(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生まれつき備わった開口のところで腹腔鏡下外科的処置を実施するようになった外科用アクセスポートシステムであって、前記外科用アクセスポートシステムは、レトラクタを含み、前記レトラクタは、
患者の生まれつき備わった開口の近くに配置されて該開口を実質的に包囲するよう構成された外側リングを有し、
少なくとも1つの腹腔鏡器械を挿通状態で受け入れるに足るほど大径の全体として円筒形の通路を備えた管状本体を有し、
前記外側リングと前記管状本体との間に延びると共に前記外側リングと前記管状本体を結合する漏斗セグメントを有し、前記漏斗セグメントは、前記レトラクタを体腔内に前進させるために用いられる栓塞子のための支承面となることができる内面を有し、さらに、前記外側リングの比較的大きな直径と前記開口の最小限の拡開状態で生まれつき備わった開口内に嵌まり込むよう寸法設定された前記管状本体の比較的小さな直径との間で直径の減少をもたらし、
前記漏斗セグメント内に設けられたインフレーションポートを有し、
前記管状本体の遠位縁部に設けられたインフレート可能な部材を有し、前記インフレート可能な部材は、チャネルによって前記インフレーションポートに連結され、
栓塞子であって、漏斗セグメントの内面に当接するような寸法形状の近位支承面と、近位支承面の周囲に沿って配置され且つインフレーションポートのための隙間をもたらすための寸法形状の凹みと、生まれつき備わった開口を拡張するような寸法形状の遠位拡開面と、を有する前記栓塞子を有している、外科用アクセスポートシステム。
前記軟質材料は、KRATON(登録商標)材料、PELLETHANE(登録商標)材料及びシリコーンゴム材料から成る群から選択される、請求項2記載の外科用アクセスポートシステム。
前記全体として円筒形の通路は、該通路を挿通状態で位置決めされた2つ又は3つ以上の外科器械を互いに対して並進させ又は回動させることができるほど十分に大径である、請求項1記載の外科用アクセスポートシステム。
前記管状本体は、比較的軟質の材料で作られ、前記漏斗セグメント及び前記外側リングは、比較的硬質の材料で作られている、請求項1記載の外科用アクセスポートシステム。
少なくとも1つのトロカール型アクセス器具を更に含み、前記トロカール型アクセス器具は、前記封止可能なアクセス面部を挿通して位置決めされるようになっている、請求項15記載の外科用アクセスポートシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図中、同じコンポーネントには同じ参照符号が付けられている。
【0015】
外科器械アクセス器具システムの実施形態は、例えば、単一切開創、単一ポート及び/又は制限されたポートを用いる腹腔鏡下外科的処置又は手技、例えば腹部手技(
図1)、経膣手技(
図2)、経口手技(
図3)及び経肛門手技(
図4)に有用である。種々の外科器械アクセス器具が2009年1月22日に出願された米国特許出願公開第2009/0187079号明細書(発明の名称:SURGICAL INSTRUMENT ACCESS DEVICE)及び米国特許第7,727,146号明細書(発明の名称:WOUND RETRACTOR WITH GEL CAP)に記載されており、これら両方の特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0016】
図5は、レトラクタ5100及びキャップ5500を含むアクセス器具システム5000の一実施形態の斜視図であり、このアクセス器具システムは、単一ポート及び/又は制限されたポートを用いる手技に有用である。レトラクタ又は外科用開創器5100は、外科的創(又は切開創)又は体の開口を拡大し、再形成すると共に/或いは隔離するよう外科的創及び/又は体の開口中に、これらを横切ると共に/或いはこれらを通って配置されると共に/或いは位置決めされる。キャップ5500は、人工的な体壁となり、器械は、この体壁を貫通して患者の体の内部、例えば体腔に接近する。アクセス器具5000のコンポーネントは、任意適当な生物学的に適合性のある材料から成る。
【0018】
図6Aに側面図で示された生まれつき備わった開口用アクセスポート又はレトラクタ6100の実施形態は、経肛門的外科的処置に用いられるようになっているのが良い。レトラクタ6100は、内側又は遠位リング6110、外側又は近位リング6120、管状本体6130及び内側リング6110と外側リング6120との間に延びた状態でこれらを結合した漏斗セグメント6140を有する。管状本体6130は、比較的軟質の材料、例えばKRATON(登録商標)材料又はシリコーンゴム材料から成り、この管状本体は、図示の実施形態では、実質的に円筒形である。他の実施形態では、管状本体6130は、別の形状、例えば長円形断面を有する。管状本体6130の幾つかの実施形態は、追加の機能性をもたらす1つ又は2つ以上の被膜、例えば抗菌性被膜を有する。
【0019】
内側リング6110の実施形態は、経肛門的外科的手技の際、体の開口、例えば患者の肛門中に挿入可能に圧縮されると共に/或いは変形するのに十分な柔軟性及び応従性を有する。次に、関連の体腔内に放出されると、内側リング6110は、その元の形状又はフットプリントに実質的に戻る。幾つかの実施形態では、内側リング6110は、弛緩状態では、例えば、体腔内に放出されると、実質的に円形の形状を取る。他の実施形態では、内側リング6110は、弛緩状態では別の形状、例えば長円形の形をしている。内側リング6110は、切開創又は体の開口中に挿入可能に圧縮されると、別の形状、例えば、実質的に長円形、全体として直線の形状、涙滴形状又は別の適当な形状を取る。当業者であれば認識されるように、他の実施形態では、内側リング6110は、弛緩状態では、丸形以外の形状、例えば長円形、楕円形又はD字形の形をしている。他の実施形態では、内側リング6110は、これが用いられる普通の条件下においては、実質的に硬質であり、即ち非応従性である。幾つかの実施形態では、内側リングは、例えば
図6Aに示されているように管状本体の表面から外方に延び、それによりレトラクタを配備した後にレトラクタを体腔内に保持するのを助ける。
【0020】
内側リング6110の実施形態は、全体として円形の断面を有するのが良い。他の実施形態では、内側リング6110は、別の断面形状、例えば長円形、楕円形、涙滴形及びD字形のうちの少なくとも1つの形を有する。例えば、
図6D〜
図6Fに示された実施形態では、内側リング7110は、本明細書において更に説明するようにレトラクタ7100の管状本体7130と実質的に面一をなす断面形状を有するのが良い。当業者であれば理解されるように、他の実施形態では他の断面が用いられる。内側リング6110の屈曲領域に関して本明細書において更に説明するように、内側リング6110の幾つかの実施形態は、内側リング6110の折り曲げ又は変形を容易にし、それにより内側リング6110の挿入及び/又は取り出しを容易にする少なくとも1つの切り欠き及び/又は弱いスポットを有する。
【0021】
図6Aに戻ってこれを参照すると、外側リング6120は、漏斗区分6140の近位側に位置している。図示の実施形態では、外側リング6120は、実質的に円形のフットプリントを有する。本明細書において更に説明するように、外側リング6120は、これに設けられたキャップ又は他のアクセス器具に密封的に結合するような寸法形状のものであるのが良い。幾つかの実施形態では、1つ又は2つ以上の縫合箇所6160を外側リング6120に隣接してレトラクタ6110に設けるのが良い。
【0022】
図6Bを参照すると、レトラクタ6100の平面図が示されている。図示の実施形態では、外側リング6120は、全体として円形のプロフィールを有する。加うるに、図示の実施形態では、2つの縫合箇所6160が外側リング6120の全体として円形のプロフィールに対して全体として直径方向反対側に位置している。他の実施形態では、レトラクタは、外側リング6120に対して種々の場所に設けられた3つ以上又は1つ以下の縫合箇所を有する場合がある。
【0023】
引き続き
図6Bを参照すると、管状本体6130は、全体として円筒形の通路6150を画定する全体として円形のプロフィールを有する。全体として円筒形の通路6150は、望ましくは、2つ以上の腹腔鏡器具を挿通状態で受け入れるのに足るほど大径であり、その結果、単一の生まれつき備わった開口用アクセス器具を用いて体腔内の多数の外科器械のためのアクセスをもたらすことができるようになっている。さらに、全体として円筒形の通路6150は、望ましくは、これを挿通状態で位置決めされた多数の外科器械を互いに対して並進させ又は回動させることができるほど大径であり、かくして、外科医は、外科的処置中、所望に応じて外科器械を操作することができる。全体として円筒形の通路は、外側リング6120に隣接して位置するレトラクタ6100の近位端6152と内側リング6110に隣接して位置するレトラクタ6100の遠位端6154との間に延びている(
図6A)。
【0024】
引き続き
図6Bを参照すると、図示の実施形態では、漏斗セグメント6140は、アクセス器具、例えばキャップに取り外し可能に結合されるような寸法及び形状の外側リング6120の比較的大きな直径と開口の最小限の拡開状態で生まれつき備わった開口内に嵌まり込むような寸法の通路6150の比較的小さな直径との間で直径の減少をもたらす。漏斗セグメント6140は、レトラクタ6100を体腔内に前進させるために用いられる栓塞子のための支承面となることができる内面6142を有している。幾つかの実施形態では、漏斗セグメント6140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に実質的に直線状のテーパを有するのが良く、その結果、内面6142は、切頭円錐形のセグメントである。他の実施形態では、漏斗セグメント6140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に湾曲したプロフィールを有しても良い。
【0025】
幾つかの実施形態では、生まれつき備わった開口用アクセスシステムは、レトラクタ6100(
図6G及び
図6H)及びオプションとしての栓塞子6400を含むのが良い。栓塞子は、漏斗セグメント6140の内面6142に当接するような寸法形状の近位支承面6410及びレトラクタ6100を通過させることができるよう生まれつき備わった開口を拡張するような寸法形状の遠位拡開面6420を有するのが良い。かくして、生まれつき備わった開口中へのレトラクタ6100の挿入中、拡開面6420は、体腔内の手術部位への経路を拡張し、その間、栓塞子は、漏斗セグメント6140の内面6142に当接し、それにより、レトラクタ6100を手術部位の所定の位置に前進させる。さらに、幾つかの実施形態では、栓塞子は、その近位端のところに設けられていて、挿入中、栓塞子の長手方向軸線回りの栓塞子の選択的な捩り又は回転を容易にするようになった取っ手6430を有するのが良い。
【0026】
外側リング6120は、レトラクタ6100の比較的可撓性の管状本体6130と比較して比較的剛性であり、その結果、外側リング6120がアクセス器具、例えばキャップに密封的に係合することができるようになっていることが望ましい場合がある。
図6Cを参照すると、外側リング6120が部分的に切除された状態でレトラクタの斜視図が示されている。図示の実施形態では、外側リング6120には環状溝6122が形成され、補強部材6124がこの環状溝6122内に設けられている。幾つかの実施形態では、補強部材6124は、リングの形に形成された金属製の部材、例えばワイヤから成るのが良い。例えば、幾つかの実施形態では、補強部材6124は、レトラクタ6100の製造中、溝6122内に配置されるステンレス鋼製のリングから成るのが良い。他の実施形態では、補強部材6124は、射出可能な非金属製部材から成っていても良い。例えば、幾つかの実施形態では、ガラス繊維入りポリマー又はポリカーボネート材料をレトラクタ6100の製造中、溝6122中に射出するのが良い。
【0027】
レトラクタ6100の図示の実施形態は、外側リング6120の剛性を高めるために補強部材を有しているが、他の実施形態では、レトラクタ6100をマルチプルショット成形プロセスで形成しても良い。例えば、幾つかの実施形態では、管状本体6130及び内側リング6110で構成されたレトラクタの内側セグメントは、一成形作業で軟質材料から作られ、漏斗セグメント6140及び外側リング6120で構成されるレトラクタ6100の外側セグメントは、別の成形作業で比較的硬質の材料、例えばポリカーボネート材料又は他の適当な材料から作られる。マルチプルショット成形プロセスで形成された一実施形態としてのレトラクタ7100が
図6D〜
図6F、
図7B、
図8D及び
図9Bに示されている。
【0028】
引き続き
図6Cを参照すると、図示の実施形態は、連続した全体として環状の溝を有する。他の実施形態では、複数個の連続して並んではいない凹部が各々、複数個の補強部材の各々をそれぞれ受け入れることができる。さらに、幾つかの実施形態では、外側リングは、各々が対応の補強部材を受け入れる2つ又は3つ以上の同心状の全体として環状の溝を有するのが良い。
【0029】
