特許第6266591号(P6266591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266591予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチするための通信装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266591
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチするための通信装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20180115BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20180115BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20180115BHJP
【FI】
   H04W28/06 110
   H04W72/04 136
   H04W72/04 132
   H04W72/04 131
   H04W52/02 110
【請求項の数】55
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-505020(P2015-505020)
(86)(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公表番号】特表2015-522956(P2015-522956A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】GB2013050913
(87)【国際公開番号】WO2013153375
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年1月20日
(31)【優先権主張番号】1206347.5
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513018028
【氏名又は名称】エスシーエー アイピーエルエー ホールディングス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】593081408
【氏名又は名称】ソニー ヨーロッパ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(72)【発明者】
【氏名】森岡 裕一
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−502489(JP,A)
【文献】 特表2001−526011(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0110337(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0150123(US,A1)
【文献】 特開2000−059283(JP,A)
【文献】 特開2010−124492(JP,A)
【文献】 CATT,Synchronisation for triggering detached MTC devices[online], 3GPP TSG-SA WG2#85 S2-112339,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_85_XiAN/Docs/S2-112339.zip>,2011年 5月20日,Pages 1-3
【文献】 Alcatel-Lucent (Rapporteur),Text proposal on reduction of maximum bandwidth for Section 6.2 of TR 36.888[online], 3GPP TSG-RAN WG1#68 R1-120909,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68/Docs/R1-120909.zip>,2012年 2月10日,Pages 1-7
【文献】 InterDigital Communications,Triggering a detached MTC device[online], 3GPP TSG-SA WG2#83 S2-110673,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_83_Salt_Lake_City/Docs/S2-110673.zip>,2011年 2月25日,Pages 1-4
【文献】 InterDigital Communications,Synchronisation between offline MTC devices and MTC server/3GPP core network[online], 3GPP TSG-SA WG2#85 S2-112560,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_85_XiAN/Docs/S2-112560.zip>,2011年 5月20日,Pages 1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基地局、第1の端末デバイスおよび第2の端末デバイスを備え、
前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、予め定義されるタイミングスケジュールに従って決定された期間の間だけ非同期的な手法で通信するように構成される、ワイヤレス通信システム。
【請求項2】
少なくとも1つの基地局、第1の端末デバイスおよび第2の端末デバイスを備え、
前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、前記少なくとも1つの基地局の動作周波数範囲より狭く、前記少なくとも1つの基地局の動作周波数範囲内にある予め定義される周波数範囲を用いて非同期的な手法で通信するように構成される、ワイヤレス通信システム。
【請求項3】
少なくとも1つの基地局、第1の端末デバイスおよび第2の端末デバイスを備え、
前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、データを前記予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを前記予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される、ワイヤレス通信システム。
【請求項4】
少なくとも1つの基地局、第1の端末デバイスおよび第2の端末デバイスを備え、
前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスの制御データのための制御領域を含む無線フレームを送信するように構成され、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスのための前記制御領域外の時間および周波数において前記第2の端末デバイスと通信するように構成される、ワイヤレス通信システム。
【請求項5】
少なくとも1つの基地局、第1の端末デバイスおよび第2の端末デバイスを備え、
前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスが、追加データを同期的に受信するために、前記少なくとも1つの基地局によって送信された無線フレームへの同期を開始するための指示を含む、ワイヤレス通信システム。
【請求項6】
少なくとも1つの基地局、第1の端末デバイスおよび第2の端末デバイスを備え、
前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスと同期的な手法でデータを通信するようにさらに構成される、ワイヤレス通信システム。
【請求項7】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスの識別標識を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項8】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項9】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスについての前記ユーザプレーンデータのための符号化方式の標識を含む、請求項8に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項10】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータが前記少なくとも1つの基地局によって送信される時間および/または周波数の標識を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、前記予め定義されるシグネチャシーケンスが、プリアンブル部分、ミッドアンブル部分、ポストアンブル部分、パイロット部分、および散在するパイロット部分を含むグループから選択された部分を含むパケットフォーマットで送信するように構成される、請求項3に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項12】
前記パケットフォーマットは、前記第2の端末デバイスの識別標識を含むヘッダ部分をさらに含む、請求項11に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項13】
前記パケットフォーマットは、前記第2の端末デバイスのユーザプレーンデータを含むペイロード部分をさらに含む、請求項11または12に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項14】
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットの前記ペイロード部分によって包含される、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されないリソースの標識をさらに含む、請求項13に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを別の予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される、請求項3又は請求項11〜14のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項16】
前記予め定義されるシグネチャシーケンスは、前記第2のタイプの端末デバイスとデータを非同期的に通信するために前記少なくとも1つの基地局により使用される予め定義されるシグネチャシーケンスのセットのうちの1つである、請求項3又は請求項11〜15のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項17】
前記予め定義されるシグネチャシーケンスは、予め定義されるシグネチャシーケンスの前記セットのサブセットのうちの1つであり、前記基地局は、前記第2の端末デバイスとデータを非同期的に通信するために使用される予め定義されるシグネチャシーケンスの前記セットの前記サブセットのうちの1つを選択するように構成される、請求項16に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項18】
前記第2の端末デバイスは、前記少なくとも1つの基地局からの送信をサーチして、前記予め定義されるシグネチャシーケンスを識別し、前記予め定義されるシグネチャシーケンスの識別された送信が、前記第2の端末デバイスに特有のデータと関連付けられているかどうかを決定するように構成される、請求項3又は請求項11〜17のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項19】
前記第2の端末デバイスは、前記第2の端末デバイスに特有の前記データの成功裏な受信の後に、前記少なくとも1つの基地局へ確認応答のシグナリングを送信するように構成される、請求項1〜18のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項20】
前記第2の端末デバイスは、前記予め定義されるシグネチャシーケンスを受信してから予め定義される時間後に前記確認応答のシグナリングを送信するように構成される、請求項19に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項21】
前記第2のタイプの端末デバイスは、マシンタイプコミュニケーション(MTC)端末デバイスである、請求項1〜20のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項22】
