特許第6266575号(P6266575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266575
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20180115BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G06K7/10 360
   G07D9/00 436A
   G06K7/10 388
   G06K7/10 428
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-186933(P2015-186933)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-62593(P2017-62593A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】白石 典久
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−200166(JP,A)
【文献】 特開平09−044587(JP,A)
【文献】 特開平01−156884(JP,A)
【文献】 特開平09−050481(JP,A)
【文献】 特開平04−163680(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0017076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードが付された媒体を順方向または前記順方向とは反対の逆方向に搬送する搬送手段と、
前記順方向と直交する方向に沿って設けられる読取手段と、
前記媒体が初期位置にある状態において前記読取手段が前記バーコードの全幅のデータを読み取れない場合、前記順方向または前記逆方向の何れかである第1方向に前記媒体を前記初期位置から規定量搬送するように制御し、
前記読取手段で読み取られる前記バーコードのデータ量が減少した場合、前記読取手段で前記バーコードの全幅のデータを読み取るために、前記第1方向とは反対の第2方向に前記媒体を搬送するように制御する、制御手段と、
を備える媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読取手段で読み取られる前記バーコードのデータ量が増加した場合、前記読取手段が前記バーコードの全幅のデータを読み取れるまで、前記第1方向に前記媒体を規定量ずつ搬送するように制御する、請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記読取手段に含まれる複数のセンサにおける一端側のセンサを含む第1センサ群と他端側のセンサを含む第2センサ群のうち前記第1センサ群で読み取られた前記バーコードのデータ量が前記第2センサ群で読み取られた前記バーコードのデータ量よりも多い場合と、前記第2センサ群で読み取られた前記バーコードのデータ量が前記第1センサ群で読み取られた前記バーコードのデータ量よりも多い場合とで、前記制御手段は、異なる方向を前記第1方向として前記媒体を搬送するように制御する、
請求項1または2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記読取手段が前記バーコードのスタートコードを読み取れる場合と、前記バーコードのストップコードを読み取れる場合とで、前記制御手段は、異なる方向を前記第1方向として前記媒体を搬送するように制御する、
請求項1または2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、過去の傾向に基づいて前記媒体の搬送方向を前記第1方向から前記第2方向へ切り替える可能性が低い方向に前記初期位置から前記媒体を搬送するように制御する、請求項1から4の何れか1項に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等で用いられる通帳プリンタは、通帳に印字されたバーコードまたはシール状のラベルとして貼付されたバーコードを読み取る読取部を備える。読取部は、バーコードが付されている媒体が搬送される搬送路の所定の位置に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−271892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通帳に付されたバーコードが傾いていたり、搬送路内で媒体が斜行してしまったりすることにより、読取部がバーコードの全幅のデータを読み取れない場合がある。そのような場合、通帳プリンタは、バーコードの読取エラーと判断する。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、バーコードの読取エラーを低減する媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記搬送手段は、バーコードが付された媒体を搬送する。前記読取手段は、前記媒体の搬送方向と直交する方向に沿って設けられる。前記制御手段は、前記媒体が初期位置にある状態において前記読取手段が前記バーコードの全幅のデータを読み取れない場合、前記順方向または前記逆方向の何れかである第1方向に前記媒体を前記初期位置から規定量搬送するように制御し、前記読取手段で読み取られる前記バーコードのデータ量が減少した場合、前記読取手段で前記バーコードの全幅のデータを読み取るために、前記第1方向とは反対の第2方向に前記媒体を搬送するように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る媒体処理装置の一例を示す概略図。
