(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
印刷可能基材を供給する少なくとも1つの入口ストア(30)から、基材を受け取る少なくとも1つの出口ストア(31)まで、長手方向軸にしたがって配向された搬送経路に沿って、印刷機内の基材を搬送するシステムであって、
各々が基材(3)の解放または握持を保証する開閉システム(22)を含む可動握持手段(2)であって、前記握持手段(2)は、搬送経路に沿って、(i)基材それぞれの前および基材それぞれの後ろを、または(ii)同じ基材の前に位置する部分および同じ基材の後に位置する部分を、握持するように構成された、前および後握持手段を含む、可動握持手段(2)と、
搬送経路に沿って握持手段(2)を案内する案内手段(1)と、
案内手段(1)、握持手段(2)、およびそれらが関連する開閉システム(22)は、コンピュータ手段によって制御され、
少なくとも前握持手段(2)と後握持手段(2)との間の独立変位を用いて、案内手段(1)に沿った握持手段(2)の変位を保証する、少なくとも1つの電動化手段と、を含み、
案内手段は、コンピュータ手段によって制御される様々な横方向の幅を有し、コンピュータ手段は、握持手段(2)の開閉を制御し、基材(3)および可動握持手段(2)の速度および/または位置を数値化し、そして最後に電動化手段のコマンド及び制御信号を送達し、コンピュータ手段は、印刷を停止することなく、搬送経路に沿って様々な大きさの基材(3)を引っ張りおよび/または移動させるように、各基材を基材搬送システムに握持させることを特徴とする、基材を搬送するシステム。
搬送経路上の握持手段(2)の速度および/または位置の検出手段を含み、これら検出手段はコンピュータ手段によって制御されていることを特徴とする、請求項1に記載の基材を搬送するシステム。
前記少なくとも1つの電動化手段が、握持手段(2)を備える少なくとも1つの受動部品と、案内手段(1)を備える少なくとも1つの能動部品とを含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
前記少なくとも2つの案内手段(1)が、その上を前握持手段(2)が移動する少なくとも1つの案内手段と、その上を後握持手段(2)が移動する少なくとも1つの案内手段とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の基材を搬送するシステム。
同じ基材の前または後の同じ側に位置する2つの握持手段(2)を各々が含む、対になった握持手段(2)を含み、一対の握持手段(2)の変位は少なくとも1つの案内手段(1)に沿った同じ電動化手段によって保証されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
コンピュータ手段によって制御された握持手段(2)が、少なくとも基材(3)の4つのコーナー付近の領域内で各基材(3)を握持することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
基材(3)から印刷機の印刷ヘッドまでの距離を最適化するように基材(3)の面に直角な軸に沿って調整可能な位置の基材支持体が、入口ストア(30)と出口ストア(31)との間で印刷機の中に組み込まれることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
コンピュータ手段に接続された基材(3)の速度および/または位置の検出手段を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
前記少なくとも1つのリニアモータが、案内手段(1)と平行な少なくとも1つのレール上に実装されることを特徴とする、請求項17に記載の基材を搬送するシステム。
握持手段(2)が、基材(3)の握持または解放のための可動部(21)を含み、可動部(21)が、基材(3)の表面に対向して位置し、表面は印刷ヘッドに対向する印刷可能面であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
握持手段(2)が、基材(3)の握持または解放のための可動部(21)を含み、可動部(21)が、印刷ヘッドに対向する印刷可能面の反対の面として定義される基材(3)の裏面に対向して位置することを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の基材を搬送するシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、先に説明されたような、従来技術の問題のうちの少なくとも1つを解決することである。本発明は、様々なタイプ、サイズ、および厚みの基材に適応した、印刷可能基材を正確に搬送する新規な装置および新規な方法を提案する。具体的には、本発明は、可変ピッチでの印刷を可能にする。また本発明は、インクジェット印刷機など、基材と接触しない印刷機にも適している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、印刷可能基材を供給する少なくとも1つの入口ストアから、基材を受け取る少なくとも1つの出口ストアまで、長手方向軸にしたがって配向された搬送経路に沿った、印刷機内の基材搬送システムに関し、これは:
各々が基材の解放または握持を保証する開閉システムを含む可動握持手段であって、前記握持手段は、搬送経路に沿って、1枚の基材をそれぞれ前および後で、またはそれぞれ同じ基材の前および後に位置する部分を握持する、前および後握持手段を含む、握持手段と、
搬送経路に沿って握持手段を案内する案内手段と、
好ましくは少なくとも前握持手段(2)と後握持手段(2)との間の独立変位を用いて、案内手段(1)に沿った握持手段(2)の変位を保証する、少なくとも1つの電動化手段と、を含み、
基材搬送システムは、たとえこれらが可変サイズ(特に可変長)を有していたとしても、搬送経路に沿って基材を引っ張りおよび/または移動させるように、各基材を握持するようになっており、案内手段、握持手段、およびこれらの関連する開閉システムは、コンピュータ手段によって制御されることを特徴とする。
【0007】
基材搬送システムのその他の具体的な特徴および利点は、本明細書に詳述されている。本発明のさらなる目的は、印刷可能基材の搬送および張力印加の方法を提案することである。