前記ワイヤレス通信システムは、およそ第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)アーキテクチャに基づいている、請求項1〜21のいずれか1項に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項23】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するための基地局であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、予め定義されるタイミングスケジュールに従って決定される期間の間だけ前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成される、基地局。
【請求項24】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するための基地局であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、前記基地局の動作周波数範囲より狭く、前記基地局の動作周波数範囲内にある予め定義される周波数範囲を用いて非同期的な手法で通信するように構成される、基地局。
【請求項25】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するための基地局であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスの制御データのための制御領域を含む無線フレームを送信するように構成され、前記基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスのための前記制御領域外の時間および周波数において前記第2の端末デバイスと通信するように構成される、基地局。
【請求項26】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するための基地局であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスが、追加データを同期的に受信するために、前記基地局によって送信された無線フレームへの同期を開始するための指示を含む、基地局。
【請求項27】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するための基地局であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成され、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信するように構成され、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、前記第2の端末デバイスと同期的な手法でデータを通信するようにさらに構成される、基地局。
【請求項28】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスの識別標識を含む、請求項23〜27のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項29】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータを含む、請求項23〜28のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項30】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスについての前記ユーザプレーンデータのための符号化方式の標識を含む、請求項29に記載の基地局。
【請求項31】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータが前記基地局によって送信される時間および/または周波数の標識を含む、請求項23〜30のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項32】
前記基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、前記予め定義されるシグネチャシーケンスに従って上記データを送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される、請求項23〜31のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項33】
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記予め定義されるシグネチャシーケンスがプリアンブル部分、ミッドアンブル部分、ポストアンブル部分、パイロット部分、および散在するパイロット部分を含むグループから選択された部分を含むパケットフォーマットで送信される、請求項32に記載の基地局。
【請求項34】
前記パケットフォーマットは、前記第2の端末デバイスの識別標識を含むヘッダ部分をさらに含む、請求項33に記載の基地局。
【請求項35】
前記パケットフォーマットは、前記第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータを含むペイロード部分をさらに含む、請求項33または34に記載の基地局。
【請求項36】
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットの前記ペイロード部分によって包含される、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されないリソースの標識をさらに含む、請求項35に記載の基地局。
【請求項37】
前記基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを前記予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される、請求項32〜36のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項38】
前記基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを別の予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される、請求項32〜36のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項39】
前記予め定義されるシグネチャシーケンスは、前記第2のタイプの端末デバイスとデータを非同期的に通信するために前記基地局により使用される予め定義されるシグネチャシーケンスのセットのうちの1つである、請求項32〜38のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項40】
前記予め定義されるシグネチャシーケンスは、予め定義されるシグネチャシーケンスの前記セットのサブセットのうちの1つであって、前記基地局は、前記第2の端末デバイスとデータを非同期的に通信するために使用される予め定義されるシグネチャシーケンスの前記セットの前記サブセットのうちの1つを選択するように構成される、請求項39に記載の基地局。
【請求項41】
前記基地局は、前記第2の端末デバイスに特有の前記データの成功裏な受信を示す、前記第2の端末デバイスからの確認応答シグナリングを受信するように構成される、請求項23〜40のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項42】
前記基地局は、前記予め定義されるシグネチャシーケンスの送信後、予め定義される時間に依拠する時間に前記確認応答シグナリングを受信するように構成される、請求項41に記載の基地局。
【請求項43】
前記第2のタイプの端末デバイスは、マシンタイプコミュニケーション(MTC)端末デバイスである、請求項23〜42のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項44】
前記基地局を含むワイヤレス通信システムは、およそ第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)アーキテクチャに基づいている、請求項23〜43のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項45】
少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記少なくとも1つの基地局が、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、予め定義されるタイミングスケジュールに従って決定された期間の間だけ非同期的な手法で通信する、方法。
【請求項46】
少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記少なくとも1つの基地局が、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、前記少なくとも1つの基地局の動作周波数範囲より狭く、前記少なくとも1つの基地局の動作周波数範囲内にある予め定義される周波数範囲を用いて非同期的な手法で通信する、方法。
【請求項47】
少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記少なくとも1つの基地局が、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、データを前記予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信し、
前記少なくとも1つの基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを前記予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信する、方法。
【請求項48】
少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記少なくとも1つの基地局が、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスの制御データのための制御領域を含む無線フレームを送信するように構成され、前記少なくとも1つの基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスのための前記制御領域外の時間および周波数において前記第2の端末デバイスと通信する、方法。
【請求項49】
少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記少なくとも1つの基地局が、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスが、追加データを同期的に受信するために、前記少なくとも1つの基地局によって送信された無線フレームへの同期を開始するための指示を含む、方法。
【請求項50】
少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、前記第2の端末デバイスは第2のタイプの端末デバイスであり、前記第2のタイプは前記第1のタイプと異なり、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記少なくとも1つの基地局が、前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記少なくとも1つの基地局は、前記第2の端末デバイスと同期的な手法でデータを通信する、方法。
【請求項51】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するためワイヤレス通信システムの基地局を動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、予め定義されるタイミングスケジュールに従って決定される期間の間だけ前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信する、方法。
【請求項52】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するためワイヤレス通信システムの基地局を動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、前記第2の端末デバイスに特有のデータを、前記基地局の動作周波数範囲より狭く、前記基地局の動作周波数範囲内にある予め定義される周波数範囲を用いて非同期的な手法で通信する、方法。