図2】本実施形態に係る媒体処理装置の一例を示すブロック図。
図3】本実施形態に係る読取部の一例を示す概略図。
図4】本実施形態に係る媒体処理装置による処理の一例を示すフローチャート。
図5】本実施形態に係る媒体処理装置によるバーコードの読み取りの一例を示す図。
図6】本実施形態に係る媒体処理装置によるバーコードの読み取りの一例を示す図。
図7】本実施形態に係る媒体処理装置によるバーコードの読み取りの一例を示す図。
図8】本実施形態に係る媒体処理装置によるバーコードの読み取りの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、いくつかの実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る媒体処理装置1の構成の一例を説明する。媒体処理装置1は、バーコードをスキャンする機構を備える装置である。本実施形態では、通帳プリンタを媒体処理装置1の一例として説明する。通帳を媒体処理装置1で処理可能な媒体の一例として説明する。
【0009】
図1は、媒体処理装置1の一例を示す概略図である。媒体処理装置1は、挿入口11、搬送用モータ12、複数の搬送ローラ13、反射型フォトセンサ14、読取部15、ホームポジションセンサ16、印字ヘッド17、駆動モータ18及び印字プラテン19を備える。
挿入口11は、媒体処理装置1の筐体外から筐体内へ通帳を挿入するための開口である。挿入口11は、媒体処理装置1の筐体内から筐体外へ通帳を排出するための開口でもある。
【0010】
搬送用モータ12は、バーコードが付された通帳を一直線状に搬送するため搬送手段である。搬送用モータ12は、通帳をForward方向(順方向)またはForward方向とは反対のReverse方向に搬送する。Forward方向は、挿入口11から媒体処理装置1内の奥側へ向かう方向である。搬送用モータ12は、Forward方向に通帳を搬送する過程において、通帳の搬送を停止したり、通帳の搬送を再開したりすることができる。Reverse方向は、媒体処理装置1内の奥側から挿入口11へ向かう方向である。搬送用モータ12は、Reverse方向に通帳を搬送する過程において、通帳の搬送を停止したり、通帳の搬送を再開したりすることができる。
【0011】
搬送用モータ12は、複数の搬送ローラ13を駆動させることで通帳を搬送する。なお、搬送用モータ12は、複数の搬送ローラ13以外の機構を用いて通帳を搬送するようにしてもよい。
【0012】
反射型フォトセンサ14は、対向する位置に通帳が存在するか否かを検出する。
読取部15は、バーコードをスキャンして読み取る読取手段である。読取部15は、例えばコンタクトイメージセンサ(CIS(Contact Image sensor))である。読取部15は、反射型フォトセンサ14よりも媒体処理装置1内の奥側に固定されて配置されている。読取部15は、通帳に付されたバーコードと対向する。読取部15の構成は後述する。
【0013】
ホームポジションセンサ16は、印字ヘッド17を移動させるキャリアのホームポジションを検出する。
印字ヘッド17は、通帳に印字する。印字ヘッド17は、読取部15よりも媒体処理装置1内の奥側に配置されている。
駆動モータ18は、印字ヘッド17をForward方向と直交する水平方向に移動させる。
印字プラテン19は、印字ヘッド17と対向する位置に配置されている。
【0014】
次に、媒体処理装置1内における通帳の搬送の流れを説明する。
搬送用モータ12は、挿入口11に入れられた通帳をForward方向に搬送する。反射型フォトセンサ14が通帳の先端を検出する位置まで、搬送用モータ12は、Forward方向に通帳を搬送する。
【0015】
搬送用モータ12は、反射型フォトセンサ14の位置からForward方向に通帳を規定量搬送する。その後、搬送用モータ12は、通帳の搬送を停止する。搬送用モータ12は、バーコードが読取部15と対向する位置で通帳の搬送を停止する。この時点における通帳の位置を初期位置という。
【0016】
読取部15は、バーコードをスキャンして読み取る。読取部15によるバーコードの読み取りに伴う通帳の搬送処理については後述する。読取部15がバーコードの全幅のデータを読み取ると、搬送用モータ12は、印字ヘッド17と対向する位置までForward方向に通帳を搬送する。その後、搬送用モータ12は、通帳の搬送を停止する。
【0017】
印字ヘッド17は、通帳に印字する。印字ヘッド17が通帳への印字を完了すると、搬送用モータ12は、印字ヘッド17と対向する位置から挿入口11までReverse方向に通帳を搬送する。その後、搬送用モータ12は、挿入口11から通帳を排出する。
【0018】
図2は、媒体処理装置1の一例を示すブロック図である。
媒体処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、記憶部34、モータドライバ35、モータドライバ36及びヘッドドライバ37を備える。