図7Aを参照すると、レトラクタ6100及び取り外し可能なキャップ6200を有する生まれつき備わった開口用アクセス器具の断面図が示されている。図示の実施形態では、管状本体6130は、所定の固定長さL、内径D及び壁厚Tを有する軟質材料で作られている。固定長さL、内径D及び壁厚Tは、生まれつき備わった開口の解剖学的構造、例えば多くの患者の開口としての肛門に対応するよう選択されている。レトラクタ6100を種々の年齢の患者について互いに異なるサイズに合わせてスケール変更可能であることが計画される。さらに、幾つかの実施形態では、レトラクタは、管状本体を患者の解剖学的構造及び体腔内の手術部位の存在場所に応じて種々の長さで選択的に配置できるよう入れ子式の管状本体を有するのが良いことが想定される。望ましくは、管状本体6130の壁厚T及び材料は、管状本体6130が生まれつき備わった開口内に配置されたときに管状本体を貫通したままの状態に通路6150を維持するのに足るほど弾性であるよう選択される。さらに、望ましくは、内径Dは、多数の外科器械を受け入れるのに十分大きい。例えば、TEMS手技で用いられるようになったレトラクタ6100の実施形態では、内径D及び壁厚Tは、レトラクタの外径が約30mm〜70mm、望ましくは約35mm〜50mm、一実施形態では、約40mmであるのが良いように寸法決めされているのが良い。加うるに、望ましくは、固定長さLは、内側リング6110を体腔内の手術部位のところに配置することができ、しかも外側リング6120を生まれつき備わった開口の外側に配置することができるほど十分に長い。幾つかの実施形態では、固定長さLは、器具の近位端6152と遠位端6154との間の全長が約10mm〜100mm、望ましくは約20mm〜80mm、より望ましくは約30mm〜60mm、一実施形態では、約40mmであるような長さのものである。
【0030】
引き続き
図7Aを参照すると、幾つかの実施形態では、環状溝6122は、外側リング6120の内面に対して開いているのが良い。かくして、環状溝6122が開口部を有する状態でレトラクタ6100を単一の成形作業で軟質材料から作るのが良く、その後、補強部材6124を上側溝6122中に挿入するのが良い。
【0031】
引き続き
図7Aを参照すると、幾つかの実施形態では、レトラクタ6100は、管状本体6130と内側リング6110との間に屈曲領域、例えばアンダーカット6170を有するのが良い。有利には、屈曲領域により、内側リング6110は、挿入中、管状本体6130に対して屈曲し又は回転することができ、その結果、内側リング6110は、挿入形態では比較的小さな外径を呈し、非妨げ形態では比較的大きな外径を呈するようになる。
【0032】
図7Gに示されている他の実施形態では、内側リングは、ガス又は流体源に結合されたインフレート可能な部材6132、例えば環状バルーンを有するのが良く、このインフレート可能な部材6132を挿入及び取り出しのためのデフレートされた比較的小さな直径の状態と体腔内に保持可能なインフレートされた比較的大きな直径状態との間で選択的にインフレートさせたりデフレートさせたりすることができる。レトラクタの漏斗部分6140に取り付けられたインフレーションポート6134、例えば逆止弁が管状本体6130の壁内に設けられたチャネル6136を通ってインフレート可能部材6132に連結されている。インフレーションポートを通って導入された流体又はガスは、チャネルを通ってインフレート可能部材中に流れ、それによりインフレート可能部材をインフレートさせる。
【0033】
チャネル6136は、管状本体の長手方向軸線に全体として平行に管状本体を通って延び、その近位開口部は、インフレーションポート6134と相互作用し、その遠位開口部6139は、インフレート可能部材のところで管状本体の外面内に開口している。一観点では、インフレーションポート6134は、ばね押しプランジャを備えた常閉逆止弁を有するのが良い。別の観点では、逆止弁は、ルアー(Luer)ロックを有するのが良い。当該技術分野においては周知である他のインフレーションポートを使用できることが想定される。
【0034】
この実施形態では、管状本体6130は、好ましくは、比較的硬質の材料、例えばポリカーボネートで構成されている。管状本体は、その遠位端のところに設けられていて、管状本体の外部周りにポリオレフィン管を熱収縮させることによって形成できるインフレート可能部材を有する。管状本体/管組立体の遠位端を次に約30〜40秒間加熱し、次にモールド内に配置し、そして空気を注入してモールドの形態に応じて、インフレート可能部材に
図7Hに見える環状バルーン形状又は任意他の所望の形状を与える。インフレート可能部材6132は、インフレーション用ガス又は流体がインフレート可能部材の壁を通って透過するのを実質的に阻止するほど十分な不透性を有するべきである。
【0035】
一実施形態では、インフレート可能部材6132は、インフレーション時に実質的にドーナツ形を有するのが良い。別の実施形態では、インフレート可能部材は、インフレーション時に円板形状を有しても良い。別の実施形態では、インフレート可能部材6132は、ひだ付きバルーンであっても良い。特定の生まれつき備わった開口に適した他の形状は、当業者であれば理解されよう。
【0036】
使用にあたり、レトラクタを生まれつき備わった開口内に配置した後、注射器を管状本体(
図7I参照)内のチャネルの近位端6138のところに設けられた弁6134中に挿入することによってインフレート可能部材をインフレートさせるのが良い。
図7J及び
図7Kに示されているように、インフレーションポートは、チャネル6136中に通じており、それにより、注射器からの流体又はガスがインフレート可能部材6132まで移動することができる。この実施形態では、オプションとしての栓塞子6400は、
図7Lに示されているようにインフレーションポートのための隙間をもたらすための凹み6139を備えるよう改造されるのが良い。
【0037】
図8Aを参照すると、キャップ6200がレトラクタ6100に取り外し可能に結合された生まれつき備わった開口用アクセス器具の側面図が示されている。図示の実施形態では、キャップ6200が本明細書において更に詳細に説明するように封止可能なアクセス面部6210、例えばゲルパッド表面を有している。或る特定の実施形態では、キャップ6200は、少なくとも1つのガス又は流体ポート6220,6230を更に有するのが良い。図示の実施形態では、キャップ6200は、2つのガス又は流体ポート6220,6230を有し、従って、例えばアクセス器具を介して電気手術を実施する場合、一方のポートをガス注入に用いることができ、他方のポートを通気に使用することができる。或る特定の実施形態では、ガス又は流体ポート6220,6230のうちの少なくとも一方は、これを通る流体の流量を選択的に制御するために弁、例えばストップコック弁を有する。
【0038】
図8Bを参照すると、生まれつき備わった開口用アクセス器具の平面図が示されている。封止可能なアクセス面部6210は、環状フレーム6240、例えばクランプ6250を有する割り型リングによって包囲されると共に拘束されるのが良い。クランプ6250は、キャップ6200がレトラクタ6100から選択的に取り外し可能である開き形態とキャップ6200をレトラクタ6100に固定することができるクランプ形態との間で動くことができるのが良い。例えば、クランプ6250が開き形態にある状態で環状フレーム6240を外側リング6120周りに周囲方向に位置決めすることができ、そしてクランプをクランプ形態に動かすと、キャップ6200をレトラクタ6100に密封的に固定することができる。したがって、キャップ6200は、レトラクタ6100を通って手術部位からの切除組織の取り出しを容易にするよう外科的処置中、容易に取り外せる。
【0039】
図8Cを参照すると、生まれつき備わった開口用アクセス器具の斜視図が示されている。図示の実施形態では、クランプ6250は、クランプがクランプ形態にあるとき、レトラクタの外側リング6120とインターフェースするよう配置された遠位フランジ6252を有するのが良い。図示のように、クランプ6250は、レトラクタ6100の外側リング6120の遠位表面に係合する。幾つかの実施形態では、環状フレーム6240は、レトラクタと相互作用するよう寸法決めされると共に配置された少なくとも1つの遠位フランジを更に有するのが良い。図示の実施形態では、環状フレーム6240は、レトラクタの外側リング6120の遠位表面に係合するよう配置された遠位フランジ6260を有する。図示のように、フランジ6260は、クランプ6250の遠位フランジに対して全体として直径方向反対側に位置している。他の実施形態では、環状フレーム6240は、環状フレーム6240の周囲に沿って実質的に等間隔を置いて配置された状態で又は環状フレームの周囲に沿って不規則な間隔を置いた状態で配置された2つ以上の遠位フランジを有するのが良い。
【0040】
図9Aを参照すると、生まれつき備わった開口用アクセス器具の別の実施形態が図示されており、キャップ6300が例えば
図6A〜
図6C、
図7A、
図8A〜
図8C及び
図9Aを参照して上述したレトラクタ6100に取り外し可能に結合されている。図示の実施形態では、キャップ6300は、そのアクセス表面6320を通って位置決めされた多数のトロカール型アクセス器具6310を有する。有利には、多数のトロカール型アクセス器具6310は、単一の生まれつき備わった開口を通って手術部位内における多数の腹腔鏡器械の容易な配置及び操作を可能にする。
【0041】
幾つかの実施形態では、内側リング6110及び外側リング6120は、別個独立に、互いに異なるフットプリント形状及び/又はフットプリント直径を有する。例えば、
図6D〜
図6F、
図7B、
図8D及び
図9Bに示された実施形態としてのレトラクタ7100に示されている実施形態では、内側リング7110は、管状本体7130と実質的に面一をなすのが良く、他方、外側リング7120は、全体として円形の断面を備えた環状部材であるのが良い。大きな直径を備えた内側リング6110は、大きな拡張力の提供を可能にするが、腹腔に挿入してこれから取り出すのが困難である。
【0042】
図6D〜
図6Fを参照すると、幾つかの実施形態では、生まれつき備わった開口用アクセスポート又はレトラクタ7100が経肛門的内視鏡顕微手術(TEMS)手技で用いられるように構成されているのが良い。レトラクタ7100は、内側又は遠位リング7110、外側又は近位リング7120、管状本体7130及び内側リング7110と外側リング7120との間に延びた状態でこれらを結合した漏斗セグメント7140を有する。管状本体7130は、比較的軟質の材料、例えばKRATON(登録商標)材料又はシリコーンゴム材料から成り、この管状本体は、図示の実施形態では、実質的に円筒形である。他の実施形態では、管状本体7130は、別の形状、例えば長円形断面を有する。管状本体7130の幾つかの実施形態は、追加の機能性をもたらす1つ又は2つ以上の被膜、例えば抗菌性被膜を有する。
【0043】
図示の実施形態では、内側リング7110は、管状本体7130の遠位端と実質的に面一をなし、レトラクタ7100は、遠位端まで漏斗セグメント7140の遠位側に延びる全体として管状の形態を有する。内側リング7110の実施形態は、経肛門的外科的手技の際、体の開口、例えば患者の肛門中に挿入可能に圧縮されると共に/或いは変形するのに十分な柔軟性及び応従性を有する。次に、関連の体腔内に放出されると、内側リング7110は、実質的にその元の形状又はフットプリントに戻る。幾つかの実施形態では、内側リング7110は、弛緩状態では、例えば、体腔内に放出されると、全体として円形の管状本体7130と実質的に面一をなす実質的に円形の形状を取る。他の実施形態では、内側リング7110は、弛緩状態では別の形状、例えば長円形の形をしている。内側リング7110は、切開創又は体の開口中に挿入可能に圧縮されると、別の形状、例えば、実質的に長円形、全体として直線の形状、涙滴形状又は別の適当な形状を取る。他の実施形態では、内側リング7110は、これが用いられる普通の条件下においては、実質的に硬質であり、即ち非応従性である。
【0044】
引き続き
図6D〜
図6Fを参照すると、幾つかの実施形態では、内側リング7110は、生まれつき備わった開口を通る挿入を容易にするように形作られると共に構成されているのが良い。例えば、図示の実施形態では、内側リング7110は、生まれつき備わった開口を通る無傷性の入り込みを用意するよう丸み付き縁部を有するのが良い。他の実施形態では、内側リング7110は、生まれつき備わった開口を通る入り込みを容易にするよう斜切縁部を有するのが良い。さらに、図示の実施形態では、内側リング7110は、管状本体7130により定められた長手方向軸線に対して横方向の角度をなして形成されるのが良い。有利には、かかる角度の付いた又は斜めの内側リング7110は、生まれつき備わった開口を通るレトラクタ7100の挿入を容易にすることができる。他の実施形態では、内側リング7110は、管状本体によって定められた長手方向軸線に実質的に垂直であるのが良い。
【0045】
引き続き
図6D〜
図6Fを参照すると、外側リング7120は、漏斗区分7140の近位側に位置している。図示の実施形態では、外側リング7120は、実質的に円形のフットプリントを有する。本明細書において更に説明するように、外側リング7120は、これに設けられたキャップ又は他のアクセス器具に密封的に結合するような寸法形状のものであるのが良い。幾つかの実施形態では、
図6A〜
図6Cを参照して上述したように、1つ又は2つ以上の縫合箇所7160を外側リング7120に隣接してレトラクタ7110に設けるのが良い。
【0046】
引き続き
図6D〜