【請求項53】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するためワイヤレス通信システムの基地局を動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスの制御データのための制御領域を含む無線フレームを送信するように構成され、前記基地局は、前記第1のタイプの端末デバイスのための前記制御領域外の時間および周波数において前記第2の端末デバイスと通信する、方法。
【請求項54】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するためワイヤレス通信システムの基地局を動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データは、前記第2の端末デバイスが、追加データを同期的に受信するために、前記基地局によって送信された無線フレームへの同期を開始するための指示を含む、方法。
【請求項55】
第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するためワイヤレス通信システムの基地局を動作させる方法であって、前記第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、前記第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することと、
前記第2の端末デバイスに特有の前記データを、予め定義されるシグネチャシーケンスを含むパケットフォーマットで送信することと、を含み、
前記パケットフォーマットは、前記パケットフォーマットによって包含される、前記第1の端末デバイスに特有の前記データを伝達するために使用されるリソースの標識をさらに含み、
前記基地局は、前記第2の端末デバイスと同期的な手法でデータを通信する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信システムでデータを送信するための方法、システムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信システムは、過去十年ほどにわたり、GSMシステム(Global System for Mobile communications)から3Gシステムへと進化してきており、現在では、回線交換通信のみならずパケットデータ通信も含む。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:third generation partnership project)は、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる第4世代モバイル通信システムを開発しており、LTEでは、コアネットワーク部が、昔のモバイル無線ネットワークアーキテクチャの構成要素と、ダウンリンク上の直交周波数分割多重化(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)およびアップリンク上のシングルキャリア周波数分割多重接続(SC−FDMA:Single Carrier Frequency Division Multiple Access)に基づく無線アクセスインターフェースとの併合に基づく、より簡略化されたアーキテクチャを形成するように進化している。
【0003】
3GPP定義のUMTSおよびLTEアーキテクチャに基づくシステムのような第3および第4世代モバイル通信システムは、前世代のモバイル通信システムによって提供される単なる音声サービスおよびメッセージングサービスよりも高度な一連のサービスをサポートすることができる。
【0004】
例えば、LTEシステムによって提供される改善された無線インターフェースおよび拡張データレートがあれば、ユーザは、以前は固定回線データ接続を介してのみ利用可能であったはずのモバイルビデオストリーミングおよびモバイルビデオ会議といった高データレートのアプリケーションを享受することができる。そのため、第3および第4世代ネットワーク展開への要望は強く、これらのネットワークのカバレッジエリア、すなわちネットワークへのアクセスが可能な地理的な場所は急速に増加すると予想される。
【0005】
予期された第3および第4世代ネットワークの広範囲にわたる展開は、利用可能な高データレートを利用するよりはむしろ、代わりにロバストな無線インターフェースおよび拡大するカバレッジエリアを利用する部類のデバイスおよびアプリケーションの並列的な発展をもたらしている。そうした部類のデバイスの1つが、マシンツーマシン(M2M:machine−to−machine)通信をサポートするマシンタイプコミュニケーション(MTC:machine−type−communication)デバイスである。例としてはいわゆるスマートメータが含まれ、スマートメータは、例えば、顧客の住宅に設置され、情報すなわち、顧客のガス、水道、電気などといった公共設備の消費に関連したデータを中央MTCサーバへ周期的に送り返す。MTCタイプのデバイスの特性に関する詳細は、例えば、ETSI TS122 368V10.530(2011−7)/3GPP TS22.368version10.5.0Release10)[2]のような対応する規格に記載されている。MTCデバイスは、いくつかの点で、例えば待ち時間に関して相対的に低いQoS(quality of service)を有する相対的に低い帯域幅の通信チャネルによってサポートされ得るデバイスとみなされ得る。
【0006】
MTCタイプの端末といった端末が第3または第4世代のモバイル通信ネットワークによって提供される広範囲のカバレッジエリアを利用することは好都合となり得るが、目下のところ、MTCデータ通信のための既存のネットワーク構成の使用と関連付けられるいくつかの不都合がある。電力消費および複雑さの最小化は、あらゆる第3および第4世代端末の背後にある推進要因であり、低コストと、専用電源へのアクセスが制限され得て、または経済的に発展し得ない場所への配置とが求められるために、MTC端末ではなおさらである。したがって、MTC端末の電力消費を低減させることが求められている。
【0007】
電力消費の管理を支援するためにLTEに組み込まれている技術が、いわゆる間欠受信(DRX:discontinuous reception)モードである。DRXは、端末にネットワークとのページングサイクルの間はスリープモードのままにさせ、したがって節電させることを可能にする。これは、デバイスへのページングサイクルの期間を延長することによって達成され、デバイスは、任意のページング情報を受信するためにスリープ期間の後の所定の起動時間枠の持続期間にわたって起動する。このプロセスは、端末のネットワークとの頻繁な同期タスクおよび通信タスクを軽減するのに役立ち、動作負担の低減により、それと関連して電力消費の低減がもたらされ得る。よって、LTEタイプのシステムに含まれるDRX能力は、デバイスが節電アイドル状態から脱し、必要に応じてネットワークとの通信を再確立することを可能にする。
【0008】
DRX動作モードは、低頻度でしかネットワークにアクセスし得ないはずの端末の電力消費を低減させるのに役立ち得るが、それにもかかわらず、このやり方にはいくつかの欠点がある。第一に、現在規定されている最大DRXサイクルは相対的に短く、わずか2.5秒前後である。しかし、いくつかのタイプの端末、例えばMTCタイプのデバイスは、これよりもずっと低い頻度でデータを通信しようとし得るはずであり、そのため、状況によっては、より長い潜在的な非アクティブ期間がより適切となり得るはずであることが予期される。第二に、端末デバイスが従来のDRX動作モードに従って起動するときには、デバイスは、ネットワークがデバイスへ通信するためのデータを有するかどうか決定し得る前に、いくつかのステップを実行しなければならない。
【0009】
例えば、従来のDRXモードで動作しており、DRXタイマが切れるときに(すなわち、デバイスが「起動する」時間になると)、デバイスは、通常、ユーザデータを取得するために以下のステップに着手することを必要とされることになる。
【0010】
ステップ1:フレーム同期。デバイスはフレーム同期を達成するために同期信号をサーチする。
【0011】
ステップ2:マスタ情報の受信。デバイスは、フレーム構造内のマスタ情報ブロック(MIB:Master Information Block)の位置を決定し、MIBを復号してチャネル帯域幅およびシステムフレームナンバー(SFN:System Frame Number)を決定する。
【0012】
ステップ3:システム情報の受信。SFNを考慮して、デバイスは、フレーム構造内のシステム情報ブロック(SIB:System Information Block)の位置を決定し、SIBを復号して追加のシステム情報を取得する。
【0013】
ステップ4:ページングメッセージの受信。デバイスは、関連する制御チャネル(PDCCH)上のデバイスのためのユーザデータの存在を示すはずのページング情報をサーチする。
【0014】
よって、各DRXサイクルの一部として、デバイスは、ネットワークからのページングメッセージのための特定のフレームおよびサブフレーム、ページングメッセージの位置、ならびにデバイスとネットワークとの間で予めネゴシエーションされるデバイスのDRXサイクルをチェックする。関連するページングメッセージがデバイスによって受信されると、デバイスは、確立されたシグナリングを用いてネットワークとのデータ接続を確立し、続いて関連データを送信/受信する。しかし、上述のように、デバイスは、これを行い得るためには、まず、ネットワークのフレーム構造との同期を含む様々なステップを実行する必要がある。
【0015】
いくつかの場合では、デバイスは、DRXサイクルごとに上述のステップすべてを実行することを必要とされないこともある。例えば、短いDRXサイクルでは、フレーム同期が、原則的には、十分に正確なタイミングで、あるDRXサイクルから次のDRXサイクルまで維持され得るはずである。さらに、MIB/SIBといった情報は、原則的には、デバイスにおいて記憶され、異なるDRXサイクルにおいて同じであると想定され得るものであり、そのため、上述の4ステップのうちのいくつかが短縮され得る。しかし、相対的に長いDRXサイクルでは、大部分ではないにしろ、少なくとも一部のDRXサイクルについてこの情報を再取得することが必要になり得る。
【0016】
デバイスは、一般に、上述のステップ(または上述のステップの短縮バージョン)をDRXサイクルごとに実行することになるため、デバイスへ通信されるべきデータがない延長期間においてさえも、DRXモードで動作するのに相当量の電力が依然として必要とされ得る。
【0017】
低データレートアプリケーションのために設計された既存の低電力短距離のアドホックネットワークプロトコルの1つが、ZigBee(RTM)である。これは、メッシュネットワークと共に使用するために設計されたプロトコルであり、デバイス間でメッセージを転送し、デバイスが活動期間の合間にスリープするための能力を有する。ノード電池寿命をさらに温存するために、コーディネータデバイスと受信デバイスとの間のデータ転送が、コーディネータデバイスではなく、主に受信デバイスによって制御される。コーディネータデバイスから受信デバイスへデータを転送するためのプロトコルは、ZigBeeネットワークがビーコンイネーブルであるかノンビーコンイネーブルであるかに依存する。ビーコンイネーブルネットワークでは、コーディネータデバイスは、ビーコンで、受信デバイスへデータを転送したいことを示す。受信デバイスは、そのスリープ状態から周期的に起動し、ビーコンを受信して同期に利用し、次いで、コーディネータデバイスからの関連メッセージの有無をチェックする。関連メッセージが見つかった場合、受信デバイスは、コーディネータデバイスがデータを送信するよう要求する。ノンビーコンイネーブルネットワークでは、受信側デバイスは、スリープ状態から周期的に起動し、コーディネータデバイスに保留中のデータを要求する。保留中のデータがある場合、コーディネータデバイスは送信を求める要求に確認応答し、次いでデータを送信する。保留中のデータがない場合、コーディネータはデバイスに通知し、デバイスは確認応答で応答する。このプロトコルは、デバイスがかなりの期間にわたってスリープすることを可能にするが、伝達すべきデータの有無にかかわらず、通信を確立するためにデバイスとコーディネータとの間で何回かの2方向送信を行うことを必要とする。さらに、これらの動作モードは、確立されたワイヤレス通信の原理を大きく逸脱したものであり、そのため、LTEタイプのネットワークといったワイヤレス通信システムにおいて容易に実装され得ないはずである。
【0018】
