特許第6266613号(P6266613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266613ストッパ位置を決定するための配置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266613
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】ストッパ位置を決定するための配置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20180115BHJP
   G01S 15/88 20060101ALI20180115BHJP
   G01S 15/36 20060101ALI20180115BHJP
   G01B 17/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   A61M5/315
   G01S15/88
   G01S15/36
   G01B17/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-520980(P2015-520980)
(86)(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公表番号】特表2015-529481(P2015-529481A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】EP2013064630
(87)【国際公開番号】WO2014009442
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年6月28日
(31)【優先権主張番号】12175974.0
(32)【優先日】2012年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ナゲル
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヴィット
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト・ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・フォーゲル
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/032960(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0288036(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/038686(WO,A1)
【文献】 特開2009−195669(JP,A)
【文献】 特開2004−236734(JP,A)
【文献】 米国特許第6113578(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
G01B 17/00
G01S 15/36
G01S 15/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物用の空洞(3)を画成する容器(2)と、近位に空洞(3)の境界を定め、薬物を空洞(3)から変位させるストッパ(4)とを有する薬物送達デバイス(1)であって、容器(2)に対するストッパ(4)の位置(x)を決定するための配置であり、音響信号を放出するように構成された音響源(5)および音響信号を検出するように構成された音響センサ(6)を含む配置と、音響源(5)を制御し、かつ検出された音響信号を処理して、該音響信号と相関するストッパ(4)の位置(x)を決定する処理ユニット(10)とをさらに備え
音響源(5)は、1つの空間領域においてストッパ(4)の位置によって画成される共振容積(7)の中に音響信号を放出するように並べられ、処理ユニット(10)は、放出音響信号の周波数(f)を事前に定めた周波数範囲内で変化させるように構成され、さらに位置(x)に関連する共振容積(7)に特有の共振周波数fkの高調波(f1(x)、f2(x)、f3(x)、f4(x))を検出するように構成されることを特徴とする、前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
音響源(5)は、容器(2)の近位の開口部を通して音響信号をストッパ(4)に向けて放出するように並べられ、処理ユニット(10)は、音響源(5)を制御してパルス化または変調された音波(U)を放出するように、かつ位置(x)に関連する検出された音波の遅延または位相シフトを決定するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の薬物送達デバイス
【請求項3】
音波(U)は超音波(U)であることを特徴とする請求項2に記載の薬物送達デバイス
【請求項4】
音響源(5)および音響センサ(6)は、音響源(5)または音響センサ(6)として動作するように切換え可能な音変換器に一体化されることを特徴とする、請求項2または3に記載の薬物送達デバイス
【請求項5】
共振容積(7)は、容器(2)の近位端内に少なくとも部分的に画成されることを特徴
とする、請求項に記載の薬物送達デバイス
【請求項6】
容器(2)と実質的に同じ内径を有する管部(9)が、共振容積(7)を少なくとも部分的に画成するために容器(2)の近位に隣接して配置されることを特徴とする、請求項またはに記載の薬物送達デバイス
【請求項7】
事前に定めた周波数範囲が、音響源(5)の線形周波数応答の範囲の少なくとも一部分に対応するように選択されることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス
【請求項8】
薬物送達デバイス(1)の容器(2)に対するストッパ(4)の位置(x)を決定する方法であって:
1つの空間領域においてストッパ(4)の位置によって画成される共振容積(7)の中に音響信号を放出するように音響源(5)を並べる工程と、
音響源(5)から音響信号を放出する工程であって、ここで放出音響信号の周波数(f)は事前に定めた周波数範囲内で変えられる工程と、
放出音響信号によって生じた音響信号を音響センサ(6)によって検出する工程と、