図6Fを参照すると、管状本体7130は、全体として円筒形の通路7150を画定する全体として円形のプロフィールを有する。全体として円筒形の通路7150は、望ましくは、2つ以上の腹腔鏡器具を挿通状態で受け入れるのに足るほど大径であり、その結果、単一の生まれつき備わった開口用アクセス器具を用いて体腔内の多数の外科器械のためのアクセスをもたらすことができるようになっている。さらに、全体として円筒形の通路7150は、望ましくは、これを挿通状態で位置決めされた多数の外科器械を互いに対して並進させ又は回動させることができるほど大径であり、かくして、外科医は、外科的処置中、所望に応じて外科器械を操作することができる。全体として円筒形の通路は、外側リング7120に隣接して位置するレトラクタ7100の近位端7152と内側リング7110に隣接して位置するレトラクタ7100の遠位端7154との間に延びている(
図6D)。
【0047】
引き続き
図6Dを参照すると、図示の実施形態では、漏斗セグメント7140は、アクセス器具、例えばキャップに取り外し可能に結合されるような寸法及び形状の外側リング7120の比較的大きな直径と開口の最小限の拡開状態で生まれつき備わった開口内に嵌まり込むような寸法の通路7150の比較的小さな直径との間で直径の減少をもたらす。漏斗セグメント7140は、レトラクタ7100を体腔内に前進させるために用いられる栓塞子のための支承面となることができる内面7142を有している。幾つかの実施形態では、漏斗セグメント7140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に実質的に直線状のテーパを有するのが良く、その結果、内面7142は、切頭円錐形のセグメントである。他の実施形態では、漏斗セグメント7140は、比較的大きな直径と比較的小さな直径との間に湾曲したプロフィールを有しても良い。
【0048】
幾つかの実施形態では、生まれつき備わった開口用アクセスシステムは、レトラクタ7100及び例えば
図6Gを参照して上述したオプションとしての栓塞子を含むのが良い。栓塞子は、漏斗セグメント7140の内面7142に当接するような寸法形状の近位支承面6410及びレトラクタ7100を通過させることができるよう生まれつき備わった開口を拡張するような寸法形状の遠位拡開面6420を有するのが良い。かくして、生まれつき備わった開口中へのレトラクタ7100の挿入中、拡開面は、体腔内の手術部位への経路を拡張し、その間、栓塞子は、漏斗セグメント7140の内面7142に当接し、それにより、レトラクタ7100を手術部位の所定の位置に前進させる。さらに、幾つかの実施形態では、栓塞子は、その近位端のところに設けられていて、挿入中、栓塞子の長手方向軸線回りの栓塞子の選択的な捩り又は回転を容易にするようになった取っ手6430を有するのが良い。
【0049】
図6Iに示された変形実施形態では、栓塞子6405は、遠位拡開面6420と近位支承面6410との間に位置していて、レトラクタの挿入に先立って生まれつき備わった開口の拡開を容易にする真っ直ぐなシャフト部品6425を有する。
【0050】
図7Bを参照すると、外側リング7120は、レトラクタ7100の比較的可撓性の管状本体7130と比較して比較的剛性であり、その結果、外側リング7120は、アクセス器具、例えばキャップに密封的に係合することができるようになっている。図示の実施形態では、レトラクタ7100をマルチプルショット成形プロセスで形成しても良い。例えば、幾つかの実施形態では、管状本体7130及び内側リング7110で構成されたレトラクタの内側セグメントは、一成形作業で軟質材料から作られ、漏斗セグメント7140及び外側リング7120で構成されるレトラクタ7100の外側セグメントは、別の成形作業で比較的硬質の材料、例えばポリカーボネート材料又は他の適当な材料から作られる。
【0051】
他の実施形態では、マルチプルショット成形プロセスは、結果として得られる内側及び外側セグメントが図示の実施形態の内側及び外側セグメントとは異なるように変形可能である。例えば、或る特定の実施形態では、内側セグメントは、管状本体7130、内側リング7110及び漏斗セグメント7140の一部分を有するのが良く、他方、外側セグメントは、漏斗セグメント7140の一部分及び外側リング7120を有するのが良い。或る特定の他の実施形態では、内側セグメントは、内側リング7110及び管状本体7130の一部分を有するのが良く、他方、外側セグメントは、管状本体7130の一部分、漏斗セグメント7140及び外側リング7120を有するのが良い。
【0052】
図6D及び
図7Bを参照すると、マルチプルショット成形プロセスで形成されたレトラクタ7100は、内側セグメント及び外側セグメントに設けられていて、外側セグメントに対する内側セグメントの位置を維持する維持する1つ又は2つ以上の保持部材7160を有するのが良い。例えば、幾つかの実施形態では、外側セグメントの遠位端部は、漏斗セグメント7140から半径方向外方に延びる1つ又は2つ以上の突起7162及びレトラクタ7100の内側セグメントと外側セグメントのインターフェース領域のところで漏斗セグメント7140から半径方向内方に引っ込み状態で設けられた1つ又は2つ以上の凹部7164を有するのが良い。図示の実施形態では、外側セグメントの遠位端部は、複数個の突起7162を有し、これら複数個の突起7162は、これら相互間に複数個の凹部7164と交互に位置している。さらに、幾つかの実施形態では、外側セグメントは、レトラクタ7100の内側セグメントと外側セグメントのインターフェース領域のところで漏斗セグメント7140に形成された環状溝7170を有するのが良い。レトラクタ7100の内側セグメントは、溝7170内に設けられると共にこれと嵌合状態に係合していて、外側セグメントに対する内側セグメントの位置を維持する環状部材7166を有するのが良い。
【0053】
図7Bを参照すると、レトラクタ7100の断面図が示されている。図示の実施形態では、管状本体7130は、所定の固定長さL2、内径D2及び壁厚T2を有する軟質材料で作られている。固定長さL2、内径D2及び壁厚T2は、生まれつき備わった開口の解剖学的構造、例えば多くの患者の開口としての肛門に対応するよう選択されている。レトラクタ7100を種々の年齢の患者について互いに異なるサイズに合わせてスケール変更可能であることが計画される。さらに、幾つかの実施形態では、レトラクタは、管状本体を患者の解剖学的構造及び体腔内の手術部位の存在場所に応じて種々の長さで選択的に配置できるよう入れ子式の管状本体を有するのが良いことが想定される。望ましくは、管状本体7130の壁厚T2及び材料は、管状本体7130が生まれつき備わった開口内に配置されたときに管状本体を貫通したままの状態に通路7150を維持するのに足るほど弾性であるよう選択される。さらに、望ましくは、内径D2は、多数の外科器械を受け入れるのに十分大きい。例えば、経肛門外科的処置で用いられるようになったレトラクタ7100の実施形態では、内径D2及び壁厚T2は、レトラクタの外径が約30mm〜70mm、望ましくは約35mm〜50mm、一実施形態では、約40mmであるのが良いように寸法決めされているのが良い。加うるに、望ましくは、固定長さL2は、内側リング7110を体腔内の手術部位のところに配置することができ、しかも外側リング7120を生まれつき備わった開口の外側に配置することができるほど十分に長い。幾つかの実施形態では、固定長さL2は、器具の近位端7152と遠位端7154との間の全長が約100mm〜約200mm、望ましくは約120mm〜180mm、より望ましくは約140mm〜160mm、一実施形態では、約150mmであるような長さのものである。
【0054】
図8Dを参照すると、
図8A〜
図8Cを参照して説明したキャップと実質的に同一であってレトラクタ7100に取り外し可能に結合されたキャップ6200を有する生まれつき備わった開口用アクセス器具の斜視図が示されている。図示の実施形態では、キャップ6200が本明細書において更に詳細に説明するように封止可能なアクセス面部6210、例えばゲルパッド表面を有している。或る特定の実施形態では、キャップ6200は、少なくとも1つのガス又は流体ポート6220,6230を更に有するのが良い。図示の実施形態では、キャップ6200は、2つのガス又は流体ポート6220,6230を有し、従って、例えばアクセス器具を介して電気手術を実施する場合、一方のポートをガス注入に用いることができ、他方のポートを通気に使用することができる。或る特定の実施形態では、ガス又は流体ポート6220,6230のうちの少なくとも一方は、これを通る流体の流量を選択的に制御するために弁、例えばストップコック弁を有する。
【0055】
引き続き
図8Dを参照すると、生まれつき備わった開口用アクセス器具の平面図が示されている。封止可能なアクセス面部6210は、環状フレーム6240、例えばクランプ6250を有する割り型リングによって包囲されると共に拘束されるのが良い。クランプ6250は、キャップ6200がレトラクタ7100から選択的に取り外し可能である開き形態とキャップ6200をレトラクタ7100に固定することができるクランプ形態との間で動くことができるのが良い。例えば、クランプ6250が開き形態にある状態で環状フレーム6240を外側リング6120周りに周囲方向に位置決めすることができ、そしてクランプをクランプ形態に動かすと、キャップ6200をレトラクタ7100に密封的に固定することができる。したがって、キャップ6200は、レトラクタ7100を通って手術部位からの切除組織の取り出しを容易にするよう外科的処置中、容易に取り外せる。
【0056】
図9Bを参照すると、生まれつき備わった開口用アクセス器具の別の実施形態が示されており、この別の実施形態としての生まれつき備わった開口用アクセス器具は、
図9Aを参照して上述したキャップと実質的に同一であって、例えば
図6D〜
図6F、
図7B及び
図8Dを参照して上述したレトラクタ7100に取り外し可能に結合されたキャップ6300を有するのが良い。キャップ6300は、そのアクセス表面6320を通って配置された多数のトロカール型アクセス器具6310を有するのが良い。有利には、多数のトロカール型アクセス器具6310は、単一の生まれつき備わった開口を通って手術部位内への多数の腹腔鏡器械を容易な配置及び操作を可能にする。
【0057】
本明細書において説明したように、
図7A及び
図7Bに示されたレトラクタは、入れ子式管状本体を有するのが良く、その結果、管状本体を患者の解剖学的構造及び体腔内における手術部位の存在場所に応じて、様々な長さで選択的に配置できるようになっている。
図7Cに示されている別の実施形態では、管状本体は、様々な長さの区分の状態で形成されるのが良く、これら区分は、選択されると共に組み立てられる区分の数及びサイズに応じて、種々の長さを提供するよう互いに摺動的に係合すると共にスナップロックする。
図7Cを参照すると、レトラクタ6500が3つの区分、即ち、外側リング区分6510、内側リング区分6520及びこれら2つのリング区分相互間に設けられた中間区分6530を有するものとしてその斜視図が示されている。3つの区分は、スナップロック式機構体6540により互いに結合されている。各区分は、遠位端部が環状溝6550で終端しており、環状溝6550は、
図7Dの断面図に最も良く示されているように次の区分の近位端部6560と摺動的に係合している。スナップロック式機構体は、
図7Eに断面で示されている。
図7C〜
図7Eに示された実施形態の管状本体は、好ましくは、比較的硬質の材料、例えばポリカーボネートで作られている。
【0058】
オプションとして、
図7C〜
図7Fに示されているように、レトラクタの管状本体は、切り欠き部分又は窓6570を有するのが良く、それにより、もしそのように構成されていなければレトラクタが定位置にある間、管状本体によって覆い隠されることになる解剖学的構造の領域への接近が可能になる。かくして、レトラクタを体の開口又は切開創中に挿入して拡張を行うと共に体腔の内張りを保護することができ、次に、レトラクタを操作して窓を体腔内の関心のある部位に整列させ、それにより外科器械による接近を可能にする。
【0059】
理解されるように、かかる切り欠き部分は、硬質であると共に軟質の構造の管状本体並びに単一部品又は幾つかの区分の状態で形成された管状本体を有するレトラクタに設けられるのが良い。
図7Mは、レトラクタの軟質管状本体の一例を側面図と斜視図の両方で示しており、この場合、管状本体は、小穴6580を有している。管状本体を小穴のところで切断し又は裂いて管状本体の長さを変えると共に/或いは切り欠き部分を管状本体に組み込むことができる。
図7Mに示された実施形態の管状本体は、好ましくは、比較的軟質の材料、例えばKRATON(登録商標)又はPELLETHANE(登録商標)で作られている。
【0060】
図9A及び
図9Bの図示の実施形態では、トロカール型アクセス器具6310は、比較的低いプロフィールを有し、即ち、アクセス表面6320の上方に且つ/或いはキャップ6300の遠位表面の下に最小限にわたって突き出ている。したがって、トロカール型アクセス器具6310は、典型的なトロカールの長さよりも短く、かかるトロカール型アクセス器具は、アクセス表面6320の上方に配置されたシール組立体及びキャップ6300のゲルパッドを貫通して延びるカニューレを有している。トロカール型アクセス器具6310の長さを減少させることにより、これを貫通して延びる器械のための角度又は回動運動を増大させることができ、しかも湾曲した且つ/或いは角度のついた器械の使用が可能になる。
【0061】
図9Cは、トロカール型アクセス器具6310の一実施形態及びアクセス器具システムの幾つかの実施形態のコンポーネントであるオプションとしての栓塞子6600の分解組立図である。図示の実施形態では、栓塞子6600は、尖った穿刺先端部6610を有する。
【0062】