デバイスがスリープ期間/節電モードに入ることを可能にするいくつかの他のタイプのネットワークが、IEEE802.11規格に基づくもの、例えばWiFiである。これらのネットワークでは、デバイスはスリープモードに入り得て、ネットワークアクセスポイントは、現在スリープしているすべてのデバイスのリストを維持する。次いで、スリープ中のデバイスの保留データに関する情報を含むビーコンフレームが、アクセスポイントによって周期的に送信される。スリープ中のデバイスが起動し、このフレームをチェックして、保留データがあるかどうか知り、データが保留中である場合、デバイスはアクセスポイントにポーリングし、アクセスポイントとの通信を開始する。デバイスとアクセスポイントとの間の通信も、デバイスがアクセスポイントに、デバイスがスリープ期間から起動したことを通知することによって再確立され得る。この手順はデバイスがある期間にわたってスリープし、したがって節電することを可能にするが、デバイスは依然として、予め定義される時間に起動してビーコンフレームをチェックし、次いで、ネットワークとのリンクを確立するために何回かの2方向通信を行う必要がある。したがって、デバイスは、節電モードを利用するためにネットワークとの同期を維持する必要があり、デバイスが節電モードから抜け出す場合には、デバイスはかなり大きなオーバーヘッドを負う。さらに、ZigBeeの場合と同様に、IEEE802.11規格に基づく方式のこれらの動作の側面は、確立されたワイヤレス通信の原理を大きく逸脱したものであり、そのため、LTEタイプのネットワークといったワイヤレス通信システムにおいて容易に実装され得ないはずである。
【0019】
よって、ごく少量のデータを低頻度で受信するはずのデバイスのためのいくつかの確立された節電技法が存在するが、ワイヤレス通信ネットワークで動作する端末デバイス、例えば、LTEタイプのネットワークで動作するMTCタイプのデバイスの低電力動作のための改善された方式を提供することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0020】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムが提供され、第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、第2の端末デバイスは第1のタイプと異なる第2のタイプの端末デバイスであり、少なくとも1つの基地局は、第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、第2の端末デバイスに特有のデータを、予め定義されるタイミングスケジュールに従って決定された期間の間だけ非同期的な手法で通信するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、第2の端末デバイスに特有のデータを、少なくとも1つの基地局の動作周波数範囲より狭く、少なくとも1つの基地局の動作周波数範囲内にある予め定義される周波数範囲を用いて非同期的な手法で通信するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスに特有のデータは、第2の端末デバイスの識別標識を含む。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスに特有のデータは、第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータを含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスに特有のデータは、第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータのための符号化方式の標識を含む。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスに特有のデータは、第2の端末デバイスについてのユーザプレーンデータが少なくとも1つの基地局によって送信される時間および/または周波数の標識を含む。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、第2の端末デバイスに特有のデータを、上記データを予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、第2の端末デバイスに特有のデータを、予め定義されるシグネチャシーケンスが、プリアンブル部分、ミッドアンブル部分、ポストアンブル部分、パイロット部分、および散在するパイロット部分を含むグループから選択された部分を含むパケットフォーマットで送信するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、パケットフォーマットは、第2の端末デバイスの識別標識を含むヘッダ部分をさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、パケットフォーマットは、第2の端末のユーザプレーンデータを含むペイロード部分をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、別の端末デバイスに特有のデータを、上記別の端末に特有の上記データを別の予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信することによって非同期的な手法で通信するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、予め定義されるシグネチャシーケンスは、第2のタイプの端末デバイスとデータを非同期的に通信するための少なくとも1つの基地局による使用ための予め定義されるシグネチャシーケンスのセットのうちの1つである。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、予め定義されるシグネチャシーケンスは、予め定義されるシグネチャシーケンスのセットのサブセットのうちの1つであり、基地局は、第2の端末デバイスとデータを非同期的に通信するために使用される予め定義されるシグネチャシーケンスのセットのサブセットのうちの1つを選択するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスは、少なくとも1つの基地局からの送信をサーチして、予め定義されるシグネチャシーケンスを識別し、予め定義されるシグネチャシーケンスの識別された送信が、第2の端末デバイスに特有のデータと関連付けられているかどうかを決定するように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスは、第2の端末に特有のデータの成功裏な受信の後に、少なくとも1つの基地局へ確認応答シグナリングを送信するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、第1のタイプの端末デバイスの制御データのための制御領域を含む無線フレーム構造を送信するように構成され、少なくとも1つの基地局は、第1のタイプの端末デバイスのための制御領域外の時間および周波数において第2の端末デバイスと通信するように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、第2の端末デバイスに特有のデータは、第2の端末デバイスが、追加データを同期的に受信するために、少なくとも1つの基地局によって送信されたフレーム構造への同期を開始するための指示を含む。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの基地局は、第2の端末デバイスと同期的な手法でデータを通信するようにさらに構成される。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、第2のタイプの端末デバイスは、マシンタイプコミュニケーション(MTC)端末デバイスである。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、ワイヤレス通信システムは、およそ第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)アーキテクチャに基づいている。
【0042】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムを動作させる方法が提供され、第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、第2の端末デバイスは第1のタイプと異なる第2のタイプの端末デバイスであり、方法は、第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することとを含む。
【0043】
本発明の別の態様によれば、第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するための基地局が提供され、基地局は、第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成される。
【0044】
本発明の別の態様によれば、第1のタイプの第1の端末デバイス、および第1のタイプと異なる第2のタイプの第2の端末デバイスとデータを通信するためワイヤレス通信システムの基地局を動作させる方法が提供され、方法は、第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信することと、第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信することとを含む。
【0045】
本発明の別の態様によれば、ワイヤレス通信システムで使用中の基地局からデータを受信するための端末デバイスが提供され、端末デバイスは、端末デバイスに特有のデータを、端末デバイスに特有のデータと関連付けて基地局によって送信された予め定義されるシグネチャシーケンスを求めて基地局によって送信された無線フレームをサーチし、予め定義されるシグネチャシーケンスの識別に基づいて基地局によって送信された無線フレームから端末デバイスに特有のデータを抽出することによって基地局から非同期的な手法で受信するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、予め定義されるタイミングスケジュールに従って決定された期間の間だけ予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチするように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、端末デバイスが予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチする期間外の時間にスリープモードに入るように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、端末デバイスに特有のデータを受信したことへの応答としてスリープモードに入るように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、ワイヤレス通信システムの動作周波数範囲より狭く、ワイヤレス通信システムの動作周波数範囲内にある予め定義される周波数範囲内で予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチするように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスに特有のデータは、端末デバイスの識別標識を含む。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスに特有のデータは、端末デバイスについてのユーザプレーンデータを含む。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスに特有のデータは、端末デバイスについてのユーザプレーンデータのための符号化方式の標識を含む。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスに特有のデータは、端末デバイスについてのユーザプレーンデータが基地局によって送信される時間および/または周波数の標識を含む。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、端末デバイスに特有のデータを、予め定義されるシグネチャシーケンスが、プリアンブル部分、ミッドアンブル部分、ポストアンブル部分、パイロット部分、および散在するパイロット部分を含むグループから選択された部分を含むパケットフォーマットで受信するように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、パケットフォーマットは、端末デバイスの識別標識を含むヘッダ部分をさらに含む。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、パケットフォーマットは、端末デバイスについてのユーザプレーンデータを含むペイロード部分をさらに含む。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、予め定義されるシグネチャシーケンスは、端末デバイスがサーチするように構成される予め定義されるシグネチャシーケンスのセットのうちのいずれか1つである