【0008】
この目的のため、本発明は、本発明による基材搬送システムによって実行される、搬送経路に沿った基材の張力印加および搬送の方法に関し、これは:
a.変位方向に対する基材の前側縁の検出(たとえば速度および/または位置の検出)にしたがって、前握持手段と称される少なくとも1つの第一握持手段の、コンピュータ手段によって作動される前記少なくとも1つの電動化手段による、入口ストア付近の領域内の位置決めステップと、
b.基材の速度に適応した速度での前握持手段の変位、および基材の前部付近の領域内の前記握持手段の位置決めステップであって、コンピュータ手段は、搬送経路に沿った基材の位置に応じて握持手段の速度および同期を制御するために、基材の速度および位置に関する情報を実行する、ステップと、
c.基材の少なくとも1つの縁での開閉システムによる前握持手段の閉鎖ステップであって、前記握持手段は以降基材を駆動する、ステップと、
d.その後前握持手段の速度に適合した速度で同期変位を位置決めし、後握持手段と称される少なくとも1つの第二握持手段の、基材の少なくとも1つの縁での閉鎖のステップと、
e.前および後握持手段の間に位置する基材の張力印加ステップと、
f.前握持手段の位置が印刷機の出口ストア付近の領域内にあるときの、前握持手段の開閉システムの開放ステップと、
g.開放前の、前および後握持手段の間の距離に応じた時間t
1の終わりでの後握持手段の開閉システムの開放ステップであって、その後基材を解放するような前記握持手段の減速が続く、ステップと、
h.入口ストア付近の保管領域内の握持手段の戻りステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
基材を張力印加および搬送する方法のその他の特徴および利点は、本明細書に詳述されている。
【0010】
本発明は、その特徴および利点と併せて、以下の添付図面を参照して提供される記載から、より明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、基材の搬送用の装置またはシステム(本明細書においてこの2つの用語は無作為に使用される)、ならびに基材の搬送および張力印加の方法に関する。基材搬送システムは、以下に図面を参照して記載されるが、しかし本明細書において提供される図面および例が説明的であって非限定的であることは、明らかである。前記基材搬送システムは、たとえば印刷機、および非限定的にインクジェット印刷機に含まれる。機械は、(特に基材に依存する)構成パラメータにしたがって、その装置、システム、または手段(電動化、握持、案内、検出)を制御することによって、特に異なる作業ステーションを制御するコンピュータ手段により、制御される。コンピュータ手段はまた、機械の様々なステーション、装置、システム、および手段の動作を連係させるため、異なる検出手段(たとえばセンサ)から情報を収集することもできる。これらのコンピュータ手段は本明細書には詳述されておらず、これらはたとえば機械に組み込まれ、あるいは別の装置またはシステムに送信されることが可能である。基材の位置の情報から、センサは基材(3)の構成の情報、および/または正しく完了したかまたはしていない動作に続く確認に関する情報を、提供する。本発明を実行するために必要ないくつかの情報もまた、(たとえば操作者によるインターフェース上の入力を通じて)コンピュータ手段に事前にロードされることが可能である。このような情報はたとえば、基材のサイズまたはその厚みに関連してもよいが、しかし一般的には、センサがこのような情報を測定または検証することが好ましい。印刷を待っている基材(3)は一般的に、それ自体周知のように、基材(3)の性質および印刷要件に応じて定義される能力を有する、少なくとも1つの入口ストア(30)内に配置される。一実施形態において、入口ストア(30)は、性質、厚み、および寸法にばらつきがある数千枚の基材(3)(たとえば、および非限定的に、クレジットカード型からA0版まで)を受け取るために、設けられる。印刷方法が終了すると基材(3)は、一般的に入口ストアと同じ能力を有する1つの出口ストア(31)に格納される。基材(3)を握持する装置は、入口ストア(30)から基材(3)を引き出し、一般的にいくつかの作業ステーション、たとえばおよび非限定的にはコンピュータ手段によって制御された複数のインクジェット印刷ヘッドを含む少なくとも1つの印刷ステーション、それに続いて乾燥ステーションを含む、一連の作業に沿ってこれらを移動させるために、たとえばその特性が本明細書で後に詳述される基材の搬送システムなど、駆動手段上にこれらを配置する。一般的に、コンベヤの各ステーションへの単一の基材(3)の存在を検出するために、チェックもされる。印刷機は、以下に詳述されるような搬送システムを用いて、可変ピッチで基材から基材へと印刷を実行する。これは、印刷機が、たとえば印刷機に実装されたセンサによって、基材(3)のサイズに応じて、印刷ヘッドの使用および基材(3)の搬送速度に適応することが可能であることを、意味している。いくつかの実施形態において、印刷機は基材(3)を反転させる装置を備えており、前記基材の両面印刷を可能にする。
【0013】
いくつかの実施形態において、および説明的かつ非限定的に
図4aから
図4cを参照すると、基材搬送システム(3)は、たとえば印刷可能基材(3)を供給する入口ストア(30)から印刷済み基材(3)を受け取る出口ストア(31)の間を、長手方向軸にしたがって配向された搬送経路に沿って移動する、可動握持手段(2)を含む。搬送経路は、長手方向軸に沿って基材が移動して配向される平面によって、画定される。たとえば、基材(3)はブランクであってもよく、あるいはすでに印刷済みのパターンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、これらの握持手段(2)はクランプであり、この用語は、本明細書を通じて説明的および非限定的に、握持手段(2)を一般的に指定するために使用される。各クランプ(2)は、搬送経路(または印刷路)に沿って案内中の基材を握持および解放するための、開閉システム(22)を含む。この開閉システム(22)は、コンピュータ手段によって制御(23)される。各クランプは、固定部(20)および可動部(21)、または2つの可動部を含み、その動作が基材(3)を握持または解放する。
【0014】