【0019】
CPU31は、媒体処理装置1の各構成要素と接続されている。CPU31は、各構成要素の動作を制御する制御手段である。CPU31は、媒体処理装置1の各構成要素と情報を送受信する。CPU31は、符号化されたデータを復号するデコーダ311を備える。デコーダ311は、読取部15からの2値データを処理する。
【0020】
ROM32は、制御プログラム等の固定的なデータを記憶する。
RAM33は、変更可能な設定データを記憶するエリアと、種々のデータを一時的に保存するためのワークエリアとを備える。
記憶部34は、アプリケーション及び書き換え可能なデータを記憶する。
【0021】
モータドライバ35は、搬送用モータ12を駆動する。
モータドライバ36は、駆動モータ18を駆動する。
ヘッドドライバ37は、印字ヘッド17を駆動する。
【0022】
次に、読取部15の一例となる構成及び読取部15によるバーコードの読み取り処理を説明する。
図3は、読取部15の一例を示す概略図である。図3は、通帳4の正常な位置に付されたバーコード41と読取部15との位置関係も示している。
【0023】
バーコード41は、異なる色のバーとスペースで構成されている。例えば、バーは黒色、スペースは白色である。バーコード41は、バーとスペースにより情報を格納する。通帳4には、バーコード41が直接印字されることがある。通帳4には、バーコード41が印字されているシール状のラベル紙が貼り付けられることもある。バーコード41が通帳4の正常な位置に付されている場合、バーコード41を構成するバーは、Forward方向と同じ方向に沿って形成されている。
【0024】
読取部15は、Forward方向と直交する方向に設けられている。読取部15は、ライン状に並ぶ複数(n個)のセンサ15−1〜15−nを備える。読取部15は、センサ15−1〜15−nにより、バーコード41の全幅以上の範囲をカバーする。センサ15−1は、例えば受光素子である。センサ15−1は、2値データを出力する。センサ15−1は、バーコード41を構成するバーまたはスペースの検出に応じて、0または1の異なる値を出力する。センサ15−2〜15−nは、センサ15−1と同様に構成されている。
【0025】
読取部15は、センサ15−1〜15−nそれぞれの出力の値で構成される2値データをデコーダ311へ送信する。デコーダ311は、2値データを復号する。さらに、CPU31は、デコーダ311による2値データの処理に基づいて、バーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する。デコーダ311は、2値データが所定のフォーマットに一致するか否かに基づいて、バーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する。
【0026】
フォーマットは、バーコード41の一端側に対応するスタートコード、バーコード41の他端側に対応するストップコード及びバーコード41に格納されているデータ数を含む。デコーダ311は、フォーマットに含まれているスタートコード及びスタートコードが読取部15からのデータに存在するか否かを判断する。さらに、デコーダ311は、読取部15からのデータの数がフォーマットに含まれるデータ数に一致するか否かを判断する。
【0027】
読取部15からのデータがフォーマットに一致していれば、デコーダ311は、バーコード41の全幅のデータを読み取れると判断する。これにより、CPU31は、読取部15が読み取ったバーコード41の全幅のデータを解析する。読取部15からのデータがフォーマットに一致していなければ、デコーダ311は、バーコード41の全幅のデータを読み取れない判断する。
【0028】
次に、読取部15によるバーコード41の読み取りに伴う通帳4の搬送処理を説明する。読取部15に対してバーコード41が斜めになっている場合、読取部15は、正しくバーコード41の全幅のデータを読み取れない。CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる位置まで通帳4を搬送するように制御する必要がある。
【0029】
CPU31は、初期位置におけるバーコード41の読取結果と次の位置におけるバーコード41の読取結果とを比較し、バーコード41の傾きを推測する。これにより、CPU31は、通帳4をForward方向とReverse方向のどちらに搬送すると効率的にバーコード41の全幅のデータを読み取れるのかを判断する。以下に一例を示す。
【0030】
CPU31は、通帳4が初期位置にある状態において読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合、以下のように処理する。CPU31は、Forward方向またはReverse方向の何れかである第1方向に通帳4を初期位置から規定量搬送するように制御する。読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量が減少した場合、CPU31は、第1方向とは反対の第2方向に通帳を搬送するように制御する。これは、読取部15でバーコード41の全幅のデータを読み取るためである。CPU31は、第2方向に通帳4を規定量ずつ搬送するように制御する。
【0031】
