(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266643
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】ディスプレイ加熱用の抵抗メッシュ体
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
G02F1/1343
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-545079(P2015-545079)
(86)(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公表番号】特表2015-537252(P2015-537252A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2013070139
(87)【国際公開番号】WO2014085101
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/732,277
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502176580
【氏名又は名称】コピン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】アニュポンゴンガーチ・チョンプーヌート
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン・フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】チャーン・ウェン−フー
【審査官】
横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第08022913(US,B1)
【文献】
特開2007−199339(JP,A)
【文献】
特開2003−043948(JP,A)
【文献】
米国特許第04987289(US,A)
【文献】
米国特許第05694191(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0105009(US,A1)
【文献】
特開平05−273592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343−1/1345,1/136−1/1368
G09F 9/30−9/46
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の半導体基板に配置された表示素子の二次元アレイであって、各表示素子が、少なくとも画素トランジスタ、蓄電キャパシタ(Cst)および画素電極を含み、前記の各トランジスタは、前記画素の動作状態を制御するように設けられており、かつ、少なくともゲート、ドレインおよびソース端子を有しており、そのドレイン端子は前記蓄電キャパシタにおける第1の極板に接続されている、表示素子の二次元アレイと、
第1の複数のゲート端子を制御するように配された複数の行選択ラインと、
映像電圧を前記画素トランジスタを介して前記画素電極に渡すように配された複数の列ラインと、を備え、さらに、
複数の横方向共通電圧ラインおよび複数の縦方向共通電圧ラインを含む発熱抵抗メッシュ体であって、
各横方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記行選択ラインと平行な向きに並べられており、かつ、少なくとも各表示素子内の前記蓄電キャパシタにおける第2の極板で2つ以上の表示素子と一体に接続されており、
各横方向共通電圧ラインが、さらに、第1の横方向ノードおよび第2の横方向ノードを形成する2つの横方向端子を有しており、
各縦方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記列ラインと平行な向きに並べられており、かつ、前記横方向共通電圧ラインと接続されてメッシュ構造を形成しており、
各縦方向共通電圧ラインが、さらに、第1の縦方向ラインノードおよび第2の縦方向ラインノードを形成する2つの縦方向端子を有している、
発熱抵抗メッシュ体と、
少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに接続されており、かつ、前記少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードに少なくとも第1の縦方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに少なくとも第2の縦方向共通ライン電圧を供給するように設けられたヒータドライバであって、前記第1の縦方向ノードに供給される前記第1の縦方向共通ライン電圧および前記第2の縦方向ノードに供給される前記第2の縦方向共通ライン電圧が、縦方向共通ライン電圧差と前記縦方向共通電圧ラインを流れる縦方向共通ライン電流とを生成することにより、前記縦方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する、ヒータドライバと、
を備える、ディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記ヒータドライバが、さらに、前記発熱抵抗メッシュ体の端子に印加される電源電圧を、前記行選択ラインを制御するために印加される電圧及び前記列ラインを制御するために印加される電圧と独立して制御することにより、前記表示素子が表示情報を表示するためにアクティブに動作している間に、当該表示素子に熱を直接印加することを可能にする、ディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記ヒータドライバが、さらに、少なくとも1つの第1の横方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の横方向ラインノードに接続されており、かつ、前記少なくとも1つの第1の横方向ノードに少なくとも第1の横方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の横方向ノードに少なくとも第2の横方向共通ライン電圧を供給するように設けられており、