トロカール型アクセス器具6310は、近位端部、遠位端部及び長手方向軸線を有する。トロカール型アクセス器具6310は、長手方向軸線に沿って延びるカニューレ6620を有する。トロカールシール6630がハウジング6640内に収納された状態でカニューレ6620の近位端部のところに設けられている。リテーナ6650がカニューレ6620の遠位端部又は先端部のところに設けられている。
【0063】
カニューレ6620は、1つ又は複数の器械を挿通状態で受け入れるよう寸法決めされた管状本体を有する。図示の実施形態では、カニューレ6620は、実質的に円筒形の管であり、このカニューレは、使用中、キャップ6300を貫通する。図示の実施形態では、カニューレ6620は、比較的短い。というのは、カニューレは、体壁ではなく、既知且つ一貫した厚さを有するキャップ6300(
図9A及び
図9B)を横切って延びる必要があるに過ぎないからである。したがって、カニューレ6620の幾つかの実施形態は、ゲルパッドの厚さよりも約2倍以下長く、約1.5倍以下長く、約1.2倍以下長く又は約1.1倍以下長い。幾つかの実施形態では、カニューレ6620は、ゲルパッドの厚さよりも約20mm未満短く、約10mm未満短く又は約5mm未満短い。幾つかの実施形態では、カニューレ6620は、ゲルパッドの厚さ寸法とほぼ同じ長さ寸法のものである。他の実施形態では、カニューレ6620は、異なる長さ、例えば、体壁を横切るために用いられるカニューレにとって典型的な長さを有する。長さの短いカニューレにより、これを挿通する器械にとって角度に関する自由度を増大させることができる。短いカニューレの実施形態は又、湾曲した器械の使用を許容する。カニューレ6620は、任意適当な生体適合性材料から成る。幾つかの実施形態では、カニューレ6620は、軟質材料から成る。
【0064】
図示のトロカールシール6630は、器械又は隔膜シール6660及びゼロシール6670を有する。オプションとして、シールド6680が器械シール6660内に設けられるのが良い。器械シール6660は、これを通る器械を封止し、それにより体腔内の加圧状態、例えば、気腹状態又は後腹腔気腹状態を維持する。ゼロシール6670は、器械がトロカールシール6630を通っていない場合にシールとなる。器械シール6660及びゼロシール6670は、カニューレ6620の近位端部のところに設けられたハウジング6640内に受け入れられてシールカバー6690によってこの中に固定される。
【0065】
リテーナ6650は、カニューレ6620の遠位端部のところに又はその近くに設けられている。幾つかの実施形態では、リテーナ6650とカニューレ6620は一体化され、他方、他の実施形態では、リテーナ6650とカニューレ6620は、一体化されない。図示の実施形態では、リテーナ6650の近位端部は、全体として平坦であり且つ長手方向軸線に垂直なフランジ6655を有し、遠位端部は、テーパしており、カニューレ6620の遠位端部に向かって細くなっている。フランジ6655は、キャップからのトロカール型アクセス器具6310の偶発的又は不用意な取り外しの恐れを減少させる。フランジ6655の近位側フェースの幾つかの実施形態は、キャップ6300の遠位側フェースに穿刺し又は食い込むよう構成された追加の固定特徴部、例えば刺、スパイク、突条、表面模様等を有する。幾つかの実施形態では、フランジ6655の直径は、カニューレ6620の外径よりも約1.2〜約2.5倍大きく又は約1.5〜約2.0倍大きい。トロカール型アクセス器具6310の幾つかの実施形態は、5mmトロカールであり、この場合、カニューレ6620の外径は、約7mm〜約8mmである。
【0066】
リテーナ6650のテーパ付き端部は、キャップ中へのトロカール型アクセス器具6310のそれ自体の挿入かトロカール型アクセス器具6310を貫通した栓塞子6600との組立て時にキャップ中へのトロカール型アクセス器具6310の挿入かのいずれかを容易にする。例えば、幾つかの実施形態では、リテーナ6650は、キャップ6300に予備形成された開口部中に挿入される。
【0067】
リテーナ6650とカニューレ6620が一体化されておらず、即ち、別々のコンポーネントである幾つかの実施形態では、リテーナ6650は、カニューレ6620をキャップ中に通して挿入した後にカニューレ6620に固定される。幾つかの実施形態では、カニューレ6620とリテーナ6650は、機械的に、例えば、ラッチ、ねじ山、クリップ、ロックリング、ラチェット等を用いて固定される。幾つかの実施形態では、カニューレ6620とリテーナ6650は、接着により固定される。幾つかの実施形態では、リテーナ6650の位置は、例えば互いに異なる厚さのキャップに対応するよう調節可能である。幾つかの実施形態では、カニューレ6620及び/又はリテーナ6650は、例えば接着によりキャップに固定される。
【0068】
図6A〜
図6C、
図7A、
図8A〜
図8C及び
図9Aに示されたレトラクタ6100の実施形態及び
図6D〜
図6F、
図7B、
図8D及び
図9Bに示されたレトラクタ7100の実施形態を参照して体の開口を拡張する手技の実施形態について説明する。ただし、この手技は、本明細書において開示するレトラクタの実施形態の全てに利用できる。使用にあたり、外科的創レトラクタ6100,7100を体の開口、例えば膣(
図2)、口(
図3)又は肛門(
図4)中に挿入する。内側リング6110,7110を長円形又は他の適当な形状に折り曲げ又は圧縮し、そして切開創又は体の開口を通って関連の体腔中に押し込む。内側リング6110,7110が関連の体腔内にいったん完全に配置されると、内側リングは、その元の弛緩した形状、例えば実質的に円形、長円形又は他の元の形状に戻るようになる。幾つかの実施形態では、次に、例えば外側リング6120を上方に引くことによって内側リング6110を引き上げてこれを体腔の内面に当てる。管状本体6130,7130の外面は、生まれつき備わった開口を拡張する。
【0069】
図5に示されているように、アクセス器具5000の幾つかの実施形態は、レトラクタ5100の外側リングに結合されたキャップ、カバー又は蓋5500を有し、かかるキャップ、カバー又は蓋は、例えば体腔内の加圧状態、例えば気腹状態又は後腹腔気腹状態を維持するためにレトラクタ5100を封止する。幾つかの実施形態では、蓋5500は、例えば、体腔中へのアクセスを可能にするよう取り外し可能である。蓋5500の幾つかの実施形態は、透明な又は半透明な部分を有し、それによりユーザは、蓋5500を取り外すことなく体腔内を視認することができる。以下に説明するように、蓋5500の幾つかの実施形態は、ゲルキャップである。幾つかの実施形態では、レトラクタの外側リング6120(
図6A),7120(
図6D)の断面形状は、蓋5500が外科的創レトラクタの外側リング6110(
図6A),7110(
図6D)に部分的に且つ/或いは不正確に結合する恐れを減少させ又は阻止するよう選択される。かかる断面形状としては、長円形や長方形又は所望の機能をもたらす任意他の適当な断面形状、例えば六角形、八角形等が挙げられる。加うるに、使用及び外科医の好みに応じて、幾つかの実施形態では、外科的創レトラクタの内側リング6110,7110及び外側リング6120,7120の各々は、別個独立に可変の設計上の形態を有する。例えば、内側リング6110,7110及び/又は外側リング6120,7120の実施形態は、硬質又は軟質であり、意図した使用に応じたフットプリント、断面形状及び/又は寸法、例えば、切開創又は開口の寸法に応じた円形又は長円形フットプリント、直径又は拡張力に応じた断面寸法を有する。幾つかの実施形態では、内側リング6100は、配備時に管状本体6130から半径方向外方に延びるのが良く、それによりレトラクタを体の開口内に安定化する(
図7A)。他の実施形態では、内側リング7110は、例えば管状本体の長さL2がレトラクタを体の開口内に安定化するのに十分である場合(
図7B)、管状本体7130と面一をなすのが良い。
【0070】
図10Aは、キャップ又はカバー10500の実施形態を斜視図で示しており、これは、体腔と体腔の外部に位置する領域との間の開口部を封止する一方で、体腔の外部から体腔内への接近を可能にする外科用アクセス器具である。具体的に説明すると、図示のキャップ10500は、外科的創レトラクタの外側リング6120(
図6A),7120(
図6D)に解除可能に且つ密封的に結合する。キャップ10500は、外科的創レトラクタの外側リング6120,7120に結合可能な寸法形状のキャップリングを10510及びキャップリング10510に結合されたパッド10530を有する。キャップ10500の実施形態は、生まれつきの体壁と比較して一貫した特性、例えば厚さ、応従性、剛性、一様性等を備えた人工体壁となる。
【0071】
図示のキャップ又はカバー10500は、実質的に円形である。他の実施形態では、ゲルキャップ10500は、別の形状又はフットプリント、例えば長円形、楕円形、放物面、正方形、長方形又は別の適当な湾曲し若しくは多角形の形状を有する。幾つかの実施形態では、レトラクタの外側リング6120,7120とキャップのキャップリング10510は、同一の全体的形状又はフットプリントを有するのが良い。他の実施形態では、レトラクタの外側リング6120,7120とキャップのキャップリング10510は、実質的に互いに異なる形状を有し、例えば、これらは、それぞれ、全体として円形の外側リング6120,7120及び長円形キャップリング10510である。これら実施形態では、外側リング6120,7120は、例えば外側リング6120,7120の互いに反対側の側部を圧縮することによってキャップリング10510に結合可能に歪められ又は再付形される。例えば、スペースが限られている手技については、非円形の形状が有用である。上述したように、長円形又は細長いレトラクタを用いて長い真っ直ぐな切開創を拡張するには、円形レトラクタを用いた同様な手技よりも力が小さくてすむ。
【0072】
幾つかの実施形態では、パッド10530は、ゲルから成る。かかる実施形態では、パッド10530を「ゲルパッド」と呼び、キャップ10500を「ゲルキャップ」と呼ぶ。ゲルパッド及びゲルキャップの説明は、全体として、別段の指定がなければパッド10530がゲルから成っていない実施形態に当てはまる。幾つかの実施形態では、ゲルパッド10530中には例えば器械アクセスのための予備成型アクセスチャネルは設けられていない。器械を直接ゲルパッド10530に通して挿入してゲルパッド10530を穿通するのが良く、それによりゲルパッド10530中にアクセスチャネル又は部分を形成する。各アクセス部分は、これに通して挿入された器械が存在している場合には器械シールを形成し、これに通して器械が挿入されていない場合にはゼロシールを形成する。ゲルは、アクセスチャネルを通って挿入された種々の形状及び寸法の器械の周りに気密シールをもたらす。ゲルパッド10530の幾つかの実施形態は又、これを直接介するトロカールアクセスを可能にし、それにより体腔内への器械のアクセスも又可能になる。ゲルパッド10530の実施形態は、器械及び/又はトロカールを挿入させることができるゲルパッド10530の一部分の直径である約40mm〜約120mmの作業直径を有する。ゲルキャップ10500の実施形態は、代表的には、作業直径よりも約10mm〜50mm幅広である。
【0073】
したがって、ゲルキャップ10500の実施形態は、多数回の器械交換中、体腔内の加圧状態、例えば気腹状態又は後腹腔気腹状態を維持すると共に加圧状態の不用意な低減を実質的に阻止する。ゲルキャップ10500の実施形態は又、外科手術中、実質的に連続したアクセス及び視認性をもたらす。ゲルキャップ10500の実施形態は、手術スペースが限られた状態で手技において使用可能な小さなプロフィールを有する。
【0074】
幾つかの実施形態では、ゲルは、ウルトラゲルであり、ウルトラゲルは、極限伸び率が約1000パーセント以上であり、ジュロメータが約5以下のショアAスケール硬度であることを特徴としている。KRATON(登録商標)及び鉱物油を含むウルトラゲルの幾つかの実施形態では、約1500パーセントを超える極限伸び率及び向上した封止特性、例えば、他のシール材料よりも広いサイズ範囲の器械との封止状態を呈する。幾つかの実施形態では、ウルトラゲルから成るシールは又、器械がこれから取り外された場合にゼロシールを形成する。したがって、ウルトラゲルから成るシールの幾つかの実施形態では、単一のシールは、器械シールとゼロシールの両方として働く。
【0075】
キャップリング10510の幾つかの実施形態は、近位部分、遠位部分及び近位部分から遠位部分まで延びる長手方向軸線を備えた実質的に円筒形のリングを有する。他の実施形態では、キャップリング10510は、別の形状又はフットプリント、例えば長円形のものである。キャップリング10510の低面図である
図10Bで最も良く理解されるように、図示の実施形態では、キャップリング10510の近位部分は、その周囲に沿って分布して配置された複数個の孔10512を有する。孔10512は、キャップリングの近位部分のところに位置する壁10514を貫通して延びている。他の実施形態では、孔10512は、キャップリングの壁10514から長手方向内方に又は長手方向外方に延びた少なくとも1つの部材に設けられている。ゲルパッド10530は、図示の実施形態では、キャップリング10510の近位部分のところに設けられ、ゲルパッド10530の幾つかの部分は、孔10512を貫通し、それによりキャップリング10510とゲルパッド10530との間にインターロック構造体を形成し、それによりキャップリング10510とゲルパッド10530を互いに機械的にロックする。
【0076】
キャップリング10510の遠位部分は、図示の実施形態では、実質的に円筒形であり、この遠位部分は、外科的創レトラクタの外側リング6120(
図6A),7120(