読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量が増加した場合、CPU31は、第1方向に通帳4を規定量ずつ搬送するように制御する。CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるまで、第1方向への通帳4の搬送を繰り返す。
【0032】
図4は、媒体処理装置1による処理の具体的な一例を示すフローチャートである。通帳4が初期位置にある状態において読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合、CPU31は、図4に示すフローチャートに沿って通帳4の搬送を制御する。
【0033】
CPU31は、読取部15の右半分にバーコード41のデータ(イメージ)があるか否かを判断する(Act101)。読取部15の右半分の定義を説明する。ライン状に並ぶセンサ15−1〜15−nは、一端側のセンサ15−1を含む第1センサ群と他端側のセンサ15−nを含む第2センサ群に2分することができる。第1センサ群が含むセンサ数は、第2センサ群が含むセンサ数と略同じである。第1センサ群を読取部15の右半分という。第2センサ群を読取部15の左半分という。
【0034】
Act101において、CPU31は、読取部15の右半分にバーコード41のデータがあるか否かを以下のように判断する。読取部15は、センサ15−1〜15−nの出力に基づいて、2値データが変化する部分をバーコード41のデータと判断する。読取部15は、2値データが変化しない部分をバーコード41以外の通帳4のデータと判断する。第1センサ群でバーコード41のデータが読み取られた場合、読取部15は、読取部15の右半分にバーコード41のデータがあると判断する。第2センサ群でバーコード41のデータが読み取られた場合、読取部15は、読取部15の左半分にバーコード41のデータがあると判断する。CPU31は、読取部15の判断に基づいて、読取部15の右半分にバーコード41のデータがあるか否かを判断する。CPU31は、読取部15の右半分にバーコード41のデータがあるか否かに応じて、異なる方向に通帳を搬送するように制御する。
【0035】
なお、Act101において、CPU31は、読取部15の右半分に読取部15の左半分よりも多くのデータがあるか否かを判断してもよい。読取部15の右半分に読取部15の左半分よりも多くのデータがある場合、CPU31はAct102を処理する。つまり、第1センサ群で読み取られたバーコード41のデータ量が第2センサ群で読み取られたバーコード41のデータ量よりも多い場合、CPU31はAct102を処理する。読取部15の左半分に読取部15の右半分よりも多くのデータがある場合、CPU31は、Act110を処理する。つまり、第2センサ群で読み取られたバーコード41のデータ量が第1センサ群で読み取られたバーコード41のデータ量よりも多い場合、CPU31は、Act110を処理する。このように、CPU31は、読取部15の右半分と左半分で読み取られたバーコード41のデータ量に応じて、異なる方向に通帳を搬送するように制御する。
【0036】
なお、CPU31は、デコーダ311によるストップコードの検出に基づいて、読取部15の右半分にバーコード41のデータがあると判断してもよい。CPU31は、デコーダ311によるスタートコードの検出に基づいて、読取部15の左半分にバーコード41のデータがあると判断してもよい。
【0037】
読取部15の右半分にデータがある場合(Act101、Yes)、CPU31は、通帳4を初期位置からForward方向に規定量搬送するように制御する(Act102)。Act102では、搬送用モータ12は、通帳4を初期位置からForward方向に規定量搬送する。
【0038】
CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる否かを判断する(Act103)。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる場合(Act103、Yes)、CPU31は、バーコード41の全幅のデータを解析する(Act104)。
【0039】
読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合(Act103、No)、CPU31は、Act105を処理する。Act105では、CPU31は、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量が増加したか否かを判断する。CPU31は、初期位置にある通帳4から読み取ったバーコード41のデータ量と、初期位置から規定量搬送された通帳4から読み取ったバーコード41のデータ量を比較する。CPU31は、バーコード41に対応する2値データが変化する部分の増減に基づいて、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量の増減を判断してもよい。CPU31は、デコーダ311による処理に基づいて、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量の増減を判断してもよい。読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量は、読取部15のセンサ15−1〜15−nのうちバーコード41を読み取ったセンサの数に対応する。