前記第1の横方向ノードに供給される前記第1の横方向共通ライン電圧および前記第2の横方向ノードに供給される前記第2の横方向共通ライン電圧が、横方向電圧差と前記横方向共通電圧ラインを流れる電流とを生成することにより、前記横方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する、ディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記ヒータドライバが、さらに、少なくとも1つの前記第1の縦方向ラインノードと前記第1の横方向ラインノードとの間の電圧連続性を生成するように設けられた分圧器を含む、ディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記発熱抵抗メッシュ体の前記横方向共通電圧ライン及び前記縦方向共通電圧ラインが、ポリシリコンで形成されている、ディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記縦方向共通電圧ラインが金属線の縦方向共通電圧ラインであり、前記横方向共通電圧ラインがポリシリコンで形成されている、ディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記横方向共通電圧ラインが金属線の横方向共通電圧ラインであり、前記縦方向共通電圧ラインがポリシリコンで形成されている、ディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記行選択ラインが、金属製の行ラインである、ディスプレイ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記発熱抵抗メッシュ体が、横方向のクロストークを減少させ、かつ、表示素子の前記アレイの一点から当該アレイの端縁までの抵抗レベルが、表示素子の横方向のみの共通ヒータラインアレイの対応する一点から前記横方向のみの共通ヒータラインアレイの端縁までの対応する抵抗レベルよりも遥かに低い、ディスプレイ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記発熱抵抗メッシュ体が、各表示素子内の前記トランジスタ及び前記画素電極のそれぞれの近傍に配置された、ディスプレイ装置。
【請求項11】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、各横方向共通電圧ライン及び各縦方向共通電圧ラインが、画素電極の活性層よりも下方の平面上に位置している、ディスプレイ装置。
【請求項12】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記表示素子が、デジタルカメラ、デジタル一眼レフ(SLR)カメラ、ナイトビジョン用ディスプレイ、携帯型ビデオゲーム用ディスプレイ、移動電話、およびビデオアイウェア装置のうちの少なくとも1つの中に使用される、ディスプレイ装置。
【請求項13】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記行選択ラインおよび前記列ラインのうちの少なくとも一方が、低電力シフトレジスタによって制御される、ディスプレイ装置。
【請求項14】
請求項13に記載のディスプレイ装置において、前記低電力シフトレジスタがステージ回路を含み、当該ステージ回路が単一のトランジスタによって駆動される単一の電圧ノードを有する、ディスプレイ装置。
【請求項15】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、さらに、
前記発熱抵抗メッシュ体と液晶物質層との間に積層されたアクティブ画素電極層、
を備える、ディスプレイ装置。
【請求項16】
ディスプレイを加熱する方法であって、
共通の半導体基板に表示素子の二次元アレイを配置する過程であって、各表示素子が、少なくとも画素トランジスタ、蓄電キャパシタ(CST)および画素電極を含み、前記の各トランジスタは、前記画素の動作状態を制御するように設けられており、かつ、少なくともゲート、ドレインおよびソース端子を有しており、そのドレイン端子は前記蓄電キャパシタにおける第1の極板に接続されている、過程と、
第1の複数のゲート端子を制御するように配された複数の行選択ラインを設ける過程と、
映像電圧を前記画素トランジスタを介して前記画素電極に渡すように配された複数の列ラインを設ける過程と、を含み、さらに、
複数の横方向共通電圧ラインおよび複数の縦方向共通電圧ラインを含む発熱抵抗メッシュ体を用意する発熱抵抗メッシュ体過程であって、
各横方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記行選択ラインと平行な向きに並べられており、かつ、少なくとも各表示素子内の前記蓄電キャパシタにおける第2の極板で2つ以上の表示素子と一体に接続されており、
各横方向共通電圧ラインが、さらに、第1の横方向ノードおよび第2の横方向ノードを形成する2つの横方向端子を有しており、
各縦方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記列ラインと平行な向きに並べられており、かつ、前記横方向共通電圧ラインと接続されてメッシュ構造を形成しており、
各縦方向共通電圧ラインが、さらに、第1の縦方向ラインノードおよび第2の縦方向ラインノードを形成する2つの縦方向端子を有している、
発熱抵抗メッシュ体過程と、
ヒータドライバを、少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに接続する過程であって、当該ヒータドライバは、前記少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードに第1の縦方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに第2の縦方向共通ライン電圧を少なくとも供給するように設けられ、前記第1の縦方向ノードに供給される前記第1の縦方向共通ライン電圧および前記第2の縦方向ノードに供給される前記第2の縦方向共通ライン電圧が、縦方向共通ライン電圧差と前記縦方向共通電圧ラインを流れる縦方向共通ライン電流とを生成することにより、前記縦方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する、過程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2012年11月30日付出願の米国仮特許出願第61/732,277号の優先権を主張する。この米国仮特許出願の全内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)の動作温度範囲は、液晶(LC)の特性に依存する。温度が低下すると、粘度上昇が原因でLCの応答時間は劇的に増加する。そのため、LCDは低温度域では適切に動作することができない。既存のLCD技術では、適切なディスプレイ動作温度を維持する目的で、3種類のアプローチすなわち3つの加熱システムが採用されてきた:それらには(i)アクティブ画素アレイを取り囲む酸化インジウムすず(ITO)ガラスに取り付ける外部ヒータ;(ii)内部の行ラインヒータ;および(iii)内部の例えばアレイ、グリッドまたはマトリクスの縦方向の共通ラインである共通電極ライン(VCOM)ヒータ;が含まれる。ただし、どの種類の加熱システムにもいくつかの短所が存在する。