【0058】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、第2の端末に特有のデータの成功裏な受信の後に基地局へ確認応答シグナリングを送信するように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスに特有のデータは、端末デバイスが、追加データを同期的な手法で受信するために、基地局によって送信されたフレーム構造への同期を開始するための指示を含み、端末デバイスはフレーム構造への同期を開始するための指示を受信したことへの応答としてフレーム構造への同期を開始するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、基地局から同期的な手法でデータを受信するようにさらに構成される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、端末デバイスは、マシンタイプコミュニケーション(MTC)端末デバイスである。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、ワイヤレス通信システムは、およそ第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)アーキテクチャに基づいている。
【0063】
本発明の別の態様によれば、ワイヤレス通信システムで端末デバイスを動作させる方法が提供され、方法は、端末デバイスに特有のデータと関連付けてワイヤレス通信システムの基地局によって送信された予め定義されるシグネチャシーケンスを求めて基地局によって送信された無線フレームをサーチすることと、予め定義されるシグネチャシーケンスの識別に基づいて基地局によって送信された無線フレームから端末デバイスに特有のデータを抽出し、それによって、端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で受信することと、を含む。
【0064】
本発明の別の態様によれば、ワイヤレス通信システムで使用中の基地局からデータを受信するための端末デバイスで使用するための集積回路が提供され、集積回路は、端末デバイスに、端末デバイスに特有のデータを、端末デバイスに特有のデータと関連付けて基地局によって送信された予め定義されるシグネチャシーケンスを求めて基地局によって送信された無線フレームをサーチし、予め定義されるシグネチャシーケンスの識別に基づいて基地局によって送信された無線フレームから端末デバイスに特有のデータを抽出することによって基地局から非同期的な手法で受信させるための回路を備える。
【0065】
本発明の第1の態様およびその他の態様に関連して上述した本発明の特徴および側面は等しく適用可能であり、本発明のそれぞれの他の側面と適宜組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
次に、本発明の実施形態を、単なる例示として、添付の図面を参照して説明する。図面において、類似の部分は対応する参照符号が付与される。
【0067】
図1】従来のモバイル通信システムを示す概略図である。
図2】従来のLTEダウンリンク無線フレームを示す概略図である。
図3】従来のLTE同期およびキャンプオン手続きを示す概略図である。
図4】本発明の実施形態による通信システムを示す概略図である。
図5】本発明の実施形態によるダウンリンクデータを示す概略図である。
図6A】本発明のいくつかの実施形態によるLTEダウンリンク無線フレームの各部分を示す概略図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態によるLTEダウンリンク無線フレームの各部分を示す概略図である。
図6C】本発明のいくつかの実施形態によるLTEダウンリンク無線フレームの各部分を示す概略図である。
図6D】本発明のいくつかの実施形態によるLTEダウンリンク無線フレームの各部分を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明の実施形態は、ここでは、3GPP LTE規格に基づくワイヤレス通信システムにおける実装例を特に参照して説明される。しかし、本発明の実施形態は、以下で、LTEタイプのネットワークのコンテキストにおいて論じられる特性に対応する特性を有する他の規格に基づくワイヤレス通信システムにおいても実装され得ることが理解されるであろう。
【0069】
図1は、LTEの原理に従って動作し、以下でさらに説明する本発明の実施形態を実装するように適合され得るモバイル通信ネットワーク/システム100の一部の基本的機能を例示する概略図を提供する。図1の様々な要素および各要素の動作モードは、周知であり、3GPP(RTM)団体によって管理される関連する規格で定義されており、また、この主題に関する多くの書籍、例えば、Holma H.and Toskala A[11]などにも記載されている。以下で具体的に説明されない通信システムの動作的態様は、任意の公知の技法に従って、例えば、関連する規格などに従って実装されてよいことが理解されるであろう。
【0070】
ネットワーク100は、コアネットワーク102に接続された複数の基地局101を含む。各基地局は、その範囲内で端末デバイス104との間でデータが通信され得るカバレッジエリア103(すなわちセル)を提供する。データは、無線ダウンリンクを介して、基地局101から各基地局101のカバレッジエリア103内の端末デバイス104へ送信される。データは、無線アップリンクを介して、端末デバイス104から基地局101へ送信される。コアネットワーク102は、それぞれの基地局101を介して、端末デバイス104との間でデータをルーティングし、認証、モビリティ管理、課金などといった機能を提供する。端末デバイスは、デバイス、端末、モバイルステーション、ユーザ機器(UE:user equipment)、ユーザ端末、モバイル無線機、LTEデバイスなどとも称され得る。基地局は、トランシーバ基地局(transceiver station)/NodeB/eNode Bなどとも称され得る。
【0071】
モバイル通信システム、例えば、3GPP定義のLTEアーキテクチャに従って構成されたモバイル通信システムは、無線ダウンリンクに直交周波数分割変調(OFDM)ベースのインターフェース(いわゆるOFDMA)を、無線アップリンクにシングルキャリア周波数分割多重接続ベースのインターフェース(いわゆるSC−FDMA)を使用する。図2は、OFDMベースのLTEダウンリンク無線フレーム201を例示する概略図を示す。LTEダウンリンク無線フレームは、LTE基地局(エンハンスドNodeBと呼ばれる)から送信され、10ミリ秒間続く。
【0072】
ダウンリンクフレームは10サブフレーム202からなり、各サブフレーム202は2スロット203で構成される。各サブフレームは、1ミリ秒の期間にわたって送信される所定数のシンボルを含む。各シンボルは、ダウンリンク無線キャリアの帯域幅にわたって分散された所定数の直交サブキャリアを含む。
【0073】
図2の無線フレームは、時間および周波数の全体にわたって点在する参照シンボル204、キャリア帯域幅の中央部分にわたって配置される同期信号205、キャリア帯域幅の中央部分にわたって配置される物理ブロードキャストチャネル(PBCH:physical broadcast channel)206、全キャリア帯域幅にわたって配置される、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH:physical control format indicator channel)、物理HARQ指示チャネル(PHICH:physical HARQ indicator channel)、および物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH:physical downlink control channel)を含む制御領域207、全システム帯域幅にわたって配置される物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH:physical downlink shared channel)208といった様々な要素(図2ではスケール通り表されていない)を含む。
【0074】
また、図2には、2つの端末UE1、UE2のためのいくつかのリソース割当ての例211、212も概略的に表されている。例えば、第1の端末(UE1)のためのリソース割当て211は、第4のサブフレーム内のキャリア帯域幅の最上部近くの周波数範囲にわたっており、第2の端末(UE2)のためのリソース割当て212は、第7および第8のサブフレーム内のキャリア帯域幅の最下部近くの周波数範囲にわたっている。
【0075】
参照シンボルはフレーム全体にわたって均一に分散されており、チャネル推定、セル選択、ハンドオーバなどに使用される。
【0076】
同期信号は、フレームのスロット1およびスロット11の最後に送信され、プライマリ同期信号(PSS:primary synchronisation signal)209(図2にハッチングで概略的に示されている)およびセカンダリ同期信号(SSS:secondary synchronisation signal)(濃いシェーディングで概略的に示されている)からなる。従来のように、同期シグナリング209、210は、フレーム同期を達成し、ダウンリンク信号を送信するエンハンスドNodeBの物理層セル識別情報を決定するために、端末デバイスによって使用される。
【0077】
PBCHは各無線フレームの第2のスロット内の割当てられるリソースであり、マスタ情報ブロック(MIB)をブロードキャストするために使用され、MIBはダウンリンクリンクチャネル帯域幅に関する情報を含む。
【0078】
制御チャネルデータは、サブフレームの最初のnシンボルを含むサブフレームの制御領域で送信され、nは3MHz以上のチャネル帯域幅では1から3シンボルまで変動し得て、1.4MHzのチャネル帯域幅では2から4シンボルまで変動し得る。制御領域で送信されるデータは、PDCCH、PCFICH、およびPHICH上で送信されるデータを含む。これらのチャネルは物理層制御情報を送信する。
【0079】
PDCCHは、サブフレームのどのサブキャリアが特定のLTE端末に割当てられているかを示す制御データを含む。これは、物理層制御シグナリング/データと称され得る。よって、図2に示されている第4のサブフレームの制御領域で送信されるPDCCHデータは、UE1が参照番号211で示されるリソースのブロックを割当てられていることを示すはずであり、第7および第8のサブフレームの制御領域で送信されるPDCCHデータは、UE2が、それぞれのサブフレームについて参照番号212で示されるリソースのブロックのそれぞれの部分を割当てられていることを示すはずである。図2には2つの例示的なデバイスだけのためのリソース割当てが示されているが、一般には、より多く(全部ではないにしろ)の利用可能なPDSCHリソース上でデータを受信するより多くの端末デバイスがあることになることが当然ながら理解されるであろう。
【0080】
PCFICHは、制御領域のサイズ(すなわち、3MHz以上のチャネル帯域幅での1から3シンボルまでの)を示す制御データを含む。
【0081】
PHICHは、前に送信されたアップリンクデータがネットワークによって成功裏に受信されたか否かを示すHARQ(ハイブリッド自動再送要求)データを含む。
【0082】
PDSCH上で個々のLTE端末へ送信されるデータは、サブフレームの他のリソース要素で送信され得る。一般に、PDSCHは、ユーザプレーンデータと非物理層制御プレーンデータ(無線リソース制御(RRC)シグナリングおよび非アクセス層(NAS)シグナリングなど)との組み合わせを運ぶ。PDSCH上で運ばれるユーザプレーンデータおよび非物理層制御プレーンデータは、上位層データ(すなわち、物理層より上位の層と関連付けられたデータ)と称され得る。
【0083】
図3は、LTE「キャンプオン」プロセス、すなわち、従来のLTEタイプの端末デバイス(すなわち、現在のLTE規格に準拠したデバイス)が、ダウンリンクチャネルを介して基地局によって送信されるダウンリンク送信をデバイスが復号できるようにするために従うプロセスを図示する。このプロセスを用いて、端末は、セルについてのシステム情報を含む送信の部分を識別し得て、よって、セルについての構成情報を復号し得る。
【0084】