【0040】
バーコード41のデータ量が増加した場合(Act105、Yes)、CPU31は、通帳4をForward方向に規定量搬送するように制御する(Act106)。Act106では、搬送用モータ12は、通帳をForward方向に規定量搬送する。
CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する(Act107)。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる場合(Act107、Yes)、Act104において、CPU31は、バーコード41の全幅のデータを解析する。
【0041】
読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合(Act107、No)、CPU31は、再度Act106を処理する。つまり、CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるまで、通帳4をForward方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。
【0042】
バーコード41のデータ量が増加していない場合(Act105、No)、CPU31は、通帳をReverse方向に規定量搬送するように制御する(Act108)。Act108では、搬送用モータ12は、通帳4をReverse方向に規定量搬送する。なお、Act108における通帳4の搬送量は、Act102における通帳4の搬送量の2倍である。これは、初期位置によりもReverse方向に通帳4を搬送するためである。これにより、媒体処理装置1の処理時間は短くなる。
【0043】
CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する(Act109)。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる場合(Act109、Yes)、Act104において、CPU31は、バーコード41の全幅のデータを解析する。
【0044】
読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合(Act109、No)、CPU31は、再度Act109を処理する。つまり、CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるまで、通帳4をReverse方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。
【0045】
読取部15の右半分にデータがない場合(Act101、No)、CPU31は、通帳4を初期位置からReverse方向に規定量搬送するように制御する(Act110)。Act110では、搬送用モータ12は、通帳4を初期位置からreverse方向に規定量搬送する。なお、読取部15の右半分にデータがない場合は、読取部15の左半分にデータがある場合に相当する。
【0046】
CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する(Act111)。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる場合(Act111、Yes)、Act104において、CPU31は、バーコード41の全幅のデータを解析する。
【0047】
読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合(Act111、No)、CPU31は、Act112を処理する。Act112では、CPU31は、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量が増加したか否かを判断する。Act112の処理は、Act105と同様である。
【0048】
バーコード41のデータ量が増加した場合(Act112、Yes)、Act108において、CPU31は、通帳4をReverse方向に規定量搬送するように制御する。次に、Act109において、CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる場合、Act104において、CPU31は、バーコード41の全幅のデータを解析する。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合、CPU31は、再度Act108を処理する。つまり、CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるまで、通帳4をReverse方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。
【0049】
バーコード41のデータ量が増加していない場合(Act112、No)、Act106において、CPU31は、通帳4をForward方向に規定量搬送するように制御する。なお、Act106における通帳4の搬送量は、Act110における通帳4の搬送量の2倍である。これは、初期位置よりもForward方向に通帳4を搬送するためである。これにより、媒体処理装置1の処理時間は短くなる。
【0050】