【0003】
外部ヒータは、ディスプレイ作製後に、薄膜トランジスタ/酸化インジウムすず(TFT/ITO)カバーガラスに取り付けられるのが通例である。このアプローチでは、通電による保温加熱(maintenance heating)を、LCDカバーガラスを介して行うことになる。しかし、外部ヒータは、LCDの端縁に沿った加熱を少なくとも1つのカバーガラスを介して行うため概して非効率であり、コールドスタート(低温起動)状態の間にディスプレイを素早く昇温させることができない。他方、行ラインヒータおよびVCOMヒータは遥かに高効率であり、LC物質付近に熱を一様に供給し、コールドスタート状態の間にも使用することができる。
【0004】
図1は、従来技術のポリシリコン製の行ライン110およびポリシリコン製のVCOMライン130を備えた標準的な画素アレイ100を示す図である。行ライン110は、画素トランジスタを制御するための信号を伝送する。C
LCは、液晶を挟んだ画素電極とITO共通平板との間の静電容量である。VCOMは、画素蓄電キャパシタ(C
STG)における一方の極板として機能し、ディスプレイ動作中はDC電圧に繋がれている。このDC電圧は、VCOMラインとLC物質との間に存在する活性層によって効果的にLCから遮断されている。そして、その活性層は、前記蓄電キャパシタにおけるもう一つの極板としても機能する。
【0005】
第2のアプローチは、行ラインヒータである。行ラインヒータは、ディスプレイのアクティブマトリクスアーキテクチャに組み込まれた内部ヒータである。行ラインヒータは、コールドスタート状態の間にも使用可能であり、LC物質を素早く加熱することができる。行ラインヒータは、画素アレイ内でLCの極めて近くに位置するので、LCDガラス内部を一様かつ高効率に加熱することができる。
【0006】
図2に、行ライン加熱方式を示す。行ライン駆動部230,232は、ポリシリコン製の行ライン210の一端から他端へと電流を駆動して画素アレイ200に熱を供給する。ただし、行ライン210には画素220の動作を制御する役割もあるので、行ライン加熱を行っている間はディスプレイを動作させることができない。さらに、この加熱方式の各種用途のコールドスタートの間に必要な昇温時間によっても行ラインの使用は制限される。
【0007】
図3に、VCOM加熱方式を示す。VCOMヒータは、画素アレイ300のポリシリコン製のVCOMライン344を発熱抵抗体として利用する。2つの端子340(V1),342(V2)が適切なDC電圧に繋がれており、VCOMライン344上の電流を制御してLC付近に熱を生成する。そのDC電圧は、蓄電キャパシタ(C
STG)に蓄積されるAC映像電圧に影響を及ぼさないので、(画素348の)画素電圧には何の影響も与えない。LCは活性層によってヒータ電圧から遮断されているので、画像乱れのような目立った画像アーチファクトをもたらすことなく、通常動作の間にディスプレイを加熱することができる。好ましくは、ヒータ端子340(V1),342(V2)は、表示用回路の動作とは別々に当該ヒータを制御できるように、ディスプレイのパッケージ外部からアクセス可能なものとされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、当該技術分野の課題に鑑みて、液晶ディスプレイ用の改善された加熱システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な一実施形態は、共通の半導体基板に配置された表示素子の二次元アレイを備え、各表示素子(すなわち、画素)が、少なくとも画素トランジスタ、蓄電キャパシタ(Cst)および画素電極を含む。前記の各トランジスタは、前記画素の動作状態を制御するように設けられており、かつ、少なくともゲート、ドレインおよびソース端子を有している。そのドレイン端子は前記蓄電キャパシタにおける第1の極板に接続されている。複数の行選択ラインは、第1の複数のゲート端子を制御するように配されている。この行の選択は、例えば、選択操作部が行う。複数の列ラインは、映像電圧を、それぞれの画素トランジスタを介して前記画素電極に渡すように配されている。発熱抵抗メッシュ体が、複数の横方向(horizontal)共通電圧ラインおよび複数の縦方向(vertical)共通電圧ラインを含んでいる。各横方向共通電圧ラインは、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記行選択ラインと平行な向きに並べられている。各横方向共通電圧ラインは、さらに、少なくとも各表示素子内の前記蓄電キャパシタにおける第2の極板で2つ以上の表示素子と接続されて一体化され(coupled to and integral with)ている。各横方向共通電圧ラインは、さらに、第1の横方向ノードおよび第2の横方向ノードを形成する2つの横方向端子を有している。各縦方向共通電圧ラインは、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記列ラインと平行な向きに並べられている。各縦方向共通電圧ラインは、さらに、前記横方向共通電圧ラインと接続されて本発明にかかるメッシュVCOMを形成している。各縦方向共通電圧ラインは、さらに、第1の縦方向ラインノードおよび第2の縦方向ラインノードを形成する2つの縦方向端子を有している。
【0010】