図3に示されるように、従来のLTEキャンプオン手続きでは、端末は、まず、中央帯域のPSSおよびSSSを用いて基地局によって送信された無線フレームと同期し(ステップ300およびステップ301)、次いで、PBCHを復号する(ステップ302)。端末は、ステップ300、ステップ301、およびステップ302を実行すると、基地局と同期され、他の物理チャネルの復号を開始する用意ができている。
【0085】
次いで、サブフレームごとに、端末は、キャリアの全帯域幅にわたって分散されているPCFICHを復号する(ステップ303)。次いで、端末は、PHICHの位置を確認し(ステップ304)、特に、システム情報送信を識別するため、および端末の個人割当て許可を識別するために、PDCCHを復号する(ステップ305)。割当て許可は、端末によって、システム情報を探し出し、PDSCH上の端末のデータを探し出すために使用される。システム情報も個人割当ても、PDSCH上で送信され、キャリア帯域幅内でスケジュールされる。次いで、端末は、システム情報またはこの端末のために送信されたデータを含むPDSCHを復号し得る(ステップ306)。
【0086】
上述のように、DRXスリープ期間から起動する従来のLTE端末デバイスは、一般に、図3に示されているステップのうちの少なくともいくつかに対応するステップを実行することが必要になる。さらに端末デバイスは、これを実行しても、現在、端末デバイスへ送信されるべきデータがない(すなわち、端末デバイスまたはPDCCH/PDSCH上の対応するユーザプレーンデータのためのリソース割当てがない)ことが判明するにすぎない場合もある。端末が起動するときに端末によって受信されるべきデータがない場合、「起動」に着手することは、実質上、端末デバイスのリソース、および特に、端末デバイスの利用可能な電力の無駄を表す。上述のように、受信されるべきデータがない場合のDRXサイクルからの起動と関連付けられる潜在的に不必要な電力消費は、あるタイプの端末デバイス、例えば、マシンタイプコミュニケーションデバイスにとっては特に問題となり得るが、図3の手法は、他のタイプの端末デバイス、例えば従来の端末デバイスにとっては好ましい手法であり得る。
【0087】
この問題に対処するために、本発明のいくつかの実施形態は、ワイヤレス通信システムの基地局を、異なるタイプの端末デバイスおよび異なる手法で通信するように構成するためのやり方を提案する。特に、基地局は、第1のタイプの端末デバイス(例えば従来の端末デバイス)に特有のデータを従来通り同期的な手法で通信する(上述の従来の同期手続きを用いて)が、第2のタイプの第2の端末デバイス(例えばMTC端末デバイス)に特有のデータを非同期的な手法で通信する(すなわち、上述の従来の同期手続きを使用せずに)ように構成され得る。
【0088】
図4は、本発明の第一の実施形態によるワイヤレス通信システム400を概略的に示す。この例における通信システム400は、概ね、LTEタイプのアーキテクチャに基づいている。よって、通信システム400の動作の多くの態様は、標準で、周知であり、簡潔にするために、ここでは詳細に説明されない。ここで具体的に説明されない通信システム400の動作的な態様は、任意の公知の技法に従って、例えば、LTE規格などに従って実装され得る。
【0089】
通信システム400は、無線ネットワーク部に結合されたコアネットワーク部(進化型パケットコア)401を備える。無線ネットワーク部は、基地局(進化型Node B)402、第1の端末デバイス403、および第2の端末デバイス405を含む。当然ながら、実際には、無線ネットワーク部は、様々な通信セルにわたって多数の端末デバイスにサービスする複数の基地局を含んでもよいことが理解されるであろう。しかし、簡潔にするために図4には1つの基地局と2つの端末デバイスだけが示されている。
【0090】
端末デバイス403、405は、基地局(トランシーバ基地局)402へ、および基地局402からデータを通信するように構成される。基地局は、さらに、コアネットワーク部におけるサービングゲートウェイ、S−GW(serving gateway)(図示せず)に通信可能に接続されており、S−GWは、基地局402を介した通信システム400における端末デバイスへのモバイル通信サービスのルーティングおよび管理を実行するように構成される。モビリティ管理および接続性を維持するために、コアネットワーク部401は、モビリティ管理エンティティ(図示せず)も含み、モビリティ管理エンティティは、ホーム加入者サーバ、HSS(home subscriber server)に格納された加入者情報に基づいて通信システムにおいて動作する端末デバイス403、405との進化型パケットサービス(EPS:evolved packet service)接続を管理する。コアネットワークにおける他のネットワーク構成要素(やはり簡潔にするために図示されていない)には、ポリシー課金およびリソース機能、PCRF(policy charging and resource function)、およびパケットデータネットワークゲートウェイ、PDN−GW(packet data network gateway)が含まれ、PDN−GWは、コアネットワーク部401から外部パケットデータネットワーク、例えばインターネットなどへの接続を提供する。上述したように、図4に示される通信システム400の様々な要素の動作は、本明細書で論じる本発明の実施形態に従った機能を提供するように変更される部分は別として、概ね従来通りであり得る。
【0091】
この例では、第1の端末デバイス403は、基地局402と通信する従来のスマートフォンタイプの端末デバイスであると仮定する。そのため、従来通り、この第1の端末デバイス403は、ワイヤレス信号の送受信のための送受信部403aと、スマートフォン403を制御するように構成される制御部403bとを備える。制御部403bは、ワイヤレス通信システムにおける機器のための従来のプログラミング/構成技術を用いて所望の機能性を提供するように適切に構成/プログラムされたプロセッサユニットを備え得る。送受信部403aおよび制御部403bは、別個の要素として図4に概略的に示されている。しかし、これらの部分の機能は、多種多様なやり方で、例えば、単一の適切にプログラムされた集積回路を用いて提供され得ることが理解されるであろう。理解されるように、スマートフォン403は、一般に、その動作機能と関連付けられた様々な他の要素を備える。
【0092】
この例では、第2の端末デバイス405は、本発明の実施形態に従って動作するマシンタイプコミュニケーション(MTC)端末デバイスであると仮定する。上述のように、これらのタイプの端末デバイスは、典型的には、少量のデータを通信する半自律的、または自律的なワイヤレス通信端末として特徴付けられ得る。例としては、いわゆるスマートメータが含まれ、スマートメータは、例えば、顧客の住宅に設置され、情報、すなわち、顧客の、ガス、水道、電気などといった公共設備の消費に関連したデータを中央MTCサーバへ周期的に送り返し得る。MTC端末デバイスは、いくつかの点では、例えばレイテンシに関して相対的に低いサービス品質(QoS)を有する相対的に低い帯域幅の通信チャネルによってサポートされ得る端末デバイスとみなされ得る。これらの種類のデバイスは、永続的な電源に接続されず、定期的な人間による監視なしで(すなわち、端末デバイスの電力が低いときに端末デバイスに「充電する」者がいない状態で)至る所に配備されるであろうことが想定される。このために、これらのタイプのデバイスは、従来の端末デバイスをDRXスリープモードから起動するための上述の相対的に電力集約手続きによって相当な影響を受ける可能性がある。
【0093】
スマートフォン403の場合と同様に、MTC端末デバイス405は、ワイヤレス信号の送信および受信のための送受信部405aと、MTC端末デバイス405を制御するように構成される制御部405bとを備える。制御部405bは、ワイヤレス通信システム内の機器のための従来のプログラミング法/構成法を用いてここで説明される所望の機能を提供するように適切に構成/プログラムされたプロセッサユニットを備えていてもよい。例えば、制御部405bの機能は、本発明の実施形態による集積回路によって提供されてもよい。制御部405bは、例えば、ここで説明される原理に従って果たされるべき様々な機能と関連付けられた様々な機能ユニットを備えていてもよい。送受信部405aおよび制御部405bは、図4では、表現しやすいように別個の要素として概略的に示されている。しかし、これらのユニットの機能は、当分野で確立された慣行に従った多種多様な手段で、例えば、単一の適切にプログラムされた集積回路を用いて提供され得ることが理解されるであろう。MTC端末デバイス405は、一般には、簡単にするためにここには示されていない、MTC端末デバイス405の動作機能と関連付けられた様々な他の要素を備えることが理解されるであろう(例えば、MTC端末デバイス405は、ユーザインターフェースなどをさらに備えていてもよい)。
【0094】
基地局402は、ワイヤレス信号の送信および受信のための送受信部402aと、基地局402を制御するように構成される制御部402bとを備える。制御部402bは、ワイヤレス通信システム内の機器のための従来のプログラミング法/構成法を用いてここで説明される所望の機能を提供するように適切に構成/プログラムされたプロセッサユニットを備えていてもよい。送受信部402aおよび制御部402bは、図4では、表現しやすいように別個の要素として概略的に示されている。しかし、これらのユニットの機能は、当分野で確立された慣行に従った多種多様な手段で、例えば、単一の適切にプログラムされた集積回路を用いて提供され得ることが理解されるであろう。基地局402は、一般には、基地局402の動作機能と関連付けられた様々な他の要素を備えることが理解されるであろう。
【0095】
よって、基地局402は、第1の無線通信リンク404上でスマートフォン403とデータを通信し、第2の無線通信リンク406上でMTC端末デバイス405とデータを通信するように構成される。
【0096】
ここでは、基地局402は、LTEベースの通信の確立された原理に従って、第1の無線通信リンク404上でスマートフォン403と通信するように構成されると仮定する。
【0097】
基地局402と従来のスマートフォン端末デバイス403との間で端末デバイス特有のデータを通信するために、スマートフォン403は、まず、上述の技法に従って基地局402と同期する。次いで、基地局402は、スマートフォン403に向けられたデータを、確立された技法に従って同期的な手法で通信し得る。
【0098】
従来のLTEシステムでは、MTC端末デバイスは、典型的には、基地局とデバイスに特有のデータを通信するために、従来のスマートフォンの手続きと同様の同期およびキャンプオン手続きに着手することを必要とされる。上述のように、これは予備電力を維持する上で問題となり得る。したがって、本発明の実施形態は、あるタイプの端末デバイス、例えばMTC端末デバイスが、他のタイプの端末デバイスと関連付けられた従来の同期手続きと関連付けられるオーバーヘッドと同じオーバーヘッドを伴わずに有用なデータを受信することを可能にするやり方を提供する。さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、これは、他のタイプの端末デバイス(例えば、従来方式で動作する旧来の端末デバイス)が通信システムにおいて変更なしで機能し得る能力に影響を及ぼさないように達成される。
【0099】
これは、本発明のいくつかの実施形態によれば、MTC端末デバイスといったあるタイプの端末デバイスと端末デバイスに特有のデータを通信する前に従来の同期および制御シグナリングを検出し、復号するプロセスを回避することによって達成される。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態によれば、端末デバイスが、非アクティブ期間後の基地局からの保留しているであろうデータを受信しようとして起動する場合に、端末デバイスは、上述のフレーム同期を含まない代替の方法を用いる。
【0100】
よって、図4に示されているワイヤレス通信システム400では、MTC端末デバイス405は、予め決定されるタイミングスケジュールに基づいてスリープモードと起動モードとを切り換えるように構成される。ワイヤレス通信システムのこの態様は、概ね、従来のDRX方式と同じ原理に従い得るが、最大非アクティブ期間は、現在、DRXに利用可能な期間よりも、例えば、数分、数時間、またはさらには数日間長くあり得ることが予期される。しかし、予め定義されるタイミングスケジュールに従って起動すると、従来の技法に従って基地局によって送信されるフレーム構造に同期しようとする代わりに、本発明の実施形態によるMTC端末デバイス405は、代わりに、MTC端末デバイス405についてのユーザプレーンデータや、一般の制御シグナリングではない他のデータといった端末に特有のデータと関連付けて、本発明の実施形態に従って基地局によって送信される予め定義されるシグネチャシーケンスのサーチを開始する。
