば、セラミック金属酸化物)に変換する、態様26〜28のいずれか1項に記載の方法。
(態様34)
不活性条件下または還元条件下で、電界紡糸材料の前記ナノファイバーを含み、それによって金属前駆体を金属に変換する、態様26〜28のいずれか1項に記載の方法。
(態様35)
前記電界紡糸材料を焼成することが、前記電界紡糸材料を少なくとも400℃の温度に加熱することを含む、態様1〜34のいずれか1項に記載の方法。
(態様36)
前記流体ストックが、第2の流体とともに同軸で電界紡糸される、態様1〜35のいずれか1項に記載の方法。
(態様37)
前記第2の流体が、気体(例えば、空気)である、態様36に記載の方法。
(態様38)
前記第2の流体が、第2の金属前駆体および第2のポリマーを含む第2の流体ストックであり、前記金属前駆体および第2の金属前駆体が、同一または異なり、前記ポリマーおよび第2のポリマーが同一または異なり、当該方法によって層状ナノファイバーが製造される、態様36に記載の方法。
(態様39)
金属前駆体およびポリマーを含む電界紡糸ナノファイバーであって、前記金属前駆体およびポリマーが、少なくとも1:2(例えば、少なくとも1:1)の重量/重量の比で存在する、電界紡糸ナノファイバー。
(態様40)
態様1〜24のいずれか1項に記載の方法に従って調製される、態様39に記載の電界紡糸ナノファイバー。
(態様41)
前記電界紡糸ナノファイバーが、少なくとも90重量%の有機ポリマーと金属前駆体とを含む、態様39または40のいずれか1項に記載の電界紡糸ナノファイバー。
(態様42)
前記電界紡糸ナノファイバーが、少なくとも10元素重量%の金属を含む、態様39〜41のいずれか1項に記載の電界紡糸ナノファイバー。
(態様43)
金属、金属酸化物、セラミック、またはそれらの組み合わせを含む、複数のナノファイバーであって、
a.前記ナノファイバーが、少なくとも平均で1μmの長さであるか、
b.前記ナノファイバーが、少なくとも約5の平均のアスペクト比を有するか、
c.前記ナノファイバーが、金属、金属酸化物、セラミックまたはその組み合わせの連続マトリクスを含むか、
d.前記ナノファイバーが、1m/g〜約1000m/gの平均の比表面積を有するか、あるいは、
e.これらの組み合わせ
である、ナノファイバー。
(態様44)
前記ナノファイバーが、金属、金属酸化物、セラミック、またはそれらの組み合わせの連続マトリクスを含む、態様43に記載のナノファイバー。
(態様45)
前記ナノファイバーが、少なくとも33%(w/w)の金属、金属酸化物、セラミック、または一緒になって、それらの組み合わせを含む、態様43または44のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様46)
前記ナノファイバーが、少なくとも90元素重量%の金属を含む金属ナノファイバーである、態様43〜45のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様47)
前記ナノファイバーが、少なくとも90%の金属酸化物および少なくとも30元素重量%の金属を含む金属酸化物ナノファイバーである、態様43〜45のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様48)
前記ナノファイバーが、少なくとも90%のセラミックおよび少なくとも30元素重量%の金属を含むセラミックナノファイバーである、態様43〜45のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様49)
前記ナノファイバーが、少なくとも90%の金属アロイおよび少なくとも30元素重量%の金属を含む金属アロイナノファイバーである、態様43〜45のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様50)
前記ナノファイバーが、第1の材料および第2の材料を含むコンポジットナノファイバーであって、前記第1の材料が、連続マトリクス材料であり、前記第1の材料または第2の材料の一方または両方が、金属、金属酸化物、セラミックまたはそれらの組み合わせを含む、態様43〜45のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様51)
前記第2の材料が、第2の連続マトリクス材料(例えば、前記第1および第2の連続マトリクス材料が同軸の層である)である、態様50に記載のナノファイバー。
(態様52)
前記第2の材料が、前記ナノファイバーの分離したドメインを含む、態様50に記載のナノファイバー。
(態様53)
前記第1または第2の材料の一方または両方が金属を含み、前記ナノファイバーが平均で少なくとも20元素重量%の金属を含む、態様50〜52のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様54)
前記第1の材料がセラミックであり、前記第2の材料が金属である、態様50〜53のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様55)
前記第1の材料が金属であり、前記第2の材料が金属である、態様50〜53のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様56)
前記第1の材料がセラミックであり、前記第2の材料がセラミックである、態様50〜53のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様57)
前記ナノファイバーが、平均で少なくとも30元素重量%の金属を含む、態様50〜56のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様58)
前記ナノファイバーが、平均で少なくとも50元素重量%の金属を含む、態様57に記載のナノファイバー。
(態様59)
前記金属が、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Pb、Au、Sn、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様43〜58のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様60)