この例示的な実施形態は、さらに、適切なDC電圧を供給することでポリシリコン製のVCOMラインに適切な電流が流れるように各ヒータ端子に接続された、ヒータドライバを含む。これは、少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに接続されており、かつ、前記少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードに少なくとも第1の縦方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに少なくとも第2の縦方向共通ライン電圧を供給するように設けられたヒータドライバによって実現される。前記第1の縦方向共通ライン電圧は前記第1の縦方向ラインノードに供給され、前記第2の縦方向共通ライン電圧は前記第2の縦方向ラインノードに供給される。これにより、縦方向共通ライン電圧差と前記縦方向共通電圧ラインを流れる縦方向共通ライン電流とが生成されて、前記縦方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する。
【0011】
前記ヒータドライバは、さらに、前記ヒータ端子に印加される電源電圧を、前記行選択ラインを制御するために印加される電圧及び前記列ラインを制御するために印加される電圧と独立して制御することにより、前記表示素子が表示情報を表示するためにアクティブに動作している間に、当該表示素子に熱を直接印加することを可能にし得る。
【0012】
前記ヒータドライバは、さらに、少なくとも1つの第1の横方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の横方向ラインノードに接続されて、かつ、前記少なくとも1つの第1の横方向ノードに少なくとも第1の横方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の横方向ノードに少なくとも第2の横方向共通ライン電圧を供給するように設けられ得る。前記第1の横方向共通ライン電圧は前記第1の横方向ノードに供給され、前記第2の横方向共通ライン電圧は前記第2の横方向ノードに供給される。これにより、横方向電圧差と前記横方向共通電圧ラインを流れる電流とが生成されて、前記横方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する。
【0013】
前記ヒータドライバは、さらに、少なくとも1つの前記第1の縦方向ラインノードと前記第1の横方向ラインノードとの間の電圧連続性(voltage continuity)を生成するように設けられた分圧器を含み得る。前記発熱抵抗メッシュ体の前記横方向共通電圧ライン及び前記縦方向共通電圧ラインは、ポリシリコンで形成され得る。前記縦方向共通電圧ラインが金属線の(metal-strapped)縦方向共通電圧ラインであり得て、前記横方向共通電圧ラインがポリシリコンで形成され得る。前記横方向共通電圧ラインが金属線の横方向共通電圧ラインであり得て、前記縦方向共通電圧ラインがポリシリコンで形成され得る。前記行選択ラインが、金属製の行ラインであり得る。
【0014】
前記発熱抵抗メッシュ体は、横方向のクロストークを減少させ得て、かつ、表示素子の前記アレイの一点から当該アレイの端縁までの抵抗レベルが、表示素子の横方向のみの共通ヒータ(すなわち、内部の共通電圧ライン(VCOM)ヒータ)ラインアレイ(horizontal-only common heater line array)の対応する一点から前記横方向のみの共通ヒータラインアレイの端縁までの対応する抵抗レベルよりも遥かに低くし得る。前記発熱抵抗メッシュ体は、各表示素子内の前記トランジスタ及び前記画素電極のそれぞれの近傍に配置され得る。各横方向共通電圧ライン及び各縦方向共通電圧ラインは、前記画素素子の活性層よりも下方の平面上に位置し得る。
【0015】
前記表示素子は、デジタルカメラ、デジタル一眼レフ(SLR)カメラ、ナイトビジョン用ディスプレイ、携帯型ビデオゲーム用ディスプレイ、移動電話、およびビデオアイウェア装置のうちの少なくとも1つの中に使用され得る。
【0016】
前記行選択ラインおよび前記列ラインのうちの少なくとも一方は、低電力シフトレジスタによって制御され得る。前記低電力シフトレジスタはステージ回路(段回路)を含み得て、当該ステージ回路は単一のトランジスタによって駆動される単一の電圧ノードを有し得る。当該シフトレジスタは、例えば、前述の選択操作部で実現しうる。加熱体は、横方向及び縦方向がメッシュ状に接続されたポリシリコン製の(抵抗性)VCOMラインであり得る。前記活性層は、前記蓄電キャパシタにおける他方の極板として機能し得る。前記活性層(画素電極)は、さらに、LC(液晶)物質を、ポリシリコン製のVCOM上のDC電圧からシールドし得る。
【0017】
さらなる他の例示形態において、ディスプレイ装置は、横方向加熱駆動部及び縦方向加熱駆動部に接続されたLCDディスプレイを備える。これら横方向加熱駆動部及び縦方向加熱駆動部は、少なくとも1つのVCOM発熱抵抗メッシュ体に接続され得る。前記発熱抵抗メッシュ体は、ディスプレイ用の加熱システムの能力を改善するので、前記ディスプレイを低温度域から素早く昇温させることができる。
【0018】
前記抵抗メッシュ体は、さらに、画素アレイの一点から端縁までの抵抗レベルを、画素−画素間の横方向VCOM抵抗値よりも遥かに低くし得る。これにより、横方向のクロストークを減少させ、従来技術から改善できる。
【0019】
本願は、現時点で又は特許成立後において、カラーで表現された少なくとも1つの図を含む。本願の公開公報又は特許成立後の特許公報のコピーをカラーの図付きで入手したい場合には、米国特許庁に必要な料金を支払って申請されたい。
【0020】
前述した内容は、添付の図面に示す本発明の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになる。異なる図をとおして同一の符号は、同一の構成又は構成要素を指す。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本発明の例示的な実施形態を示すことに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術のポリシリコン製の行ラインおよびポリシリコン製のVCOM画素アレイを示す概略図である。
【
図2】従来技術の行ライン加熱を示す概略図である。
【
図3】従来技術の横方向VCOM加熱を示す概略図である。
【
図4A】本発明にかかる金属製の行ラインおよびポリシリコン製のVCOM画素アレイを示す概略図である。