本明細書において、印刷機内の基材の変位方向に対して、出口ストアに向かって位置する基材、クランプ、または基材の縁は用語「前」によって指定され、その一方で入口ストアに向かって位置するものは用語「後」によって指定される。他方では、用語「側」は、搬送経路の長手方向軸の両側に位置する要素を意味する。最後に、用語「挿入済み」は、この基材の前と後との間(したがって前および後クランプの間)に位置するレベルで基材を握持しているクランプを指定する。これらの指定は従来のものであって限定的ではないことは、理解される。いくつかの実施形態において、コンピュータ手段によって制御されるクランプ(2)は、基材の4つのコーナー付近の領域において各基材(3)を握持する。しかし、構成(特にコンピュータ手段によってなされる制御)によれば、様々なクランプが様々な場所で、特に前縁および/または後縁で、および/または側縁で、基材を握持することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、各クランプ(2)の可動部(21)は各基材(3)の表面に対向して位置しており、基材(3)の印刷可能面である表面は印刷ヘッドに対向して位置している。これらの実施形態は一般的に、(たとえば閉回路内のコンベヤの場合)特にクランプが基材を解放したときにこれらが裏面側の方向に基材から離れるように移動するとき、基材の解放を容易にする。一般的に好適な別の実施形態において、クランプの可動部(21)は、案内中の各基材(3)の裏面に対向して位置している。この配置は、可動部と印刷ヘッドとの接触の危険性を制限する。その一方で、印刷ヘッドの位置は一般的に、少なくとも高さの方向に(搬送経路の平面に対して直角に)調整可能であり、クランプ(2)の可動部(21)と印刷ヘッドとの間のいかなる接触も回避する。この調整可能な高さは、可動部が表面側にある実施形態、および可動部が表面側と裏面側との両方にある実施形態において、特に有利である。最後に、クランプの開閉システム(22)はたとえば、電磁石またはレールシステムによって制御される。
【0016】
いくつかの実施形態において、基材搬送システムは、基材(3)の搬送経路の全長にわたって配置された、クランプ(2)の案内手段(1)を含む。不適当な言語は電動化クランプの変位手段の用語の下にこのような案内手段を指定することができるが、しかしクランプは電動化、または電動化の受動部品のみを含むことができるので、ここでは案内という指定が好ましい。たとえば、および非限定的に、クランプのこれら案内手段(1)は、基材(3)の搬送経路に沿って配置された、ガイド、レール、またはランナである。いくつかの実施形態において、案内手段は閉回路を形成し、その「往路」部分は搬送経路を形成して「復路」部分は入口ストアに向かうクランプの帰還経路を形成する。用語「ガイド」は本明細書において、説明的および非限定的に案内手段(1)を指定するために使用される。いくつかの実施形態において、各変位ガイド(1)は、たとえば長円形であってもよい閉回路を形成し、各ガイド(1)は、基材の(つまり搬送経路の)平面と平行な平面内にある。代替実施形態において、各ガイドは、基材(3)の平面と直角な平面内にある。
【0017】
いくつかの好適な実施形態において、基材(3)の搬送システムは、複数のクランプ(2)を含む2つのガイド(1)を含み、各ガイド(1)は基材(3)の搬送経路の両側に配置されている。これら実施形態のうちのいくつかにおいて、基材搬送システムは、搬送経路の両側に、対になって配置された複数のガイド(1)を含むことができ、各対のガイド(1)の間の距離は、異なるサイズの、具体的には様々な幅の基材(3)への基材搬送システム(3)の適応を可能にするために異なっている。いくつかの好適な実施形態において、基材搬送システム(3)は基材(2)の搬送経路の両側に配置された2つのガイド(1)を含み、その横方向の
幅は可変であってコンピュータ手段によって制御されており、基材搬送システム(3)はいずれのサイズの基材(3)にも適応可能である。その非限定例が
図5に模式的に示されているいくつかの実施形態において、基材搬送システム(3)は基材(3)の搬送経路の両側に配置された2つのガイド(1)を含み、その横方向の
幅は可変であってコンピュータ手段によって制御されており、第一ガイド(1)は基材(3)の少なくとも1つの前部分を握持するための少なくとも1つのクランプ(200)を含み、第二ガイド(1)は同じ基材(3)の少なくとも1つの後部分を握持するための少なくとも1つのクランプ(210)を含む。
【0018】
本明細書は、前握持手段および後握持手段を定義する。たとえば
図5に示されるように、一対の前クランプ(200)および一対の後クランプ(210)を有することが可能であるが、しかし1つの前クランプおよび1つの後クランプのみを有することも可能なので、これらは少なくとも1つの前クランプ(200)および少なくとも1つの後クランプ(210)である。また、たとえば
図5に示されるように前縁および後縁を握持することが可能であるが、しかし基材の前付近に位置する側縁の一部または部分および基材の後付近に位置する側縁の一部または部分を握持することも可能なので(一般的には基材の剛性に応じて、単一の側縁よりむしろ2つの側縁が握持される)、これらは基材の前部および後部または部分(あるいは前または後に位置する部分)である。したがって、前に位置する少なくとも1つの部分を握持するための前握持手段、および後に位置する少なくとも1つの部分を握持するための後握持手段の両方が、参照される(前縁/後縁または側縁が前/後に位置していてもいなくても)。その一方で、前および後握持手段は実際、それぞれ前および後で基材を各々握持することができ、つまり第一基材(「前」と称される)が搬送経路上に最初にあって、第二基材(「後」と称される)は第一に続き、第一とは異なるサイズを有することができる。たとえば、単一の前クランプは、たとえばその前縁または側縁のレベルで、前と称される第一基材を握持し、その一方で単一の後クランプは、たとえばその前縁または側縁のレベルで、後と称される第二基材を握持する。合同で前または後握持手段のうちの1つを形成する少なくとも2つのクランプによって前および後基材の各々を握持することもまた、可能である。
【0019】