図6D)を受け入れるような寸法形状のものである。キャップリング10510は、キャップリング10510を外側リング6120,7120に取り外し可能に結合するラッチ機構体10516を有する。当業者であれば理解されるように、他の機構体も又、キャップリング10510を外科的創レトラクタの外側リング6120,7120に結合するのに有用であり、他の機構体は、例えば、突出唇部、レバー、クリップ、ラッチ、舌部、溝、ねじ山、差し込み型マウント、ねじ、摩擦嵌め、圧縮嵌め、スナップキャップ等である。図示の実施形態では、外科的創レトラクタの外側リング6120,7120がキャップリング10510の遠位部分内に受け入れられると、外科的創レトラクタの外側リング6120,7120は、キャップリング10510の遠位部分のところに設けられたゲルパッド10530の一部分に接触してこの中に埋まり込み、それによりゲルの一部分を変位させて、ゲルパッド10530と外科的創レトラクタの外側リング6120,7120及び管状本体6130,7130との間にシールを形成する。かくして、ゲルパッド10530の遠位部分は、切開創又は体の開口と並置状態にある。他の実施形態では、キャップリング10510は、外側リング6120,7120に永続的に結合され又は固定される。
【0077】
キャップリング10510は、幾つかの実施形態では、ポリマーから成る。適当なポリマーの例としては、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー(ジー・エル・エス・コーポレーション(GLS Co.)製のDYNAFLEX(登録商標)、クレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)社製のKRATON(登録商標))、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリスチレン等が挙げられる。キャップリングのポリマーコンポーネントは、任意適当な方法によって製作され、かかる方法としては、射出成形、メルト注型(流し込み成形)、吹き込み成形等が挙げられる。
【0078】
ゲルパッド10530をキャップリング10510内に注型するプロセスの幾つかの実施形態は、約130℃を超える温度で数時間、例えば約3〜約4時間にわたって実施されるステップを含む。したがって、これら実施形態のうちの幾つかにおいて、キャップリング10510は、これらの条件下では変形しない。
【0079】
ゲルパッド10530の幾つかの実施形態は、エラストマーゲルから成る。かかるゲルの例は、2003年3月20日に出願された米国特許出願第10/381,222号明細書に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。ゲルの実施例は、少なくとも1つのトリブロックコポリマーを溶剤と混合することによって調製され、溶剤は、トリブロックコポリマーの中間ブロックを溶解させる。混合物は、代表的には、スラリである。端ブロックは、代表的には、熱可塑性物質、例えばスチレンを含み、中間ブロックは、代表的には、熱硬化性エラストマー、例えばエチレン/ブチレン、イソプレン又はブタジエンを含む。トリブロックコポリマーの例としては、スチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレン(SEBS)、スチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)及びスチレン‐ブタジエン‐スチレン(SBS)が挙げられる。幾つかの実施形態では、溶剤は、油、例えば鉱物油である。トリブロックコポリマーの混合物又はスラリを加熱すると、中間ブロックは、鉱物油中で溶け、それにより不溶性端ブロックの網状構造が生じる。結果として生じる網状構造は、親子ポリマーと比較して高められたエラストマー特性を有する。幾つかの実施形態では、用いられるトリブロックコポリマーは、KRATON(登録商標)G1651であり、これは、33/67のスチレンとゴムの比を有する。いったん形成されると、ゲルは、実質的に永続的であり、そして、端ブロックの性状により、混合熱可塑性エラストマーとして処理可能である。混合物又はスラリは、これがゲルになる最低温度を有し、これを最低ゲル化温度(MGT)と呼ぶ。この温度は、代表的には、熱可塑性端ブロックのガラス転移温度に数度加えた温度に一致している。例えば、KRATON(登録商標)G1651と鉱物油の混合物に関するMGTは、約120℃である。スラリがMGTに達してゲル状態への転移が生じると、ゲルは、一層透明になり、それによりゲル状態へのスラリの完全な転移を確認する視覚的指標が得られ、その後、ゲルを冷却するのが良い。ゲルの幾つかの実施形態は、トリブロックコポリマーに代えて又はこれに加えてジブロックコポリマーを含む。ジブロックコポリマーの実施形態は、熱可塑性の第1の端ブロック、例えばスチレン及び熱硬化性エラストマーの第2の端ブロック、例えばエチレン/ブチレン、イソプレン又はブタジエンを含む。適当なジブロックコポリマーの一例は、スチレン‐エチレン/ブチレン(SEB)である。
【0080】
完全なゲルを形成するスラリの質量が所与の場合、スラリの質量全てをMGTまで又は超える温度まで加熱し、そして端ブロックが相互連結の網状構造又はマトリックスを形成するのに十分な時間の間、MGTに又はこれを超える温度に保持する。スラリは、MGTとスラリ/ゲルの成分が分解及び/又は酸化し始める温度との間の温度でゲルを形成し続けることになる。例えば、スラリ/ゲルを250℃を超える温度で加熱すると、スラリ/ゲル中の鉱物油は、揮発し始めて酸化することになる。酸化により、ゲルは、茶色に変わって油状になる場合がある。
【0081】
所与の量のスラリがゲルを形成する速度は、スラリの質量減退がMGTに達する速度で決まる。また、MGTゲルの高い温度では、端ブロック網状構造は、迅速に分散して生じ、それによりゲル形成が早められる。
【0082】
種々のベースゲル配合物を互いに混合し又は合金化すると、種々の中間特性を備えたゲルが得られる。例えば、KRATON(登録商標)G1701Xは、70%SEBと30%SEBSの混合物であり、全体的なスチレンとゴムの比は、28/72である。当業者であれば理解されるように、ほぼ無制限の数の組み合わせ、合金及びスチレンとゴムの比を処方することができ、各処方は、1つ又は2つ以上の利点、例えば低いジュロメータ、高い伸び率及び良好な引裂強さを呈する実施形態をもたらす。
【0083】
ゲル材料の幾つかの実施形態は、発泡剤と一緒になって、ゲルの封止特性を向上させるポリマー、例えばシリコーン、軟質ウレタン及び硬質のプラスチックを更に含む。適当なシリコーンの例としては、電子カプセル封入に用いられるシリコーンが挙げられる。適当な硬質プラスチックの例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、イソプレン、KRATON(登録商標)ニート及び他のKRATON(登録商標)/油混合物が挙げられる。KRATON(登録商標)/油混合物では、適当な油としては、野菜油、石油及びシリコーン油並びに鉱物油が挙げられる。
【0084】
ゲルの幾つかの実施形態は、1つ又は2つ以上の望ましい特性、例えば、減摩性の向上、外観の向上及び創傷の保護のうちの少なくとも1つを提供する1種類又は2種類以上の添加物を含む。添加物は、ゲル中に直接混ぜ込まれると共に/或いは表面処理剤として加えられる。幾つかの実施形態では、他の化合物をゲルに追加してその物理的性質を変更すると共に/或いは結合部位及び/又は表面電荷を提供することにより表面の次の改質を助ける。加うるに、油を主成分とする着色剤がスラリに添加され、それにより幾つかの実施形態では、互いに異なる色のゲルが得られる。
【0085】
ゲルパッド10530の幾つかの実施形態は、少なくとも1つの表面上のポリエチレンの層を有する。ポリエチレンは、鉱物油中に溶け、溶液は、ゲルパッド10530の1つ又は2つ以上の表面に塗布される。鉱物油は、蒸発せず、これとは異なり、経時的にゲルパッド中に吸い込まれ、ゲルパッドの表面上の層としてポリエチレンが後に残される。
幾つかの実施形態では、ゲルパッド10530を製造するために用いられるトリブロックコポリマー/溶剤混合物/スラリは、約90重量%の鉱物油及び約10重量%のKRATON(登録商標)G1651を含む。熱力学的観点から、この混合物は、鉱物油と同様に挙動する。鉱物油は、比較的高い熱容量を有しているので、0.45kg(1ポンド)のスラリを約130℃で均質のゲルに変換するには、約3時間〜約4時間を要する場合がある。いったん形成されると、ゲルに対する見かけの悪影響を及ぼさないでできるだけ迅速に冷却するのが良い。幾つかの実施形態では、冷水浸漬によってゲルを冷却させる。他の実施形態では、ゲルを空冷する。当業者であれば認識されるように、他の実施形態では他の冷却技術が用いられる。
【0086】
KRATON(登録商標)/油ゲルの或る特定の特性は、コンポーネントの重量比につれて変化することになる。一般に、鉱物油の比率が高ければ、その結果としてゲルが軟らかくなり、KRATON(登録商標)の比率が高いと、ゲルが硬くなる。軟らかすぎるゲルは、患者の体腔にガス注入すると、手術中、ゲルキャップ10500の過度のテンティング(テントのようになる)又はドーミング(ドームのようになる)を呈する。軟らかすぎるゲルの幾つかの実施形態は又、適度な器械シール及び/又はゼロシールをもたらす。しかしながら、ゲルは、器械が存在していようと存在していまいと適度なシールをもたらすほど十分軟質である必要がある。
【0087】
長時間又は長期間にわたって座っていると又は立っていると、スラリ中のコポリマー、例えばKRATON(登録商標)と溶剤、例えば鉱物油は、分離する場合がある。スラリを例えば高剪断ミキサにより高い均質性が得られるよう混合するのが良い。しかしながら、スラリの混合により、空気がスラリに導入され又は加えられる場合がある。空気をスラリから除去するため、スラリをガス抜きするのが良い。幾つかの実施形態では、スラリを真空下で、例えば真空チャンバ内でガス抜きする。幾つかの実施形態では、加えられる真空は、約0.79メートル(約29.9インチ)の水銀柱又は約1気圧である。オプションとして、スラリを真空下で攪拌し又は混合することにより、空気の除去が容易になる。真空下におけるガス抜き中、スラリは、代表的には、膨張し次に泡立ち、そして次に減容する。泡立ちが実質的に終わると、代表的には真空を中断する。真空下でスラリをガス抜きすることにより、スラリの体積が約10%だけ減少する。また、スラリをガス抜きすることにより、幾つかの実施形態では、完成状態のゲルの酸化が減少する。
【0088】
スラリのガス抜きは、結果として硬いゲルを生じさせる傾向がある。約91.6重量%の鉱物油と約8.4重量%のKRATON(登録商標)G1651を11対1の比で含むガス抜きスラリで作られたゲルは、ガス抜きされておらず、約90重量%の鉱物油と約10重量%のKRATON(登録商標)G1651を9対1の比で含むスラリで作られたゲルとほぼ同じ硬さを有する。
【0089】
鉱物油は、典型的には、KRATON(登録商標)よりも密度が低いので、2つの成分は、混合後分離することになり、密度の低い鉱物油は、容器の頂部まで上昇する。この相分離は、典型的には、静止状態のスラリを数時間かけてゲルの状態に変換するときに起こる。その結果、結果として得られるゲルは、非均質であり、高い濃度の鉱物油は、頂部に位置し、低い濃度の鉱物油は、底部に位置する。分離速度は、加熱されているスラリの深さ又はヘッド高さの関数である。ゲルの相対的均質性に関する要因としては、スラリの質量、ヘッド高さ、ゲルが硬化する温度及びゲルへのエネルギーの伝達速度が挙げられる。
【0090】
ゲルパッド10530又はゲルキャップ10500は、幾つかの実施形態では、ガンマ線滅菌され、ガンマ線滅菌法は、他の滅菌プロセス、例えば酸化エチレンと比較して適格と判断するのが相対的に且つ/或いは比較的簡単である。しかしながら、ガンマ線滅菌により、大きな泡がゲルパッド中に生じる場合があり、これら大きな泡は、滅菌装置において見かけ上の且つ/或いは美観上の問題である。泡は、代表的には、99%を超える室内空気を含んでいるので、溶解した空気は、有利には、ゲルへのスラリの変換に先立ってスラリから除去される。例えば、スラリを上述したように真空下でガス抜きするのが良く、次に加熱によりゲル化するのが良い。幾分かの泡がガンマ線滅菌中、依然としてゲル中に生じる場合があるが、代表的には、約24時間〜約72時間の期間にわたって消失する。代表的には、鉱物油は室温では、約10%の溶解ガスを含む。しかしながら、上述したように、空気をゲルから除去することにより、ゲルが硬くなる。この作用効果は、ガンマ線滅菌中、ガンマ線によるゲルの軟質化によって打ち消される。
【0091】
ゲルパッド10530をガンマ線滅菌する幾つかの実施形態では、ゲルは、約90重量%の鉱物油及び約10重量%のKRATON(登録商標)を含む。上述したように、スラリをガス抜きすることにより、ゲルが硬くなる。しかしながら、ガンマ線による打ち消し作用を有する軟質化の結果として、ガス抜きされておらず、そしてガス抜きもガンマ線滅菌もされていない約90重量%の鉱物油及び約10重量%のKRATON(登録商標)を含むゲルと実質的に同一の硬さを備えたゲルが得られる。
【0092】
幾つかの実施形態では、ゲルパッド10530は、キャップリング10510と管状本体6130(
図6A),7130(
図6D)との間に気密シールを提供するようキャップリング10510に結合され、取り付けられ、これと一緒に形成され又はこれと一体化される。ゲルパッド10530は、キャップリング10510に設けられた開口部全体を覆うと共に封止し、しかも、開口部としての創傷又は開口全体を覆う。上述したように、ゲルパッド10530は、これに通して挿入された種々の形状寸法の器械周りに気密シールをもたらす。