次に、Act107において、CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるか否かを判断する。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる場合、Act104において、CPU31は、バーコード41の全幅のデータを解析する。読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合、CPU31は、再度Act106を処理する。つまり、CPU31は、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れるまで、通帳4をForward方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。
【0051】
図5は、媒体処理装置1によるバーコード41の読み取りの一例を示す図である。図5の(1)は、読取部15の右半分にバーコード41のデータがある場合を示している。CPU31は、Act102を処理した後、Act106を処理する。つまり、CPU31は、通帳4をForward方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。図5の(2)に示すように、読取部15は、バーコード41の全幅のデータを読み取ることができる。
【0052】
図6は、媒体処理装置1によるバーコード41の読み取りの一例を示す図である。図6の(1)は、読取部15の右半分にバーコード41のデータがある場合を示している。CPU31は、Act102を処理した後、Act108を処理する。つまり、CPU31は、初期位置から通帳4をForward方向に搬送した後に、通帳4の搬送方向をReverse方向に切り替える。CPU31は、通帳4をReverse方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。図6の(2)に示すように、読取部15は、バーコード41の全幅のデータを読み取ることができる。
【0053】
図7は、媒体処理装置1によるバーコード41の読み取りの一例を示す図である。図7の(1)は、読取部15の左半分にバーコード41のデータがある場合を示している。CPU31は、Act110を処理した後、Act108を処理する。つまり、CPU31は、通帳4をReverse方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。図7の(2)に示すように、読取部15は、バーコード41の全幅のデータを読み取ることができる。
【0054】
図8は、媒体処理装置1によるバーコード41の読み取りの一例を示す図である。図8の(1)は、読取部15の左半分にバーコード41のデータがある場合を示している。CPU31は、Act110を処理した後、Act106を処理する。つまり、CPU31は、初期位置から通帳4をReverse方向に搬送した後に、通帳4の搬送方向をForward方向に切り替える。CPU31は、通帳4をForward方向に規定量ずつ繰り返し搬送するように制御する。図8の(2)に示すように、読取部15は、バーコード41の全幅のデータを読み取ることができる。
【0055】
本実施形態によれば、媒体処理装置1は、初期位置におけるバーコード41の読取結果と次の位置におけるバーコード41の読取結果からバーコード41の傾きを推測する。これにより、媒体処理装置1は、バーコード41を正しく読み取れる通帳4の位置を推定することができる。その結果、媒体処理装置1は、バーコード41の読取エラー(読取不良率)を効率的に低減することができる。
【0056】
次に、本実施形態の変形例を説明する。図4を用いて説明したフローチャートにおいて、CPU31は、以下のように処理することもできる。
【0057】
Act101において、CPU31は、以下のように処理に基づいてAct102またはAct110の何れを処理するか判断してもよい。CPU31は、読取部15がスタートコードまたはストップコードの何れを読み取れるのかを判断する。CPU31は、上述のデコーダ311による処理に基づいて読取部15がスタートコードまたはストップコードの何れを読み取れるのかを判断する。読取部15がストップコードを読み取れる場合、CPU31は、Act102を処理する。読取部15がスタートコードを読み取れる場合、CPU31は、Act110を処理する。
【0058】
なお、Act101の処理内容に関わらず、Act102において、CPU31は、通帳4をReverse方向に規定量搬送するように制御してもよい。この場合は、Act106において、CPU31は、通帳4をReverse方向に規定量搬送するように制御する。
なお、Act101の処理内容に関わらず、Act110において、CPU31は、通帳4をForward方向に規定量搬送するように制御してもよい。この場合は、Act106において、CPU31は、通帳4をForward方向に規定量搬送するように制御する。
なお、Act101の処理内容に関わらず、Act102における通帳4の搬送方向とAct110における通帳4の搬送方向は同じであってもよい。
【0059】