いくつかの実施形態において、基材(3)の搬送システムは、搬送経路に沿ってクランプ(2)の速度および/または位置の検出手段を含み、前記検出手段は(たとえば印刷機に含まれる)コンピュータ手段によって制御される。たとえば、および非限定的に、各クランプ(2)は、コンピュータ手段に接続された、位置センサおよび/または速度センサを含むことができる。好適な実施形態において、前記速度および/または位置センサは電動化手段に組み込まれており、前記電動化手段はコンピュータ手段によって制御され、クランプ(2)がガイド(1)に沿って移動できるようにし、同様に搬送経路に沿って配置されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、基材(3)の搬送システムは、基材が搬送経路に進入するときの、たとえば入口ストアから出てすぐの、基材の検出手段(一般的には前縁の検出のため)を含む。コンピュータ手段によって制御されるこれら検出手段は、たとえば、および非限定的に、少なくとも1つの入口ストア(30)に含まれるセンサである。たとえば、および非限定的に、このセンサは光符号器または光ルーラである。これらの検出手段は、たとえば基材の速度および/または位置を検出することができる。前縁の検出は、入口ストアから出る基材の速度をコンピュータ手段が知る程度で十分であるが、しかし速度はコンピュータ手段によるこの情報の利用を最適化するためにも検出されることが可能である。そのため基材搬送システムはいくつかの実施形態において、基材(3)の速度を検出し、長手方向軸にしたがって配向された搬送経路に沿って各基材(3)を移動させるようにこれを握持するため、ガイド(1)に沿ってクランプ(2)を移動させるようになっている。
【0021】
いくつかの実施形態において、基材搬送システム(3)はまた、基材(3)に張力印加するようにも構成されており、その搬送を促進して印刷精度を高めるように、少なくとも長手方向軸に沿って基材を保持するクランプ(2)によって、張力が印加される。たとえば、および非限定的に、クランプ(2)は、たとえばクランプの閉鎖の間に張力を印加するための開閉システム(22)のレベルで、基材に対して制御されたやり方で横方向張力を(つまり搬送経路の長手方向軸と直角に)印加する装置を含む。このような横方向張力印加の装置は、たとえば、および非限定的に、基材(3)上で前記クランプ(2)の閉鎖の直前に横方向に離れる方へ移動する、吸引スケートを含むことができる。印加される張力は、基材の弾性およびその幅に応じて、コンピュータ手段によってパラメータ化される。上記の横方向張力を用いるものに限定されないいくつかの実施形態において、以下に詳述されるように、長手方向張力(つまり、搬送経路の長手方向軸と平行に)が基材に印加される。
【0022】
基材(3)の搬送システムは、複数の握持手段(2)および握持手段(2)(またはクランプ)を動かすための少なくとも1つの電動化手段が実装されている、少なくとも1つのガイド(1)を含む。先に言及されたように、特に前および後の握持手段は実際、単一の縁で基材を握持するための単一のクランプを含むことができる。この場合、基材は好ましくはその前縁で握持されるが、しかし特にこのように保持される(場合によりそのサイズと比較して)十分な剛性の基材の場合には、場合により側縁でこれらを握持することも可能である。いくつかの実施形態において、クランプ(2)の変位は対ごとに制御され、各対のクランプの各々は一般的に、(基材は一般的に長方形なので)長手方向軸に沿って同じレベルで配置される。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、クランプは独立しているが、しかしその変位は対ごとに同期している。その他の実施形態において、各クランプ(2)は、基材(3)の搬送経路の長手方向軸の反対側に位置するその対の他方のクランプに接続されている。好ましくは、基材搬送システム(3)は、搬送経路に沿って様々なサイズ(特に様々な長さ)の基材(3)を保持および/または移動するように、各基材を握持するようになっている。実際、搬送システムは、少なくとも前握持手段(2)と後握持手段(2)との間で独立変位を伴う、案内手段(1)に沿った握持手段(2)の変位を保証する、(たとえば、特に印刷される基材に応じてコンピュータ手段によって制御される)少なくとも1つの電動化手段を含む。そのため、前および後クランプの速度を制御することによって、そのサイズにかかわらず、基材に(長手方向に)張力印加することが可能である(この場合は長さであり、幅の張力は横方向張力装置によって管理される)。このような張力印加基材は、たとえば可動印刷ヘッドでの印刷の間、または乾燥の間、搬送経路上を移動させられるか、または固定されたままであってもよい(したがって、強制的な移動を伴わない、張力印加の代替例)。その一方で、先に説明されたように(たとえば各々単一のクランプによって)、前および後握持手段がそれぞれ前および後で各々基材を握持する場合には、長手方向張力を伴わずにこのように保持された基材は印刷機内で移動させられることが可能であり、前および後握持手段の独立変位は様々なサイズの基材を移動させる(したがって、強制的な張力印加を伴わない、様々なサイズの基材の移動の代替例)。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの電動化手段は、握持手段(2)を備えるモータ手段を含む。モータはたとえば、案内手段に沿ってクランプを移動させるために、個別にまたは対ごとに、クランプ(2)を備えることができる。そのため、これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、各握持手段(2)は、案内手段(1)に沿ったその変位を保証する、少なくとも1つのモータ手段を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの電動化手段は、握持手段(2)を備える少なくとも1つの受動部品、および案内手段(1)を備える少なくとも1つの能動部品を含む。このような実施形態において、クランプに組み込まれた受動部品は、能動部品を含む、あるいは場合により能動部品と平行な、案内手段上の、たとえば個別にまたは対になって制御される、クランプの変位を可能にする。実際、これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、電動化手段の前記能動部品は、少なくとも1つのリニアモータを含む。また、これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、前記少なくとも1つのリニアモータは、案内手段(1)と平行な少なくとも1つのレール上に実装される。その一方で、いくつかの実施形態において、搬送システムは、握持手段(2)がその上を移動する、少なくとも2つの案内手段(1)を含む。このように、ガイド上にいくつかの電動化手段(たとえば、リニアモータ)を有することが、可能である。たとえば