【
図4B】
図4Aの画素アレイの列ライン積層(column line stack)を示す概略図である。
【
図5】本発明にかかるポリシリコン製のVCOM抵抗グリッドを示す概略図である。
【
図6】本発明にかかるメッシュVCOMを用いた横方向加熱を示す概略図である。
【
図7】本発明にかかるメッシュVCOMを用いた縦方向加熱を示す概略図である。
【
図8】上縁及び下縁に+1Vの電圧を印加すると共に側縁を接地した場合の、四辺加熱(four-sided heating)を示す概略図である。
【
図9】
図8のヒータ構成でのヒータ出力マップ(heater power map)である。
【
図10】
図8のヒータ構成での三次元ヒータ出力マップである。
【
図11】端縁を部分的に駆動した場合の、四辺加熱を示す概略図である。
【
図13】
図11のヒータ構成での三次元ヒータ出力マップである。
【
図14】四辺の各々において中心に対して電圧降下させた四辺加熱を示す概略図である。
【
図16】
図14のヒータ構成での三次元ヒータ出力マップである。
【
図17】金属製の行ラインおよび横方向が金属製であるVCOM(H−VCOM)画素アレイを示す概略図である。
【
図18】ポリシリコン製の行ラインおよび縦方向が金属製であるVCOM(V−VCOM)画素アレイを示す概略図である。
【
図19】金属線入り(metal-strapped)メッシュVCOMを用いた加熱を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の例示的な実施形態について説明する。
【0023】
高い抵抗値を有するVCOMラインによる画像アーチファクトは、横方向のクロストークの存在を示唆している。このようなクロストークは、列ラインからの電荷結合(charge coupling)が原因であり得る。結合電荷量は、LCDに表示されるパターンによって行ごとに異なり、横方向のクロストークとして知覚される。VCOMラインの抵抗値が高いほどRC時定数が長くなり、横方向のクロストークもより目立ったものになる。これは、高解像度ディスプレイの場合には問題となる。というのも、そのようなディスプレイは多数の列からの結合を有しかつ高速動作を行うことから、電荷を分散できる時間が限られているからである。
【0024】
本明細書において以下で詳述するように、本発明の例示的な実施形態は、デジタル方式等のLCDディスプレイを加熱するうえで、改善をもたらす。具体的に述べると、本発明の例示的な実施形態は、そのようなLCDの加熱能力の改善により、当該ディスプレイを低温度域から素早く昇温させることができる。本発明によって改善しうるディスプレイ用の加熱システムの一例として、Kun Zhangらを発明者とする2011年9月20日付発行の米国特許第8,022,913号に記載されたものが挙げられる。なお、この米国特許の全内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。当業者であれば、他のディスプレイの加熱システムも、本発明の原理により同様に向上可能であることを理解するであろう。
【0025】
従来、行ラインおよびVCOMラインはいずれもポリシリコン製とされ、かつ、画素アレイ内で互いに平行な横向きのラインとされてきた。新しく開発した金属製の行ラインを用いることにより、ポリシリコン製のVCOMラインを、画素アレイ内で縦方向に接続することが可能となる。これにより、発熱抵抗メッシュ体が形成される。
図4Aには、画素アレイ400内の、そのようなポリシリコン製のVCOM発熱抵抗メッシュ体430および金属製の行ライン410が示されている。
図5には、ポリシリコン製のVCOM抵抗グリッド500で形成された、そのようなポリシリコン製のVCOM発熱抵抗メッシュ体の回路図が示されている。端縁点(edge points)同士を結ぶと、画素アレイの一点から端縁までの抵抗値は、従来の画素−画素間の横方向VCOM抵抗値よりも遥かに低くなる。結果として、横方向のクロストークが劇的に減少する。
【0026】
上記の金属製の行ラインを用いて従来の行ライン加熱を行おうとすると、金属の抵抗値が低いことに加えてエレクトロマイグレーションの恐れがあるので実用的でない。一方で、本発明にかかる発熱抵抗メッシュ体(本明細書では「メッシュVCOM」と称することもある)を利用すれば、別の選択肢であるVCOM加熱方式を採用することができる。
【0027】
図4Aでは、表示素子の二次元アレイ400が、共通の半導体基板に配置されている。各表示素子(すなわち、画素)は、画素トランジスタ451、蓄電キャパシタ(C
ST)および画素電極453(
図4B)を含む。各画素トランジスタ451は、前記画素すなわち画素電極の動作状態を制御するように設けられている。画素トランジスタ451は、ゲート、ドレインおよびソース端子で形成されている。そのドレインは、蓄電キャパシタ(C
ST)における第1の極板に接続されている。
【0028】
選択操作部から伸びる複数の金属製の行選択ライン410が、第1の複数のトランジスタ451のゲート端子を制御するように配されている。複数のポリシリコン製の列ラインが、画素トランジスタ451のソース端子に接続された列ラインと共に分布している。これら列ラインは映像信号を伝送し、当該映像信号をそれぞれの画素トランジスタ451を介して
図4Bの画素電極453に渡す。
【0029】
図4Aを続けて参照する。本発明にかかる発熱抵抗メッシュ体430は、複数の(ポリシリコン製の)横方向共通電圧ラインおよび複数の(ポリシリコン製の)縦方向共通電圧ラインを含む。各横方向共通電圧ラインは、金属製の行選択ライン410及び前記列ラインと独立してかつ金属製の行選択ライン410と平行な向きに並べられている。各横方向共通電圧ラインは、さらに、2つ以上の表示素子(画素)と各表示素子内の蓄電キャパシタC
STにおける第2の極板で一体に接続されている。各横方向共通電圧ラインは、さらに、第1の横方向ノードおよび第2の横方向ノードを形成する2つの横方向端子を有している。
【0030】
メッシュVCOM430の各縦方向共通電圧ラインは、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記列ラインと平行な向きに並べられている。各縦方向共通電圧ラインは、さらに、前記横方向共通電圧ラインと接続されてメッシュ構造/メッシュデザインを形成している。各縦方向共通電圧ラインは、さらに、第1の縦方向ラインノードおよび第2の縦方向ラインノードを形成する2つの縦方向端子を有している。これらのノードは、ヒータ端子として機能し得る。