なお、CPU31は、Act101の処理を省略してもよい。読取部15が初期位置にあるバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合、CPU31は、Act102を処理してもよい。つまり、CPU31は、通帳4をForward方向に規定量搬送するように制御する。読取部15が初期位置にあるバーコード41の全幅のデータを読み取れない場合、CPU31は、Act110を処理してもよい。つまり、CPU31は、通帳4をReverse方向に規定量搬送するように制御する。
【0060】
なお、Act102及びAct110において、CPU31は、過去の傾向に基づいて、初期位置から通帳4を搬送する方向を決めてもよい。記憶部34は、過去の傾向を保存する。記憶部34は、Act101の処理結果、その結果に応じた初期位置からの通帳4の搬送方向及び搬送方向の切り替えの有無などを過去の傾向として保存する。記憶部34は、CPU31によるバーコード41の読取処理の度に情報を過去の傾向として保存する。CPU31は、過去の傾向を参照して、以下の内容を決定する。CPU31は、Act101の後に初期位置から何れの方向に通帳4を搬送した方がバーコード41の全幅のデータを早く読み取れる可能性が高いのかを決定する。言い換えると、CPU31は、Act101の後に初期位置から何れの方向に通帳4を搬送した方が通帳4の搬送方向を切り替える可能性が低いのかを決定する。
【0061】
通帳4を搬送する回数は、通帳4の搬送方向が反対方向に切り替わるよりも通帳4の搬送方向が一方向の方が少ない。通帳4を搬送する時間も、通帳4の搬送方向が切り替わるよりも通帳4の搬送方向が一方向の方が少ない。そのため、CPU31は、過去の傾向に基づいて、バーコード41の全幅のデータを早く読み取れる可能性が高い方向に初期位置から通帳4を搬送するように制御する方が好ましい。言い換えると、CPU31は、過去の傾向に基づいて通帳4の搬送方向を切り替える可能性が低い方向に初期位置から通帳4を搬送するように制御する方が好ましい。なお、CPU31は、Act101の処理を省略する場合も過去の傾向に基づいて、初期位置から通帳4を搬送する方向を決めてもよい。
【0062】
一例として、読取部15の右半分にバーコード41のデータがある場合の過去の傾向を説明する。初期位置からForward方向への通帳4の搬送は、初期位置からReverse方向への通帳4の搬送に比べて搬送方向を切り替える可能性が低いと仮定する。この場合、CPU31は、読取部15の右半分にバーコード41のデータがある場合に、初期位置からForward方向に通帳4を搬送するように制御する。
【0063】
これにより、媒体処理装置1は、通帳4を一方向に搬送するだけでバーコード41の全幅のデータを読み取れる可能性が高くなる。そのため、媒体処理装置1の処理時間は短くなる。
【0064】
なお、CPU31は、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量に基づいて通帳4の搬送量(搬送距離)を変更してもよい。この場合、CPU31は、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量が多くなるにつれ、通帳4の搬送量を小さくするように制御する。例えば、バーコード41のデータ量が第1の閾値以下である場合、CPU31は、通帳4を規定量よりも大きい量(距離)搬送するように制御する。なお、バーコード41のデータ量が第1の閾値以下である場合は、読取部15がバーコード41のデータをほとんど読み取れていない場合に相当する。通帳4を規定量よりも大きい量搬送するのは、通帳4を規定量搬送したとしても、読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れないことがあるからである。
【0065】
他方、バーコード41のデータ量が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上である場合、CPU31は、通帳4を規定量よりも小さい量搬送するように制御する。なお、バーコード41のデータ量が第2の閾値以上である場合は、読取部15がバーコード41のデータをほとんど読み取れている場合に相当する。通帳4を規定量よりも小さい量搬送するのは、通帳4を規定量搬送すると読取部15がバーコード41の全幅のデータを読み取れる位置を越えた位置に通帳4を搬送してしまうからである。
【0066】
このように、媒体処理装置1は、読取部15で読み取られるバーコード41のデータ量に基づいて通帳4の搬送量を細かく制御することができる。そのため、媒体処理装置1は、通帳4の搬送処理を規定量で繰り返すよりも、搬送処理の回数を減らすことができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…媒体処理装置、4…通帳、11…挿入口、12…搬送用モータ、13…複数の搬送ローラ、14…反射型フォトセンサ、15…読取部、15−1…センサ、15−2…センサ、15−n…センサ、16…ホームポジションセンサ、17…印字ヘッド、18…駆動モータ、19…印字プラテン、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…記憶部、35…モータドライバ、36…モータドライバ、37…ヘッドドライバ、41…バーコード、311…デコーダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8