【0101】
本発明のこの実施形態によれば、図4に示されている基地局402は、予め定義されるシグネチャシーケンスを、図5に概略的に示されているようなパケットフォーマットを用いて端末に特有のデータと関連付けて送信するように構成される。図5に概略的に表されているパケット500は、3つの主要部分、すなわち、プリアンブル部分501、ヘッダ部分502、およびペイロード部分503を含む。パケット自体は、ワイヤレス通信システムでデータを通信するための確立された原理に従って符号化され得る。この例示的な実施形態では、相対的に低次の変調方式、例えばQPSKを使用して、基地局の動作セル全体にわたる受信能力の向上を手助けするために用いられ得るはずである。しかし、他の実施形態では、他の変調方式が使用されてもよい。パケット500のプリアンブル部分501は予め定義されるシグネチャシーケンスを含み、ヘッダ部分502は、その端末デバイスに特有のデータが後続のペイロード部分503で送信されることになる端末デバイスの識別標識を含み、ペイロード部分503は端末に特有のデータを含む。
【0102】
よって、MTC端末デバイス405は、基地局から受信される信号をサーチして、予め定義されるシグネチャシーケンスの存在を識別しようとするように構成されている。本発明の実施形態に従って基地局402によって送信された信号において予め定義されるシグネチャシーケンス(プリアンブル)501の出現を検出すると、端末デバイス405は、続いて後続のヘッダ部分を復号し、ヘッダ部分で示される端末デバイス(1または複数の)の識別情報に基づいて、データが端末デバイス405に向けられたものであるかどうかを決定する。端末デバイスは、任意の確立された技法に従って、例えば、端末デバイスの従来の無線ネットワーク識別子に基づいて識別され得る。ヘッダ部分502は、先行するシグナリングなしの復号を支援するための予め定義される符号化方式を用いて符号化され得る。端末デバイスが、パケット500が端末デバイスにアドレス指定されたデータを含むことをヘッダ部分から識別した場合には、端末デバイスは続いて、ペイロード部分503から関連データを復号し、抽出し得る。いくつかの例示的な実装形態では、ペイロード部分は、常に、予め定義される方式に従って符号化され得るはずである。ペイロード部分503がその時々で異なって、例えば、異なる符号化率を用いて符号化され得る他の実装形態では、端末デバイスが対応するペイロード部分503を復号するのを支援するためにヘッダ部分に関連する符号化方式の標識が含まれていてもよい。端末デバイスがヘッダ部分502から、ペイロードデータが端末デバイスへ向けられたものではないと判断した場合には、端末デバイスは、スリープモードに戻る前に、予め定義されるタイミングスケジュールに従って端末デバイスの残りの起動期間にわたって、予め定義されるシグネチャシーケンス501の他の通貨のサーチを継続し得る。したがって、基地局402は、端末デバイス405へ向けられたデータを取得すると、端末デバイスが起動し、予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチするように構成される次の(または後の)期間までデータをバッファするように構成され得る。この期間が到来すると、基地局402は、端末デバイスの既知の起動時間枠内に端末デバイスへデータを通信するために、図5に表されているフォーマットを有するパケットを送信するように構成され得る。
【0103】
基地局402は、例えば、図2に概略的に表されているフレーム構造など、基地局402によって他の端末デバイスと従来通り同期的な手法で通信するために用いられるフレーム構造内の任意の位置においてパケット500を導入するように構成され得る。しかし、基地局がパケット500を、このフレーム構造をさほど妨げない位置において導入する場合には、導入は概してより簡単になる。例えば、基地局402がパケット500(1または複数の)を、他の端末デバイスと関連付けられる制御シグナリングのための領域外にあり、代わりに、基地局が通常なら必要に応じて自由にスケジュールすることができる領域内にある時間および周波数において導入することが好都合となり得る。特に、パケット500(1または複数の)が、基地局によって、PDSCH上で従来の端末デバイスと同期的に通信するために使用されるフレーム構造の領域においてスケジュールされ、それによって、PSS、SSS、PBCH、PDCCH、PCFICH、および/またはPHICHと関連付けられたシグナリングといった、他の端末デバイスのための制御シグナリングへの干渉を回避することが有利となり得る。したがって、基地局が、従来の端末デバイスとの通信と関連付けられたフレーム構造内のPDSCHの領域に対応する時間および周波数においてあるタイプの端末デバイスと非同期的に通信するためのパケット500を送信する場合に、基地局は、これらの時間および周波数における従来の端末デバイスのスケジューリングを回避し得る。
【0104】
よって、本発明のいくつかの実施形態を広範な要約においては、あるタイプの端末デバイスのためのデータが、それらの端末デバイスへ、他のタイプの端末デバイスのための同期的通信もサポートするワイヤレス通信ネットワークにおいて非同期的な手法で通信され得る。特にこれは、特定の端末デバイスに特有のデータを、その端末デバイスがサーチするように構成された、基地局によって送信される予め定義されるシグネチャシーケンス、例えばプリアンブルと関連付けて通信することによってなされ得る。予め定義されるシグネチャシーケンスの出現を識別すると、端末デバイスは続いて、そのシグネチャシーケンスと関連付けて基地局によって送信されたデータを復号し得る。よって端末デバイスは、単に、予め定義されるシグネチャシーケンスを非同期的な手法で検出するだけでデータを受信し、それによって、基地局送信のフレーム構造に同期するプロセスを回避することができる。
【0105】
上述の一般原理のコンテキスト内には、本発明の様々な実施形態によるワイヤレス通信システムおよび/または基地局および/または端末デバイスの様々な態様を実装する多くの異なる手段があり、次にこれらのうちのいくつかを説明する。
【0106】
図6Aは、本発明の実施形態による、従来のLTEフレーム構造内の、MTC端末デバイスと非同期的に通信するためのパケット500の位置の一例を概略的に示す。図6Aに表されているフレーム構造の例は、基地局によって、通常なら確立されたLTE規格に従う手法で他の端末デバイスと同期的に通信するために用いられる。図6Aに表されているフレーム構造の範囲は単一のサブフレーム1202と対応する。フレーム1202の従来の側面は、図2に表されている商用LTEフレーム構造のサブフレーム202の対応する従来の側面から理解されるであろう。この例では、非同期的に通信するためのパケット500は、フレーム構造の時間周波数リソースグリッド内の連続した領域を占める。パケット500が広がっている周波数範囲は、当面の実装(例えば、どれほどのデータが非同期的に動作するデバイスのために通信される必要があるか)に従って予め定義され、選択され得る。例えば、1.4MHzの幅が使用され得るはずである。
【0107】
周波数空間におけるパケット500の位置は、例えば、定義された規格に従って、または、基地局と本発明の実施形態に従って動作するように構成された端末デバイスとの間の事前のネゴシエーションによって定められ得る。例えば、本発明の実施形態による非同期通信に使用するための全キャリア帯域幅内の周波数帯域が、初期のキャンプオン手続きの間に、または専用のシグナリングによって確立され得る。よって、非同期通信の送信が全キャリア帯域幅内の限られた帯域幅に限定される場合、予め定められるシグネチャシーケンスをサーチする端末デバイスは、予め定義される限定された周波数範囲内をスキャンするだけでよい。しかし、他の例では、非同期的に送信されるべきデータを運ぶパケットは、基地局によって任意の周波数においてフレーム構造へ挿入され得る。この場合、予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチする端末デバイスは、全周波数空間をサーチすることになり得る。場合によっては、基地局は、将来の予め定義されるシグネチャシーケンス送信の潜在的な位置に関して(例えば、特定の周波数範囲に関して)端末デバイスを更新し、それによってサーチのプロセスを簡略化するように構成され得る。例えばこれは、上述の種類のパケット500のヘッダ部分において通信され得る。
【0108】
パッキング500の時間的な位置は、基地局によって任意に選択され得る。これは、パケット500をサーチする端末デバイスがフレーム構造に同期されず、そのため、他の端末デバイスと通信するために使用される既存のLTEフレーム構造に対してパケットがいつ送信されるかは、当該端末デバイスにとって問題とならないからである。しかし、基地局は、非同期通信を、既存のフレーム構造内の従来のLTE端末デバイスとの通信への影響を最小化するような手段で挿入するように構成され得る。
【0109】
よって、図6Aに示されている例では、パケット500は基地局によって、LTEフレーム構造と関連付けられた制御領域1207(PDCCH)に対応する時間および周波数の外に挿入される。図6Aの例では、非同期通信パケット500は基地局によって、既存のLTEフレーム構造の、制御領域1207の直後に出現するシンボルに挿入される。よって、基地局は、他の従来のデバイスへの影響を最小化するために、これら他のデバイスに制御データを通信するための制御領域使用外にある既存のLTEフレーム構造内の選択された位置にパケットを同期するように動作可能である。しかし、上述のように、パケット500をサーチする端末デバイスは、それがフレーム構造に対する特定の同期を有することを知らなくてよい。むしろ、これらの端末デバイスは、単に、基地局によって送信された信号内のどこかの予め定義されるシグネチャシーケンスの存在をサーチするだけである。(予め定義されるシーケンスをサーチするプロセスは、任意の公知の技法に従って、例えば、現在、PSSおよびSSSシグナリングを識別するために使用されているものと同様の技法を用いて実行され得る。)
【0110】
図6Aに表されているように、LTEフレーム構造における非同期通信パケット500の範囲は、従来のLTE参照シンボルのうちの1つである1204を包含する。特に、ペイロードデータ部分503は、参照シンボルのうちの1つである1204を包含する。この場合、基地局は、参照シンボルの代わりに、(例えば、上述のヘッダ部分502の識別情報に基づいて)、単に、パケットを受信する端末デバイス(1または複数の)に特有のデータを送信するだけでよい。これにより、参照シンボルを予期している従来のLTEデバイスは、送信で誤りが発生したと判断し、それに応じて反応する(例えば、参照シンボルを無視し、他の参照シンボルから補間することによって)ことになる。あるいは、基地局は、パケット500のペイロードデータ部分内で通常通り出現する参照シンボル1204を送信するように構成されてもよい。この場合、パケット500を非同期的に受信する端末デバイス(1または複数の)は、ペイロードデータのこの部分を無視するように構成され得るはずである。これは、例えば、パケット500に包含される参照シンボルが、ペイロードのデータ/パケット内の予め定義される位置で、または、端末デバイスがペイロードデータ領域503のどの部分を無視すべきか示すためにヘッダ部分502で端末デバイスにシグナリングされる位置で、出現することを保証することに基づき得る。原則的に、パケットの範囲は、複数のサブフレームに及ぶのに十分な範囲であり得る。この場合、パケットは、少なくとも1つのサブフレームのPDCCH領域とオーバーラップすることになる。端末デバイスは、端末デバイスがこれらの領域を復号しようとすることを回避するために、オーバーラップするPDCCHシンボルの位置の標識を提供され得る。
【0111】
よって、上述のように、図4で概略的に表されているMTCデバイス405といった、本発明の実施形態による端末デバイスは、スリープモードから起動し、予め定義されるシグネチャシーケンスのサーチを開始するように構成されており、サーチプロセスは、規定されるイベント、例えば、端末デバイスの起動時間枠の満了、またはデバイスに特有のデータの成功裏な受信まで続行し得る。基地局から送信されたシグネチャシーケンス501を識別すると、MTCデバイス405は続いて、直後のヘッダ部分502を復号する。上述のように、ヘッダ部分502は、基地局が、デバイスに特有のデータを通信しようとしている相手先の端末デバイスの識別情報に関する情報、および後続のペイロード部分503内のデバイスに特有のデータに使用される符号化方式に関する情報を含んでもよい。端末デバイスがヘッダ部分502から、ペイロードデータ503が端末デバイスに向けられていると決定した場合、端末デバイスは続いて、関連データを抽出するために後続のペイロード部分503を復号する。
【0112】