【0031】
以下で明らかになるように、各ヒータ(メッシュVCOM430)端子には、適切なDC電圧を供給することでポリシリコン製のVCOMライン430に適切な電流を流す、ヒータドライバが接続され得る。この電流が、メッシュVCOM430の縦方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する。
【0032】
図4Bを参照する。同図には、画素の上下方向の(例えば、鉛直方向の)構造、すなわち、列ライン積層の様子が示されている。金属製の列420は、画素トランジスタ451のソース端子に接続されている。符号430のポリシリコン製の縦方向VCOMラインは、ポリシリコン製の横方向VCOMライン430と接続されてメッシュ状のVCOMを形成している。ポリシリコン製の横方向VCOMライン430は、蓄電キャパシタC
stにおける一方の極板として機能し、かつ、加熱に利用することができる。(画素電極453を有する)活性層440は、画素トランジスタ451のドレイン端子であり、かつ、C
STにおける他方の極板として機能する。活性層440は、さらに、LC物質をポリシリコン製のメッシュVCOM430ライン上のDC電圧から遮断する。
【0033】
[メッシュVCOMを備えたc×r画素アレイによる加熱]
c=列の数
r=行の数
R
H=各画素間の横方向抵抗値
R
V=各画素間の縦方向抵抗値
【0034】
1. 横方向加熱:左縁/右縁に設けたヒータドライバ
【0036】
縦方向VCOMとの接続は横方向加熱に影響を及ぼさない。
図6の横方向ヒータドライバ600に示すように、一様な電流I
Hが横方向抵抗R
Hに流れる。ヒータ出力は、VCOMラインの抵抗率に依存する。小型画素ディスプレイでは、ディスプレイ開口率を出来る限り大きくするために横方向VCOMラインを狭幅にするのが典型的である。よって、高い抵抗値を有するVCOMを使用することにより、ヒータ出力を抑えることができる。
【0037】
2. 縦方向加熱:上縁/下縁に設けたヒータドライバ
【0039】
図7に示すように、縦方向ヒータドライバ700の場合にも、
図6の横方向ヒータ600の電流I
Hの場合と同様に、一様な電流I
Vが横方向抵抗R
Vに流れる。ただし、カラーディスプレイおよびワイドアスペクト比ディスプレイでは、縦方向ヒータ700のほうがより有利である。
【0040】
スクエア型モノクロディスプレイでは、行方向:R
ROW=c×R
H;列方向:R
COL=r×R
V;およびc/r=1;となる。
【0042】
同じ解像度のスクエア型カラーディスプレイでは:R
ROW=c×R
H/3;R
COL=r×R
V;およびc/r=3;となる。
【0044】
アスペクト比=16:9のワイドスクリーン型モノクロディスプレイでは:c/r=16/9;となる。
【0046】
アスペクト比=16:9のワイドスクリーン型カラーディスプレイでは:c/r=3×16/9;となる。
【0048】
R
H=R
Vであると仮定すると、例えば3色のカラーディスプレイでの縦方向ヒータ(例えば、縦方向ヒータ700など)は、同じ解像度のモノクロディスプレイでの縦方向ヒータの3倍の熱を生成することができる。また、ワイドスクリーン型ディスプレイでは、縦方向ヒータであれば横方向ヒータの(16/9)
2≒3.16倍の熱を生成することができる。縦方向ヒータ700が最も有利になるのはワイドスクリーン型カラーディスプレイであり、縦方向ヒータの出力は横方向ヒータ600の出力の9.5倍である。
【0050】
ヒータドライバ800を、
図8に示すように四辺全てに配置することにより、画素アレイの周囲により多くの熱を供給することができる。ヒータ出力は、非一様であり、かつ、電圧駆動部を対象の画素アレイ周りにどのように配置しかつ当該画素アレイにどのように接続するかに依存する。例として、1Ω抵抗の128×128メッシュ体に対し、様々な四辺加熱方式を用いてシミュレーションを行い、当該画素アレイのパワーマップ(ヒータ出力分布、電力分布等)を作製した。そのうちの一例では、
図8に示すようにヒータドライバ800が上縁及び下縁に+1Vを供給する一方、両側縁を接地させた。このような構成では、
図9の温度マップ900及び
図10の温度マップ1000で示されるように、VCOMメッシュ体の隅部に極めて大きい電流が流れて非一様な加熱が生じる。このような高温の熱は、局所的にLCをクリアする(local LC clearing)。
【0051】
一変形例として、ヒータドライバ1100を、
図11に示すように端縁に部分的に接続することも可能である。この構成によれば、
図12及び
図13で示されるように、画素アレイ周囲のヒータ出力1200,1300をより一様に分布させることができる一方、ヒータドライバ1100がメッシュ体に接続されていない端縁部分では、未だに極めて大きいヒータ出力スパイクが残る。
【0052】
そのような大きいヒータ出力スパイクを回避するために、
図14に示すように分圧器1450を使用して、画素アレイの四縁(四方の縁)間で電圧連続性を達成するようにしてもよい。一実施形態において、分圧器1450は非線形抵抗である。シミュレーションによると、不連続の駆動縁部分を有する場合の(例えば、ヒータドライバ1100の場合の)画素アレイのヒートマップ1200,1300に比べて、ヒートマップ1500,1600は
図15及び
図16で示されるようにより一様に分布する。しかし、このような
図14の構成1400により改善された性能は有益であるものの、当該構成は実用的でない。というのも、抵抗分割器1450が発熱抵抗メッシュ体の一部を成すからである。具体的に述べると、ヒータドライバプレートの端縁部分での大きいスパイクを防止するには、非線形分圧器1450が必要になる。このことは、設計の複雑さを増大させると共に用途の融通性を低下させる。
【0053】
VCOMメッシュ体は、
図4に示すVCOMメッシュ体430のように全体がポリシリコン製であってもよいが、変形例として、一方の次元(すなわち、横方向次元または縦方向次元)のラインをポリシリコン製として他方の次元のラインを金属製としてもよい。一例として、
図17に、金属製の行ライン1710および横方向が金属線である(horizontally metal-strapped)メッシュVCOM(またはVCOMメッシュ体)1730を備える画素アレイ1700を示す。他の例として、