処理ユニット(10)によって、検出された音響信号を処理して、該音響信号と相関するストッパ(4)の位置(x)を決定する工程であって、ここで位置(x)に関連する共振容積(7)に特有の共振周波数fkの高調波(f1(x)、f2(x)、f3(x)、f4(x))が検出される工程と、
とを含む方法。
【請求項9】
音響源(5)は、容器(2)の近位の開口部を通して音響信号をストッパ(4)に向けて放出するように並べられ、音響源(5)はパルス化または変調された音波(U)を放出するように制御され、位置(x)に関連する検出された音波の遅延または位相シフトが決定されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
音波(U)は超音波(U)であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
音響源(5)および音響センサ(6)は、音響源(5)または音響センサ(6)として動作するように切り換えられる音変換器に一体化されることを特徴とする、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
事前に定めた周波数範囲が、音響源(5)の線形周波数応答の範囲の少なくとも一部分に対応するように選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスの容器内のストッパ位置を決定するための配置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジまたはアンプルなどの薬物送達デバイスは通常、内部に収納される薬物、たとえばインスリンに対し不活性であり化学的に耐性がある薬剤ガラスで作られている中空シリンダを備える。この容器は、シリンダの一端がストッパすなわち栓によって封止され、このストッパは、薬物を変位させるために、かつ穿孔可能な膜で封止できる出口端から薬剤を押し出すために、シリンダの縦軸に沿って動かすことができる。ストッパおよび穿孔可能な膜は従来、規定された圧力条件下での機械的耐密性と、長期の細菌不透過性とを保証するエラストマーで作られている。
【0003】
薬物を自動的に投与する場合、たとえば容器内のストッパの位置を検出することによって、容器内の薬物の量を検出することが望ましいことがある。したがって、残っている容器内の薬物の量を、所与の幾何形状の薬剤容器、および所与の縦方向位置のストッパについて計算することができる。これにより、たとえば電気機械的なインスリンペンでは、薬剤の自動投与が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、薬物送達デバイスの容器内のストッパ位置を決定するための改善された配置、および改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の配置、および請求項11に記載の方法によって達成される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。
【0007】
本発明によれば、薬物送達デバイスの容器に対するストッパの位置を決定するための配置が、音響信号を放出するように構成された音響源、および音響信号を検出するように構成された音響センサと、音響信号源を制御し、かつ検出された音響信号を処理してストッパの位置と相関された音響信号の特性を決定する処理ユニットとを含む。
【0008】
本発明によれば、薬物送達デバイスの容器に対するストッパの位置を決定する方法は:
− 音響源から音響信号を放出する工程と、
− 放出音響信号によって生じた音響信号を音響センサによって検出する工程と、
− 処理ユニットによって、検出された音響信号を処理して、ストッパの位置と相関された音響信号の特性を決定する工程とを含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、音響源は、容器の近位の開口部を通して音響信号をストッパに向けて放出するように並べられ、処理ユニットは、音響源を制御してコード化された、たとえばパルス化または変調された音波を放出するように、かつ位置に関連する検出された音波の遅延または位相シフトを決定するように構成される。
【0010】
測定方法は、媒体、たとえば空気中を伝わる音波を測定することに基づく。この方法では、遅延または位相シフトを測定することによって距離を決定することができる。音響測定方法は、温度および空気湿度によって影響を受ける。その理由は、これらの影響する量が音速に影響を及ぼすからである。したがって、本配置および本方法は、温度および空気湿度を得るためにそれぞれのセンサを設け、これらのパラメータを距離の計算のときに考慮に入れることによって、改善することができる。
【0011】
音波は、ユーザを混乱させないようにするために、人間には聞こえない超音波とすることができる。音波は、さらに可聴周波数帯内とすることもできる。
【0012】
音響源および音響センサは、別々に配置することも、音響源または音響センサとして機能するように動作可能に切換え可能な音変換器に一体化することもできる。
【0013】
別の実施形態では、音響源は、1つの空間次元においてストッパの位置によって画成される共振容積の中に音響信号を放出するように並べられ、処理ユニットは、放出音響信号の周波数を既定の周波数範囲内で変化させるように構成され、処理ユニットは、位置に関連する共振容積に特有の共振周波数の高調波を検出するように構成される。
【0014】
共振容積は、クントの管の法則による、共振容積の寸法および幾何形状に特有の共振周波数を有する振動系を形成する。その共振周波数でクントの管が励起された場合、定在波が生じ、その結果、共振周波数の振幅が増大し、音響センサ、たとえばマイクロフォンによって測定できるようになる。
【0015】
この測定方法では、共振容積内の音波によって生じる共振を測定することによって距離を決定する。音響測定方法は、温度および空気湿度によって影響を受ける。その理由は、これらの影響する量が音速に影響を及ぼすからである。したがって、本配置および本方法は、温度および空気湿度を得るためにそれぞれのセンサを設け、これらのパラメータを距離の計算のときに考慮に入れることによって、改善することができる。
【0016】
共振容積は、容器の近位端内に少なくとも部分的に画成することができる。