いくつかの場合では、基地局が通信しようとするデバイスに特有の情報は、1台の端末デバイスだけに向けられ得て、その場合、ヘッダ部分502は、当該デバイスに固有の識別標識を含み得る。他の状況では、端末デバイスに特有の情報は、端末デバイスのクラスに特有の場合もある。例えば、端末デバイスに特有の情報は、消費者の住宅内でスマートメータとして動作する複数のMTCデバイスへ通信するための価格更新情報を含んでもよい。そうした場合、ヘッダ部分502は、グループのメンバであるデバイスが、パケットがそれらのメンバに向けられていることを識別できるように、デバイスグループの識別子、例えばブロードキャストアドレスを含んでもよい。これは、基地局と複数のデバイスとの間の同時の非同期通信を可能にする。さらに、図6Aには、簡単にするために1つの非同期通信パケット500のみが示されているが、基地局が複数の異なる端末デバイスへ異なるデータを非同期的に通信することになる他の例では、図6Aに示されている種類の非同期通信パケットの複数のインスタンスが単一のサブフレームに挿入されて得ることが理解されるであろう。
【0113】
いくつかの実装形態では、予め定義されるシグネチャシーケンス自体が、データが向けられた先の端末デバイスの関連識別子を提供し得ることが理解されるであろう。例えば、各個別端末デバイスは、端末デバイスがその端末デバイスのシグネチャシーケンスを識別した場合に後続のデータがその端末デバイスに向けられていることが分かるように、特性の予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けられ得る。実際には、データを非同期的に受信し得るはずの多数の端末デバイスが存在する場合には、これが最適な手法となる見込みはない。なぜならば、これに対応して、多数の予め定義されるシグネチャシーケンスを定義することが必要になるはずだからである。しかし、端末デバイスがグループ(例えば、ある特定のプロバイダによって所有されるすべてのスマートメータ)に分類され得る場合には、このグループをアドレス指定するために専用のシグネチャシーケンスが使用され得る。これにより、ヘッダ部分に識別情報を含める必要性が回避されるはずである。さらに、ペイロードデータが予め定義される符号化方式を用いて予め定義されるシグネチャシーケンスと関連付けて送信される場合には、端末デバイスが予め定義されるシグネチャシーケンスを識別した後でペイロードデータを復号するために端末デバイスが必要とする情報はごくわずかで済むことになるはずである。よって、ヘッダ部分は用いられなくてよいはずである。
【0114】
図6B図6Cおよび図6Dに、本発明の実施形態による、従来のLTEフレーム構造内の、MTC端末デバイスと非同期的に通信するためのパケット500の他の位置の例を示す。これらの図は、上述の図6Aと同様のものであり、図6Aの対応する説明から理解されるであろう。
【0115】
図6Bは、サブフレーム1207の異なる部分で送信されているパケット500を示しているという点で図6Aと異なる。図6Bに示されている例では、非同期通信パケット500は、基地局によって、既存のLTEフレーム構造と同期されない任意の時間においてLTEフレームに挿入されることが概略的に示されている。このやり方は、原則的には可能であるが、潜在的に、基地局のスケジューリング要件を複雑にする可能性があり、そのため、実際には好ましいやり方とないかもしれない。
【0116】
図6Cは、パケット500が連続したブロックで送信されないという点で図6Aと異なる。図6Cに示されている例では、予め定義されるシグネチャシーケンス(プリアンブル部分)501およびヘッダ部分502は、図6Aに示されているように概ね同じ位置でブロードキャストされる。しかし、ペイロード部分503はヘッダ部分502と連続していない時間および周波数において送信される。ヘッダ部分502に対するペイロード部分503の位置は、ヘッダ部分502で示され、または予め定義され/予め確立され得る。このやり方は、基地局が、非同期通信と関連付けられたシグナリングをどこに挿入し得るかに関してより大きな柔軟性を提供するが、複雑さの増大という代償を伴う。
【0117】
図6Dは、パケット500がより短い持続期間のものであり、既存のLTEフレーム構造のどの参照シンボルともオーバーラップせず、それによって、復号プロセスを簡略化するという点で図6Aと異なる。
【0118】
基地局が端末デバイスへ非同期的な手法で通信したいデータがあり、かつ基地局が、例えば、上述の予め定義される/予めネゴシエーションされたタイミングスケジュールに基づいて、受信側の端末デバイスがスリープモードではないことを知っている場合、基地局は、端末デバイスとの非同期通信のためのパケット500に対応するパケットをサブフレームに挿入するだけでよいはずであることが理解されるであろう。基地局が、非同期的に通信したい相手先の端末デバイスの起動期間を知っている例では、基地局は、端末デバイスの起動時間枠のオープン/クローズの近くの時間でのデータの送信を回避するように構成され得る。これは、起動時間枠がいつ出現するかを基地局が理解する直前または直後に端末デバイスを起動させ得るはずの基地局に対する端末デバイスのクロックのドリフトを可能にするためである。
【0119】
いくつかの実施形態では、基地局は、基地局が本発明の実施形態に従ってデータを非同期的に通信したい相手先の端末デバイスのスリープ/起動サイクルを知らない場合もある。この状況では、基地局は、単に、選択された時間にデータを通信しようと試み、例えば既存のHARQ技術に基づいて、データが成功裏に受信されたか否かを示すための端末デバイスからの確認応答シグナリングに依拠するように構成され得る。よって、基地局が、端末デバイスがスリープモードにある時間に関連データを送信する場合、基地局は確認応答を受信しないことになり、後で再送信を試み得る。他方、基地局が、端末デバイスが起動して予め定義されるシグネチャシーケンスをサーチしており、端末デバイスが成功裏にデータを受信する間に関連データを受信する時間に関連データを送信する場合、端末デバイスは、起動していることを示すために基地局へ確認応答シグナリングを送信するように構成され得る。確認応答シグナリングは、端末デバイスによって、確認応答されるべきパケットが受信された時間に対する予め定義される時間オフセットにおいて送信され得る。これにより端末デバイスは、実質上、フレーム構造に同期された確認応答シグナリングを送信(すなわち、それ自体基地局主導のスケジューリングによってフレーム構造に同期されている予め定義されるシグネチャシーケンスの受信に対するタイミングを用いることによって)し得る。
【0120】
確認応答シグナリングは状況によっては有用となり得るが、確認応答シグナリングが原則的には有用となる得るいくつかの事例では、基地局と端末デバイスとの間の2方向通信を低減するために利用されない場合もあるはずである。この状況では、基地局は、他の方法を使用して、例えば定期的な再送信を用いて、端末デバイスがデータを成功裏に受信する可能性を高め得るはずである。しかし、基地局が適切な確度で送信の成功を確立することができないこともあるため、実際には、このやり方が望ましくない場合もある。
【0121】
本発明の実施形態によれば、基地局は、例えば、端末デバイスのスリープ/起動サイクルに基づいて、相対的に低頻度でのみ端末デバイスと通信し得る。それゆえ、基地局は、端末デバイスへ通信される必要がある複数のメッセージを蓄積することが可能である。したがって、基地局は、単一のペイロード部分で送信するために(利用可能なペイロード部分が十分な大きさである限りにおいて)これらをバッファし得る。
【0122】
上述の本発明の実施形態によれば、予め定義されるシグネチャシーケンスは、非同期通信パケット500のプリアンブルを含む。しかし、他の例では、他の形態の予め定義されるシグネチャシーケンスが用いられ得ることが理解されるであろう。例えば、予め定義されるシグネチャシーケンスは、パケットのミッドアンブルまたはポストアンブルを含んでもよい。また予め定義されるシグネチャシーケンスは、例えば、非同期送信の全持続期間の限られた周波数範囲にまたがる、または非同期送信全体に散在する異なる形態のパイロット信号を含んでもよい。そうしたパイロット信号を識別する端末デバイスは、例えば、パイロット信号の存在および位置と、それを取り囲む時間/周波数リソースとの間の予め定義される/予めネゴシエーションされた関係に基づいて関連付けられたデータを復号するように構成され得る。
【0123】
よって、本発明のいくつかの実施形態を要約すると、基地局と、第1の端末デバイスと、第2の端末デバイスとを備えるワイヤレス通信システムが提供され、第1の端末デバイスは第1のタイプの端末デバイスであり、第2の端末デバイスは第1のタイプと異なる第2のタイプの端末デバイスであり、少なくとも1つの基地局は、第1の端末デバイスに特有のデータを同期的な手法で通信し、第2の端末デバイスに特有のデータを非同期的な手法で通信するように構成される。また本発明の実施形態は、ワイヤレス通信システムで動作するように構成された基地局および第2のタイプの端末デバイスも提供する。
【0124】
デバイスに特有のデータは、第2の端末デバイスの識別子を含んでもよい。いくつかの例では、端末デバイスは、端末デバイスの識別子を含むデバイスに特有のデータを受信すると、追加データ、例えば、ユーザプレーンデータを同期的な手法で受信するために、従来の同期手続きに経るように構成され得る。すなわち、あるタイプの端末デバイスと非同期的に通信するための上述の技法の基礎をなす原理は、所与の端末デバイスへ、当該端末デバイスが、例えば、従来のLTE通信技術に従ったデータの同期受信を可能にするために、基地局送信と同期すべきであるという標識を通信するために用いられ得る。よって、この動作モードでは、端末デバイスはやはりネットワークと同期するが、そうするのは端末デバイスがネットワークと同期すべきであることをすでに非同期的に通知された後にのみである。したがって、基地局に、デバイスに特有の識別子を含むデバイスに特有のデータと関連付けて予め定義されるシグネチャシーケンスを送信させることによって、基地局は、実質上、端末デバイスに、追加データが続いて従来の同期的な手法で送信されるようにフレーム構造に同期するよう指示し得る。したがって、このやり方では、端末デバイスは、端末デバイスに利用可能なデータの有無を確認するためだけに起動する度に、ネットワークと同期するタスクから解放される。代わりに、端末デバイスは、まず、データが実際に端末デバイスを待っているという非同期的な標識を提供され、それによって、受信すべきデータがない場合に端末デバイスが基地局と同期することを回避することを手助けされる。
【0125】
あるいは、ペイロードデータに関して上述したように、デバイスに特有のデータは、端末デバイスが基地局との同期を全く必要とせずにユーザプレーンデータを受信し得るように、基地局がデバイスへ通信したいユーザプレーンデータを含んでもよい。これは、端末デバイスへ送信されるべきデータが典型的に相対的にごく少量にしかならない場合に最適となり得る。より大量のデータが散発的にデバイスへ送信されることが予期される場合には、デバイスに特有のデータが、端末デバイスに、追加データを受信するために同期するよう通知する指示を含むやり方が好ましいであろう。
【0126】
本発明の実施形態によるワイヤレス通信システムでは、複数の予め定義されるシグネチャシーケンスが、上述のようにデータを非同期的に送信するための使用のために定義され得る。データを非同期的に受信するように構成された各端末デバイスは、これらの予め定義されるシグネチャシーケンスのうちのいずれか、またはそのサブセットのいずれかをサーチするように構成され得る。
【0127】
上述の実施形態には、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲を逸脱することなく、多様な改変が加えられ得ることが理解されるであろう。特に、本発明の実施形態は、主に、LTEベースの通信システム/モバイル無線ネットワークに関して説明されているが、本発明は、同様の問題が生じ得る、GSM、3G/UMTS、CDMA2000などといった他の形態のネットワークにも適用され得ることが理解されるであろう。
【0128】
本発明のその他の個々の好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、各請求項に明示的に記載されている組み合わせ以外の組み合わせとして独立請求項の特徴と組み合わせられ得ることが理解されるであろう。
【0129】
<参照文献>
[1]Holma H.and Toskala A,“LTE for UMTS OFDMA and SC−FDMA based radio access”,John Wiley and Sons,2009
[2]ETSI TS122 368V10.530(2011−07)/3GPP TS22.368version10.5.0Release10)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D