図18に、ポリシリコン製の行ライン1810と、縦方向が金属線である(vertically metal-strapped)メッシュVCOM(またはVCOMメッシュ体)1830とを備える画素アレイ1800を示す。
【0054】
金属線入り(metal-strapped)VCOMの場合、金属製のVCOMラインにDC電圧を印加することにより、高い熱密度を有するアレイを実現することができる。このようなアプローチによれば、従来の横方向VCOMヒータ(
図3)よりも遥かに高い熱密度を得ることができる。
【0055】
図19に、DC電圧V1,V2による高い熱密度の縦方向加熱の様子を示す。高い電位V1を有する横方向共通電圧ライン1961から低い電位V2を有する横方向共通電圧ライン1963にかけて、ポリシリコン製の縦方向のVCOM発熱抵抗メッシュ体1900におけるセグメント1964に一様な電流I
vが流れる。VCOM発熱抵抗メッシュ体1900に接続されない横方向VCOMラインが複数あってもよいが、これらを金属線とすることにより(strapped with metal)、画素アレイを均一な外観にすることができる。二本のヒータライン1961,1963間の抵抗値は、抵抗が複数並列に接続されているので、画素セグメント1964の数の自己二乗積(square product)に対して線形的に減少する。反対にヒータ出力は、抵抗値が減少するにつれてその何倍もの増加を示す。画素サイズおよび画素配置の設計に応じて、セグメント1964の数を変えることにより、熱密度および熱出力を最適化させることができる。
【0056】
例えば:nを画素アレイ内のセグメントの数、R
eqを等価抵抗、およびV1−V2=Vとして、
ヒータドライバを上方及び下方のみに備えた画素アレイの場合:
【0058】
セグメントの数=2としたアレイ(
図19)の場合:
【0060】
セグメントの数=nとしたアレイの場合:
【0062】
このようなアプローチにより、さらに高い熱密度を得ることができ、なかでも、ワイドアスペクト比LCディスプレイでの縦方向共通電圧ライン加熱と組み合わせることにより、なおいっそう高い熱密度を得ることができる。例えば、セグメントの数を4としたワイドスクリーン用途のような金属製のVCOMワイド画素アレイは、スクエア形状のようなポリシリコン製のVCOMスクエアアレイのおよそ28倍の熱を生成することができる。さらに横方向VCOMを金属製とすれば、金属の低い抵抗率によって横方向のクロストークも、なおいっそう減少させることができる。
【0063】
本発明を例示的な実施形態を参照しながら図示・説明したが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その形態や詳細に様々な変更を施せることは当業者であれば理解するであろう。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
共通の半導体基板に配置された表示素子の二次元アレイであって、各表示素子が、少なくとも画素トランジスタ、蓄電キャパシタ(Cst)および画素電極を含み、前記の各トランジスタは、前記画素の動作状態を制御するように設けられており、かつ、少なくともゲート、ドレインおよびソース端子を有しており、そのドレイン端子は前記蓄電キャパシタにおける第1の極板に接続されている、表示素子の二次元アレイと、
第1の複数のゲート端子を制御するように配された複数の行選択ラインと、
映像電圧を前記画素トランジスタを介して前記画素電極に渡すように配された複数の列ラインと、を備え、さらに、
複数の横方向共通電圧ラインおよび複数の縦方向共通電圧ラインを含む発熱抵抗メッシュ体であって、
各横方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記行選択ラインと平行な向きに並べられており、かつ、少なくとも各表示素子内の前記蓄電キャパシタにおける第2の極板で2つ以上の表示素子と一体に接続されており、
各横方向共通電圧ラインが、さらに、第1の横方向ノードおよび第2の横方向ノードを形成する2つの横方向端子を有しており、
各縦方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記列ラインと平行な向きに並べられており、かつ、前記横方向共通電圧ラインと接続されてメッシュ構造を形成しており、
各縦方向共通電圧ラインが、さらに、第1の縦方向ラインノードおよび第2の縦方向ラインノードを形成する2つの縦方向端子を有している、
発熱抵抗メッシュ体と、
少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに接続されており、かつ、前記少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードに少なくとも第1の縦方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに少なくとも第2の縦方向共通ライン電圧を供給するように設けられたヒータドライバであって、前記第1の縦方向ノードに供給される前記第1の縦方向共通ライン電圧および前記第2の縦方向ノードに供給される前記第2の縦方向共通ライン電圧が、縦方向共通ライン電圧差と前記縦方向共通電圧ラインを流れる縦方向共通ライン電流とを生成することにより、前記縦方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する、ヒータドライバと、
を備える、ディスプレイ装置。
[態様2]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記ヒータドライバが、さらに、前記発熱抵抗メッシュ体の端子に印加される電源電圧を、前記行選択ラインを制御するために印加される電圧及び前記列ラインを制御するために印加される電圧と独立して制御することにより、前記表示素子が表示情報を表示するためにアクティブに動作している間に、当該表示素子に熱を直接印加することを可能にする、ディスプレイ装置。
[態様3]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記ヒータドライバが、さらに、少なくとも1つの第1の横方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の横方向ラインノードに接続されており、かつ、前記少なくとも1つの第1の横方向ノードに少なくとも第1の横方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の横方向ノードに少なくとも第2の横方向共通ライン電圧を供給するように設けられており、