【0093】
キャップリング10510のゲルパッド支持構造体が熱可塑性エラストマー、例えばDYNAFLEX(登録商標)又はKRATON(登録商標)を含み、ゲルパッド10530が同様な熱可塑性エラストマー、例えばKRATON(登録商標)を含む実施形態は、ゲルパッド10530とキャップリング10510との向上した付着性を示す。ゲルパッド10530中のKRATON(登録商標)のポリスチレンコンポーネントは、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリスチレン及び他の類似のポリマーとの接着性を向上させる。
【0094】
キャップリング10510がポリカーボネートから成る幾つかの実施形態では、キャップリング10510のポリカーボネートコンポーネントは、130℃ではゲルパッド10530と結合せず、この温度は、KRATON(登録商標)から成るゲルパッド10530にとって代表的な製造温度である。しかしながら、注型中、温度を数分間かけて約150℃まで上げることにより、ゲルパッド10530がキャップリング10510に結合される。ゲルパッド10530及びキャップリング10510をゲルのポリスチレンコンポーネントとポリカーボネートの両方が同時にこれらの融点を超える温度まで加熱することにより、結合部がこれら相互間に生じることができると考えられる。他の実施形態では、未硬化ゲル及びキャップリング10510をキャップリング10510中のポリカーボネートのガラス転移温度又はその近くの温度まで加熱し、それによりゲルパッド10530をキャップリング10510に結合する。
【0095】
幾つかの実施形態では、ゲルは、鉱物油を含み、キャップリング10510は、製造条件下において鉱物油中に溶けるポリマー、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む。一例としてポリエチレン(PE)を用いると、PEは、鉱物油よりも高い分子量を有し、ゲルパッド10530を注型するために用いられる温度で鉱物油中に溶ける。したがって、キャップリング10510中のPEの一部分が処理温度、例えば約130℃を超える温度でゲルパッド10530中の鉱物油中に溶けるので、キャップリング10510中のPEとゲルパッド10530との結合部が作られる。
【0096】
ゲルキャップを製造する方法の実施形態では、キャップリング10510を金型内に配置し、この金型は、キャップリング10510と一緒になって、ゲルパッドの所望の形状のネガの空間を有し、未硬化ゲルを金型に添加する。次に、十分な未硬化状態のゲルを金型に追加して孔10512を覆うと共に充填する。未硬化ゲルは、孔を通って流れ、これらを満たし、そしてこれら孔内に留まる。また、幾つかの実施形態では、金型にキャップリング10510の遠位部分中に延びるのに十分な未硬化ゲルを充填する。ゲルが硬化した後、孔内のゲルは、各孔10512の第1の側上のゲルに繋がってこれを孔の第2の側上のゲルに結合し、それによりゲルパッド10530をキャップリング10510に機械的にロックする。
【0097】
幾つかの実施形態は、上述の機械的なインターロックに加えて又はこれに代えてゲルパッド10530をキャップリング10510に結合する別の方法を含む。かかる方法は、例えば、別々に形成されたゲルパッド又はゲルスラグ10530とキャップリング10510を結合する上で有用である。幾つかの実施形態は、グルー又は接着剤、例えばシアノアクリレート(SUPERCLUE(登録商標)又はKRAZY GLUE(登録商標))を用いてゲルパッド10530をキャップリング10510に結合する。グルーは、ゴム又はトリブロックコポリマーのスチレン成分に結合することが考えられ、結合部は、ゲル材料それ自体よりも強固である場合が多い。幾つかの実施形態は、溶剤がキャップリング10510中のプラスチックを溶解させると共にゲルパッド10530中のポリスチレンを溶解させる溶着(溶剤接着)を利用する。溶剤を任意適当な方法、例えば吹き付け及び/又は浸漬によってゲルパッド10530及びキャップリング10510に塗布する。実際には、溶剤は、キャップリング10510のプラスチックとゲルパッド10530中のポリスチレンを溶解させ、それによりこれら2つ相互の結合部を形成し、この結合部は、溶剤が蒸発した後もそのままである。
【0098】
ゲルキャップ10500を製造する実施形態では、ゲルパッド10530をキャップリング10510中に注型してゲルキャップ10500を形成する。キャップリング10510を注型用金型の金型キャビティ内に位置決めし又は配置する。金型キャビティの実施形態は、キャップリング10510の環状壁のための支持体を含む。金型の実施形態は、十分な熱消散特性を備えた材料、例えばアルミニウム、銅及び黄銅のうちの少なくとも1つから成る。当業者であれば認識されるように、熱消散特性の低い他の金型材料は、幾つかの実施形態では、許容可能な部品を生じさせる。さらに、金型の幾つかの実施形態は、能動的冷却要素、例えば冷却剤をポンプ送りするチャネルを含む。
【0099】
次に、金型キャビティとキャップリング10510の組立体に所望量のトリブロックコポリマー/鉱物油スラリを充填してスラリがキャップリング10510に接触するようにする。幾つかの実施形態では、スラリを例えば約50℃(125°F)まで予熱し、それによりスラリによる金型キャビティの完全な充填を容易にし、それによりゲル中のボイドの発生の確率を減少させる。スラリをMGTよりも低い温度まで予熱することにより、スラリの粘度が減少してスラリが容易に流れることができる。上述したように、スラリの幾つかの実施形態は、注型前に真空内でガス抜きされる。幾つかの実施形態では、スラリは、これを金型キャビティ内に充填した後でもガス抜きし、それにより金型キャビティの充填中に導入される場合のある空気を除去すると共に金型中のボイドへのスラリの流入を容易にする。金型、キャップリング及びスラリを例えばオーブン内で加熱し、ついには、スラリが約150℃の温度に達するようにする。上述したように、スラリは、約120℃でゲルになるが、150℃では、ゲルは、ポリカーボネート製のキャップリング10510に結合する。キャップリング10510で用いられている材料に応じて、結合は、約150℃以外の温度で起こる場合がある。キャップリング10510がMGT、例えば120℃よりも低い融点を有する材料から成る実施形態では、ゲルパッド10530をゲルスラグとして別個に成形し、次に、かかるゲルスラグを上述したようにキャップリング10510に結合する。
【0100】
ゲルへのスラリの変換が完了すると、例えば、ゲルパッドの温度が約150℃に達すると、ゲルキャップ10500を例えば空冷、冷水浸漬又は別の適当な方法によって冷却する。150℃では、ゲルパッド10530は、軟らかく且つ容易に変形する。冷却中に起こるゲルパッド10530中の変形状態は、冷却後に固まる。したがって、幾つかの実施形態では、ゲルキャップ10500を金型内で冷却し、それによりゲルパッド10530の変形の恐れを減少させる。冷却時間に影響を及ぼす要因としては、金型の寸法及び形状、ゲルの量、冷却媒体の温度及び量、冷却媒体の特性及び金型材料が挙げられる。一例として、特定のゲルキャップ10500に関する冷却時間は、空冷については約2時間であるのが良く、水冷については約15分であるのが良い。空気で冷却するにせよ水で冷却するにせよいずれにせよ、ゲルの最終特性は、実質的に同一である。ゲルキャップ10500は、代表的には、ほぼ周囲室温まで冷却されるが、所望ならばこれよりも低い温度まで冷却される場合がある。約0℃では、ゲルは、硬化し、これは、例えば二次作業において、例えば、別々に製造されたゲルパッド10530とキャップリング10510を互いに結合する場合に有用である。ゲルキャップ10500をゲルが硬化した後において任意の時点で金型から取り出すことができる。
【0101】
金型から取り出すと、ゲルパッド10530は、代表的には、粘着性の表面を有する。ゲルパッド10530を粉末、例えばコーンスターチで被覆することにより、硬化後のゲルパッド10530の粘着性が実質的に減少し又はゼロになる。
【0102】
上述したように、幾つかの実施形態では、ゲルパッド10530をキャップリング10510とは別個に成形し、二次作業、例えば結合によりこれをキャップリング10510に結合する。幾つかの実施形態では、ゲルパッド10530をキャップリング10510の内側円筒形壁の周長よりも小さい外側周長及びキャップリング10510の高さよりも高い高さを備えたゲルスラグとして成形する。ゲルパッド10530がキャップリング10510とは別個に成形されるので、スラリをMGT、例えば約120℃まで加熱する必要があるだけであり、それによりゲルへのスラリの変換を完了させ、その後、ゲルは、実質的に透明になる。上述したように、ゲルスラグを例えば約0℃まで冷却するのが良く、次にキャップリング10510の内側円筒形壁内に配置するのが良い。
【0103】
幾つかの実施形態では、ゲルスラグを圧縮成形によりキャップリング10510に結合し、圧縮成形では、ゲルスラグを長手方向に圧縮し、それによりゲルスラグの外周部を拡張させると共にゲルスラグをキャップリング10510の内側円筒形壁に圧接させる。圧縮されたゲルスラグ及びキャップリング10510を次に、ゲル中のポリスチレン及びキャップリング10510のポリマーがこれら相互間に結合部を形成するのに十分な温度まで加熱する。ゲルスラグをキャップリング10510とは別個に成形し、次にゲルスラグをキャップリングに結合することは、キャップリング10510がゲルのMGTよりも低い融点を有する材料から成る実施形態では特に有用である。かかる状況では、ゲルスラグを別個に成形し、そしてキャップリング10510を溶解させないで、これをキャップリング10510に熱結合するのが良い。
【0104】
レトラクタ6100,7100を用いて切開創又は体の開口を拡張する方法の実施形態について上記において詳細に説明した。この方法の結果として、レトラクタの外側リング6120,7120は、体壁の外面と実質的に接触状態にある。次に、ゲルキャップ10500をレトラクタの外側リング6120,7120に結合し、それにより体腔と体腔の外部の領域との間の開口部を封止し、すると、外科医は、体腔にガス注入することができる。
【0105】
上述したように、ゲルキャップ10500の実施形態は、ゲルパッド10530中に予備成形されたアクセスチャネルを備えていない。使用にあたり、器械を直接ゲルパッド10530に通して挿入するのが良く、それによりゲルパッド10530を通るアクセスチャネルが形成される。ゲルキャップ中に作られた各アクセスチャネルは、これを通る器械が存在する場合には器械シールを形成する。というのは、ゲルは、種々の形状寸法の器械の周りに気密シールをもたらすからである。器械をゲルパッド10530から除去すると、器械によりゲルパッド中に作られたチャネルは、閉じてゼロシールを形成する。
【0106】
キャップの幾つかの実施形態は、特にアクセスチャネルが器械の操作の繰り返し、例えば挿入、除去、前進、拡張、回転及び/又は他の操作の繰り返しを受ける場合、器械アクセスのためにゲルパッド10530中に挿入されたアクセス器具、例えばトロカールを用いる。ゲルパッド10530中に挿入された各トロカールは、これを通る器械の導入、除去及び/又は操作の繰り返しを可能にする。
【0107】
幾つかの実施形態では、ゲルキャップ10500は、当初、アクセスチャネルを備えておらず、外科医は、これを通る器械の配置を自由に決定することができる。さらに、外科医は、ゲルキャップ10500の領域内のポートの配置及び再位置決め並びに種々の臨床的手技について互いに異なるトロカールサイズを選択するオプションに関して制約を受けない融通性を有する。取り外し可能であるので、ゲルキャップ10500により、大きな検体の除去が可能である。いったん除去されると、ゲルキャップ10500をレトラクタの外側リング6120,7120に再び結合することができ、それによりシールを回復させ、すると、外科医は、体腔に再びガス注入することができる。
【0108】
さらに、ゲルの実施形態は、物理的健全性を失うことなく、変形可能であり、他方、実質的に気密の器械シールを器械がこれらを貫通した状態に維持すると共にアクセスチャネルのための気密ゼロシールを器械がこれらを貫通しなくても維持する。したがって、ゲルキャップ10500の実施形態は、ゲルパッド10530を通る器械について並進的又は位置的と角度的又は回動的「浮動」又は自由度の実現を可能にする。この浮動は、キャップリング10510と他の器械の両方に対する器械の運動を可能にする。これとは対照的に、他の単一又は制限されたポートシステムは、器械について並進的又は角度的浮動のうちの一方又は両方を可能にしない。
【0109】
図11Aは、ゲルパッド内に設けられた複数個のアクセスポート、シール又は封止弁を有するゲルキャップ11500の実施形態の平面図である。
図11Bは、レトラクタに取り付けられたゲルキャップ11500の上から見た斜視図である。
図11Cは、レトラクタに取り付けられたゲルキャップ11500の下から見た斜視図である。ゲルキャップ11500は、キャップリング11510及びゲルパッド11530を有し、これらは、上述の実施形態のキャップリング及びゲルパッドと全体として同一である。
【0110】