【0017】
通常、未使用容器のストッパは、容器内の全くの近位端に、またはまさしく近距離に位置することがあり、そのため共振容積が全く得られないか、またはほんのわずかの共振容積しか得られない。この結果、非常に高い共振周波数になり、この周波数は、音響源および/または音響センサの範囲外になりうる。ストッパが容器の全くの近位端に位置しても共振測定法を使用できるようにするために、容器と実質的に、または正確に同じ内径を有する管部分が、ストッパの位置にかかわらず共振容積が存在するように、容器の近位に隣接して配置される。
【0018】
既定の周波数範囲は、音響源の線形周波数応答の範囲の少なくとも一部分に対応するように選択することができる。
【0019】
例示的な実施形態では、音響源は、0から10kHzの周波数範囲内の音波を放出するように制御することができる。しかし、可聴または非可聴範囲の他の周波数範囲を選択することもできる。
【0020】
音響源が既定の周波数範囲内で非線形周波数応答を有する場合、音響源および音響センサは、少なくともその既定の周波数範囲について、非線形性を補償するように強度較正することができる。
【0021】
容器に対するストッパの位置を決定するための配置は、薬物用の空洞を画成する容器と、近位に空洞の境界を定め、薬物を空洞から変位させるストッパとを有する、薬物送達デバイスに適用することができる。
【0022】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0023】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0024】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0025】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0026】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0027】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体、
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0028】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0029】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0030】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり;分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0031】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり;それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0032】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0033】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0034】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し;哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0035】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0036】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0037】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0038】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0039】
本発明のさらなる適用範囲は、以下に示される詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すとはいえ、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者には明らかになるので、例示としてのみ提示されていることを理解されたい。
【0040】
本発明は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されることになろう。図面は例示としてのみ与えられており、したがって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ストッパ位置を決定するための超音波送信器−センサ配置を備えた薬物送達デバイスの概略縦断面図である。
図2】共振によるストッパ位置の決定のための音響源および音響センサを備えた薬物送達デバイスの概略縦断面図である。
図3】音響信号の周波数によって決まる、音響センサによって検出される音響信号の振幅を示す図である。
図4】ストッパ位置によって決まる共振周波数を示す図である。
図5】ストッパ位置によって決まる共振周波数の周波数シフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
すべての図において、対応する部材は同じ参照符号で標示されている。
【0043】