図5の場合のような、これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、前記少なくとも2つの案内手段(1)は、前握持手段(2)がその上を移動する少なくとも1つの案内手段と、後握持手段(2)がその上を移動する少なくとも1つの案内手段と、を含む。最後に、先に説明されたように、クランプは好ましくは対になって制御される(基材のより良い握持および/または張力印加のため)。このように、いくつかの実施形態において、搬送システムは握持手段(2)の対を含み、その各々は、少なくとも1つの案内手段(1)に沿って、同じ電動化手段によって一対の握持手段(2)の変位が保証された、前または後で同じ基材の同じ側に位置している2つの握持手段(2)を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、基材搬送システム(3)は、クランプ(2)ごとに1つの電動化手段を含む。たとえば、および非限定的に、クランプ(2)の電動化はリニアモータによって実施される。いくつかの実施形態において、長手方向軸に沿ったその座標が実質的に同じであって、搬送経路の両側に位置するガイド(1)上に実装された、2つのクランプ(2)は、同じリニアモータに接続されている。その変形または断裂を生じる可能性があるせん断力に基材(3)を曝さないように、同じ基材(3)を握持するクランプ(2)の速度が同期されることは、明らかである。
【0026】
いくつかの実施形態において、リニアモータは、クランプ(2)が実装されたガイド(1)と平行な少なくとも1つのレール上に実装されている。いくつかの実施形態においてリニアモータはガイド(1)に組み込まれている。たとえば、および非限定的に、リニア電動化の受動部品のみが少なくとも1つのクランプ(2)と関連付けられ、能動部品は、実施形態により、各ガイド(1)上またはガイド(1)と平行なレール上に実装されている。
【0027】
いくつかの実施形態において、印刷機の印刷ヘッドからの基材(3)の距離を最適化するように基材(3)に直角な軸に沿った調整可能な位置の基材支持体(3)は、入口(30)および出口ストア(31)の間で印刷機の中に組み込まれている。たとえば、および非限定的に、入力(30)および出口ストア(31)の間の搬送経路に沿って、ソールが配置される。印刷機の印刷ヘッドからの基材(3)の距離を最適化するために、基材支持体(3)は、基材(3)に直角な平面内で調整可能である。いくつかの実施形態において、基材支持体は、案内中の基材(3)の長手方向張力印加を際立たせるように、わずかに内側に曲がったプロファイルを有する。好適な実施形態において、基材支持体(3)は、たとえば、および非限定的に、たとえば潤滑現象などの当業者にとって周知の空気力学的効果による搬送経路に沿って移動する基材の持ち上がりを回避するために、複数の開口を含む。いくつかの実施形態において、使用される基材の異なる幅に適応するために、基材支持体は横方向に調整可能である。
【0028】
たとえば印刷機に含まれるコンピュータ手段は、クランプ(2)の開閉を制御し、可動要素の速度および/または位置を数値化し、そして最後に電動化手段(たとえば1つまたは複数のリニアモータ)のコマンドおよび制御信号を送達する。
【0029】
本発明の別の目的は、先に記載された基材搬送システム(3)の様々な実施形態によって実行される、搬送経路に沿った基材(3)の張力印加および搬送の方法を提案することである。様々な実施形態による、この方法およびその可能な変形例を特徴付ける連続的な異なるステップが、図解により非限定的に
図1から
図5を参照して、以下に記載される。
【0030】
まず、印刷可能基材(3)は、入口ストア(30)から出口ストア(31)内の基材の受け取りまで、印刷機を構成するすべてのステーションを連続的に通過すること、および機械は好ましくは乾燥ステーションを備える1つの印刷ステーションのみを、またはそれ自体周知のいくつかの印刷または個人化ステーションを含むことに、注意する。一般的に、コンピュータ手段は、握持手段(2)の開閉を制御し、可動要素の変位速度を数値化し、電動化手段(たとえばリニアモータ)のコマンドおよび制御信号を送達する。
【0031】
リニアモータの場合、クランプの速度および/または位置は、受動的なだけのクランプが能動的に制御されるということのため一般的に知られていることは、明らかである。システムの適切な動作を保証して、システムの要素の損傷を回避するために、これらを追加することが通常は好ましいものの、クランプの検出手段をなくすことも可能である。
【0032】
いくつかの実施形態において、方法は、
a.変位方向に対する基材(3)の前側縁の検出にしたがって、前握持手段と称される少なくとも1つの第一握持手段(2)の、コンピュータ手段によって作動される前記少なくとも1つの電動化手段による、入口ストア(30)付近の領域内の位置決めステップと、
b.基材(3)の速度に適応した速度での前握持手段(2)の変位、および基材(3)の前部付近の領域内の前記握持手段(2)の位置決めのステップであって、コンピュータ手段は、搬送経路に沿った基材(3)の位置に応じて握持手段(2)の速度および同期を制御するために、基材(3)の速度および位置に関する情報を実行する、ステップと、
c.基材(3)の少なくとも1つの縁での開閉システム(22)による前握持手段(2)の閉鎖ステップであって、前記握持手段(2)は以降基材(3)を駆動する、ステップと、
d.その後前握持手段(2)の速度に適合した速度で同期変位を位置決めし、後握持手段と称される少なくとも1つの第二握持手段(2)の、基材(3)の少なくとも1つの縁での閉鎖のステップと、
e.前および後握持手段(2)の間に位置する基材(3)の張力印加ステップと、
f.前握持手段(2)の位置が印刷機の出口ストア(31)付近の領域内にあるときの、前握持手段(2)の開閉システム(22)の開放ステップと、