ゲルキャップ11500は、複数個のアクセスポート11540を更に有し、これらアクセスポートの少なくとも一部分は、ゲルパッド11530内に設けられ又は埋め込まれている。図示の実施形態では、アクセスポート11540は、低プロフィールを有し(薄型であり)、即ち、ゲルパッド11530の近位表面の上方に且つ/或いはゲルパッド11530の遠位表面の下に突き出ておらず又は突き出ていたとしても最小限である。したがって、アクセスポート11540の長さは、ゲルパッド11530内に挿入された典型的なトロカールの長さよりも短いゲルパッド11530の厚さとほぼ同じであり、かかるトロカールは、ゲルパッド11530の上方に配置されたシール組立体及びゲルパッド11530を貫通したカニューレを有している。アクセスポート11540の長さの減少により、これを貫通した器械に関する角度的又は回動的運動が増大すると共に湾曲すると共に/或いは角度の付いた器械の使用が可能である。図示の実施形態では、アクセスポート11540は、ゲルキャップ11500を用いる条件下において実質的に永続的であり又は取り外しできない。また、追加のポートが所望ならば、トロカールをゲルパッド11530に通して挿入するのが良い。
【0111】
各ポート11540は、ゲルパッド11530の近位側から遠位側に延びる長手方向軸線、ゲルパッド11530の近位側に設けられた第1のシール11542及び第1のシール11542の近位側に設けられた第2のシール11544を有している。ポート又はシール11540の各々を見ると、ゲルパッド11530を貫通した孔が設けられているのが分かり、この視線は、長手方向軸線と一致している。図示の実施形態では、第1のシール11542は、器械がこれを貫通した状態で器械シールを形成し、第2のシール11544は、これを貫通した器械が存在しない場合ゼロシールを形成する。
【0112】
図示の実施形態では、第1のシール11542は、隔膜シールを有する。各隔膜シールを貫通して孔11546が設けられ、この孔は、これを通って挿入されるべき最も小型の器械の断面よりも僅かに小さい。隔膜シールの孔11546は、ゲルパッドを貫通して設けられた孔及びポート11540の長手方向軸線と実質的に整列している。器械が隔膜シールの孔11546を通って挿入されると、孔は、拡張して器械の外面に係合し、それによりこの外面とシールを形成する。隔膜シールは、これを通って挿入された器械に孔を押し付けるエラストマー材料から成っている。当業者であれば理解されるように、他形式の器械シールが他の実施形態で用いられる。
【0113】
図示の実施形態では、第2のシール11544は、二重ダックビル弁を有し、かかる二重ダックビル弁は、これを通って挿入される器械が存在しない場合ゼロシールとなるゼロクロージャシールとして機能する。当業者であれば理解されるように、第2のシールは、他形式のシール、例えばダックビル弁、フラップ弁等を有しても良い。二重ダックビル弁は、エラストマー材料から成る。幾つかの実施形態では、第1のシール11542及び第2のシール11544の各々は、別個独立に、エラストマー材料、例えば、ゴム、天然ゴム、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレン‐プロピレンコポリマー(EPゴム)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン‐ブタジエン、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリクロロプレン(NEOPRENE(登録商標))、ペルフルオロエラストマー(KALREZ(登録商標))等のうちの少なくとも1つを含む。
【0114】
かくして、使用中、隔膜シールは、これを通って挿入された器械が存在している場合には器械シールとなり、ダックビル弁は、これを通って挿入される器械が存在しない場合にはゼロシールとなる。図示の実施形態は、互いに異なるサイズのゲルパッドに設けられたポート又はシール11540を有する。ポート11540の各サイズは、これを通って挿入される異なる器械サイズ範囲に封止可能に対応する。ポートのサイズは、典型的には、ポートが受け入れる最も大型の器械の直径、例えば5mm、11mm又は12mmとして与えられる。
図11D、
図11E及び
図11Fは、
図11A〜
図11Cに示されたゲルキャップ11500の実施形態の小さなポート11540a及び大きなポート11540bをそれぞれ通って挿入された薄手の器械11550a及び厚手の器械11550bの上から見た斜視図、下から見た斜視図及び側面図である。
【0115】
図11Gは、例えばカメラ又は腹腔鏡のための固定されたポート位置を更に有するゲルキャップ11500の実施形態の上から見た斜視図である。固定ポート11560は、これを通って挿入されたカメラ又は腹腔鏡の位置を維持するロック機構体11562を有する。幾つかの実施形態では、ポート11540のうちの1つは、体腔をガス注入し、減圧すると共に/或いはガス抜きするためのガス入口ポート及び/又はガス出口ポートとして用いられるストップコック及び/又はガス取り付け具を更に有する。幾つかの実施形態では、ガス入口/出口ポートがキャップリング11510に設けられる。
【0116】
図12は、上述したレトラクタ及びゲルキャップの実施形態とほぼ同じレトラクタ12100及びキャップ又はカバー12500を含むアクセス器具システム12000の実施形態の切除斜視図である。レトラクタ12100は、内側リング12110、外側リング12120及び内側リング12110と外側リング12120との間に延びるスリーブ12130を有している。図示の実施形態では、キャップ12500は、近位側部、遠位側部、キャップリング12510及びゲルパッド12530を有するゲルキャップである。図示の実施形態では、キャップリング12510は、レトラクタの外側リング12120を収納状態で受け入れるよう寸法決めされた管状リングを有する。キャップリング12510の遠位側部は、環状スロット12520を有し、この環状スロットは、外側リング12120がこの環状スロットを可逆的に通過するのに十分に半径方向に変形可能である。したがって、キャップリング12510の図示の実施形態は、スナップ嵌め又は摩擦嵌めによりキャップ12500を外側リング12120に固定する。
【0117】
図13は、トロカール13800及びアクセス器具システムの幾つかの実施形態のうちの一コンポーネントであるオプションとしての栓塞子13900の実施形態の分解組立図である。図示の実施形態では、栓塞子13900は、尖った穿刺先端部13910を有している。トロカール13800及び栓塞子13900が体壁ではなくゲルパッド10530を通って挿入される実施形態では、先端部13910との接触による下に位置する組織の潜在的な損傷が減少する。というのは、ゲルパッド10530は、上述したように下に位置する組織から間隔を置いて位置した人工の体壁として役立つからである。他の実施形態では、栓塞子先端部13910は、別の形状、例えば尖っていない且つ/或いはブレードなしの形状を有し、かかる形状により、例えば、アクセスシステムの他のコンポーネント、例えばレトラクタの拡張シースの損傷の恐れが減少する。
【0118】
トロカール13800は、近位端部、遠位端部及び長手方向軸線を有している。トロカール13800は、長手方向軸線に沿って延びるカニューレ13810を有する。トロカールシール13820がカニューレ13810の近位端部のところに設けられている。リテーナ13830がカニューレ13810の遠位端部又は先端部のところに設けられている。図示の実施形態では、カニューレ13810の遠位端部又は先端部は、角度が付けられていない、即ち、斜めになっていない。他の実施形態は、カニューレ13810の角度のついた又は斜めの遠位端部又は先端部を有する。トロカール13800の図示の実施形態は、注入ガス入口を備えていない。その結果、トロカール13800は、代表的には、体腔にガス注入しない手技又はガス注入が別の器具を介して行われる手技で用いられる。トロカールの他の実施形態が2007年2月22日に出願された米国特許出願第11/677,994号明細書に開示されており、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0119】
カニューレ13810は、これを通って受け入れられた1つ又は複数の器械に対応するよう寸法決めされた細長い管状のカニューレ本体13812を有している。カニューレ本体13812は、実質的に円筒形の管であり、使用の際、ゲルパッド10530を貫通する。図示の実施形態では、カニューレ本体13812は、トロカールシール13820が結合されるカニューレ13810の近位端部から延びており、この近位端部は、カニューレ本体13812よりも大きな外径を有する。
【0120】
幾つかの実施形態では、カニューレ13810は、比較的短い。というのは、カニューレ本体13812は、体壁ではなく既知且つ一貫した厚さを有するゲルパッド10530(
図10A)を横切る必要があるに過ぎないからである。したがって、カニューレ本体13812の幾つかの実施形態は、ゲルパッドの厚さの約2倍以下長く、約1.5倍以下長く、約1.2倍以下長く又は約1.1倍以下長い。幾つかの実施形態では、カニューレ本体13812は、ゲルパッドの厚さよりも約20mm以下長く、約10mm以下長く又は約5mm以下長い。幾つかの実施形態では、カニューレ本体13812は、ゲルパッドの厚さとほぼ同じ長さのものである。他の実施形態では、カニューレ本体13812は、異なる長さ、例えば、体壁を横切るために用いられるカニューレについて代表的な長さを有する。長さの短いカニューレ本体は、これを通過する器械にとって角度の自由度の増大を可能にする。短いカニューレ本体の実施形態は又、湾曲した器械に対応する。カニューレ13810は、任意適当な生体適合性材料から成る。幾つかの実施形態では、カニューレ13810は、軟質材料から成る。
【0121】
図示のトロカールシール13820は、器械又は隔膜シール13822及びゼロシール13824を有する器械シール13822は、これを通る器械を封止し、それにより体腔内の加圧状態、例えば、気腹状態又は後腹腔気腹状態を維持する。ゼロシール13824は、器械がトロカールシール13820を通っていない場合にシールとなる。器械シール13822及びゼロシール13824は、カニューレ13810の近位端部のところに設けられたハウジング13826内に受け入れられてシールカバー13828によってこの中に固定される。
【0122】
リテーナ13830は、カニューレ13810の遠位端部のところに又はその近くに設けられている。図示の実施形態では、カニューレ13810の遠位端部は、その長手方向軸線に全体として垂直であり又は整列していない。他の実施形態は、角度のついた又は斜めの遠位端部又は先端部を有する。幾つかの実施形態では、リテーナ13830とカニューレ13810は一体化され、他方、他の実施形態では、リテーナ13830とカニューレ13810は、一体化されない。図示の実施形態では、リテーナ13830の近位端部は、全体として平坦であり且つ長手方向軸線に垂直なフランジ13832を有し、遠位端部は、テーパしており、カニューレ13810の遠位端部に向かって細くなっている。フランジ13832は、キャップからのトロカール13800の偶発的又は不用意な取り外しの恐れを減少させる。フランジ13832の近位側フェースの幾つかの実施形態は、キャップ6300の遠位側フェースに穿刺し又は食い込むよう構成された追加の固定特徴部、例えば刺、スパイク、突条、表面模様等を有する。幾つかの実施形態では、フランジ13832の直径は、カニューレ13810の外径よりも約1.2〜約2.5倍大きく又は約1.5〜約2.0倍大きい。トロカール型アクセス器具13800の幾つかの実施形態は、5mmトロカールであり、この場合、カニューレ13810の外径は、約7mm〜約8mmである。
【0123】
リテーナ13830のテーパ付き端部は、キャップ中へのトロカール型アクセス器具13800のそれ自体の挿入かトロカール13800を貫通した栓塞子6600との組立て時にキャップ中へのトロカール13800の挿入かのいずれかを容易にする。例えば、幾つかの実施形態では、リテーナ13830は、ゲルパッド10530に予備形成された開口部中に挿入される。ゲルパッド10530のゲル材料の実施形態は、上述したように伸び率について高い値を有しているので、リテーナ13830は、ゲルパッド10530に設けられた比較的小さな開口部を通って挿入可能であり、しかも、上述したように不用意な抜け出しに抵抗する。
【0124】
リテーナ13830とカニューレ13810が一体化されておらず、即ち、別々のコンポーネントである幾つかの実施形態では、リテーナ13830は、カニューレ13810をキャップ中に通して挿入した後にカニューレ13810に固定される。幾つかの実施形態では、カニューレ13810とリテーナ13830は、機械的に、例えば、ラッチ、ねじ山、クリップ、ロックリング、ラチェット等を用いて固定される。幾つかの実施形態では、カニューレ13810とリテーナ13830は、接着により固定される。幾つかの実施形態では、リテーナ13830の位置は、例えば互いに異なる厚さのキャップに対応するよう調節可能である。幾つかの実施形態では、カニューレ13810及び/又はリテーナ13830は、例えば接着によりキャップに固定される。
【0125】
図14Aは、上述した単一ポート外科用アクセスシステムの一コンポーネントして適したトロカール14800の別の実施形態の側面図であり、このトロカールは、例えば、ゲルパッド10530及びレトラクタを有する。アクセスシステムの幾つかの実施形態は、複数個のトロカール14800を含む。トロカール14800は、上述したトロカール13800と全体として同一であり、トロカール14800は、カニューレ14810、トロカールシール組立体14820及びリテーナ14830を有し、これらは、上述の対応の特徴部と全体として同じである。トロカール14800の図示の実施形態は、ボルスタ14840及びロックコンポーネント14850を更に有している。カニューレ14810の図示の実施形態を以下の説明から明らかになるように「固定用カニューレ」ともいう。