前記セラミックまたは金属酸化物が、Al、ZrO、Fe、CuO、NiO、ZnO、CdO、C、Ge、Si、SiO、TiO、V、VO、Fe、SnO、SnO、CoO、CoO、Co、HfO、BaTiO、SrTiOおよびBaSrTiOからなる群から選択される、態様43〜59のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様61)
前記ナノファイバーが、金属−非金属のアロイを含む、態様43〜60のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様62)
前記ナノファイバーが伝導性材料を含み、シートに成形される場合、前記伝導性材料の伝導率と比較した場合、前記ナノファイバーの伝導率が少なくとも約10%である、態様43〜61のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様63)
前記ナノファイバーがアモルファスのセラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの平均の極限強度/直径の比が少なくとも0.075MPa/nmであり、平均のヤング率/直径の比が少なくとも0.15GPa/nmであり、平均の破壊靭性が少なくとも0.6MPA MPa・m1/2である、態様43〜62のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様64)
前記ナノファイバーがアモルファスのセラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの平均の極限強度/直径の比が少なくとも0.15MPa/nmであり、平均のヤング率/直径の比が少なくとも0.3GPa/nmであり、平均の破壊靭性が少なくとも0.7MPa・m1/2である、態様43〜62のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様65)
前記ナノファイバーが結晶性セラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの平均の極限強度/直径の比が少なくとも5MPa/nmであり、平均のヤング率/直径の比が少なくとも1.5GPa/nmである、態様43〜62のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様66)
前記ナノファイバーが結晶性セラミックの連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの平均の極限強度/直径の比が少なくとも12.5MPa/nmであり、平均のヤング率/直径の比が少なくとも4GPa/nmである、態様43〜62のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様67)
前記ナノファイバーの平均の破壊靭性が少なくとも1.8MPa・m1/2である、態様65または66のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様68)
前記ナノファイバーが金属の連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの平均の極限強度/直径の比が少なくとも0.35MPa/nmであり、平均のヤング率/直径の比が少なくとも1.1GPa/nmである、態様43〜62のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様69)
前記ナノファイバーが金属の連続マトリクスを含み、前記ナノファイバーの平均の極限強度/直径の比が少なくとも0.9MPa/nmであり、平均のヤング率/直径の比が少なくとも2.9GPa/nmである、態様43〜62のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様70)
前記ナノファイバーの平均の破壊靭性が少なくとも3.5MPa・m1/2である、態様68または69のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様71)
前記ナノファイバーが、同一のバルク材料について、log(S/m)/log(S/m)の比が少なくとも0.9である、態様68〜70のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様72)
前記ナノファイバーの平均の長さが少なくとも1ミクロンである、態様43〜71のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様73)
前記ナノファイバーの平均の直径が1000nm以下である、態様43〜72のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様74)
前記ナノファイバーの平均のアスペクト比が少なくとも5である、態様43〜72のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様75)
前記ナノファイバーの平均のアスペクト比が、少なくとも1000である、態様74に記載のナノファイバー。
(態様76)
前記ナノファイバーが、元素質量で平均で5%未満の炭素を含む、態様43〜75のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様77)
態様43〜76のいずれか1項に記載のナノファイバーを製造する、態様1〜42のいずれか1項に記載の方法。
(態様78)
センサ、バッテリ、燃料電池、ソーラーセル、ウルトラキャパシタ、触媒、膜または電極に使用するための態様43〜76のいずれか1項に記載のナノファイバー。
(態様79)
(a)ポリマーと、(b)金属前駆体とを含む水性流体組成物であって、前記流体組成物が、(i)溶液であるか、(ii)金属前駆体の実質的に均一な分散液を含む組成物であるか、あるいは(c)金属前駆体の実質的に均質な分散液を含む組成物であり、(1)前記前駆体:ポリマーの重量/重量の比が、少なくとも1:2(例えば、少なくとも1:1)であるか、あるいは(2)前記前駆体の濃度が、少なくとも200mM(例えば、少なくとも250mM)である、水性流体組成物。
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