g.開放前の、前および後握持手段(2)の間の距離に応じた時間t
1の終わりでの後握持手段の開閉システム(22)の開放ステップであって、その後基材(3)を解放するような前記握持手段(2)の減速が続く、ステップと、
h.入口ストア(30)付近の保管領域内の握持手段(2)の戻りステップと、を含むことを特徴とする。
【0033】
これらの実施形態より、クランプ(2)は搬送経路に進入する際に基材を連続的に握持することが、理解される。いくつかの実施形態において、クランプは、(たとえばコンピュータ手段によって制御される構成にしたがって)これらが基材を握持しなければならないそれぞれの位置に応じて、互いに対して前もって位置決めされることが可能である。このような実施形態において、ステップaからeは以下のステップに置き換えられる:
a”,基材(3)の前縁の検出(たとえば速度および/または位置の検出)と同時の入口ストア(30)付近の領域内の、同じ基材に沿ったすべての握持手段(2)の位置決めステップと、
b”.基材(3)の速度および位置に関する情報を実行(または中継)するコンピュータ手段によって制御される、基材(3)に適した速度での握持手段(2)の同期変位ステップと、
c”.開閉システム(22)による握持手段(2)の閉鎖ステップであって、前記握持手段(2)は以降基材(3)を駆動する、ステップと、
d”.握持手段(2)によって基材(3)に張力印加するステップ。
【0034】
本明細書においてすでに言及されたように、搬送システムは閉回路内の案内手段を含むことができる。このような実施形態において、方法のステップfからステップhは、以下のステップに置き換えられる:
f’.前握持手段(2)の開閉システム(22)の開放ステップであって、その後これらが案内手段(1)上のその変位を継続して入口ストア(30)付近の保管領域に戻るように前記前握持手段(2)の加速が続く、ステップと、
g’.開放前の、前および後握持手段(2)の間の距離に応じた時間t
2の終わりでの後握持手段の開閉システム(22)の開放ステップであって、その後基材(3)を開放するような後握持手段の減速、さらに後握持手段(2)が各ガイド(1)上のその変位を継続して入口ストア(30)付近の保管領域に戻るような加速が続く、ステップ。
【0035】
本明細書においてすでに言及されたように、クランプ(2)は側縁で基材を握持することができる。クランプの閉鎖ステップは、好ましくは基材の側縁上で行われる。これは前および後クランプでも有効であるが、しかしクランプはまた、(前および後クランプを用いて同じ基材を握持するとき)それぞれ前および後の縁で基材を握持することもでき、あるいは前基材の縁(好ましくは前縁または側縁)および後基材の縁(好ましくは前縁または側縁)を握持することもできる。
【0036】
いくつかの実施形態において、搬送経路の長手方向軸の両側に位置する2つの案内手段(1)の間の横方向距離は、可変である。したがって方法は、たとえば搬送経路上に位置する基材のサイズに応じた、案内手段の間のこの距離を調整する少なくとも1つのステップを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、方法は、握持手段(2)に含まれる横方向張力手段によって実行され、コンピュータ手段によって制御される、基材(3)の横方向張力印加のステップを含む。このステップは一般的に、握持手段(2)の閉鎖の最中にまたはそれに続いて実行される。
【0038】
本明細書においてすでに言及されたように、本発明は、基材の長手方向張力印加を、しかも有利なことにそのサイズに関係なく、可能にする。方法のいくつかの実施形態において、2つの連続する握持手段(2)の間の基材(3)の張力印加のステップは、基材(3)の物理的特性に依存する握持手段(2)の間の差Δd=Δv×Δtを作り出すために時間Δtにわたって、基材(3)の変位方向に対して最も後に位置する握持手段(2)の速度の低下Δvを適用することで、コンピュータ手段によって実行され、握持手段(2)の速度は時間Δtの終わりに再び同期される。方法のいくつかの実施形態において、2つの連続する握持手段(2)の間の基材(3)の張力印加のステップは、基材(3)の変位方向に対して最も後に位置する握持手段(2)に接続された1つまたは複数の電動化手段が基材(3)の変位方向の反対の方向に向けられた力を印加するように、コンピュータ手段によって実行され、力の強度は基材(3)の物理的特性に応じてパラメータ化される。
【0039】
基材ごとに1つの前クランプのみ、または一対の前クランプのみを有することが可能であるが、特に張力印加を可能にするために、少なくとも1つの後クランプも有することが好ましく、しかしこれは搬送経路上の基材のより良い案内だけのためである。また、特に基材が著しいサイズ(たとえばA4版)であるとき、少なくとも1つの挿入済みクランプ(好ましくは1対のクランプ)を有することが、多くの場合に好ましい。このように、様々な実施形態において、基材搬送システム(3)は、前および後握持手段の間に位置する挿入済み握持手段を含む。このような実施形態において、方法は、これら挿入済み握持手段の各々について、後握持手段に関するステップ(d、d”、e、g、およびg”)の繰り返しを含む。具体的には、いくつかの実施形態において、基材搬送システムは、被搬送基材の各々についてn対の握持手段(2)を含み、ここでnは2以上の数であり、対は少なくとも1つの前対および1つの後対、ならびに任意でn−2の被挿入対を含む。以下の方法のステップの記載は、挿入済みクランプを含むこのような実施形態を参照して提供される。
【0040】
aで示される方法の第一ステップの間、基材(3)が握持装置によって入口ストア(30)を離れるときに、前記基材(3)の任意の瞬間の位置および速度は、たとえば入口ストア(30)の中に実装された、センサによって測定され、センサはたとえばおよび非限定的に、ストア(30)を離れる基材(30)の前側縁を検出する光符号器であってもよく、前という用語は基材(3)の変位方向に対して定義される。位置および速度に関するこの情報は、それに応じて少なくとも1つのリニアモータを作動させる信号を制御するコンピュータ手段に送信される。リニアモータは第一対のクランプ(2)の動作を可能にし、前記クランプは、基材(3)の搬送経路の両側に位置して入口ストア(30)付近の領域内に前記対のクランプ(2)を位置決めするために実質的に等しい長手方向座標を有し、前記領域は進入領域(ZE)と称される。たとえば、および非限定的に、基材(3)の一部は、2対未満のクランプ(2)が基材(3)の前記部分の長手方向縁を握持している限り、進入領域(ZE)内にあると見なされる。この進入領域では印刷は提供されない。