図1は、薬物送達デバイス1の概略縦断面図である。薬物送達デバイス1は、薬物用の空洞3を画成する円筒形容器2を備える。空洞3は、ストッパ4によって近位で境界が定められており、このストッパは、容器2の遠位端に配置可能な排出ノズル(図示せず)を経由して薬物を空洞3から変位させるために、容器2内部で平行移動させることができる。超音波送信器−センサ配置として設計された音響源5および音響センサ6は、超音波送信器−センサ配置5、6とストッパ4の間の距離を測定することによって容器2に対するストッパ4の位置を決定するために配置される。したがって、超音波送信器−センサ配置5、6は、容器2に対して適切な位置に固定されなければならない。超音波送信器−センサ配置5、6は、たとえば20kHzから400kHzの間の範囲内の人間には聞こえない周波数で動作させる。超音波送信器−センサ配置5、6は、送信器とも呼ばれる音響源5、および受信器とも呼ばれる音響センサ6を含む。例示的な実施形態では、超音波送信器−センサ配置5、6は、占有面積を最小限にするために音響変換器として配置される。音響変換器は、コード化された、たとえばパルス化または変調された超音波Uを放出する音響源5として動作させること、および既定の時間窓の経過後に音響センサ6として動作するように切換えることができる。この時間窓内でコード化された超音波Uは、試験されるデバイスすなわちストッパ4に当たり、このストッパは超音波Uを反射し、そのため超音波Uは、音響センサ6によって検出できるようになる。次に、処理ユニット10は、放出超音波Uに対する検出超音波の遅延または位相シフトを決定する。時間窓および音速により、超音波送信器−センサ配置5、6とストッパ4の間で適合させなければならない最小距離が決まる。例示的な400kHzの測定周波数では、最少距離は約20mmになる。
【0044】
音響源5および音響センサ6を制御すること、ならびに超音波Uをコード化すること、検出超音波を処理すること、および距離を決定することは、超音波送信器−センサ配置5、6にもまた一体化することができる処理ユニット10によって実施することができる。
【0045】
図2は、ストッパ4の位置を共振によって決定する音響源5および音響センサ6を備えた薬物送達デバイス1の概略縦断面図である。薬物送達デバイス1は、薬物用の空洞3を画成する円筒形容器2を備える。空洞3は、ストッパ4によって近位で境界が定められており、このストッパは、容器2の遠位端に配置可能な排出ノズル(図示せず)を経由して薬物を空洞3から変位させるために、容器2内部で平行移動させることができる。音響源5および音響センサ6は、ストッパ4の位置を決定するように配置される。
【0046】
図2のストッパ4は、容器2内の位置に示されており、そのため、空気で充填された共振容積7が容器2内の、ストッパ4から近位に画成される。ストッパ4の位置は、この共振容積7内の音波によって生じる共振を測定することによって決定することができる。共振容積7は、クントの管の法則による、共振容積7の寸法および幾何形状に特有の共振周波数を有する振動系を形成する。その共振周波数でクントの管が励起された場合、定在波8が生じ、その結果、共振周波数の振幅が増大し、音響センサ6(たとえばマイクロフォン)によって測定できるようになる。
【0047】
音響源5は、規定の周波数帯を通して振動する、すなわちこの周波数帯内で変化する周波数を有する音波を放出する、処理ユニット10によって制御することができる。音響センサ6によって得られる音波は、処理ユニット10で解析して最大振幅を決定すること、したがって共振周波数を決定することができる。図3は、音響源5から共振容積7の中に放出される音響信号の周波数fによって決まる、音響センサ6によって検出される音響信号の典型的な振幅スペクトル|X(f)|を示す図である。振幅|X(f)|は、共振周波数fにおいて最高値を有する。次に、ストッパ4の位置を式(1)によって決定することができる:
【数1】
ここで、cは空気中の音速、lは円筒形共振容積7の長さ、kは高調波指数(harmonic
index)である。
【0048】
通常、未使用容器2のストッパ4は、容器2内の全くの近位端に、またはまさしく近距離に位置し、そのため共振容積7が全く得られないか、またはほんのわずかの共振容積7しか得られない。この結果、非常に高い共振周波数fになり、この周波数は、音響源5および/または音響センサ6の範囲外になりうる。ストッパ4が容器2の全くの近位端に位置しても共振測定法を使用できるようにするために、容器2と実質的に、または正確に同じ内径を有する管部分9が、ストッパ4の位置にかかわらず共振容積7が存在するように、容器2の近位に隣接して配置される(図2参照)。例示的な実施形態では、管部分9は長さが10mmである。
【0049】
図4は、容器2の近位端に対するストッパ4の位置xによって決まる、共振周波数fを示す図である。図4は、k=1である基本共振周波数すなわち第1高調波f(x)、k=2である第2高調波f(x)、k=3である第3高調波f(x)、およびk=4である第4高調波f(x)を示す。
【0050】
図5は、位置xを0.1mmだけ変化させたときの、ストッパ4の位置xによって決まる共振周波数fの周波数シフトΔfを示す図である。
【0051】
図5で分かるように、容器2の近位端から小さい距離における、すなわちストッパ4の位置x、たとえばx=5mmにおけるストッパ4の2つの位置x間の、第1、第2、第3、第4高調波f(x)、f(x)、f(x)、f(x)についての共振周波数の変化Δf(x)、Δf(x)、Δf(x)、Δf(x)は、比較的大きい。しかし、式(1)により変化量Δf(x)、Δf(x)、Δf(x)、Δf(x)は、ストッパ4の距離すなわち位置xが大きくなると共に減少する。
【0052】
例示的な実施形態では、ストッパ4の位置xを決定する方法は、基本周波数f(x)で実施される。音響源5は、0から10kHzの周波数範囲内の音波を放出する。均一な強度を得るために音響源5は、少なくとも意図された周波数帯内では、線形周波数応答性を有さなければならない。音響センサ6は、共振容積7内の音の電力振幅を取り込み、この電力振幅は、処理ユニット10に収納され、それぞれの周波数fに割り当てられる。生成された周波数が共振周波数f(x)に一致する場合、共振が生じて、音響センサ6によって検出される電力信号が増大する(図3参照)。
【0053】
上記の配置および方法は、液体、たとえば薬物を投与するためのガラスアンプルなどの、容器内の充填レベル(fill level)を測定するのに適用することができる。
【0054】
上記の配置および方法により、必要な空間および部材点数を減らすこと、および操作性を改善することが可能になる。
【符号の説明】
【0055】
1 薬物送達デバイス
2 容器
3 空洞
4 ストッパ
5 音響源
6 音響センサ
7 共振容積
8 定在波
9 管部分
10 処理ユニット
c 音速
D 遠位方向
Δf 周波数シフト
f 周波数
共振周波数
(x) 基本共振周波数、第1高調波
(x) 第2高調波
(x) 第3高調波
(x) 第4高調波
k 高調波指数
l 長さ
P 近位方向
U 超音波
x 位置
|X(f)| 振幅スペクトル
図1
図2
図3
図4
図5