【0126】
図示の実施形態では、ボルスタ14840は、トーラス又はドーナツの形をしている。カニューレ本体14812がボルスタ14840に設けられた開口部を貫通している。ボルスタ14840の開口部の直径は、カニューレ本体14812に沿う自由運動を可能にするほど十分カニューレ本体14812の外径よりも大きい。ボルスタ14840の図示の実施形態は、以下に詳細に説明するように変形可能な材料、例えばポリマー樹脂及び/又はエラストマーから成る。適当な材料の例としては、ゴム、天然ゴム、合成ゴム、ポリイソプレン、スチレン‐ブタジエンゴム、シリコーンゴム、エチレン‐プロピレンコポリマー、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマーゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリウレタン等が挙げられる。ボルスタ14840の幾つかの実施形態は、カニューレ14810に接触する領域又は区域に設けられた減摩性層又は被膜を有し、これは、カニューレ14810に沿う運動を容易にする。
【0127】
ボルスタ14840の幾つかの実施形態の外径は、リテーナ14830のフランジ14832の直径の約0.8〜約2倍又は約1〜約1.5倍である。ボルスタの厚さは、約3mm(0.12インチ)〜約10mm(0.4インチ)又は約4mm(0.16インチ)〜約6mm(0.24インチ)である。幾つかの実施形態では、ボルスタの遠位フェース14844は、凹状であり、それによりゲルパッド10530に加わる追加のクランプ又は固定力をもたらすと共に互いに異なる且つ/或いは非一様な厚さを有するゲルパッド10530に合致する。ボルスタ14840の特定の寸法は、ボルスタ材料及びゲル材料の特性並びにカニューレ本体14812、ロックコンポーネント14850及びゲルパッド10530の寸法に基づいて選択される。
【0128】
ロックコンポーネント14850は、リテーナ14830の近位側でカニューレ本体14812に設けられ、このロックコンポーネントは、拡径区分14854の近位側に位置する唇部14852を有している。唇部14852は、ボルスタ14840の開口部の直径よりも大きな直径を備えた状態でカニューレ本体14812から半径方向に延びる。ボルスタ14840のエラストマー材料により、ボルスタ14840を唇部14852上にこれに沿って押してこれを通過させることができる。図示の実施形態では、唇部14852は、ボルスタ14840が遠位側に摺動するのを容易にすると共にボルスタ14840が近位側に摺動するのに抵抗するよう寸法決めされたラチェットを有する。また、図示の実施形態では、唇部14852は、カニューレ本体14812を包囲した連続構造体である。他の実施形態では、唇部14852は、カニューレ本体14812の周りに設けられた複数個の構造体から成る。
【0129】
拡径区分14854は、全体として円筒形であり、ボルスタ14840の開口部の直径とほぼ同一又はこれよりも僅かに大きな直径を有し、それによりボルスタ14840がこの拡径区分に摩擦係合する。図示の実施形態では、拡径区分14854は、ボルスタ14840の厚さ寸法よりも大きな長さ寸法を有する。図示の実施形態では、拡径区分14854は、リテーナ14830のフランジ14832までは延びておらず又はこれに接触しておらず、それによりフランジ14832の近位フェースの表面積は減少せず、しかもフランジ14832の除去抵抗が高くなる。他の実施形態では、拡径区分14854は、リテーナ14830まで延びている。他の実施形態は、拡径区分を備えない。
【0130】
唇部14852の遠位端とフランジ14832の近位フェースとの間の距離は、ボルスタ14840の厚さとゲルパッド10530の厚さの合計に等しく又はこれよりも僅かに小さい。幾つかの実施形態では、ゲルパッドは、厚さが約5mm(約0.4インチ)〜約30mm(約1.2インチ)又は厚さが約13mm(約0.5インチ)〜約25mm(約1インチ)である。
【0131】
トロカール14800は、少なくとも2つの形態、即ち、
図14Aに示された第1又は挿入用の形態及び
図14Bに示された第2又は固定用の形態を有する。
【0132】
トロカール14800を使用する方法の実施形態では、トロカール14800をボルスタ14840がまず最初にカニューレ本体14812上に配置される挿入用形態に配置する。トロカール14800を人工体壁が患者の体に結合される前に且つ/或いはこれに結合した後に人工体壁内に配置する。
【0133】
図14Aに示された実施形態では、ボルスタ14840は、カニューレ本体14812の近位端部のところに配置され、この場合、ボルスタ14840は、シール組立体14820が結合されているカニューレ14810の近位端部のところの拡径部分であるカニューレベル14814の遠位部分に摩擦係合する。
【0134】
トロカール14800の遠位端部を人工体壁、例えばゲルパッド10530上に位置決めし、次にリテーナ14830をゲルパッド10530に通して挿入する。幾つかの実施形態では、まず最初に、栓塞子13900(
図13)をトロカールの近位端部のところでシール組立体14820に通して挿入し、このステップの実施前には、先端部13910がトロカールの遠位端部から延びている。他の実施形態では、まず最初に、別の器械を用いて開口部を人工体壁に作る。他の実施形態では、人工体壁を貫通してトロカール14800の遠位端部を押し通し、それによりこのプロセスで開口部を作る。
【0135】
次に、ボルスタ14840をカニューレ本体14812に沿って下方に滑らせてそして唇部14852上でこれに沿って拡径区分14854上に滑らせることによってトロカール14800を
図14Bに示された固定用形態に変換する。図示の形態では、人工体壁がリテーナのフランジ14832とボルスタ14840との間に捕捉されて圧縮される。唇部14852は、ボルスタ14840を定位置にロックしてボルスタが近位側に動くのを阻止し、それによりトロカール14800を人工体壁に固定し又はロックする。
【0136】
固定用形態では、トロカール14800をこれが係合している人工体壁の局所部分に対して固定する。しかしながら、上述したように、人工体壁の実施形態は、高い伸び率を示す。したがって、人工体壁を変形させると、トロカール14800は、元の位置及び向きに対して並進可能であると共に/或いは回動可能である。
【0137】
栓塞子13900を用いた実施形態では、栓塞子を抜去する。トロカール14800は、外科的処置中、1つ又は2つ以上の器械のためのアクセスポートとしての役目を果たす。
【0138】
所望ならば、例えばまず最初にボルスタ14840をロックコンポーネント14850から離脱させ、次にリテーナ14830を人工体壁から引き抜くことによってトロカール14800を人工体壁から除去する。幾つかの実施形態では、トロカール14800と人工体壁を離脱させずにユニットとして処分する。幾つかの実施形態では、ボルスタ14840は、ロックコンポーネント14850からは離脱できない。
【0139】
図15は、保持トロカール15800の別の実施形態の側面図であり、このトロカールは、
図14A及び
図14Bに示すと共に上述した実施形態と全体として同じである。トロカール15800は、近位端部、遠位端部及びカニューレ本体15812を備えた細長い管状カニューレ15810、カニューレ15810の近位端部に結合されたシール組立体15820、カニューレ15810の遠位端部のところに設けられたリテーナ15830、カニューレ本体15812を挿通させるボルスタ14840及びリテーナ15830の近位側でカニューレ本体に設けられたロックコンポーネント15850を有する。
【0140】
図示の実施形態では、ロックコンポーネント15850は、ねじ山15852が設けられた拡径区分15854を有する。ボルスタ15840は、これと螺合するねじ山を有する。その結果、ボルスタ15840は、ロックコンポーネント15850に螺合可能である。また、螺合により、トロカール15800の固定用形態においてボルスタ15840とリテーナのフランジ15832の相対位置を調節することができ、それにより非一様な厚さの人工体壁及び/又は種々の厚さの人工体壁への固定が可能である。
【0141】
図16Aは、トロカール16800の別の実施形態の側面図である。
図16Bは、トロカール16800に使用できるボルスタ16840の実施形態の斜視図である。トロカール16800とボルスタ16840の組み合わせは、
図14A、
図14B及び
図15に示されたトロカールの実施形態と全体として同じである。トロカール16800は、近位端部、遠位端部及びカニューレ本体16812を備えた細長い管状カニューレ16810、カニューレ16810の近位端部に結合されたシール組立体16820、カニューレ16810の遠位端部のところに設けられたリテーナ16830及びリテーナ15830の近位側でカニューレ本体に設けられたロックコンポーネント16850を有する。
【0142】
図示の実施形態では、ロックコンポーネント16850は、カニューレ本体16812から半径方向に延びる複数個の環状リング16852を備えた拡径区分16854を有し、これら環状リングは、複数個の環状ステップ16856を構成している。図示の実施形態では、各リング16856の近位縁部は、斜切されているが、幾つかの実施形態では斜切縁部を備えない。
【0143】
図16Bは、半円形部分を有する切り欠き16844を備えた平べったい本体16842を有するクリップの形態をしたボルスタ16840の実施形態を示している。切り欠き16844は、スロット16856に係合するよう寸法決めされている。また、切り欠き16844のところの本体16842の厚さは、スロット16856に係合するよう寸法決めされている。ボルスタ16840は、本体16842から垂直に延びるグリップ16846を有し、このグリップは、ボルスタ16840を取り付けると共に/或いは調節するためのユーザグリップとなる。他の実施形態では、切り欠き16844は、別の形状、例えば多角形、長方形、八角形の一部等の形を有する。
【0144】
使用にあたり、トロカールのリテーナ16830を上述したように人工体壁中に挿入し、そしてボルスタ16840をスロット16856内に嵌め込むことによってこの中に固定し、それにより所望の固定力が得られる。異なるスロットを選択することによって固定度が調節可能である。
【0145】
幾つかの実施形態では、ボルスタ切り欠き16844は、複数個のスロットに係合し、それにより固定用形態において追加の安定性をもたらす。他の実施形態は、上述した実施形態と同様、カニューレ本体16812を挿通させるボルスタを有している。これら実施形態のうちの幾つかでは、ロックコンポーネント16850は、ラチェットとしての役目を果たす。ボルスタは、1つ又は2つ以上の爪を有し、これら爪は、オプションとして離脱可能であり、それにより調節性が高められる。
【0146】
図17Aは、固定用カニューレを有するトロカール17800の実施形態の側面図であり、
図17Bは、ボルスタの実施形態の斜視図である。
図17A及び
図17Bに示された実施形態は、
図14A〜
図16Bに示すと共に上述したトロカールの実施形態と全体として同じである。
【0147】
トロカール17800は、近位端部、遠位端部及びカニューレ本体17812を備えた細長い管状カニューレ17810、カニューレ17810の近位端部に結合されたシール組立体17820、カニューレ本体17812に設けられたリテーナ17830及びカニューレ17810の遠位端部に設けられたロックコンポーネント17850を有する。トロカール17800の図示の実施形態は、
図16Aに示された実施形態に類似しており、リテーナ17830とロックコンポーネント17850の位置は逆になっている。図示の実施形態では、リテーナのフランジ17832が遠位側に向いている。
【0148】
ロックコンポーネント17850は、カニューレ本体17812から半径方向に延びる複数個の環状リング17852を備えた拡径区分17854を有し、これら環状リングは、複数個の環状スロット17856を構成している。
【0149】
図17Bは、半円形部分を有する切り欠き17844を備えた平べったい本体17842を有するクリップの形態をしたボルスタ17840の実施形態を示している。切り欠き17844は、ロックコンポーネントに設けられたスロット17856に係合するよう寸法決めされている。また、切り欠き17844のところの本体17842の厚さは、スロット17856に係合するよう寸法決めされている。ボルスタの図示の実施形態は、グリップを備えておらず、他の実施形態は、グリップを有する。
【0150】
トロカール17800の実施形態を使用する幾つかの実施形態では、カニューレ17810を人工体壁に固定し、その後人工体壁を患者の体に結合する。例えば、幾つかの実施形態では、1つ又は2つ以上のトロカール17800をゲルキャップ10500のゲルパッド10530(
図10A)に固定し、その後ゲルキャップ10500をレトラクタ6100,7100(
図6A〜
図6F)に結合する。
【0151】
本発明をその例示の実施形態に関して具体的に図示すると共に説明したが、当業者であれば理解されるように、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなくこれら実施形態の形態及び細部における種々の変更を行うことができる。