【0041】
bで示される第二ステップの間、先のステップで位置決めされた第一対のクランプ(2)は、基材(3)の前部付近の長手方向縁の領域内に位置決めされるように、入口ストア(30)から出る基材(3)の速度に適応した速度での同期変位を採用する。たとえば、および非限定的に、第一対の各クランプ(2)は基材(3)の前コーナーを握持する。クランプ対(2)の位置決めおよび速度は、コンピュータ手段によって記録された基材(3)の速度および位置に関する情報に応じて、適応させられる。前記コンピュータ手段は、搬送経路に沿った基材の位置に応じてクランプ(2)の速度および同期を制御するために、基材(3)の速度および位置に関するこの情報を実行する。いくつかの実施形態において、第一対のクランプの速度は基材速度(3)、および前記基材(3)の前コーナーのレベルの位置と、同期する。別の実施形態において、一旦入口ストアを離れた基材(3)の速度はゼロであり、第一対のクランプ(2)の電動化は、停止の前に基材の前コーナーのレベルでクランプを位置決めする。
【0042】
cで示される第三ステップの間、第一対の各クランプ(2)の開閉システム(22)は、コンピュータ手段によって作動される。その結果、基材(3)の長手方向縁上で第一対のクランプ(2)が閉鎖し、前記基材は以降クランプ(2)によって駆動される。
【0043】
dで示される第四ステップの間、各クランプが搬送経路の両側に位置して実質的に等しい長手方向座標を有する、第二対のクランプ(2)は、コンピュータ手段によるリニアモータの作動によって、進入領域(ZE)内に位置決めされる。第二対のクランプ(2)の速度は第一対のクランプ(2)の速度に適応し、第二対のクランプ(2)は、開閉機構(22)が基材(3)の長手方向縁上で基材(3)を握持するように前記クランプ(2)の可動部(21)を作動させるように、少なくとも前コーナーを除く前記基材(3)の長手方向縁付近の領域内に位置決めされる。少なくとも二対のクランプ(2)が案内を保証するために基材(3)を握持した瞬間から、基材(3)は印刷領域(ZI)に戻り、クランプ(2)の間の基材(3)の部分はいずれかのパターンの印刷を受けることができる。
【0044】
eで示される第五ステップの間、前記基材(3)を握持した二対のクランプ(2)の間の基材(3)の部分は、機械的に引っ張られている。実施形態において、連続する二対のクランプ(2)の間の基材(3)の張力印加のこのステップは、以下のように実行される:コンピュータ手段は、Δvで示される速度の低下が最も後の対のクランプ(2)の(1つまたは複数の)モータに適用されるように、基材(3)の変位方向に対して最も後に位置するクランプ対(2)のモータに、信号を送信する。この速度の低下は、クランプ対(2)の間に間隙Δd=Δv×Δtを作り出すために、コンピュータ手段によって制御されて、時間Δtにわたって適用され、この距離Δdは張力印加されている基材(3)の物理的特性に依存する。時間Δtが完了すると、二対のクランプ(2)の速度は、コンピュータ手段によって送信された信号により、前記対のクランプ(2)のモータと再び同期される。別の実施形態において、2つの連続する対のクランプ(2)の間の基材の張力印加のステップは、以下のように実行される:コンピュータ手段は、前記対のクランプ(2)の(1つまたは複数の)モータが基材(3)の変位方向の反対の方向に向けられた長手方向力を印加するように、基材(3)の変位方向に対して最も後に位置するクランプ対(2)の(1つまたは複数の)モータに信号を送信し、力の強度は基材(3)の物理的特性に応じてコンピュータ手段によってパラメータ化される。
【0045】
いくつかの実施形態において、クランプ(2)に含まれる力センサは、基材(2)の握持領域のレベルに存在する張力を測定する。このように、測定された力が対象基材(3)のために定義された閾値に到達すると、コンピュータ手段はガイド(1)に沿ったクランプ(2)の変位を保証する速度の同期のための信号を、モータに送信する。
【0046】
印刷機の作業ステーションに沿った基材(3)の案内を保証するために、第四および第五ステップ(dおよびe)は、残るn−2対のクランプ(2)について繰り返される。クランプ(2)の対は等距離であり、基材(3)の変位方向に対して最も後に位置する最終対のクランプ(2)は、基材(3)の後部付近の基材(3)の長手方向縁の領域内に位置決めされる。たとえば、および非限定的に、最終対のクランプ(2)は基材(3)の後のコーナーを握持する。したがって基材(3)の案内および張力印加は、前記基材(3)の長手方向縁を握持して、搬送経路の両側に配置されたガイド(1)上で電動化された、n対のクランプ(2)によって保証される。
【0047】
gで示される第七ステップの間、ガイド(1)およびクランプ(2)によって案内中の基材(3)が出口ストア付近に到着すると、コンピュータ手段は、開閉システム(22)が第一対のクランプ(2)の可動部(21)の変位を作動して、たとえばおよび非限定的に前コーナーのレベルで基材(3)を解放するように、基材(3)の変位方向に対して最も前に位置する、第一対のクランプ(2)の前記開閉システム(22)に信号を送信する。解放された前側縁とまだ基材を握持している次の対のクランプ(2)との間の、基材(3)のこの部分は、出力領域(ZS)と称される領域内に位置していない。基材(3)の一部は、最大値が長手方向縁のレベルで基材(3)の部分を握持している一対のクランプ(2)であるときに、出力領域(ZS)内にある。この出力領域(ZS)では、印刷は提供されない。基材(3)の搬送システム内のクランプ対(2)の数nが大きいほど、入力領域(ZE)および出力領域(ZS)のサイズが印刷領域(ZI)のためにますます減少する。いくつかの実施形態において、基材(3)が第一対のクランプ(2)から解放されたときに、クランプを制御しているモータは、出口ストア(31)付近の領域内の前記対のクランプ(2)の停止まで、減速する。
【0048】
hで示される第八ステップの間、基材(3)の速度および/または長さに依存する時間t