前記第1の横方向ノードに供給される前記第1の横方向共通ライン電圧および前記第2の横方向ノードに供給される前記第2の横方向共通ライン電圧が、横方向電圧差と前記横方向共通電圧ラインを流れる電流とを生成することにより、前記横方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する、ディスプレイ装置。
[態様4]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記ヒータドライバが、さらに、少なくとも1つの前記第1の縦方向ラインノードと前記第1の横方向ラインノードとの間の電圧連続性を生成するように設けられた分圧器を含む、ディスプレイ装置。
[態様5]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記発熱抵抗メッシュ体の前記横方向共通電圧ライン及び前記縦方向共通電圧ラインが、ポリシリコンで形成されている、ディスプレイ装置。
[態様6]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記縦方向共通電圧ラインが金属線の縦方向共通電圧ラインであり、前記横方向共通電圧ラインがポリシリコンで形成されている、ディスプレイ装置。
[態様7]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記横方向共通電圧ラインが金属線の横方向共通電圧ラインであり、前記縦方向共通電圧ラインがポリシリコンで形成されている、ディスプレイ装置。
[態様8]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記行選択ラインが、金属製の行ラインである、ディスプレイ装置。
[態様9]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記発熱抵抗メッシュ体が、横方向のクロストークを減少させ、かつ、表示素子の前記アレイの一点から当該アレイの端縁までの抵抗レベルが、表示素子の横方向のみの共通ヒータラインアレイの対応する一点から前記横方向のみの共通ヒータラインアレイの端縁までの対応する抵抗レベルよりも遥かに低い、ディスプレイ装置。
[態様10]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記発熱抵抗メッシュ体が、各表示素子内の前記トランジスタ及び前記画素電極のそれぞれの近傍に配置された、ディスプレイ装置。
[態様11]
態様1に記載のディスプレイ装置において、各横方向共通電圧ライン及び各縦方向共通電圧ラインが、前記画素素子の活性層よりも下方の平面上に位置している、ディスプレイ装置。
[態様12]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記表示素子が、デジタルカメラ、デジタル一眼レフ(SLR)カメラ、ナイトビジョン用ディスプレイ、携帯型ビデオゲーム用ディスプレイ、移動電話、およびビデオアイウェア装置のうちの少なくとも1つの中に使用される、ディスプレイ装置。
[態様13]
態様1に記載のディスプレイ装置において、前記行選択ラインおよび前記列ラインのうちの少なくとも一方が、低電力シフトレジスタによって制御される、ディスプレイ装置。
[態様14]
態様13に記載のディスプレイ装置において、前記低電力シフトレジスタがステージ回路を含み、当該ステージ回路が単一のトランジスタによって駆動される単一の電圧ノードを有する、ディスプレイ装置。
[態様15]
態様1に記載のディスプレイ装置において、さらに、
前記発熱抵抗メッシュ体と液晶物質層との間に積層されたアクティブ画素電極層、
を備える、ディスプレイ装置。
[態様16]
ディスプレイを加熱する方法であって、
共通の半導体基板に表示素子の二次元アレイを配置する過程であって、各表示素子が、少なくとも画素トランジスタ、蓄電キャパシタ(CST)および画素電極を含み、前記の各トランジスタは、前記画素の動作状態を制御するように設けられており、かつ、少なくともゲート、ドレインおよびソース端子を有しており、そのドレイン端子は前記蓄電キャパシタにおける第1の極板に接続されている、過程と、
第1の複数のゲート端子を制御するように配された複数の行選択ラインを設ける過程と、
映像電圧を前記画素トランジスタを介して前記画素電極に渡すように配された複数の列ラインを設ける過程と、を含み、さらに、
複数の横方向共通電圧ラインおよび複数の縦方向共通電圧ラインを含む発熱抵抗メッシュ体を用意する発熱抵抗メッシュ体過程であって、
各横方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記行選択ラインと平行な向きに並べられており、かつ、少なくとも各表示素子内の前記蓄電キャパシタにおける第2の極板で2つ以上の表示素子と一体に接続されており、
各横方向共通電圧ラインが、さらに、第1の横方向ノードおよび第2の横方向ノードを形成する2つの横方向端子を有しており、
各縦方向共通電圧ラインが、前記行選択ライン及び前記列ラインと独立してかつ前記列ラインと平行な向きに並べられており、かつ、前記横方向共通電圧ラインと接続されてメッシュ構造を形成しており、
各縦方向共通電圧ラインが、さらに、第1の縦方向ラインノードおよび第2の縦方向ラインノードを形成する2つの縦方向端子を有している、
発熱抵抗メッシュ体過程と、
ヒータドライバを、少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードおよび少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに接続する過程であって、当該ヒータドライバは、前記少なくとも1つの第1の縦方向ラインノードに第1の縦方向共通ライン電圧を、前記少なくとも1つの第2の縦方向ラインノードに第2の縦方向共通ライン電圧を少なくとも供給するように設けられ、前記第1の縦方向ノードに供給される前記第1の縦方向共通ライン電圧および前記第2の縦方向ノードに供給される前記第2の縦方向共通ライン電圧が、縦方向共通ライン電圧差と前記縦方向共通電圧ラインを流れる縦方向共通ライン電流とを生成することにより、前記縦方向共通電圧ラインに接続された前記表示素子を加熱する、過程と、
を含む、方法。