1の終わりに、開閉システム(22)が第二対のクランプ(2)の可動部(21)の変位を作動するように、コンピュータ手段は、最も前に位置する第一対のクランプ(2)のすぐ後に位置するクランプ対(2)の前記開閉システム(22)に信号を送信する。その後コンピュータ手段は第二対のクランプ(2)の(1つまたは複数)のモータに、モータが減速するように信号を送信し、基材(3)を解放する。
【0049】
第八ステップは、たとえばおよび非限定的に基材(3)の後コーナーのレベルで、変位方向に対して基材(3)の最も後に位置する最終対まで、続くn−2対のクランプ(2)について繰り返される。
【0050】
iで示される第九ステップの間、コンピュータ手段は、入口ストア(30)付近の領域であるガイド(1)の保管領域へのクランプ(2)の帰還信号を、n対のクランプ(2)のモータに送信し、モータは、クランプ(2)がこの保管領域内に存在することを位置検出手段が検出したときに停止する。
【0051】
基材の張力印加および搬送の方法は、閉回路を形成するガイド(1)を含む基材搬送システムに適用可能である。これらの具体的実施形態において、先に記載されたステップgからステップiは、以下のステップに置き換えられる。
【0052】
gで示される第七の代替ステップにおいて、案内中の基材(3)が出口ストア(31)付近に到着したときのガイド(1)およびクランプ(2)のため、コンピュータ手段は、開閉システム(22)が第一対のクランプ(2)の可動部(21)の変位を作動し、たとえばおよび非限定的に前コーナーのレベルで基材(3)を解放するように、基材(3)の変位方向に対して最も前に位置する第一対のクランプ(2)の前記開閉システム(22)に信号を送信する。解放された前側縁とまだ基材(3)を握持している対のクランプとの間の、基材のこの部分は、今や出力領域(ZS)内に位置している。基材が第一対のクランプ(2)から解放されると、クランプを制御しているモータは、クランプ対(2)がガイド(1)に沿ったその変位を継続して入口ストア(30)付近の保管領域に戻るように、クランプ対(2)を加速する。いくつかの実施形態において、ガイド(1)が基材(3)の平面と平行な平面内にあるとき、クランプ(2)が基材を解放した直後に、クランプは前記基材(3)と平行な平面内の基材(3)から離れる方へ移動する。
【0053】
hで示される第八の代替ステップにおいて、開閉システム(22)が第二対のクランプ(2)の可動部の変位を作動するように、基材(3)の速度および/または長さに依存する時間t
2の終わりに、最も前に位置する第一対のクランプ(2)のすぐ後に位置するクランプ対(2)の前記開閉システム(22)への信号を、コンピュータ手段に送信する。その後コンピュータ手段は、第二対のクランプ(2)の(1つまたは複数の)モータにクランプが減速するように信号を送信して基材(3)を解放し、その後クランプ対(2)の加速信号は、前記対のクランプ(2)がガイド(1)に沿った変位を継続して入口ストア(30)付近の保管領域に戻るように、コンピュータ手段を介してモータに送信される。
【0054】
これら2つのステップは、たとえばおよび非限定的に基材(3)のコーナー後ろのレベルで、変位方向に対して基材(3)の最も後に位置する最終対まで、残りのn−2対のクランプ(2)について繰り返される。
【0055】
いくつかの実施形態において、方法の最初の6つのステップ(aからf)は、以下のステップに置き換えられる。
【0056】
aで示される第一の代替ステップにおいて、n対のクランプ(2)はガイドに沿って進入領域(ZE)内に位置決めされ、同じ対のクランプ(2)は搬送経路の両側に実装され、クランプ(2)は、入口ストア(30)を離れる基材(3)の速度および位置の検出手段による検出、たとえばおよび非限定的には基材(3)の前側縁の検出に続いて、位置決めされる。
【0057】
bで示される第二の代替ステップにおいて、先のステップで位置決めされたn対のクランプ(2)は、入口ストア(30)から出る基材(3)の速度に適応した速度での同期変位を採用する。クランプ(2)の対の位置決めおよび速度は、コンピュータ手段によって記録された基材(3)の速度および位置に関する情報に応じて適応させられる。前記コンピュータ手段は、搬送経路に沿った基材(3)の位置に応じてクランプ(2)の速度および同期を制御するために、基材(3)の速度および位置に関する情報を活用する。別の実施形態において、一旦入口ストアを離れた基材(3)の速度はゼロであり、n対のクランプ(2)の電動化が結果的に適応する。
【0058】
cで示される第三の代替において、n対の各クランプ(2)の開閉システム(22)はコンピュータ手段によって作動される。この結果は基材(3)の長手方向縁上のすべてのクランプ(2)の閉鎖であり、前記基材は以降クランプ(2)によって駆動される。
【0059】
dで示される第四ステップにおいて、n対のクランプ(2)の間のn−1対の基材(3)は機械的に引っ張られる。
【0060】
代替実施形態において、各対のクランプ(2)は、たとえば基材(3)の側縁の幅の全体または一部にわたって基材(3)を握持するようになっている単一のクランプ(2)によって、置換される。この場合、基材(3)の搬送および張力印加方法は、各々が基材の側縁を握持する、基材(3)あたり2つのクランプ(2)によって実行されることが可能である。クランプ(2)の位置決め、基材(3)の速度へのクランプ(2)の速度の適応、基材(3)の側縁の握持、基材(3)の張力印加、基材(3)の解放、および保管領域へのクランプ(2)の戻りは、先に記載された方法にしたがって行われることが可能である。
【0061】
本明細書は、図面および/または様々な実施形態を参照して、様々な技術的特性および利点を記載する。当業者は、別途指定されない限り、またはこれらの特性が矛盾することが明らかでない限り、任意の実施形態の技術的特性が別の実施形態の特性と実際に組み合わせられることが可能であることを、理解するだろう。また、任意の実施形態に記載される技術的特性は、別途指定されない限りこのモードの別の特性から切り離されてもよい。
【0062】
本発明が、請求されたとおりの本発明の明細書の範囲から逸脱することなく、多くの別の具体的な形式の実施形態を可能にすることは、専門家にとって自明である。結果的に、本実施形態は例示として見なされるべきであって、添付請求項の範囲によって定義される分野の範囲内で変更されることが可能であり、本発明は上記で提供された詳細に限定されるものではない。